JP3994544B2 - 車両用シートベルトのアンカーブラケット取付け構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用シートベルトのアンカーブラケット取付け構造の改良に関し、特に取付け部の強化対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両のフロントシートには、フロントシートに座った乗員を衝突事故から守るためにシートベルトが備えられている。このシートベルトには、衝突時に強い引張り荷重が作用することから、その取付け部には上記引張り荷重に十分に耐え得るだけの取付け強度が要求される。
【0003】
このような強化対策として、例えば実公平7−50288号公報に開示されているような取付け構造がある。この取付け構造は、車体のフロントドア開口部とリヤドア開口部とを仕切るセンターピラー下端とサイドシルとの合流部にシートベルトリトラクタレインフォースメントを固定している。このレインフォースメントは、センターピラーに沿う上端部分をシートベルトリトラクタ取付け部にするとともに、その下方でサイドシルに沿う下端後側部分をアンカープレート取付け部にしている。また、レインフォースメントの下端前側部分に矩形台状の取付け部を側方に突出するように設け、この取付け部をシートブラケット取付け部としてフロアパネルに固定している。
【0004】
そして、レインフォースメントをセンターピラー、サイドシル及びフロアパネルの三者に固定することで、衝突時にレインフォースメントに作用する引張り荷重を上記三者に効果的に分散してレインフォースメントの取付け強度を確保するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の取付け構造では、衝突時の引張り荷重をレインフォースメントでセンターピラー、サイドシル及びフロアパネルの三者に分散するとはいっても、衝突時に引張り荷重が直接に作用する箇所は、レインフォースメントのうちサイドシルに沿う下端後側部分であるアンカープレート取付け部であり、上記引張り荷重がこのアンカープレート取付け部の一点に集中するため、ともすればレインフォースメントが剥ぎ取られる懸念がある。
【0006】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、衝突時に引張り荷重が作用するシートベルト端部の取付け箇所の取付け強度を高めることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、シートベルト端部の取付け箇所をその周りの2箇所で支持するようにしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、この発明は、車両用シートベルトの端部が取り付けられるアンカーブラケットの取付け構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記アンカーブラケットとして、水平に延びる水平プレート部とこの水平プレート部側端から鉛直に延びる鉛直フランジ部とを備えたものを採用する。そして、フロアパネルから上方に突出しフロントシートのシート取付け部が取り付けられるシートブラケット上端に上記水平プレート部を固定する。また、上記鉛直フランジ部をサイドシル内側面に固定したことを特徴とする。
【0010】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、衝突によりシートベルトに強い引張り荷重が作用すると、この引張り荷重はその取付け部であるアンカーブラケットに作用し、アンカーブラケットは上方に強く引っ張られる。この場合、上記アンカーブラケットは、水平プレート部及び鉛直フランジ部によってシートブラケットとサイドシルとの2箇所で支持されて剛直に取り付けられており、しかも、アンカーブラケットに作用する引張り荷重は上記水平プレート部及び鉛直フランジ部を経てシートブラケットとサイドシルとにそれぞれ分散されるため、アンカーブラケットは取付け強度が一段と確保されて引張り荷重に十分に耐え得るものとなり、乗員の安全性が増す。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、水平プレート部をシート取付け部と共にシートブラケットにボルトで共締めしたことを特徴とする。
【0012】
上記の構成により、請求項2に記載の発明では、水平プレート部がシート取付け部をシートブラケットに取り付ける際に共通のボルトで一緒に取り付けられることから、水平プレート部を取り付けるための専用のボルトが別途にいらず、部品の共通化が図られるとともに、取付け工数が少なくなって取付け作業が簡略化される。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、鉛直フランジ部をサイドシル内側面にボルトで締結したことを特徴とする。
【0014】
上記の構成により、請求項3に記載の発明では、閉断面構造であるサイドシルの構造上、溶接では鉛直フランジ部をサイドシルに取り付け難いが、ボルトによる取付けは予めボルト挿入孔をサイドシルに形成しておけばよいことから、ボルトにより鉛直フランジ部がサイドシルに容易に取り付けられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜3はこの発明の実施の形態に係るアンカーブラケット取付け構造を示す。図1〜3において、1は車両の車体側方で車体前後方向に延びるサイドシル、2は、このサイドシル1から上方に延び車体のフロントドア開口部3とリヤドア開口部4とを仕切るセンターピラーであって、このセンターピラー2下端には、シートベルトリトラクタ(図示せず)を装着する矩形の装着孔5が形成されている。
【0017】
上記装着孔5の下方でサイドシル1とセンターピラー2下端との合流部に対応するフロアパネル6には、矩形台状のシートブラケット7がフロアパネル6から上方に突出して取り付けられ、このようなシートブラケット7は1つのフロントシート(図示せず)に対してフロアパネル6の前後左右の4箇所に取り付けられ、この4つのシートブラケット7に左右2本のシートフレーム8を掛け渡してフロントシートを据え付けるようになっている。
【0018】
図1〜3では、シートベルト9が取り付けられる後ろ側のシートブラケット7を示し、このシートブラケット7は鋼板をプレス成形して矩形上面部10とその3辺から下方に延びる3つの矩形側面部11とからなり、車体前後方向に対向する2つの側面部11側端から各々延びるフランジ11aをその間の側面部11にスポット溶接することで矩形台状に構成されている。
【0019】
上記シートブラケット7の上面部10にはボルト挿入孔10aが形成され、その裏面にはナット12がそのねじ孔を上記ボルト挿入孔10aに対応させて溶着され、上記シートフレーム8後端に形成されたボルト挿入孔8aを上記上面部10のボルト挿入孔10aに対応させてボルト13を上方からナット12に螺合させることで、シートフレーム8をシートブラケット7に取り付けるようになっている。
【0020】
上記シートブラケット7の3つの側面部11下端には別のフランジ11bが張り出しており、これら3つのフランジ11bをフロアパネル6にスポット溶接することでシートブラケット7をフロアパネル6に固定するようになっている。また、シートブラケット7の側面部11のない開放端縁には、3つのフランジ11cが張り出しており、これら3つのフランジ11cを上記サイドシル1内側面にスポット溶接することでシートブラケット7はサイドシル1にも固定されている。
【0021】
上記シートブラケット7の上面部10及びサイドシル1内側面には、アンカーブラケット14が取り付けられている。具体的には、このアンカーブラケット14は水平に延びる水平プレート部15と、この水平プレート部15の後ろ側の側端から上方に鉛直に延びる鉛直フランジ部16とを備え、上記水平プレート部15の前側には車体前後方向に長い長孔からなるボルト挿入孔15aが形成され、この水平プレート部15は、シートフレーム8をシートブラケット7に取り付ける際、その間に介在されて各々のボルト挿入孔8a,15a,10aを対応させ、シートフレーム8と共にシートブラケット7にボルト13で共締めされて固定されるようになっている。
【0022】
上記鉛直フランジ部16には、上下方向に長い長孔からなるボルト挿入孔16aと真円からなるボルト挿入孔16bとが形成され、一方、上記サイドシル1内側面には2つのボルト挿入孔1a,1bが形成され、その裏面にはナット(図示せず)がそのねじ孔を上記ボルト挿入孔1a,1bに対応させて溶着され、上記鉛直フランジ部16の2つのボルト挿入孔16a,16bを上記サイドシル1内側面の2つのボルト挿入孔1a,1bに対応させてボルト17を側方からナットに螺合させることで、鉛直フランジ部16をサイドシル1内側面にボルト17で締結して固定するようになっている。
【0023】
上記アンカーブラケット14の水平プレート部15の後ろ側において上記鉛直フランジ部16と反対側には、ボルト挿入孔(図示せず)が形成され、その裏面にはナット18が溶着されている。上記ボルト挿入孔には、鉛直面部19aと底面部19bとからなるL形の取付け金具19がその底面部19bに形成されたボルト挿入孔19cを対応させてボルト(図示せず)を上方から上記ナット18に螺合させることで、取付け金具19を水平プレート部15の後ろ側にボルトで締結して固定するようになっている。なお、上記水平プレート部15の取付け金具19周りには、2つの膨出部15bが直交する方向に突設され、取付け金具19の回り止めをしている。また、この取付け金具19の鉛直面部19aには矩形開口部19dが形成され、この開口部19dに上記シートベルト9の端部が取り付けられるようになっている。
【0024】
このように、この実施の形態では、アンカーブラケット14の水平プレート部15をシートブラケット7上端に固定するとともに、鉛直フランジ部16をサイドシル1内側面に固定したので、衝突によりシートベルト9に強い引張り荷重が作用しても、上記アンカーブラケット14をシートブラケット7及びサイドシル1の2箇所で支持して剛直に取り付けることができる。しかも、アンカーブラケット14に作用する引張り荷重を上記水平プレート部15及び鉛直フランジ部16を経てシートブラケット7とサイドシル1とにそれぞれ分散していることで、アンカーブラケット14の取付け強度を一段と確保して引張り荷重に十分に耐え得るものとすることができ、乗員の安全性を増大させることができる。
【0025】
さらに、この実施の形態では、水平プレート部15をシートフレーム8と共にシートブラケット7にボルト13で共締めしているので、水平プレート部15をシートフレーム8と共通のボルト13で一緒に取り付けることができ、水平プレート部15を取り付けるための専用のボルトが別途にいらず、部品の共通化を図ることができるとともに、少ない取付け工数で取付け作業を簡略化することができる。
【0026】
また、この実施の形態では、鉛直フランジ部16をサイドシル1内側面にボルト17で締結しているので、閉断面構造であるサイドシル1の構造上、溶接では鉛直フランジ部16をサイドシル1に取り付け難いが、ボルトによる取付けは予めボルト挿入孔1a,1bをサイドシル1に形成しておくことでボルト17により鉛直フランジ部16をサイドシル1に容易に取り付けることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、アンカーブラケットの水平プレート部をシートブラケット上端に固定するとともに、鉛直フランジ部をサイドシル内側面に固定したので、2点支持及び引張り荷重分散によって大きな引張り荷重に対して十分に抗し得るアンカーブラケットとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンカーブラケットの取付け構造部分の断面拡大図である。
【図2】アンカーブラケットの取付け構造部分の斜視図である。
【図3】アンカーブラケットの取付け構造部分の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 サイドシル
6 フロアパネル
7 シートブラケット
8 シートフレーム(シート取付け部)
9 シートベルト
13,17 ボルト
14 アンカーブラケット
15 水平プレート部
16 鉛直フランジ部
Claims (3)
- 車両用シートベルトの端部が取り付けられるアンカーブラケットの取付け構造であって、
上記アンカーブラケットは、水平に延びる水平プレート部とこの水平プレート部側端から鉛直に延びる鉛直フランジ部とを備え、
上記水平プレート部は、フロアパネルから上方に突出しフロントシートのシート取付け部が取り付けられるシートブラケット上端に固定され、上記鉛直フランジ部は、サイドシル内側面に固定されていることを特徴とする車両用シートベルトのアンカーブラケット取付け構造。 - 請求項1記載の車両用シートベルトのアンカーブラケット取付け構造において、
水平プレート部は、シート取付け部と共にシートブラケットにボルトで共締めされていることを特徴とする車両用シートベルトのアンカーブラケット取付け構造。 - 請求項1記載の車両用シートベルトのアンカーブラケット取付け構造において、
鉛直フランジ部は、サイドシル内側面にボルトで締結されていることを特徴とする車両用シートベルトのアンカーブラケット取付け構造。
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