JP2004353675A - 蒸気タービンダイアフラム組立体用の水平継手シールシステム - Google Patents

Abstract

【課題】 水平継手（４０）位置における蒸気タービンの上部及び下部ダイアフラムセグメント（３４、３６）の整合した端面（４３、４８、４５、５１）内のスプラインシール（５４、６０）を提供する。
【解決手段】 ダイアフラムセグメントは、その間で延びる円周方向に間隔を置いて配置された隔壁（２８）を備えた内側及び外側半環状リング（４２、４８、４４、５０）を含む。セグメントの内側及び外側半環状リングの各々の整合した端面を跨いでスプラインシール（５６、７０、８０、９０、６２）が設けられ、該スプラインシールは、金属薄板（５４）、逆方向に湾曲させた端部（８４）を有する金属薄板本体（８２）、膨らんだ端部（７４）を有する中実の本体（７２）又は金属/セラミック織布（９４）で覆われた金属薄板（９２）を含むことができる。軸方向及び半径方向の両方向における漏洩通路は、排除される。
【選択図】 図２

Description

本発明は、総括的には蒸気タービンダイアフラム組立体のダイアフラムセグメントの円周方向に整合した端面間のシールに関し、具体的には、セグメント間の水平継手位置における上部及び下部ダイアフラムセグメントを形成する内側及び外側半環状リングの整合した端面間のスプラインシールに関する。

蒸気タービンの設計においては、蒸気流路からの多くの蒸気漏洩通路を可能な限り最少にするか又は排除することが非常に望ましい。蒸気タービンの各段は、ロータ上に取付けられた複数の円周方向に間隔を置いて配置されたバケットと複数の隔壁を支持するダイアフラム組立体とを含み、バケット及び隔壁が、蒸気タービンのタービン段を形成する。各ダイアフラム組立体は、典型的には上部半環状ダイアフラムセグメントと下部半環状ダイアフラムセグメントとを含む。上部及び下部ダイアフラムセグメントは、外側ケーシング内に位置する。上部及び下部セグメントの各々は、内側及び外側半環状リング又は半リングを含み、それらリング間でノズルを形成する複数の円周方向に間隔を置いて配置された隔壁が延びる。ノズルは、組立てられたダイアフラムを通して蒸気を導く。

蒸気タービンが組立てられると、上部及び下部ダイアフラムセグメントの端面は、蒸気タービンの水平継手又は中央線位置において互いに整合する。セグメントは、互いにボルト止めされてもよいし又はボルト止めされなくてもよい。セグメントの水平継手は、多くの場合運転状態の間に漏洩通路を形成する。これらの漏洩通路は、蒸気タービンを組立てる際の間隙のために生じる場合があり、又は運転状態で間隙が開く原因になる熱膨張により生じる場合もある。蒸気漏洩は、深刻な場合があり、機械効率の低下すなわち性能の低下を引き起こし、その結果発電所経営者に収益損失を与えるおそれがある。典型的な端面間隙は、０．０〜約．０７インチとすることができ、場合によってはそれよりも大きくなることもある。ボルト止めされていない継手の場合には、上部及び下部セグメントがそれぞれタービンシェルの上部及び下部半体内に設置されて保持されるので、間隙がより大きくなるおそれがある。上部及び下部ダイアフラムセグメントがタービンシェル内に正確に設置されていない場合、ダイアフラムセグメントの水平継手位置において大きな間隙が生じるおそれがある。多くの場合セグメントを整合した状態に保つためにダイアフラムセグメントには頑丈なキーが使用されることを理解されたい。しかしながら、キーは確かに蒸気漏洩流の限られた量を阻止するが、キーは継手接合面で主としてシール作用をするためのものではない。
米国特許第５９３４６８７号公報

本発明の好ましい実施形態によると、蒸気タービンのダイアフラムセグメントの水平継手をシールして、ダイアフラム組立体の水平継手を越える蒸気漏洩流を最少にするか又は排除するためのスプラインシールを提供する。スプラインシールは、水平継手位置におけるダイアフラムセグメントの内側及び外側半環状リングの各々の対向する整合したスロット内に配置される。スプラインシールは、最初の装置製造の一部として又は改造として配置することができる。

ＥＤＭ法又は従来型のフライス加工法により形成されたスロット内に、特定のスプラインシールが配置される。スロットは、内側及び外側半環状セグメントの端面の各々内に、ほぼ軸方向に延びる方向と共に半径方向外向きに延びる方向に配置することができる。従って、スプラインシールは、水平継手を越えるほぼ半径方向と共に軸方向の漏洩流を最少にするか又は排除する。スプラインシールは、薄板金属シール、金属薄板の対向する端部を逆方向に湾曲或いは屈曲させて端部拡大部を形成したＱ字形先端形式のシール又はクロスシールを含むことができる。クロスシールは、金属織布で被覆され、整合したスロット内に配置された金属ストリップを含むことができる。

本発明による好ましい実施形態では、蒸気タービンを提供し、本蒸気タービンは、複数の円周方向に間隔を置いて配置されたバケットを支持するロータと、タービンの水平継手に隣接して互いに整合した端面を有する上部及び下部ダイアフラムセグメントを備えた、ロータを囲むダイアフラム組立体とを含み、セグメントの各々が、その間に複数の円周方向に間隔を置いて配置された隔壁を支持するほぼ半環状の外側及び内側リングを含み、バケット及び隔壁が蒸気タービンの段を形成し、各水平継手位置における内側及び外側半環状リングのうちの１つの整合した端面が、該端面内にかつ互いにほぼ円周方向に整合して開口するスロットを有し、円周方向に隣接するセグメントの各対向する端面間で延びるスプラインシールをスロット内に配置して、整合した端面を通り抜ける蒸気漏洩流を最少にするか又は阻止する。

本発明による別の好ましい実施形態では、蒸気タービンを提供し、本蒸気タービンは、複数の円周方向に間隔を置いて配置されたバケットを支持するロータと、タービンの水平継手に隣接して互いに整合した端面を有する上部及び下部ダイアフラムセグメントを備えた、ロータを囲むダイアフラム組立体とを含み、セグメントの各々が、その間に複数の円周方向に間隔を置いて配置された隔壁を支持するほぼ半環状の外側及び内側リングを含み、バケット及び隔壁が蒸気タービンの段を形成し、各水平継手位置における内側及び外側半環状リングの整合した端面が、該端面内にかつ互いにほぼ円周方向に整合して開口するスロットを有し、第１のスプラインシールが、円周方向に隣接する内側リングの各対向する端面間でかつ該端面のスロット内で延び、第２のスプラインシールが、円周方向に隣接する外側リングの各対向する端面間でかつスロット内で延び、それによって整合した端面を通り抜ける蒸気漏洩流を最少にするか又は阻止する。

ここで図面、特に図１を参照すると、全体を符号１０で表した蒸気タービンが示されている。この概略的な実施例では、蒸気タービン１０は、蒸気タービンケーシング１８の両端部を越えて延びる単一の一体形ロータ１６上に取付けられた高圧タービンセクション１２と中圧タービンセクション１４とを含む。ロータ１６は、高圧及び中圧セクション１２及び１４によって回転駆動され、一方ケーシング１８は静止したままであることが分かるであろう。蒸気タービンでは典型的であるが、また図２を参照すると、ロータ１６は、典型的にはその先端２４にカバープレート２２を有する複数の間隔を置いて配置されたバケット２０を支持する。各タービンセクションは、ノズルを画成する複数の隔壁２８を支持する、全体を符号２６で表したダイアフラム組立体を含む。軸方向に隣接するバケット２０及びノズルが、蒸気タービン１０の段を形成し、任意の数の付加的な段が一般的であるが図２には２つの段を示していることが分かるであろう。ノズル２８及びバケット２０を通る蒸気流路は、蒸気流れ方向矢印３０によって示している。ロータの回転軸線は、符号３２で示す。

ダイアフラム組立体２６は、ロータ１６の周りに配置されて、図示していない手段によって外側ケーシング１８内に保持されることが分かるであろう。各ダイアフラム組立体２６は、それぞれ上部及び下部ダイアフラムセグメント３４及び３６を含み（図３参照）、その各々が、約１８０°延びかつ水平中央線継手４０に沿って組合される。上部ダイアフラムセグメント３４は、それぞれ内側及び外側リング４２及び４４を含み（図３参照）、これらリングは、該半環状リング間で延びる複数の円周方向に間隔を置いて配置された隔壁２８を有する。同様に、下部ダイアフラムセグメント３６は、それぞれ半環状の内側及び外側リング４８及び５０を含み（図３参照）、これらリングは、該半環状リング間に複数の円周方向に間隔を置いて配置された隔壁２８を有する。隔壁２８は、蒸気流路３０に沿って蒸気流の向きを変えるための固定ノズルを形成する。

図２及び図３に示すような本発明の好ましい実施形態によると、各水平継手位置におけるそれぞれ内側半環状リング４２及び４８の整合した端面４３及び４９間にスプラインシールが挿置される。同様に、スプラインシールは、各水平継手位置におけるそれぞれ外側半環状リング４４及び５０の端面４５及び５１間に配置される。整合した端面の各々における内側及び外側半環状リング用のスプラインシールは同一であるので、１つについての説明で他のものの説明として事足りる。各スプラインシール５４は、例えば約０．０１インチの普通の厚さを有し、端面に形成された整合したスロット５６（図３参照）内で延びる薄い金属板を含むことができる。スロット５６は、ＥＤＭ法又は従来型のフライス加工法を用いて形成することができ、また最初の装置製造として又は改造として形成することができる。具体的には、各端面において、タービンの回転軸線３２（図２参照）にほぼ平行に延びるスロット５４が形成される。スプラインシール５４は、スロットとほぼ同じ長さに該スロット内で延びて、図２に示すように半径方向に蒸気通路に近接して位置する。従って、スプラインシール５４は、高温ガス流路３０からの蒸気の半径方向の流れをシールする。例えば、中央線継手位置における内側リング半体４２及び４８の端面間をシールするスプラインシール５４は、蒸気の半径方向内向きの流れを阻止する。外側リング半体４４及び５０の整合した端面間のスプラインシール５４は、蒸気流路からの蒸気の半径方向外向きの流れをシールする。

さらに、内側及び外側リング半体の端面の各々は、別のスロット６０（図３参照）を有し、該スロット６０は、ほぼ半径方向に延びかつ反対側端面の対向するスロット６０と整合している。スプラインシール６２は、整合するスロット内に挿入されてダイアフラムセグメントを通り抜ける蒸気の軸方向の流れを全体的にシールする。外側リング半体４４及び５０の整合した端面におけるスロット内に配置された整合するスロット６９とスプラインシール６６との付加的な設置は、バケット先端の半径方向外側に配置されて、流路からの蒸気の半径方向流出流を防止する。

各スプラインシールは、先に指摘したように、図３に示すような平坦な金属板を含むことができる。それに代えて、スプラインシールの別の形態を示す図４を参照すると、スプラインシール７０は、シールの対向する端縁部又は端部に沿ってスロットの底面に隣接して配置される拡大部７４を有するシール本体７２を含むことができる。従って、シール本体７２の中央部分７６は、溝の幅と比べて小さい深さ寸法を有する。拡大部７４は、スプラインシールを拘束し又は損傷することなく、例えばダイアフラムセグメント３４及び３６のようなセグメントの相対運動を容易にする。また、スプラインシール７０及びスロット端部の僅かな変位が許される。このようなスプラインシールは、同一出願人の米国特許第５６２４２２７号に開示された形式とすることができ、この特許の開示内容は参考文献として本明細書に組み入れられる。

ここで図５を参照すると、スプラインシールの別の形態が示されている。図５のスプラインシール８０は、シール本体８２を有する金属薄板材料で形成され、対向する端部を符号８４において逆方向に湾曲又は屈曲させてスプラインシールの両側面に沿った拡大部８６を形成することができる。逆方向に湾曲させた部分の端縁部８８は、シール本体８２の中央部分に面する。拡大部８６は、図４のスプラインシール７０の拡大部７２と同様に、スロットの底面に隣接して配置される。この形式のスプラインシールもまた、上で引用した特許に開示されている。

図６には、金属で形成されかつクロス９４のオーバーレイをもつ中央コア９２を有するスプラインシール９０が示される。クロス層は、織られて繊維層を形成する金属、セラミック及び／又はポリマー繊維を含むことができる。上に位置するクロスは、同一出願人の米国特許第５９３４６８７号に開示された形式とすることができ、この特許の開示内容は参考文献として本明細書に組み入れられる。

以上の説明から、スプラインシールは、水平継手又は中央線継手位置における上部及び下部半環状ダイアフラムセグメント間の間隙内に配置されることが分かるであろう。スプラインシールは、半径方向及び軸方向に間隙を通り抜ける蒸気漏洩流を最少にするか又は阻止して、機械性能を向上させることになる。

現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関して本発明を説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されるものではなく、また、特許請求の範囲に記載された符号は、理解容易のためであってなんら発明の技術的範囲を実施例に限縮するものではない。

高圧及び中圧タービンの概略図。 その水平中央線継手位置においてほぼタービン付近で取った、ダイアフラムセグメントの端面、ロータの部分及び外側シェルを示す部分断面図。 説明の目的でセグメント間の継手を非常に誇張した状態での、ダイアフラムセグメント間のスプラインシールの部分概略図。 スプラインシールの別の形態の部分断面図。 Ｑ字形先端のスプラインシールの概略図。 金属クロスで被覆したスプラインシールの拡大部分断面図。

符号の説明

１６ ロータ
１８ ケーシング
２０ バケット
２２ カバープレート
２４ バケット先端
２６ ダイアフラム組立体
２８ 隔壁
３０ 蒸気流れ方向矢印
３２ ロータの回転軸線
３４ 上部ダイアフラムセグメント
３６ 下部ダイアフラムセグメント
４２、４８ 内側リング
４４、５０ 外側リング
５４、６６ スプラインシール

Claims (11)

1. 複数の円周方向に間隔を置いて配置されたバケット（２０）を支持するロータ（１６）と、
   タービンの水平継手に隣接して互いに整合した端面（４３、４５、４９、５１）を有する上部及び下部ダイアフラムセグメント（３４、３６）を備えた、前記ロータを囲むダイアフラム組立体（２６）と、を含み、
   前記セグメントの各々が、その間に複数の円周方向に間隔を置いて配置された隔壁（２８）を支持するほぼ半環状の外側及び内側リング（４２、４８、４４、５０）を含み、前記バケット（２０）及び隔壁（２８）が蒸気タービンの段を形成し、
   各水平継手位置における前記内側及び外側半環状リングのうちの１つの整合した端面が、該端面内にかつ互いにほぼ円周方向に整合して開口するスロット（５６、６０）を有し、
   前記円周方向に隣接するセグメントの各対向する端面間で延びるスプラインシール（５４、７０、８０、９０、６２）を前記スロット内に配置して、前記整合した端面を通り抜ける蒸気漏洩流を最少にするか又は阻止する、
   蒸気タービン。
2. 前記スプラインシール（５４、７０、８０、９０、６２）の各々が、ほぼ半径方向の蒸気漏洩流をシールするようにほぼ軸方向かつ円周方向に延びている、請求項１記載の蒸気タービン。
3. 前記スプラインシール（６０）の各々が、ほぼ軸方向の蒸気漏洩流をシールするようにほぼ半径方向かつ円周方向に延びている、請求項１記載の蒸気タービン。
4. 前記スプラインシール（９０）の各々が、その両側面に沿ってかつその少なくとも一対の対向する端縁部の周りで該スプラインシールを取り囲むクロス（９４）を含む、請求項１記載の蒸気タービン。
5. 前記スプラインシール（７０、８０）の各々が、両端縁部に沿った拡大部（７４、８４）を有しかつ該拡大部がそれぞれ前記スロットの底面に隣接した状態で該スロット内に受けられたシール本体（７２、８２）を含む、請求項１記載の蒸気タービン。
6. 各水平継手位置における前記内側及び外側半環状リングのうちの別の１つの整合した端面が、該端面内にかつ互いにほぼ円周方向に整合して開口するスロット（５６、６０）を有し、スプラインシール（５４、７０、８０、９０、６２）が、前記円周方向に隣接するセグメントの各対向する端面間で前記内側及び外側半環状リングのうちの別の１つの前記端面のスロット内で延びて、前記整合した端面を通り抜ける蒸気漏洩流を最少にするか又は阻止する、請求項１記載の蒸気タービン。
7. 各前記スプラインシール（５４、７０、８０、９０）が、ほぼ半径方向の蒸気漏洩流をシールするようにほぼ軸方向かつ円周方向に延びている、請求項６記載の蒸気タービン。
8. 各前記スプラインシール（６２、７０、８０、９０）が、ほぼ軸方向の蒸気漏洩流をシールするようにほぼ半径方向かつ円周方向に延びている、請求項６記載の蒸気タービン。
9. 複数の円周方向に間隔を置いて配置されたバケット（２０）を支持するロータ（１６）と、
   タービンの水平継手に隣接して互いに整合した端面（４３、４５、４９、５１）を有する上部及び下部ダイアフラムセグメント（３４、３６）を備えた、前記ロータを囲むダイアフラム組立体（２６）と、を含み、
   前記セグメントの各々が、その間に複数の円周方向に間隔を置いて配置された隔壁（２８）を支持するほぼ半環状の外側及び内側リング（４２、４８、４４、５０）を含み、前記バケット（２０）及び隔壁（２８）が蒸気タービン段を形成し、
   各水平継手位置における前記内側及び外側半環状リングの整合した端面が、該端面内にかつ互いにほぼ円周方向に整合して開口するスロット（５６、６０）を有し、
   第１のスプラインシール（５４、６２）が、前記円周方向に隣接する内側リングの各対向する端面間でかつ該端面のスロット内で延び、
   第２のスプラインシール（５４、６２）が、前記円周方向に隣接する外側リングの各対向する端面間でかつ前記スロット内で延び、
   それによって前記整合した端面を通り抜ける蒸気漏洩流を最少にするか又は阻止する、
   蒸気タービン。
10. 前記第１及び第２のスプラインシールの各々が、ほぼ半径方向の蒸気漏洩流をシールするようにほぼ軸方向かつ円周方向に延びている、請求項９記載の蒸気タービン。
11. 前記第１及び第２のスプラインシールの各々が、ほぼ軸方向の蒸気漏洩流をシールするようにほぼ半径方向かつ円周方向に延びている、請求項９記載の蒸気タービン。

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