JP2016027139A - 微多孔フィルムロール及びその製造方法 - Google Patents

微多孔フィルムロール及びその製造方法 Download PDF

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彰弘 小川
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Abstract

【課題】巻き出されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムにおける湾曲や弛みの発生が低減された微多孔フィルムロールの提供。【解決手段】オレフィン系樹脂微多孔フィルムが芯体に巻き重ねられて形成されている微多孔フィルムロールであって、一端から他端に向かって10mmの間隔毎に測定した微多孔フィルムロールの外周長において、隣接する外周長の差が1.5mm以下であり、最大外周長と最小外周長との差が3mm以下であり、且つ下記式(1)の関係を満たす微多孔フィルムロール。[(D/2−d/2)/w]?[(h1−h2)/t]<200(1)(式中、Dは微多孔フィルムロールの平均外径(mm)、dは芯体の平均外径(mm)、wはオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均幅(mm)、h1は微多孔フィルムロールの最大外周長、h2は微多孔フィルムロールの最小外周長、且つtはオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均厚み(mm)である。)【選択図】図1

Description

本発明は、微多孔フィルムロール及びその製造方法に関する。
従来から携帯用電子機器の電源としてリチウムイオン電池が用いられている。このリチウムイオン電池は、一般的に正極と、負極と、セパレータとを電解液中に配設することによって構成されている。正極は、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム又はマンガン酸リチウムが塗布されることで形成される。負極は、銅箔の表面にカーボンが塗布されることで形成される。そして、セパレータは、正極と負極とを仕切るように配設され、正極と負極との短絡を防止している。
リチウムイオン電池の充電時には、正極からリチウムイオンが放出されて負極内に進入する。一方、リチウムイオン電池の放電時には、負極からリチウムイオンが放出されて正極に移動する。このような充放電がリチウムイオン電池では繰り返される。従って、リチウムイオン電池に用いられているセパレータには、リチウムイオンが良好に透過できることが必要とされる。
このようなセパレータとしては、オレフィン系樹脂微多孔フィルムが使用されている。オレフィン系樹脂微多孔フィルムは、多孔質性と機械的強度を得るために、オレフィン系樹脂フィルムを延伸させることによって製造されている。
生産性や輸送性を向上させるために、オレフィン系樹脂微多孔フィルムはロールとして用いられる。このような微多孔フィルムロールは、長尺状のオレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き重ねることにより得られる。
しかしながら、微多孔フィルムロールから巻き出されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、その長さ方向に湾曲したり、弛みを発生したりする場合があった。このように湾曲や弛みを発生したオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、roll-to-roll法などによる搬送時に走行安定性が低下したり、電池組立時に位置決めが困難になったりする。
そこで、特許文献1には、フィルム長さ1mにおける湾曲量及び弛み量がいずれも3mm以下である多孔性ポリプロピレンフィルムロールが開示されている。しかしながら、特許文献1の多孔性ポリプロピレンフィルムロールでは、依然として湾曲や弛みの発生を十分に低減することができない。
特開2011−140633号公報
本発明は、巻き出されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムにおける湾曲や弛みの発生が低減された微多孔フィルムロール及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の微多孔フィルムロールは、オレフィン系樹脂フィルムを延伸することによって形成された長尺状のオレフィン系樹脂微多孔フィルムが芯体に巻き重ねられて形成されている微多孔フィルムロールであって、
上記微多孔フィルムロールの一端から他端に向かって10mmの間隔毎に測定した上記微多孔フィルムロールの外周長において、隣接する外周長の差が1.5mm以下であり、最大外周長と最小外周長との差が3mm以下であり、且つ下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする。
[(D/2−d/2)/w]×[(h1−h2)/t]<200 (1)
(式中、Dは上記微多孔フィルムロールの平均外径(mm)であり、dは上記芯体の平均外径(mm)であり、wは上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均幅(mm)であり、h1は上記微多孔フィルムロールの最大外周長(mm)であり、h2は上記微多孔フィルムロールの最小外周長(mm)であり、且つtは上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均厚み(mm)である。)
微多孔フィルムロールにおいて、芯体に巻き取られているオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均長さは、400m以上が好ましい。一方、長過ぎるオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、芯体に巻き取る際に、巻き締まりによってシワが発生する虞れがある。したがって、芯体に巻き取られているオレフィン系樹脂微多孔フィルムの長さは、400〜5000mが好ましく、400〜3500mがより好ましく、400〜1500mが特に好ましい。
なお、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均長さは、次の通りにして測定することができる。オレフィン系樹脂微多孔フィルムにおける任意の少なくとも10箇所について長さを測定し、その相加平均値をオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均長さとする。
芯体に巻き取られているオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均幅は、特に制限されないが、2cm〜3mが好ましく、2cm〜1mがより好ましく、2cm〜70cmがさらに好ましく、2cm〜50cmが特に好ましい。幅が狭過ぎるオレフィン系樹脂微多孔フィルムでは、ロールから巻き出した後に湾曲や弛みを発生することがある。また、幅が広過ぎるオレフィン系樹脂微多孔フィルムでは、芯体に巻き取る際にシワが発生する虞れがある。
芯体の材質は、特に制限されないが、紙、合成樹脂、及び金属などが挙げられる。また、芯体の形状は、その外表面にオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き付けることができればよく、円筒形状が好ましい。
微多孔フィルムロールの一端から他端に向かって10mmの間隔毎で測定した微多孔フィルムロールの外周長において、隣接する外周長の差は、1.5mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましい。なお、隣接する外周長の差とは、相互に隣接する外周長の差の絶対値を意味する。微多孔フィルムロール中のオレフィン系樹脂微多孔フィルムには、巻取り時にロール周方向に負荷された巻取張力が残存している。隣接する外周長の差が1.5mmを超えると、微多孔フィルムロール中のオレフィン系樹脂微多孔フィルムに残存している巻取張力が均一ではないことがあり、そのため、微多孔フィルムロールから巻き出されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムが、その長手方向に湾曲することがある。湾曲したオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、搬送時に走行安定性が低下して、折れや皺が発生したり、オレフィン系樹脂微多孔フィルムが蛇行したりする。また、湾曲したオレフィン系樹脂微多孔フィルムでは電池組立時に位置決めが困難になったりもする。
微多孔フィルムロールの一端から他端に向かって10mmの間隔毎で測定した微多孔フィルムロールの外周長において、最大外周長(h1)と最小外周長(h2)との差(h1−h2)は、3mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2mm以下が特に好ましい。最大外周長と最小外周長との差が3mmを超えると、微多孔フィルムロール中のオレフィン系樹脂微多孔フィルムに残存している巻取張力が均一ではないことがあり、そのため、微多孔フィルムロールから巻き出されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムが、その長手方向に湾曲することがある。
微多孔フィルムロールは、下記式(1)の関係を満たすが、下記式(2)の関係を満たすことが好ましく、下記式(3)の関係を満たすことがより好ましい。
[(D/2−d/2)/w]×[(h1−h2)/t]<200 (1)
[(D/2−d/2)/w]×[(h1−h2)/t]≦150 (2)
[(D/2−d/2)/w]×[(h1−h2)/t]≦100 (3)
(式(1)〜(3)中、Dは微多孔フィルムロールの平均外径(mm)であり、dは芯体の平均外径(mm)であり、wはオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均幅(mm)であり、h1は微多孔フィルムロールの最大外周長(mm)であり、h2は微多孔フィルムロールの最小外周長(mm)であり、且つtはオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均厚み(mm)である。)
上記式(1)の左辺において、第1項[(D/2−d/2)/w]は微多孔フィルムロールにおけるフィルム巻高さとフィルム幅との比を意味し、第2項[(h1−h2)/t]は微多孔フィルムロールの外周長の最大差とフィルム厚みとの比を意味する。本発明では上記課題について種々の検討を行った結果、詳細な理由は明らかではないが、第1項で示される比と第2項で示される比とに相関関係があり、これらの比の積を200未満とすることによって、巻き出されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムにおける湾曲や弛みの発生が低減された微多孔フィルムロールを提供することができることを見出した。
なお、微多孔フィルムロールの外周長とは、芯体の軸心方向に直交する方向における微多孔フィルムロールの外周の長さを意味する。なお、微多孔フィルムロールの外周長の測定は、例えば、非接触式のレーザー変位計などを用いて行うことができる。そして、微多孔フィルムロールにおいて、芯体の軸芯方向における一端から他端に向かって10mmの間隔毎に、微多孔フィルムロールの外周長を測定し、得られた測定値から、相互に隣接する外周長の差、最大外周長、最小外周長、並びに最大外周長と最小外周長との差を求めることができる。
また、微多孔フィルムロールの平均外径、芯体の平均外径、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均幅、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均厚みは、それぞれ、次の通りにして測定することができる。微多孔フィルムロール、微多孔フィルムロールから巻き出されたオレフィン系樹脂微多孔フィルム及び芯体において任意の少なくとも10箇所を測定箇所として選択し、各測定箇所において、微多孔フィルムロールの外径、芯体の外径、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの幅、及びオレフィン系樹脂微多孔フィルムの厚みを測定する。そして、微多孔フィルムロールの外径、芯体の外径、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの幅、及びオレフィン系樹脂微多孔フィルムの厚みの各測定値の相加平均値を、それぞれ、微多孔フィルムロールの平均外径、芯体の平均外径、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均幅、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均厚みとする。
微多孔フィルムロールの外径とは、芯体の軸心方向に直交する方向における微多孔フィルムロールの断面において、微多孔フィルムロールの芯体の軸心を通り且つ両端が微多孔フィルムロールの上記断面の外周上に存在する任意の直線の長さを意味する。なお、微多孔フィルムロールの外径の測定は、例えば、非接触式のレーザー変位計などを用いて行うことができる。
芯体の外径とは、芯体の軸心方向に直交する方向における芯体の断面において、芯体の軸心を通り且つ両端が芯体の上記断面の外周上に存在する任意の直線の長さを意味する。なお、芯体の外径は、例えば、非接触式のレーザー変位計などを用いて行うことができる。
オレフィン系樹脂微多孔フィルムの幅とは、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの長さ方向(延伸方向)に直交する方向の長さを意味する。なお、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの幅は、例えば、ノギスなどを用いて行うことができる。
微多孔フィルムロールにおいて任意に選択した測定箇所における、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの厚みの測定は、次の通りにして行うことができる。芯体の軸心方向に直交する方向における微多孔フィルムロールの断面において、一端が微多孔フィルムロールの芯体の軸心上に存在し、且つ他端が上記断面の外周上に存在する仮想直線を測定領域として引き、この測定領域において、巻き重ねられているオレフィン系樹脂微多孔フィルムの総厚み及び積層数を測定し、総厚みを積層数で除することによりオレフィン系樹脂微多孔フィルムの厚みを算出することができる。オレフィン系樹脂微多孔フィルムの総厚みは、例えば、ダイヤルゲージなどを用いて測定することができる。
オレフィン系樹脂微多孔フィルムを105℃で1時間加熱した後のオレフィン系樹脂微多孔フィルムの長さ方向における熱収縮率は、4%以下が好ましく、3.5%以下がより好ましい。熱収縮率が4%以下であるオレフィン系樹脂微多孔フィルムを用いている微多孔フィルムロールでは、これから巻き出されるオレフィン系樹脂微多孔フィルムの湾曲や弛みの発生を低減することができる。
なお、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの熱収縮率の測定は、以下の要領にて行うことができる。まず、オレフィン系樹脂微多孔フィルムにおける任意の箇所から幅2cm×長さ10cmの平面長方形状の試験片を30個切り出す。この時、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの長さ方向(延伸方向)が試験片の長さ方向となるようにする。試験片の一方の短辺における中央と試験片の他方の短辺における中央とを結ぶ直線状の仮想線上に長さ8cmの標線を引く。次に、試験片を、内部の温度が105℃である恒温槽中に設置して1時間加熱した後、試験片を温度23℃の雰囲気下に5分間放置する。次に、試験片に引いた標線の長さ(L1[cm])を測定し、下記式に基づいて熱収縮率(%)を算出する。そして、上記と同様の手順にて、30個の試験片のそれぞれについて熱収縮率をそれぞれ測定し、その相加平均値をプロピレン系樹脂微多孔フィルムの熱収縮率(%)とする。
熱収縮率(%)=100×(8−L1)/8
本発明の微多孔フィルムロールにおいて、芯体に巻き取られているオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、オレフィン系樹脂フィルムを延伸することによって形成された微小孔部を含んでいる。オレフィン系樹脂フィルムの延伸方法としては、特に限定されず、一軸延伸又は二軸延伸を例示することができる。
オレフィン系樹脂微多孔フィルムの透気度は、100〜600sec/100mLが好ましく、100〜500s/100mLがより好ましく、100〜400s/100mLが特に好ましい。透気度が上記範囲内であるオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、これを通過する気体の割合が高いことから、空隙率が高く、優れたリチウムイオン透過性を有する。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの透気度は、JIS P8117に準拠して、温度23℃、相対湿度65%の環境下にて測定された値をいう。
オレフィン系樹脂微多孔フィルムの表面開口率は、10〜55%が好ましく、25〜55%がより好ましく、30〜50%が特に好ましい。表面開口率が上記範囲内であるオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、機械的強度の低下を低減しつつ、優れた透気性が付与されている。
なお、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの表面開口率は下記の要領で測定することができる。先ず、オレフィン系樹脂微多孔フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。
次いで、測定部分内に形成されている各微小孔部を長方形で囲む。この長方形は、長辺及び短辺が共に最小寸法となるように調整する。上記長方形の面積を各微小孔部の開口面積とする。各微小孔部の開口面積を合計して微小孔部の総開口面積S(μm2)を算出する。この微小孔部の総開口面積S(μm2)を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除して100を乗じた値を表面開口率(%)とする。なお、測定部分と、測定部分でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、微小孔部のうち測定部分内に存在している部分のみを測定対象とする。
オレフィン系樹脂微多孔フィルムを温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で7日間に亘って保管した後の、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの長さ方向(延伸方向)の自然収縮率は、0.3%以下が好ましく、0.2%以下がより好ましい。自然収縮率が0.3%以下であるオレフィン系樹脂微多孔フィルムを用いている微多孔フィルムロールでは、これから巻き出されるオレフィン系樹脂微多孔フィルムの湾曲や弛みの発生を低減することができる。
なお、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの長さ方向の自然収縮率の測定は、以下の要領にて行うことができる。先ず、オレフィン系樹脂微孔フィルムにおける任意の箇所から幅2cm×長さ10cmの平面長方形状の試験片を30個切り出す。この時、オレフィン系樹脂微孔フィルムの長さ方向(押出方向)が試験片の長さ方向となるようにする。試験片の一方の短辺における中央と試験片の他方の短辺における中央とを結ぶ直線状の仮想線上に長さ8cmの標線を引く。次に、試験片を内部が温度23℃、相対湿度50%である恒温槽中に設置して、7日間に亘って保管する。次に、試験片に引いた標線の長さ(L2[cm])を測定し、下記式に基づいて自然収縮率(%)を算出する。そして、上記と同様の手順にて、30個の試験片のそれぞれについて自然収縮率をそれぞれ測定し、その相加平均値をオレフィン系樹脂微孔フィルムの自然収縮率(%)とする。
自然収縮率(%)=100×(8−L2)/8
オレフィン系樹脂フィルムに用いられるオレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂が挙げられる。なかでも、プロピレン系樹脂が好ましい。プロピレン系樹脂によれば、耐熱性に優れているオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。プロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。また、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれであっても良い。なお、プロピレンと共重合体されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィンなどが挙げられる。
オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、25万〜50万が好ましく、28万〜48万がより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であるオレフィン系樹脂は、成膜安定性に優れ、厚みが均一であり且つ微小孔部が均一に形成されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
オレフィン系樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、特に限定されないが、7.5〜12.0が好ましく、8.0〜11.5がより好ましく、8.0〜11.0が特に好ましい。分子量分布が上記範囲内であるオレフィン系樹脂によれば、機械的強度の低下を抑制しつつ、表面開口率が高いオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
ここで、オレフィン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、オレフィン系樹脂6〜7mgを採取し、採取したオレフィン系樹脂を試験管に供給した上で、試験管に0.05重量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を含むo−DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えてオレフィン系樹脂濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転速度25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてオレフィン系樹脂を、BHTを含むo−DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってオレフィン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量を測定することができる。
オレフィン系樹脂における重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
<測定装置>
TOSOH社製 商品名「HLC-8121GPC/HT」
<測定条件>
カラム:TSKgelGMHHR-H(20)HT×3本
TSKguardcolumn-HHR(30)HT×1本
移動相:o-DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
オレフィン系樹脂の融点は、160〜170℃が好ましく、160〜165℃がより好ましい。融点が上記範囲内であるオレフィン系樹脂によれば、成膜安定性に優れ、厚みが均一であり且つ微小孔部が均一に形成されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂の融点は、示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル社 装置名「DSC220C」など)を用い、下記手順に従って測定することができる。先ず、オレフィン系樹脂10mgを25℃から昇温速度10℃/分にて250℃まで加熱し、250℃にて3分間に亘って保持する。次に、オレフィン系樹脂を250℃から降温速度10℃/分にて25℃まで冷却して25℃にて3分間に亘って保持する。続いて、オレフィン系樹脂を25℃から昇温速度10℃/分にて250℃まで再加熱し、この再加熱工程における吸熱ピークの頂点の温度を、オレフィン系樹脂の融点とする。
本発明の微多孔フィルムロールの製造方法としては、
オレフィン系樹脂を押出機に供給して溶融混練し、上記押出機の先端に取り付けたTダイから押し出すことにより長尺状のオレフィン系樹脂フィルムを得る押出工程と、
上記押出工程で得られたオレフィン系樹脂フィルムを養生する養生工程と、
上記養生工程後の上記オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸する延伸工程と、
上記延伸工程後の上記オレフィン系樹脂フィルムをアニールすることにより、長尺状のオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得るアニーリング工程と、
巻取工程と、
を有する方法が好ましく用いられる。
そして、本発明の方法では、上記巻取工程は、
上記アニーリング工程後の上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより微多孔フィルムロールを得る巻取工程(I)、又は
上記アニーリング工程後の上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより原反フィルムロールを得、この原反フィルムロールから上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き出した後、上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムをその長さ方向に切断し、この切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより微多孔フィルムロールを得る巻取工程(II)
を有する。
(押出工程)
押出工程では、オレフィン系樹脂を押出機に供給して溶融混練した上で、押出機の先端に取り付けたTダイから押出すことにより、オレフィン系樹脂フィルムを得る。
オレフィン系樹脂を押出機にて溶融混練する際のオレフィン系樹脂の温度は、(Tm+20)℃〜(Tm+100)℃が好ましく、(Tm+25)℃〜(Tm+80)℃がより好ましく、(Tm+50)℃〜(Tm+80)℃が特に好ましい。溶融混練時のオレフィン系樹脂の温度を上記範囲内とすることにより、オレフィン系樹脂の配向性を向上させて、ラメラの生成を促進させることができる。なお、「Tm」とはオレフィン系樹脂の融点を意味する。
オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比は、50〜300が好ましく、65〜250がより好ましく、70〜250が特に好ましい。オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比を50以上とすることにより、オレフィン系樹脂に加わる張力を向上させ、これによりオレフィン系樹脂分子を十分に配向させてラメラの生成を促進させることができる。また、オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比を300以下とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの成膜安定性を向上させて、均一な厚みや幅を有するオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得ることができる。
なお、ドロー比とは、TダイのリップのクリアランスをTダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムの平均厚みで除した値をいう。Tダイのリップのクリアランスの測定は、JIS B7524に準拠したすきまゲージ(例えば、株式会社永井ゲージ製作所製 JISすきまゲージ)を用いてTダイのリップのクリアランスを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。また、Tダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムの平均厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いてTダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムの厚みを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。
オレフィン系樹脂フィルムの成膜速度は、10〜300m/分が好ましく、15〜250m/分がより好ましく、15〜150m/分が特に好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの成膜速度を10m/分以上とすることによって、オレフィン系樹脂に加わる張力を向上させ、これによりオレフィン系樹脂分子を十分に配向させてラメラの生成を促進させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの成膜速度を300m/分以下とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの成膜安定性を向上させて、均一な厚みや幅を有するオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得ることができる。
Tダイから押し出されたオレフィン系樹脂フィルムは、幅方向における両端部の表面温度が(Tm+10)℃〜(Tm+100)℃であり、且つ幅方向における中央部の表面温度が上記両端部の表面温度より3〜50℃低くなるように設定されている。後述する延伸工程では、オレフィン系樹脂フィルムを延伸することにより微小孔部を形成させるが、延伸工程ではオレフィン系樹脂フィルムの両端部よりも中央部の方が延伸され易く、その中央部の厚みは両端部に比して薄くなり易い。このような厚み分布はオレフィン系樹脂微多孔フィルム中にも残る。このようなオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き取って微多孔フィルムロールを形成しても、微多孔フィルムロールの外周長が不均一となる。
本発明の方法では、押出工程において、Tダイから押し出されたオレフィン系樹脂フィルムの表面温度を上述したように設定することにより、両端部よりも中央部におけるオレフィン系樹脂分子を高く配向させて、ラメラの生成を促進させることができる。このようなオレフィン系樹脂フィルムを延伸することによって、厚みが均一であるオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得ることができる。このオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き取ることにより、外周長が均一な微多孔フィルムロールを得ることができる。均一な外周長とすることによって、微多孔フィルムロールから巻き出されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムの湾曲や弛みの発生を低減することができる。
Tダイから押し出されたオレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部の表面温度は、(Tm+10)℃〜(Tm+100)℃であるが、(Tm+20)℃〜(Tm+90)℃が好ましい。両端部の表面温度を上記範囲内とすることにより、両端部に含まれているオレフィン系樹脂分子を十分に配向させて、ラメラを生成させることができる。
Tダイから押し出されたオレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部の表面温度は、幅方向における両端部の表面温度よりも、3〜50℃、好ましくは3〜40℃、より好ましくは3〜15℃、低くする。中央部の表面温度が低過ぎると、中央部に含まれているオレフィン系樹脂分子を十分に配向できないことがある。また、中央部の表面温度が高過ぎると、中央部に含まれているオレフィン系樹脂分子の配向が緩和されて十分に配向できないことがある。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部とはオレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中心点から左右に等しく40%ずつ広がった合計80%の範囲を意味する。また、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における端部とは、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における端縁から中心に向かって10%広がった範囲を意味する。
Tダイから押し出されたオレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部及び中央部の表面温度を制御する方法としては、例えば、Tダイやエアナイフを用いて行うことができる。
Tダイを用いる場合、Tダイ内にヒーターを内蔵し、このヒーターによる加熱温度を調整することによって、Tダイから押し出されるオレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部及び中央部の表面温度を制御することができる。
エアナイフを用いる場合、内部にヒーターが設置されている複数本のエア供給管をエアナイフに接続し、各ヒーターによる加熱温度を調整することにより、エアナイフから所定の温度分布を有する空気流を、Tダイから押し出されたオレフィン系樹脂フィルムに吹き付けることによって、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部及び中央部の表面温度を制御することができる。
次に、Tダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムをその表面温度が上記オレフィン系樹脂の融点よりも100℃低い温度以下となるまで冷却することにより、オレフィン系樹脂フィルムを構成しているオレフィン系樹脂が結晶化してラメラを生成する。本発明では、溶融混練したオレフィン系樹脂を押出すことにより、オレフィン系樹脂フィルムを構成しているオレフィン系樹脂分子を予め配向させた上で、オレフィン系樹脂フィルムを冷却することにより、オレフィン系樹脂が配向している部分がラメラの生成を促進させることができる。
(養生工程)
次いで、上述した押出工程により得られたオレフィン系樹脂フィルムを養生する。このオレフィン系樹脂の養生工程は、押出工程においてオレフィン系樹脂フィルム中に生成させたラメラを成長させるために行う。これにより、オレフィン系樹脂フィルムの押出方向に結晶化部分(ラメラ)と非結晶部分とが交互に配列してなる積層ラメラ構造を形成させることができ、後述するオレフィン系樹脂フィルムの延伸工程において、ラメラ内ではなく、ラメラ間において亀裂を発生させ、この亀裂を起点として微小な貫通孔(微小孔部)を形成することができる。
オレフィン系樹脂フィルムの養生温度は、(Tm−30)℃〜(Tm−5)℃であるが、(Tm−25)℃〜(Tm−10)℃が好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの養生温度を(Tm−30)℃の温度以上とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの結晶化を促進させて、後述する延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムのラメラ間において微小孔部を形成し易くすることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度を(Tm−5)℃の温度以下にすることによって、オレフィン系樹脂フィルムを構成しているオレフィン系樹脂の分子配向の緩和によってラメラ構造が崩れることを低減することができる。
なお、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度とは、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度である。しかしながら、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を測定できないような場合、例えば、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合には、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度とは、雰囲気温度とする。例えば、熱風炉などの加熱装置内部でオレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生を行う場合には、加熱装置内部の温度を養生温度とする。
オレフィン系樹脂フィルムの養生は、オレフィン系樹脂フィルムを走行させながら行ってもよく、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で行ってもよい。
オレフィン系樹脂フィルムの養生をオレフィン系樹脂フィルムを走行しながら行う場合、オレフィン系樹脂フィルムの養生時間は、1分以上が好ましく、5分〜60分がより好ましい。
オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合、養生時間は、1時間以上が好ましく、15時間以上がより好ましい。このような養生時間でロール状に巻き取った状態のオレフィン系樹脂フィルムを養生させることにより、ロールの表面から内部まで全体的にオレフィン系樹脂フィルムをその温度を上述した養生温度にして十分に養生させることができ、オレフィン系樹脂フィルムのラメラを十分に成長させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの熱劣化を抑制するために、養生時間は、35時間以下が好ましく、30時間以下がより好ましい。
なお、上記方法により養生を行った場合、養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムロールからオレフィン系樹脂フィルムを巻き出して、後述する延伸工程及びアニーリング工程を実施すればよい。
(延伸工程)
次に、養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸して微小孔部を形成する延伸工程を実施する。オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸する方法は、特に限定されない。後述する一軸延伸方法の他、オレフィン系樹脂フィルムを押出方向及び押出方向に直交する方向に延伸する二軸延伸方法でも構わない。二軸延伸方法は特に限定されず、オレフィン系樹脂フィルムを押出方向と押出方向に直交する方向とに同時に延伸する同時二軸延伸法、オレフィン系樹脂フィルムを押出方向に延伸した後に押出方向に直交する方向に延伸する逐次二軸延伸法が挙げられ、形成される微小孔部の形状に合わせて適宜選択することができる。
養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸して微小孔部を形成する延伸工程は、下記工程、
オレフィン系樹脂フィルムをその表面温度が−20〜100℃にて延伸速度20〜3000%/分で、延伸倍率1.05〜1.6倍に一軸延伸する第1延伸工程と、
上記第1延伸工程で延伸されたオレフィン系樹脂フィルムをその表面温度が上記第1延伸工程における上記オレフィン系樹脂フィルムの表面温度より高く且つオレフィン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下にて延伸速度15〜150%/分で、延伸倍率1.05〜3倍に一軸延伸する第2延伸工程と、
を有していることが好ましい。
(第1延伸工程)
第1延伸工程では、養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムに、その表面温度が−20〜100℃にて延伸速度20〜3000%/分で、延伸倍率1.05〜1.6倍に一軸延伸を施す。第1延伸工程では、オレフィン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。第1延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルム中のラメラは殆ど溶融しておらず、延伸によってラメラ同士を離間させることによって、ラメラ間の非結晶部において効率的に微細な亀裂を独立して生じさせ、この亀裂を起点として多数の微小孔部を確実に形成させることができる。
第1延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度は、−20〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましく、10〜40℃が特に好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を−20℃以上とすることにより、延伸時におけるオレフィン系樹脂フィルムの破断を低減することができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を100℃以下とすることにより、ラメラ間の非結晶部において亀裂を発生させることができる。
第1延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率は、1.05〜1.6倍が好ましく、1.1〜1.5倍がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を1.05倍以上とすることにより、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が形成され、これにより透気性に優れ、リチウムイオンが透過する際の抵抗が低いオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。一方、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率が1.6倍を超えると、オレフィン系樹脂フィルムの中央部に負荷される延伸応力が過剰となって厚みが薄くなり、均一な厚みを有するオレフィン系樹脂微多孔フィルムが得られないことがある。このようなオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き取っても、外周長が均一な微多孔フィルムロールが得られないことがある。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率とは、延伸後のオレフィン系樹脂フィルムの長さを延伸前のオレフィン系樹脂フィルムの長さで除した値をいう。
オレフィン系樹脂フィルムの第1延伸工程における延伸速度は、20〜3000%/分が好ましく、20〜1000%/分がより好ましく、100〜500%/分が特に好ましい。延伸速度を20%/分以上とすることにより、ラメラ間の非結晶部において微小孔部を均一に形成することができる。延伸速度を3000%/分以下とすることにより、第1延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの破断を抑制することができる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸速度とは、単位時間当たりのオレフィン系樹脂フィルムの延伸方向における寸法の変化割合をいう。
上記第1延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの延伸方法としては、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂フィルムを、回転速度が異なる複数の延伸ロールを有する一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(第2延伸工程)
第2延伸工程では、第1延伸工程後のオレフィン系樹脂フィルムに、その表面温度が第1延伸工程における上記オレフィン系樹脂フィルムの表面温度より高く且つオレフィン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下にて、延伸速度15〜150%/分で、延伸倍率1.05〜3倍に一軸延伸処理を施す。第2延伸工程においても、オレフィン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。このような第2延伸工程における延伸処理を行うことによって、第1延伸工程にてオレフィン系樹脂フィルムに形成された多数の微小孔部を成長させることができる。
第2延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度は、第1延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの表面温度よりも高く且つオレフィン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下が好ましく、第1延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの表面温度よりも高く且つオレフィン系樹脂の融点より15〜80℃低い温度以下がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を上記範囲内とすることによって、微小孔部の閉塞を抑制しつつ、微小孔部を成長させて、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの透気性を向上させることができる。
第2延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率は、1.05〜3倍が好ましく、1.5〜2.5倍が好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を1.05倍以上とすることによって、第1延伸工程時にオレフィン系樹脂フィルムに形成された微小孔部を成長させて、優れた透気性を有するオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。一方、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率が3倍を超えると、オレフィン系樹脂フィルムの中央部に負荷される延伸応力が過剰となって厚みが薄くなり、均一な厚みを有するオレフィン系樹脂微多孔フィルムが得られないことがある。このようなオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き取っても、外周長が均一な微多孔フィルムロールが得られないことがある。
第2延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸速度は、15〜150%/分が好ましく、15〜100%/分がより好ましく、15〜60%/分が特に好ましい。延伸速度を上記範囲内とすることによって、オレフィン系樹脂フィルム中に微小孔部を均一に形成することができる。
上記第2延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの延伸方法としては、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂フィルムを回転速度が異なる複数の延伸ロールを有する一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(アニーリング工程)
次に、第2延伸工程において一軸延伸が施されたオレフィン系樹脂フィルムにアニール処理を施すアニーリング工程を行う。このアニーリング工程は、上述した延伸工程において加えられた延伸によってオレフィン系樹脂フィルムに生じた残存歪みを緩和して、得られるオレフィン系樹脂微多孔フィルムに加熱による熱収縮が生じるのを抑えるために行われる。
アニーリング工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの表面温度は、100〜175℃が好ましく、130〜170℃がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を100℃以上とすることによって、オレフィン系樹脂フィルム中に残存した歪みを十分に緩和することができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を175℃以下とすることによって、延伸工程で形成された微小孔部の閉塞を抑制することができる。
アニーリング工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの収縮率は、0.1〜15%が好ましく、0.1〜10%がより好ましい。収縮率が低過ぎると、延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルム中に発生した残留応力を全体的に均一に緩和させることができず、得られるオレフィン系樹脂微多孔フィルムが残留応力を不均一に有している虞れがある。このようなオレフィン系樹脂微多孔フィルムを用いてなる微多孔フィルムロールでは、オレフィン系樹脂微多孔フィルム中の不均一な残留応力によって部分的に巻き締まり、外周長に大きな差異を生じる可能性がある。また、収縮率が高過ぎると、微小孔部が閉塞し、得られるオレフィン計樹脂微多孔フィルムの透気性や空隙率が低下する虞れがある。
なお、アニーリング工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの収縮率とは、アニーリング工程時における延伸方向におけるプロピレン系樹脂フィルムの収縮長さを、延伸工程後の延伸方向におけるプロピレン系樹脂フィルムの長さで除して100を乗じた値をいう。
次に、本発明の方法では、アニーリング工程後に、後述する巻取工程(I)又は巻取工程(II)のいずれかを実施する。アニーリング工程後のオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、厚み分布が均一であり、残留応力が緩和されていると共に、僅かに残っている残留応力も均一に分散されている。したがって、このようなオレフィン系樹脂微多孔フィルムを後述する巻取工程(I)又は巻取工程(II)において芯体に巻き取ることによって、微多孔フィルムロールは均一に巻き締まることができ、これにより微多孔フィルムロールの最大外周長と最小外周長との差を極めて少なくすることができる。このような微多孔フィルムロールから巻き出されるオレフィン系樹脂微多孔フィルムは、その長さ方向における湾曲や弛みの発生が低減されている。したがって、オレフィン系樹脂微多孔フィルムは、走行安定性に優れ、搬送下における皺や蛇行の発生が低減されていると共に、電池組立時に容易に位置決めすることができる。
(巻取工程(I))
巻取工程(I)では、アニーリング工程後のオレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより微多孔フィルムロールを得る。
巻取工程(I)において、オレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取る際に、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの巻取張力は、単位幅あたり、0.1〜200N/mが好ましく、1〜100N/mがより好ましい。巻取張力を上記範囲内とすることによって、残留応力を発生させずに、略一定の巻取速度でオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き取ることが可能となる。
巻取工程(I)において、芯体に巻き取られるオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均長さは、400m以上が好ましく、400〜5000mがより好ましく、400〜3500mがさらに好ましく、400〜1500mが特に好ましい。
巻取工程(I)において、芯体に巻き取られるオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均幅は、特に制限されないが、2cm〜3mが好ましく、2cm〜1mがより好ましい。
(巻取工程(II))
巻取工程(II)では、アニーリング工程後のオレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより原反フィルムロールを得、この原反フィルムロールからオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き出して、オレフィン系樹脂微多孔フィルムをその長さ方向に切断し、この切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより微多孔フィルムロールを得る。
巻取工程(II)では、アニーリング工程後のオレフィン系樹脂微多孔フィルムを切断して、所望の幅に調整した上で、この切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き取ることによって微多孔フィルムロールを得ることができる。しかしながら、巻取工程(II)において、切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムでは、その厚み分布や残留応力の発生が不均一となっていると、巻き取られた後に湾曲や弛みを特に発生し易い。しかしながら、本発明の方法によれば、上述した通り、厚み分布が均一であり、残留応力が緩和されていると共に、僅かに残っている残留応力も均一に分散されているオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得ることができる。したがって、本発明の方法により得られるオレフィン系樹脂微多孔フィルムを、巻取工程(II)において細幅に切断して芯体に再度巻き取ったとしても、切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムにおける湾曲や弛みの発生を低減することができる。
巻取工程(II)において、オレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより原反フィルムロールを得る際に、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの巻取張力は、単位幅あたり、0.1〜200N/mが好ましく、1〜100N/mがより好ましく、35〜70N/mが特に好ましい。巻取張力を上記範囲内とすることによって、残留応力を発生させずに、略一定の巻取速度でオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き取ることが可能となる。
原反フィルムロールにおいて芯体に巻き取られているオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均長さは、400m以上が好ましく、400〜5000mがより好ましく、400〜3500mがさらに好ましく、400〜1500mが特に好ましい。
原反フィルムロールにおいて、芯体に巻き取られているオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均幅は、特に制限されないが、3cm〜3mが好ましく、5cm〜2mがより好ましい。
巻取工程(II)において、切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより微多孔フィルムロールを得る際に、切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムの巻取張力は、単位幅あたり、0.1〜200N/mが好ましく、1〜100N/mがより好ましく、1〜30N/mが特に好ましい。巻取張力を上記範囲内とすることによって、残留応力を発生させずに、略一定の巻取速度で切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き取ることが可能となる。
微多孔フィルムロールにおいて、切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均長さは、400m以上が好ましく、400〜5000mがより好ましく、400〜3500mがさらに好ましく、400〜1500mが特に好ましい。
微多孔フィルムロールにおいて、切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均幅は、原反フィルムロール中において芯体に巻取られているオレフィン系樹脂微多孔フィルムの幅よりも細くなっていればよく、特に制限されないが、2cm〜1mが好ましく、2cm〜70cmがより好ましく、2cm〜50cmが特に好ましい。このように細幅であるオレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き取ったとしても、本発明の方法によれば、微多孔フィルムロールから巻き出された細幅のオレフィン系樹脂微多孔フィルムの湾曲や弛みの発生を低減することができる。
オレフィン系樹脂微多孔フィルムをその長さ方向に切断するためには、スリッター装置など、従来公知の装置を用いて行うことができる。
なお、巻取工程(II)において、オレフィン系樹脂微多孔フィルムをその長さ方向に切断する際に、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの幅方向における両側部を切断除去してもよい。
本発明によれば、巻き出されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムにおける湾曲や弛みの発生が低減された微多孔フィルムロールを提供することができる。
ホモポリプロピレン微多孔フィルムの湾曲量の測定原理を概略的に示す図である。 ホモポリプロピレン微多孔フィルムの弛み量の測定装置の概略断面図である。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
[実施例1]
(押出工程)
ホモポリプロピレン(重量平均分子量(Mw)413,000、数平均分子量(Mn)44,300、分子量分布(Mw/Mn)9.3、融点163℃、融解熱量96mJ/mg)を押出機に供給して、樹脂温度230℃にて溶融混練した。その後、ホモポリプロピレンを押出機の先端に取り付けられたTダイからフィルム状に押出して、溶融状態のホモポリプロピレンフィルムを得た。このとき、Tダイ内に内蔵したヒーターの温度を調整することにより、Tダイから押出した溶融状態のホモポリプロピレンフィルムの幅方向における両端部の表面温度を200℃とし、幅方向における中央部の表面温度を195℃とした。その後、溶融状態のホモポリプロピレンフィルムの幅方向における両端部及び中央部の表面温度が30℃となるまで冷却して固化さて、長尺状のホモポリプロピレンフィルムを得た。なお、押出量は10kg/時間、成膜速度は22m/分、ドロー比は83とした。
(養生工程)
次に、平均外径が178mmの円筒状の芯体を用意し、この芯体をその軸芯を中心にして周方向に回転させて、芯体に長尺状のホモポリプロピレンフィルムをロール状に巻き重ねることにより、ホモポリプロピレンフィルムロールを得た。このホモポリプロピレンフィルムロールを、このポリプロピレンフィルムロールを設置している場所の雰囲気温度が150℃である熱風炉中に24時間に亘って放置して養生した。このとき、ホモポリプロピレンフィルムロールの表面から内部まで全体的にホモポリプロピレンフィルムの温度が熱風炉内部の温度と同じ温度になっていた。
(第1延伸工程)
次に、養生工程後のホモポリプロピレンフィルムロールからホモポリプロピレンフィルムを連続的に巻き出し、ホモポリプロピレンフィルムの表面温度を20℃とした上で、第1延伸ロール及び第2延伸ロールに順次掛け渡し、第2延伸ロールの周速度を第1延伸ロールの周速度よりも大きくなるように回転させることにより、ホモポリプロピレンフィルムを140%/分の延伸速度にて延伸倍率1.2倍に押出方向にのみ一軸延伸した。
(第2延伸工程)
続いて、第2延伸ロールから送り出されたホモポリプロピレンフィルムを、加熱炉内に供給し、ホモポリプロピレンフィルムの表面温度を120℃とした上で、加熱炉内に設置された7本の延伸ロールのそれぞれに上下に且つ搬送方向に向かってジグザクに掛け渡し、延伸ロールのそれぞれの周速度をホモポリプロピレンフィルムの搬送方向に向かって順次大きくなるように回転させることにより、ホモポリプロピレンフィルムを42%/分の延伸速度にて延伸倍率1.8倍に押出方向にのみ一軸延伸した。
(アニーリング工程)
しかる後、ホモポリプロピレンフィルムを熱風炉内に上下に配置された第1ロール及び第2ロールに順次供給し、ホモポリプロピレンフィルムの表面温度が140℃となるように且つホモポリプロピレンフィルムに張力が加わらないようにして10分間に亘って熱風炉内を搬送することによりホモポリプロピレンフィルムにアニーリングを施し、ホモポリプロピレンフィルムを延伸方向(搬送方向)に10%の収縮率となるよう収縮させることによって、長尺状のホモポリプロピレン微多孔フィルム(厚み25μm)を得た。
(巻取工程(II))
次に、紙製の円筒状の芯体(平均内径6インチ、平均厚み13mm)を用意し、この芯体をその軸芯を中心にして周方向に回転させて、芯体に長尺状のホモポリプロピレン微多孔フィルム(平均長さ1320m、平均幅450mm)を、単位幅あたりの巻取張力47.6N/mにて、ロール状に巻き取ることにより、原反フィルムロールを得た。
しかる後、原反フィルムロールからホモポリプロピレン微多孔フィルムを連続的に巻き出し、スリッター装置で、ホモポリプロピレン微多孔フィルムを、その幅方向における両側部(各平均幅15mm)を切断除去すると同時に、ホモポリプロピレン微多孔フィルムの幅方向における中央をその長さ方向に連続的に切断し、切断したホモポリプロピレン微多孔フィルム(以下、切断したホモポリプロピレン微多孔フィルムを単に「ホモポリプロピレン微多孔フィルムA」ともいう)を得た。その後、紙製の円筒状の芯体(平均外径92.2mm)を2本用意し、各芯体をその軸芯を中心にして周方向に回転させて、ホモポリプロピレン微多孔フィルムAをそれぞれ、単位幅あたりの巻取張力10N/mにて、ロール状に再度巻き取ることにより、2本の微多孔フィルムロール(平均外径224mm)を得た。
[実施例2〜4及び比較例1〜4]
押出工程においてTダイから押出した溶融状態のホモポリプロピレンフィルムの幅方向における中央部の表面温度、並びに、巻取工程(II)において、ホモポリプロピレン微多孔フィルムの切断除去した両側部の各平均幅、ホモポリプロピレン微多孔フィルムAを芯体に巻き取る際の巻取張力、及び芯体に巻き取ったホモポリプロピレン微多孔フィルムAの平均長さを、それぞれ表1に示した通りに変更した以外は、実施例1と同様にして微多孔フィルムロールを得た。
[評価]
微多孔フィルムロールについて、微多孔フィルムロールの平均外径、芯体の平均外径、ホモポリプロピレン微多孔フィルムAの平均幅、及びホモポリプロピレン微多孔フィルムAの平均厚みを上述した要領に従って測定した。また、得られた微多孔フィルムロールからホモポリプロピレン微多孔フィルムAを巻き出して平均長さを上述した要領に従って測定した。これらの結果を表1に示した。
微多孔フィルムロールの一端から他端に向かって10mmの間隔毎に外周長を、上述した要領に従って測定し、隣接する外周長の差を算出した。そして、算出した隣接する外周長の差のうち、隣接する外周長の最大差を表1に示した。また、測定した外周長における最大外周長と最小外周長との差を表1に示した。
さらに、微多孔フィルムロールからホモポリプロピレン微多孔フィルムAを巻き出し、このホモポリプロピレン微多孔フィルムAについて、105℃で1時間加熱した後の長さ方向における熱収縮率、透気度、及び温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で7日間に亘って保管した後の長さ方向における自然収縮率を上述した要領に従って測定し、その結果を表1に示した。
(湾曲量の測定)
微多孔フィルムロールからホモポリプロピレン微多孔フィルムAを巻き出して切断することによって、幅210mm×長さ2mの試験片10を得た。この時、試験片10の長さ方向がホモポリプロピレン微多孔フィルムAの長さ方向となるようにした。試験片10は、互いに対向する一組の短辺10a、10aと、これら短辺10a、10aの対向する端縁同士を結ぶ湾曲した一組の長辺10b、10cとを有していた。長辺は、長さの長い長辺10bと、長さの短い長辺10cとを有し、下記の測定においては、長さが短い方の長辺10c(以下、「測定辺」ともいう)を測定対象とした。先ず、試験片10を水平な平板の上に、試験片10の下面全面が平板の上面に密着するようにして載置した。次に、図1に示すように、試験片10の測定辺10cの両端間を結ぶ直線L3を描き、直線L3の長さ方向の中央と、試験片10の測定辺10cにおける長さ方向の中央との距離M1(mm)を、湾曲量として、スケールにより測定した。ホモポリプロピレン微多孔フィルムAから試験片10を10個作製し、各試験片10の湾曲量を上記手順に従って測定し、これらの相加平均値をホモポリプロピレン微多孔フィルムAの湾曲量とした。その結果を表1に示した。
(最大弛み量の測定)
微多孔フィルムロールからホモポリプロピレン微多孔フィルムAを巻き出した後、ホモポリプロピレン微多孔フィルムAから幅210mm×長さ2.3mの試験片20を切り出した。この時、試験片20の長さ方向がホモポリプロピレン微多孔フィルムAの長さ方向となるようにした。この試験片20の長さ方向の両端部(長さ10cm)を試験片20の上面側に円筒状に湾曲させながら折り返した後、折り返した先端部を試験片20の上面に粘着テープ30a、30bによって固定することにより、試験片20の両端部に錘装着用円筒部を形成した。
次に、試験片20の長さ方向の中央部を、図2に示すように、2m間隔を存して互いに平行に配設された一対の棒状支持部材40a、40b間に掛け渡した後、これらの棒状支持部材40a、40bから垂下させた試験片の錘装着用円筒部に、ステンレス製である棒状の錘50a、50b(長さ250mm、直径12mm、重量222g)を挿着することによって、試験片20にその長さ方向に張力を加えた。
そして、張力を加えている試験片の弛み量を、下記の要領に従って測定した。先ず、一対の棒状支持部材40a、40bの頂点間を結ぶ仮想直線L4の長さ方向の中点から上方に向かって高さ50mmの位置に、四角柱状の測定基準部材60をその長さ方向を試験片20の幅方向と平行となるように配設した。次に、試験片の幅方向における一端から他端に向かって10mmの間隔毎に、試験片20と測定基準部材60の下面との鉛直方向の距離M2(mm)をスケールにより測定し、この距離M2と50(mm)との差の絶対値を弛み量として算出した。そして、算出した弛み量のうち最大の弛み量を表1に示した。
Figure 2016027139
10 試験片
10a 短辺
10b 長辺
10c 長辺
10c 測定辺
20 試験片
30a、30b 粘着テープ
40a、40b 棒状支持部材
50a、50b 錘
60 測定基準部材
3 直線
4 仮想直線
1 距離
2 距離

Claims (9)

  1. オレフィン系樹脂フィルムを延伸することによって形成された長尺状のオレフィン系樹脂微多孔フィルムが芯体に巻き重ねられて形成されている微多孔フィルムロールであって、
    上記微多孔フィルムロールの一端から他端に向かって10mmの間隔毎に測定した上記微多孔フィルムロールの外周長において、隣接する外周長の差が1.5mm以下であり、最大外周長と最小外周長との差が3mm以下であり、且つ下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする微多孔フィルムロール。
    [(D/2−d/2)/w]×[(h1−h2)/t]<200 (1)
    (式中、Dは上記微多孔フィルムロールの平均外径(mm)であり、dは上記芯体の平均外径(mm)であり、wは上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均幅(mm)であり、h1は上記微多孔フィルムロールの最大外周長(mm)であり、h2は上記微多孔フィルムロールの最小外周長(mm)であり、且つtは上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均厚み(mm)である。)
  2. オレフィン系樹脂微多孔フィルムの平均長さが400m以上であることを特徴とする請求項1に記載の微多孔フィルムロール。
  3. オレフィン系樹脂微多孔フィルムは、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸することによって形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の微多孔フィルムロール。
  4. 105℃で1時間加熱した後のオレフィン系樹脂微多孔フィルムの長さ方向における熱収縮率が4%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微多孔フィルムロール。
  5. オレフィン系樹脂微多孔フィルムの透気度が100〜600sec/100mLであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の微多孔フィルムロール。
  6. 温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で7日間に亘って保管した後の、オレフィン系樹脂微多孔フィルムの長さ方向における自然収縮率が、0.3%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の微多孔フィルムロール。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の微多孔フィルムロールから切り出したことを特徴とするオレフィン系樹脂微多孔フィルム。
  8. オレフィン系樹脂を、押出機にて溶融混練した後、上記押出機の先端に取り付けたTダイから押し出すことにより、幅方向における両端部の表面温度が(Tm+10)℃〜(Tm+100)℃であり、且つ幅方向における中央部の表面温度が上記両端部の表面温度より3〜50℃低くなっている長尺状のオレフィン系樹脂フィルムを得る押出工程と、
    上記押出工程後の上記オレフィン系樹脂フィルムを(Tm−30)℃〜(Tm−5)℃の温度で養生する養生工程と、
    上記養生工程後の上記オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸する延伸工程と、
    上記延伸工程後の上記オレフィン系樹脂フィルムをアニールすることにより、長尺状のオレフィン系樹脂微多孔フィルムを得るアニーリング工程と、
    巻取工程と、
    (ここで、上記Tmは、上記オレフィン系樹脂の融点(℃)である)を有する微多孔フィルムロールの製造方法であって、
    上記巻取工程が、
    上記アニーリング工程後の上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより微多孔フィルムロールを得る巻取工程(I)、又は
    上記アニーリング工程後の上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより原反フィルムロールを得、この原反フィルムロールから上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムを巻き出した後、上記オレフィン系樹脂微多孔フィルムをその長さ方向に切断し、この切断したオレフィン系樹脂微多孔フィルムを芯体に巻き取ることにより微多孔フィルムロールを得る巻取工程(II)
    を有することを特徴とする微多孔フィルムロールの製造方法。
  9. 延伸工程が、
    養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムをその表面温度が−20〜100℃にて延伸速度20〜3000%/分で、延伸倍率1.05〜1.6倍に一軸延伸する第1延伸工程と、
    上記第1延伸工程で延伸されたオレフィン系樹脂フィルムをその表面温度が上記第1延伸工程における上記オレフィン系樹脂フィルムの表面温度より高く且つオレフィン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下にて延伸速度15〜150%/分で、延伸倍率1.05〜3倍に一軸延伸する第2延伸工程と
    を有することを特徴とする請求項8に記載の微多孔フィルムロールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020147615A (ja) * 2019-03-11 2020-09-17 三菱ケミカル株式会社 多孔性フィルム捲回体、およびその製造方法

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