JP3990650B2 - 樹脂製インテークマニホールド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用内燃機関などに使用される合成樹脂製の樹脂製インテークマニホールドに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関に吸入される空気は、エアークリーナで濾過された後、スロットル弁を通り、サージタンクに導入され、サージタンクの下流側に接続された独立吸気通路を通り、各気筒に分配して供給される。このような吸入空気を各気筒に供給する吸気系の部品として、インテークマニホールドがあり、従来、この種のインテークマニホールドとして、合成樹脂材料により成形した樹脂製インテークマニホールドが開発されている(例えば下記特許文献1等参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−252864号公報
【0004】
この種の樹脂製インテークマニホールドは、その製造時、成形型を用いた合成樹脂の射出成形により成形されるため、成形上、複数のピースに分けて成形され、特にサージタンクからファンネル部を経て独立吸気通路に到る部分は、別ピースに分かれて成形されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そして、このような樹脂製インテークマニホールドが複数のピースに分けて成形された場合、それらのピースは、成形後、その接合部分となる溶着ラインが振動溶着などにより溶着されて、全体の樹脂製インテークマニホールドが製作される。しかし、この種の樹脂製インテークマニホールドにおいて、溶着ラインが、サージタンクからファンネル部を経て独立吸気通路に到る部分で横切るように形成されている場合、その溶着部分に段差部が生じやすく、段差部がファンネル部の流通路を直角に横切るように形成されると、その部分で吸気の流れに乱れが生じ、吸気の通気抵抗が増大する問題があった。
【0006】
また、別々のピースが溶着ラインで溶着されてインテークマニホールドが一体形成される場合、溶着ラインが平面的にまた平坦に形成されていると、溶着ラインが1つの平面内に位置するように形成され、エンジンに装着した使用時に、エンジンからの振動や吸気脈動による振動圧力が印加された場合、その溶着ラインにおける耐圧強度や耐振強度が低下しやすいという課題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、耐圧強度や耐振強度を向上させることができると共に、溶着ラインに起因した吸気の通気抵抗を抑制することができる樹脂製インテークマニホールドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂製インテークマニホールドは、所定形状に成形された複数のピースを溶着ラインに沿って溶着して形成され、サージタンクとそれに続く独立吸気通路を有する樹脂製インテークマニホールドにおいて、サージタンクから独立吸気通路に続く箇所にファンネル部が形成され、ファンネル部近傍を横断するように溶着ラインが形成され、ファンネル部には複数の独立吸気通路を隔てるファンネル隔壁が一方のピースから他方のピースに突き出すように形成され、他方のピースにはファンネル隔壁を受け入れるファンネル壁受け部が形成され、ファンネル隔壁とファンネル壁受け部の接合面が前記溶着ラインとして溶着され、溶着ラインはファンネル部の通気方向に略沿った方向に形成されたことを特徴とする。
【0009】
ここで、請求項2のように、上記ファンネル部のファンネル隔壁は、他方のピース側に角部が突き出すように略三角形状に形成することができる。
【0010】
また、請求項3のように、上記ファンネル部のファンネル隔壁の縁部には、略くの字状に曲折した溶着ラインを形成することができる。
【0011】
【作用】
上記構成の樹脂製インテークマニホールドは、複数のピースが合成樹脂により所定の形状に成形され、それらのピースが振動溶着などにより溶着ラインに沿って溶着されて製作される。樹脂製インテークマニホールドの内部には、サージタンクとそれに続く複数の独立吸気通路が形成され、そのサージタンクから独立吸気通路に続く箇所にファンネル部が形成されると共に、ファンネル部には、ファンネル隔壁が一方のピースから他方のピースに突き出すように形成され、そのファンネル隔壁の接合面に溶着ラインが形成されて溶着される。
【0012】
したがって、ファンネル部を横断するように形成される溶着ラインは、平面上にある平坦なラインとはならず、立体形状に形成されることになる。このため、このインテークマニホールドがエンジンに装着されて使用され、エンジンの振動や吸気の脈動による振動がファンネル部に印加された際、その部分の立体的な三次元方向の変形を効果的に抑えることができ、その箇所並びにマニホールド全体の耐圧強度、耐振強度を向上させることができる。また、ファンネル部内の吸気通路の内壁に溶着ラインによって生じやすい段差は、吸気通路の横断方向とは異なる通気方向に略沿った方向となるから、吸気の通気抵抗を低減することができる。
【0013】
さらに、請求項2のように、上記ファンネル部のファンネル隔壁を、他方のピース側に角部が突き出すように略三角形状に形成すれば、或いは、請求項3のように、上記ファンネル部のファンネル隔壁の縁部に、略くの字状に曲折した溶着ラインを形成すれば、さらに耐圧強度、耐振強度を向上させることができ、且つ吸気の通気抵抗を低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は直列4気筒エンジンに使用される樹脂製インテークマニホールド1の正面図を示し、図2はその背面図を、図3はその右側面図を、図4はその左側面図を示している。
【0015】
この樹脂製インテークマニホールド1は、中央部に位置する第1ピース2、上部の独立吸気通路のカバー部となる第2ピース3、第1ピースの背面部に位置しサージタンク24の背面側を形成する第3ピース4、及び第3ピース4の背面部に位置しレゾネータ25のカバー部を形成する第4ピース5と、から構成される。これらの第1ピース2、第2ピース3、第3ピース4、第4ピース5の部材は、各々合成樹脂の射出成形により所定の形状に成形され、振動溶着などにより溶着ラインMLに沿って溶着され、樹脂製インテークマニホールド1が形成される。
【0016】
樹脂製インテークマニホールド1の中央部分を構成する第1ピース2は、図5〜図7に示すように、エンジンの気筒側(シリンダヘッド側)に固定される気筒側取付フランジ20を有しており、気筒側取付フランジ20には4気筒分の吸気導出口21が並設して設けられ、縁部の複数箇所に固定用の取付孔20aが形成されている。さらに、第1ピース2の背面側には、サージタンク24の半殻部を形成する部分が形成され、サージタンク24に連通する4本の独立吸気通路26の半殻部が第1ピース2の正面側に形成されている。
【0017】
第1ピース2の正面における左側寄りには、図1に示すように、スロットルバルブ装置を固定するためのスロットル側取付フランジ22が形成されている。このスロットル側取付フランジ22には、吸気導入口23が形成され、その縁部の複数箇所に取付孔22aが形成されている。この吸気導入口23は第1ピース2内でサージタンク24に連通する。
【0018】
さらに、このスロットル側取付フランジ22は、気筒側取付フランジ20の側方に位置し、気筒側取付フランジ20との間には、スロットル側取付フランジ22と気筒側取付フランジ20の間を連結するように、板状でL字状の連結部がその間に一体成形されている。
【0019】
図5に示すように、第1ピース2の正面側には、上部の独立吸気通路26のカバー壁31となる第2ピース3を溶着するための溶着ラインMLが、独立吸気通路26の外形部に沿って形成され、図6に示すように、第1ピース2の背面側には、サージタンク24の背面側を形成する第3ピース4を溶着するための溶着ラインMLがサージタンク24の外形部に沿って形成されている。
【0020】
さらに、図6、図7に示すように、サージタンク24から独立吸気通路26に続く箇所に、その入口となるファンネル部27が形成され、ファンネル部27の近傍に溶着ラインMLが形成されている。ファンネル部27の縁部には、厚肉状のファンネル壁28が形成され、さらに、ファンネル部27には4つの独立吸気通路26を隔てるファンネル隔壁29が、図7のように、略三角形状を有して、第1ピース2から第3ピース4に突き出すように形成される。
【0021】
第3ピース4は、図8、図9に示すように、第1ピース2の背面側のサージタンク24の背面側の外殻部をなすように形成され、そこには、サージタンク24の一部をなるサージタンク部43が凹状に形成され、さらに連通路45を通してサージタンク部43と連通するレゾネータ部41が形成されている。さらに、図9に示すように、第3ピース4には嵌入されるファンネル隔壁29を受けるためのファンネル壁受け部44が形成され、ファンネル隔壁29とファンネル壁受け部44の接合面には溶着ラインMLがされている。
【0022】
また、ファンネル部27のファンネル隔壁29は、図7のように、第3ピース4側に角部が突き出す略三角形状に形成され、さらにそのファンネル隔壁29の縁部に、略くの字状に曲折した溶着ラインMLが形成される。また、図9に示すように、第3ピース4のファンネル壁受け部44の縁部にも溶着ラインMLが形成される。
【0023】
一方、第2ピース3は、図10〜図11に示すように、第1ピース2の正面側の独立吸気通路26のカバー壁31をなす形状に成形され、4本の独立吸気通路26の上部を各々カバーする形状に形成され、第1ピース2の正面側の溶着ラインMLに外形縁部が当接されて、溶着される。
【0024】
また、第3ピース4のレゾネータ部41の背面側には、その外殻部をなす第4ピース5が、カバー部材として形成され、第3ピース4の背面側に溶着される。第3ピース4の右側部にはEGRパイプを取り付けるためのEGR管用取付フランジ42が設けられている。
【0025】
このような構成の上記1ピース2、第2ピース3、第3ピース4、及び第4ピース5の部材は、図10〜図12に示すように相互に接合され、振動溶着によりその溶着ラインに沿った接合部が溶着されて、樹脂製インテークマニホールド1が製造される。
【0026】
上記構成の樹脂製インテークマニホールド1は、その気筒側取付フランジ20を、図示しないエンジンのシリンダヘッド側に固定し、そのスロットル側取付フランジ22に、図示しないスロットルバルブ装置を固定し、さらにEGR管など配管類、センサ類などを接続して使用される。
【0027】
エンジンの運転時、機関に吸入される空気は、エアークリーナで濾過された後、スロットルバルブ装置を通り、吸気導入口23から樹脂製インテークマニホールド1内に導入され、サージタンク24内に入る。そして、サージタンク24の下流側に接続された独立吸気通路26を通り、吸気導出口21を通ってエンジンの各気筒に分配して供給される。
【0028】
このような吸入空気を各気筒に供給する際、スロットルバルブの開閉動作に応じて樹脂製インテークマニホールド1内で発生する圧力脈動による振動が発生し、さらに、エンジンブロックから伝わる振動が樹脂製インテークマニホールド1に発生する。
【0029】
しかし、特に主要部を構成する第1ピース2と第3ピース4の接合部において、その中央部付近に位置する第1ピース2のファンネル部27のファンネル隔壁29が、第3ピース4側に角部が突き出すように略三角形状に形成され、このファンネル隔壁29の縁部に形成された溶着ラインMLが立体形状となって溶着されている。
【0030】
このため、インテークマニホールドの使用時、エンジンの振動や吸気の脈動による振動がファンネル部或いはマニホールド全体に印加された場合でも、その部分の立体的な三次元方向の変形を効果的に抑えることができ、その箇所並びにマニホールド全体の耐圧強度、耐振強度を向上させることができる。
【0031】
また、使用時に吸引された空気は、サージタンク24の下流側に接続された独立吸気通路26を通り、吸気導出口21を通ってエンジンの各気筒に分配して供給されるが、ファンネル部27内の吸気通路の内壁に溶着ラインによって生じやすい段差は、独立吸気通路26の横断方向とは異なる通気方向に略沿った方向となるから、吸気の通気抵抗を抑制し低減することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の樹脂製インテークマニホールドによれば、ファンネル部を横断するように形成される溶着ラインは、平面上にある平坦なラインとはならず、立体形状に形成されることになるため、このインテークマニホールドがエンジンに装着されて使用され、エンジンの振動や吸気の脈動による振動がファンネル部に印加された際、その部分の立体的な三次元方向の変形を効果的に抑えることができ、その箇所並びにマニホールド全体の耐圧強度、耐振強度を向上させることができる。また、ファンネル部内の吸気通路の内壁に溶着ラインによって生じやすい段差は、吸気通路の横断方向とは異なる通気方向に略沿った方向となるから、吸気の通気抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の樹脂製インテークマニホールドの正面図である。
【図2】同インテークマニホールドの背面図である。
【図3】同インテークマニホールドの右側面図である。
【図4】同インテークマニホールドの左側面図である。
【図5】第1ピース2の平面図である。
【図6】第1ピース2の背面図である。
【図7】第1ピース2のファンネル部の斜視図である。
【図8】第3ピース4の正面図である。
【図9】第3ピース4の正面図である。
【図10】同インテークマニホールドの分解左側面図である。
【図11】同インテークマニホールドの分解右側面図である。
【図12】同インテークマニホールドの分解断面図である。
【符号の説明】
1−樹脂製インテークマニホールド
2−第1ピース
3−第2ピース
4−第3ピース
5−第4ピース
21−吸気導出口
23−吸気導入口
24−サージタンク
26−独立吸気通路
27−ファンネル部
28−ファンネル壁
29−ファンネル隔壁
44−ファンネル壁受け部
Claims (3)
- 所定形状に成形された複数のピースを溶着ラインに沿って溶着して形成され、サージタンクとそれに続く独立吸気通路を有する樹脂製インテークマニホールドにおいて、
該サージタンクから独立吸気通路に続く箇所にファンネル部が形成され、該ファンネル部近傍を横断するように溶着ラインが形成され、該ファンネル部には複数の独立吸気通路を隔てるファンネル隔壁が一方のピースから他方のピースに突き出すように形成され、該他方のピースには該ファンネル隔壁を受け入れるファンネル壁受け部が形成され、該ファンネル隔壁と該ファンネル壁受け部の接合面が前記溶着ラインとして溶着され、該溶着ラインは該ファンネル部の通気方向に略沿った方向に形成されたことを特徴とする樹脂製インテークマニホールド。 - 前記ファンネル部のファンネル隔壁は、他方のピース側に角部が突き出す略三角形状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の樹脂製インテークマニホールド。
- 前記ファンネル部のファンネル隔壁の縁部に、略くの字状に曲折した溶着ラインが形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製インテークマニホールド。
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