JP3996473B2 - ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法および製造装置 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と略す)多孔質膜の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在知られているPTFE多孔質膜の製造方法では、PTFEファインパウダーに種々の液状潤滑剤を配合し、押し出し成形・圧延を行い、液状潤滑剤を除去し、その後に延伸が行われる。延伸工程では、一般には逐次2軸延伸が用いられる。膜の孔径は、圧延方向(Machine Direction、以後、「MD方向」と略す)への延伸時に形成されるフィブリルの長さによって決まると考えられている。このため、MD方向への延伸時の条件は、得られる膜の特性に大きな影響を与える。PTFEのMD方向への延伸方法としてよく知られたものに、ゾーン延伸法および熱ロール延伸法がある。
【0003】
図10に示すように、ゾーン延伸法では、オーブン66内の高温雰囲気に曝して加熱しながらPTFEシート51を延伸する。ロール61,62から下流側のロール63,64へと繰り出されたPTFEシート51は、オーブン内の延伸領域65において徐々に多孔化され、PTFE多孔質膜52となる。しかし、徐々に加熱しながら延伸するゾーン延伸法では、延伸領域65の長さL’が長くなり、延伸により生じるネッキングが大きくなる。このため、延伸が不均一となって孔径のバラツキが大きくなり、その結果、通気度や圧力損失のバラツキも大きくなる。なお、ゾーン延伸法では、加熱源として、熱風循環式の電気ヒーターやガスバーナーなどが用いられる。
【0004】
図11に示すように、熱ロール延伸法では、高温に保持されたロール72によりPTFEシート51が加熱される。この方法では、ロール72近傍の延伸領域75においてPTFEシート51が延伸される。熱ロール延伸法を用いれば、オーブンが不要となるため、PTFEシート51を繰り出すロール71,72とPTFE多孔質膜52を巻き取るロール73,74との間隔を短縮してネッキングを緩和できる。しかし、延伸開始位置が変動しやすいため、延伸が不均一になって孔径のバラツキが大きくなる。
【0005】
特公昭58−25332号公報には、延伸と焼成とを同時に行うPTFE多孔質膜の製造方法が開示されている。この方法では、PTFEの融点(327℃)以上に保持された加熱ゾーンでPTFEシートが延伸される。延伸と同時に焼成して得たPTFE多孔質膜は、高い強度を有するが、フィブリル同士の融着が進行して孔径が拡大するため、耐水性に劣る。また、延伸と同時に焼成すると、幅方向についてのPTFE多孔質膜の変化が著しくなり、製品の取り幅が小さくなる。特公昭58−25332号公報に記載の方法は、ゾーン延伸法が抱える孔径のバラツキが大きいという問題を解決するものでもない。
【0006】
【特許文献1】
特公昭58−25332号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
PTFE多孔質膜は、半導体工業や薬品工業のクリーンルームで使用されるエアフィルタの濾材として、価粉体の回収や焼却炉の粉塵の捕集に用いられるバグフィルタの濾材として、さらには電気製品などの内圧調整用の穴からの水分の浸入を防止するための膜などとして、幅広く利用されている。
【0008】
例えば、半導体製造のクリーンルームに用いられるエアフィルタでは、エアフィルタの風量分布の均一性が重視される。風量分布が不均一になれば、クリーンルーム中の気流が乱れて空気溜りが生じ、その結果、半導体製造の歩留低下の原因となるガス濃度が局所的に上昇するからである。また例えば、内圧調整用のフィルムとしては、耐水性と通気性とが一般にトレードオフの関係にあるにもかかわらず、これら両特性に優れた膜が求められている。
【0009】
しかし、現在製造されているPTFE多孔質膜には、上記で説明したように、延伸方法に起因する回避しがたい孔径のバラツキが存在し、エアフィルタとして用いたときの風量分布の均一性を損なっている。
【0010】
また、通気性を確保しつつ優れた耐水性を得るためには、気孔率を高く平均孔径を小さくする必要があるが、上記従来の方法では、気孔率を維持しながら平均孔径を小さくすることが困難であった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、離間して配置した一対のロールの一方の側から他方の側へと繰り出したPTFEシートを、この一対のロール間でPTFEシートを横切るように設定した帯状領域を加熱することとした。本発明によるPTFE多孔質膜の第1の製造方法では、PTFEシートを、離間して配置した一対のロールの一方の側から他方の側へと繰り出しながら延伸することにより、連続して多孔化するに際し、一対のロールの間でPTFEシートを横切るように設定された帯状領域においてPTFEシートを加熱しながら、PTFEシートを延伸する。
【0012】
上記製造方法では、PTFEシートの移送方向について、帯状領域が1mm以上100mm以下の長さを有する。従来のゾーン延伸法では、延伸のためには、実用上約500mm以上にわたってPTFEシートを加熱する必要があった。
【0013】
長さが制限された帯状領域で延伸すると、PTFE多孔質膜の孔径のバラツキを抑制できる。また、気孔率を維持しながら平均孔径が小さいPTFE多孔質膜を得ることが容易となる。
【0014】
上記製造方法では、延伸が開始される位置から、PTFEシートの移送方向について下流側に配置されたロールと延伸されたPTFEシートとが接触する位置までの距離を50cm以下とすることが好ましい。
【0015】
延伸開始位置から下流側までの距離が短いと、孔径のバラツキの原因となるネッキングを抑制できる。ネッキングの抑制は、気孔率を維持しながら平均孔径が小さいPTFE多孔質膜を得る上でも有利である。
【0016】
本発明によるPTFE多孔質膜の第2の製造方法では、PTFEシートを、離間して配置した一対のロールの一方の側から他方の側へと繰り出しながら延伸することにより、連続して多孔化するに際し、n組の一対のロールを準備し、n組の一対のロールの間においてそれぞれPTFEシートを横切るように設定されたn個の帯状領域を加熱しながら、n組の一対のロールの間においてPTFEシートを順次延伸する。
【0017】
延伸工程を複数回に分けて実施すると、延伸1回あたりの延伸倍率を制限しながら所望の延伸倍率を有するPTFE多孔質膜を得ることができる。したがって、孔径のバラツキがより抑制され、気孔率を維持しながら平均孔径が小さいPTFE多孔質膜が得やすくなる。
【0018】
本発明によるPTFE多孔質膜の第1の製造装置は、離間して配置した一対のロールと、この一対のロールの間でPTFEシートが延伸可能となるようにPTFEシートを加熱する加熱手段とを備え、この加熱手段として、一対のロールの間でPTFEシートとの間隔が0.1mm以上100mm以下となるように、赤外線ヒーターが配置されている。
【0019】
この製造装置を用いれば、PTFEシートを長さが制限された帯状領域において延伸できる。こうして、孔径のバラツキが抑制されたPTFE多孔質膜、気孔率が高く平均孔径が小さいPTFE多孔質膜を得ることができる。
【0020】
本発明によるPTFE多孔質膜の第2の製造装置は、離間して配置したn組の一対のロールと、n組の一対のロールの間でPTFEシートがそれぞれ延伸可能となるようにPTFEシートを加熱するn個の加熱手段とを備え、少なくとも、PTFEシートの延伸が開始される最初の一対のロールの間でPTFEシートを加熱する加熱手段として、赤外線ヒーターが配置されている。
【0021】
この製造装置を用いれば、延伸工程を複数回に分けて実施できる。また、とりわけ重要な最初の延伸工程において、局所的な加熱に適した赤外線ヒーターを用いてPTFEシートを延伸できる。
【0022】
以上のように、本発明では、熱ロール延伸法のようにロールに接したPTFEシートを加熱するのではなく、ロール間の帯状領域においてPTFEシートが加熱される。このため、延伸開始位置が変動しにくくなる。なお、本発明の上記各方法または各装置の特徴は、適宜、組み合わせて用いてもよい。例えば、延伸工程を複数回に分けて実施する場合であっても、そのいずれかの延伸工程において、帯状領域の長さ、延伸開始位置から下流側ロールまでの距離を上記のように設定すると、さらに良好な特性のPTFE多孔質膜を得ることができる。
【0023】
本発明によれば、互いに測定箇所が重複しないように測定数を20として測定した圧力損失の平均値が5〜100mmH2Oであって、その変動率が1.0〜5.0%であるPTFE多孔質膜を提供することもできる。
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法では、PTFEシートの延伸倍率を、好ましくは1.05〜50倍、より好ましくは1.2倍以上とするとよい。ただし、延伸倍率が高すぎると、膜の耐水性が低下することがあるため、耐水性が求められる用途では、延伸倍率を、例えば5倍以下程度に制限することが好ましい。複数回に分けてPTFEシートを延伸する場合には、全延伸倍率を1.05〜50倍、より好ましくは1.2倍以上とするとよい。
【0024】
本発明の製造方法では、帯状領域のPTFEシートをPTFEの融点未満の温度に加熱しながら延伸することが好ましい。PTFEシートを焼成する場合には、延伸したPTFE多孔質膜をさらに繰り出し、PTFEの融点以上に加熱して連続して焼成するとよい。複数回に分けてPTFEシートを延伸する場合には、少なくとも最初の帯状領域のPTFEシートをPTFEの融点未満の温度に加熱し、少なくとも最後の帯状領域のPTFEシートをPTFEの融点以上の温度に加熱することが好ましい。複数回(n回)に分けてPTFEシートを延伸する場合であっても、そのすべての延伸工程において、PTFEシートをPTFEの融点未満の温度に加熱して延伸してもよい。
【0025】
本発明では、長さが限られた帯状領域においてPTFEシートを延伸するために、赤外線ヒーターから放射される赤外線を帯状領域に照射しながらPTFEシートを延伸することが好ましい。赤外線ヒーターは、PTFEシートとの間隔が0.1mm以上100mm以下となるように配置するとよい。赤外線ヒーターから放射されるエネルギーが最大となる波長(最大エネルギー波長)は1μm以上4μm以下が好適である。PTFEシートの熱吸収効率が高くなるからである。
【0026】
本発明の製造方法では、一対のロールの少なくとも一方を加熱または冷却しながら延伸してもよい。上記帯状領域におけるPTFEシートの温度を制御し、あるいはPTFEシートおよび/または延伸されたPTFEシート(PTFE多孔質膜)の移送方向における温度分布を急峻にするためである。加熱と冷却とを併用してもよく、例えば、上流側のロールを加熱してPTFEシートを予備加熱しながら、下流側のロールを冷却して下流側の温度差を拡大してもよい。
【0027】
本発明の製造方法により延伸したPTFE多孔質膜は、延伸した方向と直交する方向にさらに延伸してもよい。PTFE多孔質膜は、2軸延伸による多孔質膜(2軸延伸膜)としてもよく、1軸方向にのみ延伸した多孔質膜(1軸延伸膜)としてもよい。2軸延伸膜を焼成する場合、焼成工程は、2軸に延伸してから行うとよい。
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1に示した延伸装置では、PTFEシート1が、繰り出しロール11,12から連続して繰り出され、ロール回転速度の相違により一対のロール12,13間で延伸され多孔化された後、PTFE多孔質膜2として巻き取りロール13,14によって連続して巻き取られていく。ロール12,13間を通過するPTFEシートに近接して配置された赤外線ヒーター5は、ロール12,13間の一部を横切る帯状の領域8において、PTFEシート1を局所的に加熱する。
【0029】
ヒーター5は、PTFEシート1との距離Lが0.1mm〜100mm、特に0.1mm〜10mmとなるように配置するとよい。ヒーターを膜に近づけすぎるとPTFEシートと接触することがあり、逆に遠ざけすぎるとシートの温度分布が不均一となり延伸ムラが生じやすくなる。赤外線ヒーターとしては、中波長ヒーター、低波長ヒーター、カーボンヒーターなどを用いることができる。
【0030】
図2に示すように、上流側のロール12から下流側のロール13へと繰り出されたPTFEシート1には、膜の進行方向を横切る帯状の加熱領域8を通過する間に、この領域上に配置されたヒーター(図2では図示省略)から赤外線が照射される。そして、PTFEシート1は、この領域8において他の領域におけるよりも高温に達し、この領域内において延伸が開始され、この領域内において延伸が実質的に終了する。赤外線が照射される領域8のシート移送方向についての長さL1は、1mm〜100mm、特に10mm〜50mmが好適である。この領域が長すぎると大きな歪速度が得られず、逆に短すぎるとシート温度が十分に上昇しないことがある。
【0031】
加熱領域8内において多孔化されたPTFE多孔質膜2は、下流側のロール13により巻き取られていく。延伸が開始される位置(延伸開始位置9)から下流側のロール13(正確にはロール13とPTFE多孔質膜2とが接触する位置)までの間隔L2は、ネッキングを抑制するために、50cm以下、特に100mm以下が好ましい。間隔L2の下限値は、領域8の長さL1を保持するために1mm以上がよい。領域8の下流端は、図示したように下流側のロール13から離れていてもよいが(L3>0)、ロール13と接触していてもよい(L3=0)。
【0032】
ロール12,13間の間隔L4(正確にはPTFEシート(多孔質膜)がロールから離間している距離)は、通常、50mm〜500mm程度が適当である。間隔L4は、図示したように、加熱領域の長さL1よりも長くとるとよいが(L4>L1)、ロール間距離の短縮により弊害が生じなければ、両者をほぼ等しくしてもよい(L4=L1)。
【0033】
加熱領域と非加熱領域との間の温度勾配は、急峻であるほうが好ましい。赤外線、特に波長が、1μm〜4μm、さらには1.5μm〜3μmである赤外線は、PTFEの吸収効率に優れているため、PTFEシートを帯状の領域において局所的な延伸可能とする放射線として適している。
【0034】
温度勾配をより急峻に保ちたい場合には、上流側のロール12および/または下流側のロール13を冷却するとよい。一方、加熱領域8においてPTFEシート1が、所望の延伸温度に達しない場合には、上流側のロール12を用いてPTFEシートを予備加熱してもよい。予備加熱のために、領域8上流側のPTFEシート1に熱風などを吹きつけても構わない。
【0035】
図1に例示した装置では、一本のヒーターが、PTFEシートの進行方向と直交するようにこのシートの上方において同シートを横切っている。このヒーターの配置は、PTFEシートを、幅方向について均一に加熱するための好ましい配置の一つである。ただし、ヒーターの位置、設置数、膜進行方向との角度は、図1に示した形態に限られない。PTFEシートが両面から加熱されるようにヒーターをシート下方に追加してもよいし、PTFEシートの同一側に複数のヒーターを配置してもよい。所定領域に赤外線を集中するために、ヒーターの周囲に熱線反射板などを設置しても構わない。
【0036】
従来の熱ロール延伸法のように、加熱してから延伸を開始すると、延伸開始位置が定まりにくい。しかし、図1、図2に示したように、延伸領域を制限しながら、延伸開始位置を含む領域を局所的に強く加熱すると、延伸開始位置の変動を防止しながら大きな歪速度でシートを延伸できる。
【0037】
PTFEシートの延伸に際してのその他条件に限定はなく、所望の特性に応じて適宜定めればよいが、通常、繰り出し側のロールの速度は0.1〜15m/分が、延伸温度は30℃〜320℃程度がそれぞれ好適である。
【0038】
こうして得たPTFE多孔質膜は、そのまま1軸延伸膜として用いてもよいが、さらにMD方向と直交する方向(Transverse Direction、以後、「TD方向」と略す)に延伸して2軸延伸膜としてもよい。ただし、TD方向への延伸を行ってからMD方向への延伸を行ってもよい。TD方向への延伸の延伸倍率、延伸温度も上述の範囲が好適である。
【0039】
図1,図2に示した装置により延伸したPTFE多孔質膜2は、さらに焼成してもよい。延伸後に焼成すると、膜の機械的強度が向上する。従って、上記に延伸温度を例示したように、PTFEの融点未満の温度で延伸してからPTFEの融点以上の温度、具体的には327℃以上、特に350℃以上で焼成するとよい。焼成方法について特に限定はないが、図3に示すように、オーブン6を用いて連続してPTFE膜2を焼成するとよい。オーブン6としては、従来、延伸(あるいは延伸および焼成)に用いられていた熱風循環式電気オーブンやガスオーブンを使用すれば足りる。ただし、加熱手段は、これらオーブンに限定されるものではない。焼成時間(焼成温度に保持した雰囲気に接触させる時間)は、通常5秒以上、特に10秒以上が好適であり、200秒以下とするとよい。
【0040】
焼成の際の繰り出しロールと巻き取りロールとの回転速度は、得ようとする膜の特性に応じて適宜調整すればよい。基本的には同速とするとよいが、さらに延伸したり、膜が垂れない程度に収縮させてもよい。焼成されたPTFE多孔質膜7からは、焼成前のPTFE多孔質膜2よりも高い強度が得られる。
【0041】
図4に示した製造装置では、延伸装置(図1)と焼成装置(図3)とが、PTFEシートを連続して延伸および焼成できるように配置されている。PTFEシート1は、PTFEの融点未満の温度で延伸されてPTFE多孔質膜2となり、引き続き融点以上の温度で焼成される。こうして、PTFEシート1は、装置内を搬送されながら、延伸かつ焼成されたPTFE多孔質膜7へと連続して加工される。
【0042】
焼成工程において、PTFE多孔質膜をさらに延伸してもよい。一旦多孔化されているため、融点以上の温度でさらに延伸しても、延伸しながら焼成する従来の方法のような問題は生じにくい。このように、2以上の工程で延伸倍率を分担すると、孔径制御がさらに容易となる。このため、比較的孔径が大きく、かつ孔径のバラツキが小さい多孔質膜を製造しやすい。なお、焼成工程における延伸倍率は5倍以下が好ましい。焼成工程における延伸倍率は1(寸法の変化なし)としてもよく、1を下回ってもよいが、過度の収縮は望ましくないため、0.7以上とするとよい。
【0043】
図5に示した延伸装置では、PTFEシート1が、ロール11,12から連続して繰り出され、ロール回転速度の相違によりロール12,13間で延伸されて多孔化され、ロール13,14によって連続して巻き取られていく。多孔化されたPTFEシート2は、引き続きロール13,14から連続して繰り出され、ロール回転速度の相違によりロール14,21間でさらに延伸されて多孔化され、PTFE多孔質膜3としてロール21,22によって連続して巻き取られていく。延伸のための加熱は、ロール間に配置されたヒーター5,15からシート(多孔質膜)に照射される赤外線によって行われる。
【0044】
2対以上のロール間で延伸する装置は、図5に示した形態に限らず、例えば予備加熱を行う場合には、図6に示したように、下流側により多くのロール21,22,23,24を配置して、ロール21,22により予備加熱してもよい。延伸は3回以上に分けて行ってもよい。例えば図7に示したように、さらにヒーター35およびロール25,26を配置すれば、3段階に分けて延伸したPTFE多孔質膜4を量産できる。
【0045】
多段階の延伸を行う場合にも、少なくとも1つの工程では、図1,図2を参照して上記で説明した方法を用いてPTFEシートを延伸することが好ましい。例えば、ヒーター5,15,35としては、赤外線ヒーターが好適であり、ヒーターとPTFEシート(多孔質膜)との距離(図5;La、Lb)は、好ましくは0.1〜100mmとするとよい。こうして、長さが制限された帯状の領域において延伸すると、孔径のバラツキをさらに抑制できる。
【0046】
本発明によれば、その通気度が、JIS P8117に準じた測定法により得た値に基づき、3〜3000秒/100cc、特に3〜100秒/100cc、であり、その平均孔径が、ASTM F 778に記載の測定法により得た値に基づき、0.01〜5.0μm、特に0.02〜3.0μm、であるPTFE多孔質膜を量産できる。本発明を適用すれば、互いに測定箇所が重複しないように測定数を20として求めた通気度の平均値が上記範囲内であってその変動率が1.0〜10%である1軸延伸膜を得ることもできる。
【0047】
本発明によれば、通気性および耐水性に優れたPTFE多孔質膜を得ることもできる。具体的には、上記測定法による通気度が3〜3000秒/100cc、特に3〜100秒/100cc、であり、耐水性が、JIS L1092に記載のB法による測定に基づく耐水圧により表示して、0.001〜5MPaであるPTFE多孔質膜を量産できる。本発明を適用すれば、耐水圧に対する通気度の比率(通気度/耐水圧)を1〜200(秒/(100cc・MPa))とすることもできる。
【0048】
2軸延伸膜はエアフィルタとして適している。2軸延伸膜は、圧力損失が5〜100mmH2O、平均孔径が0.05〜51.0μmである多孔質膜とするとよい。本発明を適用すれば、互いに測定箇所が重複しないように測定数を20として求めた圧力損失の平均値が上記範囲内であって変動率が1.0〜5.0%である2軸延伸膜を量産できる。こうして、本発明によれば、通気度や圧力損失の標準偏差が小さい、換言すれば孔径のバラツキが小さいPTFE多孔質膜を、特殊な設備を用いることなく製造できる。
【0049】
延伸するPTFEシートは、特に制限されないが、厚さ0.01mm〜2mm程度、特に厚さ0.01mm〜1mm程度とするとよい。PTFEシートは、従来知られている方法により得たものを用いれば足りる。PTFEシートは、一般に、PTFEファインパウダーに液状潤滑剤を加えたペースト状の混和物を予備成形し、予備成形体をペースト押し出し、圧延によりシート状に成形して作製される。なお、液状潤滑剤は、PTFEファインパウダーの表面を濡らすことができて抽出や加熱により除去できるものであれば特に制限されず、流動パラフィン、ナフサ、ホワイトオイルなどの炭化水素を用いればよい。液状潤滑剤の添加量は、PTFEファインパウダー100重量部に対して5〜50重量部が適当である。予備成形は、液状潤滑剤が絞り出されない程度の圧力で行えばよい。液状潤滑剤は、延伸するPTFEシートから予め除去しておくとよいが、延伸後に除去しても構わない。
【0050】
【実施例】
[未焼成膜の製造]
以下の実施例A1〜A2、比較例A1〜A2では、図1および図2と同様の延伸装置を用いてPTFEシートの延伸を行った。この延伸装置では、上流側のロール11,12と下流側のロール13,14とが、それぞれ回転速度を任意に制御できる。ヒーター5としては、赤外線ヒーター(幅3cm、定格出力0.8kW、最大エネルギー波長2.6μm)を用いた。ロール12,13間の間隔(図2:L4)は110mm、ヒーター5はロール間のほぼ中央に設置した。延伸時のPTFEシートの温度は、図8に示したように、ヒーター5の下流側に近接して配置した放射温度計10(CHINO社製,型番1R−TAP)を用いて測定した。
【0051】
(実施例A1)
PTFEファインパウダー100重量部に対して液状潤滑剤(ケロシン)を20重量部加えて得たペースト状の混和物を予備成型し、ぺースト押し出しにより丸棒状に成形し、さらに圧延した。圧延して得たPTFEシート(厚さ:0.2mm)を130℃に加熱して液状潤滑剤を蒸発除去した後、上記延伸装置を用いてMD方向へ1軸延伸した。このとき、上流側ロールからの繰り出し速度を0.6m/分、下流側ロールによる巻き取り速度を6m/分として、PTFEシートを10倍の延伸倍率で多孔化した。ヒーターとPTFEシートとの間隔は6mmに調整した。ヒーターの周囲には、赤外線の照射方向を制限する部材を設け、赤外線が直接照射される帯状の加熱領域の長さ(図2:L1)を約30mmに設定した。延伸開始位置から下流側のロールまでの距離(図2:L2)は約30mmであった。放射温度計で測定した膜の温度(延伸温度)は150℃であった。このときの膜の歪速度は、300%/秒となる。
【0052】
歪速度とは、単位時間あたりの延伸方向への寸法の変化量であり、以下の式により表示できる。
歪速度(%/秒)={(巻き取り速度−繰り出し速度)/帯状領域の長さ}×100
【0053】
なお、特に制限されないが、比較的高い延伸倍率が必要となる場合には、歪速度を20%/秒以上として延伸することが好ましい。
【0054】
こうして得たPTFE多孔質膜(厚さ:0.06mm)について、JIS P8117に準じて通気度を測定した。測定は、互いに重複しないように任意に選択した20カ所について行った。通気度の平均は、12.8秒/100ccであり、その変動率は5.5%であった。
【0055】
(実施例A2)
実施例A1で得た1軸延伸膜を、テンター延伸装置を用いてTD方向へさらに延伸し、2軸延伸膜を得た。TD方向の延伸は、延伸倍率を30倍、延伸温度を130℃とした。こうして得たPTFE多孔質膜(厚さ:9.1μm、平均孔径:1.2μm)について、圧力損失を測定した。測定は、互いに重複しないように任意に選択した20カ所について行った。圧力損失の平均は、26.0mmH2Oであり、その変動率は4.2%であった。なお、圧力損失としては、有効面積100cm2の円形ホルダーにPTFE多孔質膜をセットした状態で、風速5.3cm/秒で空気を通過させたときの圧力損失を圧力計(マノメータ)で測定した値を採用した(以下、同様)。
【0054/1】
なお、変動率は、以下の式により算出できる。
変動率(%)=(標準偏差/平均値)×100
【0056】
(比較例A1)
実施例A1と同様にして得たPTFEシートを、130℃に加熱して液状潤滑剤を蒸発除去した後、ゾーン延伸法を用いて延伸した。用いたゾーン延伸装置では、加熱源である長さ600mmの電気ヒーターがPTFEシートとの距離が200mm程度となるように配置されており、装置内においてPTFEシートはほぼ均一に加熱される。この場合も、ロールからの繰り出し速度を0.6m/分、ロールによる巻き取り速度を6m/分として、実施例1と同様、MD方向に10倍に延伸した。ゾーン温度(オーブン内の雰囲気温度)は280℃、ロール間の距離(PTFEシートが加熱雰囲気に曝される距離にほぼ相当)は60cmであった。このときの膜の歪速度は15%/秒となる。
【0057】
こうして得たPTFE多孔質膜(厚さ:0.09mm)について、JIS P8117に準じて通気度を測定した。測定は、任意に選択した20カ所について行った。通気度の平均は、13.0秒/100ccであり、その変動率は11.5%であった。
【0058】
(比較例A2)
比較例A1で得た1軸延伸膜を、テンター延伸装置を用いてTD方向へさらに延伸し、2軸延伸膜を得た。TD方向の延伸は、実施例2と同様にして行った。こうして得たPTFE多孔質膜(厚さ:13.3μm、平均孔径:1.2μm)について、圧力損失を測定した。測定は、任意に選択した20カ所について行った。圧力損失の平均は、25.8mmH2Oであり、その変動率は6.6%であった。
【0059】
[焼成膜の製造]
以下の実施例B1〜B3、比較例B1〜B2では、図4に示したような延伸・・焼成連続装置を用いてPTFEシートの延伸および焼成を行った。延伸装置には、上記と同様の位置に、各ロール、赤外線ヒーターおよび放射温度計を設置した。焼成装置としては、加熱源である長さ600mmの電気ヒーターをPTFEシートとの距離が200mm程度となるように配置したオーブンを用いた。この装置内においてPTFEシートはほぼ均一に加熱される。オーブン内は360℃に設定した。オーブン内における焼成ゾーンの長さは600mmとした。
【0060】
以下では、各種特性とともに、延伸焼成に伴う膜の歪みを測定した。この歪みは、延伸方向と直交する方向に引いた標線の延伸・焼成後における変形の程度により定量化できる。図9(a)に示したPTFEシート41における標線40aは、延伸および焼成に伴い、図9(b)に示したように、PTFE多孔質膜45における弓形の線40bへと変形する。延伸方向に沿って測定した線40bの変化量Sを多孔質膜の歪みの尺度とした。なお、標線40aは、延伸前のシートに黒色の油性ペンを用いて形成した。
【0061】
(実施例B1)
実施例A1と同様にして得たPTFEシート(厚さ:0.2mm)を、130℃に加熱して液状潤滑剤を蒸発除去した後、上記延伸装置を用いてMD方向へ1軸延伸した。このとき、上流側ロールからの繰り出し速度を0.4m/分、下流側ロールによる巻き取り速度を1.2m/分として、PTFEシートを3倍の延伸倍率で多孔化した。ヒーターとPTFEシートとの間隔は4mmに調整した。ヒーターの周囲には、赤外線の照射方向を制限する部材を設け、赤外線が直接照射される帯状の加熱領域の長さ(L1)を約38mmに設定した。延伸開始位置から下流側のロールまでの距離(L2)は約60mmであった。加熱領域から下流側のロールまでの距離(L3)は55mmであった。放射温度計で測定した膜の温度(延伸温度)は150℃であった。このときのPTFEシートの歪速度は約35%/秒であった。
【0062】
延伸したPTFE多孔質膜を連続してさらに繰り出して、上記焼成装置を通過させて焼成した後、巻き取りロールにより同速の1.2m/分で巻き取った。
【0063】
こうして得たPTFE多孔質膜(厚さ:0.14mm)について、JIS P8117に準じて通気度を、JIS L1092に記載のB法に準じて耐水圧をそれぞれ測定した。また、平均孔径と標線の変化量(標線歪みS;図9(b)参照)を測定した。
【0064】
(実施例B2)
ロールからの繰り出し速度を0.4m/分、ロールからの巻き取り速度を1.8m/分として、延伸装置におけるPTFEシートの延伸倍率を4.5倍とした以外は、実施例1と同様にして、PTFE多孔質膜(厚さ:0.09mm)を得た。延伸工程におけるPTFEシートの歪速度は約62%/秒であった。このPTFE多孔質膜について、実施例B1と同様の測定を行った。
【0065】
(実施例B3)
ロールからの繰り出し速度を0.4m/分、ロールからの巻き取り速度を3.2m/分として、延伸装置におけるPTFEシートの延伸倍率を8倍とした。また、焼成装置における延伸倍率は2倍とした。これらを除いては実施例1と同様にして、PTFE多孔質膜(厚さ:0.03mm)を得た。延伸工程におけるPTFEシートの歪速度は約122%/秒であった。このPTFE多孔質膜について、実施例B1と同様の測定を行った。
【0066】
(比較例B1)
実施例A1と同様にして得たPTFEシートを、130℃に加熱して液状潤滑剤を蒸発除去した後、上記焼成装置のみを用いて延伸および焼成した。オーブン内は、焼成を同時に行うために360℃に設定した。オーブン内における延伸・焼成ゾーンの長さは、上記と同様、600mmである。ロールからの繰り出し速度を0.4m/分、巻き取り速度を1.2m/分として、実施例B1と同様、MD方向に3倍に延伸した。延伸工程におけるPTFEシートの歪速度は約2.2%/秒であった。このPTFE多孔質膜(厚さ:0.15mm)について、実施例B1と同様の測定を行った。
【0067】
以上の結果を表1に示す。なお、表1におけるネッキングは、以下の式により算出した。
ネッキング(%)={(延伸前のシート幅−延伸後のシート幅)/延伸前のシート幅}×100
【0068】
(表1)
Figure 0003996473
【0069】
[多段階延伸未焼成]
以下の実施例C1〜C2および参照例C1〜C2では、図6に示す装置を用いてPTFEシートの延伸を行った。この装置では、各ロールの回転速度を任意に制御できるようにして延伸倍率を調整した。また、ヒータ5,15としては、赤外線ヒーター(幅3cm、定格出力0.8kW、最大エネルギー波長2.6μm)を用いた。ロール間の間隔(図2:L4参照)はともに110mmとした。また、ヒーターは、ロール間のほぼ中央においてシートとの間隔La,Lb(図5参照)がともに1mmとなるように配置した。なお、延伸時のPTFEシートの温度は、ヒーター5,15の下流側に近接して配置した放射温度計(CHINO社製,型番1R−TAP)を用いて測定した(図8参照)。
【0070】
(実施例C1)
実施例A1と同様にして得たPTFEシート(厚さ:0.2mm)を、130℃に加熱して液状潤滑剤を蒸発除去した後、上記装置を用いて2回に分けてMD方向へ1軸延伸した。1回目の延伸は、ロール12からの繰り出し速度を0.6m/分、ロール13による巻き取り速度を3.3m/分とした。引き続き行う2回目の延伸は、ロール22からの繰り出し速度を3.3m/分、ロール23による巻き取り速度を6.0m/分とした。この延伸による最終延伸倍率は10倍となる。PTEFシートの温度は、両延伸工程において約170℃であった。
【0071】
1回目の延伸では、赤外線が直接照射される帯状の加熱領域の長さ(図2:L1参照)を約30mmに設定した。延伸開始位置から下流側のロールまでの距離(図2:L2参照)は約80mmであった。このときの膜の歪速度は150%/秒となる。2回目の延伸においても、赤外線が直接照射される帯状の加熱領域の長さ(図2:L1参照)を約30mmに設定した。延伸開始位置から下流側のロールまでの距離(図2:L2参照)は約80mmであった。このときの膜の歪速度は同じく150%/秒となる。
【0072】
こうして得たPTFE多孔質膜(厚さ:40.2μm)について、JIS P8117に準じて通気度を測定した。測定は、互いに重複しないように任意に選択した20カ所について行った。通気度の平均は、40.2秒/100ccであり、その変動率は6.1%であった。
【0073】
(実施例C2)
実施例C1で得た1軸延伸膜を、テンターを用いてTD方向へさらに延伸し、2軸延伸膜を得た。TD方向の延伸は、延伸倍率を20倍、延伸温度を150℃とした。こうして得たPTFE多孔質膜(厚さ:5.6μm、平均孔径:0.29μm)について、圧力損失を測定した。測定は、互いに重複しないように任意に選択した20カ所について行った。圧力損失の平均は、29.4mmH2Oであり、その変動率は2.4%であった。
【0074】
(参照例C1)
1回目の延伸により同じ最終延伸倍率(10倍)を得るようにした点を除いては、実施例C1と同様にして、PTFE多孔質膜を得た。具体的には、中間に配置されたロール13による巻き取り速度およびロール22による繰り出し速度を6.0m/分として、後段のヒーター15による加熱を停止した。このときのPTFEシートの温度は170℃、歪速度は300%/秒であった。こうして得たPTFE多孔質膜(厚さ:37μm)について、上記と同様にして通気度を測定した。測定は、任意に選択した20カ所について行った。通気度の平均は、47.5秒/100ccであり、その変動率は8.4%であった。
【0075】
(参照例C2)
参照例C1で得た1軸延伸膜を、実施例C2と同様にして、2軸延伸膜を得た。こうして得たPTFE多孔質膜(厚さ:4.6μm、平均孔径:0.30μm)について、上記と同様にして、圧力損失を測定した。測定は、任意に選択した20カ所について行った。圧力損失の平均は、24.7mmH2Oであり、その変動率は2.9%であった。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、孔径のバラツキが小さく、特性が均一化されたPTFE多孔質膜を得ることができる。また、通気性と耐水性を兼ね備えたPTFE多孔質膜を得ることもできる。本発明は、これら諸特性に優れたPTFE多孔質膜を量産する方法および装置を提供するものであって、当該技術分野において極めて大きい利用価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のPTFE多孔質膜の製造装置の一形態を示す断面図である。
【図2】 本発明のPTFE多孔質膜の製造方法の一形態における加熱領域を示すための平面図である。
【図3】 延伸したPTFE多孔質膜をさらに焼成する装置の一形態を示す断面図である。
【図4】 本発明のPTFE多孔質膜の製造装置の一形態であって延伸に引き続き焼成を行う装置を示す断面図である。
【図5】 本発明のPTFE多孔質膜の製造装置の一形態であって複数のヒーターにより連続して延伸を行う装置を示す断面図である。
【図6】 本発明のPTFE多孔質膜の製造装置の一形態であって複数のヒーターにより連続して延伸を行う別の装置を示す断面図である。
【図7】 本発明のPTFE多孔質膜の製造装置の一形態であって複数のヒーターにより連続して延伸を行うまた別の装置を示す断面図である。
【図8】 実施例において用いた延伸装置における温度計の配置を示す平面図である。
【図9】 実施例においてPTFEシートに描いた標線(a)および延伸によるその変化(b)を示す平面図である。
【図10】 従来のゾーン延伸法に用いる装置を示す断面図である。
【図11】 従来の熱ロール延伸法に用いる装置を示す断面図である。
【符合の説明】
1 PTFEシート
2,3,4 延伸されたPTFEシート(PTFE多孔質膜)
5,15,35 赤外線ヒーター
6 オーブン
7 焼成されたPTFE多孔質膜
8 帯状領域(加熱領域)
9 延伸開始位置
10 放射温度計
11〜14,21〜26 ロール

Claims (18)

  1. ポリテトラフルオロエチレンシートを、離間して配置した一対のロールの一方の側から他方の側へと繰り出しながら延伸することにより、連続して多孔化するポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法であって、
    前記一対のロールの間で前記シートを横切るように設定され、ポリテトラフルオロエチレンシートの移送方向について1mm以上100mm以下の長さを有する帯状領域において前記シートを加熱しながら、前記シートをMD方向に延伸するポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  2. 延伸が開始される位置から、ポリテトラフルオロエチレンシートの移送方向について下流側に配置されたロールと延伸された前記シートとが接触する位置までの距離を50cm以下とする請求項に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  3. 延伸倍率を1.05〜50倍とする請求項1または2に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  4. 前記帯状領域のポリテトラフルオロエチレンシートをポリテトラフルオロエチレンの融点未満の温度に加熱する請求項1〜のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレンシート多孔質膜の製造方法。
  5. 延伸したポリテトラフルオロエチレン多孔質膜をさらに繰り出し、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上に加熱し、連続して焼成する請求項に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  6. ポリテトラフルオロエチレンシートを、離間して配置した一対のロールの一方の側から他方の側へと繰り出しながら延伸することにより、連続して多孔化するポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法であって、
    n組の一対のロールを準備し、前記n組の一対のロールの間においてそれぞれ前記シートを横切るように設定されたn個の帯状領域において前記シートを加熱しながら、前記n組の一対のロールの間において前記シートを順次MD方向に延伸し、前記帯状領域が、ポリテトラフルオロエチレンシートの移送方向について1mm以上100mm以下の長さを有するポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
    ただし、nは2以上の整数である。
  7. 少なくとも最初の帯状領域のポリテトラフルオロエチレンシートをポリテトラフルオロエチレンの融点未満の温度に加熱し、少なくとも最後の帯状領域の前記シートを前記融点以上の温度に加熱する請求項に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  8. n個の帯状領域のポリテトラフルオロエチレンシートをポリテトラフルオロエチレンの融点未満の温度に加熱する請求項に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  9. 延伸したポリテトラフルオロエチレン多孔質膜をさらに繰り出し、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上に加熱して連続して焼成する請求項に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  10. 赤外線ヒーターから放射される赤外線を帯状領域に照射しながらポリテトラフルオロエチレンシートを延伸する請求項1〜のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  11. 赤外線ヒーターとポリテトラフルオロエチレンシートとの間隔を0.1mm以上100mm以下とする請求項10に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  12. 赤外線ヒーターから放射されるエネルギーが最大となる波長が1μm以上4μm以下である請求項10または11に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  13. 一対のロールの少なくとも一方を加熱または冷却しながら延伸する請求項1〜12のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  14. 請求項1〜4,6およびのいずれかに記載の方法で延伸した後、延伸した方向と直交する方向にさらに延伸するポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  15. 離間して配置した一対のロールと、前記一対のロールの間でポリテトラフルオロエチレンシートが延伸可能となるように前記シートを加熱する加熱手段とを備えたポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造装置であって、
    前記加熱手段として、前記一対のロールの間で前記シートとの間隔が0.1mm以上100mm以下となるように、赤外線ヒーターが配置されたポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造装置。
  16. 離間して配置したn組の一対のロールと、前記n組の一対のロールの間でポリテトラフルオロエチレンシートがそれぞれ延伸可能となるように前記シートを加熱するn個の加熱手段とを備えたポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造装置であって、
    少なくとも、前記シートの延伸が開始される最初の一対のロールの間で前記シートを加熱する加熱手段として、赤外線ヒーターが配置されたポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造装置。
    ただし、nは2以上の整数である。
  17. 赤外線ヒーターから放射されるエネルギーが最大となる波長が1μm以上4μm以下である請求項15または16に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造装置。
  18. 延伸したポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を受け入れて焼成する焼成装置をさらに含む請求項1517のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造装置。
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