JP3986875B2 - 光ディスク及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク及び光ディスクの製造方法に関するものであり、より詳しくは、光ディスク基板の反射層及び/又は記録層上に光透過保護層を有する光ディスク及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録の分野においては光ディスクに関する研究が各所で進められている。この光ディスクは、再生専用型、追記型、書き換え可能型のそれぞれのメモリー形態に対応できるという利点を有し、安価な大容量ファイルの実現を可能とする方式として産業用から民生用まで幅広い用途が考えられている。
【0003】
その中でも特に、再生専用型の光ディスクとしてCD、DVD、あるいは、書き換え可能型の光ディスクとしてミニディスクが広く普及している。
【0004】
上記光ディスクは、図27に示すように情報信号を示すピットやグルーブなどの凹凸パターン100が形成された光ディスク基板101上に、アルミニウムなどの金属からなる反射膜102が形成され、さらに上記反射膜102を大気中の水分、酸素から保護するための保護層103が形成されている。なお、このような光ディスクの情報を再生する場合には、光ディスク基板101側から上記凹凸パターン100上にレーザ光104を対物レンズ105によって集光照射し、その反射光の光量差や偏光状態の差によって情報を検出する。
【0005】
このような光ディスクを製造する場合には、先ず射出形成法によって上記凹凸パターン100を有する光ディスク基板101を形成し、その上に反射膜102をスパッタリング等の手法によって形成し、さらにその上に紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂を塗布した後、紫外線を照射し硬化させて保護層103を形成する。
【0006】
ところで、記録情報量の増大化に伴い、さらなる高記録密度化を図るためには、光ピックアップの対物レンズの開口数NAを大きくすることが必要とされる。しかし、対物レンズの開口数を大きくした場合、光ディスクの傾き許容度が減少する。そこで、このような場合には、図28に示すように凹凸パターン102に対する光照射は、光ディスク基板101側からではなく、光透過可能な光透過保護層103側から行われる。しかし、上記のような場合、光透過保護層103の層厚が不均一になると、集光スポットの収差が発生し、記録再生信号の劣化につながる。
【0007】
また、光ディスク基板101上に光硬化性樹脂を塗布する場合、光ディスク基板101の回転中心と同心に光硬化性樹脂を環状に供給し、光ディスク基板101を回転させ、光硬化性樹脂を遠心力によって外側へ向けて回転延伸するスピンコート法を採用するのが一般的である。この方法によれば、光ディスク基板101に形成されている中心孔に光硬化性樹脂が入り込まないようすることができる。
【0008】
図29、図30、図31は、上述の方法で、光硬化性樹脂が光ディスク基板上に塗布される工程を示す光ディスク基板の断面図である。図29に示すように、中心孔106を有する光ディスク基板101上には、図示しない凹凸パターンが設けられている。上記凹凸パターン上には、反射膜102が上記凹凸パターンを覆うように形成される。続いて、図30に示すように、紫外線硬化樹脂などの光硬化性樹脂103が、中心孔106に入り込まないように環状に供給される。その後、光ディスク基板101を回転させることによって、図31に示すように上記光硬化性樹脂103は、光ディスク基板101の外周へ向けて回転延伸され、反射膜102を覆うように塗布される。次に、紫外線等の光が照射され、光硬化性樹脂103は硬化される。硬化された光硬化性樹脂103は、光透過保護層103となる。
【0009】
しかし、上記スピンコート法に基づいて光硬化性樹脂からなる光透過保護層103を形成すると、内周と比較して外周の光透過保護層103の厚さが大きくなるという問題が発生する。また、図31に示すように、光硬化性樹脂の表面張力によって、光透過保護層103の内外周のエッジ部分に樹脂溜り107が形成される。上記樹脂溜り107は、光照射を行うために光ディスク基板101の回転を停止することによって、反射膜102が形成された領域へと逆流するため、光透過保護層103の層厚の均一性をさらに損なう原因となる。
【0010】
上記光透過保護層103の層厚を均一にするために、特開平11−213459号公報においては、図32に示すように、中心孔106を塞ぐキャップ108を光ディスク基板101に取り付けた後、光硬化性樹脂103の供給及び回転延伸を行う方法が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
特開平11−213459号公報に開示されている方法に基づいて、光硬化性樹脂からなる光透過保護層103を形成すると、内周と外周との光透過保護層103の層厚の不均一性を改善するとともに、内周エッジの樹脂溜り107に起因する光硬化性樹脂の逆流を抑制することが可能である。しかしながら、外周エッジの樹脂溜りに起因する光硬化性樹脂の逆流を抑制することはできず、光ディスク外周領域において、光透過保護層103の層厚の不均一性の問題を解消することはできない。
【0012】
そこで本発明は、光透過保護層の層厚が、反射膜上の全面を通じて均一な光ディスク、及び、このような光ディスクの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る光ディスクの製造方法は、反射層、記録層、または、反射層と記録層との積層膜のうちの何れかが形成された光ディスク基板の中心孔およびその周辺部を覆うシート部材と、前記光ディスク基板の外周部分を覆うシート部材とを、前記光ディスク基板面上に固定して配置するシート部材配置工程と、上記光ディスク基板の上記シート部材が配置された面に、前記反射層、記録層、または、反射層と記録層との積層膜のうちの何れかと前記シート部材とを覆うように光硬化性樹脂を塗布した後、光を照射することによって上記光硬化性樹脂を硬化して光透過保護層を形成する工程と、上記光透過保護層を形成した後に、上記シート部材を除去する除去工程とを含むことを特徴としている。
【0014】
本発明の光ディスクは、光ディスク基板上に情報信号に対応した凹凸パターンが形成されており、光透過性を有する光透過保護層を介して情報信号が読み取られるものである。上記光ディスクの製造方法においては、先ず反射層または記録層あるいは反射層と記録層との積層膜が形成された光ディスク基板上に、上記光ディスク基板の中心孔及びその周辺部を覆うシート部材、及び、上記光ディスク基板の外周部分を覆うシート部材という2つのシート部材を配置する。次に、その上層に光硬化性樹脂を例えばスピンコート法などによって塗布する。そして、上記光硬化性樹脂に光を照射することによって硬化し、光透過保護層を形成した後に、上記の2つのシート部材を除去するというものである。
【0015】
上記の構成によれば、スピンコート法などによって反射層及び/又は記録層上に光透過保護層を形成する場合に、上記シート部材によって中心孔が塞がれているため、光透過保護層の原料となる光硬化性樹脂を光ディスク基板の中央部である中心孔の上のシート部材へ供給することができる。即ち、スピンコート法での回転中心に上記光硬化性樹脂を供給することができる。従って、光ディスク基板の径方向における層厚のムラをなくし均一な光透過保護層を形成することができるとともに、光ディスク基板の中心孔の周辺部である内周部分への樹脂溜りの形成を防止することができる。
【0016】
さらに、光ディスク基板の外周部分を覆うシート部材によって、光ディスク基板の外周エッジに従来形成されていた樹脂溜りは、上記シート部材の外周エッジ部分に形成される。そのため、上記シート部材の形状および大きさが、光ディスク基板の外周エッジを充分に覆い隠すことができるものであれば、上記シート部材に形成された樹脂溜りが光ディスク基板へと逆流することを防ぐことができる。従って、光ディスク基板上の光透過保護層を全面にわたって均一なものとすることができる。
【0017】
上記光ディスクの製造方法において、上記シート部材は、粘着性シートであることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、上記シート部材を光ディスク基板上にしっかりと固定して配置することができるため、目的とする位置に確実に光透過保護層を形成することができる。なお、上記粘着性シートとして具体的には、紙、樹脂、金属をなどの素材からなり、適度な剛性を備えた薄膜フィルムに、粘着剤を付着させたものを用いることが好ましい。
【0019】
上記光ディスクの製造方法において、上記除去工程は、上記反射層、記録層、および、反射層と記録層との積層膜が形成されていない領域の上記光透過保護層面へ切り込みを入れることによって行われ、上記光ディスク基板の内周領域及び外周領域において、上記シート部材と上記光透過保護層とを除去することが好ましい。
【0020】
本発明において、「内周領域」とは、光ディスク基板の中心孔およびその周辺部であり、上記反射層及び/又は記録層が形成されてない領域のうち、上記除去工程によって上記光透過保護層が除去される任意の領域を指す。なお、後述の光ディスクのチャッキング領域は、上記内周領域に含まれる。
【0021】
本発明において「外周領域」とは、光ディスク基板の外周エッジから反射層及び/又は記録層が形成されていない領域のうち、上記除去工程によって上記光透過保護層が除去される任意の領域を指す。
【0022】
上記内周領域及び外周領域は、光ディスクの記録容量を確保するために、できるだけ狭くすることが好ましい。しかし、上記外周領域が光ディスク基板の外周エッジから1mm幅より狭くなると、上記シート部材とディスク基板との密着面積の減少に伴い密着強度が低下し、光透過保護層形成時にシート部材が剥がれ易くなる。従って、上記外周領域は、上記外周エッジから1mm幅以上の範囲を有することが好ましい。また、上記内周領域は、チャッキング領域を含んでおり、上記チャッキング領域は、安定したチャッキングを行うために、光ディスク基板の内周エッジから5mm幅以上の範囲を有することが好ましい。従って、上記内周領域も上記チャッキング領域と同様に、上記内周エッジから5mm幅以上の範囲を有することが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、例えばカッターなどによって上記光透過保護層の上方の任意の位置から光透過保護層の平面に対して垂直に切り込みを入れることによって、除去したい部分の光透過保護層およびシート部材を確実に除去することができる。
【0024】
なお、上記の切り込みは、上記シート部材が配されている領域の上記光透過保護層へ入れられ、上記中心孔およびその周辺部を覆うシート部材の外周部分の一部、及び、上記外周部分を覆うシート部材の内周部分の一部を除去せずに残すようにしてもよい。また、上記の切り込みは、上記シート部材が配されていない領域の光透過保護層へ入れられ、上記シート部材を残らず除去して、光透過保護層内の段差をなくし平坦な形状にするようにしてもよい。
【0025】
上記光ディスクの製造方法はさらに、上記除去工程の後に、上記光透過保護層を覆うように、例えばスピンコート法などによって光硬化性樹脂を塗布した後、光照射によって硬化して、ハードコート層を形成する工程を含むことが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、上記光透過保護層はハードコート層に覆われるため、光透過保護層の剥離を防止することができる。
【0027】
また、上記光ディスクの製造方法において、上記光透過保護層面への切り込みを、上記光透過保護層を通過し、上記光ディスク基板にまで到達するように入れることによって、前記光透過保護層の切断端面の上記光ディスク基板上に凹部を形成してもよい。
【0028】
上記の構成によれば、上記除去工程において、シート部材および光透過保護層の除去を容易に行うことができるとともに、上記凹部を埋め込むように上記ハードコート層を形成できるため、光透過保護層と光ディスク基板との密着強度をより高めることができる。
【0029】
本発明の光ディスクは、光ディスク基板面の反射層、記録層、または、反射層と記録層との積層膜のうちの何れかが形成されている領域を覆うように、光硬化性樹脂からなる光透過保護層が形成されている光ディスクにおいて、上記光ディスク基板面における、前記反射層、記録層、および、反射層と記録層との積層膜が形成されていない領域には、上記光透過保護層が形成されていない内周領域および外周領域が設けられているとともに、前記光透過保護層は、光硬化性樹脂からなるハードコート層に覆われており、前記光透過保護層の端面における前記光ディスク基板上には、凹部が形成され、該凹部を埋め込むように前記ハードコート層が形成されていることを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、スピンコート法などによって形成された光透過保護層の樹脂溜りの部分が除去されているため、反射層及び/又は記録層上の光透過保護層の層厚を全面にわたって均一なものとすることができる。なお、ここで光ディスク基板の内周領域、及び外周領域とは、上述の説明の通りである。
【0031】
また、上記の構成によれば、上記光透過保護層の端部がハードコート層に覆われているため、光透過保護層の剥離を防止することができる。
【0032】
また、上記の構成によれば、上記凹部を埋め込むように上記ハードコート層を形成することができるため、光透過保護層と光ディスク基板との密着強度をより高め、剥離を防止することができる。
【0033】
上記光ディスクにおいて、上記ハードコート層は、上記光ディスクのチャッキング領域には形成されていないことが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、上記光ディスクが記録再生装置とチャッキングする時に、上記ハードコート層をスピンコート法によって形成した場合に形成される樹脂溜りの影響を受けることなく、安定したチャッキングを行うことができる。
【0035】
上記光ディスクにおいて、上記チャッキング領域における上記光ディスク基板の厚さが、上記チャッキング領域以外の上記光ディスク基板の厚さよりも厚く形成されているという構成としてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、光ディスク基板の機械的強度を高めることができる。さらに、上記光ディスクの記録再生時に、記録再生装置へチャッキングされるチャッキング領域部分と他の部分との間に段差が生じているため、スピンコート法などによってハードコート層を形成する場合に、チャッキング領域部分にハードコート層が形成されるのを確実に防止できる。従って、光ディスクと記録再生装置とが、安定したチャッキングを実現することができる。
【0037】
上記光ディスクにおいて、上記光ディスク基板の最外周領部の厚さが、上記チャッキング領域と上記最外周部とを除く部分の上記光ディスク基板の厚さよりも厚く形成されているという構成としてもよい。
【0038】
上記の構成によれば、光ディスク基板の機械的強度をさらに高めることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態に係る光ディスクは、中央部に中心孔を有する円盤状の形状をしている。光ディスク基板上には、情報信号に対応した微細な凹凸パターンが形成されており、光透過性を有する光透過保護層を介して光ピックアップによって情報信号が読み取られる。
【0040】
上記光ディスクの断面を、図1に示す。図1に示すように、上記光ディスクは、光ディスク基板1面上の一部に、アルミニウムなどからなる反射膜2(反射層)が設けられている。上記反射膜2は、光硬化性樹脂を硬化して得られる光透過保護層9に覆われている。上記光透過保護層9はさらに、紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂からなるハードコート層15に覆われている。
【0041】
なお、上記光ディスク基板1上には、光透過保護層9が設けられていない部分がある。上記光ディスクにおいて、このような光透過保護層9が設けられていない部分のうち、内周側を内周領域、外周側を外周領域と呼ぶ。そして、光ディスク基板1上の上記内周領域の周辺部、および上記外周領域の周辺部には、光透過保護層9との間に粘着性シート4・6(シート部材)がそれぞれ設けられている。上記粘着性シート4・6は、光透過保護層9形成時に光ディスク基板1の中心孔3およびその周辺部と、外周部分とを覆うために用いられるものである。また、上記光ディスクの中心孔3の周囲の領域は、上記光ディスクの記録再生時に、記録再生装置へチャッキングされるチャッキング領域16となっている。上記チャッキング領域16には、ハードコート層15は形成されていない。
【0042】
なお、上記光ディスクにおいて、光ディスク基板1と光透過保護層9との間には反射膜2が設けられているという構成であるが、本発明に係る光ディスクはこれに限定されるものではない。即ち、反射膜2の代わりに記録膜(記録層)が設けられていてもよく、また、反射膜2と記録膜と(反射層及び記録層)が積層されているような構成としてもよい。 続いて、上記光ディスクの製造方法について説明する。先ず、図2に示すように、光ディスク基板1上に形成された図示しない凹凸パターンを覆うようにアルミニウムなどの金属からなる反射膜2が形成される。続いて、図3に示すように、光ディスク基板1の中心孔3およびその周辺部を塞ぐ粘着性シート4と、光ディスク基板1の外周エッジ5を覆う粘着性シート6とを光ディスク基板1に貼り付ける。なお、粘着性シート4は円形状の薄いシートであり、粘着性シート6はドーナツ形状の薄いシートである。上記粘着性シート4・6は、プラスチックシートの片面に粘着剤が設けられているという構成をしている。上述の粘着性シート4・6を光ディスク基板1に配する工程を「シート部材配置工程」と称する。
【0043】
次に図4に示すように、紫外線硬化樹脂7を光ディスク基板1の粘着性シート4・6が配されている面の中心部分に供給する。その後、スピンコート法によって光ディスク基板1を回転駆動することによって、紫外線硬化樹脂7を光ディスク基板1の外周へ向けて回転延伸し、図5に示すように、紫外線硬化樹脂7を、反射膜2および粘着性シート4・6を覆うように、光ディスク基板1上に一様に塗布する。
【0044】
続いて、図6に示すように、上記光ディスクに紫外線8を照射し、紫外線硬化樹脂7を硬化する。これによって、紫外線硬化樹脂7から光透過保護層9が形成される。このとき、中心孔3が粘着性シート4によって塞がれていることによって、紫外線硬化樹脂7は光ディスク基板1の内周から外周へと均一に延伸され、径方向の層厚分布が小さな光透過保護層9が形成される。また、光ディスク基板1の内周領域においては、従来発生していた中心孔に起因する樹脂溜りが形成されないため、内周領域における光透過保護層9の層厚の不均一性は発生しない。上述の工程が、「光透過保護層を形成する工程」である。
【0045】
一方、光ディスク基板1の外周に貼り付けた粘着性シート6の外周エッジ部10には、図示しない樹脂溜りが形成されている。しかし、この樹脂溜りは、光ディスク基板1の外周エッジ5よりも外側に形成されているため、上記樹脂溜りが光ディスク基板1上まで逆流することはない。そのため、光ディスク基板1の外周領域においても均一な層厚の光透過保護層9を形成することができる。その後、粘着性シート4・6を除去すれば、反射膜2上における光透過保護層9の厚さを均一にすることができ、情報信号の読取を良好に行うことができる。
【0046】
なお、本実施の形態においては、以下のようにして粘着性シート4・6の除去が行われる(これを「除去工程」と称する)。先ず、図7に示すように、同心円状に配置された2つのドーナツ状カッター11・12を、光透過保護層9が形成された光ディスク基板1に対して上方から垂直に押し付けることによって、光透過保護層9および粘着性シート4・6へ切り込みを入れる。切り込みを入れられた中心孔3を覆う部分の粘着性シート4、及び、切り込みを入れられた外周エッジ5を覆う部分の粘着性シート6は、その上層の光透過保護層9とともに剥離される。
【0047】
これによって、図8に示すように、光ディスク基板1上に形成された反射膜2を覆うように光透過保護層9が形成された光ディスクであって、その内周領域13および外周領域14に光透過保護層9が設けられていない光ディスクが形成される。
【0048】
この場合、粘着性シール4・6の一部は、除去されずに残されている。そのため、光透過保護層9および粘着性シート4・6が切断除去された切断端部は、光透過保護層9が剥離しやすい。従って、図1に示すように、上記光ディスクには、光透過保護層9を覆うように、紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂からなるハードコート層15を形成する(「ハードコート層を形成する工程」)。これによれば、光透過保護層9の光ディスク基板1への密着強度を著しく改善することができる。また、同時に、光ディスクの光入射面の高度を高くし、傷等の損傷の被害を防ぐことができる。
【0049】
なお、光ディスク表面に付着する塵埃が光ビームの光路に与える影響を小さくするため、光透過保護層9の層厚は10〜200μmと比較的厚く形成されることが好ましい。一方、上記ハードコート層15の層厚は、光透過保護層9よりも薄い1μm〜10μmとすることが好ましい。これによれば、ハードコート層15がスピンコート法などよって塗布された場合に発生する、樹脂溜りによる層厚のムラを光透過保護層9の厚さに比べて極めて小さくすることが可能である。そのため、光ディスクの記録再生に悪影響を与えることを防止できる。
【0050】
また、上記ハードコート層15にわずかな樹脂溜りが形成された場合、その樹脂溜りを挟んで光ディスク基板1が光ディスク記録再生装置のチャッキングテーブル上に装着されると、光ディスク基板1の傾き角が大きく変化して、安定した記録再生を阻害する。従って、チャッキング領域16にはハードコート層15が形成されないように、光硬化樹脂を塗布することが好ましい。
【0051】
本実施の形態に係る光ディスクにおいて、上記光ディスク基板1としては、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等のプラスチック基板を用いることが望ましく、ガラス基板、セラミック基板、シリコンウエハー基板等を用いることも可能である。
【0052】
また、再生専用の光ディスクの場合、表面に凹凸ピット列を有する光ディスク基板1上に、真空成膜技術により形成された膜厚20〜60nmのAl、Au、Pt、Cu等の反射膜2が形成されることが好ましい。一方、書換え型の光ディスクの場合、表面に案内トラックを有する光ディスク基板1上に反射膜2および記録膜が形成される。上記反射膜2および記録膜は、相変化光ディスクの場合には、光ディスク基板1上にAl、ZnS−SiO2、GeSbTe、ZnS−SiO2が順次積層された積層膜であることが好ましく、光磁気ディスクの場合には、Al、SiN、TbFeCo、SiNが順次に積層された積層膜であることが好ましい。
【0053】
また、追記型光ディスクの場合、表面に凹凸ピット列を有する光ディスク基板1上に、反射膜としてAuまたはAlを成膜した後、記録膜としてシアニン系又はフタロシアニン系の有機色素膜をスピンコート法で塗布して形成してもよい。
【0054】
光透過保護層9の紫外線硬化樹脂としては、例えばアクリル系紫外線硬化樹脂等を使用することが可能である。また、紫外線硬化樹脂の粘度は、形成する光透過保護層9の層厚を考慮して決定されるものであり、層厚10〜200μmの光透過保護層9を形成するためには、紫外線硬化樹脂の粘度を300〜3000cpsとすることが望ましい。
【0055】
ハードコート層15としては、光透過保護層9と同様に、アクリル系紫外線硬化樹脂等を使用することが可能である。ハードコート層15としては、光透過保護層9よりも硬度の高い紫外線硬化樹脂を用いることが望ましい。また、光透過保護層9と同一の紫外線硬化樹脂の粘度を下げて、層厚1〜10μmのハードコート層15を形成した場合においても、光透過保護層9の切断端部を保護することが可能である。
【0056】
本実施の形態においては、シート部材として、プラスチック製の粘着性シートを使用しているが、本発明はこれに限定されることなく、他のシート部材を使用してもよい。即ち、上記シート部材としては、粘着性の薄いシート状のものだけでなく、光ディスク基板1の中心孔3および外周エッジ5を覆うことができ、且つ、光ディスク基板1上における樹脂溜りの形成および逆流を防ぐことのできる各種の部材が含まれる。
【0057】
上記シート部材として粘着性シート4・6を用いる場合は、紙、樹脂フィルム、金属フィルム等の基材上に、粘着剤が付着しているものを用いることが好ましい。上記粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系、水系等のエマルジョンを主成分とするものを用いることができる。また、上記粘着性シート4・6は、光透過保護層9の層厚を均一にするために、光硬化性樹脂7が塗布される面の凹凸の少ないものが好ましい。上記粘着性シート4・6の層厚は、光透過保護層9の厚さと同程度あるいはそれ以下とすることが好ましいが、一方で、紫外線硬化樹脂7をスピンコート法などによって塗布する場合には、回転駆動に耐え得るべく適度な剛性を有することが好ましい。
【0058】
例えば、上記基材としてポリエチレンテレフタラートフィルム(PET)を用いた場合、その厚さを40μm以上100μm以下とすることが好ましい。上記基材としてステンレスフィルムを用いた場合、フィルムの厚さを15μm以上100μm以下とすることが好ましい。即ち、上述の2種のフィルムの厚さをそれぞれ40μmあるいは15μm以上にすれば、回転駆動に耐え得る剛性を備えることができ、且つ、上述のフィルムの厚さを100μm以下とすれば、光透過保護層9を形成する場合に、上記粘着性シート4・6と光ディスク基板1との凹凸による悪影響を防止できる。
【0059】
また、上記粘着性シート4の大きさは、少なくともチャッキング領域16を覆い隠すことができ、かつ、反射膜2の内周端部を覆い隠さない程度の大きさとすることが好ましい。上記粘着性シート6は、反射膜2の外周端部を覆い隠さない程度の大きさ及び形状を有し、かつ、上記粘着性シート6上に形成される樹脂溜りが光ディスク基板1上に逆流しないような大きさ及び形状を有していることが好ましい。従って、本実施の形態においては、上記粘着性シート4の形状は円形、上記粘着性シート6の形状はドーナツ形のものを採用したが、本発明はこれに限定されることなく、上述のような条件を満たすものを好適に使用することができる。
【0060】
〔実施の形態2〕
本発明の第2の実施の形態について、図9ないし図11を用いて以下に説明する。本実施の形態の光ディスクの製造方法は、シート部材4・6を除去する工程が、実施の形態1における光ディスクの製造方法と異なる。その他の工程については、実施の形態1と同様に実施される。
【0061】
上記光ディスクの製造方法においては、実施の形態1と同様にして、先ず反射膜2が形成された光ディスク基板1の中心孔3および光ディスク基板1の外周エッジ5部分に、粘着シート4・6を貼り付け、紫外線硬化樹脂等からなる光透過保護層9をスピンコート法によって形成する。その後、図9に示すように、粘着性シート4・6および反射膜2が形成されていない部分において、同心円状に配置された2つのドーナツ状カッター11・12を、光透過保護層9が形成された光ディスク基板1に対して垂直に押し付ける。これによって、光透過保護層9の切断を行い、切断された光透過保護層9を粘着性シート4・6とともに光ディスク基板1から剥離する。そして、図10に示すように、粘着性シート4・6が全て除去され、光ディスクの内周領域13及び外周領域14に光透過保護層9が設けられておらず、反射膜2を覆うように光透過保護層9が均一な厚さで配された光ディスクが得られる。
【0062】
続いて、図11に示すように、さらに紫外線硬化樹脂からなるハードコート層15が、光透過保護層9を覆うように形成される。このようなハードコート層15を設けることによって、光透過保護層9の切断端部からの剥がれを防止することができ、光透過保護層9の光ディスク基板1への密着強度を著しく向上させる。また、併せて光ディスクの光入射面の硬度を高め、光ディスクを傷等の損傷から保護することが可能となる。
【0063】
なお、上記ハードコート層15は、実施の形態1と同様に、光透過保護層9の層厚に比べて薄く形成されることが好ましく、また、光ディスク基板1のチャッキング領域16には形成されないようにすることが好ましい。
【0064】
このように、本実施の形態に係る光ディスクの製造方法は、除去工程において粘着性シート4・6を残らず全て除去し、光透過保護層9が均一な厚さに形成されるものである。
【0065】
〔実施の形態3〕
本発明の第3の実施の形態について、図12ないし図14を用いて以下に説明する。
【0066】
本実施の形態に係る光ディスクの製造方法においては、上述の実施の形態1のように、粘着性シート4・6を同心円状に配置された2つのドーナツ状カッター11・12で切断する場合に、光ディスク基板1に及ぶ切断傷を形成し、光透過保護層9の切断端部に対応する位置において、光ディスク基板1の表面に上記切断傷に伴う凹部17を形成する。その他の工程については、実施の形態1と同様の方法で実施される。
【0067】
即ち、本実施の形態においては、図7に示すような粘着性シート4・6の切断時に、図12に示すように、2つのドーナツ状カッター11・12をより強い力で光ディスク基板1へと垂直に押し付ける。なお、図12においては、ドーナツ状カッター12に相当する部分のみを示しているが、ドーナツ状カッター11も同様に光ディスク基板1へと押し付けられる。上記切断後に光透過保護層9を粘着性シート4・6とともに剥離することによって、図13に示すように、光透過保護層9の切断端部に対応する位置において、光ディスク基板1の表面に切断傷に伴う凹部17が形成される。
【0068】
上記の構成によれば、除去工程において、上記切断傷によって光透過保護層9および粘着性シート4・6が完全に分断され、容易に粘着性シート4・6を剥離することが可能となる。
【0069】
続いて、実施の形態1と同様に、光透過保護層9を覆うハードコート層15が形成される(図14参照)。これによって、光透過保護層9の光ディスク基板1への密着強度を向上させることができる。なお、本実施の形態に係る光ディスクにおいては、ハードコート層15が光ディスク基板1の表面の凹部17を埋め込む形で形成されるため、実施の形態1に係る光ディスクよりもさらに強い密着強度を得ることができる。
【0070】
〔実施の形態4〕
本発明の第4の実施の形態について、図15ないし図17を用いて以下に説明する。
【0071】
本実施の形態に係る光ディスクの製造方法においては、上述の実施の形態2のように、粘着性シート4・6を同心円状に配置された2つのドーナツ状カッター11・12で切断する場合に、光ディスク基板1に及ぶ切断傷を形成する。これによって、光透過保護層9の切断端部に対応する位置において、光ディスク基板1の表面に上記切断傷に伴う凹部17が得られる。その他の工程については、実施の形態2と同様の方法で実施される。即ち、実施の形態3においては、ドーナツ状カッター11・12は、粘着性シート4・6が配されている領域の光透過保護層9から切り込みを入れるのに対して、本実施の形態においては、粘着性シート4・6及び反射膜2が形成されていない領域の光透過保護層9から切り込みを入れる。
【0072】
この場合、図15に示すように、ドーナツ状カッター12をより強い力で光ディスク基板1へと垂直に押し付ける。なお、図15においては、ドーナツ状カッター12に相当する部分のみを示しているが、ドーナツ状カッター11も同様に光ディスク基板1へと押し付けられる。上記切断後に光透過保護層9を粘着性シート4・6とともに剥離することによって、図16に示すように、光透過保護層9の切断端部に対応する位置において、光ディスク基板1の表面に切断傷に伴う凹部17が形成される。
【0073】
上記の構成によれば、除去工程において、上記切断傷によって光透過保護層9が完全に分断され、容易に光透過保護層9を剥離することができる。
【0074】
続いて、光透過保護層9を覆うハードコート層15が形成される(図17参照)。これによって、実施の形態3と同様に、ハードコート層15が光ディスク基板1の表面の凹部17を埋め込む形で形成されるため、実施の形態1に係る光ディスクよりもさらに強い密着強度を得ることができる。
【0075】
〔実施の形態5〕
本発明の第5の実施の形態について、図18ないし図22を用いて以下に説明する。
【0076】
本実施の形態に係る光ディスクは、図18に示すように、光ディスク基板1の中心孔3に近接したチャッキング領域16の厚さが、その他の領域に比べて厚く形成されている。その他の構成については、実施の形態1の光ディスクと同様である。上記光ディスク基板1は、圧縮射出成形法によって光ディスク基板1を成形する場合の金型を、チャッキング領域16に相当する部分の光ディスク基板1の厚さが厚くなるように設計することによって作製することができる。
【0077】
本実施の形態に係る光ディスクの製造方法について、以下に詳述する。先ず、図18に示すように、チャッキング領域16が厚く形成された光ディスク基板1上に、図示しない凹凸パターンを覆うように、反射膜2が形成される。なお、上記反射膜2は、実施の形態1と同様に、記録膜あるいは反射膜2と記録膜との積層膜であってもよい。次に、図19に示すように、光ディスク基板1の中心孔3を塞ぎ、かつ、チャッキング領域16を完全に覆う円形状の粘着性シート4と、光ディスク基板1の外周エッジ5を覆うドーナツ形状の粘着性シート6とを光ディスク基板1に貼り付ける。上記粘着性シート4・6は、実施の形態1にて説明したものと同様のものを使用することが好ましい。
【0078】
続いて、紫外線硬化樹脂を光ディスク基板1の中心部分に供給し(図示せず)、上記光ディスク基板1を回転駆動することによって、供給された紫外線硬化樹脂7を光ディスク基板1の外周へ向けて回転延伸する。これによって、光ディスク基板1上に紫外線硬化樹脂が一様に塗布される。その後、紫外線を照射して上記紫外線硬化樹脂を硬化することによって、図20に示すように、光透過保護層9が形成される。
【0079】
次に、同心円状に配置された2つのドーナツ状カッター11・12を、光透過保護層9が形成された光ディスク基板に対して垂直に押し付けることによって、粘着性シートの切断を行う。なお、上記切断は、実施の形態1と同様に、上記粘着性シート4・6が配されている領域の光透過保護層9へ切り込みを入れることによって行われ、粘着性シート4・6の一部は除去されずに残る。
【0080】
続いて、切断された粘着性シート4・6を光ディスク基板1から剥離することによって、図21に示すように、光ディスク基板1上に形成された反射膜2覆うように光透過保護層9が形成された光ディスクであって、上記光ディスクのチャッキング領域16に相当する内周領域13と、外周領域14とにおいて、光透過保護層9が設けられていない光ディスクが形成される。
【0081】
次に、図22に示すように、光透過保護層9上に、さらに紫外線硬化樹脂からなるハードコート層15が形成される。上記ハードコート層15は、実施の形態1と同様に、チャッキング領域16には形成されないことが好ましい。
【0082】
以上のように、本実施の形態に係る光ディスクは、チャッキング領域16における光ディスク基板1の厚さが、他の領域の基板の厚さよりも厚く形成されていることによって、光ディスクの機械的強度を高めることが可能である。さらに併せて、光ディスク基板1の径方向における光透過保護層9の層厚のムラを抑えることができる。
【0083】
なお、本実施の形態においては、実施の形態3と同様に、2つのドーナツ状カッター11・12によって粘着性シート4・6を切断する場合に、光ディスク基板1に到達するように切りこみを入れるようにしてもよい。これによれば、光透過保護層9の切断端部に対応する位置において、光ディスク基板1の表面に切断傷に伴う凹部17が形成されるため、上記凹部を埋め込むようにハードコート層15を形成することができる。従って、光透過保護層9と光ディスク基板1との密着強度を著しく大きくすることが可能となり、信頼性の高い光ディスクを形成することができる。
【0084】
〔実施の形態6〕
本発明の第6の実施の形態について、図23ないし図25を用いて以下に説明する。
【0085】
本実施の形態に係る光ディスクの製造方法においては、2つのドーナツ状カッター11・12による切断工程の前までは、上述の実施の形態5と同様にして実施される。そして、上記切断工程では、図23に示すように、粘着性シート4・6及び反射膜2が形成されていない部分において、2つのドーナツ状カッター11・12を光透過保護層9が形成された上記光ディスク基板1に垂直に押し付けることによって光透過保護層9の切断を行う。切断された光透過保護層9は、粘着性シート4・6とともに光ディスク基板1から剥離され、図24に示すような光ディスクチャッキング領域16に相当する内周領域13と外周領域14とにおいて光透過保護層9が設けられていない光ディスクが得られる。
【0086】
続いて、実施の形態5と同様に、上記光ディスクの光透過保護層9上に、さらに紫外線硬化樹脂からなるハードコート層15が形成される(図25参照)。本実施の形態においては、実施の形態3と同様に、2つのドーナツ状カッター11・12によって光透過保護層9を切断する場合に、光ディスク基板1に到達するように切りこみを入れるようにしてもよい。
【0087】
上述の実施の形態5および6においては、チャッキング領域16のみについて光ディスク基板1の厚さを厚くしているが、本発明の光ディスクは図26に示すように、上記光ディスク基板1の最外周部についても、基板の厚さを厚くするような構成としてもよい。上記「最外周部」とは、光ディスク基板1の反射膜2が形成されている面の最も外側の領域であり、上記外周領域14内に含まれる任意の領域のことを意味する。
【0088】
上記の構成によれば、光ディスクの最も外側の部分が強化されるため、光ディスクの機械的強度をさらに強固なものにし、衝撃による損傷を防ぐことができる。また、この場合においても、上記光ディスクには、光透過保護層9の切断端部を覆うようにハードコート層15が設けられていてもよい。
【0089】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0090】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る光ディスクの製造方法は、反射層、記録層、または、反射層と記録層との積層膜のうちの何れかが形成された光ディスク基板の中心孔およびその周辺部を覆うシート部材と、上記光ディスク基板の外周部分を覆うシート部材とを、前記光ディスク基板面上に固定して配置するシート部材配置工程と、上記光ディスク基板の上記シート部材が配された面に、前記反射層、記録層、または、反射層と記録層との積層膜の うちの何れかと前記シート部材とを覆うように光硬化性樹脂を塗布した後、光を照射することによって上記光硬化性樹脂を硬化して光透過保護層を形成する工程と、上記光透過保護層を形成した後に、上記シート部材を除去する除去工程とを含むことを特徴としている。
【0091】
上記の構成によれば、光ディスク基板上の光透過保護層を全面にわたって均一なものとすることができるという効果を奏する。
【0092】
上記光ディスクの製造方法において、上記シート部材は、粘着性シートであることが好ましい。
【0093】
上記の構成によれば、上記シート部材を光ディスク基板上にしっかりと固定して配置することができるため、目的とする位置に確実に光透過保護層を形成することができるという効果を奏する。
【0094】
上記光ディスクの製造方法において、上記除去工程は、上記反射層、記録層、および、反射層と記録層との積層膜が形成されていない領域の上記光透過保護層面へ切り込みを入れることによって行われ、上記光ディスクの内周領域及び外周領域において、上記シート部材と上記光透過保護層とを除去することが好ましい。
【0095】
上記の構成によれば、上記光透過保護層上の任意の位置から切り込みを入れることによって、除去したい部分の光透過保護層およびシート部材を確実に除去することができるという効果を奏する。
【0096】
上記光ディスクの製造方法はさらに、上記除去工程の後に、上記光透過保護層を覆うように、例えばスピンコート法などによって光硬化性樹脂を塗布した後、光照射によって硬化して、ハードコート層を形成する工程を含むことが好ましい。
【0097】
上記の構成によれば、上記光透過保護層はハードコート層に覆われるため、光透過保護層の剥離を防止することができるという効果を奏する。
【0098】
また、上記光ディスクの製造方法において、上記光透過保護層面への切り込みを、上記光透過保護層を通過し、上記光ディスク基板にまで到達するように入れることによって、前記光透過保護層の切断端面の上記光ディスク基板上に凹部を形成してもよい。
【0099】
上記の構成によれば、上記除去工程において、シート部材および光透過保護層の除去を容易に行うことができるとともに、上記凹部を埋め込むように上記ハードコート層を形成できるため、光透過保護層と光ディスク基板との密着強度をより高めることができるという効果を奏する。
【0100】
また、本発明の光ディスクは、光ディスク基板面の反射層、記録層、または、反射層と記録層との積層膜のうちの何れかが形成されている領域を覆うように、光硬化性樹脂からなる光透過保護層が形成されている光ディスクにおいて、上記光ディスク基板面における、前記反射層、記録層、および、反射層と記録層との積層膜が形成されていない領域には、上記光透過保護層が形成されていない内周領域および外周領域が設けられているとともに、前記光透過保護層は、光硬化性樹脂からなるハードコート層に覆われており、前記光透過保護層の端面における前記光ディスク基板上には、凹部が形成され、該凹部を埋め込むように前記ハードコート層が形成されていることを特徴としている。
【0101】
上記の構成によれば、スピンコート法などによって形成された光透過保護層の樹脂溜りの部分が除去されているため、反射層及び/又は記録層上の光透過保護層の層厚を全面にわたって均一なものとすることができるという効果を奏する。
【0102】
また、上記の構成によれば、上記凹部を埋め込むように上記ハードコート層を形成することができるため、光透過保護層と光ディスク基板との密着強度をより高め、剥離を防止することができる。
【0103】
上記光ディスクにおいて、上記ハードコート層は、上記光ディスクのチャッキング領域には形成されていないことが好ましい。
【0104】
上記の構成によれば、上記光ディスクが記録再生装置とチャッキングする時に、上記ハードコート層をスピンコート法によって形成した場合に形成される樹脂溜りの影響を受けることなく、安定したチャッキングを行うことができるという効果を奏する。
【0105】
また、上記光ディスクのチャッキング領域における上記光ディスク基板の厚さは、上記チャッキング領域以外の上記光ディスク基板の厚さよりも厚くなっていてもよい。
【0106】
上記の構成によれば、光ディスク基板の機械的強度を高めることができる。さらに、光ディスクと記録再生装置とが、安定したチャッキングを実現することができるという効果を奏する。
【0107】
上記光ディスク基板の最外周部の厚さは、上記チャッキング領域と上記最外周部分とを除く部分の上記光ディスク基板の厚さよりも厚くなっていてもよい。
【0108】
上記の構成によれば、光ディスク基板の機械的強度をさらに高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る光ディスクの構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態1に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態1に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態1に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態1に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図8】 本発明の実施の形態1に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態2に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図10】 本発明の実施の形態2に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図11】 本発明の実施の形態2に係る光ディスクの構成を示す断面図である。
【図12】 本発明の実施の形態3に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの一部の構成を示す断面図である。
【図13】 本発明の実施の形態3に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの一部の構成を示す断面図である。
【図14】 本発明の実施の形態3に係る光ディスクの一部の構成を示す断面図である。
【図15】 本発明の実施の形態4に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの一部の構成を示す断面図である。
【図16】 本発明の実施の形態4に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの一部の構成を示す断面図である。
【図17】 本発明の実施の形態4に係る光ディスクの一部の構成を示す断面図である。
【図18】 本発明の実施の形態5に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図19】 本発明の実施の形態5に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図20】 本発明の実施の形態5に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図21】 本発明の実施の形態5に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図22】 本発明の実施の形態5に係る光ディスクの構成を示す断面図である。
【図23】 本発明の実施の形態6に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図24】 本発明の実施の形態6に係る光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図25】 本発明の実施の形態6に係る光ディスクの構成を示す断面図である。
【図26】 図25に示す光ディスクの変形例を示す断面図である。
【図27】 従来の光ディスクの再生方法を説明するための模式図である。
【図28】 従来の光ディスクの再生方法を説明するための模式図である。
【図29】 従来の光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図30】 従来の光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図31】 従来の光ディスクの構成を示す断面図である。
【図32】 従来の光ディスクの製造過程を説明するための、製造途中の光ディスクの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 光ディスク基板
2 反射膜(反射層及び/又は記録層)
3 中心孔
4・6 粘着性シート(シート部材・粘着性シート)
5 外周エッジ
7 光硬化性樹脂
8 紫外線
9 光透過保護層
10 外周エッジ部
11・12 ドーナツ状カッター
13 内周領域
14 外周領域
15 ハードコート層
16 チャッキング領域
17 凹部
Claims (9)
- 反射層、記録層、または、反射層と記録層との積層膜のうちの何れかが形成された光ディスク基板の中心孔およびその周辺部を覆うシート部材と、前記光ディスク基板の外周部分を覆うシート部材とを、前記光ディスク基板面上に固定して配置するシート部材配置工程と、
前記光ディスク基板の前記シート部材が配置された面に、前記反射層、記録層、または、反射層と記録層との積層膜のうちの何れかと前記シート部材とを覆うように光硬化性樹脂を塗布した後、光を照射することによって前記光硬化性樹脂を硬化して光透過保護層を形成する工程と、
前記光透過保護層を形成した後に、前記シート部材を除去する除去工程とを含むことを特徴とする光ディスクの製造方法。 - 前記シート部材は、粘着性シートであることを特徴とする請求項1に記載の光ディスクの製造方法。
- 前記除去工程は、前記反射層、記録層、および、反射層と記録層との積層膜が形成されていない領域の前記光透過保護層面へ切り込みを入れることによって行われ、前記光ディスク基板の内周領域及び外周領域において、前記シート部材と前記光透過保護層とを除去することを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスクの製造方法。
- 前記光ディスクの製造方法はさらに、
前記除去工程の後に、前記光透過保護層を覆うように光硬化性樹脂を塗布し、光照射によって前記光硬化性樹脂を硬化して、ハードコート層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の光ディスクの製造方法。 - 前記光透過保護層面への切り込みは、前記光透過保護層を通過し、前記光ディスク基板にまで到達して、前記光透過保護層の切断端面の前記光ディスク基板上に凹部を形成することを特徴とする請求項3または4に記載の光ディスクの製造方法。
- 光ディスク基板面の反射層、記録層、または、反射層と記録層との積層膜のうちの何れかが形成されている領域を覆うように、光硬化性樹脂からなる光透過保護層が形成されている光ディスクにおいて、
前記光ディスク基板面における、前記反射層、記録層、および、反射層と記録層との積層膜が形成されていない領域には、前記光透過保護層が形成されていない内周領域および外周領域が設けられているとともに、
前記光透過保護層は、光硬化性樹脂からなるハードコート層に覆われており、
前記光透過保護層の端面における前記光ディスク基板上には、凹部が形成され、該凹部を埋め込むように前記ハードコート層が形成されていることを特徴とする光ディスク。 - 前記ハードコート層は、前記光ディスクのチャッキング領域には形成されていないことを特徴とする請求項6に記載の光ディスク。
- 前記チャッキング領域における前記光ディスク基板の厚さが、前記チャッキング領域以外の前記光ディスク基板の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項6または7に記載の光ディスク。
- 前記光ディスク基板の最外周部の厚さが、前記チャッキング領域と前記最外周部とを除 く部分の前記光ディスク基板の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項8に記載の光ディスク。
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