JP2004022143A - 光ディスク、光ディスクの製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光透過性を有する保護層側から記録/再生のためのレーザ光を照射する光ディスクにおいて、光透過層の薄膜化を行った場合でも光透過層の最表面の平滑性を向上させることで、良好な記録/再生信号が得られるようにするとともに光ディスクの外観も向上する光ディスクを提供する。
【解決手段】光ディスクの製造において、カバー層3を基板1の反射層2に貼り合わせた後に、平滑基板4を用いてカバー層3の最表面を押圧してから、カバー層3を硬化する。硬化後に平滑基板4を剥離することで、カバー層3の最表面が平滑化された光ディスクが製造される。
【選択図】 図1
【解決手段】光ディスクの製造において、カバー層3を基板1の反射層2に貼り合わせた後に、平滑基板4を用いてカバー層3の最表面を押圧してから、カバー層3を硬化する。硬化後に平滑基板4を剥離することで、カバー層3の最表面が平滑化された光ディスクが製造される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク、光ディスクの製造方法および製造装置に関し、特に、ディスク基板にフィルム状のシートを貼り合わせることで情報信号層の保護層または中間層が形成された光ディスク、光ディスクの製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンパクトディスク(CD)、ディジタルバーサタイルディスク(DVD)などの光ディスクの高記録密度化が求められている。そして、この高記録密度化の要求に対応するための方法として、レーザ波長を短くすることや、対物レンズの開口数(NA)を大きくすることなどが知られている。例えば、CDでは、レーザ波長780nm、開口数0.45を用いて670メガバイトの記録密度を実現していたが、DVDでは、レーザ波長630nm、開口数0.6を用いることで、CDの7倍に近い4.7ギガバイトの記録密度を実現した。
【0003】
現在では、さらにレーザ波長400nm近傍、開口数0.85程度まで高めた光ディスクの実用化のための研究・開発が進められている。このレーザ波長および開口数によれば、CD、DVDなどと同形状の直径120mmの外径において、単層で25ギガバイト程度、2層で50ギガバイト程度の記録容量を持つ光ディスクの実現が可能である。
【0004】
このように、レーザ光の短波長化、対物レンズの高NA化を進めていくと、光ディスクにおける基板の薄型化が必要とされる。これは、基板を透過してレーザ光により記録/再生を行う場合、光学ピックアップの光軸に対して基板面の垂直からずれる角度(チルト角)の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差や複屈折の影響を受け易いためである。したがって、基板を薄くすることによって、チルト角がなるべく小さくなるようにする。例えば、CDの基板の厚さは1.2mm程度とされているのに対し、DVDの基板の厚さは0.6mm程度とされている。上述したレーザ波長400nm近傍、開口数0.85程度を用いるには、基板の厚さは、0.1mm程度にしなければならない。しかしながら、厚さ0.1mm程度の基板上に情報信号部や保護層を形成することは、非常に難しい。
【0005】
そこで、基板の一主面に凹凸を形成して情報信号部とし、この情報信号部上に、反射膜と光を透過可能な薄膜からなる保護層とを順次積層し、保護層、すなわち光透過層側からレーザ光を照射することにより情報信号の記録および/または再生を行うように構成された光ディスクが提案されている。これにより、上述したようなレーザの短波長化、対物レンズの高NA化に対応可能な光ディスクを実現することができる。
【0006】
ところが、この保護層の薄膜化を行うと、光ディスクの製造に一般に用いられる、熱可塑性樹脂を用いた射出成形法による形成が困難になる。すなわち、従来の技術において、複屈折を小さく保ちつつ、良好な透明性が維持された、0.1mm程度の光透過層を形成することは、非常に困難である。また、そこで、現在この光透過層の材料、製造方法が検討されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、PC(ポリカーボネート)などの光透過性を備えた熱可塑性樹脂からなるフィルムを紫外線硬化樹脂により基板に貼り合わせ、紫外線硬化を行い、保護層を形成する方法や、光透過性を備えた紫外線硬化樹脂単体で保護層を形成する方法などが考えられる。ところがレーザ波長400nm近傍、開口数0.85程度の高密度光ディスクにおいては、光透過保護層の厚さは、先に述べたチルト許容量から0.1mm程度、厚み誤差は、入射光の球面収差誤差あるいはフォーカス誤差を抑えるために、例えば±2μm以内といった高い精度が要求される。したがって、このような方法でスピニング法などにより紫外線硬化樹脂を塗着し、保護層を形成した場合では、貼り合わせ面内に膜厚ムラが発生しやすいため要求される厚さを満たすことは難しい。
【0008】
そこで本発明者は、膜厚の均一性の確保とともに、工程の簡略化を実現が可能な、予め所望の膜厚精度を有する紫外線硬化型フィルムを用いて紫外線硬化を行い、光透過保護層を形成することを試みた。本発明者は、高密度光ディスクを想定し、まず直径120mm、厚さが1.1mmの主基板を作製した。この主基板には成形により、情報信号再生にレーザ波長405nm、開口数0.85を用いて読み出す信号ピットが形成されており、さらに、情報信号部であるその信号ピット上には所望の反射率を得るための銀(Ag)、アルミニウム(Al)などの金属膜の成膜が施されている。
【0009】
そして、この主基板の情報信号部上に光透過性を備えた紫外線硬化型フィルムを貼り合わせることで保護層を形成した。紫外線硬化型フィルムは、通常、表面をゴミの付着や傷が付くことを防ぐためのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンなどからなる第1および第2剥離フィルムに挟まれた構成で扱われる。したがって、保護層形成の際は、紫外線硬化型フィルムから第1剥離フィルムを剥離し、主基板の情報信号部上に貼り合わせ、最適な光量の紫外線を照射することで紫外線硬化を行い、その後、第2剥離フィルムの剥離を行った。
【0010】
このように保護層を形成した結果、剥離フィルムの表面の粗さが保護層の最表面に転写されてしまうことがわかった。よって、高い精度が要求される光透過層を形成する場合に、紫外線硬化型フィルムを用いると、紫外線硬化型フィルムは、膜厚精度には優れるものの、剥離フィルムに挟まれた構成で扱われるため、その剥離フィルムの表面の粗さが紫外線硬化型フィルムの表面に転写されてしまうという問題がある。
【0011】
それにより、この光透過層を有する光ディスクの外観が悪くなるという問題がある。また、情報信号の記録/再生を行うレーザ光が光透過層を透過して、主基板の反射膜面上の情報信号部に焦点を合わせる際に、この転写された表面の粗さの影響を受けて、入射光の収差を生じ、その結果、フォーカスエラーとなる可能性があり、読み取り可能な光ディスクにおける再生信号、特にジッタが悪化するといった問題や、書き込み可能な光ディスクへの正確な情報の記録が行われない可能性があるといった問題がある。
【0012】
したがって、この発明の目的は、シート状の紫外線硬化型フィルムを基板に貼り合わせることにより基板上に光透過層を形成する際に、光透過層表面の平滑性を向上することができ、それにより外観に優れ、記録/再生エラーを減少することができるとともに、情報信号の記録/再生時に用いられる対物レンズの高NA化およびレーザ光の短波長化に対応可能な光ディスク、光ディスクの製造方法および製造装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、
基板の主面上に情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部が設けられ、その情報信号部上に保護層が形成され、その保護層側から情報信号部に対してレーザ光を照射し、記録または再生を行う光ディスクにおいて、
保護層は、基板の情報信号部上に紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、その紫外線硬化型フィルムの最表面を平滑基板の押圧により平滑化してから紫外線硬化を行うことによって形成された
ことを特徴とする光ディスクである。
【0014】
請求項5の発明は、
基板の主面上に情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部が設けられ、その情報信号部上に中間層を介して他の情報信号部が設けられ、最外面に保護層が形成され、その保護層側から情報信号部および他の情報信号部に対してレーザ光を照射し、記録または再生を行う光ディスクにおいて、
情報信号部上に紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、平滑且つ信号情報部となる信号凹凸を有するスタンパを紫外線硬化型フィルムの最表面に押圧し、信号凹凸を転写してから紫外線硬化を行うことによって中間層が形成されている
ことを特徴とする光ディスクである。
【0015】
請求項9の発明は、
記録および/または再生のための信号層形成面を備えた基板を成形する基板成形工程と、基板の信号層形成面に反射膜を成膜する成膜工程と、反射膜上に保護層を貼り合わせる貼り合わせ工程とにより、信号層面に保護層側からレーザ光を入射し、データの記録または再生が可能に構成された光ディスクの製造方法において、
保護層は、紫外線硬化型フィルムから成り、
貼り合わせ工程後に、紫外線硬化型フィルムの最表面を平滑基板の押圧により平滑化する平滑化工程と、
平滑化工程後に、紫外線硬化型フィルムに紫外線を照射し、紫外線硬化を行う紫外線硬化工程と、
平滑基板を紫外線硬化型フィルムの最表面から剥離する平滑基板剥離工程とにより、保護層の最表面を平滑化する
ことを特徴とする光ディスクの製造方法である。
【0016】
請求項14の発明は、
記録および/または再生のための信号層形成面を備えた基板を成形する基板成形工程と、基板の信号層形成面に反射膜を成膜する第1の成膜工程と、反射膜上に形成された中間層上の他の信号層形成面に半透明反射膜を成膜する第2の成膜工程と、半透明反射膜上に保護層を貼り合わせる保護層貼り合わせ工程とにより、信号層面に保護層側からレーザ光を入射し、データの記録または再生が可能に構成された光ディスクの製造方法において、
紫外線硬化型フィルムを信号層に貼り合わせるフィルム貼り合わせ工程と、
貼り合わせ工程後に、平滑且つ信号情報部となる信号凹凸を有するスタンパを紫外線硬化型フィルムの最表面に押圧し、信号凹凸の転写を行う信号凹凸転写/表面平滑化工程と、
信号凹凸転写/平滑化工程後に、紫外線硬化型フィルムに紫外線を照射し、紫外線硬化を行う紫外線硬化工程と、
スタンパを紫外線硬化型フィルムの最表面から剥離するスタンパ剥離工程とにより中間層が形成された
ことを特徴とする光ディスクの製造方法である。
【0017】
この発明では、光ディスク作製において、信号層形成面に光透過性を有する紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムの最表面を、平滑基板またはスタンパにより押圧してから紫外線硬化して光透過層を形成していることにより、紫外線硬化型フィルムの表面の平滑性を向上することができ、ジッタ値が改善され、光ディスクの外観が良好となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、この発明の第1の実施形態による光ディスクについて説明する。この第1の実施形態による光ディスクは、読み取り専用の単層構成の光ディスクである。
【0019】
図1は、この第1の実施形態による光ディスクの一例の製造工程における断面図である。図1Aは、基板成形工程後の構成を示し、図1Bは、成膜工程後の構成を示し、図1Cは、貼り合わせ工程後の構成を示し、図1Dは、カバー層平滑化工程における構成を示し、図1Eは、紫外線硬化工程における構成を示し、図1Fは、平滑基板剥離工程後の構成を示す。
【0020】
図1に示すように、この第1の実施形態による光ディスクは、基板1の一主面上に、反射膜2、カバー層3が順次設けられて構成されている。基板1は、例えばPC(ポリカーボネート)系樹脂などのプラスチック材料からなる。なお、この第1の実施形態による光ディスクは、反射膜2に対して、カバー層3が設けられた側からレーザ光を照射することにより、情報信号の再生を行うように構成されている。そのため、基板1としては、光透過性を有するか否かを考慮する必要がないため、例えばアルミニウム(Al)などの金属からなる基板を用いることも可能である。
【0021】
また、基板1は、その中央部にセンターホール(図示せず)が形成された平面円環形状を有する。そして、基板1の内径(センターホールの径)は、例えば15mmであり、外径は、例えば120mmである。また、基板1の一主面上には、所定のレーザ波長および開口数、例えば、レーザ波長405nm、開口数0.85に対応した、微細な凹みから成る情報信号部、すなわち記録データのピットが形成されている。
【0022】
反射膜2は、光ディスクの反射層を形成するアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)などの金属膜から成る反射膜である。この反射膜2は、所望の反射率、すなわちカバー層3を透過して入射されるレーザ光を反射し、ピットの有無を正確に読み取ることができる反射率を備えるよう、基板1のピットが設けられた信号層形成面上に成膜されている。
【0023】
カバー層3は、情報信号部の保護層であり、基板1とほぼ同形状の光透過性を有する紫外線硬化型フィルムからなる。このカバー層3の光ディスクの最表面となる一主面は、後述する図1Dのカバー層平滑化工程および図1Eの紫外線硬化工程において、平滑基板4により平滑化されている。具体的には、カバー層3の一主面は、平均表面粗度Raが5nm以下の表面平滑性を備えている。平均表面粗度Raは、JIS−B0601規格に基づくものである。
【0024】
平滑基板4は、金属、半導体、ガラス、プラスチックのいずれかを材料とし、基板1とほぼ同形状で構成され、例えば平均表面粗度Raが1nm以下の平滑性を有する。この平滑基板4は、光ディスクの最表面となるカバー層3の上から押圧し平滑化するために用いられ、平滑後は、カバー層3から剥離されるものである。したがって、平滑基板4は、平滑化のため押圧されても、その表面平滑性がほとんど変化しない硬度、厚さを有する。
【0025】
紫外線を平滑基板4側からカバー層3へ向けて照射する場合には、平滑基板4が光透過性を備えるようにする。例えば、厚さが0.6mmの通常の青板ガラスを使用した場合、320〜390nmの光ならば90%程度透過するため、光透過性を備えた平滑基板4として用いることができる。この平滑基板4での平滑については、後述する。これにより、平滑化されたカバー層3の一主面は、平均表面粗度Raが5nm以下の表面平滑性とされている。
【0026】
以上のように構成された、この発明の第1の実施形態による光ディスクでは、レーザ光が透過する保護層を平滑度が向上された状態で0.1mm程度に薄く基板に形成することができる。したがって、例えば、基板1の厚さを1.1mm程度、カバー層3の厚さを0.1mm程度とし、厚さ1.2mmの光ディスクを形成することで、レーザ波長400nm近傍、開口数0.85程度の高密度単層光ディスクシステムにおいて、良好な情報信号の再生が可能となる。
【0027】
以下、この図1を参照しながら、この第1の実施形態による光ディスクの作製について説明する。図2は、この第1の実施形態による光ディスクの製造装置の一例の概略図である。図2に示す光ディスク製造装置は、単層光ディスク用の製造装置であり、基板成形機11、搬送コンベア12、成膜装置13、貼り合わせ装置14、平滑基板押圧/剥離装置15および紫外線硬化装置16により構成される。
【0028】
基板成形機11は、平面円環形状の基板1を成形する装置である。この基板1の成形は、例えば、ポリカーボネートなどの合成樹脂材料を射出成形法により成形することで行われる。このとき、情報信号となるピットの凹みも一主面に形成される。
【0029】
搬送コンベア12は、基板成形機11、成膜装置13、貼り合わせ装置14、平滑基板押圧/剥離装置15、紫外線硬化装置16、平滑基板押圧/剥離装置15の順に基板を搬送する装置である。したがって、この光ディスク製造装置において、基板成形機11で成形された基板1は、成膜装置13、貼り合わせ装置14、平滑基板押圧/剥離装置15、紫外線硬化装置16、平滑基板押圧/剥離装置15において順次処理される。
【0030】
成膜装置13は、基板成形機11から送られてくる基板1に反射膜2となる金属膜を成膜する装置である。この成膜装置13としては、例えば、マグネトロンスパッタ装置やイオンビームスパッタ装置などのスパッタ装置が用いられる。貼り合わせ装置14は、成膜装置13から送られてくる基板1の反射膜2の上にカバー層3となる紫外線硬化フィルムを貼り合わせる装置である。
【0031】
平滑基板押圧/剥離装置15は、貼り合わせ装置14から送られてくる基板1のカバー層3の上に平滑基板4を押圧する装置である。また、平滑基板押圧/剥離装置15は、紫外線硬化装置16から送られてくる基板1から平滑基板4を剥離する装置でもある。この平滑基板押圧/剥離装置15の平滑基板4において、平滑基板4を押圧する部分が真空となるような構成を備えさせれば、カバー層3と平滑基板4とを圧接した際に、気泡の混入を防ぐことができる。また、平滑基板4の温度調節が行えるような機構を備えさせれば、カバー層3の圧接面内を均一に平滑化することができる。
【0032】
紫外線硬化装置16は、平滑基板押圧/剥離装置15から送られてくる基板1に形成されたカバー層3に紫外線を照射することにより、紫外線硬化フィルムの硬化を行う装置である。
【0033】
以上のように構成された製造装置により、この第1の実施形態による光ディスクは、以下に説明するように基板成形工程、成膜工程、貼り合わせ工程、カバー層平滑化工程、紫外線硬化工程、平滑基板剥離工程を経て製造される。
【0034】
まず、基板成形工程では、図2に示す基板成形機11において、光ディスク作製用の基板1が、射出成形法などによりポリカーボネートなどの合成樹脂材料を、平面円環形状に成形することで作製される。このとき基板1の一主面上には、微細な凹みである情報信号となるピットがスタンパにより転写され形成される。これにより、図1Aに示す構成のディスク基板が作製される。
【0035】
作製された基板1は、次に成膜工程に送られる。まず搬送コンベア12により基板1は、基板成形機11から成膜装置13へ送られる。成膜装置13では、基板1の信号層形成面に、信号反射膜となる反射膜2が成膜される。これにより、読み取り用の信号情報部が基板1の一主面に形成される。具体的には、信号反射膜となる反射膜2の成膜には、マグネトロンスパッタ装置、イオンビームスパッタ装置などのスパッタ装置などのスパッタ装置が用いられ、このようなスパッタ装置によりスパッタリングが行われる。
【0036】
この成膜装置13による金属膜の成膜は、所定の条件を満足するように行われる。すなわち、カバー層3を透過して入射されるレーザ光を反射し、ピットの有無を正確に読み取ることができる反射率を備えるように成膜される。このように成膜装置13により基板1に反射膜2が成膜されることで、図1Bに示すディスク基板が構成される。
【0037】
成膜装置13で成膜が施された基板1は、次に貼り合わせ工程に送られる。まず搬送コンベア12により基板1は、成膜装置13から貼り合わせ装置14へ送られる。貼り合わせ装置14では、カバー層3となる紫外線硬化型フィルムから第1剥離フィルムが剥離され、その剥離されたフィルム面を基板1の信号情報面に押圧することで紫外線硬化型フィルムが基板1に貼り付けられる。そして、最表面の第2剥離フィルムが剥離される。これにより、図1Cに示す構成のディスク基板が形成される。
【0038】
貼り合わせ装置14でカバー層3が貼り合わされた基板1は、次にカバー層平滑化工程に送られる。まず、搬送コンベア12により基板1は、貼り合わせ装置14から平滑基板押圧/剥離装置15へ送られる。平滑基板押圧/剥離装置15では、基板1に貼り合わされた未硬化状態の紫外線硬化型フィルムの最表面に平滑基板4が押圧される。この平滑基板4の押圧は、パッド加圧式、すなわちパッドを用いて平滑基板4を押圧したり、ローラ加圧式、すなわちローラを用いて平滑基板4を押圧したりすることなどにより行われる。これにより、図1Dに示す構成のディスク基板が形成される。なお、このとき平滑基板押圧装置が押圧空間を真空状態にする構造を有しているならば、真空状態とし、平滑基板4の温度調節機能を備えているならば、平滑基板4を適温、例えば常温よりも温度が上がるように調節する。
【0039】
平滑基板押圧/剥離装置15で平滑基板4が貼り合わされた基板1は、次に紫外線硬化工程に送られる。まず、搬送コンベア12により基板1は、平滑基板押圧/剥離装置15から紫外線硬化装置16へ送られる。紫外線硬化装置16では、紫外線硬化型フィルムに紫外線が照射され硬化される。紫外線が照射される方向は、基板1および平滑基板4の光透過性により異なる。平滑基板4が十分な紫外線透過性を備えていなければ、光透過性を備えた基板1側から紫外線を照射する。この場合、反射膜2を通過するため、光量が減少する。具体的には、銀反射膜を1層通過する毎に、3分の1程度減少する。しかしながら、時間、紫外線量の調整により硬化は可能である。また、平滑基板4が十分な紫外線透過性を備えているならば、平滑基板4側からのみ、または図1Eに示すように平滑基板4側と基板1側との両側から紫外線を照射する。これら紫外線の照射により、紫外線硬化型フィルムの最表面は、平滑化された状態で硬化される。
【0040】
紫外線硬化装置16により紫外線硬化処理が施された基板1は、次に平滑基板剥離工程に送られる。まず紫外線硬化装置16で紫外線硬化処理が施された基板1は、平滑基板押圧/剥離装置15に戻される。平滑基板押圧/剥離装置15では、平滑基板4の剥離が行われる。これにより、カバー層3から平滑基板4が剥がされ、図1Fに示す構成のディスク基板が形成される。
【0041】
そして、この平滑基板4を剥離後の基板を図示しない切削装置等により成形することで、この第1の実施形態による光ディスクが作製される。
【0042】
本発明者は、紫外線硬化型フィルムを用いて、0.1mmの厚さの光透過層であるカバー層が形成された、レーザ波長405nm、開口数0.85を用いる読み取り専用高密度光ディスクにおいて、表面粗さ測定機により、この第1の実施形態における平滑化を施した場合と、従来の平滑化を施していない場合との、それぞれの平均表面粗度Raおよびジッタ値Jtを計測し、検証を行った。
【0043】
粗度測定装置には、テンコール・インスツルメンツ社製、Alpha Step 500を用いた。また測定の条件は、スキャン長を1000μm、スキャンスピードを50μm、サンプリングレートを50Hz、針の曲率半径を5μmとした。また、測定したカバー層の材料として、3種類の紫外線硬化型フィルム(A〜C)と、紫外線硬化型フィルムではない十分に平滑な材料を用いた。
【0044】
【表1】
【0045】
表1は、測定機による平均表面粗度Raおよびジッタ値Jtの測定結果を示す表である。表1に示すサンプル番号1は、平滑化処理を施していない紫外線硬化型フィルムAである。このサンプル番号1の測定結果は、平均表面粗度Raが37nmであり、ジッタJtが測定不能であった。サンプル番号2−(1)および2−(2)は、平滑化処理を施していない紫外線硬化型フィルムBである。このサンプル番号2−(1)の測定結果は、平均表面粗度Raが12nmであり、ジッタJtが11.3%であった。サンプル番号2−(2)の測定結果は、平均表面粗度Raが11nmであり、ジッタJtが11.5%であった。
【0046】
サンプル番号3は、平滑化処理を施した紫外線硬化型フィルムBである。このサンプル番号3の測定結果は、平均表面粗度Raが1nmであり、ジッタJtが9.6%であった。サンプル番号4は、平滑化処理を施した紫外線硬化型フィルムCである。このサンプル番号4の測定結果は、平均表面粗度Raが1nmであり、ジッタJtが8.7%であった。サンプル番号5は、紫外線硬化型フィルムではない十分に平滑な材料によるものである。このサンプル番号5の測定結果は、平均表面粗度Raが1nmであり、ジッタJtが8.6%であった。
【0047】
これら測定結果から、紫外線硬化型フィルムを光ディスクのカバー層として用いる場合には、この第1の実施形態により最表面を平滑化することで、その平均表面粗度Raが改善されるとともに、ジッタ値Jtも改善されることがわかる。
【0048】
図3は、この測定結果から平均表面粗度Raとジッタ値Jtとの相関関係を表した一例のグラフである。図3に示すグラフから、良好な再生信号を得るために、ジッタ値Jtを10%以内とするには、平均表面粗度Raは、約5nm以下に制御する必要があることがわかる。また、平均表面粗度Raの値は、小さければ小さいほどジッタ値Jtは低くなり、良好な再生信号が得られることがわかる。これらのことから、この第1の実施形態によりカバー層3の最表面の平滑化を行うことで、良好な再生信号を得られることがわかる。
【0049】
以上説明したように、この第1の実施形態によれば、レーザ光を透過する光ディスクのカバー層3の形成において、基板1に光透過性を有する紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムの最表面を、平滑基板4により押圧してから紫外線硬化していることにより、カバー層3の最表面の平滑性を向上することができる。
【0050】
これにより、光ディスクの外観が良くなるとともに、ジッタ値が改善され良好な再生信号を得ることができる。具体的には、レーザ波長400近傍、開口数0.85程度を用いる高密度光ディスクでは、平滑化するカバー層3の平均表面粗度Raを約5nm以下とすることで、ジッタ値Jtを10%以下に制御することができる。
【0051】
次に、この発明の第2の実施形態による光ディスクについて説明する。この第2の実施形態による光ディスクは、読み取り専用の2層構成の光ディスクである。
【0052】
図4および図5は、この第2の実施形態による光ディスクの一例の製造工程における断面図である。なお、図面の大きさ上、図4と図5に分けて示しているが、これら2つの図面は、本来ひとつのものである。すなわち、図4の工程処理後に、図5の工程が行われる。
【0053】
図4Aは、基板成形工程後の構成を示し、図4Bは、第1の成膜工程後の構成を示し、図4Cは、第1の貼り合わせ工程後の構成を示し、図4Dは、信号凹凸転写および表面平滑化工程における構成を示し、図4Eは、第1の紫外線硬化工程における構成を示し、図4Fは、スタンパ剥離工程における構成を示し、図4Gは、第2の成膜工程後の構成を示す。また、図5Aは、第2の貼り合わせ工程後の構成を示し、図5Bは、表面平滑化工程における構成を示し、図5Cは、第2の紫外線硬化工程における構成を示し、図5Dは、平滑基板剥離工程後の構成を示す。
【0054】
図4および図5に示すように、この第2の実施形態による光ディスクは、基板21の一主面上に、反射膜22、中間層23、半透明反射膜26、カバー層27が順次設けられて構成されている。
【0055】
図4および図5中の基板21、反射膜22、平滑基板28については、上述した第1の実施形態における基板1、反射膜2、平滑基板4とそれぞれ同様の構成であるので、ここでの説明は省略する。なお、基板21上に形成される信号層を第1の信号層とし、中間層23上に形成される信号層を第2の信号層とする。
【0056】
中間層23は、光透過性を有する紫外線硬化型フィルムからなり、反射膜22上に貼り合わされ、その貼り合わせ面と反対の面は、後述する図4Dの信号凹凸転写および表面平滑化工程および図4Eの第2の紫外線硬化工程において、スタンパ25により凹凸の転写および平滑化がなされている。具体的には、中間層23の一主面は、平均表面粗度Raが5nm以下の表面平滑性を備え、その一主面上に信号ピットが形成されている。
【0057】
スタンパ25は、金属、半導体、ガラス、プラスチックのいずれかを材料とし、例えば平均表面粗度Raが1nm以下の平滑性を備える。その平滑性を備えた一主面上には、所定のレーザ波長および開口数、例えば、レーザ波長405nm、開口数0.85に対応した、微細な凸から成る記録データが形成されている。このスタンパ25は、光ディスクの中間層23となる紫外線硬化型フィルムの上から押圧し平滑化するとともに、微細な凸の転写により信号ピットを形成するために用いられ、処理後は、中間層23から剥離されるものである。したがって、スタンパ25は、平滑化のため押圧されても、その表面平滑性および微細な凸がほとんど変化しない硬度、厚さを有する。
【0058】
半透明反射膜26は、光ディスクの反射層を形成するシリコン(Si)などの半透明膜から成る反射膜である。この反射膜26は、所望の反射率、すなわちカバー層27を透過して入射されるレーザ光を反射し、ピットの有無を正確に読み取ることができる反射率を備えるよう、中間層23のスタンパ25により信号ピットが設けられた第2の信号層面上に成膜されている。
【0059】
カバー層27は、第2の信号層の保護層であり、基板21とほぼ同形状の光透過性を有する紫外線硬化型フィルムからなる。このカバー層27の光ディスクの最表面となる一主面は、図5Bの表面平滑化工程および図5Cの第2の紫外線硬化工程において、平滑基板28により平滑化されている。具体的には、カバー層27の一主面は、平均表面粗度Raが5nm以下の表面平滑性を備えている。
【0060】
以上のように構成された、この発明の第2の実施形態による光ディスクでは、レーザ光が透過するカバー層27を平滑度が向上された状態で0.1mm程度に薄く形成することができる。また、レーザ光が透過する中間層23上のピットを信号層の平滑度の向上とともに形成することができる。したがって、例えば、基板21の厚さを1.1mm程度、カバー層28の厚さを90μm程度、中間層23の厚さを20μm程度とし、厚さ1.2mmの2層構成の光ディスクを形成することで、レーザ波長400nm近傍、開口数0.85程度の高密度2層光ディスクシステムにおいて、良好な情報信号の再生が可能となる。
【0061】
以下、図4および図5を参照しながら、この第2の実施形態による光ディスクの作製について説明する。なお、基板成形工程、第1の成膜工程、第2の貼り合わせ工程、表面平滑化工程、第2の紫外線硬化工程、平滑基板剥離工程については、上述した第1の実施形態での基板成形工程、成膜工程、貼り合わせ工程、カバー層平滑化工程、紫外線硬化工程、平滑基板剥離工程とそれぞれ同様な処理であるため、ここでは説明を省略する。
【0062】
すなわち、まず基板成形工程において、図4Aに示す光ディスク作製用の基板21が基板成形機により作製される。作製された基板21は、次に成膜工程に送られ信号反射膜となる反射膜22が成膜される。この反射膜22は、所定の条件を満足するように行われる。すなわち、カバー層27、半透明反射膜26および中間層23を透過して入射されるレーザ光を反射し、ピットの有無を正確に読み取ることができる反射率を備えるように成膜される。これにより、第1の信号層が形成され、図4Bに示すディスク基板が構成される。
【0063】
成膜が施された基板21は、次に貼り合わせ工程に送られ、中間層23となる紫外線硬化型フィルムが基板21に貼り付けられる。これにより、図4Cに示す構成のディスク基板が形成される。紫外線硬化型フィルムが貼り合わされた基板21は、次に信号凹凸転写および表面平滑化工程に送られる。
【0064】
信号凹凸転写および表面平滑化工程では、基板21に貼り合わされた未硬化状態の紫外線硬化型フィルムの最表面にスタンパ25が押圧される。スタンパ25の押圧は、パッド加圧式、すなわちパッドを用いてスタンパ25を押圧したり、ローラ加圧式、すなわちローラを用いてスタンパ25を押圧したりすることなどにより行われる。これにより、図4Dに示す構成のディスク基板が形成される。なお、このとき押圧装置が押圧空間を真空状態にする構造を有しているならば、真空状態とし、スタンパ25の温度調節機能を備えているならば、スタンパ25を適温、例えば常温よりも温度が上がるように調節する。
【0065】
スタンパ25が貼り合わされた基板21は、次に第1の紫外線硬化工程に送られる。第1の紫外線硬化工程では、紫外線硬化装置により中間層23となる紫外線硬化型フィルムに、図4Eに示すように紫外線が照射され硬化される。紫外線を照射する方向については、上述した第1の実施形態での紫外線硬化工程において説明したのでここでは省略する。この紫外線の照射により、中間層23となる紫外線硬化型フィルムの最表面は、スタンパ25により平滑化され、さらにその平滑面にピットが転写された状態で硬化される。
【0066】
紫外線硬化処理が施された基板21は、次にスタンパ剥離工程に送られ、剥離装置によりスタンパ25の剥離が行われる。これにより、中間層23からスタンパ25が剥がされ、図4Fに示す構成のディスク基板が形成される。
【0067】
スタンパ25を剥離後の基板21は、次に第2の成膜工程に送られる。第2の成膜工程では、中間層23のスタンパ25により形成された信号層形成面に、信号反射膜となる半透明反射膜26が成膜される。これにより、読み取り用の信号情報部が中間層23の一主面に形成される。具体的には、信号反射膜となる半透明膜26の成膜には、マグネトロンスパッタ装置、イオンビームスパッタ装置などのスパッタ装置などのスパッタ装置が用いられ、このようなスパッタ装置によりスパッタリングが行われる。
【0068】
この半透明反射膜26の成膜は、所定の条件を満足するように行われる。すなわち、カバー層27を透過して入射されるレーザ光を反射し、ピットの有無を正確に読み取ることができ、第1の信号層の読み取りにも影響しない反射率となるように成膜される。このように基板21に半透明反射膜26が成膜されることで、基板21に第2の信号層が形成され、図4Gに示すディスク基板が構成される。
【0069】
半透明反射膜26が成膜された基板21は、次に、上述した第1の実施形態と同様にカバー層27が形成される。すなわち、まず第2の貼り合わせ工程に送られ、図5Aに示すようにカバー層27となる紫外線硬化型フィルムが貼り合わされる。次に、表面平滑化工程に送られ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムに平滑基板28が押圧され、図5Bに示すように貼り合わされる。次に、第2の紫外線硬化工程に送られ、図5Cに示すようにカバー層27となる紫外線硬化フィルムに紫外線が照射され、最表面が平滑化された状態で硬化される。次に、平滑基板剥離工程に送られ平滑基板28が剥離される。これにより、図5Dに示すディスク基板が構成される。
【0070】
そして、この平滑基板28を剥離後のディスク基板を図示しない切削装置等により成形することで、この第2の実施形態による光ディスクが作製される。
【0071】
以上説明したように、この第2の実施形態によれば、レーザ光を透過する光ディスクの中間層23の形成において、基板21に光透過性を有する紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムの最表面を、スタンパ25により押圧してから紫外線硬化していることにより、その最表面の平滑性が向上されるとともに、スタンパ25からピットを転写することができる。したがって、信号層形成面の平滑化と信号ピットの形成を同時に行うことができる。
【0072】
また、レーザ光を透過する光ディスクのカバー層27の形成において、信号層が形成された中間層23上に光透過性を有する紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムの最表面を、平滑基板28により押圧してから紫外線硬化していることにより、カバー層27の最表面の平滑性を向上することができる。
【0073】
これらにより、光ディスクの外観が良くなるとともに、ジッタ値が改善され良好な再生信号を得ることができる。
【0074】
この発明は、上述したこの発明の実施形態等に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述した第1および第2の実施形態では信号凹凸としてピットを有するROM、すなわち読み取り専用の光ディスクについて説明したが、これに限らず、紫外線硬化型フィルムで形成された光透過層を備える光ディスクならば、信号凹凸としてランド/グルーブを有する書き込み可能な光記録型ディスクなどであってもよい。書き込み可能な光ディスクに適用した場合には、信号記録光がカバー層や中間層を透過して反射面上の記録層に焦点を合わせる際、カバー層の最表面や中間層表面の粗さによる影響をほとんど受けないため、正確な情報の記録が可能となる。
【0075】
また例えば、上述した第1の実施形態では、紫外線の照射は、平滑基板4を押圧してから行い、第2の実施形態では、紫外線の照射は、平滑基板28、スタンパ25を押圧してから行っているが、これら平滑基板4、平滑基板28またはスタンパ25を押圧したままの状態で照射してもよい。
【0076】
また例えば、上述した第2の実施形態では、カバー層27を形成する際に、第1の実施形態におけるカバー層3の形成と同様の方法を用いているが、カバー層27の形成は、これに限らず他の方法を用いてもよい。
【0077】
また例えば、上述した第1の実施形態では単層構成の光ディスクのカバー層、第2の実施形態では2層構成の光ディスクのカバー層、中間層の平滑化を行っているが、これに限らず、3層以上の多層構成となる光ディスクのカバー層、中間層の平滑化について適用することも可能である。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、レーザ光を透過する光ディスクの光透過層の形成において、基板に光透過性を有する紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムの最表面を、平滑性を有する平滑基板またはスタンパにより押圧してから紫外線硬化して形成していることにより、光透過層の表面の平滑性を向上することができ、ジッタ値が改善され、記録/再生エラーを減少することができ、外観にも優れ、情報信号の記録/再生時に用いられる対物レンズの高NA化およびレーザ光の短波長化にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態による光ディスクの一例の製造工程における断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態による光ディスクの製造装置の一例の略線図である。
【図3】平均表面粗度Raとジッタ値Jtとの相関関係を表した一例のグラフである。
【図4】この発明の第2の実施形態による光ディスクの一例の製造工程(前半部)における断面図である。
【図5】この発明の第2の実施形態による光ディスクの一例の製造工程(後半部)における断面図である。
【符号の説明】
1,21・・・基板、2,22・・・反射膜、3,27・・・カバー層、4,28・・・平滑基板、11・・・基板成形機、12・・・搬送コンベア、13・・・成膜装置、14・・・貼り合わせ装置、15・・・平滑基板押圧/剥離装置、16・・・紫外線硬化装置、23・・・中間層、25・・・スタンパ、26・・・半透明反射膜、
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク、光ディスクの製造方法および製造装置に関し、特に、ディスク基板にフィルム状のシートを貼り合わせることで情報信号層の保護層または中間層が形成された光ディスク、光ディスクの製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンパクトディスク(CD)、ディジタルバーサタイルディスク(DVD)などの光ディスクの高記録密度化が求められている。そして、この高記録密度化の要求に対応するための方法として、レーザ波長を短くすることや、対物レンズの開口数(NA)を大きくすることなどが知られている。例えば、CDでは、レーザ波長780nm、開口数0.45を用いて670メガバイトの記録密度を実現していたが、DVDでは、レーザ波長630nm、開口数0.6を用いることで、CDの7倍に近い4.7ギガバイトの記録密度を実現した。
【0003】
現在では、さらにレーザ波長400nm近傍、開口数0.85程度まで高めた光ディスクの実用化のための研究・開発が進められている。このレーザ波長および開口数によれば、CD、DVDなどと同形状の直径120mmの外径において、単層で25ギガバイト程度、2層で50ギガバイト程度の記録容量を持つ光ディスクの実現が可能である。
【0004】
このように、レーザ光の短波長化、対物レンズの高NA化を進めていくと、光ディスクにおける基板の薄型化が必要とされる。これは、基板を透過してレーザ光により記録/再生を行う場合、光学ピックアップの光軸に対して基板面の垂直からずれる角度(チルト角)の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差や複屈折の影響を受け易いためである。したがって、基板を薄くすることによって、チルト角がなるべく小さくなるようにする。例えば、CDの基板の厚さは1.2mm程度とされているのに対し、DVDの基板の厚さは0.6mm程度とされている。上述したレーザ波長400nm近傍、開口数0.85程度を用いるには、基板の厚さは、0.1mm程度にしなければならない。しかしながら、厚さ0.1mm程度の基板上に情報信号部や保護層を形成することは、非常に難しい。
【0005】
そこで、基板の一主面に凹凸を形成して情報信号部とし、この情報信号部上に、反射膜と光を透過可能な薄膜からなる保護層とを順次積層し、保護層、すなわち光透過層側からレーザ光を照射することにより情報信号の記録および/または再生を行うように構成された光ディスクが提案されている。これにより、上述したようなレーザの短波長化、対物レンズの高NA化に対応可能な光ディスクを実現することができる。
【0006】
ところが、この保護層の薄膜化を行うと、光ディスクの製造に一般に用いられる、熱可塑性樹脂を用いた射出成形法による形成が困難になる。すなわち、従来の技術において、複屈折を小さく保ちつつ、良好な透明性が維持された、0.1mm程度の光透過層を形成することは、非常に困難である。また、そこで、現在この光透過層の材料、製造方法が検討されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、PC(ポリカーボネート)などの光透過性を備えた熱可塑性樹脂からなるフィルムを紫外線硬化樹脂により基板に貼り合わせ、紫外線硬化を行い、保護層を形成する方法や、光透過性を備えた紫外線硬化樹脂単体で保護層を形成する方法などが考えられる。ところがレーザ波長400nm近傍、開口数0.85程度の高密度光ディスクにおいては、光透過保護層の厚さは、先に述べたチルト許容量から0.1mm程度、厚み誤差は、入射光の球面収差誤差あるいはフォーカス誤差を抑えるために、例えば±2μm以内といった高い精度が要求される。したがって、このような方法でスピニング法などにより紫外線硬化樹脂を塗着し、保護層を形成した場合では、貼り合わせ面内に膜厚ムラが発生しやすいため要求される厚さを満たすことは難しい。
【0008】
そこで本発明者は、膜厚の均一性の確保とともに、工程の簡略化を実現が可能な、予め所望の膜厚精度を有する紫外線硬化型フィルムを用いて紫外線硬化を行い、光透過保護層を形成することを試みた。本発明者は、高密度光ディスクを想定し、まず直径120mm、厚さが1.1mmの主基板を作製した。この主基板には成形により、情報信号再生にレーザ波長405nm、開口数0.85を用いて読み出す信号ピットが形成されており、さらに、情報信号部であるその信号ピット上には所望の反射率を得るための銀(Ag)、アルミニウム(Al)などの金属膜の成膜が施されている。
【0009】
そして、この主基板の情報信号部上に光透過性を備えた紫外線硬化型フィルムを貼り合わせることで保護層を形成した。紫外線硬化型フィルムは、通常、表面をゴミの付着や傷が付くことを防ぐためのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンなどからなる第1および第2剥離フィルムに挟まれた構成で扱われる。したがって、保護層形成の際は、紫外線硬化型フィルムから第1剥離フィルムを剥離し、主基板の情報信号部上に貼り合わせ、最適な光量の紫外線を照射することで紫外線硬化を行い、その後、第2剥離フィルムの剥離を行った。
【0010】
このように保護層を形成した結果、剥離フィルムの表面の粗さが保護層の最表面に転写されてしまうことがわかった。よって、高い精度が要求される光透過層を形成する場合に、紫外線硬化型フィルムを用いると、紫外線硬化型フィルムは、膜厚精度には優れるものの、剥離フィルムに挟まれた構成で扱われるため、その剥離フィルムの表面の粗さが紫外線硬化型フィルムの表面に転写されてしまうという問題がある。
【0011】
それにより、この光透過層を有する光ディスクの外観が悪くなるという問題がある。また、情報信号の記録/再生を行うレーザ光が光透過層を透過して、主基板の反射膜面上の情報信号部に焦点を合わせる際に、この転写された表面の粗さの影響を受けて、入射光の収差を生じ、その結果、フォーカスエラーとなる可能性があり、読み取り可能な光ディスクにおける再生信号、特にジッタが悪化するといった問題や、書き込み可能な光ディスクへの正確な情報の記録が行われない可能性があるといった問題がある。
【0012】
したがって、この発明の目的は、シート状の紫外線硬化型フィルムを基板に貼り合わせることにより基板上に光透過層を形成する際に、光透過層表面の平滑性を向上することができ、それにより外観に優れ、記録/再生エラーを減少することができるとともに、情報信号の記録/再生時に用いられる対物レンズの高NA化およびレーザ光の短波長化に対応可能な光ディスク、光ディスクの製造方法および製造装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、
基板の主面上に情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部が設けられ、その情報信号部上に保護層が形成され、その保護層側から情報信号部に対してレーザ光を照射し、記録または再生を行う光ディスクにおいて、
保護層は、基板の情報信号部上に紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、その紫外線硬化型フィルムの最表面を平滑基板の押圧により平滑化してから紫外線硬化を行うことによって形成された
ことを特徴とする光ディスクである。
【0014】
請求項5の発明は、
基板の主面上に情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部が設けられ、その情報信号部上に中間層を介して他の情報信号部が設けられ、最外面に保護層が形成され、その保護層側から情報信号部および他の情報信号部に対してレーザ光を照射し、記録または再生を行う光ディスクにおいて、
情報信号部上に紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、平滑且つ信号情報部となる信号凹凸を有するスタンパを紫外線硬化型フィルムの最表面に押圧し、信号凹凸を転写してから紫外線硬化を行うことによって中間層が形成されている
ことを特徴とする光ディスクである。
【0015】
請求項9の発明は、
記録および/または再生のための信号層形成面を備えた基板を成形する基板成形工程と、基板の信号層形成面に反射膜を成膜する成膜工程と、反射膜上に保護層を貼り合わせる貼り合わせ工程とにより、信号層面に保護層側からレーザ光を入射し、データの記録または再生が可能に構成された光ディスクの製造方法において、
保護層は、紫外線硬化型フィルムから成り、
貼り合わせ工程後に、紫外線硬化型フィルムの最表面を平滑基板の押圧により平滑化する平滑化工程と、
平滑化工程後に、紫外線硬化型フィルムに紫外線を照射し、紫外線硬化を行う紫外線硬化工程と、
平滑基板を紫外線硬化型フィルムの最表面から剥離する平滑基板剥離工程とにより、保護層の最表面を平滑化する
ことを特徴とする光ディスクの製造方法である。
【0016】
請求項14の発明は、
記録および/または再生のための信号層形成面を備えた基板を成形する基板成形工程と、基板の信号層形成面に反射膜を成膜する第1の成膜工程と、反射膜上に形成された中間層上の他の信号層形成面に半透明反射膜を成膜する第2の成膜工程と、半透明反射膜上に保護層を貼り合わせる保護層貼り合わせ工程とにより、信号層面に保護層側からレーザ光を入射し、データの記録または再生が可能に構成された光ディスクの製造方法において、
紫外線硬化型フィルムを信号層に貼り合わせるフィルム貼り合わせ工程と、
貼り合わせ工程後に、平滑且つ信号情報部となる信号凹凸を有するスタンパを紫外線硬化型フィルムの最表面に押圧し、信号凹凸の転写を行う信号凹凸転写/表面平滑化工程と、
信号凹凸転写/平滑化工程後に、紫外線硬化型フィルムに紫外線を照射し、紫外線硬化を行う紫外線硬化工程と、
スタンパを紫外線硬化型フィルムの最表面から剥離するスタンパ剥離工程とにより中間層が形成された
ことを特徴とする光ディスクの製造方法である。
【0017】
この発明では、光ディスク作製において、信号層形成面に光透過性を有する紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムの最表面を、平滑基板またはスタンパにより押圧してから紫外線硬化して光透過層を形成していることにより、紫外線硬化型フィルムの表面の平滑性を向上することができ、ジッタ値が改善され、光ディスクの外観が良好となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、この発明の第1の実施形態による光ディスクについて説明する。この第1の実施形態による光ディスクは、読み取り専用の単層構成の光ディスクである。
【0019】
図1は、この第1の実施形態による光ディスクの一例の製造工程における断面図である。図1Aは、基板成形工程後の構成を示し、図1Bは、成膜工程後の構成を示し、図1Cは、貼り合わせ工程後の構成を示し、図1Dは、カバー層平滑化工程における構成を示し、図1Eは、紫外線硬化工程における構成を示し、図1Fは、平滑基板剥離工程後の構成を示す。
【0020】
図1に示すように、この第1の実施形態による光ディスクは、基板1の一主面上に、反射膜2、カバー層3が順次設けられて構成されている。基板1は、例えばPC(ポリカーボネート)系樹脂などのプラスチック材料からなる。なお、この第1の実施形態による光ディスクは、反射膜2に対して、カバー層3が設けられた側からレーザ光を照射することにより、情報信号の再生を行うように構成されている。そのため、基板1としては、光透過性を有するか否かを考慮する必要がないため、例えばアルミニウム(Al)などの金属からなる基板を用いることも可能である。
【0021】
また、基板1は、その中央部にセンターホール(図示せず)が形成された平面円環形状を有する。そして、基板1の内径(センターホールの径)は、例えば15mmであり、外径は、例えば120mmである。また、基板1の一主面上には、所定のレーザ波長および開口数、例えば、レーザ波長405nm、開口数0.85に対応した、微細な凹みから成る情報信号部、すなわち記録データのピットが形成されている。
【0022】
反射膜2は、光ディスクの反射層を形成するアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)などの金属膜から成る反射膜である。この反射膜2は、所望の反射率、すなわちカバー層3を透過して入射されるレーザ光を反射し、ピットの有無を正確に読み取ることができる反射率を備えるよう、基板1のピットが設けられた信号層形成面上に成膜されている。
【0023】
カバー層3は、情報信号部の保護層であり、基板1とほぼ同形状の光透過性を有する紫外線硬化型フィルムからなる。このカバー層3の光ディスクの最表面となる一主面は、後述する図1Dのカバー層平滑化工程および図1Eの紫外線硬化工程において、平滑基板4により平滑化されている。具体的には、カバー層3の一主面は、平均表面粗度Raが5nm以下の表面平滑性を備えている。平均表面粗度Raは、JIS−B0601規格に基づくものである。
【0024】
平滑基板4は、金属、半導体、ガラス、プラスチックのいずれかを材料とし、基板1とほぼ同形状で構成され、例えば平均表面粗度Raが1nm以下の平滑性を有する。この平滑基板4は、光ディスクの最表面となるカバー層3の上から押圧し平滑化するために用いられ、平滑後は、カバー層3から剥離されるものである。したがって、平滑基板4は、平滑化のため押圧されても、その表面平滑性がほとんど変化しない硬度、厚さを有する。
【0025】
紫外線を平滑基板4側からカバー層3へ向けて照射する場合には、平滑基板4が光透過性を備えるようにする。例えば、厚さが0.6mmの通常の青板ガラスを使用した場合、320〜390nmの光ならば90%程度透過するため、光透過性を備えた平滑基板4として用いることができる。この平滑基板4での平滑については、後述する。これにより、平滑化されたカバー層3の一主面は、平均表面粗度Raが5nm以下の表面平滑性とされている。
【0026】
以上のように構成された、この発明の第1の実施形態による光ディスクでは、レーザ光が透過する保護層を平滑度が向上された状態で0.1mm程度に薄く基板に形成することができる。したがって、例えば、基板1の厚さを1.1mm程度、カバー層3の厚さを0.1mm程度とし、厚さ1.2mmの光ディスクを形成することで、レーザ波長400nm近傍、開口数0.85程度の高密度単層光ディスクシステムにおいて、良好な情報信号の再生が可能となる。
【0027】
以下、この図1を参照しながら、この第1の実施形態による光ディスクの作製について説明する。図2は、この第1の実施形態による光ディスクの製造装置の一例の概略図である。図2に示す光ディスク製造装置は、単層光ディスク用の製造装置であり、基板成形機11、搬送コンベア12、成膜装置13、貼り合わせ装置14、平滑基板押圧/剥離装置15および紫外線硬化装置16により構成される。
【0028】
基板成形機11は、平面円環形状の基板1を成形する装置である。この基板1の成形は、例えば、ポリカーボネートなどの合成樹脂材料を射出成形法により成形することで行われる。このとき、情報信号となるピットの凹みも一主面に形成される。
【0029】
搬送コンベア12は、基板成形機11、成膜装置13、貼り合わせ装置14、平滑基板押圧/剥離装置15、紫外線硬化装置16、平滑基板押圧/剥離装置15の順に基板を搬送する装置である。したがって、この光ディスク製造装置において、基板成形機11で成形された基板1は、成膜装置13、貼り合わせ装置14、平滑基板押圧/剥離装置15、紫外線硬化装置16、平滑基板押圧/剥離装置15において順次処理される。
【0030】
成膜装置13は、基板成形機11から送られてくる基板1に反射膜2となる金属膜を成膜する装置である。この成膜装置13としては、例えば、マグネトロンスパッタ装置やイオンビームスパッタ装置などのスパッタ装置が用いられる。貼り合わせ装置14は、成膜装置13から送られてくる基板1の反射膜2の上にカバー層3となる紫外線硬化フィルムを貼り合わせる装置である。
【0031】
平滑基板押圧/剥離装置15は、貼り合わせ装置14から送られてくる基板1のカバー層3の上に平滑基板4を押圧する装置である。また、平滑基板押圧/剥離装置15は、紫外線硬化装置16から送られてくる基板1から平滑基板4を剥離する装置でもある。この平滑基板押圧/剥離装置15の平滑基板4において、平滑基板4を押圧する部分が真空となるような構成を備えさせれば、カバー層3と平滑基板4とを圧接した際に、気泡の混入を防ぐことができる。また、平滑基板4の温度調節が行えるような機構を備えさせれば、カバー層3の圧接面内を均一に平滑化することができる。
【0032】
紫外線硬化装置16は、平滑基板押圧/剥離装置15から送られてくる基板1に形成されたカバー層3に紫外線を照射することにより、紫外線硬化フィルムの硬化を行う装置である。
【0033】
以上のように構成された製造装置により、この第1の実施形態による光ディスクは、以下に説明するように基板成形工程、成膜工程、貼り合わせ工程、カバー層平滑化工程、紫外線硬化工程、平滑基板剥離工程を経て製造される。
【0034】
まず、基板成形工程では、図2に示す基板成形機11において、光ディスク作製用の基板1が、射出成形法などによりポリカーボネートなどの合成樹脂材料を、平面円環形状に成形することで作製される。このとき基板1の一主面上には、微細な凹みである情報信号となるピットがスタンパにより転写され形成される。これにより、図1Aに示す構成のディスク基板が作製される。
【0035】
作製された基板1は、次に成膜工程に送られる。まず搬送コンベア12により基板1は、基板成形機11から成膜装置13へ送られる。成膜装置13では、基板1の信号層形成面に、信号反射膜となる反射膜2が成膜される。これにより、読み取り用の信号情報部が基板1の一主面に形成される。具体的には、信号反射膜となる反射膜2の成膜には、マグネトロンスパッタ装置、イオンビームスパッタ装置などのスパッタ装置などのスパッタ装置が用いられ、このようなスパッタ装置によりスパッタリングが行われる。
【0036】
この成膜装置13による金属膜の成膜は、所定の条件を満足するように行われる。すなわち、カバー層3を透過して入射されるレーザ光を反射し、ピットの有無を正確に読み取ることができる反射率を備えるように成膜される。このように成膜装置13により基板1に反射膜2が成膜されることで、図1Bに示すディスク基板が構成される。
【0037】
成膜装置13で成膜が施された基板1は、次に貼り合わせ工程に送られる。まず搬送コンベア12により基板1は、成膜装置13から貼り合わせ装置14へ送られる。貼り合わせ装置14では、カバー層3となる紫外線硬化型フィルムから第1剥離フィルムが剥離され、その剥離されたフィルム面を基板1の信号情報面に押圧することで紫外線硬化型フィルムが基板1に貼り付けられる。そして、最表面の第2剥離フィルムが剥離される。これにより、図1Cに示す構成のディスク基板が形成される。
【0038】
貼り合わせ装置14でカバー層3が貼り合わされた基板1は、次にカバー層平滑化工程に送られる。まず、搬送コンベア12により基板1は、貼り合わせ装置14から平滑基板押圧/剥離装置15へ送られる。平滑基板押圧/剥離装置15では、基板1に貼り合わされた未硬化状態の紫外線硬化型フィルムの最表面に平滑基板4が押圧される。この平滑基板4の押圧は、パッド加圧式、すなわちパッドを用いて平滑基板4を押圧したり、ローラ加圧式、すなわちローラを用いて平滑基板4を押圧したりすることなどにより行われる。これにより、図1Dに示す構成のディスク基板が形成される。なお、このとき平滑基板押圧装置が押圧空間を真空状態にする構造を有しているならば、真空状態とし、平滑基板4の温度調節機能を備えているならば、平滑基板4を適温、例えば常温よりも温度が上がるように調節する。
【0039】
平滑基板押圧/剥離装置15で平滑基板4が貼り合わされた基板1は、次に紫外線硬化工程に送られる。まず、搬送コンベア12により基板1は、平滑基板押圧/剥離装置15から紫外線硬化装置16へ送られる。紫外線硬化装置16では、紫外線硬化型フィルムに紫外線が照射され硬化される。紫外線が照射される方向は、基板1および平滑基板4の光透過性により異なる。平滑基板4が十分な紫外線透過性を備えていなければ、光透過性を備えた基板1側から紫外線を照射する。この場合、反射膜2を通過するため、光量が減少する。具体的には、銀反射膜を1層通過する毎に、3分の1程度減少する。しかしながら、時間、紫外線量の調整により硬化は可能である。また、平滑基板4が十分な紫外線透過性を備えているならば、平滑基板4側からのみ、または図1Eに示すように平滑基板4側と基板1側との両側から紫外線を照射する。これら紫外線の照射により、紫外線硬化型フィルムの最表面は、平滑化された状態で硬化される。
【0040】
紫外線硬化装置16により紫外線硬化処理が施された基板1は、次に平滑基板剥離工程に送られる。まず紫外線硬化装置16で紫外線硬化処理が施された基板1は、平滑基板押圧/剥離装置15に戻される。平滑基板押圧/剥離装置15では、平滑基板4の剥離が行われる。これにより、カバー層3から平滑基板4が剥がされ、図1Fに示す構成のディスク基板が形成される。
【0041】
そして、この平滑基板4を剥離後の基板を図示しない切削装置等により成形することで、この第1の実施形態による光ディスクが作製される。
【0042】
本発明者は、紫外線硬化型フィルムを用いて、0.1mmの厚さの光透過層であるカバー層が形成された、レーザ波長405nm、開口数0.85を用いる読み取り専用高密度光ディスクにおいて、表面粗さ測定機により、この第1の実施形態における平滑化を施した場合と、従来の平滑化を施していない場合との、それぞれの平均表面粗度Raおよびジッタ値Jtを計測し、検証を行った。
【0043】
粗度測定装置には、テンコール・インスツルメンツ社製、Alpha Step 500を用いた。また測定の条件は、スキャン長を1000μm、スキャンスピードを50μm、サンプリングレートを50Hz、針の曲率半径を5μmとした。また、測定したカバー層の材料として、3種類の紫外線硬化型フィルム(A〜C)と、紫外線硬化型フィルムではない十分に平滑な材料を用いた。
【0044】
【表1】
【0045】
表1は、測定機による平均表面粗度Raおよびジッタ値Jtの測定結果を示す表である。表1に示すサンプル番号1は、平滑化処理を施していない紫外線硬化型フィルムAである。このサンプル番号1の測定結果は、平均表面粗度Raが37nmであり、ジッタJtが測定不能であった。サンプル番号2−(1)および2−(2)は、平滑化処理を施していない紫外線硬化型フィルムBである。このサンプル番号2−(1)の測定結果は、平均表面粗度Raが12nmであり、ジッタJtが11.3%であった。サンプル番号2−(2)の測定結果は、平均表面粗度Raが11nmであり、ジッタJtが11.5%であった。
【0046】
サンプル番号3は、平滑化処理を施した紫外線硬化型フィルムBである。このサンプル番号3の測定結果は、平均表面粗度Raが1nmであり、ジッタJtが9.6%であった。サンプル番号4は、平滑化処理を施した紫外線硬化型フィルムCである。このサンプル番号4の測定結果は、平均表面粗度Raが1nmであり、ジッタJtが8.7%であった。サンプル番号5は、紫外線硬化型フィルムではない十分に平滑な材料によるものである。このサンプル番号5の測定結果は、平均表面粗度Raが1nmであり、ジッタJtが8.6%であった。
【0047】
これら測定結果から、紫外線硬化型フィルムを光ディスクのカバー層として用いる場合には、この第1の実施形態により最表面を平滑化することで、その平均表面粗度Raが改善されるとともに、ジッタ値Jtも改善されることがわかる。
【0048】
図3は、この測定結果から平均表面粗度Raとジッタ値Jtとの相関関係を表した一例のグラフである。図3に示すグラフから、良好な再生信号を得るために、ジッタ値Jtを10%以内とするには、平均表面粗度Raは、約5nm以下に制御する必要があることがわかる。また、平均表面粗度Raの値は、小さければ小さいほどジッタ値Jtは低くなり、良好な再生信号が得られることがわかる。これらのことから、この第1の実施形態によりカバー層3の最表面の平滑化を行うことで、良好な再生信号を得られることがわかる。
【0049】
以上説明したように、この第1の実施形態によれば、レーザ光を透過する光ディスクのカバー層3の形成において、基板1に光透過性を有する紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムの最表面を、平滑基板4により押圧してから紫外線硬化していることにより、カバー層3の最表面の平滑性を向上することができる。
【0050】
これにより、光ディスクの外観が良くなるとともに、ジッタ値が改善され良好な再生信号を得ることができる。具体的には、レーザ波長400近傍、開口数0.85程度を用いる高密度光ディスクでは、平滑化するカバー層3の平均表面粗度Raを約5nm以下とすることで、ジッタ値Jtを10%以下に制御することができる。
【0051】
次に、この発明の第2の実施形態による光ディスクについて説明する。この第2の実施形態による光ディスクは、読み取り専用の2層構成の光ディスクである。
【0052】
図4および図5は、この第2の実施形態による光ディスクの一例の製造工程における断面図である。なお、図面の大きさ上、図4と図5に分けて示しているが、これら2つの図面は、本来ひとつのものである。すなわち、図4の工程処理後に、図5の工程が行われる。
【0053】
図4Aは、基板成形工程後の構成を示し、図4Bは、第1の成膜工程後の構成を示し、図4Cは、第1の貼り合わせ工程後の構成を示し、図4Dは、信号凹凸転写および表面平滑化工程における構成を示し、図4Eは、第1の紫外線硬化工程における構成を示し、図4Fは、スタンパ剥離工程における構成を示し、図4Gは、第2の成膜工程後の構成を示す。また、図5Aは、第2の貼り合わせ工程後の構成を示し、図5Bは、表面平滑化工程における構成を示し、図5Cは、第2の紫外線硬化工程における構成を示し、図5Dは、平滑基板剥離工程後の構成を示す。
【0054】
図4および図5に示すように、この第2の実施形態による光ディスクは、基板21の一主面上に、反射膜22、中間層23、半透明反射膜26、カバー層27が順次設けられて構成されている。
【0055】
図4および図5中の基板21、反射膜22、平滑基板28については、上述した第1の実施形態における基板1、反射膜2、平滑基板4とそれぞれ同様の構成であるので、ここでの説明は省略する。なお、基板21上に形成される信号層を第1の信号層とし、中間層23上に形成される信号層を第2の信号層とする。
【0056】
中間層23は、光透過性を有する紫外線硬化型フィルムからなり、反射膜22上に貼り合わされ、その貼り合わせ面と反対の面は、後述する図4Dの信号凹凸転写および表面平滑化工程および図4Eの第2の紫外線硬化工程において、スタンパ25により凹凸の転写および平滑化がなされている。具体的には、中間層23の一主面は、平均表面粗度Raが5nm以下の表面平滑性を備え、その一主面上に信号ピットが形成されている。
【0057】
スタンパ25は、金属、半導体、ガラス、プラスチックのいずれかを材料とし、例えば平均表面粗度Raが1nm以下の平滑性を備える。その平滑性を備えた一主面上には、所定のレーザ波長および開口数、例えば、レーザ波長405nm、開口数0.85に対応した、微細な凸から成る記録データが形成されている。このスタンパ25は、光ディスクの中間層23となる紫外線硬化型フィルムの上から押圧し平滑化するとともに、微細な凸の転写により信号ピットを形成するために用いられ、処理後は、中間層23から剥離されるものである。したがって、スタンパ25は、平滑化のため押圧されても、その表面平滑性および微細な凸がほとんど変化しない硬度、厚さを有する。
【0058】
半透明反射膜26は、光ディスクの反射層を形成するシリコン(Si)などの半透明膜から成る反射膜である。この反射膜26は、所望の反射率、すなわちカバー層27を透過して入射されるレーザ光を反射し、ピットの有無を正確に読み取ることができる反射率を備えるよう、中間層23のスタンパ25により信号ピットが設けられた第2の信号層面上に成膜されている。
【0059】
カバー層27は、第2の信号層の保護層であり、基板21とほぼ同形状の光透過性を有する紫外線硬化型フィルムからなる。このカバー層27の光ディスクの最表面となる一主面は、図5Bの表面平滑化工程および図5Cの第2の紫外線硬化工程において、平滑基板28により平滑化されている。具体的には、カバー層27の一主面は、平均表面粗度Raが5nm以下の表面平滑性を備えている。
【0060】
以上のように構成された、この発明の第2の実施形態による光ディスクでは、レーザ光が透過するカバー層27を平滑度が向上された状態で0.1mm程度に薄く形成することができる。また、レーザ光が透過する中間層23上のピットを信号層の平滑度の向上とともに形成することができる。したがって、例えば、基板21の厚さを1.1mm程度、カバー層28の厚さを90μm程度、中間層23の厚さを20μm程度とし、厚さ1.2mmの2層構成の光ディスクを形成することで、レーザ波長400nm近傍、開口数0.85程度の高密度2層光ディスクシステムにおいて、良好な情報信号の再生が可能となる。
【0061】
以下、図4および図5を参照しながら、この第2の実施形態による光ディスクの作製について説明する。なお、基板成形工程、第1の成膜工程、第2の貼り合わせ工程、表面平滑化工程、第2の紫外線硬化工程、平滑基板剥離工程については、上述した第1の実施形態での基板成形工程、成膜工程、貼り合わせ工程、カバー層平滑化工程、紫外線硬化工程、平滑基板剥離工程とそれぞれ同様な処理であるため、ここでは説明を省略する。
【0062】
すなわち、まず基板成形工程において、図4Aに示す光ディスク作製用の基板21が基板成形機により作製される。作製された基板21は、次に成膜工程に送られ信号反射膜となる反射膜22が成膜される。この反射膜22は、所定の条件を満足するように行われる。すなわち、カバー層27、半透明反射膜26および中間層23を透過して入射されるレーザ光を反射し、ピットの有無を正確に読み取ることができる反射率を備えるように成膜される。これにより、第1の信号層が形成され、図4Bに示すディスク基板が構成される。
【0063】
成膜が施された基板21は、次に貼り合わせ工程に送られ、中間層23となる紫外線硬化型フィルムが基板21に貼り付けられる。これにより、図4Cに示す構成のディスク基板が形成される。紫外線硬化型フィルムが貼り合わされた基板21は、次に信号凹凸転写および表面平滑化工程に送られる。
【0064】
信号凹凸転写および表面平滑化工程では、基板21に貼り合わされた未硬化状態の紫外線硬化型フィルムの最表面にスタンパ25が押圧される。スタンパ25の押圧は、パッド加圧式、すなわちパッドを用いてスタンパ25を押圧したり、ローラ加圧式、すなわちローラを用いてスタンパ25を押圧したりすることなどにより行われる。これにより、図4Dに示す構成のディスク基板が形成される。なお、このとき押圧装置が押圧空間を真空状態にする構造を有しているならば、真空状態とし、スタンパ25の温度調節機能を備えているならば、スタンパ25を適温、例えば常温よりも温度が上がるように調節する。
【0065】
スタンパ25が貼り合わされた基板21は、次に第1の紫外線硬化工程に送られる。第1の紫外線硬化工程では、紫外線硬化装置により中間層23となる紫外線硬化型フィルムに、図4Eに示すように紫外線が照射され硬化される。紫外線を照射する方向については、上述した第1の実施形態での紫外線硬化工程において説明したのでここでは省略する。この紫外線の照射により、中間層23となる紫外線硬化型フィルムの最表面は、スタンパ25により平滑化され、さらにその平滑面にピットが転写された状態で硬化される。
【0066】
紫外線硬化処理が施された基板21は、次にスタンパ剥離工程に送られ、剥離装置によりスタンパ25の剥離が行われる。これにより、中間層23からスタンパ25が剥がされ、図4Fに示す構成のディスク基板が形成される。
【0067】
スタンパ25を剥離後の基板21は、次に第2の成膜工程に送られる。第2の成膜工程では、中間層23のスタンパ25により形成された信号層形成面に、信号反射膜となる半透明反射膜26が成膜される。これにより、読み取り用の信号情報部が中間層23の一主面に形成される。具体的には、信号反射膜となる半透明膜26の成膜には、マグネトロンスパッタ装置、イオンビームスパッタ装置などのスパッタ装置などのスパッタ装置が用いられ、このようなスパッタ装置によりスパッタリングが行われる。
【0068】
この半透明反射膜26の成膜は、所定の条件を満足するように行われる。すなわち、カバー層27を透過して入射されるレーザ光を反射し、ピットの有無を正確に読み取ることができ、第1の信号層の読み取りにも影響しない反射率となるように成膜される。このように基板21に半透明反射膜26が成膜されることで、基板21に第2の信号層が形成され、図4Gに示すディスク基板が構成される。
【0069】
半透明反射膜26が成膜された基板21は、次に、上述した第1の実施形態と同様にカバー層27が形成される。すなわち、まず第2の貼り合わせ工程に送られ、図5Aに示すようにカバー層27となる紫外線硬化型フィルムが貼り合わされる。次に、表面平滑化工程に送られ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムに平滑基板28が押圧され、図5Bに示すように貼り合わされる。次に、第2の紫外線硬化工程に送られ、図5Cに示すようにカバー層27となる紫外線硬化フィルムに紫外線が照射され、最表面が平滑化された状態で硬化される。次に、平滑基板剥離工程に送られ平滑基板28が剥離される。これにより、図5Dに示すディスク基板が構成される。
【0070】
そして、この平滑基板28を剥離後のディスク基板を図示しない切削装置等により成形することで、この第2の実施形態による光ディスクが作製される。
【0071】
以上説明したように、この第2の実施形態によれば、レーザ光を透過する光ディスクの中間層23の形成において、基板21に光透過性を有する紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムの最表面を、スタンパ25により押圧してから紫外線硬化していることにより、その最表面の平滑性が向上されるとともに、スタンパ25からピットを転写することができる。したがって、信号層形成面の平滑化と信号ピットの形成を同時に行うことができる。
【0072】
また、レーザ光を透過する光ディスクのカバー層27の形成において、信号層が形成された中間層23上に光透過性を有する紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムの最表面を、平滑基板28により押圧してから紫外線硬化していることにより、カバー層27の最表面の平滑性を向上することができる。
【0073】
これらにより、光ディスクの外観が良くなるとともに、ジッタ値が改善され良好な再生信号を得ることができる。
【0074】
この発明は、上述したこの発明の実施形態等に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述した第1および第2の実施形態では信号凹凸としてピットを有するROM、すなわち読み取り専用の光ディスクについて説明したが、これに限らず、紫外線硬化型フィルムで形成された光透過層を備える光ディスクならば、信号凹凸としてランド/グルーブを有する書き込み可能な光記録型ディスクなどであってもよい。書き込み可能な光ディスクに適用した場合には、信号記録光がカバー層や中間層を透過して反射面上の記録層に焦点を合わせる際、カバー層の最表面や中間層表面の粗さによる影響をほとんど受けないため、正確な情報の記録が可能となる。
【0075】
また例えば、上述した第1の実施形態では、紫外線の照射は、平滑基板4を押圧してから行い、第2の実施形態では、紫外線の照射は、平滑基板28、スタンパ25を押圧してから行っているが、これら平滑基板4、平滑基板28またはスタンパ25を押圧したままの状態で照射してもよい。
【0076】
また例えば、上述した第2の実施形態では、カバー層27を形成する際に、第1の実施形態におけるカバー層3の形成と同様の方法を用いているが、カバー層27の形成は、これに限らず他の方法を用いてもよい。
【0077】
また例えば、上述した第1の実施形態では単層構成の光ディスクのカバー層、第2の実施形態では2層構成の光ディスクのカバー層、中間層の平滑化を行っているが、これに限らず、3層以上の多層構成となる光ディスクのカバー層、中間層の平滑化について適用することも可能である。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、レーザ光を透過する光ディスクの光透過層の形成において、基板に光透過性を有する紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、貼り合わされた紫外線硬化型フィルムの最表面を、平滑性を有する平滑基板またはスタンパにより押圧してから紫外線硬化して形成していることにより、光透過層の表面の平滑性を向上することができ、ジッタ値が改善され、記録/再生エラーを減少することができ、外観にも優れ、情報信号の記録/再生時に用いられる対物レンズの高NA化およびレーザ光の短波長化にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態による光ディスクの一例の製造工程における断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態による光ディスクの製造装置の一例の略線図である。
【図3】平均表面粗度Raとジッタ値Jtとの相関関係を表した一例のグラフである。
【図4】この発明の第2の実施形態による光ディスクの一例の製造工程(前半部)における断面図である。
【図5】この発明の第2の実施形態による光ディスクの一例の製造工程(後半部)における断面図である。
【符号の説明】
1,21・・・基板、2,22・・・反射膜、3,27・・・カバー層、4,28・・・平滑基板、11・・・基板成形機、12・・・搬送コンベア、13・・・成膜装置、14・・・貼り合わせ装置、15・・・平滑基板押圧/剥離装置、16・・・紫外線硬化装置、23・・・中間層、25・・・スタンパ、26・・・半透明反射膜、
Claims (20)
- 基板の主面上に情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部が設けられ、その情報信号部上に保護層が形成され、その保護層側から上記情報信号部に対してレーザ光を照射し、記録または再生を行う光ディスクにおいて、
上記保護層は、上記基板の情報信号部上に紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、その紫外線硬化型フィルムの最表面を平滑基板の押圧により平滑化してから紫外線硬化を行うことによって形成された
ことを特徴とする光ディスク。 - 上記平滑基板は、金属、半導体、ガラス、プラスチックのいずれかから成ることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。
- 上記紫外線の照射は、平滑基板を押圧してからまたは押圧した状態で行われたことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。
- 上記平滑基板の押圧は、真空状態で行われたことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。
- 基板の主面上に情報信号を記録可能および/または再生可能に構成された情報信号部が設けられ、その情報信号部上に中間層を介して他の情報信号部が設けられ、最外面に保護層が形成され、その保護層側から上記情報信号部および上記他の情報信号部に対してレーザ光を照射し、記録または再生を行う光ディスクにおいて、
情報信号部上に紫外線硬化型フィルムを貼り合わせ、平滑且つ信号情報部となる信号凹凸を有するスタンパを紫外線硬化型フィルムの最表面に押圧し、上記信号凹凸を転写してから紫外線硬化を行うことによって上記中間層が形成されている
ことを特徴とする光ディスク。 - 上記スタンパは、金属、半導体、ガラス、プラスチックのいずれかから成ることを特徴とする請求項5に記載の光ディスク。
- 上記紫外線の照射は、スタンパを押圧してからまたは押圧した状態で行われたことを特徴とする請求項5に記載の光ディスク。
- 上記スタンパの押圧は、真空状態で行われたことを特徴とする請求項5に記載の光ディスク。
- 記録および/または再生のための信号層形成面を備えた基板を成形する基板成形工程と、上記基板の信号層形成面に反射膜を成膜する成膜工程と、上記反射膜上に保護層を貼り合わせる貼り合わせ工程とにより、信号層面に上記保護層側からレーザ光を入射し、データの記録または再生が可能に構成された光ディスクの製造方法において、
上記保護層は、紫外線硬化型フィルムから成り、
上記貼り合わせ工程後に、上記紫外線硬化型フィルムの最表面を平滑基板の押圧により平滑化する平滑化工程と、
上記平滑化工程後に、上記紫外線硬化型フィルムに紫外線を照射し、紫外線硬化を行う紫外線硬化工程と、
上記平滑基板を上記紫外線硬化型フィルムの最表面から剥離する平滑基板剥離工程とにより、上記保護層の最表面を平滑化する
ことを特徴とする光ディスクの製造方法。 - 上記平滑基板は、金属、半導体、ガラス、プラスチックのいずれかから成ることを特徴とする請求項9に記載の光ディスクの製造方法。
- 上記紫外線硬化工程は、平滑基板を押圧してからまたは押圧した状態で行うことを特徴とする請求項9に記載の光ディスクの製造方法。
- 上記平滑基板の押圧は、真空状態で行うことを特徴とする請求項9に記載の光ディスクの製造方法。
- 上記平滑基板の押圧は、パットまたはローラによることを特徴とする請求項9に記載の光ディスクの製造方法。
- 記録および/または再生のための信号層形成面を備えた基板を成形する基板成形工程と、上記基板の信号層形成面に反射膜を成膜する第1の成膜工程と、上記反射膜上に形成された中間層上の他の信号層形成面に半透明反射膜を成膜する第2の成膜工程と、上記半透明反射膜上に保護層を貼り合わせる保護層貼り合わせ工程とにより、信号層面に上記保護層側からレーザ光を入射し、データの記録または再生が可能に構成された光ディスクの製造方法において、
紫外線硬化型フィルムを信号層に貼り合わせるフィルム貼り合わせ工程と、
上記貼り合わせ工程後に、平滑且つ信号情報部となる信号凹凸を有するスタンパを上記紫外線硬化型フィルムの最表面に押圧し、上記信号凹凸の転写を行う信号凹凸転写/表面平滑化工程と、
上記信号凹凸転写/平滑化工程後に、上記紫外線硬化型フィルムに紫外線を照射し、紫外線硬化を行う紫外線硬化工程と、
上記スタンパを上記紫外線硬化型フィルムの最表面から剥離するスタンパ剥離工程とにより上記中間層が形成された
ことを特徴とする光ディスクの製造方法。 - 上記スタンパは、金属、半導体、ガラス、プラスチックのいずれかから成ることを特徴とする請求項14に記載の光ディスクの製造方法。
- 上記紫外線硬化工程は、スタンパを押圧してからまたは押圧した状態で行うことを特徴とする請求項14に記載の光ディスクの製造方法。
- 上記スタンパの押圧は、真空状態で行うことを特徴とする請求項14に記載の光ディスクの製造方法。
- 上記平滑基板の押圧は、パットまたはローラによることを特徴とする請求項14に記載の光ディスクの製造方法。
- 記録および/または再生のための信号層形成面を備えた基板を成形する基板成形機と、上記基板の信号層形成面に反射膜を成膜する成膜装置と、上記反射膜上に保護層を貼り合わせる貼り合わせ装置とにより、上記信号層形成面に上記保護層側からレーザ光を入射し、データの記録または再生が可能に構成された光ディスクの製造装置において、
上記貼り合わせ装置で貼り合わされる保護層は、紫外線硬化型フィルムから成り、
上記紫外線硬化型フィルムの最表面を平滑基板で押圧する平滑基板押圧装置と、
上記紫外線硬化型フィルムに紫外線を照射し、紫外線硬化を行う紫外線硬化装置と、
上記平滑基板を上記紫外線硬化型フィルムの最表面から剥離する平滑基板剥離装置と、
上記基板成形機で成形された基板を上記成膜装置、貼り合わせ装置、平滑基板押圧装置、紫外線硬化装置、平滑基板剥離装置の順に搬送する搬送手段とを有する
ことを特徴とする光ディスクの製造装置。 - 記録および/または再生のための信号層形成面を備えた基板を成形する基板成形機と、上記基板の信号層形成面に反射膜を成膜する第1の成膜装置と、上記反射膜上に形成された中間層上の他の信号層形成面に半透明反射膜を成膜する第2の成膜装置と、上記半透明反射膜上に保護層を貼り合わせる保護層貼り合わせ装置とにより、信号層面に上記保護層側からレーザ光を入射し、データの記録または再生が可能に構成された光ディスクの製造装置において、
上記中間層を形成する、
紫外線硬化型フィルムを信号層に貼り合わせるフィルム貼り合わせ装置と、
平滑且つ信号情報部となる信号凹凸を有するスタンパを上記紫外線硬化型フィルムの最表面に押圧し、上記信号凹凸の転写を行う信号凹凸転写/表面平滑化装置と、
上記紫外線硬化型フィルムに紫外線を照射し、紫外線硬化を行う紫外線硬化装置と、
上記スタンパを上記紫外線硬化型フィルムの最表面から剥離するスタンパ剥離装置とを備える
ことを特徴とする光ディスクの製造装置。
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JP2002179529A JP2004022143A (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | 光ディスク、光ディスクの製造方法および製造装置 |
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JP2008276824A (ja) * | 2007-04-26 | 2008-11-13 | Shibaura Mechatronics Corp | 樹脂層形成方法及び樹脂層形成装置 |
JP2011070722A (ja) * | 2009-09-25 | 2011-04-07 | Ricoh Co Ltd | フレキシブル光ディスクの製造方法 |
-
2002
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JP4549766B2 (ja) * | 2004-07-23 | 2010-09-22 | 株式会社リコー | フレキシブル光ディスク及びその製造方法 |
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