JP3989147B2 - プリント基板加工機 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板加工機にかかり、特に、主軸部の上下移動により発生する振動を抑えるようにしたプリント基板加工機に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
プリント基板に穴明け加工を行うものとして、たとえば、図３に示すプリント基板穴明機が提案されている。
【０００３】
このプリント基板穴明機は、ベッド１と、このベッド１上に固定された直線案内手段のレール２に移動可能に支持され、モータ３を含むねじ送り機構によりＸ軸方向に駆動されるテーブル４と、このテーブル４の移動領域を跨ぐようにベッド１に固定されたコラム５の正面に固定された直線案内手段のレール６に移動可能に支持され、モータ７およびボールねじ８を含むねじ送り機構によりＹ軸方向に駆動されるクロススライド９と、このクロススライド９の表面に固定された直線案内手段のレール１０に移動可能に支持され、モータ１１およびボールねじ１２を含むねじ送り機構によりＺ軸方向に駆動されるハウジング１３と、このハウジング１３に支持された主軸ユニット１４と、主軸ユニット１４内の主軸に着脱可能に支持されたドリル１５とを備えている。
【０００４】
そして、モータ３とモータ７を作動させ、テーブル４上に固定されたプリント基板１６と主軸に支持されたドリル１５をＸ軸Ｙ軸方向に移動させ、プリント基板１６とドリル１５の位置決めを行った後、モータ１１を作動させてハウジング１３をＺ軸方向に移動させて、図示しないプレッシャフットでプリント基板を押さえた後、ドリル１５によりプリント基板１６に穴あけを行う。
【０００５】
このようなプリント基板穴明機で加工される穴は、直径０．３ｍｍが一般的となり、さらに直径０．１ｍｍの穴加工も増え始めている。これらの細径の穴を加工する際の主軸の回転数は、毎分１６０，０００回転程度になる。また、穴加工速度も、３００穴／分から５００穴／分の高速加工が要求されてきている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
このような高速加工を行う場合、ハウジング１３、主軸ユニット１４などで構成される主軸部のＺ軸（上下）方向移動時（主に上昇時）に発生する振動がプリント基板穴明機全体を振動させるようになる。
【０００７】
この主軸部の上昇時には、主軸部の重量と移動加速度に比例し、１主軸部当たり約２０００Ｎの荷重変動が発生し、プリント基板穴明機を振動させることになる。この振動がテーブル４やクロススライド９の位置決め精度に影響を及ぼし、加工された穴の位置精度を低下させたり、ドリル１５の折損が発生するなど、高速加工を実現する上での障害となっていた。
【０００８】
上記の事情に鑑み、本発明の目的は、主軸部の移動により発生する振動を抑制し、小径穴の高速加工を可能にしたプリント基板加工機を提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明においては、プリント基板を載置するテーブルと、前記テーブルの上方に配置されたクロススライドとをＸＹ方向に相対移動させるとともに、前記クロススライドに支持された主軸部をボールねじを介してＺ方向に移動させ、加工時、エアシリンダによって付勢されたプレッシャフットによりプリント基板を加圧して前記プリント基板の加工を行なうプリント基板加工機において、前記ボールねじの上部に前記主軸部が螺合するねじ部とは逆相のねじ部を形成し、この逆相のねじ部に螺合し前記主軸部の慣性力を打ち消すカウンタウエイトを設け、該カウンタウエイトの重量を、前記主軸部の重量から前記エアシリンダの付勢力を減じた値とした。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図１および図２は、本発明の実施の形態を示すもので、図１は、本発明によるプリント基板加工機の斜視図、図２は、本発明の要部を示す拡大側面図である。
【００１１】
同図において、図３と同じものは同じ符号を付けて示してある。６ａは直線案内手段のベアリングで、レール６に摺動可能に嵌合し、クロススライド９を支持している。８ａはナットで、クロススライド９の背面に固定され、ボールねじ８に螺合している。１０ａは直線案内手段のベアリングで、レール１０に摺動可能に嵌合し、ハウジング１３を支持している。１１ａはブラケットで、クロススライド９に固定され、モータ１１を支持している。
【００１２】
１２はボールねじで、その長さ方向の中心から下には右ねじ１２ａが、上には左ねじ１２ｂが形成され、カップリング１７を介してモータ１１に接続されている。１３ａはナットで、ボールねじ１２の右ねじ１２ａに螺合し、ハウジング１３に固定されている。
【００１３】
１８はカウンタウエイトで、レール１０に摺動可能に嵌合する直線案内手段のベアリング１０ｂに支持され、ボールねじ１２の左ねじ１２ｂに螺合するナット１８を固定している。
【００１４】
１９はエアシリンダで、ハウジング１３の両側に固定されている。２０はプレッシャフットで、主軸ユニット１４の下端部と摺動可能に嵌合しエアシリンダ１９に支持されている。
【００１５】
このような構成で、モータ３とモータ７の作動によりテーブル４とクロススライド９をＸ軸、Ｙ軸方向に移動させプリント基板１６とドリル１５の位置決めを行う。ついで、モータ１１を作動させ、ドリル１５をＺ軸方向に移動させてプリント基板１６の穴あけを行う。
【００１６】
このとき、ボールねじ１２に形成された右ねじ１２ａと左ねじ１２ｂが逆相になっているため、ハウジング１３、主軸ユニット１４、エアシリンダ１９およびプレッシャフット２０を含む主軸部が下降するとき、カウンタウエイト１８が上昇し、主軸部が上昇するとき、カウンタウエイト１８は下降する。
【００１７】
したがって、ボールねじ１２には、主軸部による慣性力とカウンタウエイト１８による慣性力が互いに逆向きに作用し、互いの慣性力を打ち消し合うことによりボールねじ１２の振動を抑制することができる。
【００１８】
ここで、主軸部の重量をＷｓ、ボールねじ１２の右ねじ１２ａのリードをＬｍ、重力加速度をｇとすると主軸部の慣性力Ｉｓは、下記の１式で求めることができる。
【００１９】
【数１】

【００２０】
同様に、カウンタウエイト１８の重量をＷｋ、ボールねじ１２の左ねじ１２ｂのリードをＬｈ、重力加速度をｇとすると主軸部の慣性力Ｉｋは、下記の２式で求めることができる。
【００２１】
【数２】

【００２２】
したがって、ボールねじ１２に掛かる主軸部の慣性力Ｉｓを打ち消すには、主軸部の慣性力Ｉｓとカウンタウエイト１８による慣性力Ｉｋが等しくなればよい。すなわち、右ねじ１２ａのリードＬｍと左ねじ１２ｂのリードＬｈが同じであればカウンタウエイト１８の重量Ｗｋを主軸部の重量Ｗｓと同じ（Ｗｋ＝Ｗｓ）にすればよいことがわかる。
【００２３】
しかし、実際のプリント基板穴明機においては、図２に示すように、プレッシャフット２０でプリント基板１６を押さえて加工するため、エアシリンダ１９に供給されている圧縮空気の圧力が主軸部の慣性力Ｉｓを減少させる方向に作用している。
【００２４】
したがって、カウンタウエイト１８の重量Ｗｋは、主軸部の重量Ｗｓからエアシリンダ１９に供給されている圧縮空気の反力Ｎを引いた値（Ｗｋ＝ＷｓーＮ）とする。
【００２５】
前記のように、カウンタウエイト１８を設け、ボールねじ１２に掛かる主軸部の慣性力を打ち消すようにしたので、ボールねじ１２に発生する振動を抑え、小径穴の高速加工を行うことができる。
【００２６】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明によれば、プリント基板を載置するテーブルと、前記テーブルの上方に配置されたクロススライドとをＸＹ方向に相対移動させるとともに、前記クロススライドに支持された主軸部をボールねじを介してＺ方向に移動させてプリント基板の加工を行なうプリント基板加工機において、前記ボールねじの上部に前記主軸部が螺合するねじ部とは逆相のねじ部を形成し、この逆相のねじ部に螺合し前記主軸部の慣性力を打ち消すカウンタウエイトを設けたので、ボールねじに発生する振動を抑え、小径穴の高速加工を行うことができる。また、振動が抑制されることで、穴の加工位置精度の低下を防止することができる。さらに、振動によるドリルの折損を防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明によるプリント基板加工機の斜視図。
【図２】本発明の要部を示す側面図。
【図３】従来のプリント基板加工機の斜視図。
【符号の説明】
４…テーブル、９…クロススライド、１２…ボールねじ、１２ａ…右ねじ、１２ｂ…左ねじ、１３…ハウジング、１４…主軸ユニット、１８…カウンタウエイト。

Claims (1)

1. プリント基板を載置するテーブルと、前記テーブルの上方に配置されたクロススライドとをＸＹ方向に相対移動させるとともに、前記クロススライドに支持された主軸部をボールねじを介してＺ方向に移動させ、加工時、エアシリンダによって付勢されたプレッシャフットによりプリント基板を加圧して前記プリント基板の加工を行なうプリント基板加工機において、
   前記ボールねじの上部に前記主軸部が螺合するねじ部とは逆相のねじ部を形成し、この逆相のねじ部に螺合し前記主軸部の慣性力を打ち消すカウンタウエイトを設け、該カウンタウエイトの重量を、前記主軸部の重量から前記エアシリンダの付勢力を減じた値にすることを特徴とするプリント基板加工機。

Images