JP3981814B2 - 固体潤滑ころ軸受 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空中、高温、低温あるいは放射線下などの過酷な環境下で使用される固体潤滑ころ軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、真空中、高温、低温あるいは放射線下などの過酷な環境下で使用される固体潤滑ころ軸受は、図7〜図10のようになっている。
【0003】
図7は第1の従来例を示すクロスローラ軸受であって、(a)はその一部を示す平面図、(b)はスペーサの斜視図、図8はクロスローラ軸受の側面展開図である。図7、8において、11は内輪、12は外輪、15はころ、16はスペーサである。図に示すように転走溝の形状を周方向にのびるV形にし、隣同士のころを90度向きを変えてクロスさせた、ころ軸受の一種であるクロスローラ軸受において、ころ15の表面に固体潤滑剤を被覆し、スペーサ16の形状をその左右両側面に互いに隣接するころ15が回転可能に嵌合する曲面溝16aにしたものが提案されている(特開平10−141363号公報)。
クロスローラ軸受は、モーメントが負荷できる特徴があるため、ロボットのアーム端部などに使われる軸受で、アームのガタを無くすため、一般的に軸受の内部隙間を5ミクロン以下と非常に小さく設定して使われる。
【0004】
図9は第2の従来例を示すクロスローラ軸受の側面展開図である。図9において、21は内輪、22は外輪、25はころ、26、27はスペーサである。第2の従来例では、クロスローラ軸受において、ころ25の表面に固体潤滑剤を被覆せず、円柱状や球状のスペーサ26、27を設けたものが提案されている(実開平2−74625号公報)。
【0005】
また、第1、第2の従来例のころ軸受に替えて玉軸受の例を第1の比較例として図10に示す。
図10は第1の比較例を示す玉軸受の正断面図である。第1、第2の従来例に示したころ軸受に替えて玉軸受としたもので、玉35の表面に固体潤滑剤37を被覆し、スペーサ36の形状を球状にしたものが提案されている(実開昭59−92219号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、第1の従来例では、スペーサの形状がころにフィットする接触面積が広い曲面溝であるため、ころの回転に伴うころとスペーサの摺動で、スペーサの材料成分が摩耗粉として多く発生し、軸受内部に堆積するために軸受の内部隙間にかみこみ、軸受が早期にロックするという問題を起こす。
【0007】
また、第2の従来例では、スペーサをころ間毎に1個配置し、そのスペーサの形状を円柱状や球状にし、ころにフィットしないようにしているため、摩耗粉は多くなく、軸受が早期にロックする問題は生じないが、
(1)ころの表面に固体潤滑剤が無いため、ころと内・外輪の摩擦抵抗が大きく、軸受トルクが大きいとか、軸受寿命が短いという問題を起こす。(2)スペーサがころにフィットしないため、ころのスキュー(揺れ)が起こり、滑り成分が増え、軸受寿命が短いという問題を起こす。(3)スペーサの占有容積が大きいため、ころの数が減り負荷容量が小さくなり寿命が短くなる。
【0008】
また、第1の比較例では、玉の表面に固体潤滑剤を被覆することで、第2の従来例の弱点を補っているが、もともと玉軸受では接触が点接触であるため、接触ポイント以外で摩耗粉をよけることが出来、ロック防止に関して改善効果は無い。むしろ、玉軸受の場合は、球状のスペーサより、占有容積を小さくできる王冠形保持器で玉同士の接触を防ぐ方が寿命が長い。
そこで本発明は、摩耗粉のかみこみによる早期ロックやころのスキューが発生せず、軸受トルクが小さく、負荷容量が大きい、長寿命な固体潤滑ころ軸受を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1の本発明は、内輪と外輪と、前記内輪と前記外輪のそれぞれ対向する面に設けた内輪転走溝と外輪転走溝と、前記二つの転走溝の間に挿入した複数個のころを備え、これら構成部品の表面の一部または全部に固体潤滑剤の被膜を形成してあり、前記ころ間に介装させて保持するスペーサが設けられ、前記スペーサが球状または円柱状であり、前記スペーサの表面に二硫化モリブデンを被覆したものである固体潤滑ころ軸受において、前記スペーサの直径が前記ころの直径の20%〜48%であり、一対のころ間に介装させる前記スペーサの個数が複数であり、前記二硫化モリブデンの膜が剥離し、前記軸受の寿命が延びるように、前記スペーサの表面に被覆した二硫化モリブデンの膜中に酸素、窒素、炭素、またはホウ素のいずれかの元素を含むことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
(第1の実施例)
図1は本発明の第1の実施例〜第3の実施例に共通なクロスローラ軸受の側面展開図で、外輪を一部切り欠いている。また、図2は第1図のA−A線に沿う拡大断面図である。
1は内輪、2は2つ割りにした外輪、3は内輪の外周面に設けたV形の内輪転走溝、4は外輪2の内周面に内輪転走溝3に対向して設けた同形の外輪転走溝である。5は前記転走溝3、4間に配置されたSUS440C製のころで、交互に方向を変えて配置してある。
第1の実施例の特徴は、ころ5の表面には固体潤滑剤である二硫化モリブデンを1μm被覆し、ころ5同士の間に球状のスペーサ6をそれぞれ挿入配置した点である、ここで、スペーサ6の直径はころ5の直径よりを30μm小さくしている。
このような構成で、内輪1と外輪2が相対的に回転すると、ころ5が自転しながら、内輪転送溝3および外輪転走溝4内で移動し、内輪1と外輪2の相対運動を支持する。
【0011】
次に、第1の実施例の効果を確認する上で行った試験結果を説明する。
本実施例では、スペーサの材料として、(1)自己潤滑性樹脂(本実施例ではPEEK+PTFEの複合樹脂)と、(2)SUS440Cの2種類を用意し、軸受を構成した。そして、軸受寿命の評価には、軸受2個に、215Nのアキシャル荷重を負荷して、320r/minで回転させる寿命試験機を用い、内径30mm、外径55mm、幅10mmの軸受を評価した。試験中にはモータのトルク出力をモニタし、定常時のトルクの2倍を越えた時点を軸受寿命とした。なお、以下に示す各実施例、従来例および比較例の軸受寿命については、第1の従来例における軸受寿命実測値に対する比率(寿命比)として表した(すなわち、第1の従来例の寿命比は1となる)。
表1に試験結果として定常時のトルクと軸受寿命比を示す。
【0012】
【表1】
Figure 0003981814
【0013】
併せて表1に、第1の従来例としてスペーサを、その左右両側面に互いに隣接するころが回転可能に嵌合する曲面溝にしたもので構成した軸受の軸受寿命の結果を示す。また、第2の従来例として第1の実施例(1)から転動体表面の潤滑膜を除いた構成の軸受を寿命試験した結果を示す。さらに、本発明の効果が玉軸受と比べころ軸受が顕著であることを示すため、第1の比較例として転動体を玉とし、第1の比較例(1)ではスペーサをSUS440Cの球状とした軸受、第1の比較例(2)では自己潤滑性樹脂の曲面溝を持つ王冠型保持器を備えた軸受を寿命試験した結果を示す。なお、玉軸受の寿命試験では上述のクロスローラ軸受と規格上近い内径30mm、外径55mm、幅13mmの軸受を用い、評価した。
なお、第1の比較例(1)の軸受は転動体の数が9個であるのに対し、第1の比較例(2)では曲面溝を持つ王冠型保持器の占有容積が球状スペーサより小さいため、転動体の数を多くでき、12個の転動体を備えている。
【0014】
軸受寿命については、第1の実施例(1)の寿命比が7.2であり、第1の実施例(2)で5.1であるため、第1の従来例より延長効果が認められた。試験後に、第1の実施例の軸受を分解すると、ころと摺動するスペーサの曲面溝部分に、摩耗粉が堆積していることが観察された。一方、第1の実施例(1)、(2)の軸受のいずれも摩耗粉は認められなかった。これは、第1の実施例の軸受で発生した摩耗粉が、軸受の早期ロックの原因になっている事の裏付けである。
次に、第1の実施例(1)と比較し、転動体表面の潤滑膜が無い第2の従来例を取り上げ、第1の実施例(1)の効果を説明する。第2の従来例では定常時のトルクが1.3×10−1N・mであり、第1の実施例(1)の3.9×10−2N・mと比べ、一桁トルクが大きい。また、第2の従来例の軸受寿命比が0.6であるため、第1の実施例(1)の軸受寿命比7.2と比べると、一桁軸受寿命が短かった。転動体表面の潤滑膜が無いため、ころと内・外輪の摩擦抵抗が大きく、軸受トルクが大きくなったものである。そのため、軸受寿命が短くなったものである。
次に、第1の実施例(2)、第1の従来例、第1の比較例(1)、(2)を取り上げ、ころ軸受と玉軸受で本発明の効果の差異を説明する。まず、ころ軸受の第1の実施例(2)と第1の従来例を比較すると、SUS440Cの球状のスペーサを有する第1の実施例(2)が軸受寿命比5.1であるため、自己潤滑製樹脂の曲面溝のスペーサを有する第1の従来例より長寿命であり、スペーサを球状にした効果が認められた。一方、第1の実施例(2)を玉軸受の第1の比較例(1)および(2)と比較すると、SUS440Cの球状のスペーサを有する第1の比較例(1)の軸受寿命比が6.5であり、自己潤滑製樹脂の曲面溝のスペーサを有する第1の比較例(2)の軸受寿命比が26.5であるため、、第1の実施例(2)はこれらの比較例より短寿命で、スペーサを球状にした効果は認められないどころか、逆効果が現れた。
このように、第1の実施例は、線接触するころ軸受では摩耗粉がかみ込み軸受ロックに至るという現象に着目し、スペーサの形状をころとフィットしないように球状としたので、摩耗粉の発生を押さられ、ころで問題となる磨耗紛のかみこみによる軸受の早期ロックを防止することができる。
一方、玉軸受では接触が点接触であるため、接触ポイント以外で摩耗粉をよけることが出来、ロック防止に関して改善効果が得られない。むしろ、玉軸受の場合は、球状のスペーサより、曲面溝を持つ王冠型保持器の方が占有容積を小さくでき、球数を増やせるので、耐荷重性が増し、寿命延長効果が大きい。
また、ころの表面に固体潤滑剤を被覆しているので、ころと内・外輪の摩擦抵抗が小さくなり、軸受トルクが小さい上、軸受寿命が長くなるという効果がある。
【0015】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
第2の実施例では、第1の実施例(2)に加え、スペーサ6表面に二硫化モリブデンを1μmの膜厚で被覆したものである。軸受寿命を評価した結果を表2に示す。
【0016】
【表2】
Figure 0003981814
【0017】
第2の実施例の軸受寿命比は8であり、スペーサ6表面に二硫化モリブデンを被覆していない第1の実施例(2)の寿命比5.1と比較すると、寿命延長の効果が認められた。
このように、第2の実施例は、スペーサ6表面の二硫化モリブデンが潤滑剤の供給源となるため、軸受寿命を延長することができる。二硫化モリブデンを1μmの薄膜として被覆しているため、剥がれた二硫化モリブデンの摩耗粉の粒径(サイズ)も十分小さく、軸受の内部隙間にかみ込んでロックするという副作用も防止することができる。
【0018】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。
第3の実施例では、第2の実施例でスペーサの表面に被覆した二硫化モリブデンの膜中に酸素を10%添加したものである。軸受寿命を評価した結果を表2に併せて示す。第3の実施例では軸受寿命比が19.5であり、酸素を添加していない第2の実施例の寿命比8と比較すると、寿命延長の効果が顕著に認められた。
このように、第3の実施例は膜中に酸素を添加すると、膜が剥がれ易くなると共に、供給源としての効果が大きくなり、軸受寿命を延長することができる。
【0019】
次に、本発明の第4の実施例を説明する。
図3は本発明の第4〜第8の実施例に共通なクロスローラ軸受の側面展開図で、外輪を一部切り欠いている。また、図4は図3のA−A線に沿う拡大断面図である。
図において、5は転走溝3、4間に配置されたSUS440C製のころで、交互に方向を変えて配置してある。
第4の実施例の特徴は、ころ5の表面には固体潤滑剤である二硫化モリブデンを1μm被覆し、隣り合うころ5同士の間に球状の4個のスペーサ6をそれぞれ挿入配置した点である。なお、スペーサ6の直径はころ5の直径の30%にしている。
【0020】
軸受の組立の手順を以下に示す。
2つ割りの外輪2の1つを平板上に寝かせて置き、その内側に内輪1を寝かせて置く。
外輪2と内輪1の間にころ5を所定の個数、配置する。その際、隣り合うころ5同士の方向を変えて配置する。
ころ5同士の間にスペーサ6を配置する。その際、1組のころ5間に4個のスペーサ6を配置する。
この手順で軸受を組み立てるが、スペーサ6の直径がころ5の直径の20%未満だと、スペーサ6を配置する際、スペーサ6がばらけてしまい、組立が困難になる。また、50%以上だと物理的に配置できない。この理由で、スペーサ6の直径はがころ5の直径の20〜48%程度と決まる。
このように、第4の実施例は第1〜第3の実施例と同様にころ5同士間に球状のスペーサ6を配置しているので、ころ5とスペーサ6がフィットせず、スペーサ6からの摩耗粉が過大に発生しない。また、スペーサ6を図3、4の様にころ5の形状に沿う形に4個配置しているので、ころ5のスキューが生じない。さらにスペーサ6の占有容積が小さいので、ころ5の数を増やし、負荷容量を増やすことができる。
なお、1組のころ5間に配置するスペーサ6の数は2個の場合でも、同じ機能を果たす。
【0021】
次に、本発明の第5の実施例を説明する。
第5の実施例では、スペーサ6としてSUS440Cの軸受ボールで軸受を構成した。
そして、軸受寿命の評価には、軸受2個に、215Nのアキシャル荷重を負荷して、320r/minで回転させる寿命試験機を用い、内径30mm、外径55mm、幅10mmの軸受を評価した。試験中にはモータのトルク出力をモニタし、定常時のトルクの2倍を越えた時点を軸受寿命とした。
表3に試験結果として定常時のトルクと軸受寿命比を示す。
【0022】
【表3】
Figure 0003981814
【0023】
併せて表3に、第1の従来例としてスペーサを、その左右両側面に互いに隣接するころが回転可能に嵌合する曲面溝にしたもので構成した軸受の軸受寿命の結果を示す。また、第2の従来例としてスペーサを1組のころ間に1個配置した構成の軸受を寿命試験した結果を示す。
なお、第5の実施例、第1の従来例ではころの数が24個であるのに対し、第2の従来例の軸受はスペーサの占有容積が大きいため、ころの数が18個となっている。
【0024】
第5の実施例の軸受寿命比は9.2であり、第1の従来例と比較すると延長効果が認められた。試験後に、第5の実施例の軸受を分解すると、ころと摺動するスペーサの曲面溝部分に、摩耗粉が堆積していることが観察された。一方、第5の実施例の軸受では摩耗粉は認められなかった。これは、第5の実施例の軸受で発生した摩耗粉が、軸受の早期ロックの原因になっている事の裏付けである。また、第5の実施例の軸受寿命比は9.2であり、第2の従来例の軸受寿命比5.1と比較しても寿命が長く、ころの個数が増えていることと、ころのスキューを防止できたことで寿命が延長したものである。
【0025】
次に、本発明の第6の実施例について説明する。
第6の実施例では、第5の実施例に加え、スペーサ6表面に二硫化モリブデンを1μmの膜厚で被覆したものである。軸受寿命を評価した結果を表4に示す。
【0026】
【表4】
Figure 0003981814
【0027】
第6の実施例では軸受寿命比が13.4であり、スペーサ表面に二硫化モリブデンを被覆していない第5の実施例の寿命比9,2と比べると、寿命延長の効果が認められた。
このように、第6の実施例はスペーサ6表面の二硫化モリブデンが潤滑剤の供給源となり軸受寿命を延長することができる。
【0028】
次に、本発明の第7の実施例について説明する。
第7の実施例では、第6の実施例でスペーサの表面に被覆した二硫化モリブデンの膜中に酸素を10%添加したものである。軸受寿命を評価した結果を表4に併せて示す。第7の実施例では軸受寿命比が42.8であるため、酸素を添加していない第6の実施例の寿命比13.4と比べると、寿命延長の効果が顕著に認められた。
このように、第7の実施例は、膜中に酸素を添加すると、膜が剥がれ易くなると共に、供給源としての効果が大きくなり、軸受寿命を延長することができる。
【0029】
本発明の第8の実施例について説明する。
第8の実施例では、スペーサをポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリテトラフルオロエチレン樹脂とアラミド繊維の樹脂材料に二硫化モリブデンを含有させた複合材料で形成した軸受を寿命評価した。評価結果を表4に併せて示している。第8の実施例の軸受寿命比が13.6であるため、第5の実施例の寿命比9.2と比べると、寿命延長の効果が認められた。
このように、第8の実施例はスペーサを二硫化モリブデンを含有した樹脂材料で構成したので、二硫化モリブデンと樹脂材料の潤滑成分が長期にわたり、潤滑供給源して働き、軸受の寿命を延ばすことができる。
【0030】
次に、本発明の第9の実施例を説明する。
図5は第9の実施例を示すクロスローラ軸受の側面展開図で、図6は図5のA−A線に沿う拡大断面図である。
図において、7はスペーサである。
第9の実施例が第4の実施例と異なるのはスペーサ7の形状を円柱状とした点である。
本実施例も第4の実施例と同じく、設計および組立上の理由で、直径はころの直径の20〜48%の範囲と決まる。
このように、第9の実施例は、第4の実施例と同じ作用で摩耗粉が過大に発生せず、ころのスキューが生じず、軸受の負荷容量を増やすことができる。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、以下の効果がある。
(1)第1の実施例〜第3の実施例は、ころ軸受のスペーサを球状としたため、摩耗粉の発生を減少させ、摩耗粉かみこみによる軸受の早期ロックを無くすことができる。また、スペーサ表面に二硫化モリブデンを被覆したため、その膜が潤滑剤の供給源となり軸受の寿命を延ばすことができる。さらに、二硫化モリブデンの膜中に酸素、窒素、炭素、またはホウ素のいずれかの元素を含めたため、膜が剥がれ易くなり、供給源としての効果が大きくなると共に、軸受の寿命をさらに延ばすことができる。
【0032】
(2)第4の実施例〜第9の実施例は、ころ軸受のスペーサを球状、または円柱状とし、その直径をころの直径の20〜48%とし、一対のころ間に複数個介装させたため、スキューの防止による滑り成分を減少させると共に、摩耗粉の発生減少による軸受の早期ロックを防止することができる。また、スペーサ表面に二硫化モリブデンを被覆したため、その膜が潤滑剤の供給源となり軸受の寿命を延ばすことができる。さらに、二硫化モリブデンの膜中に酸素、窒素、炭素、またはホウ素のいずれかの元素を含めたため、膜が剥がれ易くなり、供給源としての効果が大きくなると共に、軸受の寿命がさらに延ばすことができる。それから、スペーサを二硫化モリブデン含有の樹脂材料で形成したため、これらの潤滑成分が長期にわたり、潤滑供給源として働き、軸受の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例〜第3の実施例に共通なクロスローラ軸受の側面展開図で、外輪を一部切り欠いている。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の第4の実施例〜第8の実施例に共通なクロスローラ軸受の側面展開図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】本発明の第9の実施例を示すクロスローラ軸受の側面展開図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】第1の従来例を示すクロスローラ軸受であって、(a)はその一部を示す平面図、(b)はスペーサの斜視図である。
【図8】クロスローラ軸受の側面展開図である。
【図9】第2の従来例を示すクロスローラ軸受の側面展開図である。
【図10】第1の比較例を示す玉軸受の正断面図である。
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
3 内輪転走溝
4 外輪転走溝
5 ころ
6 スペーサ
7 スペーサ

Claims (1)

  1. 内輪と外輪と、前記内輪と前記外輪のそれぞれ対向する面に設けた内輪転走溝と外輪転走溝と、前記二つの転走溝の間に挿入した複数個のころを備え、これら構成部品の表面の一部または全部に固体潤滑剤の被膜を形成してあり、前記ころ間に介装させて保持するスペーサが設けられ、前記スペーサが球状または円柱状であり、前記スペーサの表面に二硫化モリブデンを被覆したものである固体潤滑ころ軸受において、
    前記スペーサの直径が前記ころの直径の20%〜48%であり、
    一対のころ間に介装させる前記スペーサの個数が複数であり、
    前記二硫化モリブデンの膜が剥離し、前記軸受の寿命が延びるように、前記スペーサの表面に被覆した二硫化モリブデンの膜中に酸素、窒素、炭素、またはホウ素のいずれかの元素を含むことを特徴とする固体潤滑ころ軸受。
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