JP3998739B2 - 化粧材及びその製造方法 - Google Patents

化粧材及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建造物の内装材をはじめ、家具や各種家電製品のキャビネット等の表面化粧等に利用される化粧材及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、熱硬化性樹脂化粧板の性能に匹敵する表面物性等を具備し、該熱硬化性樹脂化粧板の代替が可能な化粧材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面化粧に使用される化粧材には、例えば、基材にポリ塩化ビニルフィルムを用いたポリ塩化ビニル化粧材があり、この化粧材によれば接着剤を用いて基板へ貼着するだけで容易に化粧板を製造できるが、表面硬度、耐溶剤性、耐熱性等の表面物性が劣る。
【0003】
これに対して、チタン紙や薄葉紙等に印刷した化粧材を用いる、高圧メラミン化粧板、低圧メラミン化粧板、ジアリルフタレート化粧板等の熱硬化性樹脂化粧板、あるいはポリエステル樹脂化粧板等は、表面硬度、耐溶剤性、耐熱性等の表面物性が優れているが、製造工程に熱プレス成形が必要で、製造に高熱、長時間を要し、生産効率が悪い。
【0004】
そこで、熱硬化性樹脂化粧板やポリエステル樹脂化粧板と同等の優れた表面物性を有し、且つ基材に貼着するだけで容易に化粧板を製造できる化粧材として、例えば、本出願人による特公平1−55991号公報等では、印刷が施された化粧紙用原紙に電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を含浸させた化粧紙を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の熱硬化性樹脂化粧板では、熱プレス時に表面に導管溝に相当する凹部を賦形して、より高意匠の化粧板とすることもできるが、化粧紙用原紙に電離放射線硬化性樹脂を含浸させた化粧紙では、表面の電離放射線硬化性樹脂からなる層は塗工後すぐに硬化させてしまうので、表面凹部までは形成できず、意匠表現に限界がある。また、塗工する電離放射線硬化性樹脂の組成物には化粧紙用原紙への含浸適性を考慮する必要があり、化粧紙用原紙の上に層をなして所望の表面物性を発現するに最適な組成とは相反する場合もある。
そこで、本発明の化粧材及びその製造方法の目的は、従来の熱硬化性樹脂化粧板やポリエステル樹脂化粧板の高性能の表面物性及び表面賦形による高意匠感の付与が可能で、且つ製造も容易で、熱硬化性化粧板の代替製品となり得る、化粧材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の化粧材は、化粧紙用原紙の上に、絵柄層、加熱溶融液から形成されて成る第1の電離放射線硬化性樹脂、その上に加熱溶融液から形成されて成る第2の電離放射線硬化性樹脂を積層した構成とすることで、第1の電離放射線硬化性樹脂は化粧紙用原紙への塗工適性や含浸適性あるいは化粧材の機械的物性、第2の電離放射線硬化性樹脂は表面物性と、機能分離して設定できる結果、優れた表面物性等を発現できる。また、電離放射線硬化性樹脂を2層に積層するので、厚手のオーバーコート層が可能である。また、化粧紙用原紙が、その内部に進入した第1の電離放射線硬化性樹脂を含有するものとすることで、原紙繊維間がこの樹脂で充填され剥離強度の強い化粧材となる。また、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を、未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状のものとすることで、硬化前の熱可塑状態を利用して表面層にエンボスで凹部形成ができる上、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂のオフライン塗工もできる。また、第2の電離放射線硬化性樹脂中に微粒子を含有した構成とすることで、耐磨耗性等の表面物性の向上がなされる。また、第2の電離放射線硬化性樹脂からなる層の表面に、凹部と該凹部の内部に着色層を有するものとすることで、高意匠感が表現できる。着色層は電離放射線硬化性樹脂を主成分とすることで、表面物性に優れた化粧材にできる。
【0007】
一方、本発明の化粧材の製造方法は、絵柄層が施された化粧紙用原紙に、第1の電離放射線硬化性樹脂の加熱溶融液を含浸又は塗布し、該第1の電離放射線硬化性樹脂からなる層の表面に、第2の電離放射線硬化性樹脂の加熱溶融液を塗布した後、電離放射線を照射して、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を硬化させるようにした製造方法である。
【0008】
また、他の本発明の化粧材の製造方法は、絵柄層が施された化粧紙用原紙に、未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状である第1の電離放射線硬化性樹脂の加熱溶融液を含浸又は塗布し、該第1の電離放射線硬化性樹脂からなる層の表面に、未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状である第2の電離放射線硬化性樹脂の加熱溶融液を塗布した後、第2の電離放射線硬化性樹脂からなる層の表面に凹部を形成した後、電離放射線を照射して第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を同時に硬化させ、次いで、前記凹部内にワイピング法により着色層を設けた後、電離放射線を照射して着色層を硬化させるようにした。この結果、熱硬化が不要で、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を同時に硬化させる上、電離放射線による硬化としたために短時間に且つ容易に化粧材が製造され得る。電離放射線硬化性樹脂を二回に分けて塗工する為に、表面物性は第2の電離放射線硬化性樹脂で、化粧紙用原紙への塗工適性や含浸適性、化粧材の可撓性等の機械的適性は第1の電離放射線硬化性樹脂でと機能分離した仕様設計、製造がなされ得る。また、未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状の、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を使用するので、硬化前の熱可塑状態を利用して表面の層にエンボスで凹部形成ができる上、硬化後は優れた表面物性を与え得る製造方法となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化粧材及びその製造方法について詳述する。
【0010】
図1は、本発明の化粧材の一実施例を示す縦断面図である。同図で化粧材1は、化粧紙用原紙2の上に、絵柄層3が形成され、その上から第1の電離放射線硬化性樹脂4、第2の電離放射線硬化性樹脂5を積層し、さらに、第2の電離放射線硬化性樹脂5からなる層の表面には凹部6を有し、凹部6の内部には着色層7を有する構成の化粧材である。そして、同図では、化粧紙用原紙2は第1の電離放射線硬化性樹脂によりほぼ完全に含浸され、化粧紙用原紙2の内部ほぼ全域に第1の電離放射線硬化性樹脂4が浸透しているが、その一部は絵柄層及び化粧紙用原紙の上に残留しており、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を積層した後、電離放射線を照射して硬化させたものである。
【0011】
また、図2は、図1の構成において、第1の電離放射線硬化性樹脂が化粧紙用原紙2の内部の一部に含浸した構成の、本発明の化粧材の他の実施例を示す縦断面図である。
【0012】
化粧紙用原紙2としては、化粧紙に通常用いられ原紙であり、例えば、薄葉紙、紙間強化紙、上質紙、和紙、不織布、クラフト紙等が用いられる。
【0013】
絵柄層3は、化粧紙に通常使用される、ビヒクルの樹脂成分としてニトロセロース系樹脂や、さらにアルキッド樹脂等を混合した混合樹脂を用いた印刷インキを用いてグラビア印刷等の公知の印刷手段により形成する。
【0014】
第1の電離放射線硬化性樹脂4、及び第2の電離放射線硬化性樹脂5としては、紫外線又は電子線等の電離放射線で硬化する、公知の電離放射線硬化性樹脂を使用できる。但し、特に、化粧材の表面に凹部を有する構成では、凹部を賦形時にエンボスロール等の賦形型に付着残留しないように、電離放射線硬化性樹脂は未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状であることが望ましい。また、化粧紙用原紙に含浸させる場合には、第1の電離放射線硬化性樹脂は、少なくとも含浸時には、加熱や溶剤希釈等により、原紙内部に含浸できる程度に低粘度であることが必要である。
【0015】
未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状である電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート等で、分子量を調整することで、常温で固体、非粘着とした熱可塑性のプレポリマーが挙げられる。また、以下の化合物▲1▼〜▲8▼を重合又は共重合させたものに対して後述する方法(a) 〜(d) によりラジカル重合性不飽和基を導入した、ガラス転移温度が0〜250℃のポリマー中にラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーが挙げられる。
【0016】
▲1▼N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基を有する単量体、▲2▼(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体、▲3▼グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する単量体、▲4▼2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート等のアジリジニル基を有する単量体、▲5▼(メタ)アクリルアミド等のアミノ基を有する単量体、▲6▼2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン基を有する単量体、▲7▼2,4−トルエンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの1モル対1モルの付加物等のジイソシアネートと活性水素を有するラジカル重合性単量体との付加物等のイソシアネート基を有する単量体、▲8▼メチル(メタ)アクリレート等の上記▲1▼〜▲7▼の単量体と共重合可能で上記▲1▼〜▲7▼以外の単量体(上記▲1▼〜▲7▼の単量体から得られる重合体又は共重合体のガラス転移点や、硬化後の電離放射線硬化性樹脂の表面物性等を調整するための共重合成分として使用)。
【0017】
次に、上述のようにして得られた重合体又は共重合体を、以下の方法(a) 〜(d) により反応させてラジカル重合性不飽和基を導入する。 (a)水酸基を有する単量体の重合体又は共重合体の場合には、前述▲2▼のカルボキシル基を有する単量体を縮合反応させる。 (b)カルボキシル基又はスルホン基を有する単量体の重合体又は共重合体の場合には、前述の▲1▼の水酸基を有する単量体を縮合反応させる。 (c)エポキシ基、イソシアネート基又はアジリジニル基を有する単量体の重合体又は共重合体の場合には、前述▲1▼の水酸基又は▲2▼のカルボキシル基を有する単量体を付加反応させる。 (d)水酸基又はカルボキシル基を有する単量体の重合体又は共重合体の場合には、前述▲3▼のエポキシ基又は▲4▼のアジニリジニル基を有する単量体、あるいは、▲7▼のジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステル単量体の1対1モル付加物等の、イソシアネート基を有する単量体を付加反応させる。
【0018】
或いは、例えば、ステアリル(メタ)アクリレート、トリアクリルイシソアヌレート、シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、スピログリコールジアクリレート、スピログリコール(メタ)アクリレート等の融点が20〜250℃である単量体が挙げられる。
【0019】
また、以上のものを混合して用いることもでき、さらに、それらに対して、他のラジカル重合性単量体を加えて使用することもできる。また、硬化物の可撓性、非粘着性、溶剤溶液とした場合の溶剤乾燥性等を適宜調整するために、非架橋型の熱可塑性樹脂を添加してもよい。
【0020】
上記の電離放射線硬化性樹脂は電子線により十分に硬化可能であるが、紫外線照射で硬化させる場合には、ベンゾフェノン等のチオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル、ハロゲン化アセトフェノン等のアセトフェノン類、ジアセチル類等の紫外線照射によりラジカルを発生する公知の光重合開始剤を、さらに必要に応じて、n−ブチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、トリ−n−ブチルホスフィン等の公知の光増感剤を用いることができる。また、ハイドロキノン等の公知の重合禁止剤を添加して、塗工前の重合により粘度上昇して含浸適性が低下するのを防止することもできる。
【0021】
また、可撓性を調整するために、あるいは未硬化状態での非粘着性を調整するために、電離放射線非硬化性樹脂である非架橋型の熱可塑性樹脂として、例えば、例えば、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等を適宜添加してもよい。
【0022】
なお、上記電離放射線硬化性樹脂は、必要に応じ公知の色材を添加して着色してもよい。
【0023】
化粧紙用原紙に、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を施すには、上記の電離放射線硬化性樹脂を適宜な方法により、例えば溶剤で希釈した塗液としたり、加熱して溶融液として、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアナイフコート、キスコート、スムーズコート、コンマコート等の公知の塗工手段によって塗工すればよい。
なお、電離放射線硬化性樹脂の塗工量は、通常、第1の電離放射線硬化性樹脂で、10〜100g/m2 程度(化粧紙用原紙への含浸分も含む)、第2の電離放射線硬化性樹脂で5〜30g/m2 程度である。
【0024】
また、化粧紙用原紙内部への第1の電離放射線硬化性樹脂の含浸度合は、原紙の透気度、電離放射線硬化性樹脂の塗工液の粘度、塗工液を加温する場合はその温度と冷却までの時間、塗工から電離放射線を照射して硬化させるまでの時間等によって、適宜調整して、化粧紙用原紙の内部全域とするか一部分とするかを制御する。
【0025】
また、第2の電離放射線硬化性樹脂は、化粧材の最外層となる層を形成するので、当該樹脂中には、必要に応じて適宜、耐磨耗性、耐擦傷性等の表面物性を向上させたり、表面の艶を調整するために、微粒子を添加してもよい。このような微粒子としては、例えば、耐摩耗性を向上するための、シリカ、アルミナ等の無機微粒子が挙げられる。
【0026】
以上の化粧紙用原紙、絵柄層、第1の電離放射線硬化性樹脂、第2の電離放射線硬化性樹脂によって得られる化粧材が、本発明の化粧材の基本構成であり、当基本構成の化粧材の場合は、化粧紙用原紙に、絵柄層、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を施した後、電離放射線を照射して第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を同時に硬化させることで得られる。
【0027】
そして、化粧材の表面に木目導管柄等を表現する凹部を設ける場合は、電離放射線を照射する前に、エンボスロール等の賦形手段により、最外層となる第2の電離放射線硬化性樹脂からなる層の表面に凹部を形成し、その後で、電離放射線を照射する。電離放射線硬化性樹脂を未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状としておけば、電離放射線で硬化前であってもタックフリーとなり、機械取扱が可能であり、またエンボスロールの押し圧によって熱変形して(必要に応じて樹脂が柔軟になり所望のエンボス適性を発現する温度まで適宜加温する)、表面に凹部を形成することができる。
【0028】
表面の凹部はそのままでも表面の具体的な立体模様にて、意匠感を表現できるが、該凹部内に、例えば暗色の艶消しインキで着色層を形成することで、木目導管柄を極めてリアルに表現することができる。着色層は、通常の熱硬化性、2液反応型等のインキによりワイピング加工により形成することもできるが、該インキとして、そのビヒクルの樹脂成分に紫外線又は電子線によって硬化する電離放射線硬化性樹脂を主成分とするインキを用いれば、下層の第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂と相まって、より優れた表面物性を有する化粧材とすることができる。
【0029】
このような、電離放射線硬化性樹脂を主成分とするインキには、前述した未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状となる電離放射線硬化性樹脂を溶剤に希釈したものや、あるいは、未硬化状態において常温で液状の電離放射線硬化性樹脂ならば溶剤希釈せずそのまま用いることもできる。このような、樹脂成分からなるビヒクルには、公知の色材、艶消し剤、分散剤等も添加できる。
【0030】
なお、ワイピング加工による表面凹部内への着色層の形成は、第2の電離放射線硬化性樹脂を未硬化の状態で行っても不可能ではないが、軟質となるために、硬化後の方がワイピング加工がし易い。
【0031】
かくして、電離放射線硬化性樹脂を巧みに使用した、本発明の化粧材を得ることができる。
【0032】
そして、この化粧材を、例えば、パーティクルボード、ファィバーボード、合板等の木質系基材の表面に、酢酸ビニル系樹脂等の公知の木質用接着剤を介して接着することで、優れた表面物性、意匠感を有する化粧板が、熱プレス法等の高温長時間を要することなく、短時間に生産効率よく製造することができる。もちろん、用途によっては、熱プレス法によって化粧板を製造しても構わない。
【0033】
なお、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂、並びに電離放射線硬化性樹脂を主成分とする着色剤の硬化には、紫外線や電子線等の電離放射線を通常は塗工面側から照射して行う。例えば、紫外線としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、クセノンアーク、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源による紫外線が、また、電子線としては、コッククロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種の電子線加速器による50〜1000keV、好ましくは、100〜300keVの範囲のエネルギーを有する電子線が用いられる。また、線状フィラメントからカーテン状に連続して照射される電子線を利用すれば、連続的な硬化ができる。
【0034】
【実施例】
次に、実施により本発明を更に具体的に説明する。
【0035】
《実施例》
化粧紙用原紙として、坪量50g/m2 の薄葉紙の片面に、木目模様の絵柄層をグラビア印刷で形成した。次に、第1の電離放射線硬化性樹脂として、下記の組成物を100℃に加熱して溶融液として、絵柄層の上から化粧紙用原紙にロールコータにて50g/m2 塗工し、化粧紙用原紙に含浸させた。そして、さらにその上から、第2の電離放射線硬化性樹脂として、下記の組成物を100℃に加熱して溶融液としてロールコータにて20g/m2 塗工した後、冷風を吹きつけ冷却してタックフリーにした後、エンボスロールにて木目の導管模様をエンボスした。次いで、電子線を5Mrad照射して、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を同時に硬化させた。次に、エンボスで形成された表面の凹部に、下記組成の電離放射線硬化性樹脂をビヒクルの主成分としてこれに色材を加えたワイピングインキをナイフコータにてワイピング加工した後、電子線を5Mrad照射して、凹部内に形成された着色層を硬化させた。
【0036】
第1の電離放射線硬化性樹脂用の組成物
アクリレート系オリゴマー
(100℃の粘度50cps以下) 100重量部
【0037】
第2の電離放射線硬化性樹脂用の組成物
アクリレート系オリゴマー 100重量部
(100℃の粘度500cps以下)
充填材:アルミナ微粒子(平均粒径15μm) 30重量部
【0038】
ワイピングインキのビヒクルの主成分
多官能アクリレート系モノマー及びオリゴマー 100重量部
艶消材:シリカ微粒子(平均粒径5μm) 10重量部
【0039】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明の化粧材によれば、第1の電離放射線硬化性樹脂は化粧紙用原紙への塗工適性や含浸適性あるいは化粧材の可撓性等の機械的適性、第2の電離放射線硬化性樹脂は表面物性と、機能を分離して設けることができるので、自由な表面物性の設計が可能となり、従来の熱硬化性樹脂化粧板やポリエステル樹脂化粧板に匹敵する、表面硬度、耐溶剤性、耐熱性等の優れた表面物性を有する化粧材が得られる。また、電離放射線硬化性樹脂を2層に積層するので、厚手のオーバーコート層が得られ、豊かな塗装感を表現できる。そして、この化粧材では、パーティクルボード等の化粧基材に、熱プレス法によらずに接着剤で貼着するのみで、優れた性能の化粧板が得られる。
【0040】
また、第1の電離放射線硬化性樹脂を化粧紙用原紙の含浸させることで、化粧材を基材に貼着した後に、化粧紙用原紙の部分で凝集剥離を起こしにくく、剥離強度の強い表面化粧が得られる。
また、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を、未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状とするので、これらの樹脂の硬化前に、化粧材の最外層となる第2の電離放射線硬化性樹脂からなる層の表面に、エンボスにより、導管溝等の凹部を賦形することができ、表面の立体的な意匠表現も可能となる。しかも、塗工後に、塗工面がウェットでないために、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂をインラインで連続して塗工する必要がなく、製造装置上、工程管理上等の点で、より自由な製造が可能となる。
【0041】
また、第2の電離放射線硬化性樹脂に微粒子を含有させれば、耐磨耗性等の表面物性をより向上でき、一種類の電離放射線硬化性樹脂の塗工では、微粒子含有による、化粧紙用原紙への含浸適性への影響も考慮する必要があるが、二種類の電離放射線硬化性樹脂を使用することで、より優れた表面物性が得られる。
また、最外層の表面に形成した凹部に、着色層を施せば、導管溝等のよりリアルな意匠表現が可能となる。
【0042】
そして、本発明の化粧材の製造方法によれば、上述するような優れた表面物性及び意匠性を有する化粧材を短時間に且つ容易に製造でき、生産効率が良い。
しかも、電離放射線硬化性樹脂からなる層による優れた表面物性と、表面賦形による高意匠感とを有する化粧材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材の一実施例の縦断面図。
【図2】本発明の化粧材の他の実施例の縦断面図。
【符号の説明】
1 化粧材
2 化粧紙用原紙
3 絵柄層
4 第1の電離放射線硬化性樹脂
5 第2の電離放射線硬化性樹脂
6 凹部
7 着色層

Claims (8)

  1. 化粧紙用原紙の上に、絵柄層、加熱溶融液から形成されて成る第1の電離放射線硬化性樹脂、その上に加熱溶融液から形成されて成る第2の電離放射線硬化性樹脂を積層したことを特徴とする化粧材。
  2. 化粧紙用原紙が、その内部に第1の電離放射線硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の化粧紙。
  3. 第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂が、未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状であることを特徴とする請求項1又は2記載の化粧材。
  4. 第2の電離放射線硬化性樹脂中に微粒子を含有することを特徴とする請求項1,2又は3記載の化粧材。
  5. 第2の電離放射線硬化性樹脂からなる層の表面に、凹部と該凹部の内部に着色層を有することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の化粧材。
  6. 着色層が電離放射線硬化性樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項5記載の化粧材。
  7. 絵柄層が施された化粧紙用原紙に、第1の電離放射線硬化性樹脂の加熱溶融液を含浸又は塗布し、該第1の電離放射線硬化性樹脂からなる層の表面に、第2の電離放射線硬化性樹脂の加熱溶融液を塗布した後、電離放射線を照射して、第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする化粧材の製造方法。
  8. 絵柄層が施された化粧紙用原紙に、未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状である第1の電離放射線硬化性樹脂の加熱溶融液を含浸又は塗布し、該第1の電離放射線硬化性樹脂からなる層の表面に、未硬化状態において常温で非粘着性且つ固体状である第2の電離放射線硬化性樹脂の加熱溶融液を塗布した後、第2の電離放射線硬化性樹脂からなる層の表面に凹部を形成した後、電離放射線を照射して第1及び第2の電離放射線硬化性樹脂を同時に硬化させ、次いで、前記凹部内にワイピング法により着色層を設けた後、電離放射線を照射して着色層を硬化させることを特徴とする化粧材の製造方法。
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