JP3992385B2 - 高伸度ポリエステルフィラメント糸 - Google Patents

高伸度ポリエステルフィラメント糸 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2500m/分未満の引取速度で得られるポリエステル紡出糸において、個々のフィラメント中に、特定の熱変形温度(T)を呈する繊維伸度向上剤を含有せしめた高い残留伸度を有するポリエステルフィラメント糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維の溶融紡糸において、その口金からのポリマー吐出量をできるだけ多くすることは、生産性を向上させる上で、極めて有効な方法であり、昨今の繊維業界においては、製糸コストを低減させる観点から極めて望ましいこととされている。
【0003】
これまで生産性を向上させるために取られてきた典型的な手段として、紡糸における引取速度を上げて、口金からの吐出量を増加させる方法が知られている。しかしながら、この方法では、引取速度が早いために、個々のフィラメントの分子配向が大きくなる結果、得られるフィラメント紡出糸の残留伸度は逆に低下してしまう。従って、当然のことながら後に続く延伸または延伸仮撚時の延伸倍率が低下するので、引取速度の上昇による吐出量増加効果が延伸工程で相殺されてしまう。
【0004】
このような問題を解決する一つの手段として、不飽和モノマーからなる附加重合体を繊維伸度向上剤としてポリエステルに添加し、紡出糸の残留伸度を高める方法が特公昭63−32885号公報(対欧州特許第47464(A1)号)で提案されている。本文献によれば、附加重合体の機能は、ポリエステル中に分子オーダーでミクロ分散し、該重合体がポリエステルの分子配向に対して、“コロ”の役割を担うと定義づけられている(例えば、前掲のEP特許第9頁第3行参照)。そして、上記附加重合体の具体例としては、その実施例において「Delpet80n」が挙げられており、その熱変形温度を実測してみれば、98℃であった。
【0005】
この方法によると、中間配向糸(POY)をはじめ、引取速度の増加に伴いより残留伸度の高い未延伸糸が得られる。しかしながら、2500m/分未満の引取速度においてはポリエステルの分子配向に対する“コロ”としての機能が低下する。そのため、より高い残留伸度向上効果を発現しようとすると、上記附加重合体を過剰に添加する必要がある。
【0006】
しかしながら、該剤を増量することは、見掛け上生産性を向上できるが、該剤の増加分だけはコストが増加し、しかも該剤を過剰に添加すると当然のことながら紡糸調子も悪化してしまう。そのため、2500m/分未満の引取速度領域において真の生産性向上は、依然として達成されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、2500m/分未満の低引取速度下において、優れた生産性および紡糸調子の高伸度化したポリエステル繊維を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、ポリエステルに対して実質的に非相容性である繊維伸度向上剤は、2500m/分以上の引取速度では、十分にその機能を発揮する。すなわち、口金孔から吐出された後の紡糸ライン上で冷却細化過程を経る際に、該剤はポリエステルよりも先に溶融状態からガラス状態へと転移し、紡糸応力(張力)に対して、伸長変形抵抗体としての役割を果している。
【0009】
しかし、紡出糸の糸速度(V)およびそのひずみ速度dV/dx(ここでいうxは、紡糸口金からのその下方に向った鉛直方向の距離を示す)、つまり変形速度が小さい2500m/分未満の引取速度領域では、該剤は伸長変形抵抗体としての機能が十分に発揮されていない。すなわち、ブレンド糸の伸長粘度に関して、従来の2500m/分以上の引取速度における伸長粘度式に従わない非線形性増加をもたらすことで、細化を促進して紡出糸の糸速度をより紡糸口金に近い位置で引取速度に到達せしめる該剤の機能が果されていないことが判明した。
【0010】
そこで、引取速度2500m/分未満の紡出糸においても、上述の機能を発現する伸度向上剤について鋭意検討した結果、該剤の熱変形温度(T)によってはその機能が十分に発現されることを見出したのである。
【0011】
かくして本発明によれば、
熱変形温度(T)が105〜160℃の範囲にある粒子状のポリメチルメタクリレート系重合体からなる繊維伸度向上剤をポリエステル重量を基準として0.5〜6.0重量%分散せしめたポリエステルを溶融紡糸し、2500m/分未満の引取速度で得た、以下に定義する残留伸度増加率(I)が50%以上であることを特徴とする高伸度ポリエステルフィラメント糸が提供される。
【0012】
【数2】
Figure 0003992385
【0013】
ここでEIb(%)は、本発明のポリエステルフィラメント糸の残留伸度、EL0(%)は該伸度向上剤を含まない以外は本発明と同一の紡糸条件下で得られたポリエステルフィラメント糸の残留伸度である。
【0014】
【発明の実施の形態】
紡出されつつある個々のフィラメント中でポリマーの分子配向に対して“コロ”として機能する粒子状の繊維伸度向上剤をポリエステル重量を基準として0.2〜10重量%分散せしめたポリエステルを溶融紡糸し、1500m/min〜8000m/minの引取速度で得た、残留伸度増加率(I)が8%以上であるフィラメント紡出糸(以下、単に紡出糸と称する)を得る、という概念自体、前掲のEP47464A、明細書に開示されている。
【0015】
これに対して、本発明は上記EP明細書では言及されていないところの、繊維伸度向上剤の熱変形温度(T)を特定することにより、該EP明細書では未解決のまま放置されていた引取速度2500m/分未満の低引取速度領域における生産性の向上、すなわち従来対比伸度向上効果の大きい伸度向上剤を添加することで生産性および紡糸調子を向上させるという課題を克服したものである。
【0016】
まず、本発明の要件の意義について述べる。
本発明において、引取速度が2500m/分未満の紡出糸に作用するに繊維伸度向上剤の熱変形温度(T)は、105〜160℃の範囲であることが必要である。該温度(T)が105℃未満では、該剤の伸長変形抵抗体としての機能が不十分である。一方該温度(T)が160℃を越えると、紡糸ライン上で過剰な伸張粘度の差が生て、紡出糸が追従できないほどの急激な細化が発生する。
【0017】
次に、繊維伸度向上剤については、ポリメチルメタクリレート系重合体が挙げられる。
【0018】
これらの繊維伸度向上剤の具体的な作用は、ポリエステルと実質的に非相溶な海/島状態、つまり、ポリエステルを海成分、粒子状の繊維伸度向上剤を島成分として口金孔から吐出された後、紡糸ライン上で冷却細化過程を経る際に、ポリエステルよりも先に溶融状態からガラス状態へと転移し、紡糸応力(張力)に対して伸長変形低抗体の役割を果たす。つまり、口金近傍のポリマー温度が高い状態でのブレンド系の伸長粘度に関して、従来の伸長粘度式に従わない非線形性増加をもたらし、その結果細化を促進し、紡出糸の糸速度をより吐出孔に近い位置で最終引取速度に到達せしめる。
【0019】
そのため、熱変形温度(T)が、105℃未満の繊維伸度向上剤では、ガラス状態への転移がポリエステルのそれに近い、換言すれば、紡糸ライン上でのガラス状態への転移が遅いため、紡糸応力(張力)に対する伸長変形低抗体としての役割が十分に発揮されない。勿論、前記EP明細書に記載された熱変形温度(T)が98℃のような低温のものでは、ポリエステルの熱変形温度(70℃)との差が28℃とさらに小さいため、2500m/分未満の低引取速度領域では、伸長変形抵抗体としての機能は十分に発揮されず、50%以上の高い伸度向上効果を発現させるには紡糸性に影響するほどの添加量が必要とされる。
【0020】
これら重合体の分子量は、伸長変形抵抗体としてポリエステルとは独立に、高分子量体として構造粘弾性の発現を必要とすることから少なくとも2000以上の分子量(重量平均)を有していることが好ましく、特に2000以上30万以下が好ましい。分子量が2000よりも小さいと、高分子量体としての構造粘弾性を発現し難く、応力担持体として作用し難い。一方、30万を超えると、重合体の凝集エネルギーが極めて高く、ポリエステルへの分散が極めて困難になる。特に好ましい分子量の範囲は1万以上25万以下であり、このような高分子量重合体の場合、耐熱性も向上する。
【0021】
このような繊維伸度向上剤の具体例としては、分子量が1万以上30万以下であって、ASTM−D1238で規定される条件(230℃、荷重3.8kgf)において、メルトインデックス(M.I.)が0.5〜15.0g/minであるポリメチルメタクリレート系共重合体ないしその誘導体である。これらの特定の物性を有する重合体は、ポリエステルの紡糸温度において、優れた熱安定性と伸度向上効果を呈する。
【0022】
本発明においてポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とする繊維形成能を有するポリエステルを指称し、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート等を挙げることができる。また、これらポリエステルは第3成分として、ブタンジオールのようなアルコール成分又はイソフタル酸等のジカルボン酸を共重合させた共重合体でも良く、更にこれら各種ポリエステルの混合体でも良い。これらのうちポリエチレンテレフタレート系重合体が最適である。
【0023】
これらポリエステルには、必要に応じて艶消し剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、末端停止剤、蛍光増白剤等が含まれていても良い。また、これらのポリエステルは紡糸性および糸物性の観点から固有粘度が0.4〜1.1であることが望ましい。
【0024】
ところで、本発明の紡出糸の残留伸度向上率(I)が50%以上であることは、該紡出糸の複屈折率とも相関がある。この点から、本発明の紡出糸の複屈折率(△n)は、0.030以下の範囲にあることが好ましい。本発明の効果が発現される2500m/分未満の引取速度において、△nが0.030を越える場合、(I)は70%未満である。また、本発明の伸度向上剤は、その熱変形温度(T)がポリエステルのそれよりも、少なくとも30℃を越える範囲にあるため、経時による物性の変化が起こりにくく、多様な糸加工、後加工性に優れた性能を示す。
【0025】
ポリエステルへの繊維伸度向上剤の添加に当たっては、任意の方法を採用することができる。例えばポリエステルの重合末期段階で該剤を混合してもよく、また、ポリエステルと前記剤とを溶融混合して、押出し冷却後、切断してチップ化してもよい。更には、サイドストリームから該剤を溶融状態でポリエステルの溶融紡糸装置に、動的および/または静的ミクスチャーを介して導入してもよい。また、両者をチップ状で混合した後、そのまま溶融紡糸してもよい。その中でも、連重直紡ラインのポリエステル配管から一部のポリマーを引き出し、それをマトリックスとして該剤を混練り分散させたものを元のニートポリマーラインへ、任意の動的および/または静的ミクスチャーを介して戻し、各配管に分配するという手法が最も好ましい。
【0026】
上述のように繊維伸度向上剤が添加された溶融ポリマーは、紡糸パック内に設置された40μ以下のポアサイズをもつフィルターを通して、粗大粒子の吐出ポリマー流中への混入を抑制し、更に150〜1500の範囲のみかけの紡糸ドラフト(率)のもとに、紡出するのが好ましい。この紡糸ドラフトについては、150未満だと吐出孔を通過するポリマー流は高い剪断力を受け、粒子状の繊維伸度向上剤はフィラメントの長手方向に引きちぎられ、粗大粒子の混入は抑制されるが、伸長変形抵抗体としての機能が若干低下し、1500を越えると、吐出孔内での剪断力による引きちぎり効果が小さくなり、伸長変形抵抗体としての機能は向上するが、粗大粒子が発生しやすい。
【0027】
さらに、その他の好ましい紡糸要件としては紡糸温度(口金温度)および紡糸口金下の冷却である。
【0028】
前者については、繊維伸度向上剤が分散した溶融ポリエステルを吐出する際の口金温度を通常よりも低くすることで、口金吐出後の伸度向上剤の伸長粘度がより紡糸ライン上流で大きくなるので好ましく、特に口金温度270〜290℃が好ましい。270未満では、ポリエステルの種類にもよるが、曵糸性が低下しはじめ、他方290℃を越えると、伸度向上剤である附加重合体の耐熱安定性が低下しはじめる。
【0029】
後者の口金下の冷却は、横吹き冷却の場合、その風速を0.15〜0.6m/secの範囲に維持することが好ましい。風速が0.15m/sec未満では、フィラメントの長手方向の斑がでやすい。また、0.60m/secを超えると、ポリエステル側の伸長粘度が上昇するので、残留伸度の増加幅が小さくなる。
【0030】
以上のような、紡糸条件で引き取れた紡出糸は、油剤を付与された後、ゴデットローラーなどを介して巻き取っても良いし、該ローラーなどを介さずに巻き取っても良い。ここで本発明のいう引取速度とはゴデーットローラを介した場合は第1ゴデーットローラーの速度であり、該ローラーを介さなかった場合は捲取速度である。 また、このようにして巻き取られる紡出糸は、紡糸工程の任意の箇所で空気交絡されても良い。
【0031】
以上に述べた紡糸の態様は、本発明の紡出糸を単独で得る場合のみならず、種々の形で応用される。例えば、繊維伸度向上剤を混合したポリエステルと該剤を実質的に含まないポリエステルとを同一口金から吐出することによって、あたかも紡糸速度の異なる(互いに伸度の異なる)未延伸糸を複合した特性を示す混繊糸を直接捲き取ることも可能である。
【0032】
【実施例】
本発明で採用する物性値の測定方法について説明する。
(1)熱変形温度(T)
ASTM D−648に従う。
(2)紡出糸の複屈折率(Δn)
1―ブロモナフタレンを浸透液として用いて、偏光顕微鏡にて波長530nmの単色光を用いて、緩衝縞を測定し、下記式Δnを算出する。
Δn=530(n+θ/180)/X
n:縞数、θ:コンペンセーター回転角度、X:繊維直径
(3)残留伸度
紡出糸を気温25℃×湿度60%の高温恒湿に保たれた部屋に1昼夜放置した後、サンプル長さ100mmを島津製作所製張試験機テンシロンにセットし、200mm/minの速度、即ちひづみ速度2min−1にて引張り破断伸度を測定する。
(4)メルトインデックス
ASTM D−1238に従う。
以下、実施例により本発明を説明する。
【0033】
[実施例1]
固有粘度0.64、艶消剤として酸化チタンをポリエステル重量を基準として0.3wt%を含むポリエチレンテレフタレートチップを160℃で5時間乾燥した後、直径25mmの1軸フルフライト型溶融押出し機にて300℃で溶融した。次いで、熱変形温度(T)が98、105または121℃のPMMA、または熱変形温度(T)が137、145、160または168℃となるようメタクリル酸メチル、アクリル酸イミド付加物およびスチレンの3成分の組成をそれぞれ変更して共重合したPMMA系重合体をサイドストリームから溶融状態で、押出し機中の該溶融ポリエステルへ導入し、次いで12段のスタティックミキサーを通して混合分散させた。そして該混合分散状態のポリマーを、口金直上に設けた400μmのポアサイズをもつ金属繊維フィルターに通した後、直径0.4mmφ―ランド長0.8mm(L)の吐出孔を36個有する紡糸口金から、口金部の温度285℃で該溶融ポリマーを表1のNo.1〜13に示すような各引取速度にあわせてその吐出量を変化させつつ吐出した。さらに口金下下方9cm〜100cmに設けた横吹きの紡糸冷却筒から25℃の空気を0.23m/secの速度で吹きつけて吐出ポリマー流を冷却固化せしめ、OPU0.25〜0.30wt%範囲内で油剤付着処理を施した後、150デニール/36フィラメント数の紡出糸を未延伸状態で巻取った。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003992385
【0035】
以下、表1について考察する。
【0036】
No.1〜4、12および13において、Tgによる影響を比較すれば、Tgの上昇に伴い、伸度向上効果が向上し、PMMAのTgが低いNo.1以外は、残留伸度向上率50%以上という高い伸度向上効果と安定な紡糸調子とを達成した。一方No.7はPMMAのTgは本発明の要件を満たすものの添加量が少ないために、十分な伸度向上効果を達成されず、△nも、0.030を越えている。またNo.11は添加量が多いために、単糸切れが発生し、No.13はTgが168℃のPMMA系重合体を添加したため、伸度向上効果は大きいものの曳糸性が悪化した。
【0037】
[実施例2]
直径0.3mmφ―ランド長0.6mm(L)の吐出孔を36個有する紡糸口金を用い、メチルメタクリル酸メチル、アクリル酸イミドおよびスチレンの3成分を共重合したPMMA系重合体(熱変形温度(T):137℃、メルトインデックス230℃、荷重3.8kgが0.8g/10分)を繊維伸度向上剤として4重量%添加した以外は、実施例1と同様の方法を用い、表2に示すNo.14〜16の各デニールになるよう吐出量を調整しつつ、引取速度1500m/分で捲きとった。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0003992385
【0039】
以下、表2について考察する。
デニール依存性について検討したNo.14〜16において、口金から吐出されたポリマー流の冷却が進行し易い細デニールのものほど、伸度向上効果が大きかった。これは、冷却によりPMMA系重合体の伸長変形抵抗体としての作用が強化されたものと推定される。
【0040】
この現象は、従来のポリエステルに非相溶性の附加重合体を含まないポリエステルのデニール依存性とは、全く異なるものである。
【0041】
【発明の効果】
熱変形温度(T)が105〜160℃の範囲にある粒子状の繊維伸度向上剤をポリエステル重量を基準として0.5〜6.0重量%添加分散することで、従来の繊維伸度向上剤では十分な機能が発揮されなかった引取速度2500m/分未満の引取速度領域においても、高い伸度向上効果が図られる。そのため、従来対比より少ない添加量で高伸度化された生産性および紡糸調子の向上したポリエステルフィラメント糸が提供される。

Claims (5)

  1. 熱変形温度(T)が105〜160℃の範囲にある粒子状のポリメチルメタクリレート系重合体からなる繊維伸度向上剤をポリエステル重量を基準として0.5〜6.0重量%分散せしめたポリエステルを溶融紡糸し、2500m/分未満の引取速度で得た、以下に定義する残留伸度増加率(I)が50%以上であることを特徴とする高伸度ポリエステルフィラメント糸。
    ただし、上記(I)は以下の式に従う。
    Figure 0003992385
    ここでEIb(%)は、本発明のポリエステルフィラメント糸の残留伸度、EL0(%)は該ポリメチルメタクリレート系重合体からなる繊維伸度向上剤を含まない以外は本発明と同一の紡糸条件下で得られたポリエステルフィラメント糸の残留伸度である。
  2. 該ポリメチルメタクリレート系重合体からなる繊維伸度向上剤の熱変形温度(T)が115〜155℃の範囲にある請求項1記載の高伸度ポリエステルフィラメント糸。
  3. フィラメント糸の複屈折率(△n)が0.006〜0.030の範囲にある請求項1記載の高伸度ポリエステルフィラメント糸。
  4. 該ポリメチルメタクリレート系重合体からなる繊維伸度向上剤の分子量が少なくとも2000以上である請求項1記載の高伸度ポリエステルフィラメント糸。
  5. ポリメチルメタクリレート系重合体からなる繊維伸度向上剤が、分子量1万以上30万以下であって、メルトインデックス(230℃、荷重3.8kg)が0.2〜6.0g/10分のメチルメタクリレートを主成分とするポリメチルメタクリレート系重合体である請求項4記載の高伸度ポリエステルフィラメント糸。
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