JP3984500B2 - 透湿防水性シートの製造方法及びその透湿防水性シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透湿防水性シートの製造方法及びその透湿防水性シートに関し、更に詳しくは、透湿性の無孔質フィルムに空気の封入による凹みや孔が形成されることのない透湿防水性シートの製造方法及びその透湿防水性シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、家屋への雨水等の浸入を防ぎ(防水性)、かつ屋内の湿気を排出する(透湿性)ものとして、透湿防水性シートが用いられている。
この透湿防水性シートは、通常、布帛や樹脂シート等の通気性基材に透湿性樹脂フィルムを積層(ラミネート)することにより、透湿性及び防水性が付与される。
【0003】
透湿防水性シートとしては、従来より、通気性基材にポリエチレンやポリプロピレンのポリオレフィン系の微多孔質フィルムを積層した微多孔質シートが知られている。
このような微多孔質シートは、透湿性及び防水性が良好で結露を生じないため、壁外装材や屋根下地材等の建材などに多く使用されている。
【0004】
しかし、微多孔質フィルムからなる透湿防水性シートは、フィルムに形成された孔(微孔)にごみや汚れなどが詰まって塞がってしまい、必ずしも良好な透湿性等が維持できず、性能が低下し易いといった欠点を有している。
こうした欠点は、微多孔質フィルムの代わりに無孔質フィルムを用いることにより解消される。
【0005】
無孔質フィルムは、一般に、微多孔質フィルムと比べて透湿性が低く、それを用いた透湿防水性シートは必ずしも透湿性等の点で良好なものとは言い難いものであった。
しかし、近年、無孔質でありながら透湿度をより高めた樹脂の開発が進んでおり(特開平9−187897号公報等参照)、上記の透湿防水性シートにも使用可能な性能を有するものが開発されている。
【0006】
また、微多孔質フィルムの場合には、フィルムの製造後、開孔処理等を施し、そのフィルムを布帛等に接着するなどの手間の掛かる工程が必要であった。
しかし、無孔質フィルムを採用すれば、フィルムの材料となる樹脂を軟化状態のまま直接布帛等に載せて圧着して布帛等をラミネートすることが可能になる。
そのため、製造工程を簡略化でき、それに伴う製造コストの軽減も十分期待できることから、この方法の開発が進められている。
【0007】
しかし、実際に、軟化状態の樹脂を冷却ロールで布帛等の通気性基材に圧着付与させると、製造された透湿防水性シートは、シートの各部分で透湿性及び防水性(耐水圧)がばらつき、必ずしも均質なシートにはならない。
こうした透湿防水性シートを電子顕微鏡で観察すると、無孔質フィルムの表面に凹みができており、極端には、凹みが基材である布帛にまで達している(即ち孔が開いている)状態が確認された。
【0008】
つまり、無孔質フィルムに形成された凹みや孔の部分で、水分や湿気が通過し易くなるため、その凹みや孔の部分での透湿性が極端に高くなり、また防水性が極端に悪くなるのである。
このように、従来の製造方法では、製造された透湿防水性シートは、透湿性及び防水性のばらつきが大き過ぎ、現在のところ、商品化に耐え得る品質が十分確保できる段階には至っていない。
【0009】
無孔質フィルムに凹みや孔が形成されるのは、圧着の際、軟化状態の樹脂と冷却ロールとの間に空気が入り込み、圧着によりその空気が樹脂に強く押し付けられるためと考えられている。
図3は、圧着の際に無孔質フィルムに凹みや孔が形成される状態を説明する概略図である(図では樹脂1や通気性基材2を強調して分厚く表現している)。
【0010】
樹脂1と通気性基材2とは、樹脂1と冷却ロール3との間に空気aが封入された状態で、冷却ロール3とプレスロール4とにより挟み付けられて圧着される。
そして、圧着によって軟化状態の樹脂1に対して空気が圧力を加えるため、その部分の樹脂1が押し下げられ且つ押し広げられて、樹脂1(又は冷却固化した後の無孔質フィルム6)の厚みが薄くなり、凹みbが形成される。
【0011】
また、封入された空気の量が多い場合などには、空気が樹脂1を更に強く下方に押し下げ通気性基材2の方に抜け出るため、孔c(即ち通し孔)が開いてしまう現象が生じる。
このように凹みbや孔cが形成された透湿防水性シート5では、その凹みbや孔cの部分で透湿性が非常に高くなり、或いは防水性が極端に悪くなるのである。
この点は、図3により容易に理解されよう。
【0012】
従って、透湿防水性シートの製造方法においては、樹脂と通気性基材とを圧着してラミネートする際に、樹脂(又は無孔質フィルム)の表面に空気の封入による凹みや孔が形成されないことが条件として求められる。
【0013】
また、透湿防水性シートの透湿性は、無孔質フィルムが薄膜化するほど向上させることができる。
しかし、逆に、無孔質フィルムを薄膜化するほど封入された空気によりフィルムに孔が開き易くなる。
【0014】
更には、こうした透湿防水性シートに外力が加わった場合等には、その孔の部分から無孔質フィルムが裂けて、フィルムが破れ易くなるという傾向がより顕著になる。
従って、無孔質フィルムが数十μmオーダーの薄さになっても孔が開いたり破れたりしない製造方法であることが望まれる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実状を背景に、上記の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、無孔質フィルムに凹みや孔が形成されることがなく、シートの各部分で透湿性や防水性にばらつきの生じない均質な透湿防水性シートの製造方法及びその透湿防水性シートを提供することである。
【0016】
また、無孔質フィルムが薄膜化しても孔が開いたり破れたりせず、十分に商品化に耐え得る品質を保証する透湿防水性シートの製造方法及びその透湿防水性シートを提供することである。
更に、樹脂の溶融や押し出し、通気性基材との圧着等をコンパクトにまとめて行うことができ、製造工程を簡略化し製造コストの軽減を可能にする透湿防水シートの製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して、鋭意研究を重ねた結果、押出ダイから押し出されたばかりの軟化状態にある樹脂を通気性基材に圧着することで接合強度を強くすることができ、しかも製造工程をコンパクトにすることができること、及び冷却ロールを意外にもエンボスロールにすることで冷却ロールと樹脂との間の空気が移動し易くなり空気の封入を防止できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0018】
即ち、本発明は、(1)、通気性基材の表面に透湿性樹脂がラミネートされた透湿防水性シートの製造方法であって、溶融した透湿性樹脂を押出ダイより薄膜状に押し出し、該薄膜状に押し出した透湿性樹脂と通気性基材とを空気を逃がすための微細な凹凸を有する冷却ロールとプレスロールとの間で圧着してラミネートすることにより、前記透湿性樹脂が前記圧着と同時に前記冷却ロールにより冷却固化されて透湿性の無孔質フィルムとなり、かつ該無孔質フィルムと冷却ロールとの間の空気の封入を防止した透湿防水性シートの製造方法に存する。
【0019】
そして、(2)、前記透湿性樹脂がポリエステル樹脂であり、前記通気性基材がポリエステル繊維からなる不織布である透湿防水性シートの製造方法に存する。
また、(3)、前記透湿性樹脂と前記通気性基材との接合が、全面で圧着されている透湿防水性シートの製造方法に存する。
【0020】
そしてまた、(4)、前記冷却ロールは、ブラスト加工により深さが5〜20μmの微細な凹凸を形成した透湿防水性シートの製造方法に存する。
【0021】
そしてまた、(5)、前記プレスロールは、その表面が可撓性を有する透湿防水性シートの製造方法に存する。
【0022】
そしてまた、(6)、通気性基材の表面に透湿性樹脂がラミネートされた透湿防水性シートであって、ラミネートされた透湿性樹脂が冷却固化されて透湿性の無孔質フィルムとなっており、該無孔質フィルムの表面に微細な凹凸が押圧付与されており、且つ前記透湿性樹脂が、ハードセグメントとソフトセグメントとからなるブロック共重合体ポリエステル樹脂である透湿防水性シートに存する。
【0023】
そしてまた、(7)、前記微細な凹凸は、ブラスト加工により微細な凹凸を形成された冷却ロールにより押圧付与されたものである透湿防水性シートに存する。
【0024】
そしてまた、(8)、前記透湿防水性シートは、透湿度が1000g/m2・24hr以上、且つ、耐水圧が5kPa以上である透湿防水性シートに存する。
【0026】
そしてまた、(9)、前記透湿性樹脂がポリエステル樹脂であり、前記通気性基材がポリエステル繊維からなる不織布である透湿防水性シートに存する。
また、(10)前記透湿性樹脂と前記通気性基材との接合が、全面で圧着されている透湿防水性シートに存する。
【0027】
本発明はこの目的に沿ったものであれば、上記1〜5の中から選ばれた2つ以上、および6〜10の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然採用可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】
図面に基づいて、本発明の透湿防水性シートの製造方法及びその透湿防水性シートの好適な実施の形態について述べる。
【0029】
本発明の透湿防水性シートの製造方法は、溶融した透湿性樹脂を薄膜状に押し出し、該薄膜状に押し出した透湿性樹脂と通気性基材とを冷却ロールとプレスロールとの間で圧着してラミネートするものである。
しかも、透湿性樹脂と冷却ロールとの間の空気の封入を防止したことを特徴とする。
【0030】
図1は、本発明の透湿防水性シートの製造方法を示す概略図である。
本実施の形態においては、図1に示すように、まず、溶融した透湿性樹脂1は、押出機(Tダイ押出機等)の押出ダイ7より薄膜状に押し出される。
このように薄膜状に押し出された透湿性樹脂1は、その直後に、冷却ロール3とプレスロール4との間でシート状の通気性基材2に圧着される。
その際、透湿性樹脂1は、圧着と同時に冷却ロール3により冷却固化されて透湿性の無孔質フィルム6となり通気性基材2にラミネートされる。
【0031】
このように、本発明によれば、押出ダイ直下の軟化状態の透湿性樹脂1を通気性基材2に直接圧着するため、透湿性樹脂1より形成される無孔質フィルム6の通気性基材2に対する接合強度が極めて強いものとなる。
その結果、無孔質フィルム6の通気性基材2からの剥離性を極力小さく抑えることが可能となり、透湿防水性シート自体の引裂強度は十分大きなものとなる。
【0032】
また、本発明の透湿防水性シートの製造方法によれば、透湿性樹脂の押し出し、該透湿性樹脂と通気性基材との圧着、及び冷却をコンパクトにまとめて行うことができる。
そのため、製造工程全体が簡略化され、製造コストの軽減が可能となる。
【0033】
本発明においては、冷却ロールとして表面に微細な凹凸が形成されたロール(即ちいわゆるエンボスロール)を用いることにより、透湿性樹脂と冷却ロールとの間に空気が封入されるのを防止することができる(図1参照)。
尚、従来の冷却ロールでは、先述したように、軟化状態の透湿性樹脂に対してフラットな冷却ロールが押圧されるため、透湿性樹脂と冷却ロールとの間に空気が封入され易かった(図3参照)。
【0034】
本発明のように冷却ロールの表面に微細な凹凸が形成されていると、透湿性樹脂と冷却ロールとの間の空気は、冷却ロールの表面の微細な凹部を通して両者の間隙から外部に逃げ、両者の間に封入されることはない。
図2は、透湿性樹脂と冷却ロールとの間の空気が外部に逃げる状態を概念的に説明する図である(尚、矢印fは空気の移動を示し、矢印mは冷却ロール3や樹脂1等の移動を示す)。
【0035】
このように、空気は、冷却ロール3の表面の微細な凹部3aを伝わって、矢印f方向や或いは図2の紙面に垂直な方向に移動し、最終的に外部に逃げることができるのである。
結果的に、透湿性樹脂(即ち無孔質フィルム)に凹みや孔が形成されるのを防止することできるのである。
【0036】
ここで、エンボスロール表面の微細な凹凸の深さ(高さ)としては、空気を逃がすことができるものであればよい。
即ち、無孔質フィルムの厚みにもよるが、5〜20μmの範囲に設定することが好ましい。
【0037】
深さが20μmより大きいと、無孔質フィルムに凹凸の深い跡が残る場合があり、透湿性や防水性に悪影響が出る恐れがある。
また、深さが5μmより小さいと、空気が移動し難く透湿性樹脂との間で空気の封入が生じ易くなる。
【0038】
エンボスの形状としては、空気を逃がすことができる限り自由であるが、凹凸部を円形にしたり、半円形や釣鐘形、多角形等の種々の形状に形成することができる。
また、ロールの長さ方向又は円周方向に筋状の凹凸を設けたり、梨地状、格子状等の凹凸を形成することも可能である。
具体的なエンボスの形成方法としては、例えば、冷却ロールに100〜200μmの鋼球をランダムに衝突させることにより比較的容易に梨地状の微細な凹凸を形成することができる加工方法(ブラスト加工)がある。
【0039】
ところで、本発明においては透湿性樹脂(即ち無孔質フィルム)と通気性基材との接合は、部分圧着ではなく、シートの全面で圧着されていることが好ましい。
部分的に圧着されているだけでは無孔質フィルムと通気性基材とが剥離し易く、透湿防水性シートとしての引裂強度も低下してしまう可能性がある。
【0040】
そのため、冷却ロールとして表面に微細な凹凸が形成されたエンボスロールを使用する場合、冷却ロールとともに圧着を行うプレスロールは、その表面が可撓性を有するものであることが好ましい。
例えば、プレスロール4がゴムロールであれば、図1に示したように、圧着の際、樹脂1及び通気性基材2を介して冷却ロール3の表面の微細な凹凸に合わせてプレスロール4の表面が適度に撓み、上記の全面圧着を的確に実現できる。
【0041】
以上のように、本発明の透湿防水性シートの製造方法は、透湿性樹脂が冷却固化して形成されたフィルムに凹みや孔が形成されることなく布帛等の通気性基材に透湿性樹脂をラミネートできる利点を有する。
そのため、製造された透湿防水性シートは、壁外装材や屋根下地材等の建材として好適なものとなる。
【0042】
もっとも、本発明は、その優れた特徴により透湿防水性シートの製造にのみ限定して採用されるものではない。
即ち、廃棄物処理場の遮水シート等の産業資材用途、テントの内張、レインウエア等のアウトドア用の衣類の内張など、布帛等に樹脂をラミネートして形成されるシートの製造工程にも、当然、有用である。
【0043】
次に、本発明の透湿防水性シートについて述べる。
本発明の透湿防水性シートは、上記製造方法により、表面に微細な凹凸を有する冷却ロールで圧着されて形成されるため、ラミネートされた透湿性樹脂(又は透湿性の無孔質フィルム)の表面に結果的に微細な凹凸が押圧付与されたものとなる。
また、透湿防水性シートが、ブラスト加工により微細な凹凸を形成された冷却ロールの圧着により形成されたものであれば、その透湿性樹脂の表面には冷却ロールの表面の微細な凹凸に対応した微細な凹凸が押圧付与される。
【0044】
さて、透湿防水性シートに用いられる無孔質フィルムは、先述したように、透湿性であることが要求される。
因みに、この透湿性の無孔質フィルムは、通常、その膜厚が10〜50μmであることが好ましい。
【0045】
透湿性の無孔質フィルムを形成する透湿性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
中でも、上記条件を満たし、しかもTダイ押出機等で扱い易いポリエステル樹脂が特に好ましく、ハードセグメントとソフトセグメントとからなるブロック共重合体ポリエステル樹脂であれば、より好ましい。
【0046】
ハードセグメントは、ジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させて得られる。
ジカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバジン酸等の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール等の芳香族ジオールなどが挙げられる。
【0047】
また、ソフトセグメントとしては、ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルが用いられる。
ポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられ、脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
【0048】
上記ハードセグメントとソフトセグメントとからなるブロック共重合ポリエステル樹脂は、公知のエステル交換反応等の方法で容易に製造することができる。
更に、必要に応じて、上記透湿性樹脂に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、顔料、安定剤、消泡剤、等を1種類又は2種類以上配合することも可能である。
【0049】
次に、本発明で使用される通気性基材としては、通気性が保たれていれば特に限定されず、紙、不織布、織物、編物等の形態が挙げられる。
中でも、耐久性や製造コスト等の点から、不織布が好ましい。
不織布の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等の繊維が挙げられる。
【0050】
不織布は、公知のフラッシュ紡糸法、メルトブロー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法やスパンレース法などによって製造できる。
また、フィルムと不織布とをともにポリエステル組成物で構成すれば、透湿防水性シートのリサイクルの際、分別の必要がなく、リサイクルコストも軽減できるため好ましい。
【0051】
以上のような透湿性樹脂(無孔質フィルム)と通気性基材とがラミネートされた透湿防水性シートとしての十分な機能を有するためには、透湿性を示す透湿度は1000g/m2・24hr以上で、防水性を示す耐水圧は5kPa(約500mmH2O)以上であることが好ましい。
そのため、透湿防水性シートを構成する透湿性の無孔質フィルムは、透湿度が少なくとも1000g/m2・24hr以上であり、耐水圧は10kPa(約1000mmH2O)以上であることが好ましい。
【0052】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は実施の形態及び後述する実施例にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で他の種々の変形例が可能であることは言うまでもない。
【0053】
例えば、先述したように、本発明は廃棄物処理場の遮水シート等の産業資材用途、テントの内張、レインウエア等のアウトドア用の衣類の内張などの製造工程にも採用可能である。
その際、遮水シート等に求められる性能を発揮させるために、通気性基材やラミネートする樹脂の材料や材質等は適宜選択され、またエンボスロールの凹凸の深さやエンボスの形状等も当然好適なものに変更可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、無孔質フィルムに凹みや孔が形成されることがなく、シートの各部分で透湿性や防水性にばらつきのない均質な透湿防水性シートを製造することができる。
また、無孔質フィルムが薄膜化しても孔が開いたり破れたりせず、十分に商品化に耐え得る品質を保証する透湿防水性シートを製造することが可能となる。
更に、製造工程をコンパクトにし、製造コストを軽減することが可能になる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を挙げて説明するが、本発明は、必ずしも実施例に限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例における透湿防水性シートの透湿性(透湿度)及び防水性(耐水圧)、及び透湿防水性シート中の無孔質フィルムの厚みは、以下の方法で測定した。
【0056】
(1)透湿防水性シートの各点での無孔質フィルムの厚み
電子顕微鏡にて透湿防水性シートの断面写真を撮り(200倍)、約0.5mm幅の平均厚みとして無孔質フィルムの厚みを測定した(単位はμm)。
【0057】
(2)透湿防水性シートの各点での透湿性
透湿防水性シートの透湿度をJIS L 1099 A−1法(塩化カルシウム法)にて測定した(単位はg/m2・24hr)。
測定箇所は、透湿防水性シートの右端付近、中央、左端付近でそれぞれ3点ずつランダムに選んだ。
【0058】
(3)各点での防水性
透湿防水性シートの耐水圧をJIS L 1092 6.1 B法(高水圧法)にて測定した(単位はkPa)。
測定箇所は、透湿防水性シートの右端付近、中央、左端付近でそれぞれ3点ずつランダムに選んだ。
尚、上記(1)〜(3)の測定箇所は、それぞれ独立に選ばれた。
【0059】
〔実施例1〕
通気性基材にはポリエステルスパンボンド不織布(ユニチカ株式会社製、目付け40g/m2)を用い、樹脂としては透湿性樹脂であるペルプレンP−20BU(東洋紡株式会社製、ブロック共重合ポリエステル樹脂)を用い、Tダイ押出機にて樹脂をTダイ温度240℃で溶融して押し出し、その直下で冷却ロールにて樹脂と不織布とを全面圧着してラミネートし、フィルム厚み20μm、全厚165μmの透湿防水性シートを得た。
この際、冷却ロールとして、100〜200μmの鋼球でランダムに凹凸をつけた梨地形状(最大深さ約20μm)を反転設計したエンボスロールを用いた。
プレスロールにはゴムロールを用いた。
得られた透湿防水性シートについて、上記測定方法にて測定を行った。
その結果を表1に示す。
【0060】
〔実施例2〕
冷却ロールとして、20〜30μmの鋼球でランダムに凹凸をつけた梨地形状(最大深さ約10μm)に設計したエンボスロールを用いた以外は、実施例1と同様に製造し、フィルム厚み20μm、全厚165μmの透湿防水性シートを得た。
得られた透湿防水性シートについて、上記測定方法にて測定を行った。
その結果を表1に示す。
【0061】
〔実施例3〕
冷却ロールとして、♯100メッシュ(最大深さ約10μm)のエンボスロールを用いた以外は、実施例1と同様に製造し、フィルム厚み20μm、全厚165μmの透湿防水性シートを得た。
得られた透湿防水性シートについて、上記測定方法にて測定を行った。
その結果を表1に示す。
【0062】
〔比較例〕(従来例)
冷却ロールとして、表面がフラットな通常のロールを用いた以外は、実施例1と同様に製造し、フィルム厚み20μm、全厚165μmの透湿防水性シートを得た。
得られた透湿防水性シートについて、上記測定方法にて測定を行った。
その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
また、表1の測定結果をもとに、実施例及び比較例における各測定値のばらつき(9個の測定値のうちの最大値から最小値を引いた値)を表2にまとめる。
【0065】
【表2】
【0066】
〔評価〕
実施例1〜3における各測定値のばらつきは、比較例(従来例)と比較して、一目瞭然に小さいことが分かる。
実際、実施例における測定値のばらつきの割合は、フィルム厚みにおいては20μmを基準として最大で15%(実施例1〜3)、透湿度では平均値を基準として最大で約11%(実施例3)、耐水圧では平均値を基準として最大で約8.8%(実施例1)である。
それに対し、比較例(従来例)における測定値のばらつきの割合は、同様に計算して、フィルム厚みで最大75%、透湿度で最大約24%、耐水圧で最大約76%であった。
【0067】
このように、本発明の透湿防水性シートの製造方法によれば、無孔質フィルムの厚みにおいてほぼ均一な、即ち無孔質フィルムに凹みや孔のない透湿防水性シートが得られることが分かる。
また、そのため、シートの各部分において、透湿度(透湿性)や耐水圧(防水性)にばらつきの少ない均質な透湿防水性シートが得られることが分かる。
【0068】
更に、表1に明確に示されているように、無孔質フィルムの厚みが20μm程度と薄い場合でも、無孔質フィルムの厚みをほぼ均一に製造することが可能である。
このように、本発明の透湿防水性シートの製造方法によれば、無孔質フィルムが薄膜化しても、透湿性及び防水性のばらつきが非常に小さく、十分に商品化に耐え得る品質を保証する透湿防水性シートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の透湿防水性シートの製造方法を示す概略図である。
【図2】図2は、樹脂と冷却ロールとの間の空気が移動して排出される状態を概念的に示す図である。
【図3】図3は、圧着の際に無孔質フィルムに凹みや孔が形成される状態を示す概略図である。
【符号の説明】
1…樹脂
2…通気性基材
3…冷却ロール
3a…微細な凹部
4…プレスロール
5…透湿防水性シート
6…無孔質フィルム
7…押出ダイ
a…空気
b…凹み
c…孔
f…空気の移動方向
m…冷却ロール等の移動方向
Claims (10)
- 通気性基材の表面に透湿性樹脂がラミネートされた透湿防水性シートの製造方法であって、
溶融した透湿性樹脂を押出ダイより薄膜状に押し出し、該薄膜状に押し出した透湿性樹脂と通気性基材とを空気を逃がすための微細な凹凸を有する冷却ロールとプレスロールとの間で圧着してラミネートすることにより、前記透湿性樹脂が前記圧着と同時に前記冷却ロールにより冷却固化されて透湿性の無孔質フィルムとなり、かつ該無孔質フィルムと冷却ロールとの間の空気の封入を防止したことを特徴とする透湿防水性シートの製造方法。 - 前記透湿性樹脂がポリエステル樹脂であり、前記通気性基材がポリエステル繊維からなる不織布であることを特徴とする請求項1記載の透湿防水性シートの製造方法。
- 前記透湿性樹脂と前記通気性基材との接合が、全面で圧着されていることを特徴とする請求項1記載の透湿防水性シートの製造方法。
- 前記冷却ロールは、ブラスト加工により深さが5〜20μmの微細な凹凸を形成したことを特徴とする請求項1記載の透湿防水性シートの製造方法。
- 前記プレスロールは、その表面が可撓性を有することを特徴とする請求項1記載の透湿防水性シートの製造方法。
- 通気性基材の表面に透湿性樹脂がラミネートされた透湿防水性シートであって、
ラミネートされた透湿性樹脂が冷却固化されて透湿性の無孔質フィルムとなっており、該無孔質フィルムの表面に微細な凹凸が押圧付与されており、且つ
前記透湿性樹脂が、ハードセグメントとソフトセグメントとからなるブロック共重合体ポリエステル樹脂であることを特徴とする透湿防水性シート。 - 前記微細な凹凸は、ブラスト加工により微細な凹凸を形成された冷却ロールにより押圧付与されたものであることを特徴とする請求項6記載の透湿防水性シート。
- 前記透湿防水性シートは、透湿度が1000g/m2・24hr以上、且つ、耐水圧が5kPa以上であることを特徴とする請求項6記載の透湿防水性シート。
- 前記透湿性樹脂がポリエステル樹脂であり、前記通気性基材がポリエステル繊維からなる不織布であることを特徴とする請求項6記載の透湿防水性シート。
- 前記透湿性樹脂と前記通気性基材との接合が、全面で圧着されていることを特徴とする請求項6記載の透湿防水性シート。
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