JP3995813B2 - 回折レンズの設計方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、集光、分岐、収差補正などの複数の光学的機能を有する回折レンズの設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
集光機能と光分岐機能とを有する回折面を設計するための技術としては、従来からホログラフィー技術が利用されている。例えば、1つの光源からの光束を3つの集光点に集光する回折素子を作る場合、光源に相当する光と、3つの集光点に相当する点から発散する光とを干渉させ、あるいは、計算機上で上記と等価の計算を行ってホログラムを作る。このホログラムに干渉時と同一の光を光源から与えると、上記の3つの集光点に光が集光する。
【0003】
また、集光機能と収差補正機能とを有する回折面を設計する方法として、回折素子の面上の位相付加量を面上の座標の関数として取り扱い、この関数の係数を調整することにより収差を補正する位相関数法という方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したホログラフィー技術では、各集光点毎の光量分布をコントロールすることが困難であるため、所望の集光点以外にも光が分配されて、光量損失が大きくなるという問題がある。
【0005】
一方、位相関数法は、1つの回折次数の収差を評価をするための方法であり、回折面に光分岐機能を持たせたい場合には、面形状を決定することができない。
【0006】
この発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、集光、光分岐、収差補正を含む複数の光学的機能を1つの回折面に持たせる場合に有効な設計方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる回折レンズの設計方法は、上記の目的を達成させるため、回折作用を利用した複数の光学的機能を有する方法において、各光学的機能毎に回折面を定義し、定義された複数の回折面のデータを用いてレンズ設計プログラムにより、最終的な全機能を1面に集約した回折面の性能を評価し、評価に基づいて各回折面の定義を修正し、定義された各回折面のデータを重ね合わせることにより、単一の回折レンズの形状を求めること特徴とする。
【0008】
上記の方法によれば、設計に用いられる各回折面は単純な光学的機能を持つのみであるため、設計段階では、これら複数の回折面が光軸方向に並んだ系として評価することにより、屈折系用に開発されたレンズ設計プログラムにより光線追跡等の評価が可能である。そこで、複数の回折面から成る系として評価、設計をした後、これらの回折面のデータを合成することにより、所望の性能を持つ1つの回折レンズ面を得ることができる。
【0009】
設計時に用いられる各回折面のデータとしては、位相量、あるいは形状(光軸方向の厚さの分布)を用いることができる。この発明は、最終的に得られる回折面が、集光機能、光分岐機能、収差補正機能を含む場合に特に有効である。
【0010】
より詳細には、この発明の回折レンズの設計方法は、少なくとも使用波長、焦点距離、分岐数、分岐集光点間隔を含む仕様に基づき、入射光を複数に分岐してそれぞれ集光させる回折レンズを設計する方法において、焦点距離に基づいて集光機能を持つ集光回折面を定義する集光回折面定義ステップと、焦点距離、分岐数、分岐集光点間隔に基づいて光を複数の次数の回折光に分岐させる分岐回折面を定義する分岐回折面定義ステップと、集光回折面、分岐回折面のデータを重ね合わせて最終的な回折面を定義する合成ステップとを備えることを特徴とする。
【0011】
実形状を得るための合成ステップは、少なくとも分岐回折面の定義から対応する光路差関数値を波長で表した際の小数部分を求め、等分岐のための回折格子の1ピッチ内の位相分布を表す基準位相パターンに小数部分をマッピングして位相分布を求める第1の位相分布計算ステップと、集光回折面の定義から光路差関数値を波長で表した際の小数部分を求めて対応する位相分布を求める第2の位相分布計算ステップと、第1,第2の位相分布計算ステップで求められたそれぞれの位相分布を合成して形状に変換することにより、最終的な回折面の形状を求める形状計算ステップとを含むことが望ましい。
【0012】
また、合成ステップの前に、集光回折面と分岐回折面とを組合わせた場合に各集光点で発生する収差を補正するための収差補正回折面を定義する収差補正回折面定義ステップを含ませてもよい。この場合には、合成ステップにおいて、集光回折面、分岐回折面、収差補正回折面のデータを重ね合わせて最終的な回折面を定義することとなる。
【0013】
基準位相パターンは、分岐数、分岐光量分布に基づいて予め定めておけばよい。なお、収差補正回折面としては、回折レンズに集光、光分岐機能を持たせる場合には、これにより発生するコマ収差を補正する回折面が定義されることが望ましい。このほかにも、非点収差、像面湾曲等を補正対象とすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる回折レンズの設計方法の実施形態を説明する。図1は、実施形態にかかる設計方法の概略を示すフローチャートである。実施形態では、入射する平行光を一直線上で等間隔に並ぶ複数の集光点に集光させる回折レンズの設計を例とする。この回折レンズは、集光機能、光分岐機能、そして集光、光分岐機能により発生するコマ収差を補正する機能を有するものとする。
【0015】
まず、図1に基づいて設計方法の概略を説明する。設計に当たって、波長λ、焦点距離f、分岐数、集光点間隔dが仕様として与えられる。以下、ステップS1〜S8が順に実行されて回折レンズの実形状が得られる。
【0016】
ステップS1(集光回折面定義ステップ)では、波長λ、焦点距離fに基づいて無収差の集光レンズとしてのパワー成分(集光機能)を持つ集光回折面を光路差関数φpの形で定義する。光路差関数は、回折レンズによる光路長の付加量を回折レンズ面上の座標の関数として定義する関数である。
【0017】
ステップS2(分岐回折面定義ステップ)では、集光点間隔dと焦点距離fとから分岐成分(光分岐機能)を持つ分岐回折面を光路差関数φgの形で定義する。
【0018】
ステップS3では、上記の回路差関数φp,φgより求められる回折面形状から光線追跡によりコマ収差を求める。ステップS4(収差補正回折面定義ステップ)では、求めたコマ収差を補正する成分を持つ収差補正回折面を光路差関数φcの形で定義する。
【0019】
ステップS5〜S8は、集光回折面、分岐回折面、収差補正回折面のデータを重ね合わせて最終的な回折面を定義する合成ステップに該当する。まず、ステップS5では、分岐用、コマ補正用の光路差関数φg,φcを合成して合成回折面を光路差関数φgcの形で求める。
【0020】
次に、ステップS6(第1の位相分布計算ステップ)において、光路差関数φgcを波長単位で表した際の小数部分φgc’を求め、これを回折格子の1ピッチ内の形状分布を表す基準位相パターンにマッピングして光路差関数φdivを求める。ステップS7(第2の位相分布計算ステップ)では、集光回折面の光路差関数φpを波長単位で表した際の小数部分φp’を求める。ステップS6とS7とは順序を問わない。
【0021】
そして、ステップS8(形状計算ステップ)では、上記の光路差関数の小数部分の和φdiv+φp’により最終的な回折レンズの光路差関数φを求め、これを実形状関数τに変換する。このようなステップを経て回折レンズを設計すれば、集光、光分岐、収差補正の各光学的機能ごとに屈折系用のレンズ設計プログラムを用いた評価が可能であり、設計が容易である。
【0022】
次に、上記の設計方法による具体的な設計例につき、図1のフローチャートの順序に従ってステップ毎に説明する。ここでは、入射する平行光を0次、1次、2次の3つの次数の光に分岐し、レンズから50mmの位置で互いに2.5mm離れた集光点にそれぞれ集光させる回折レンズを例とする。すなわち、仕様としては、波長λ=587.56nm、焦点距離f=50mm、分岐数3、集光点間隔d=2.5mmとなる。説明のため、図2に示すような座標系を定義する。図中一点鎖線で示す光軸をX軸、回折レンズ面10が配置される面内で、X軸に垂直な一方向をY軸、X,Yの両軸に対して垂直なZ軸を定義する。0次回折光の集光点L0は光軸上、1次回折光の集光点L1はY=2.5mmの点、2次回折光の集光点L2はY=5.0mmの点となる。
[ステップS1]
レンズ設計プログラム上で、1次回折光に対して焦点距離f=50mmのパワーを持つ無収差の回折レンズを集光回折面として光路差関数φpの形で定義する。集光回折面は、回転対称であり、光路差関数φpはY,Zの関数となる。
【0023】
ここでは、集光回折面を高屈折率法により定義する。高屈折率法は、回折作用を非常に高い屈折率を持つ薄膜状のレンズやプリズムとして表現することにより、屈折系用のレンズ設計プログラムで回折素子の設計、評価を可能とする方法である。
【0024】
屈折率は、できるだけ高い方がシミュレーションの精度は高くなるが、コンピュータ言語の仕様として計算精度に限度があるため、一般に500〜20000程度の値が用いられる。集光回折面の1次回折光に対する屈折率n1は、使用波長λを用いて以下のように定義できる。
【0025】
1=λ×10i+1
ここでは、λをnm単位で表したとして、i=7とし、したがって、n1=5876.6となる。また、このような球面波を生じる回折レンズは、高屈折率を前提とすると、曲率半径r=f(n1−1)、円錐係数κ=−n1 2の双曲面レンズと光学的に等価になることから、これらr、κの値は以下の通りとなる。
【0026】
r=2.9378×105
κ=−3.4534×107
上記の集光回折面を光路差関数φp(Y,Z)で表すと、軸上で波面収差が0になる条件から以下の通りとなる。
【0027】
Figure 0003995813
[ステップS2]
ステップS2では、焦点距離f=50mm、集光点間隔d=2.5mmとなる分岐回折面を定義する。ここでは、格子ピッチ(空間周波数ν)及び光路差関数φgを求める。分岐回折面は、Z座標に依存せずY方向にのみ光路差分布を持ち、したがって、光路差関数φgはYのみの関数となる。
【0028】
分岐回折面に対する入射角度をθ、射出角度をθ’とすると、
sinθ−sinθ'=mλν
という回折格子の基礎公式が成り立つ。ここで、mは回折次数である。焦点距離fと集光点間隔dとから、
−ftanθ'=d×m
となり、f=50.0,d=2.5より、m次光の射出角θm’は、
tanθm'=−0.05m
θm’=−atan(0.05m)
となる。一方、入射光束は回折素子に垂直入射するため、回折次数に関わらずθ=0である。これを上記の基本公式に代入すると、以下の通り回折光に対する空間周波数νが求められる。
【0029】
0−sin atan(-0.05m)=m0.00058756ν
ν=sin atan(0.05)/0.00058756 = 84.992
一方、分岐回折面を高屈折率法で定義する場合には、高屈折率の薄プリズムとして定義される。回折光に対する高屈折率プリズムの頂角をαとすると、分岐回折面の光路差関数φgmは以下のように定義される。
【0030】
φgm(Y)=(Y×(nm−1)tanα)/λ=m×ν×Y (単位λ)
したがって、各次数に対する光路差関数は、以下の通りである。
【0031】
φg0 (Y)=0×84.992×Y
φg1 (Y)=1×84.992×Y (単位λ)
φg2 (Y)=2×84.992×Y (単位λ)
また、分岐回折面の作用を考える際には、回折次数m毎に屈折率を以下のように定義すると計算が容易である。
【0032】
m=mλ×10i+1
この例では、λ=587.56nm、i=7であるため、各次数に対する屈折率は、n0=1、n2=5876.6、n2=11752.2となる。上記のφgm(Y)の式に上記の屈折率の式を代入すると、プリズム頂角αは、
φg1(Y)=Y×(1λ×107+1−1) tanα/λ=ν×Y
tanα=ν×10-7
α=atan(ν×10-7)
α=atan(84.992× 10-7)=0.000486966°
となる。
【0033】
なお、分岐回折面については、高屈折率法による評価の際、各次数に対して空間周波数ν、プリズム頂角αは一定であるが、屈折率が異なるために光路差関数の値が相違し、これにより各次数毎の評価が可能となる。そして、これらの光路差関数に基づいて実形状を求める際の回折構造の切り替わり点については、1次回折光を基準に求めた数値を用いることができる。
[ステップS3]
続いて、上記の2つのステップで求められた集光回折面、分岐回折面のデータを用い、これら2つの回折面により発生するコマ収差をレンズ設計プログラムを用いて光線追跡により求める。
【0034】
コマ収差の波面Wは係数をWcとして、
W(Y,Z)=WcY(Y2+Z2)
で与えられる。
[ステップS4]
上記のコマ収差Wを補正するためのコマ収差補正回折面を定義する。高屈折率法では、コマ収差は回転対称な4次曲面の横ずらしにより補正できる。そこで、0次、1次、2次回折光に対する屈折率をそれぞれ1.00、5876.6、11752.2 とした高屈折率薄膜でコマ収差を補正するための位相関数を定義する。薄膜レンズの4次の非球面係数を共通な値A4、横ずらし量Δとすると、高屈折率薄膜の光軸方向Xの厚さT(Y,Z)は以下の通りとなる。
T(Y,Z)=−A4(Y2+Z2)2+A4((Y−Δ)2+Z2)2
=−A4((Y2+Z2)2−((Y−Δ)2+Z2)2)
=−A4((Y4+Z4+2Y22)−((Y−Δ)4+Z4
+2(Y−Δ)22))
=−A4((Y4+2Y22)−((Y−Δ)4+2(Y−Δ)22))
=−A4((Y4+2Y22)−((Y2−2YΔ+Δ2)2
+2(Y2−2YΔ+Δ2)Z2))
=−A4((Y4)−((Y2−2YΔ+Δ2)2+2(−2YΔ+Δ2)Z2))
=−A4((Y4)−(Y4+4Y2Δ2+Δ4−4Y3Δ+2Y2Δ2−4YΔ3
+2(−2YΔ+Δ2)Z2))
=A4(6Y2Δ2+Δ4−4Y3Δ−4YΔ3+2(−2YΔ+Δ2)Z2)
横ずらし量Δは微少量であり、2乗以上の高次項は無視できるとすると、以下の式が成立する。
【0035】
T(Y,Z)=−4×A4×Δ×Y×(Y2+Z2)
回折面はほぼ光軸に垂直な平面であり、光路差Dは
D=T(Y,Z)×(nm−1)
と考えられる。とすると、上記の式T(Y,Z)中のA4×Δがコマ収差補正量を決定する値となる。非球面係数A4と横ずらし量Δとのそれぞれ単独の値の大きさには意味がないが、Δの2乗が十分に小さな値になり、その際に、非球面によるサグの変化が十分に小さい値になるようにA4、Δを選択するのが好ましい。
この設計例ではΔ=0.001でA4=4.05×10-7とするとコマ収差が補正できる。したがって、m次回折光に対するコマ収差補正回折面の光路差関数φcm(Y,Z)は、以下のように定義される。
Figure 0003995813
以上までのステップで、光学的機能毎に分割された回折面の定義が終了する。定義された複数の回折面のデータを用いてレンズ設計プログラムにより、最終的な全機能を1面に集約した回折面の性能を評価することができ、評価結果に基づいて各回折面のデータを修正することができる。なお、必要に応じて、その他の機能、例えば非点収差補正機能等を持つ回折面をさらに定義してもよい。
【0036】
ここで、以上までのステップで求めた光路差関数を波長単位で整理すると、1次回折光に対する集光回折面、分岐回折面、コマ収差補正回折面の光路差関数は、以下の通りである。
集光(パワー) φp(Y,Z)=(−√(2500+Y2+Z2)+50)/0.00058756
分岐 φg1 (Y)= 84.992 ×Y
コマ収差補正 φc(Y,Z)=−0.0162 ×Y(Y2+Z2)
以下の表1に、回折レンズの口径を10mmとした場合のY軸上(Z=0)の各光路差関数の具体的な値を0.5mm毎に示す。図3は、これらの関係を示すグラフである。コマ収差補正成分は他の2成分と較べ非常に小さい。
【0037】
【表1】
Figure 0003995813
[ステップS5]
以下の合成ステップでは、ステップS4までで求めた複数の回折面の光路差関数に基づいて、これらの機能を1面に集約した回折レンズの実形状を求めてゆく。ステップS5では、分岐回折面とコマ収差補正回折面とを光路差関数レベルで加算して合成回折面を光路差関数φgc=φg+φcの形で求める。表1及び図3には、合成回折面の光路差関数の値も「分岐+コマ補正」として表示されている。
[ステップS6]
続いて、上記の合成回折面の光路差関数φgcから波長の整数倍の成分を消去して以下のように小数部分の光路差関数φgc’を求める。
【0038】
φgc'(Y,Z)=MOD((φg+φc),1)
MOD(x,y)はxをyで割った剰余を与える関数であり、ここでは光路差関数から波長の整数倍の成分を消去した小数部分を示す。φgcにより定義される回折面は、これを実形状に変換するとY軸方向に光路差が単調に変化する面であるのに対し、φgc’により定義される回折面は、このまま実形状にするとZ軸と平行な帯状のパターンをY軸方向に多数並列して構成され、各境界毎に波長分の光軸方向の段差を持つ断面が鋸歯状の不連続面となる。
【0039】
ステップS6では、合成された光路差関数の小数部分φgc’を光路差関数レベルで回折格子の1ピッチ内の形状分布を表す基準位相パターンにマッピングする。マッピングにより得られる光路差関数をφdiv、1次回折光用の光路差関数をあらかじめ求められている等分岐用の基準位相パターンにマッピングして等分岐用光路差関数φdivへ変換する関数をf(x)とすると、これらの関係は以下の通りとなる。
【0040】
φdiv=f(φgc'(Y,Z)) =f(MOD((φg+φc),1))
上記の光路差関数φgにより定義される分岐回折面、及びこれを用いた合成回折面は、分岐数、集光点間隔を定義することはできるが、各集光点の光量バランスを定義することはできない。このような各集光点間の光量バランスは、基準位相パターンにより定義される。
【0041】
分岐のための基準位相パターンを用いた回折面も、上記の分岐回折面、合成回折面と同様に、実形状に変換した際にはZ方向に延びる帯状の基準位相パターンをほぼ等ピッチでY方向に多数並列した構造となる。
【0042】
基準位相パターンは、光束を所望の本数に分割するときに、(1)分割された各光束の強度が同一になるようにすること、(2)目的とする分割数以外の位置に余分な光が出ないようにすること、という2つの条件を満たすよう最適化することによりその形状が求められる。
【0043】
表2は、実施形態に用いられる3等分岐 (0次、1次、2次) 用の基準位相パターンの数値構成の一例を示す。この表では、1次回折光用の光路差関数の1周期(1波長)を64等分し、この小数部分φgc’に対応する基準位相パターンの相対的な形状を、光の位相差(単位:波長λ)として示している。図4は、表2に示される基準位相パターン(「実施形態」として示される太い実線)の形状を位相差として示すグラフであり、縦軸が位相差、横軸が1次回折光用の光路差関数の小数部分である。図4における変形例については後述する。
【0044】
【表2】
Figure 0003995813
[ステップS7]
ステップS7では、集光回折面の光路差関数φpから波長の整数倍の成分を除いた小数部分φp’を以下のように求める。
φp'(Y,Z)=MOD(((−√(2500+Y2+Z2)+50.0)/0.00058756),1)
この光路差関数φp'により表現される集光回折面は、実形状としてはフレネルレンズのように同心円状の多数の輪帯から成り、各輪帯の境界に光軸方向の段差を持つ不連続面である。
[ステップS8]
次に、上記の小数部分φp'を光路差関数レベルにおいて、上記のステップS6において求めたマッピング後の光路差関数φdivと足し合わせて最終的な光路差関数φ(Y,Z)を求める。
【0045】
φ(Y,Z)=φdiv+φp'=f(MOD((φg+φc),1))+MOD(φp',1)
最後に、光路差関数φ(Y,Z)に基づいて、最終的な回折レンズの実形状を求める。実形状を光軸方向の厚さを示す形状関数τ(Y,Z)で表すと、空気中での使用を前提とし、回折レンズを形成する基材の屈折率(高屈折率法における次数毎の屈折率とは異なる実際の値)をn、ブレーズ化波長をλBとして、以下の通りとなる。
【0046】
Figure 0003995813
そして、この形状τ(Y,Z)に基づいて切削加工により回折レンズを形成する。あるいは、形状τ(Y,Z)を例えば8レベルに量子化し、リソグラフィーの手法によって回折レンズを作製してもよい。
【0047】
なお、上記の実施形態では、光量を等分に分配するための基準位相パターンとして、入射光を0、1、2次の3つの回折光に等分岐させるためのパターンを示した。しかしながら、この発明の設計方法は、分岐の次数が上記の次数以外の場合にも適用できる。この場合には、ステップS6でマッピングに用いられる基準位相パターンのデータを変更すればよい。
【0048】
以下の表3は、入射光を0、±1次回折光に3等分岐させるためのパターンを示すデータであり、その形状は図4に細線の実線により「変形例1」として表されている。
【0049】
【表3】
Figure 0003995813
以下の表4は、入射光を0、±1、±2次回折光に5等分岐させるためのパターンを示すデータであり、その形状は図4に細線の点線により「変形例2」として表されている。
【0050】
【表4】
Figure 0003995813
最後に、以下の表5は、入射光を0、1、2、3、4次回折光に5等分岐させるためのパターンを示すデータであり、その形状は図4に太線の点線により「変形例3」として表されている。
【0051】
【表5】
Figure 0003995813
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の回折レンズ設計方法によれば、複数の光学的機能を有する回折レンズを、各機能毎に定義された複数の回折面に分割して設計することにより、屈折系用のレンズ設計プログラムを用いた設計、評価が可能となり、複雑な光学的機能を持つ回折面を容易に設計することが可能となる。
【0053】
特に像高の1乗に比例するコマ収差の補正を分岐回折格子と重ね合わせることにより、球面収差、コマ収差のない結像(集光)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態にかかる回折レンズの設計方法の概略を示すフローチャート。
【図2】 実施形態の説明のための座標系の設定を示す斜視図。
【図3】 実施形態の方法により定義された各回折面の光路差関数の値を示すグラフ。
【図4】 実施形態の方法に利用される基準位相パターンの形状を示すグラフ。
【符号の説明】
10 回折レンズ
L0 0次回折光の集光点
L1 1次回折光の集光点
L2 2次回折光の集光点

Claims (8)

  1. 複数の光学的機能を有する回折レンズの設計方法において、
    各光学的機能毎に回折面を定義し、定義された複数の回折面のデータを用いてレンズ設計プログラムにより、最終的な全機能を1面に集約した回折面の性能を評価し、評価に基づいて各回折面の定義を修正し、定義された各回折面のデータを重ね合わせることにより、単一の回折レンズの形状を求めること特徴とする回折レンズの設計方法。
  2. 前記各回折面のデータは、位相量、あるいは形状であることを特徴とする請求項1に記載の回折レンズの設計方法。
  3. 前記光学的機能は、集光機能、光分岐機能を含むことを特徴とする請求項1に記載の回折レンズの設計方法。
  4. 前記光学的機能は、さらに収差補正機能を含むことを特徴とする請求項3に記載の回折レンズの設計方法。
  5. 少なくとも使用波長、焦点距離、分岐数、分岐集光点間隔を含む仕様に基づき、入射光を複数に分岐してそれぞれ集光させる回折レンズを設計する回折レンズの設計方法において、
    焦点距離に基づいて集光機能を持つ集光回折面を定義する集光回折面定義ステップと、
    焦点距離、分岐数、分岐集光点間隔に基づいて光を複数の次数の回折光に分岐させる分岐回折面を定義する分岐回折面定義ステップと、
    前記集光回折面、前記分岐回折面のデータを重ね合わせて最終的な回折面を定義する合成ステップとを備えることを特徴とする回折レンズの設計方法。
  6. 前記合成ステップは、さらに、
    少なくとも前記分岐回折面の定義から対応する光路差関数値を波長で表した際の小数部分を求め、等分岐のための回折格子の1ピッチ内の位相分布を表す基準位相パターンに前記小数部分をマッピングして位相分布を求める第1の位相分布計算ステップと、
    前記集光回折面の定義から光路差関数値を波長で表した際の小数部分を求めて対応する位相分布を求める第2の位相分布計算ステップと、
    前記第1,第2の位相分布計算ステップで求められたそれぞれの位相分布を合成して形状に変換することにより、最終的な回折面の形状を求める形状計算ステップとを有することを特徴とする請求項5に記載の回折レンズの設計方法。
  7. 前記合成ステップの前に、前記集光回折面と前記分岐回折面とを組合わせた場合に各集光点で発生する収差を補正するための収差補正回折面を定義する収差補正回折面定義ステップをさらに含み、前記合成ステップでは、前記集光回折面、前記分岐回折面、前記収差補正回折面のデータを重ね合わせて最終的な回折面を定義することを特徴とする請求項5に記載の回折レンズの設計方法。
  8. 前記収差補正回折面定義ステップでは、少なくともコマ収差を補正する収差補正回折面が定義されることを特徴とする請求項7に記載の回折レンズの設計方法。
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