JP3988660B2 - 金型交換による成形品の射出及び加飾成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、合成樹脂を素材とする成形品の射出成形に連続して、コーティング材による成形品表面の加飾被膜の成形をキャビティ型内にて行う成形品の射出及び加飾成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の合成樹脂を素材とする成形品の表面に、コーティング材による加飾被膜を成形する所謂インモールドコート成形法では、成形品の射出キャビティ型を加飾被膜のキャビティ型に兼用している(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3008827号特許明細書(第5−6頁、図1−4)。
【特許文献2】
特開2003−19731号公報(第4−5頁、図1)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の成形法では、射出キャビティ型とコア型とにより成形品のキャビティを形成し、そのキャビティに溶融樹脂を射出充填して成形品を成形したのち、コア型を僅かに後退させて成形品表面とキャビティ面との間に所要の間隙を形成し、その間隙に加飾用のコーティング材を注入して加飾被膜を形成するか、または間隙を大きく形成して、そこに注入したコーティング材をコア型の前進により押し広げて加飾被膜を形成するかしている。
【0005】
このように射出キャビティ型を二つの成形に共用している従来の成形法では、キャビティ型とコア型とを熱可塑性樹脂の固化温度に設定して成形品の射出成形を行っていることから、コーティング材が熱可塑性組成物からなる場合には、キャビティ型の温度制御に困難さはないが、コーティング材が熱硬化性組成物からなる場合には、射出成形後のキャビティ型の温度を、短時間でコーティング材の熱硬化温度まで昇温しなければならない。
【0006】
キャビティ型とコア型とに設定される樹脂の固化温度と、コーティング材の熱硬化温度との温度差は、成形品の素材樹脂とコーティング材の基材とにより相違するが、少なくとも30℃以上の温度差があり、これを限られた成形時間内で昇降制御することは技術的に困難とされている。したがつて、射出キャビティ型を二つの成形に共用する従来の成形法は、熱硬化性のコーティング材による加飾成形に利用し難いという課題を有する。
【0007】
また加飾被膜を成形する間隙の形成は、コア型を取付けた可動盤又はその内部の進退装置の後退操作によることから、その間隙の形成には高度な位置制御と間隙の維持手段とが必要となる。しかもコア型の後退による間隙の形成は、成形品正面とキャビティ面との対向面間に限られ、コア型の移動方向と並行な垂直側面はキャビティ面と接したままで間隙が形成されない。したがって、箱形のような成形品が有する垂直側面への加飾被膜の成形は不可能で、加飾成形は限られた形態の成形品に制限されるなどの課題を有する。
【0008】
さらにコア型の後退による間隙の形成では、パーティング面にも隙間ができるので、コーティング材の注入口をパーティング面間に形成してサイドゲートとし、成形品の開口縁からコーティング材を注入することができない。このため注入は必然的に天面中央にゲートを設定して行うことになるので、製品の天面にゲート跡が残り、製品によってはゲート跡が外観意匠の瑕疵となることが多い。またパーティング面へのコーティング材の流出防止が必要となるため、金型構造が複雑となるなどの課題をも有する。
【0009】
この発明は、上記従来法の課題を解決するために考えられたものであつて、その目的は、成形品の射出成形と成形品表面の加飾成形とを、個別のキャビティ型により行うことによって、適正な温度制御の下に熱硬化性のコーティング材による加飾被膜の成形を、特別な流出防止策を施すことなく、また射出成形された成形品の形態にとらわれずに効率よく行い得る新たな金型交換による成形品の射出及び加飾成形方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的によるこの発明は、射出キャビティ型と加飾キャビティ型の二つのキャビティ型を用い、射出キャビティ型を樹脂の固化温度に設定する一方、加飾キャビティ型をコーティング材の熱硬化温度に設定し、射出キャビティ型による成形品の射出成形後にキャビティ型を交換して、加飾キャビティ型内の成形品表面に間隙によるキャビティを形成し、そのキャビティに液状熱硬化型組成物からなる加飾用のコーティング材を圧入して、成形品表面に加飾被膜を成形してなるというものであり、上記コーティング材は、沸点が加飾キャビティ型に設定した熱硬化温度以下の揮発成分を実質的に含まない液状熱硬化型組成物からなる、というものである。
【0011】
上記構成において、揮発成分を実質的に含まないとは、液状熱硬化型組成物中に揮発成分が含まれていても、加飾被膜の成形工程において揮発成分による問題が生じない範囲での含有量を許容し、その含有量が5重量%以下、好ましくは3重量%以下であれば、この発明の趣旨が損なわれないので、揮発成分を含んでもよいことを意味する。
【0012】
またこの発明は、上記加飾キャビティ型の熱硬化温度を80°〜140℃、好ましくは110°〜140℃の範囲に設定し、その加飾キャビティ型内の成形品表面に形成した上記キャビティに、粘度3000〜100000mpa・s、好ましくは7000〜30000mpa・sの液状熱硬化型組成物からなる上記コーティング材を圧入して、成形品表面に加飾被膜を成形してなる、というものである。なお、粘度は共軸二重筒式回転粘度計(B型粘度計)を用い、JIS K5600−2−3(1999)に準じて、25℃・6rpmで測定したものである。
【0013】
さらにこの発明は、上記射出キャビティ型と加飾キャビティ型の二つはコア型を共用し、そのコア型に対しキャビティ型を移動して、またはコア型を二つのキャビティ型に対し移動して、上記成形品の射出成形後のキャビティ型の交換を行う、というものでもある。
【0014】
上記構成では、成形品の射出成形と加飾被膜の成形を、それらの成形に適合したキャビティ型と温度により行うので、両成形を適正な温度制御の下に行って成形品表面に熱硬化性のコーティング材による加飾被膜を容易に成形することができる。また加飾被膜を成形するキャビティを加飾キャビティ型とコア型との型閉により形成するので、高度な可動盤の位置制御を要することなく、設定寸法どおりの間隙によるキャビティの形成と維持とが行え、そのキャビティも成形品正面とキャビティ面との対向面間に限定されず、天面とともに垂直側面にも形成し得ることから、キャビティの注入口及びガスベントをパーティング面に設定して、特別な流出防止策を要せずのに、箱形などの成形品の垂直側面にも天面と共に加飾被膜を成形することができる。これにより成形精度が良好な製品を形態の制限を受けずに製造することが可能となる。
【0015】
また両キャビティ型の温度を個別に設定できるので、常に適正な温度制御の下に樹脂を素材とする成形品の射出成形と、コーティング材の熱硬化による加飾被膜の成形とを行うことができ、また加飾キャビティ型の温度制御を複数系統に分けて、コーティング材の熱硬化を均等化することもできることから、形態や加飾被膜の膜厚に左右されずに、密着性、耐候性、耐擦傷性などの加飾状態が良好で表面光沢の良い製品を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1から図4は、射出キャビティ型1と加飾キャビティ型2をコア型3に対しスライドして、図5に示す合成樹脂を素材とする成形品40の射出成形と、成形品表面の加飾被膜41の成形とを行う場合の実施形態を示すものである。
【0017】
図1及び図2に示すように、上記射出キャビティ型1と加飾キャビティ型2は、型取付板4により可動盤5の内面に取付けた上記コア型3と、型取付板6により固定盤7に取付けたランナー型8との間に、交互に入れ替えできるように、左右に長く下側に配設したスライドベース9の上面に、図では省略するが、ガイドレールや溝等をもって長手方向に摺動自在に並設してある。このスライドベース9の具体的な構造は図では省略するが、通常の3プレート金型と同様に、型開閉方向に移動するように固定盤側と可動盤側とに連繋され、型開後に射出キャビティ型1と加飾キャビティ型2とを、図示しない移動装置により左右にスライドさせて、コア型3に対面させることができる構造からなる。
【0018】
上記射出キャビティ型1は、コア型3に臨むパーティング面にコア型中央のコア31と型閉して、天板とその四方の垂直な側板とからなる箱形の上記成形品40のキャビティ10を形成する凹所11を有する。この凹所11の外側のパーティング面には、コア型3のパーティング面とによるサイドゲート12が形成してある。またランナー型8に臨むパーティング面には、ランナー型8の中央に穿設したスプル13と、サイドゲート12に接続して射出キャビティ型1に穿設した流通孔14とを接続するランナー15が施してある。なお、16は射出ノズル、17は位置決めピンである。
【0019】
上記加飾キャビティ型2は、上記成形品40をコア31と共に受け入れて、加飾用のキャビティ20を形成する凹所21をパーティング面に有する型部材22と、その型部材22を上記コア型3に臨むパーティング面内に嵌装した型本体23と、その型本体23と型部材22との間に介装した断熱板24とからなる。
【0020】
また型部材22の外側のパーティング面には、上記コア型3のパーティング面とにより形成されるコーテング材41aの注入口25が、型本体23の外側面から断熱板24を貫通して設けた注入路26に接続して、該注入路26から凹所21に向けて末広がり幅広くサイドゲートとして設けてあり、その注入口25の反対側のパーティング面には、図3に示すように、ガスベント27が途中に降温防止用の拡張間隙27aを形成して設けてある。
【0021】
上記注入口25のコア型3側のパーティング面と、注入路26が位置する型本体23側のパーティング面は、その面内に断熱板18,28と共に埋設した温調用の駒部材19,29をもって形成され、その駒部材29に上記注入路26が貫設してある。また注入口25の型本体側は注入路26との接続端から凹所側に段階的に狭く形成され、その注入路26の対向面をテーパー面に形成するとともに、凹所21の近傍にエアの巻込みを防止する樹脂溜り25aを設けて、コーティング材41aの注入を途切れなく均一に行えるようにしてある(図3参照)。
【0022】
上記射出キャビティ型1及びコア型3、型部材22,駒部材18,29のそれぞれには温調路32,33,34,35,36が内設してあり、それらの温調路に供給された温調媒体により、射出キャビティ型1とコア型3は、樹脂の固化温度(40°〜80℃)に維持され、加飾キャビティ型2の型部材22と注入口25を形成する駒部材19は、コーティング材41aの熱硬化温度(80°〜140℃)に維持されている。また駒部材29はコーティング材41aの熱硬化を防止し得る温度(15°〜30℃)に維持されている。
【0023】
なお、加飾キャビティ型2の型部材22及び駒部材19の温調には、カートリッジヒータによる加熱を採用することができる。また型部材22の温調は天面側と側面側とに2系統に分けて制御し、これにより温度むらを調整するのが好ましい。
【0024】
上記金型による射出及び加飾成形は、成形品40の射出成形を先行する。射出キャビティ型1をランナー型8とコア型3の間に設置してから、図1に示すように、可動盤5を前進移動して型閉する。さらに型締を行ったのち溶融樹脂を射出ノズル16から射出し、ランナー15及び流通孔14を経てサイドゲート12からキャビティ10に射出充填する。
【0025】
成形品40の素材樹脂としては、ポリオレフィン、ABS、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ABS、塩化ビニルなどを採用し得る。
【0026】
キャビティ内の樹脂が保圧冷却により固化したら、可動盤5を後退移動して型開を行う。型開はスライドベース9の移動により、図4に示すように、射出キャビティ型1がランナー型8から離れ、また射出キャビティ型1からコア型3が離れることによって行われる。この型開により成形品40は固化時の収縮によりコア31に嵌着して射出キャビティ型1から離型する。
【0027】
成形品40の離型が終了したら、両キャビティ型を図4の状態から左側に移動して、右側の加飾キャビティ型2を型開したコア型3とランナー型8との間に入れ替える。その後に可動盤5を前進移動して図2のように型閉を行う。型閉は加飾キャビティ型2とコア型3が先行し、その状態で次に加飾キャビティ型2が押されてランナー型8と型閉する。
【0028】
この型閉により成形品40はコア型3と共に加飾キャビティ型2の凹所21に嵌り込んで、設定寸法の間隙によるキャビティ20が、成形品40の天面から側面に臨むキャビティ面との間に形成される。また加飾キャビティ型2とコア型3の両パーティング面により上記注入口25と反対側のガスベント27とが形成され、その注入口25から加飾被膜41を成形するコーティング材41aのキャビティ20内への圧入が可能となる。そして、型締後に上記注入路26から注入口25を経てキャビティ20に、コーティング材41aが加圧注入される。
【0029】
上記キャビティ20の間隙は、成形品表面を被覆する加飾被膜41の膜厚に応じて50〜200μmの範囲で設定可能であるが、成形品40は成形時の冷却により肉厚が薄減し、その薄減は厚肉になるほど著しくなる傾向にあるので、厚肉の成形品ではその変動量を見込んでキャビティ20の間隙が設定される。しかし薄肉の成形品では、肉厚変動は薄肉になるに従い小さいので、見込を付けずに間隙設定を行うのが好ましい。
【0030】
上記コーティング材41aはキャビティ内にて加熱を受けるので、上記熱硬化温度よりも沸点が低い揮発成分を含む組成では、揮発成分の気化による問題が生じ易い。これを回避するにはコーティング材41aは、沸点が加飾キャビティ型に設定した熱硬化温度以下の揮発成分を実質的に含まない液状熱硬化型組成物がよい。また少なくとも素材との密着、耐久性、粘度調整、架橋開始、加飾、消泡などの各剤が配合された組成物が好ましい。たとえば、成形品40の素材がポリプロピレン樹脂の場合には、アクリル変性ポリオレフィン、反応性オリゴマー、反応性希釈剤、ラジカル重合開始剤、アルミ粉末、添加剤などが配合された組成物がコーティング材41aとして適合する。
【0031】
また粘度は3000〜100000mpa・s(25℃・6rpm)、好ましくは7000〜30000mpa・sで、その粘度はキャビティ20の間隙寸法及び流動長さ、キャビティ温度等により適宜に選択され、注入は55kgf前後の圧力により加圧して行われる。
【0032】
上記注入口25からキャビティ20のパーティング部位に圧入されたコーティング材41aは、成形品40の垂直な一側面から天面及び両側の他側面へと流動して反対面に達する。またコーティング材41aは加熱されたキャビティ内を流動する過程でキャビティ面側から熱硬化する。注入に時間が掛かると注入完了までにキャビティ面の熱硬化が進行し、これがウエルドの発生やアルミ粉末などの加飾剤のむらによる変色の原因となるで、注入はできるだけ速く、例えば2sec以内に完了するのがよい。注入時間を要する場合には熱硬化温度を低く設定してキャビティ面側の熱硬化を抑制し、膜厚方向の硬化時間差を小さくするのが好ましい。
【0033】
キャビティ20における熱硬化時間は、注入ゲート近傍とその反対側の流動末端部とで異なる。設定温度120℃では流動末端部は5〜10sec程度であるが、注入ゲート近傍では20〜30sec程の時間が掛かる。しかし、その熱硬化時間も設定された熱硬化時間内に収まるものであるから、それにより成形品表面の加飾被膜41に瑕疵が生ずるようなことはない。
【0034】
熱硬化時間を経過したのち、上記可動盤5の後退により加飾キャビティ型2とコア型3との型開が行われ、引き続いて図では省略するが、コア31に嵌着した状態で成形品表面に加飾被膜41が成形された製品の離型が行われる。この際、注入口25も型部材22側とコア型3側の両方から加熱されて、その部分に残留したコーティング材41aも熱硬化しているので、その残留硬化物は離型により注入路26との接続部位から、コア31に嵌着した表面加飾後の成形品40と一緒に、コア型3のパーティング面側に取り除かれる。
【0035】
離型後、両キャビティ型は右側にスライド移動されて、左側に押し出されている射出キャビティ型1と入れ替えられる。入れ替え後に可動盤5の前進移動により、再び図1のように型閉及び型締が行われて、工程は次の新たな成形品の射出成形に移行する。
【0036】
このように、成形品とその表面の加飾被膜の成形とを、射出キャビティ型と加飾キャビティ型の二つのキャビティ型を用いて行う方法では、単一のキャビティ型を成形品の射出成形と加飾被膜の成形の両方に共用する場合と異なって、加飾被膜の成形対象となる成形品の形態に、射出成形可能な形状範囲において制限を受けず、成形品が有する垂直側面にも天面と共に加飾被膜を均一に成形することができる。
【0037】
また両キャビティ型の温度を個別に設定できるので、常に適正な温度制御の下に樹脂を素材とする成形品の射出成形と、コーティング材の熱硬化による加飾被膜の成形とを行うことができ、加飾キャビティ型の温度制御も複数系統に分けてコーティング材の熱硬化を均等化することもできることから、加飾被膜の膜厚に左右されず成形精度及び加飾に優れた製品を成形することができる。
【0038】
図6及び図7は、射出キャビティ型1と加飾キャビティ型2に対してコア型3を回転移動し、図5に示す合成樹脂を素材とする成形品40の射出成形と、成形品表面の加飾被膜41の成形とを行う場合の実施形態を示すものである。なお前述の実施形態と同一の部分につて説明は省略し、主たる部分について符号を付して説明する。
【0039】
この実施形態では通常の二色成形の場合と同様に、上記射出キャビティ型1と上記加飾キャビティ型2とを固定盤側の対称位置に並設し、その対向位置に一対の上記コア型3,3を、可動盤5の内面に設けた回転板37に取付けて設け、その回転板37を中央に連結した可動盤内の回転シャフト38により往復回転して、コア型3,3の入れ替えが行えるようにしてある。この場合、ランナー15をホットランナーとすることで、型開後のランナーの離型を省略できる。
【0040】
コア型3,3の交換は、図は省略するが、成形品40の射出成形と加飾被膜41の成形の両方が終了した後に、可動盤5の後退移動によりコア型3,3を型開してから回転板37を180°回転し、停止後に完成品の離型を行ってから可動盤5を前進移動して型閉することにより行い得る。この型閉により射出キャビティ型1側ではコア31とによる成形品40のキャビティ10が形成され、また加飾キャビティ型2側ではコア31と共に成形品40が受け入れられて、前述の実施形態と同様に、キャビティ面と成形品表面との間に加飾被膜41を成形するキャビティ20が間隙として形成される。
【0041】
型閉後に両キャビティ型は型締されて、成形品40の射出成形と成形品表面の加飾被膜41の成形が行われ、成形終了後に型開を行って完成品を離型してから、回転盤37の180°反転によりコア型3,3の位置が替えられ、可動盤5の前進移動により再型閉が行われて、次回の作業に移行する。
【0042】
このようなことから、並設した射出キャビティ型1と加飾キャビティ型2に対して、一対のコア型3,3を回転移動により交互に入れ替える方式では、成形品40と加飾被膜41の成形が同時に行えるので、前述の射出キャビティ型1と加飾キャビティ型2を、コア型3に対してスライド移動により交互に入れ替える方式よりも成形効率が高く、多量生産に適する。
【0043】
【実施例】
【0044】
【0045】
加飾キャビティの設定間隙 100μm
注入口のゲート間隙 100μm
樹脂溜り 2.0mm
注入口のゲート幅 160mm
ガスベント 10μm
加飾キャビティの温度 120℃
注入口の温度 120℃
注入路の温度 30℃
【0046】
型締力(注入時) 17.5tonf/cm2
注入圧力 55kgf
注入時間 1.4±0.1sec
硬化時間 60sec
【0047】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による成形品の射出及び加飾成形を行い得る金型を示すもので、成形品の射出成形状態を示す平断面図である。
【図2】 同じく成形品を加飾キャビティ型に入れ替えた状態を示す平断面図である。
【図3】 加飾キャビティ型におけるコーティング材の圧入前と加飾被膜の成形状態とを示す平断面図である。
【図4】 型開状態を示す平断面図である。
【図5】 この発明による製品の加飾被膜を部分切除した斜視図である。
【図6】 一対のコア型を回転移動して入れ替えを行う他の実施形態の金型における平断面図である。
【図7】 同じく成形品の射出成形と加飾被膜の成形状態とを示す平断面図である。
【符号の説明】
1 射出キャビティ型
2 加飾キャビティ型
3 コア型
5 可動盤
7 固定盤
8 ランナー型
9 スライドベース
10 成形品のキャビティ
18,28,24 断熱材
19,29 駒部材
20 加飾用のキャビティ
23 型本体
25 注入口
26 注入路
31 コア
37 回転板
40 成形品
41 加飾被膜
41a コーティング材
Claims (4)
- 射出キャビティ型と加飾キャビティ型の二つのキャビティ型を用い、射出キャビティ型を樹脂の固化温度に設定する一方、加飾キャビティ型をコーティング材の熱硬化温度に設定し、射出キャビティ型による成形品の射出成形後にキャビティ型を交換して、加飾キャビティ型内の成形品表面に間隙によるキャビティを形成し、そのキャビティに液状熱硬化型組成物からなる加飾用のコーティング材を圧入して、成形品表面に加飾被膜を成形してなることを特徴とする金型交換による成形品の射出及び加飾成形方法。
- 上記コーティング材は、沸点が加飾キャビティ型に設定した熱硬化温度以下の揮発成分を実質的に含まない液状熱硬化型組成物からなることを特徴とする請求項1記載の金型交換による成形品の射出及び加飾成形方法。
- 上記加飾キャビティ型の熱硬化温度を80°〜140℃の範囲に設定し、その加飾キャビティ型内の成形品表面に形成した上記キャビティに、粘度3000〜100000mpa・sの液状熱硬化型組成物からなる上記コーティング材を圧入して、成形品表面に加飾被膜を成形してなることを特徴とする請求項1又は2記載の金型交換による成形品の射出及び加飾成形方法。
- 上記射出キャビティ型と加飾キャビティ型の二つはコア型を共用し、そのコア型に対しキャビティ型を移動して、またはコア型を二つのキャビティ型に対し移動して、上記成形品の射出成形後のキャビティ型の交換を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の金型交換による成形品の射出及び加飾成形方法。
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