JP3990876B2 - 敷材および敷材付ベビーキャリア - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ベビーキャリアに装着する敷材および敷材付ベビーキャリアに関し、特に横抱き、おんぶ、だっこといった異なる保持方法に対応できるベビーキャリアに装着する敷材および敷材付ベビーキャリアに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ベビーキャリアは、幼児の成長に伴って、首のすわる前の乳児期には乳児を寝かせて保持する横抱き用のものが使用され、首がすわってからはおんぶまたはだっこで保持する縦抱き用のものが使用される。
【０００３】
しかし、横抱きで使用するのは乳児期の短期間のみであることから、横抱き専用のベビーキャリアを使用せずに、従来縦抱き用とされていたベビーキャリアを横抱きに転用することがある。この場合、幼児を収容したキャリア本体を水平に傾けるとともに左右のショルダーベルトを一括してたすき掛けにして使用される。
【０００４】
また、縦抱きに適した月齢に成長した後も、使用者への身体負担の少ないおんぶ、幼児と使用者とが向き合って幼児の様子を確認できる対面だっこ、幼児に使用者と同方向を向かせて幼児の視野を拡げる前向きだっこ、というふように使用場面に応じて適宜使い分けられている。このように保持方法を変えて使い分けることにより、幼児の成長や異なる保持方法にも１つのベビーキャリアで対応できるというメリットがある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
このような多用途のベビーキャリアでは、それぞれの保持方法に適した安定性や快適性が求められる。例えば、身体がしっかりしていない乳児の横抱きでは、月齢の進んだ幼児以上に高い安全性が求められる。また、やや成長して縦抱きできるようになっても、月齢の小さい頃や睡眠時には高い安全性が求められる。また、おんぶや対面だっこから前向きだっこに転換すると、背当て部が幼児の胸腹部や鼠蹊部を圧迫するという不都合も生じる。
【０００６】
この発明は、上述の技術背景に鑑み、複数の保持方法に応じた安全性や快適性を付与できる敷材、および敷材付ベビーキャリアの提供を目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明の敷材は、敷材部を有し、前記敷材部にベビーキャリアの所定部分を通す装着用部材が設けられ、前記装着用部材を介してベビーキャリアのキャリア本体に着脱自在に装着されることを基本要旨とする。
【０００８】
また、前記敷材において、前記装着用部材は、前記敷材部の側周縁の頭部側または長さ方向の中間部の少なくともいずれかに設けられたループであること、あるいは前記敷材部の頭部側周縁に固着され、前記敷材裏面との間に下端で開口する袋状部を形成し、前記袋状部の上部左右両側に開口部が形成された袋部材であることが好ましい。
【０００９】
さらに、前記敷材において、前記敷材部の頭部側に、周縁から起立するガード部が形成されていることが好ましい。
【００１０】
この発明の敷材は装着用部材を介してベビーキャリアのキャリア本体に装着されるから、敷材の位置ずれや脱落が防止され、敷材による保護機能を確保することができる。前記装着用部材としてループまたは袋部材を採用することにより、前記敷材を容易に装着できる。また、前記敷材において、ガード部の形成により幼児の頭部の周囲の保護機能を高めることができる。
【００１１】
また、この発明の敷材付ベビーキャリアは、幼児の身体を収容するキャリア本体と、前記キャリア本体に取付けられるショルダーベルトと、前記キャリア本体の背当て部の上部に取付けられて、少なくとも板状の後頭サポート部を有する頭部サポート部材と、敷材部を有し、前記敷材部にベビーキャリアの所定部分を通す装着用部材が設けられ、前記装着用部材を介して前記キャリア本体に着脱自在に装着される敷材と、を備えることを基本要旨とする。
【００１２】
この発明の敷材付ベビーキャリアによれば、少なくとも前記装着用部材にショルダーベルトを通すことにより敷材の装着を容易に行え、横抱き、おんぶ、だっこの各保持方法において敷材の位置ずれや脱落を防止し、保護機能の向上を確実に図ることができる。また、敷材の脱着は容易に行える。
【００１３】
前記頭部サポート部材は、後頭サポート部の左右両側縁から突出して先端部で前記ショルダーベルトに係止される帯状の側頭サポート部を有することが好ましく、ショルダーベルトによる敷材装着に加えて、装着用部材に側頭サポート部を通して敷材を装着する方法を選択できる。
【００１４】
前記敷材の装着用部材は、前記敷材部の側周縁の頭部側または長さ方向の中間部の少なくともいずれかに設けられたループであることが好ましく、いずれかのループに少なくともショルダーベルトを通すことにより敷材を装着できる。また、側頭サポート部を有する頭部サポート部材を使用する場合は、頭部側ループに側頭サポート部を通すことによっても敷材を装着できる。
【００１５】
また、側頭サポート部を有する頭部サポートを使用する場合は、前記敷材の装着用部材として、前記敷材部の頭部側周縁に固着され、前記敷材の裏面との間に下端で開口する袋状部を形成し、前記袋状部の上部左右両側に開口部が形成された袋部材を採用することも好ましく、前記開口部に側頭サポート部を通すことによって敷材を装着できる。
【００１６】
また、前記敷材において、敷材部の頭部側に、周縁から起立するガード部が形成されている場合は、幼児の頭部の周囲の保護機能が高められる。
【００１７】
また、前記頭部サポート部材は、前記キャリア本体に着脱自在に取付けられることが好ましく、だっこおよびおんぶにおいて頭部サポート部材を取り外しての使用を選択でき、さらに前向きだっこが可能となる。特に前向きだっこにおいては、前記敷材の装着により、背当て部による幼児の胸腹部および鼠蹊部の圧迫を緩和することができる。
【００１８】
また、前記敷材は、前記頭部サポート部材の取り外し時に頭部サポート部材と共通の止着具を介してキャリア本体内に装着されることも好ましく、前記装着部材による装着に加えて前記止着具による装着方法も選択できる。
【００１９】
【発明の実施の形態】
この発明の好適な１つの実施形態を、図示例に基づいて以下に説明する。
〔ベビーキャリア〕
図１および図２に示すベビーキャリア(1)は、キャリア本体(10)、頭部サポート部材(40)、ショルダーベルト(30)から構成され、横抱き、おんぶ、対面だっこおよび前向きだっこの４通りの保持方法で使用することができる。また、このベビーキャリア(1)には、後述の２種類の敷材を装着することができる。
【００２０】
前記キャリア本体（10）は、逆台形状の背当て部（11）と、該背当て部（11）の下端に連続形成された側面略Ｕ字状を呈する広幅帯状の股当て部（12）とを有する。そして、前記背当て部(11)の左右側縁のほぼ中央と、前記股当て部(12)の左右側縁と間に伸縮自在の足ぐりベルト(13)(13)が架け渡され、前記股当て部(12)が持ち上げられてキャリア本体(10)内が幼児の身体に沿った立体形状となっている。
【００２１】
前記背当て部(11)の外面には、左右に所定間隔をもって２つのラダー部材(15)(15)が細幅のベルト(14)を介して取付けられている。これらのラダー部材(15)(15)は、背当て部(11)の左右両端に縫着された調整用ベルト(16)(16)に係合されて、調整用ベルト(16)(16)を適宜引締めることにより背当て幅を拡縮するようになされている。
【００２２】
さらに、前記背当て部(11)の外面にはポーチ(20)が着脱自在に取付けられている。前記ポーチ(20)は、裏面の左右上部に縫着されたテープ(21)(21)（一方のみを図示）を前記調整用ベルト(16)(16)に掛け通し、テープ(21)(21)の両端に取り付けられたスナップ(22a)(22b)を止着して、前記調整用ベルト(16)(16)に巻留める態様で背当て部(11)に装着される。また、前記ポーチ(20)の裏面下部は、面ファスナ(23a)(23b)の離合によっても背当て部(11)に係着自在となされている。従って、前記ポーチ(20)の装着状態において、背当て部(11)とポーチ(20)との間には隙間が形成されている。なお、図中(24)は、前記面ファスナ(23a)(23b)の離合の際に前記背当て部(11)側の浮き上がりを押さえるための引き紐である。
【００２３】
前記ショルダーベルト（30）（30）は左右一対あり、その基部が背当て部（11）の背面に背面視略Ｖ字状をなす態様に縫着一体化され、背当て部（11）の上端部から上方に引き出されている。使用者の肩に掛かる部分は、太い帯状のものに形成される一方、先端側はそれより細い帯紐部（31）（31）によって形成されている。
【００２４】
また、前記ショルダーベルト(30)(30)の先端側の前記帯紐部(31)(31)には、その中間部に第１バックル(32a)(32a)が、摺動による取付位置変更自在に取付けられている。これらの第１バックル(32a)(32a)は、キャリア本体（10）の股当て部（12）の前端部外面に取付けられた相手方の第２バックル(32b)(32b)と対をなすもので、それらに分離自在に止着連結しうるものである。さらに、前記ショルダーベルト(30)(30)の帯紐部(31)(31)の各先端には、互いに対をなす第１および第２のバックル(33a)(33b)が取付けられ、相互を止着連結しうるものとなされている。また、背当て部(11)からの引出し位置より少し上方に、後述の側頭サポート部(42)を係止するためのＤ鐶(35)が取付けられている。
【００２５】
前記頭部サポート部材(40)は、キャリア本体(10)の背当て部(11)に上方突出状に着脱可能に取付けられる。
【００２６】
前記頭部サポート部材(40)は、概略長方形の板状の後頭サポート部(41)と、この後頭サポート部(41)の左右両側に突出する帯状の側頭サポート部(42)(42)とを有し、さらに前記後頭サポート部(41)の背後に後頭サポート部(41)とほぼ同形のカバー部(43)が付設されている。前記後頭サポート部材(41)は、重ねられた板材とクッション材とを内包し、幼児の頭部を後方から柔らかくかつしっかりと支持する。前記側頭サポート部(42)(42)は、後頭サポート部(41)に一体に形成され、各先端部にはショルダーベルト(30)(30)に係止させるための２対のスナップ(44a)(44a)(44b)(44b)が取付けられている。また、前記カバー部(43)は、上半部（43a）は後頭サポート部(41)に対して上端縁および左右両側縁の一部が縫着され、前記側頭サポート部材(42)(42)の基端部近傍に開口部(45a)(45b)が形成されている一方、下半部(43b)は後頭サポート部(41)に縫着されず、後頭サポート部(41)を覆っている。前記側頭サポート部(42)は、ショルダーベルト(30)への係止状態において幼児の頭部を側方から支持する。
【００２７】
前記頭部サポート部材(40)の着脱は、頭部サポート部材(40)に設けたスナップによる止着具(47a)と背当て部（11）に設けた相手方止着具(47b)との係合と、抑さえ帯(48)との併用によって行う。また、頭部サポート部材(40)の装着状態におて、カバー部(43)の下半部(43b)は、図２の点線で示すように背当て部(11)とポーチ(20)との間に差し入れておく。また、側頭サポート部(42)を使用しない場合は、左右の開口部(45a)(45b)から後頭サポート部(41)とカバー部(43)との間に差入れ、先端部は背当て部(11)とカバー部(43)との間に垂らして収納しておく。このとき、面ファスナ(23a)(23b)を外してポーチ(20)を跳ね上げ、側頭サポート部(42)の先端部を引き下ろすようにすれば、カバー部(23)内での収まりが良い。
〔第１の敷材〕
図３に、前記ベビーキャリア(1)に装着する敷材の一例を示す。
【００２８】
前記敷材(50)は、乳児の身体に敷く略長方形の敷材部(51)を有し、この敷材部(51)の左右の側周縁において、頭部側および長さ方向の中間部にベルト状の通し部材(52)(52)(53)(53)が取付けられている。前記頭部側通し部材(52)(52)および中間部通し部材(53)(53)は、それぞれその周方向の両端を敷材部(51)に縫着され、敷材部(51)との間にループを形成している。また、これらのループは、前記頭部サポート部材(40)の側頭サポート部(42)、またはショルダーベルト(30)を挿通させるに十分な寸法に形成されている。
【００２９】
また、前記敷材部(51)の材質は、圧迫や衝撃を緩和するクッション性があることはもとより、さらに衛生上通気性のあるものが好ましい。これらの条件を満たすものとして、コットン、ウール、合成繊維等の各種綿、発泡ウレタン等の発泡性樹脂、フェルト、あるいはこれらを布で包んだものを例示できる。また、芯材を付加することも好ましい。
〔第２の敷材〕
図４に、前記ベビーキャリア(1)に装着する敷材の他の例を示す。
【００３０】
前記敷材(60)は、敷材部(51)と、敷材部(51)の頭部側に周縁から略垂直に起立するように縫着されたガード部(61)とを有する。また、前記ガード部(61)の左右のコーナ部の外面に、ベルト状の通し部材(62)(62)が取付けられている。前記通し部材(62)(62)は、その周方向の両端をガード部(61)に縫着され、ガード部(61)との間にループを形成している。また、これらのループは、前記頭部サポート部材(40)の側頭サポート部(42)を挿通させるに十分な寸法に形成されている。なお、ガード部(61)の材質は前記敷材部(51)に準じる。
〔第３の敷材〕
図５に、前記ベビーキャリア(1)に装着する敷材のさらに他の例を示す。
【００３１】
前記敷材(70)は、上述の第２の敷材(60)と同様に、敷材部(51)の頭部側に周縁から略垂直に起立するように縫着されたガード部(61)を有する。さらに、前記敷材部(51)の裏面頭部側には敷材部(51)の上半部とほぼ同形の袋部材(72)が付設されている。前記袋部材(72)は、下端部および上部の左右所定位置を除く外周部が敷材部(51)の周縁に縫着され、この縫着によって、下端部が敷材部(51)の全幅で開口する袋状部(74)に形成されているとともに、この袋状部(74)には左右側縁にスリット状の開口部(73)(73)が形成されている。また、前記袋部材(72)の下端開口部(75)の縁にはゴムテープが縫い込まれて伸縮自在となされている。
【００３２】
次に、これらの敷材(50)(60)(70)をベビーキャリア(1)に装着して、ベビーキャリア(1)の異なる保持方法について説明する。
（横抱き例）
まず、上述した方法でキャリア本体（10）に頭部サポート部材(40)を装着する。また、ショルダーベルト(30)(30)は、第１バックル(32a)(32a)を先端側に摺動させて先端余剰部分(31a)(31a)が短くなるように調節するとともに、第１バックル(32a)および第２バックル(32b)を締結しておく。
【００３３】
次に、キャリア本体(10)に上述の何れかの敷材(50)、(60)、(70)を装着する。
【００３４】
図６に示すように、ガード部(61)を有する第２の敷材(60)の場合は、キャリア本体(10)内に前記敷材(60)を敷き、左右の通し部材(62)(62)にそれぞれ側頭サポート部(42)(42)を通した後、側頭サポート部(42)(42)の先端部をショルダーベルト(30)(30)のＤ鐶(35)に掛け通し、折り返してスナップ(44a)(44b)を留める。これにより、前記敷材(60)はキャリア本体(10)内に装着される。図６は、向かって左の側頭サポート部(42)のみをショルダーベルト(30)に係止させた状態を例示している。
【００３５】
なお、前記スナップ(44a)(44b)は側頭サポート部(42)(42)の長さ方向に２対が取り付けられているため、留め位置を選択することによって側頭サポート部(42)の長さ、即ち後頭サポート部(41)とショルダーベルト(30)との間の距離を調節して、幼児の体格に適合させることができる。
【００３６】
また、第１の敷材(50)の装着は、次の方法で行う。
【００３７】
図７に示すように、キャリア本体(10)内に前記敷材(50)を敷くと、頭部側通し部材(52)(52)は側頭サポート部(42)に近接し、中間部通し部材(53)(53)はショルダーベルト(30)(30)に近接する。キャリア本体(10)への装着は、頭部側通し部材(52)に側頭サポート部(42)を通すか、あるいは中間部通し部材(53)にショルダーベルト(30)を通すことによって行う。勿論、両者を併用することもできる。図７は、向かって左の頭部側通し部材(52)に側頭サポート部(42)を通すとともに、向かって左の中間部通し部材(53)にショルダーベルト(30)を通した状態を例示している。
【００３８】
また、側頭サポート部(42)を使用しない場合、あるいは側頭サポート部を有さず後頭サポート部のみからなる頭部サポート部材を使用する場合にでも、前記中間部通し部材(53)があれば前記敷材(50)をキャリア本体(10)内に装着することができる。
【００３９】
また、第３の敷材(70)の装着は、次の方法で行う。
図８に示すように、頭部サポート部材(40)の上方から後頭サポート部(41)に前記敷材(70)の袋部材(72)を被せて袋状部(74)内に深く差し込み、左右のスリット状開口部(73)(73)から側頭サポート部(42)(42)を通して引き出す。この操作によって、前記敷材(70)はキャリア本体(10)内の所定位置に敷かれる。前記敷材(10)は、後頭サポート部(41)の袋状部(74)内への差込みと、側頭サポート部(42)(42)の開口部(73)(73)からの引出しと、袋部材(72)の下端開口部(75)の収縮とにより、キャリア本体(10)内で安定した位置に装着できるとともに、使用中のずれを防止することができる。
【００４０】
次いで、上述の第２の敷材(60)と同様に、左右の側頭サポート部(42)(42)の先端部をショルダーベルト(30)(30)に係止する（図６参照）。
【００４１】
このように敷材(50)(60)(70)を装着したベビーキャリア本体(10)内に幼児を寝かせ、足をキャリア本体(10)と足ぐりベルト(13)との間に差し入れる。この足ぐりベルト(13)によって幼児の足を抑えてキャリア本体(10)からの脱落を防止することができる。
。そして、図９に示すように、キャリア本体(10)を水平近くにするとともに、左右のショルダーベルト(30)(30)を一括して片方の肩にたすき掛けにする。なお、図９では、ガード部(61)を有する第２の敷材(60)の装着例を示している。
（おんぶまたは対面だっこ）
まず、上述した方法でキャリア本体（10）に頭部サポート部材(40)を装着する。また、ショルダーベルト(30)(30)は、横抱き時よりも先端余剰部分(31a)(31a)が長くなるように第１バックル(32a)(32a)の位置を調節しておく。
【００４２】
次に、上述の横抱き時と同様の方法で第１の敷材(50)をキャリア本体(10)内に装着した後、キャリア本体(10)内に幼児を収容する。
【００４３】
そして、おんぶの場合は、キャリア本体(10)を使用者の背中側に配置して背負い、ショルダーベルト(30)(30)を左右の肩に掛け、左右のショルダーベルト(30)(30)が平行するように第１バックル(32a)および第２バックル(32b)を締結する。さらに、先端余剰部分(31a)を引っ張ってショルダーベルト(30)を適正長さになるまで短くしたのち、先端部のバックル(33a)(33b)を腰に回して締結する（図示省略）。
【００４４】
また、図１０に示す対面だっこの場合は、キャリア本体(10)を使用者の正面側に配置し、ショルダーベルト(30)(30)を背面側で交差させて第１バックル(32a)および第２バックル(32b)を締結し、先端余剰部分(31a)を引っ張って適正長さに調節する。
【００４５】
なお、ガード部(61)を有する第２の敷材(60)および第３の敷材(70)は、装着状態において幼児の頭部とガード部(61)との間に余裕のあるときのみ使用できる。（前向きだっこ）
キャリア本体（10）から頭部サポート部材(40)を外しておく。また、ショルダーベルト(30)(30)の調節は対面だっこ時に準ずる。
【００４６】
そして、図１１に示すように、前記第１の敷材(50)の頭部側通し部材(52)(52)にショルダーベルト(30)(30)を通す。これにより、前記敷材(50)は背当て部(11)とほぼ等しい高さに装着され、その下端部はキャリア本体(10)の股当て部(12)にまで達する。
【００４７】
そして、図１２に示すように、キャリア本体(10)の背当て部(11)が幼児の胸腹部を支える方向に幼児を収容し、対面だっこ時と同様に、キャリア本体(10)を使用者の正面側に配置し、ショルダーベルト(30)(30)を装着する。
【００４８】
また、おんぶまたは対面だっこは、頭部サポート部材(40)を外してこの方法で前記第１の敷材(50)を装着した状態で行うこともできる。
【００４９】
また、前記頭部サポート部材(40)を外した状態では、キャリア本体(10)における頭部サポート部材(40)装着用の止着具(47b)を用いて、前記第１の敷材(50)の装着を行うこともできる。
【００５０】
たとえば、図１３に示すように、敷材(50')の裏面上端部に留め片(55)を設けるとともに、前記留め片(55)に背当て部(11)のスナップ(47b)に対応する相手方スナップ(56)を取り付ける。そして、前記留め片(55)を抑さえ帯(18)に掛けるとともに、スナップ(47b)(56)を係合させることにより、敷材(50')をキャリア本体(10)に装着することができる。
【００５１】
上述したように、キャリア本体（10）内に敷材(50)(60)(50')(70)を敷くことにより、横抱き、おんぶ、対面だっこ、前向きだっこに共通して、次の効果を得ることができる。
【００５２】
即ち、キャリア本体(10)の内面の凹凸を解消するとともに揺れ等による外部からの衝撃を緩和することができ、冬季にあっては保温効果も奏する。また、前記敷材(50)(60)(50')(70)は、ループまたは袋部材(72)を介してキャリア本体(10)に装着されているため、敷材(50)(60)(50')(70)の脱落や位置ずれを防止することができる。特に、袋部材(72)を介して装着する場合は、優れた位置ずれ防止効果を得ることができる。また、キャリア本体(10)側に敷材装着用部材を追加する必要がなく、既存のベビーキャリアに対しても敷材(50)(60)(50')(70)のみを追加すれば上記効果を奏することができる。また、通し部材(52)(53)(62)等によるループまたは袋部材(72)の開口部(73)に側頭サポート部(42)またはショルダーベルト(30)を差し通すだけで装着できるから、側頭サポート部(42)やショルダーベルト(30)の寸法形状や取付け位置に多少の相違があっても融通が利き、支障なく装着することができる。
【００５３】
さらに、各保持方法によって特有の効果を奏することができる。
【００５４】
横抱きにおいては、身体のしっかりしていない乳児に対する保持状態の安全性や安定性、あるいは快適性を高めることができる。特に、ガード部(61)を有する敷材(60)(70)の場合は、幼児の頭部周りを保護するとともに、頭部からの墜落を防止することができる。またこの場合、前記敷材(60)(70)はループまたは袋部材(72)を介してキャリア本体(10)に係合されているから、敷材(60)(70)もろとも墜落するおそれもない。なお、横抱きは、首がすわる以前の乳児に適した保持方法であるから、安全性の点で側頭サポート部(42)の使用、およびガード部付敷材(60)(70)の使用が望ましい。
【００５５】
また、前向きだっこの場合、幼児の胸腹部が背当て部（11）により支えられるが、前記敷材(50)(50')により胸腹部への圧迫が緩和され、縫製による凹凸も解消されて幼児の身体は保護される。また、幼児の足が背当て部（11）の下方両側縁部から出るが、敷材(50)(50')に覆われているため鼠蹊部への圧迫も緩和される。
【００５６】
なお、この発明の敷材および敷材付きベビーキャリアの各部の詳細な構成は、図示とともに上述した態様に限定されない。
【００５７】
装着用部材としてループを設けた敷材(50)(60)(50')において、ガード部(61)の有無とループの位置とは任意に組み合わせて選択することができる。また、両方の位置に設けて、側頭サポート部材(42)とショルダーベルト(30)の両方で装着することも、どちらか一方だけで装着することも任意に選択することができる。また、ガード部付の第２の敷材(60)において、頭部側のループは、ガード部(61)、敷材部(51)、または両者に跨る位置のいずれにでも設けることができる。
【００５８】
また、上記実施形態では、ベルト状の通し部材(52)(53)(62)の両端を敷材に縫着することよってループを形成しているが、予め環状に形成した部材を用いることもできる。また、前記ループは、上記実施形態のような閉鎖されたループの他、開閉できるようにすることもできる。開閉可能とすれば、長いショルダーベルトに対しても装着が容易であり、またショルダーベルトに固着された側頭サポート部や、バックル等による締結を行わず固定された環状体としてキャリア本体に取付けられたショルダーベルトに対しても装着が可能である。
【００５９】
また、装着用部材として頭部側に袋部材(72)を設けた第３の敷材(70)において、さらに中間部にループを設けても良く、係止位置を適宜変更することができる。いずれの場合も、ガード部(61)の有無は自由に選択できる。また、ガード部(61)が無い場合は、頭部側に袋部材(72)およびループの両者を設けて、横抱き、おんぶ、対面だっこは袋部材(72)と側頭サポート部(42)とで装着し、前向きだっこはループとショルダーベルト(30)で装着するという使用方法も可能である。
【００６０】
また、敷材部(51)の形状は図示した長方形に限定されない。例えば、前向きだっこにおいて鼠蹊部相当部分を背当て部幅よりも広くしておくことにより、保護効果を確実なものとすることができる。
【００６１】
また、キャリア本体（10）は、背当て部(11)のみからなるもの、あるいは股当て部(12)の前側に前当て部が付加されて袋状に形成されたものでも良い。また後者の場合、ショルダーベルトが前当て部に取付けられていて、敷材の中間部ループによる装着に適さない場合であっても、側頭サポート部と頭部側ループまたは袋部材との組合せによって敷材の装着を行うことができる。
【００６２】
【発明の効果】
以上の次第で、この発明の敷材は、前記敷材部にベビーキャリアの所定部分を通す装着用部材が設けられ、前記装着用部材を介してベビーキャリアのキャリア本体に着脱自在に装着されるから、装着状態における敷材の位置ずれや脱落が防止され、敷材による保護機能を確保することができる。
【００６３】
前記装着用部材としてループまたは袋部材を採用することにより、前記敷材を容易に装着できる。
【００６４】
前記敷材において、前記敷材部の頭部側に周縁から起立するガード部が形成されている場合は、幼児の頭部の周囲の保護機能を高めることができる。
【００６５】
また、この発明の敷材付ベビーキャリアは、幼児の身体を収容するキャリア本体と、前記キャリア本体に取付けられるショルダーベルトと、前記キャリア本体の背当て部の上部に取付けられて、少なくとも板状の後頭サポート部を有する頭部サポート部材と、上述の敷材とを備えるから、少なくとも前記装着用部材にショルダーベルトを通すことにより敷材の装着を行え、横抱き、おんぶ、だっこの各保持方法において敷材の位置ずれや脱落を防止し、保護機能の向上を確実に図ることができる。また、敷材の脱着は容易に行える。
【００６６】
前記頭部サポート部材が、後頭サポート部の左右両側縁に側頭サポート部を有するものである場合は、ショルダーベルトによる敷材装着に加えて、前記装着用部材に側頭サポート部を通して敷材を装着する方法を選択できる。
【００６７】
前記敷材の装着用部材が、前記敷材部の側周縁の頭部側または長さ方向の中間部の少なくともいずれかに設けられたループである場合は、いずれかのループに少なくともショルダーベルトを通すことにより敷材を装着できる。また、側頭サポート部を有する頭部サポート部材を使用する場合は、頭部側ループに側頭サポート部を通すことによっても敷材を装着できる。
【００６８】
また、側頭サポート部を有する頭部サポートを使用する場合は、前記敷材の装着用部材として、前記敷材部の頭部側周縁に固着され、前記敷材の裏面との間に下端で開口する袋状部を形成し、前記袋状部の上部左右両側に開口部が形成された袋部材を採用することも可能となり、前記袋状部に頭部サポート部材を差込むとともに、前記開口部に側頭サポート部を通すことによって敷材を装着できる。この装着方法によれば、位置ずれ防止効果が大きい。
【００６９】
また、前記敷材付ベビーキャリアにおいて、前記敷材に、敷材部の頭部側に周縁から起立するガード部が形成されている場合は、幼児の頭部の周囲の保護機能が高められるとともに墜落を防いで、特にに横抱き時の安全性を向上させることができる。
【００７０】
また、前記頭部サポート部材は、前記キャリア本体に着脱自在に取付けられている場合は、だっこおんぶにおいて頭部サポート部材の取り外しての使用を選択でき、前向きだっこが可能となる。この前向きだっこにおいて、前記敷材により幼児の胸腹部および鼠蹊部の圧迫を緩和することができる。
【００７１】
また、前記敷材は、前記頭部サポート部材の取り外し時には頭部サポート部材と共通の止着具を介してキャリア本体内に装着することが可能であり、前記装着部材による装着に加えて前記止着具による装着方法も選択できる。
【００７２】
さらに、この発明の敷材は、装着用部材に、ショルダーベルト、側頭サポート部といったキャリア本体の所定部分を通すだけで装着できるから、これらの寸法形状や取付け位置に多少の相違があっても融通が利き、支障なく装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の敷材を装着するベビーキャリアの全体斜視図である。
【図２】図１のベビーキャリアを背面から見た部分拡大図である。
【図３】この発明の敷材の一実施形態の全体斜視図である。
【図４】この発明の敷材の他の実施形態の全体斜視図である。
【図５】この発明の敷材のさらに他の実施形態の全体斜視図である。
【図６】図３の敷材の装着方法を示す部分斜視図である。
【図７】図４の敷材の装着方法を示す部分斜視図である。
【図８】図５の敷材の装着方法を示す部分斜視図である。
【図９】ベビーキャリアを横抱きで使用した状態を示す斜視図である。
【図１０】ベビーキャリアを対面だっこで使用した状態を示す斜視視図である。
【図１１】頭部サポート部材を外したベビーキャリアに対する敷材の装着方法を示す部分斜視図である。
【図１２】ベビーキャリアを前向きだっこで使用した状態を示す斜視視図である。
【図１３】この発明の敷材のさらに他の実施形態と、その装着方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
１…ベビーキャリア
10…キャリア本体
11…背当て部
12…股当て部
30…ショルダーベルト
40…頭部サポート部材
41…後頭サポート部
42…側頭サポート部
50、60、50'、70…敷材
51…敷材部
52,53,62…通し部材（ループ）
61…ガード部
72…袋部材
73…開口部
74…袋状部
【発明の属する技術分野】
この発明は、ベビーキャリアに装着する敷材および敷材付ベビーキャリアに関し、特に横抱き、おんぶ、だっこといった異なる保持方法に対応できるベビーキャリアに装着する敷材および敷材付ベビーキャリアに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ベビーキャリアは、幼児の成長に伴って、首のすわる前の乳児期には乳児を寝かせて保持する横抱き用のものが使用され、首がすわってからはおんぶまたはだっこで保持する縦抱き用のものが使用される。
【０００３】
しかし、横抱きで使用するのは乳児期の短期間のみであることから、横抱き専用のベビーキャリアを使用せずに、従来縦抱き用とされていたベビーキャリアを横抱きに転用することがある。この場合、幼児を収容したキャリア本体を水平に傾けるとともに左右のショルダーベルトを一括してたすき掛けにして使用される。
【０００４】
また、縦抱きに適した月齢に成長した後も、使用者への身体負担の少ないおんぶ、幼児と使用者とが向き合って幼児の様子を確認できる対面だっこ、幼児に使用者と同方向を向かせて幼児の視野を拡げる前向きだっこ、というふように使用場面に応じて適宜使い分けられている。このように保持方法を変えて使い分けることにより、幼児の成長や異なる保持方法にも１つのベビーキャリアで対応できるというメリットがある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
このような多用途のベビーキャリアでは、それぞれの保持方法に適した安定性や快適性が求められる。例えば、身体がしっかりしていない乳児の横抱きでは、月齢の進んだ幼児以上に高い安全性が求められる。また、やや成長して縦抱きできるようになっても、月齢の小さい頃や睡眠時には高い安全性が求められる。また、おんぶや対面だっこから前向きだっこに転換すると、背当て部が幼児の胸腹部や鼠蹊部を圧迫するという不都合も生じる。
【０００６】
この発明は、上述の技術背景に鑑み、複数の保持方法に応じた安全性や快適性を付与できる敷材、および敷材付ベビーキャリアの提供を目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明の敷材は、敷材部を有し、前記敷材部にベビーキャリアの所定部分を通す装着用部材が設けられ、前記装着用部材を介してベビーキャリアのキャリア本体に着脱自在に装着されることを基本要旨とする。
【０００８】
また、前記敷材において、前記装着用部材は、前記敷材部の側周縁の頭部側または長さ方向の中間部の少なくともいずれかに設けられたループであること、あるいは前記敷材部の頭部側周縁に固着され、前記敷材裏面との間に下端で開口する袋状部を形成し、前記袋状部の上部左右両側に開口部が形成された袋部材であることが好ましい。
【０００９】
さらに、前記敷材において、前記敷材部の頭部側に、周縁から起立するガード部が形成されていることが好ましい。
【００１０】
この発明の敷材は装着用部材を介してベビーキャリアのキャリア本体に装着されるから、敷材の位置ずれや脱落が防止され、敷材による保護機能を確保することができる。前記装着用部材としてループまたは袋部材を採用することにより、前記敷材を容易に装着できる。また、前記敷材において、ガード部の形成により幼児の頭部の周囲の保護機能を高めることができる。
【００１１】
また、この発明の敷材付ベビーキャリアは、幼児の身体を収容するキャリア本体と、前記キャリア本体に取付けられるショルダーベルトと、前記キャリア本体の背当て部の上部に取付けられて、少なくとも板状の後頭サポート部を有する頭部サポート部材と、敷材部を有し、前記敷材部にベビーキャリアの所定部分を通す装着用部材が設けられ、前記装着用部材を介して前記キャリア本体に着脱自在に装着される敷材と、を備えることを基本要旨とする。
【００１２】
この発明の敷材付ベビーキャリアによれば、少なくとも前記装着用部材にショルダーベルトを通すことにより敷材の装着を容易に行え、横抱き、おんぶ、だっこの各保持方法において敷材の位置ずれや脱落を防止し、保護機能の向上を確実に図ることができる。また、敷材の脱着は容易に行える。
【００１３】
前記頭部サポート部材は、後頭サポート部の左右両側縁から突出して先端部で前記ショルダーベルトに係止される帯状の側頭サポート部を有することが好ましく、ショルダーベルトによる敷材装着に加えて、装着用部材に側頭サポート部を通して敷材を装着する方法を選択できる。
【００１４】
前記敷材の装着用部材は、前記敷材部の側周縁の頭部側または長さ方向の中間部の少なくともいずれかに設けられたループであることが好ましく、いずれかのループに少なくともショルダーベルトを通すことにより敷材を装着できる。また、側頭サポート部を有する頭部サポート部材を使用する場合は、頭部側ループに側頭サポート部を通すことによっても敷材を装着できる。
【００１５】
また、側頭サポート部を有する頭部サポートを使用する場合は、前記敷材の装着用部材として、前記敷材部の頭部側周縁に固着され、前記敷材の裏面との間に下端で開口する袋状部を形成し、前記袋状部の上部左右両側に開口部が形成された袋部材を採用することも好ましく、前記開口部に側頭サポート部を通すことによって敷材を装着できる。
【００１６】
また、前記敷材において、敷材部の頭部側に、周縁から起立するガード部が形成されている場合は、幼児の頭部の周囲の保護機能が高められる。
【００１７】
また、前記頭部サポート部材は、前記キャリア本体に着脱自在に取付けられることが好ましく、だっこおよびおんぶにおいて頭部サポート部材を取り外しての使用を選択でき、さらに前向きだっこが可能となる。特に前向きだっこにおいては、前記敷材の装着により、背当て部による幼児の胸腹部および鼠蹊部の圧迫を緩和することができる。
【００１８】
また、前記敷材は、前記頭部サポート部材の取り外し時に頭部サポート部材と共通の止着具を介してキャリア本体内に装着されることも好ましく、前記装着部材による装着に加えて前記止着具による装着方法も選択できる。
【００１９】
【発明の実施の形態】
この発明の好適な１つの実施形態を、図示例に基づいて以下に説明する。
〔ベビーキャリア〕
図１および図２に示すベビーキャリア(1)は、キャリア本体(10)、頭部サポート部材(40)、ショルダーベルト(30)から構成され、横抱き、おんぶ、対面だっこおよび前向きだっこの４通りの保持方法で使用することができる。また、このベビーキャリア(1)には、後述の２種類の敷材を装着することができる。
【００２０】
前記キャリア本体（10）は、逆台形状の背当て部（11）と、該背当て部（11）の下端に連続形成された側面略Ｕ字状を呈する広幅帯状の股当て部（12）とを有する。そして、前記背当て部(11)の左右側縁のほぼ中央と、前記股当て部(12)の左右側縁と間に伸縮自在の足ぐりベルト(13)(13)が架け渡され、前記股当て部(12)が持ち上げられてキャリア本体(10)内が幼児の身体に沿った立体形状となっている。
【００２１】
前記背当て部(11)の外面には、左右に所定間隔をもって２つのラダー部材(15)(15)が細幅のベルト(14)を介して取付けられている。これらのラダー部材(15)(15)は、背当て部(11)の左右両端に縫着された調整用ベルト(16)(16)に係合されて、調整用ベルト(16)(16)を適宜引締めることにより背当て幅を拡縮するようになされている。
【００２２】
さらに、前記背当て部(11)の外面にはポーチ(20)が着脱自在に取付けられている。前記ポーチ(20)は、裏面の左右上部に縫着されたテープ(21)(21)（一方のみを図示）を前記調整用ベルト(16)(16)に掛け通し、テープ(21)(21)の両端に取り付けられたスナップ(22a)(22b)を止着して、前記調整用ベルト(16)(16)に巻留める態様で背当て部(11)に装着される。また、前記ポーチ(20)の裏面下部は、面ファスナ(23a)(23b)の離合によっても背当て部(11)に係着自在となされている。従って、前記ポーチ(20)の装着状態において、背当て部(11)とポーチ(20)との間には隙間が形成されている。なお、図中(24)は、前記面ファスナ(23a)(23b)の離合の際に前記背当て部(11)側の浮き上がりを押さえるための引き紐である。
【００２３】
前記ショルダーベルト（30）（30）は左右一対あり、その基部が背当て部（11）の背面に背面視略Ｖ字状をなす態様に縫着一体化され、背当て部（11）の上端部から上方に引き出されている。使用者の肩に掛かる部分は、太い帯状のものに形成される一方、先端側はそれより細い帯紐部（31）（31）によって形成されている。
【００２４】
また、前記ショルダーベルト(30)(30)の先端側の前記帯紐部(31)(31)には、その中間部に第１バックル(32a)(32a)が、摺動による取付位置変更自在に取付けられている。これらの第１バックル(32a)(32a)は、キャリア本体（10）の股当て部（12）の前端部外面に取付けられた相手方の第２バックル(32b)(32b)と対をなすもので、それらに分離自在に止着連結しうるものである。さらに、前記ショルダーベルト(30)(30)の帯紐部(31)(31)の各先端には、互いに対をなす第１および第２のバックル(33a)(33b)が取付けられ、相互を止着連結しうるものとなされている。また、背当て部(11)からの引出し位置より少し上方に、後述の側頭サポート部(42)を係止するためのＤ鐶(35)が取付けられている。
【００２５】
前記頭部サポート部材(40)は、キャリア本体(10)の背当て部(11)に上方突出状に着脱可能に取付けられる。
【００２６】
前記頭部サポート部材(40)は、概略長方形の板状の後頭サポート部(41)と、この後頭サポート部(41)の左右両側に突出する帯状の側頭サポート部(42)(42)とを有し、さらに前記後頭サポート部(41)の背後に後頭サポート部(41)とほぼ同形のカバー部(43)が付設されている。前記後頭サポート部材(41)は、重ねられた板材とクッション材とを内包し、幼児の頭部を後方から柔らかくかつしっかりと支持する。前記側頭サポート部(42)(42)は、後頭サポート部(41)に一体に形成され、各先端部にはショルダーベルト(30)(30)に係止させるための２対のスナップ(44a)(44a)(44b)(44b)が取付けられている。また、前記カバー部(43)は、上半部（43a）は後頭サポート部(41)に対して上端縁および左右両側縁の一部が縫着され、前記側頭サポート部材(42)(42)の基端部近傍に開口部(45a)(45b)が形成されている一方、下半部(43b)は後頭サポート部(41)に縫着されず、後頭サポート部(41)を覆っている。前記側頭サポート部(42)は、ショルダーベルト(30)への係止状態において幼児の頭部を側方から支持する。
【００２７】
前記頭部サポート部材(40)の着脱は、頭部サポート部材(40)に設けたスナップによる止着具(47a)と背当て部（11）に設けた相手方止着具(47b)との係合と、抑さえ帯(48)との併用によって行う。また、頭部サポート部材(40)の装着状態におて、カバー部(43)の下半部(43b)は、図２の点線で示すように背当て部(11)とポーチ(20)との間に差し入れておく。また、側頭サポート部(42)を使用しない場合は、左右の開口部(45a)(45b)から後頭サポート部(41)とカバー部(43)との間に差入れ、先端部は背当て部(11)とカバー部(43)との間に垂らして収納しておく。このとき、面ファスナ(23a)(23b)を外してポーチ(20)を跳ね上げ、側頭サポート部(42)の先端部を引き下ろすようにすれば、カバー部(23)内での収まりが良い。
〔第１の敷材〕
図３に、前記ベビーキャリア(1)に装着する敷材の一例を示す。
【００２８】
前記敷材(50)は、乳児の身体に敷く略長方形の敷材部(51)を有し、この敷材部(51)の左右の側周縁において、頭部側および長さ方向の中間部にベルト状の通し部材(52)(52)(53)(53)が取付けられている。前記頭部側通し部材(52)(52)および中間部通し部材(53)(53)は、それぞれその周方向の両端を敷材部(51)に縫着され、敷材部(51)との間にループを形成している。また、これらのループは、前記頭部サポート部材(40)の側頭サポート部(42)、またはショルダーベルト(30)を挿通させるに十分な寸法に形成されている。
【００２９】
また、前記敷材部(51)の材質は、圧迫や衝撃を緩和するクッション性があることはもとより、さらに衛生上通気性のあるものが好ましい。これらの条件を満たすものとして、コットン、ウール、合成繊維等の各種綿、発泡ウレタン等の発泡性樹脂、フェルト、あるいはこれらを布で包んだものを例示できる。また、芯材を付加することも好ましい。
〔第２の敷材〕
図４に、前記ベビーキャリア(1)に装着する敷材の他の例を示す。
【００３０】
前記敷材(60)は、敷材部(51)と、敷材部(51)の頭部側に周縁から略垂直に起立するように縫着されたガード部(61)とを有する。また、前記ガード部(61)の左右のコーナ部の外面に、ベルト状の通し部材(62)(62)が取付けられている。前記通し部材(62)(62)は、その周方向の両端をガード部(61)に縫着され、ガード部(61)との間にループを形成している。また、これらのループは、前記頭部サポート部材(40)の側頭サポート部(42)を挿通させるに十分な寸法に形成されている。なお、ガード部(61)の材質は前記敷材部(51)に準じる。
〔第３の敷材〕
図５に、前記ベビーキャリア(1)に装着する敷材のさらに他の例を示す。
【００３１】
前記敷材(70)は、上述の第２の敷材(60)と同様に、敷材部(51)の頭部側に周縁から略垂直に起立するように縫着されたガード部(61)を有する。さらに、前記敷材部(51)の裏面頭部側には敷材部(51)の上半部とほぼ同形の袋部材(72)が付設されている。前記袋部材(72)は、下端部および上部の左右所定位置を除く外周部が敷材部(51)の周縁に縫着され、この縫着によって、下端部が敷材部(51)の全幅で開口する袋状部(74)に形成されているとともに、この袋状部(74)には左右側縁にスリット状の開口部(73)(73)が形成されている。また、前記袋部材(72)の下端開口部(75)の縁にはゴムテープが縫い込まれて伸縮自在となされている。
【００３２】
次に、これらの敷材(50)(60)(70)をベビーキャリア(1)に装着して、ベビーキャリア(1)の異なる保持方法について説明する。
（横抱き例）
まず、上述した方法でキャリア本体（10）に頭部サポート部材(40)を装着する。また、ショルダーベルト(30)(30)は、第１バックル(32a)(32a)を先端側に摺動させて先端余剰部分(31a)(31a)が短くなるように調節するとともに、第１バックル(32a)および第２バックル(32b)を締結しておく。
【００３３】
次に、キャリア本体(10)に上述の何れかの敷材(50)、(60)、(70)を装着する。
【００３４】
図６に示すように、ガード部(61)を有する第２の敷材(60)の場合は、キャリア本体(10)内に前記敷材(60)を敷き、左右の通し部材(62)(62)にそれぞれ側頭サポート部(42)(42)を通した後、側頭サポート部(42)(42)の先端部をショルダーベルト(30)(30)のＤ鐶(35)に掛け通し、折り返してスナップ(44a)(44b)を留める。これにより、前記敷材(60)はキャリア本体(10)内に装着される。図６は、向かって左の側頭サポート部(42)のみをショルダーベルト(30)に係止させた状態を例示している。
【００３５】
なお、前記スナップ(44a)(44b)は側頭サポート部(42)(42)の長さ方向に２対が取り付けられているため、留め位置を選択することによって側頭サポート部(42)の長さ、即ち後頭サポート部(41)とショルダーベルト(30)との間の距離を調節して、幼児の体格に適合させることができる。
【００３６】
また、第１の敷材(50)の装着は、次の方法で行う。
【００３７】
図７に示すように、キャリア本体(10)内に前記敷材(50)を敷くと、頭部側通し部材(52)(52)は側頭サポート部(42)に近接し、中間部通し部材(53)(53)はショルダーベルト(30)(30)に近接する。キャリア本体(10)への装着は、頭部側通し部材(52)に側頭サポート部(42)を通すか、あるいは中間部通し部材(53)にショルダーベルト(30)を通すことによって行う。勿論、両者を併用することもできる。図７は、向かって左の頭部側通し部材(52)に側頭サポート部(42)を通すとともに、向かって左の中間部通し部材(53)にショルダーベルト(30)を通した状態を例示している。
【００３８】
また、側頭サポート部(42)を使用しない場合、あるいは側頭サポート部を有さず後頭サポート部のみからなる頭部サポート部材を使用する場合にでも、前記中間部通し部材(53)があれば前記敷材(50)をキャリア本体(10)内に装着することができる。
【００３９】
また、第３の敷材(70)の装着は、次の方法で行う。
図８に示すように、頭部サポート部材(40)の上方から後頭サポート部(41)に前記敷材(70)の袋部材(72)を被せて袋状部(74)内に深く差し込み、左右のスリット状開口部(73)(73)から側頭サポート部(42)(42)を通して引き出す。この操作によって、前記敷材(70)はキャリア本体(10)内の所定位置に敷かれる。前記敷材(10)は、後頭サポート部(41)の袋状部(74)内への差込みと、側頭サポート部(42)(42)の開口部(73)(73)からの引出しと、袋部材(72)の下端開口部(75)の収縮とにより、キャリア本体(10)内で安定した位置に装着できるとともに、使用中のずれを防止することができる。
【００４０】
次いで、上述の第２の敷材(60)と同様に、左右の側頭サポート部(42)(42)の先端部をショルダーベルト(30)(30)に係止する（図６参照）。
【００４１】
このように敷材(50)(60)(70)を装着したベビーキャリア本体(10)内に幼児を寝かせ、足をキャリア本体(10)と足ぐりベルト(13)との間に差し入れる。この足ぐりベルト(13)によって幼児の足を抑えてキャリア本体(10)からの脱落を防止することができる。
。そして、図９に示すように、キャリア本体(10)を水平近くにするとともに、左右のショルダーベルト(30)(30)を一括して片方の肩にたすき掛けにする。なお、図９では、ガード部(61)を有する第２の敷材(60)の装着例を示している。
（おんぶまたは対面だっこ）
まず、上述した方法でキャリア本体（10）に頭部サポート部材(40)を装着する。また、ショルダーベルト(30)(30)は、横抱き時よりも先端余剰部分(31a)(31a)が長くなるように第１バックル(32a)(32a)の位置を調節しておく。
【００４２】
次に、上述の横抱き時と同様の方法で第１の敷材(50)をキャリア本体(10)内に装着した後、キャリア本体(10)内に幼児を収容する。
【００４３】
そして、おんぶの場合は、キャリア本体(10)を使用者の背中側に配置して背負い、ショルダーベルト(30)(30)を左右の肩に掛け、左右のショルダーベルト(30)(30)が平行するように第１バックル(32a)および第２バックル(32b)を締結する。さらに、先端余剰部分(31a)を引っ張ってショルダーベルト(30)を適正長さになるまで短くしたのち、先端部のバックル(33a)(33b)を腰に回して締結する（図示省略）。
【００４４】
また、図１０に示す対面だっこの場合は、キャリア本体(10)を使用者の正面側に配置し、ショルダーベルト(30)(30)を背面側で交差させて第１バックル(32a)および第２バックル(32b)を締結し、先端余剰部分(31a)を引っ張って適正長さに調節する。
【００４５】
なお、ガード部(61)を有する第２の敷材(60)および第３の敷材(70)は、装着状態において幼児の頭部とガード部(61)との間に余裕のあるときのみ使用できる。（前向きだっこ）
キャリア本体（10）から頭部サポート部材(40)を外しておく。また、ショルダーベルト(30)(30)の調節は対面だっこ時に準ずる。
【００４６】
そして、図１１に示すように、前記第１の敷材(50)の頭部側通し部材(52)(52)にショルダーベルト(30)(30)を通す。これにより、前記敷材(50)は背当て部(11)とほぼ等しい高さに装着され、その下端部はキャリア本体(10)の股当て部(12)にまで達する。
【００４７】
そして、図１２に示すように、キャリア本体(10)の背当て部(11)が幼児の胸腹部を支える方向に幼児を収容し、対面だっこ時と同様に、キャリア本体(10)を使用者の正面側に配置し、ショルダーベルト(30)(30)を装着する。
【００４８】
また、おんぶまたは対面だっこは、頭部サポート部材(40)を外してこの方法で前記第１の敷材(50)を装着した状態で行うこともできる。
【００４９】
また、前記頭部サポート部材(40)を外した状態では、キャリア本体(10)における頭部サポート部材(40)装着用の止着具(47b)を用いて、前記第１の敷材(50)の装着を行うこともできる。
【００５０】
たとえば、図１３に示すように、敷材(50')の裏面上端部に留め片(55)を設けるとともに、前記留め片(55)に背当て部(11)のスナップ(47b)に対応する相手方スナップ(56)を取り付ける。そして、前記留め片(55)を抑さえ帯(18)に掛けるとともに、スナップ(47b)(56)を係合させることにより、敷材(50')をキャリア本体(10)に装着することができる。
【００５１】
上述したように、キャリア本体（10）内に敷材(50)(60)(50')(70)を敷くことにより、横抱き、おんぶ、対面だっこ、前向きだっこに共通して、次の効果を得ることができる。
【００５２】
即ち、キャリア本体(10)の内面の凹凸を解消するとともに揺れ等による外部からの衝撃を緩和することができ、冬季にあっては保温効果も奏する。また、前記敷材(50)(60)(50')(70)は、ループまたは袋部材(72)を介してキャリア本体(10)に装着されているため、敷材(50)(60)(50')(70)の脱落や位置ずれを防止することができる。特に、袋部材(72)を介して装着する場合は、優れた位置ずれ防止効果を得ることができる。また、キャリア本体(10)側に敷材装着用部材を追加する必要がなく、既存のベビーキャリアに対しても敷材(50)(60)(50')(70)のみを追加すれば上記効果を奏することができる。また、通し部材(52)(53)(62)等によるループまたは袋部材(72)の開口部(73)に側頭サポート部(42)またはショルダーベルト(30)を差し通すだけで装着できるから、側頭サポート部(42)やショルダーベルト(30)の寸法形状や取付け位置に多少の相違があっても融通が利き、支障なく装着することができる。
【００５３】
さらに、各保持方法によって特有の効果を奏することができる。
【００５４】
横抱きにおいては、身体のしっかりしていない乳児に対する保持状態の安全性や安定性、あるいは快適性を高めることができる。特に、ガード部(61)を有する敷材(60)(70)の場合は、幼児の頭部周りを保護するとともに、頭部からの墜落を防止することができる。またこの場合、前記敷材(60)(70)はループまたは袋部材(72)を介してキャリア本体(10)に係合されているから、敷材(60)(70)もろとも墜落するおそれもない。なお、横抱きは、首がすわる以前の乳児に適した保持方法であるから、安全性の点で側頭サポート部(42)の使用、およびガード部付敷材(60)(70)の使用が望ましい。
【００５５】
また、前向きだっこの場合、幼児の胸腹部が背当て部（11）により支えられるが、前記敷材(50)(50')により胸腹部への圧迫が緩和され、縫製による凹凸も解消されて幼児の身体は保護される。また、幼児の足が背当て部（11）の下方両側縁部から出るが、敷材(50)(50')に覆われているため鼠蹊部への圧迫も緩和される。
【００５６】
なお、この発明の敷材および敷材付きベビーキャリアの各部の詳細な構成は、図示とともに上述した態様に限定されない。
【００５７】
装着用部材としてループを設けた敷材(50)(60)(50')において、ガード部(61)の有無とループの位置とは任意に組み合わせて選択することができる。また、両方の位置に設けて、側頭サポート部材(42)とショルダーベルト(30)の両方で装着することも、どちらか一方だけで装着することも任意に選択することができる。また、ガード部付の第２の敷材(60)において、頭部側のループは、ガード部(61)、敷材部(51)、または両者に跨る位置のいずれにでも設けることができる。
【００５８】
また、上記実施形態では、ベルト状の通し部材(52)(53)(62)の両端を敷材に縫着することよってループを形成しているが、予め環状に形成した部材を用いることもできる。また、前記ループは、上記実施形態のような閉鎖されたループの他、開閉できるようにすることもできる。開閉可能とすれば、長いショルダーベルトに対しても装着が容易であり、またショルダーベルトに固着された側頭サポート部や、バックル等による締結を行わず固定された環状体としてキャリア本体に取付けられたショルダーベルトに対しても装着が可能である。
【００５９】
また、装着用部材として頭部側に袋部材(72)を設けた第３の敷材(70)において、さらに中間部にループを設けても良く、係止位置を適宜変更することができる。いずれの場合も、ガード部(61)の有無は自由に選択できる。また、ガード部(61)が無い場合は、頭部側に袋部材(72)およびループの両者を設けて、横抱き、おんぶ、対面だっこは袋部材(72)と側頭サポート部(42)とで装着し、前向きだっこはループとショルダーベルト(30)で装着するという使用方法も可能である。
【００６０】
また、敷材部(51)の形状は図示した長方形に限定されない。例えば、前向きだっこにおいて鼠蹊部相当部分を背当て部幅よりも広くしておくことにより、保護効果を確実なものとすることができる。
【００６１】
また、キャリア本体（10）は、背当て部(11)のみからなるもの、あるいは股当て部(12)の前側に前当て部が付加されて袋状に形成されたものでも良い。また後者の場合、ショルダーベルトが前当て部に取付けられていて、敷材の中間部ループによる装着に適さない場合であっても、側頭サポート部と頭部側ループまたは袋部材との組合せによって敷材の装着を行うことができる。
【００６２】
【発明の効果】
以上の次第で、この発明の敷材は、前記敷材部にベビーキャリアの所定部分を通す装着用部材が設けられ、前記装着用部材を介してベビーキャリアのキャリア本体に着脱自在に装着されるから、装着状態における敷材の位置ずれや脱落が防止され、敷材による保護機能を確保することができる。
【００６３】
前記装着用部材としてループまたは袋部材を採用することにより、前記敷材を容易に装着できる。
【００６４】
前記敷材において、前記敷材部の頭部側に周縁から起立するガード部が形成されている場合は、幼児の頭部の周囲の保護機能を高めることができる。
【００６５】
また、この発明の敷材付ベビーキャリアは、幼児の身体を収容するキャリア本体と、前記キャリア本体に取付けられるショルダーベルトと、前記キャリア本体の背当て部の上部に取付けられて、少なくとも板状の後頭サポート部を有する頭部サポート部材と、上述の敷材とを備えるから、少なくとも前記装着用部材にショルダーベルトを通すことにより敷材の装着を行え、横抱き、おんぶ、だっこの各保持方法において敷材の位置ずれや脱落を防止し、保護機能の向上を確実に図ることができる。また、敷材の脱着は容易に行える。
【００６６】
前記頭部サポート部材が、後頭サポート部の左右両側縁に側頭サポート部を有するものである場合は、ショルダーベルトによる敷材装着に加えて、前記装着用部材に側頭サポート部を通して敷材を装着する方法を選択できる。
【００６７】
前記敷材の装着用部材が、前記敷材部の側周縁の頭部側または長さ方向の中間部の少なくともいずれかに設けられたループである場合は、いずれかのループに少なくともショルダーベルトを通すことにより敷材を装着できる。また、側頭サポート部を有する頭部サポート部材を使用する場合は、頭部側ループに側頭サポート部を通すことによっても敷材を装着できる。
【００６８】
また、側頭サポート部を有する頭部サポートを使用する場合は、前記敷材の装着用部材として、前記敷材部の頭部側周縁に固着され、前記敷材の裏面との間に下端で開口する袋状部を形成し、前記袋状部の上部左右両側に開口部が形成された袋部材を採用することも可能となり、前記袋状部に頭部サポート部材を差込むとともに、前記開口部に側頭サポート部を通すことによって敷材を装着できる。この装着方法によれば、位置ずれ防止効果が大きい。
【００６９】
また、前記敷材付ベビーキャリアにおいて、前記敷材に、敷材部の頭部側に周縁から起立するガード部が形成されている場合は、幼児の頭部の周囲の保護機能が高められるとともに墜落を防いで、特にに横抱き時の安全性を向上させることができる。
【００７０】
また、前記頭部サポート部材は、前記キャリア本体に着脱自在に取付けられている場合は、だっこおんぶにおいて頭部サポート部材の取り外しての使用を選択でき、前向きだっこが可能となる。この前向きだっこにおいて、前記敷材により幼児の胸腹部および鼠蹊部の圧迫を緩和することができる。
【００７１】
また、前記敷材は、前記頭部サポート部材の取り外し時には頭部サポート部材と共通の止着具を介してキャリア本体内に装着することが可能であり、前記装着部材による装着に加えて前記止着具による装着方法も選択できる。
【００７２】
さらに、この発明の敷材は、装着用部材に、ショルダーベルト、側頭サポート部といったキャリア本体の所定部分を通すだけで装着できるから、これらの寸法形状や取付け位置に多少の相違があっても融通が利き、支障なく装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の敷材を装着するベビーキャリアの全体斜視図である。
【図２】図１のベビーキャリアを背面から見た部分拡大図である。
【図３】この発明の敷材の一実施形態の全体斜視図である。
【図４】この発明の敷材の他の実施形態の全体斜視図である。
【図５】この発明の敷材のさらに他の実施形態の全体斜視図である。
【図６】図３の敷材の装着方法を示す部分斜視図である。
【図７】図４の敷材の装着方法を示す部分斜視図である。
【図８】図５の敷材の装着方法を示す部分斜視図である。
【図９】ベビーキャリアを横抱きで使用した状態を示す斜視図である。
【図１０】ベビーキャリアを対面だっこで使用した状態を示す斜視視図である。
【図１１】頭部サポート部材を外したベビーキャリアに対する敷材の装着方法を示す部分斜視図である。
【図１２】ベビーキャリアを前向きだっこで使用した状態を示す斜視視図である。
【図１３】この発明の敷材のさらに他の実施形態と、その装着方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
１…ベビーキャリア
10…キャリア本体
11…背当て部
12…股当て部
30…ショルダーベルト
40…頭部サポート部材
41…後頭サポート部
42…側頭サポート部
50、60、50'、70…敷材
51…敷材部
52,53,62…通し部材（ループ）
61…ガード部
72…袋部材
73…開口部
74…袋状部
Claims (7)
- 幼児の身体を収容するキャリア本体と、
前記キャリア本体に取付けられるショルダーベルトと、
前記キャリア本体の背当て部の上部に取付けられて、板状の後頭サポート部と、この後頭サポート部の左右両側縁から突出して先端部で前記ショルダーベルトに係止される帯状の側頭サポート部とを有する頭部サポート部材と、
敷材部を有し、前記敷材部の側周縁の頭部側または長さ方向の中間部の少なくともいずれかにループが設けられ、前記ループに前記ショルダーベルトまたは前記頭部サポート部材の側頭サポート部を通すことにより、前記キャリア本体に着脱自在に装着される敷材と、
を備えることを特徴とする敷材付ベビーキャリア。 - 幼児の身体を収容するキャリア本体と、
前記キャリア本体に取付けられるショルダーベルトと、
前記キャリア本体の背当て部の上部に取付けられて、板状の後頭サポート部と、この後頭サポート部の左右両側縁から突出して先端部で前記ショルダーベルトに係止される帯状の側頭サポート部とを有する頭部サポート部材と、
敷材部を有し、前記敷材部の頭部側周縁に袋部材が固着され、前記敷材の裏面との間に下端で開口する袋状部を形成し、かつ前記袋状部の上部左右両側に開口部が形成され、前記頭部サポート部材の後頭サポート部に前記袋状部を被せるとともに、前記側頭サポート部を左右両側の開口部に通すことにより、前記キャリア本体に着脱自在に装着される敷材と、
を備えることを特徴とする敷材付ベビーキャリア。 - 前記敷材は、敷材部の頭部側に、周縁から起立するガード部が形成されている請求項１または２に記載の敷材付ベビーキャリア。
- 前記頭部サポート部材は、前記キャリア本体に着脱自在に取付けられる請求項１〜３のいずれか記載の敷材付ベビーキャリア
- 幼児の身体を収容するキャリア本体と、前記キャリア本体に取付けられるショルダーベルトと、前記キャリア本体の背当て部の上部に取付けられて、板状の後頭サポート部と、この後頭サポート部の左右両側縁から突出して先端部で前記ショルダーベルトに係止される帯状の側頭サポート部とを有する頭部サポート部材とを備えるベビーキャリアに着脱自在に装着される敷材であって、
前記敷材は、敷材部を有し、前記敷材部の側周縁の頭部側または長さ方向の中間部の少なくともいずれかにループが設けられ、前記ループに前記ショルダーベルトまたは前記頭部サポート部材の側頭サポート部を通すことにより前記キャリア本体に着脱自在に装着されることを特徴とする敷材。 - 幼児の身体を収容するキャリア本体と、前記キャリア本体に取付けられるショルダーベルトと、前記キャリア本体の背当て部の上部に取付けられて、板状の後頭サポート部と、この後頭サポート部の左右両側縁から突出して先端部で前記ショルダーベルトに係止される帯状の側頭サポート部とを有する頭部サポート部材とを備えるベビーキャリアに着脱自在に装着される敷材であって、
前記敷材は、敷材部を有し、前記敷材部の頭部側周縁に袋部材が固着されて前記敷材の裏面との間に下端で開口する袋状部を形成し、かつ前記袋状部の上部左右両側に開口部が形成され、前記頭部サポート部材の後頭サポート部に前記袋状部を被せるとともに、前記側頭サポート部を左右両側の開口部に通すことにより前記キャリア本体に着脱自在に装着されることを特徴とする敷材。 - 前記敷材部の頭部側に、周縁から起立するガード部が形成されている請求項５または６に記載の敷材。
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