JP3979105B2 - 多元接続システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続システム及び多元接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば、移動体通信や深宇宙通信といった通信分野、及び地上波又は衛星ディジタル放送といった放送分野の研究が著しく進められているが、それに伴い、誤り訂正符号化及び復号の効率化を目的として符号理論に関する研究も盛んに行われている。
【0003】
符号性能の理論的限界としては、いわゆるシャノン(C. E. Shannon)の通信路符号化定理によって与えられるシャノン限界が知られている。
【0004】
符号理論に関する研究は、このシャノン限界に近い性能を示す符号を開発することを目的として行われている。近年では、シャノン限界に近い性能を示す符号化方法として、例えば、いわゆるターボ符号と称される並列連接畳み込み符号(Parallel Concatenated Convolutional Codes;以下、PCCCという。)や縦列連接畳み込み符号(Serially Concatenated Convolutional Codes;以下、SCCCという。)が開発されている。
【0005】
一方、近年では、これらの符号に対する復号方法についても研究が盛んに行われている。具体的には、連接符号における内符号の復号出力や繰り返し復号法における各繰り返し復号動作の出力を軟出力とすることで、シンボル誤り率を小さくする研究がなされており、それに適した復号方法に関する研究が盛んに行われている。例えば畳み込み符号等の所定の符号を復号した際のシンボル誤り率を最小にする方法としては、「Bahl, Cocke, Jelinek and Raviv, "Optimal decoding of linear codes for minimizing symbol error rate", IEEE Trans. Inf. Theory, vol. IT-20, pp. 284-287, Mar. 1974」に記載されているBCJRアルゴリズムや、このBCJRアルゴリズムを改良した「Robertson, Villebrun and Hoeher, "A comparison of optimal and sub-optimal MAP decoding algorithms operating in the domain", IEEE Int. Conf. on Communications, pp. 1009-1013, June 1995」に記載されているMax−Log−MAPアルゴリズム及びLog−MAPアルゴリズム(以下、Max−Log−BCJRアルゴリズム及びLog−BCJRアルゴリズムという。)が知られている。上述したPCCC又はSCCCを復号する際には、これらのBCJRアルゴリズム、Max−Log−BCJRアルゴリズム又はLog−BCJRアルゴリズムに基づく最大事後確率(Maximum A Posteriori probability;MAP)復号を行う複数の復号器の間で、いわゆる繰り返し復号を行うことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、符号化を行う場合には、符号化して得られたビットデータに対して、例えば、8相位相変調方式(8-Phase Shift Keying;以下、8PSK変調方式という。)、16相直交振幅変調方式(16-Quadrature Amplitude Modulation;以下、16QAM変調方式という。)又は64相直交振幅変調方式(64-Quadrature Amplitude Modulation;以下、64QAM変調方式という。)といった予め定められた多値変調方式に基づく信号点のマッピングが行われる。
【0007】
しかしながら、符号化においては、予め定められた多値変調方式に基づく信号点のマッピングを用いた場合には、符号化したデータの雑音に対する余裕とマッピングによって算出される雑音に対する余裕とを完全に一致させることはできず、ビットエラーレート等の伝送特性を劣化させていた。
【0008】
一方、移動体通信等の通信システムにおいては、所定の符号化が施された複数系統の情報系列が多元接続され、各基地局又は端末によって復号される。この移動体通信等において用いられる多元接続方式としては、いわゆる時分割多元接続(Time Division Multiple Access;TDMA)やいわゆる周波数分割多元接続(Frequency Division Multiple Access;FDMA)が用いられている。これらの多元接続方式は、互いに直交関係となるように時間又は周波数等のリソースを分割し、それぞれのリソースに対して異なるユーザの信号を割り当てることによって実現される。
【0009】
しかしながら、これらの多元接続方式においては、リソースが限定された場合には、多重化できるユーザの信号数が制限されることになる。そのため、特に移動体通信のユーザ数が増加の一途を辿る実情を克服するための新たな多元接続方式が待望されている。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、多値変調方式等を伴う符号化において、高い性能での符号化を容易に実現することができる理論的に最適と思われる符号化方式を新たに開発するとともに、この符号化を適用した新たな多元接続方式を提案し、限られたリソースを有効利用してより多くのユーザを収容することができる多元接続システム及び多元接続方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明にかかる多元接続システムは、基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続システムであって、各ユーザの情報を所定の形式に変換して伝送する下りリンクにおける基地局は、所定のビットからなる第1のユーザの第1の情報ビット系列をM個の数値からなる第1の符号化系列に変換する第1の変換手段と、この第1の変換手段によって変換されて得られた第1の符号化系列に対して第1の定数を乗算する第1の乗算手段と、所定のビットからなる第2のユーザの第2の情報ビット系列をM個の数値からなる第2の符号化系列に変換する少なくとも1つの第2の変換手段と、この第2の変換手段によって変換されて得られた第2の符号化系列に対して第2の定数を乗算する少なくとも1つの第2の乗算手段と、第1の乗算手段によって乗算されて得られた第1の定数倍符号化系列と、第2の乗算手段によって乗算されて得られた第2の定数倍符号化系列とを要素毎に加算して加算符号化系列を生成する加算手段と、加算符号化系列を送信信号として送信する送信手段とを備え、基地局によって伝送された加算符号化系列に対して所定の雑音が加算された受信信号を受信する端末は、それぞれ、受信信号を入力する受信手段と、この受信手段から供給された受信値に基づいて、第1の情報ビット系列又は第2の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を行い、必要な情報ビット系列を出力する復号手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
このような本発明にかかる多元接続システムは、第1の符号化系列に対して第1の乗算手段によって第1の定数が乗算された第1の定数倍符号化系列と、第2の符号化系列に対して第2の乗算手段によって第2の定数が乗算された第2の定数倍符号化系列とを加算手段によって加算して加算符号化系列を生成して基地局から伝送し、この加算符号化系列に対して所定の雑音が加算された受信値に基づいて、第1の情報ビット系列又は第2の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を各端末における復号手段によって行う。
【0013】
また、上述した目的を達成する本発明にかかる多元接続方法は、基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続方法であって、各ユーザの情報を所定の形式に変換して伝送する下りリンクにおける基地局によって所定のビットからなる第1のユーザの第1の情報ビット系列をM個の数値からなる第1の符号化系列に変換する工程と、基地局によって第1の情報ビット系列を変換して得られた第1の符号化系列に対して第1の定数を乗算する工程と、基地局によって所定のビットからなる第2の情報ビット系列をM個の数値からなる第2の符号化系列に変換する少なくとも1つの工程と、基地局によって第2の情報ビット系列を変換して得られた第2の符号化系列に対して第2の定数を乗算する少なくとも1つの工程と、基地局によって第1の符号化系列に対して第1の定数を乗算して得られた第1の定数倍符号化系列と、第2の符号化系列に対して第2の定数を乗算して得られた第2の定数倍符号化系列とを要素毎に加算して加算符号化系列を生成する工程と、基地局によって加算符号化系列を送信信号として送信する工程と、基地局によって伝送された加算符号化系列に対して所定の雑音が加算された受信信号を受信する端末によって受信信号を入力する工程と、端末によって受信された受信値に基づいて、第1の情報ビット系列又は第2の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を行い、必要な情報ビット系列を出力する工程とを備えることを特徴としている。
【0014】
このような本発明にかかる多元接続方法は、第1の符号化系列に対して第1の定数が乗算された第1の定数倍符号化系列と、第2の符号化系列に対して第2の定数が乗算された第2の定数倍符号化系列とを基地局によって加算して加算符号化系列を生成して伝送し、この加算符号化系列に対して所定の雑音が加算された受信値に基づいて、第1の情報ビット系列又は第2の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を各端末によって行う。
【0015】
さらに、上述した目的を達成する本発明にかかる多元接続システムは、基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続システムであって、情報を所定の形式に変換して伝送する上りリンクにおける端末は、それぞれ、所定のビットからなる情報ビット系列をM個の数値からなる符号化系列に変換する変換手段と、この変換手段によって変換されて得られた符号化系列に対して所定の定数を乗算する乗算手段とを備え、複数の端末のそれぞれによって伝送された定数倍符号化系列が多重化された信号に対して所定の雑音が加算された受信信号を受信する基地局は、受信信号を入力する受信手段と、この受信手段から供給された受信値に基づいて、端末のそれぞれに対応する複数の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を行い、必要な情報ビット系列を出力する復号手段とを備えることを特徴としている。
【0016】
このような本発明にかかる多元接続システムは、符号化系列に対して乗算手段によって所定の定数が乗算された定数倍符号化系列が各端末から伝送され、これらの定数倍符号化系列が多重化された信号に対して所定の雑音が加算された受信値に基づいて、端末のそれぞれに対応する複数の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を基地局における復号手段によって行う。
【0017】
さらにまた、上述した目的を達成する本発明にかかる多元接続方法は、基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続方法であって、情報を所定の形式に変換して伝送する上りリンクにおける端末のそれぞれによって所定のビットからなる情報ビット系列をM個の数値からなる符号化系列に変換する工程と、端末のそれぞれによって情報ビット系列を変換して得られた符号化系列に対して所定の定数を乗算する工程と、複数の端末のそれぞれによって伝送された定数倍符号化系列が多重化された信号に対して所定の雑音が加算された受信信号を受信する基地局によって受信信号を入力する工程と、基地局によって受信された受信値に基づいて、端末のそれぞれに対応する複数の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を行い、必要な情報ビット系列を出力する工程とを備えることを特徴としている。
【0018】
このような本発明にかかる多元接続方法は、符号化系列に対して所定の定数が乗算された定数倍符号化系列が各端末から伝送され、これらの定数倍符号化系列が多重化された信号に対して所定の雑音が加算された受信値に基づいて、端末のそれぞれに対応する複数の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を基地局によって行う。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
この実施の形態は、ディジタル情報を図示しない送信装置によって符号化し、その出力を雑音のある通信路を介して図示しない受信装置に入力して、この受信装置によって復号するチャネルモデルに適用したデータ送受信システムを、移動体通信等の基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続システムに適用したものである。この多元接続システムにおいて、データを送信する側は、後述する伝送率の小さな符号を用いて伝送率が大きな符号を構成して伝送することができるものであって、既存の信号点のマッピング方法の概念を変える符号化を行うものである。一方、多元接続システムにおいて、データを受信する側は、このような送信側によって符号化がなされた符号を受信し、この符号の復号を高精度且つ容易に行うものである。
【0021】
まず、多元接続システムの説明に先立って、本発明における"符号化"について、以下のように定義する。
【0022】
すなわち、ここで述べる符号化は、いわゆる通信路符号化を意味するが、広義に解し、ある情報が存在するとき、与えられた通信路に対して信号を変換することを意味するものとする。通信路として最も重要であるものは、白色ガウス雑音が加えられるユークリッド空間で表されるものである。通常、データ伝送分野においては、伝送速度[ビット/s]や占有帯域が問題となる。しかしながら、サンプリング定理により、1[s]×1[Hz]内の信号は、2個の実数又は1個の複素数で記述されることから、時間や周波数の概念は、ここで述べる符号化においては考慮する必要がなく、単純にベクトル空間における次元数に置換することができる。すなわち、ここで述べる符号化とは、図1に示すように、「Nビットからなる論理情報を2個の符号語としてM個の数値からなる符号化系列に変換する」ことであると定義することができる。
【0023】
ここで、符号化の対象、すなわち、変換の対象となる論理情報のビット数Nと、変換先のベクトル空間における次元数Mとを用いて、次式(1)に示すように、伝送率(Transmission Rate)Cというパラメータを定義する。
【0024】
【数1】
Figure 0003979105
【0025】
すなわち、伝送率Cは、実数1次元あたりに伝送されるビット数を意味するものである。ここで、符号理論においては、情報ビット数を"k"、符号長を"n"として、次式(2)に示すように、符号化率Rが定義される。伝送率Cは、例えば2相位相変調方式(Binary Phase Shift Keying;以下、BPSK変調方式という。)のように1つの符号ビットを1個の実数にマッピングする場合には、符号化率Rと同一のものとなる。
【0026】
【数2】
Figure 0003979105
【0027】
伝送率Cは、符号化率Rと比較すると、いわゆる符号化変調(coded modulation)を含む一般的な符号化を考える場合には、符号化率Rよりも意義があることが多いパラメータといえる。この伝送率Cと等価な次元を有するパラメータとして、周波数あたりの伝送速度U[ビット/s/Hz]がある。ここで、サンプリング定理により、1[Hz]あたりで2個の実数が単位時間で伝送されることから、伝送率Cと伝送速度Uとの間には、次式(3)に示す関係が成立する。伝送率Cは、伝送速度Uと比較した場合であっても、上述したように、符号化においては時間や周波数の概念が不要であることから、伝送速度Uよりも意義があるパラメータといえる。
【0028】
【数3】
Figure 0003979105
【0029】
ここで、シャノン(C. E. Shannon)の通信路符号化定理における最大通信路容量Cmax[ビット]は、次式(4)で表される。
【0030】
【数4】
Figure 0003979105
【0031】
上式(4)は、加法的白色ガウス雑音(Additive White Gaussian Noise;以下、AWGNという。)が加えられて信号対雑音比が"S/N"である通信路において、1個の実数あたりにCmax[ビット]の情報を誤りなく伝送できることを意味している。また、1ビットあたりの情報のエネルギは、通常、"E[J]"と表される。すなわち、1個の実数あたりにCmax[ビット]の情報を伝送する場合には、1個の実数あたりのエネルギは、Cmax・E[J]で表される。雑音電力密度n[J]のAWGNチャネルにおいては、1個の実数あたりに加算される雑音のエネルギは、"n/2[J]"となることから、最大通信路容量Cmaxは、通信路容量の限界式に当てはめると、次式(5)に示すように表される。
【0032】
【数5】
Figure 0003979105
【0033】
一方、1個の実数あたりにC[ビット]の情報を伝送する際に必要となる最小の1ビットあたりの信号対雑音電力比E/nの値を"ξmin"とすると、通信路容量C[ビット]は、次式(6)で表され、これを"ξmin"について解くと、次式(7)で表される。
【0034】
【数6】
Figure 0003979105
【0035】
【数7】
Figure 0003979105
【0036】
さて、以下では、以上のように定義される符号化を行う送信装置と、この送信装置によって符号化がなされた符号の復号を行う受信装置とを備えるデータ送受信システムについて説明する。なお、本発明の実施の形態として示す多元接続システムは、後述するように、このデータ送受信システムにおける送信装置及び受信装置を、それぞれ、下りリンクと上りリンクとに応じて、基地局又は端末に適用して実現される。
【0037】
まず、データ送受信システムにおける送信装置について説明する。この送信装置は、上述した伝送率の小さな符号を用いて、順次伝送率が大きな符号を構成するものである。ここではまず、送信装置の現実的な具体的構成の説明に先立って、送信装置が行う符号化の基本的な原理について説明する。
【0038】
L個の情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}があり、l番目の情報ビット系列b(l)は、次式(8)に示すように、Nビットの情報ビットb (l)(n=0,1,・・・,N−1)から構成されるものとする。
【0039】
【数8】
Figure 0003979105
【0040】
そして、上式(8)で表される情報ビットb (l)を情報ビット系列毎に写像する符号化を行って得られる次式(9)に示す実数値系列x(l)を考える。なお、以下では、実数値系列x(l)を符号化系列x(l)と称するものとする。
【0041】
【数9】
Figure 0003979105
【0042】
ここで、符号化系列x(l)は、系列によらずM個の数値からなるM次元実数ベクトルであり、次式(10)で表される。
【0043】
【数10】
Figure 0003979105
【0044】
このとき、伝送率C(l)は、次式(11)で表される。
【0045】
【数11】
Figure 0003979105
【0046】
この符号化において、伝送誤り率を"0"又は"0"に十分近い値にするために必要な最小の1ビットあたりの信号対雑音電力比E/nの値を"ξ(l)"とする。また、以下では、説明の便宜上、符号xは、次式(12)に示すように、M次元ガウス分布をなすものとする。
【0047】
【数12】
Figure 0003979105
【0048】
情報ビット系列b(0)に対する符号化x(0)=x(0)(b(0))によって得られた符号化系列x(0)を、雑音電力密度n[J]のAWGNチャネルで正確に伝送するために必要となる1ビットあたりのエネルギE (0)[J]は、次式(13)に示すように、1個の実数あたりの雑音の分散"n/2"の2ξ倍となる。
【0049】
【数13】
Figure 0003979105
【0050】
このとき、1個の実数あたりの信号の分散ν(0)は、次式(14)に示すように算出される。
【0051】
【数14】
Figure 0003979105
【0052】
ここで、情報ビット系列b(1)に対する符号化x(1)=x(1)(b(1))によって得られた符号化系列x(1)を、この伝送系に加算して正確に伝送することを考える。符号化系列x(0)は、符号化系列x(1)にとっては無関係であり、雑音としてしかみえないはずであることから、符号化系列x(1)を正確に伝送するために必要となる1ビットあたりのエネルギE (1)[J]を、次式(15)に示すように、元々の雑音と符号x(1)のエネルギの和に対してξ(l)倍に設定する。
【0053】
【数15】
Figure 0003979105
【0054】
このとき、1個の実数あたりの信号の分散ν(1)は、次式(16)に示すように算出される。
【0055】
【数16】
Figure 0003979105
【0056】
さらに、同様の操作として、情報ビット系列b(2)に対する符号化x(2)=x(2)(b(2))によって得られた符号化系列x(2)を、この伝送系に加算して正確に伝送することを考える。符号化系列x(0),x(1)は、符号化系列x(2)にとっては無関係であり、雑音としてしか見えないはずであることから、符号化系列x(2)を正確に伝送するために必要となる1ビットあたりのエネルギE (2)[J]を、次式(17)に示すように、元々の雑音と符号x(0),x(1)のエネルギの和に対してξ(2)倍に設定する。また、このときの1個の実数あたりの信号の分散ν(2)は、次式(18)に示すように算出される。
【0057】
【数17】
Figure 0003979105
【0058】
【数18】
Figure 0003979105
【0059】
以後、同様の操作を情報ビット系列b(L−1)まで行うと、符号化系列x(L−1)を正確に伝送するために必要となる1ビットあたりのエネルギE (L−1)[J]は、次式(19)に示すようになり、このときの1個の実数あたりの信号の分散ν(L−1)は、次式(20)に示すように算出される。
【0060】
【数19】
Figure 0003979105
【0061】
【数20】
Figure 0003979105
【0062】
以上の操作を1つの伝送系としてとらえ、各情報ビット系列に対する平均振幅を"a(i)"とすると、情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}に対する符号化系列は、次式(21)及び次式(22)で表される。
【0063】
【数21】
Figure 0003979105
【0064】
【数22】
Figure 0003979105
【0065】
なお、以下では、符号化系列x(l)をそれぞれ定数a(l)倍した系列を定数倍符号化系列と称し、符号化系列g(b(0),b(1),・・・,b(L−1))を加算符号化系列と称するものとする。なお、この加算符号化系列g(b(0),b(1),・・・,b(L−1))は、数値系列を2つずつ組み合わせた複素数値系列であってもよい。
【0066】
送信装置は、このような原理に基づいて、入力した複数の情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}に対する符号化及び/又は変調を含む変換処理を行い、加算符号化系列g(b(0),b(1),・・・,b(L−1))に変換し、通信路に伝送する。すなわち、送信装置は、入力した複数の情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}のそれぞれに対して所定の変換処理を行い、得られた符号化系列{x(0),x(1),・・・,x(L−1)}のそれぞれに対して定数{a(0),a(1),・・・,a(L−1)}を乗算し、得られた定数倍符号化系列を要素毎に加算して加算符号化系列g(b(0),b(1),・・・,b(L−1))を生成する。
【0067】
このとき、送信装置は、基本的には、上式(22)に示したように、任意の符号化系列x(l)に対して乗算する定数a(l)として、雑音と、それ以前に加算された定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1),・・・,a(l−1)(l−1)と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を介して、符号化系列x(l)が正確に伝送されるように、すなわち、情報ビット系列b(l)に対するビットエラーレートが十分小さくなるように設定する。なお、ここでの定数倍符号化系列a(l)(l)が有する統計的性質とは、分散、確率密度関数及びパワースペクトルの形状等を示すものである。
【0068】
具体的には、定数a(0)は、雑音が加算される通信路を介して符号化系列x(0)を伝送するものとみなしたとき、情報ビット系列b(0)に対するビットエラーレートが十分小さくなるように設定される。また、定数a(1)は、雑音と、定数倍符号化系列a(0)(0)と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を介して符号化系列x(1)を伝送するものとみなしたとき、情報ビット系列b(1)に対するビットエラーレートが十分小さくなるように設定される。さらに、定数a(2)は、雑音と、定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1)と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を介して符号化系列x(2)を伝送するものとみなしたとき、情報ビット系列b(2)に対するビットエラーレートが十分小さくなるように設定される。
【0069】
ここで、情報ビット系列b(l)に対するビットエラーレートが十分小さくなるか否かの基準は、理論的考察によって求めてもよく、シミュレーションによって求めてもよい。なお、十分に小さいビットエラーレートとしては、最終的にシステムとして必要とするビットエラーレートよりも低い値とするのが順当であり、例えば"10−5"程度が望ましい。
【0070】
このように、送信装置は、各情報ビット系列b(l)に対して等しい重みを与えながら定数a(l)を設定することができる。
【0071】
また、送信装置は、符号毎に雑音に対するマージンを変化させて定数a(l)を設定するようにしてもよい。
【0072】
すなわち、送信装置は、任意の符号化系列x(l)に対して乗算する定数a(l)として、想定される雑音に比してG(l)[dB]だけ大きな雑音と、それ以前に加算された定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1),・・・,a(l−1)(l−1)と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を介して、符号化系列x(l)が正確に伝送されるように、すなわち、情報ビット系列b(l)に対するビットエラーレートが十分小さくなるように設定する。
【0073】
具体的には、定数a(0)は、上述したように、雑音が加算される通信路を介して符号化系列x(0)を伝送するものとみなしたとき、情報ビット系列b(0)に対するビットエラーレートが十分小さくなるように設定される。また、定数a(1)は、想定される雑音に比してG(1)[dB]だけ大きい雑音と、定数倍符号化系列a(0)(0)と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を介して符号化系列x(1)を伝送するものとみなしたとき、情報ビット系列b(1)に対するビットエラーレートが十分小さくなるように設定される。さらに、定数a(2)は、想定される雑音に比してG(1)[dB]だけ大きい雑音と、定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1)と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を介して符号化系列x(2)を伝送するものとみなしたとき、情報ビット系列b(2)に対するビットエラーレートが十分小さくなるように設定される。
【0074】
このように、送信装置は、各情報ビット系列b(l)に対して異なる重みを与えながら定数a(l)を容易に設定することができる。この設定方法は、後述するように、各情報ビット系列b(l)の重要度が異なる場合に有効であり、重要な情報ビット系列b(l)ほど、大きい定数a(l)が設定されることになる。
【0075】
なお、送信装置は、例えばレイリーフェージング・チャネル(Rayleigh fading channel)といった変動する通信路を介した伝送を行う場合であっても、上述した方法と同様の操作によって定数a(l)を設定することができる。情報ビット系列b(l)に対するビットエラーレートが十分小さくなるか否かの基準は、所望のビットエラーレートを実現するために必要となるエネルギE[J]が通信路の状態によって変化することから、想定するチャネルモデルを用いた考察やシミュレーションによって判断することができる。また、送信装置は、後述するように、通信路の状態変化に適応的に対応して定数a(l)を設定することもできる。
【0076】
いずれにせよ、送信装置は、所望のビットエラーレートを実現するエネルギE[J]で情報ビット系列b(l)を伝送するために、定数a(l)を符号化系列x(l)に対して乗算する。
【0077】
ここで、このような送信装置によって符号化されて得られる加算符号化系列gの信号点配置について考える。なお、ここでは、説明の便宜上、符号化系列x(l)を生成する際に、系列によらず、BPSK変調方式に基づく信号点のマッピングを行うものとする。
【0078】
符号化系列x(0)は、BPSK変調方式が施されていることから、いわゆるIQ平面におけるI軸上の"1","−1"に信号点が配置される。したがって、定数倍符号化系列a(0)(0)は、図2中黒丸で示すように、I軸上の"a(0)","−a(0)"に信号点が配置されたものとなる。ここで、"a(0)"の絶対値は、系列によって異なるものであることはいうまでもない。
【0079】
したがって、このようなBPSK変調方式が施されて得られる定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1)を加算することによって得られる加算符号化系列a(0)(0)+a(1)(1)の信号点配置は、図3中黒丸で示すように、2=4個の信号点がI軸上に配置された振幅変調方式(Amplitude Shift Keying;以下、ASK変調方式という。)に類似したものとなる。同様に、定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1),a(2)(2)を加算することによって得られる加算符号化系列a(0)(0)+a(1)(1)+a(2)(2)の信号点配置は、図4中黒丸で示すように、2=8個の信号点がI軸上に配置されたASK変調方式に類似したものとなる。最終的には、定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1),a(2)(2),・・・,a(L−1)(L−1)を加算することによって得られる加算符号化系列g(=a(0)(0)+a(1)(1)+a(2)(2)+・・・+a(L−1)(L−1))の信号点配置は、2個の信号点がI軸上に配置されたASK変調方式に類似したものとなる。
【0080】
ここで、通常のASK変調方式においては、図5に4ASK変調方式による場合を示すように、信号点が等間隔に配置される。しかしながら、ここで提案する符号化においては、上述したように、所望のビットエラーレートを実現するエネルギE[J]で情報ビット系列b(l)が伝送されるように定数a(l)を設定しており、これに基づいて信号点を配置した場合には、加算符号化系列gにおける信号点が必ずしも等間隔になるとは限らず、むしろ図3及び図4に示したように非等間隔になる。この正当性について、4ASK変調方式を例に挙げて説明する。
【0081】
信号点が等間隔に配置される必然性を探るために、4ASK変調方式における各信号点を、次式(23)に示すように与え、xを変化させて情報量を求める。ここで、分散は、"1"になるようにしてある。
【0082】
【数23】
Figure 0003979105
【0083】
送信する信号の情報量H[ビット]は、x!=1である場合には、xを変化させるまでもなく次式(24)で表され、2ビットとなる。
【0084】
【数24】
Figure 0003979105
【0085】
一方、通信路が雑音電力密度nのAWGNチャネルであるものとすると、受信側で受信する情報量Iは、受信値を"y"として、次式(25)で表される。なお、次式(25)における"p(y|x)"は、次式(26)で表される。
【0086】
【数25】
Figure 0003979105
【0087】
【数26】
Figure 0003979105
【0088】
信号対雑音比S/Nを"12[dB]"としたときのxの配置に対する情報量を算出すると、図6に示すように、2点の極大値をとる曲線で表される。同図から明らかなように、情報量は、x=1.34,0.45の場合に極大となり、2ビット近傍になる。この状態は、次式(27)に示す信号点が等間隔である通常の4ASK変調方式の場合に相当する。これにより、信号点が等間隔に配置される正当性が示される。なお、同図から明らかなように、情報量は、x=1.0の場合にはBPSK変調方式と同様となり、1ビット以上伝送できないことになる。
【0089】
【数27】
Figure 0003979105
【0090】
続いて、この状態から信号対雑音比S/Nを低下させ、極大となる情報量が1ビットになる信号対雑音比S/Nを求める。すなわち、上述した伝送率Cが"1.0"となる状態を求める。信号対雑音比S/Nを"1.96[dB]"としたときのxの配置に対する情報量は、図7に示すように、xの変化に対して1ビット近傍で緩やかに変化するものとなる。同図における情報量が1ビット近傍である領域を拡大すると、図8に示すように、2点の極大値をとる曲線で表される。同図から明らかなように、情報量は、x=1.4,0.2の場合に極大となり、情報量を最大にする信号点配置は、次式(28)に示すように、非等間隔のものであることがわかる。
【0091】
【数28】
Figure 0003979105
【0092】
これらの事実は、最適な信号点配置が信号対雑音比S/Nに依存して決定されることを示している。すなわち、ここで提案する符号化においては、所望のビットエラーレートを実現するエネルギE[J]で情報ビット系列b(l)が伝送されるように定数a(l)を設定する際に、信号点が等間隔に配置される既存のマッピング方式に拘泥することなく、信号点が非等間隔に配置されるマッピングを行う方が特性が向上することになる。なお、信号対雑音比S/Nを極度に低下させた場合には、信号点配置は、次式(29)に示すように、いわば3ASK変調方式といえる状態になることを確認した。
【0093】
【数29】
Figure 0003979105
【0094】
このように、送信装置は、所望のビットエラーレートを実現するエネルギE[J]で情報ビット系列b(l)を伝送するために、定数a(l)を符号化系列x(l)に対して乗算し、得られた定数倍符号化系列a(l)(l)を加算することにより、信号点が非等間隔に配置された加算符号化系列gを生成する。勿論、送信装置は、信号点が等間隔に配置された加算符号化系列gを生成することもあり、これは、上述したように、信号対雑音比S/Nに依存して決定される。
【0095】
ここで、L個の情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}が伝送されることによる合計の伝送率を"C'"とすると、伝送率C'は、次式(30)で表される。
【0096】
【数30】
Figure 0003979105
【0097】
そして、情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}が要している平均の1ビットあたりの情報のエネルギを"Eb・ave[J]"とすると、このエネルギEb・ave[J]は、次式(31)で表される。
【0098】
【数31】
Figure 0003979105
【0099】
このとき、エラーレートを"0"とするために必要となる最小の1ビットあたりの信号対雑音電力比Eb・ave/nの値を"ξave'"とすると、このξave'は、次式(32)で表される。
【0100】
【数32】
Figure 0003979105
【0101】
ここで、L個の符号化系列{x(0),x(1),・・・,x(L−1)}が次式(33)で表されるシャノンの限界式を満たしているものとする。
【0102】
【数33】
Figure 0003979105
【0103】
したがって、上式(33)を上式(32)に代入すると、次式(34)が得られる。
【0104】
【数34】
Figure 0003979105
【0105】
これは、L個の符号化系列{x(0),x(1),・・・,x(L−1)}がシャノンの限界式を満たしている場合には、送信装置によって最終的に生成された符号も同様にシャノンの限界式を満たすものとなることを示している。
【0106】
このように、送信装置は、シャノンの限界式を満たす符号を生成することができるものである。
【0107】
さて、以下では、このような符号化を行う送信装置の現実的な具体的構成について詳述する。なお、ここでは、説明の便宜上、送信装置は、3つの情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}を入力するものとする。
【0108】
例えば図9に示すように、送信装置10は、情報ビット系列b(i)を入力して符号化系列x(i)へと変換する3つの変換器11,11,11と、これらの変換器11,11,11のそれぞれによって変換されて得られた符号化系列x(i)に対して定数a(i)を乗算する3つの乗算器12,12,12と、乗算器12によって乗算されて得られた定数倍符号化系列a(0)(0)と乗算器12によって乗算されて得られた定数倍符号化系列a(1)(1)とを要素毎に加算する加算器13と、この加算器13によって加算されて得られた加算符号化系列a(0)(0)+a(1)(1)と乗算器12によって乗算されて得られた定数倍符号化系列a(2)(2)とを要素毎に加算する加算器13と、この加算器13によって加算されて得られた加算符号化系列g(=a(0)(0)+a(1)(1)+a(2)(2))を外部へと送信する送信部14とを備える。
【0109】
なお、入力される情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}は、互いに独立した3チャンネルの情報であってもよく、1つの情報ビット系列を3つに分割したものであってもよい。また、これらの情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}は、同一ビット数であっても互いに異なるビット数であってもよく、各ビット数をN,N,Nとする。
【0110】
変換器11,11,11は、それぞれ、ここでは図示しないが、所定の符号化器と変調器とを有し、入力したN,N,Nビットからなる情報ビット系列b(0),b(1),b(2)を"1","−1"からなるユークリッド空間における信号へと変換する。変換器11,11,11は、それぞれ、この変換処理として、いかなる符号化及び変調を行ってよく、極言すれば、情報ビット系列b(0),b(1),b(2)を符号化することなく変調してもよい。いずれにせよ、変換器11,11,11は、それぞれ、N,N,Nビットからなる情報ビット系列b(0),b(1),b(2)をM個の数値からなる符号化系列に変換する。
【0111】
このような変換器11,11,11としては、例えば図10に示すように、いわゆるターボ符号と称される並列連接畳み込み符号(Parallel Concatenated Convolutional Codes;以下、PCCCという。)及びBPSK変調方式を行うものが考えられる。
【0112】
この変換器11は、同図に示すように、例えば畳み込み演算を行う2つの要素符号化器21,21と、入力したデータの順序を並べ替えるインターリーバ22と、入力したデータを適宜間引くパンクチャ器23と、入力したデータの順序を並べ替えるチャネル用のチャネル・インターリーバ24と、BPSK変調方式に基づいて信号点のマッピングを行うBPSKマッピング器25とを有する。
【0113】
要素符号化器21,21は、例えば再帰的な畳み込み演算を行うものとして構成される。要素符号化器21,21は、互いに同一のものであっても異なるものであってもよい。要素符号化器21,21としては、例えば図11に示すように、2つの排他的論理和回路31,31と、2つのシフトレジスタ32,32とを有する要素符号化器21が考えられる。
【0114】
この要素符号化器21において、排他的論理和回路31は、インターリーバ22が要する処理時間と同時間だけ遅延された情報ビット系列b(i)を構成する情報ビットb (i)又はインターリーバ22から供給されたインターリーブデータと、シフトレジスタ32,32から供給されるデータとを用いて排他的論理和演算を行い、演算結果を排他的論理和回路31及びシフトレジスタ32に供給する。
【0115】
また、排他的論理和回路31は、排他的論理和回路31から供給されるデータとシフトレジスタ32から供給されるデータとを用いて排他的論理和演算を行い、演算結果を出力データとして外部に出力する。
【0116】
さらに、シフトレジスタ32は、保持している1ビットのデータを排他的論理和回路31及びシフトレジスタ32に供給し続ける。そして、シフトレジスタ32は、クロックに同期させて、排他的論理和回路31から供給される1ビットのデータを新たに保持し、このデータを排他的論理和回路31及びシフトレジスタ32に新たに供給する。
【0117】
さらにまた、シフトレジスタ32は、保持している1ビットのデータを排他的論理和回路31及び排他的論理和回路31に供給し続ける。そして、シフトレジスタ32は、クロックに同期させて、シフトレジスタ32から供給される1ビットのデータを新たに保持し、このデータを排他的論理和回路31及び排他的論理和回路31に新たに供給する。
【0118】
このような要素符号化器21からなる要素符号化器21は、情報ビット系列b (i)を入力すると、各情報ビットb (i)に対して畳み込み演算を行い、演算結果を1ビットの出力データDaとして後段のパンクチャ器23に出力する。また、要素符号化器21も、要素符号化器21と同様に、インターリーバ22から供給されるインターリーブデータDbを入力すると、各ビットデータに対して畳み込み演算を行い、演算結果を1ビットの出力データDcとして後段のパンクチャ器23に出力する。
【0119】
インターリーバ22は、情報ビット系列b(i)を入力し、この情報ビット系列b(i)を構成する情報ビットb (i)の順序を予め格納している置換位置情報に基づいて並べ替え、インターリーブデータDbを生成する。インターリーバ22は、生成したインターリーブデータDbを要素符号化器21に供給する。
【0120】
パンクチャ器23は、要素符号化器21,21から供給された2系列の出力データDa,Dcを所定の規則に基づいて択一的に選択することによって間引き、ビット数が削減されたパンクチャデータDdとしてチャネル・インターリーバ24に供給する。
【0121】
チャネル・インターリーバ24は、要素符号化器21、インターリーバ22及びパンクチャ器23が要する処理時間と同時間だけ遅延された情報ビット系列b(i)と、パンクチャ器23から供給されたパンクチャデータDdとを入力し、これらの情報ビット系列b(i)を構成する情報ビットb (i)及びパンクチャデータDdを構成する各ビットデータの順序を予め格納している置換位置情報に基づいて並べ替え、MビットからなるインターリーブデータDeを生成する。チャネル・インターリーバ24は、生成したインターリーブデータDeをBPSKマッピング器25に供給する。なお、このチャネル・インターリーバ24は、必ずしも必要なものではなく、例えばバースト的に生じる誤りを分散させることによって特性を向上させることを主目的として設けられるものである。
【0122】
BPSKマッピング器25は、チャネル・インターリーバ24から供給されたインターリーブデータDeを、クロックに同期させて、BPSK変調方式の伝送シンボルにマッピングする。マッピング器25は、生成した伝送シンボルを符号化系列x(i)として外部に出力する。
【0123】
このような変換器11は、情報ビット系列b(i)を入力すると、この情報ビット系列b(i)を組織成分データとして、チャネル・インターリーバ24に供給するとともに、要素符号化器21による情報ビット系列b(i)の畳み込み演算の結果得られる出力データDaと、要素符号化器21によるインターリーブデータDbの畳み込み演算の結果得られる出力データDcとをパンクチャしてチャネル・インターリーバ24に供給する。そして、変換器11は、チャネル・インターリーバ24から供給されたインターリーブデータDeをBPSK変調方式の伝送シンボルにマッピングし、符号化系列x(i)として外部に出力する。
【0124】
以下では、説明の便宜上、変換器11,11,11は、同一のものであるものとし、同図に示す変換器11であるものとして説明する。
【0125】
すなわち、このような変換器11からなる変換器は、入力したNビットからなる情報ビット系列b(0)をM次元実数ベクトル空間に配置するように変換して得られたM個の数値からなる符号化系列x(0)を乗算器12に供給する。また、変換器11からなる変換器は、入力したNビットからなる情報ビット系列b(1)をM次元実数ベクトル空間に配置するように変換して得られたM個の数値からなる符号化系列x(1)を乗算器12に供給する。さらに、変換器11からなる変換器は、入力したNビットからなる情報ビット系列b(2)をM次元実数ベクトル空間に配置するように変換して得られたM個の数値からなる符号化系列x(2)を乗算器12に供給する。
【0126】
乗算器12は、変換器11から供給された符号化系列x(0)に対して、上述した方法に基づいて設定された定数a(0)を乗算する。乗算器12は、乗算して得られた定数倍符号化系列a(0)(0)を加算器13に供給する。
【0127】
乗算器12は、乗算器12と同様に、変換器11から供給された符号化系列x(1)に対して、上述した方法に基づいて設定された定数a(1)を乗算する。乗算器12は、乗算して得られた定数倍符号化系列a(1)(1)を加算器13に供給する。
【0128】
乗算器12は、乗算器12,12と同様に、変換器11から供給された符号化系列x(2)に対して、上述した方法に基づいて設定された定数a(2)を乗算する。乗算器12は、乗算して得られた定数倍符号化系列a(2)(2)を加算器13に供給する。
【0129】
加算器13は、乗算器12から供給された定数倍符号化系列a(0)(0)と、乗算器12から供給された定数倍符号化系列a(1)(1)とを要素毎にユークリッド的に加算する。加算器13は、加算して得られた加算符号化系列a(0)(0)+a(1)(1)を加算器13に供給する。
【0130】
加算器13は、加算器13から供給された加算符号化系列a(0)(0)+a(1)(1)と、乗算器12から供給された定数倍符号化系列a(2)(2)とを要素毎にユークリッド的に加算する。加算器13は、加算して得られた最終的な加算符号化系列g(=a(0)(0)+a(1)(1)+a(2)(2))を送信部14に供給する。
【0131】
送信部14は、外部へとデータを送信するインターフェースである。送信部14は、加算器13から供給された加算符号化系列gを送信信号g'として、外部へと送信する。
【0132】
このような送信装置10は、3つの情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}を入力すると、これらの情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}に対して所定の符号化を施し、所望のビットエラーレートを実現するエネルギE[J]で情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}をそれぞれ伝送するために、得られた符号化系列{x(0),x(1),x(2)}に対して定数{a(0),a(1),a(2)}を乗算する。そして、送信装置10は、得られた定数倍符号化系列{a(0)(0),a(1)(1),a(2)(2)}を加算して加算符号化系列gを生成する。この送信装置10によって得られた加算符号化系列gからなる送信信号は、通信路を伝送する際に雑音nが加算され、後述する受信装置へと到達する。
【0133】
つぎに、データ送受信システムにおける受信装置について説明する。この受信装置は、次式(35)に示すように、送信装置によって伝送された加算符号化系列gからなる送信信号に対して雑音nが加算された受信値y(L)を受信し、少なくとも1つの情報ビット系列b(l)に対する復号を可能とするものである。特に、受信装置は、受信値y(L)を受信すると、送信装置によって符号化された情報ビット系列b(l)のうち、少なくとも、最後に加算されて最も大きい情報ビットエネルギEで伝送された系列である最高次の情報ビット系列b(L−1)に対する復号を可能とするものである。
【0134】
【数35】
Figure 0003979105
【0135】
この受信装置は、一般的には図12に示す構成にしたがって実現することができる。すなわち、同図に示す受信装置50は、上述した送信装置における各変換器に対応するL個の復号器51L−1,51L−2,・・・,51と、上述した送信装置における各変換器と同一のL−1個の変換器52L−1,52L−2,・・・,51と、上述した送信装置における各乗算器と同一のL−1個の乗算器53L−1,53L−2,・・・,53と、L−1個の差分器54L−1,54L−2,・・・,54とを備えるものである。
【0136】
受信装置50は、まず最初に情報ビット系列b(L−1)に対する復号を行う。情報ビットエネルギE (L−1)は、上述したように、雑音nと符号x(0)から符号x(L−2)までの電力密度の和に対してξ倍に設定されていることから、受信装置50は、エラーレートが"0"又は"0"に十分近い値で復号することができる。受信装置50は、図示しない受信部を介して入力した受信値y(L)を用いて、復号器51L−1によって情報ビット系列b(L−1)に対する復号を正確に行ったものとすると、復号の結果得られた情報ビット系列b(L−1 を変換器52L−1によって再符号化し、得られた符号化系列x(L−1)に対して乗算器53L−1によって定数a(L−1)を乗算する。そして、受信装置50は、乗算器53L−1から出力された定数倍符号化系列a(L−1)(L−1)を受信値y(L)から差分器54L−1によって要素毎に差分する。これにより、受信装置50は、次式(36)に示すように、送信装置によって情報ビット系列b(L−2)まで符号化して得られた符号を受信した場合における受信値と等価な情報y(L−1)を得ることができる。
【0137】
【数36】
Figure 0003979105
【0138】
同様に、受信装置50は、情報y(L−1)を用いて、復号器51L−2によって情報ビット系列b(L−2)に対する復号を正確に行ったものとすると、復号の結果得られた情報ビット系列b(L−2)を変換器52L−2によって再符号化し、得られた符号化系列x(L−2)に対して乗算器53L−2によって定数a(L−2)を乗算する。そして、受信装置50は、乗算器53L−2から出力された定数倍符号化系列a(L−2)(L−2)を情報y(L−1)から差分器54L−2によって要素毎に差分する。これにより、受信装置50は、情報ビット系列b(L−2)に対する復号を行うことができるとともに、次式(37)に示すように、送信装置によって情報ビット系列b(L−3)まで符号化して得られた符号を受信した場合における受信値と等価な情報y(L−2)を得ることができる。
【0139】
【数37】
Figure 0003979105
【0140】
そして、受信装置50は、同様の操作を繰り返すことによって順次情報ビット系列b(l)に対する復号を行うことができ、最後の情報ビット系列b)0)については、次式(38)に示すように、送信装置によって情報ビット系列b(0)まで符号化して得られた符号を受信した場合における受信値と等価な情報y(1)を得ることができ、情報ビット系列b)0)に対する復号を行うことができる。
【0141】
【数38】
Figure 0003979105
【0142】
このように、受信装置50は、受信値y(L)を入力すると、最高次の情報ビット系列b(L−1)に対する復号から行うとともに、この情報ビット系列b(L−1)を再符号化し、得られた符号化系列x(L−1)に対して定数a(L−1)を乗算し、さらに、受信値y(L)から定数倍符号化系列a(L−1)(L−1)を差し引くことにより、次の次数の情報ビット系列b(L−2)に対する復号を行うことができる。受信装置50は、このような操作を最後の情報ビット系列b(0)まで繰り返すことによって全ての情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}に対する復号を行うことができる。
【0143】
また、受信装置50は、全ての情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}に対する復号を行うのではなく、少なくとも最高次の情報ビット系列b(L−1)に対する復号のみを行うといったように、最高次から所定次数までの情報ビット系列b(l)に対する復号のみを行うようにしてもよい。
【0144】
これは、例えば、種々の解像度を有する画像データを送信装置によって符号化して伝送し、受信装置50によって復号して表示するアプリケーションを想定した場合等に有効である。すなわち、送信装置は、同一内容である画像データについて複数の解像度のものを用意し、これらの複数の画像データのそれぞれを、複数の情報ビット系列b(l)として符号化する。このとき、送信装置は、最も解像度の高い画像データを最も次数の低い情報ビット系列b(0)として符号化し、順次解像度が低くなる順序で符号化する。すなわち、送信装置は、解像度が低い画像データほど重要度が高いものとし、振幅を大きくした状態で伝送する。
【0145】
これに応じて、受信装置50は、受信値y(L)を入力すると、情報ビット系列b(l)に対する復号を順次行い、当該受信装置50が有する表示器の解像度に応じた画像データを表す情報ビット系列b(l)に対する復号が終了すると、それよりも低次の情報ビット系列b(l)に対する復号を行うことなく処理を終了する。これにより、受信装置50は、自己が表示可能な画像データのみを選択的に復号して表示することが可能となる。
【0146】
このように、受信装置50は、全ての情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}に対する復号を行うのではなく、重要度の高い高次の情報ビット系列b(L−1)に対する復号のみを行うこともできる。
【0147】
ところで、シャノン限界を満足する符号は、ある信号対雑音電力比E/nを境として誤りが完全になくなり、この信号対雑音電力比E/nを下回ると急激に誤りを生じることが知られている。ここで、符号全体として所要とする信号対雑音電力比E/nを少しでも下回る通信路を介して伝送を行った場合には、受信装置は、最初の復号である最高次の情報ビット系列b(L−1)に対する復号を行う際に壊滅的な誤りを引き起こし、それよりも低次の情報ビット系列b(L−2),・・・,情報ビット系列b(0)については、全く復号することができなくなる。一方、符号全体として所要とする信号対雑音電力比E/nを少しでも上回る通信路を介して伝送を行った場合には、受信装置は、全ての情報ビット系列b(l)に対してエラーレートを"0"として復号を行うことができる。
【0148】
しかしながら、現存する実際の符号においては、これほど急激な特性を得ることはできないのが現状である。ただし、このような場合であっても、原符号がいわゆる最大事後確率(Maximum A Posteriori probability;以下、MAPという。)復号又はこれに準ずる復号を行えるものであれば、誤りが多少なりとも残存してしまう現実の符号に対する復号を行うことができる。
【0149】
そこで、データ送受信システムにおいては、現実的な受信装置として、MAP復号を利用したものを提案する。
【0150】
MAP復号においては、送信信号の候補に対する受信値の尤度(likelihood)を入力として、受信値から推測される情報ビットの事後確率情報(a posteriori probability information)が求められる。データ送受信システムにおける伝送系は、次式(39)で表される。MAP復号においては、情報ビット系列b(i)に対する復号を行うとき、この情報ビット系列b(i)に対する尤度は、次式(40)に示す条件付き確率P(y(L)|b(i))で表される。
【0151】
【数39】
Figure 0003979105
【0152】
【数40】
Figure 0003979105
【0153】
ここで、上式(40)における"Σ"は、i段目を除く全てのl段目で、全ての情報ビット系列b(l)の候補に関して和をとることを示す演算子である。また、上式(40)における"P(b(j))"は、情報ビット系列b(j)が生じる確率である。なお、復号を開始する段階においては、どの符号が受信されるのかが不明であることから、確率P(b(j))の初期値は、次式(41)で表される。
【0154】
【数41】
Figure 0003979105
【0155】
受信装置においては、高次の符号から復号することにより、MAP復号を行うことによって得られる事後確率情報は、次の復号の尤度算出に利用することができる。そのため、受信装置においては、復号結果に多少のあやふやな誤りが残存している場合であっても、次段の復号時にそれを加味した復号を行うことができる。このとき、受信装置においては、次段の復号時においては前段の復号による悪影響が受継されるが、特性の劣化が緩やかであることから壊滅的な影響にはならない。
【0156】
上式(40)に示した系列全体についての尤度からM次元の要素毎の尤度に分解すると、尤度は、次式(42)で表される。
【0157】
【数42】
Figure 0003979105
【0158】
ここで、上式(42)における"P(x (l))"は、情報ビット系列b(j)に対する符号語のM次元ベクトルのk番目の要素が"x (l)"となる確率である。また、上式(42)における"Σ"は、i段目を除く全てのl段目で、起こり得る全ての要素x (l)に関して和をとることを示す演算子である。なお、前段で全く曖昧さを残存させずに復号できた場合には、ある特定の要素x (j)についてP(x (j))=1となることから、この演算は、再符号化してキャンセルすることと等価である。
【0159】
このように、受信装置は、原符号がMAP復号を行えるものであれば、ある情報ビット系列b(l)に対するMAP復号結果を他の情報ビット系列に対する尤度算出に反映させることにより、全ての情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}に対する復号を行うことができる。
【0160】
なお、レイリーフェージング・チャネルといった変動する通信路を介した伝送を行う場合には、原符号の所要とする信号対雑音電力比E/nは、AWGNチャネルに比べ、若干劣化する。この場合、送信側においては、対応する通信路で求めた所要とする信号対雑音電力比E/(n+2ν)で符号を構成すればよい。ただし、高次の符号に関する雑音源は、上述したように、熱雑音とより低次の符号であることから、低次の符号は、高次の符号とともにレベル変動を生じている。そのため、高次の符号の変動の偏差(deviation)は、小さくなり、所要とする信号対雑音電力比E/(n+2ν)は、小さくなる傾向にある。この結果、符号全体として所要とする信号対雑音電力比E/(n+2ν)は、単一の符号としての信号対雑音電力比E/nの劣化よりも小さくなることが期待される。そこで、変動する通信路での振幅fを次式(43)で表すと、受信値yは、次式(44)で表される。したがって、尤度は、次式(45)で表される。
【0161】
【数43】
Figure 0003979105
【0162】
【数44】
Figure 0003979105
【0163】
【数45】
Figure 0003979105
【0164】
さて、以下では、このような復号を行う受信装置の現実的な具体的構成について詳述する。なお、ここでは、説明の便宜上、受信装置は、上述した送信装置10によって符号化されて伝送された送信信号g'に対して雑音nが加算された受信値yからなる受信信号y'を受信するものとする。すなわち、受信装置は、3つの情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}の軟判定(soft-decision)値を復号して得るものとする。
【0165】
例えば図13に示すように、受信装置60は、外部から伝送されてきた受信信号y'を入力する受信部61と、上述した送信装置10における変換器11,11,11によるPCCCに対応したターボ復号を行う3つの復号器62,62,62とを備える。
【0166】
受信部61は、外部からデータを受信するインターフェースである。受信部61は、受信信号y'を入力すると、受信値yとして、復号器62,62,62に供給する。
【0167】
復号器62,62,62は、それぞれ、送信装置10における変換器11,11,11に対応して備えられるものである。復号器62,62,62は、それぞれ、受信値yから受信シンボルに関する尤度を算出する尤度算出部63,63,63を有し、上述した送信装置10における変換器11,11,11によるPCCCに対応したターボ復号を行うことによって情報ビットに対する事後確率情報を求める。これらの復号器62,62,62については、後に詳述するものとする。
【0168】
このような受信装置60は、復号器62,62,62のそれぞれから符号化系列に対する事後確率情報P(x(0)|y),P(x(1)|y),P(x(2)|y)が出力され、これらの事後確率情報P(x(0)|y),P(x(1)|y),P(x(2)|y)が、それぞれ、各符号化系列{x(0),x(1),x(2)}に対する事前確率情報(a priori probability information)P(x(0)),P(x(1)),P(x(2))として、他の復号器に対して入力されることに特徴を有するものである。ここで、初期状態においては、復号器62,62,62のそれぞれに入力される事前確率情報P(x(0)),P(x(1)),P(x(2))は、確率が未知であることを示す値に初期化される。ここでは、符号化系列{x(0),x(1),x(2)}の各要素は、送信装置10によってBPSK変調方式に基づく信号点のマッピングが施されていることから、P(x(l)=1|y)=P(x(l)=1)=0.5,P(x(l)=−1|y)=P(x(l)=−1)=0.5とする。
【0169】
受信装置60は、受信値yを入力すると、まず最初にこの受信値yを復号器62に供給する。また、受信装置60においては、復号器62には、符号化系列x(0)に対する事前確率情報P(x(0))と符号化系列x(1)に対する事前確率情報P(x(1))とが入力される。受信装置60においては、復号器62により、これらの受信値y及び事前確率情報P(x(0)),P(x(1))を用いてターボ復号を行い、符号化系列x(2)に対する事後確率情報P(x(2)|y)及び情報ビット系列b(2)に対する事後確率情報P(b(2)|y)を生成する。そして、受信装置60においては、事後確率情報P(x(2)|y)が復号器62から復号器62,62に対して、符号化系列x(2)に対する事前確率情報P(x(2))として供給されるとともに、事後確率情報P(b(2)|y)が軟出力(soft-output)として外部に出力される。
【0170】
続いて、受信装置60は、復号器62が要する処理時間と同時間だけ遅延された受信値yを復号器62に供給する。また、受信装置60においては、復号器62には、符号化系列x(0)に対する事前確率情報P(x(0))と復号器62によって生成された符号化系列x(2)に対する事前確率情報P(x(2))とが入力される。受信装置60においては、復号器62により、これらの受信値y及び事前確率情報P(x(0)),P(x(2))を用いてターボ復号を行い、符号化系列x(1)に対する事後確率情報P(x(1)|y)及び情報ビット系列b(1)に対する事後確率情報P(b(1)|y)を生成する。そして、受信装置60においては、事後確率情報P(x(1)|y)が復号器62から復号器62及び必要に応じて復号器62に対して、符号化系列x(1)に対する事前確率情報P(x(1))として供給されるとともに、事後確率情報P(b(1)|y)が軟出力として外部に出力される。
【0171】
そして、受信装置60は、復号器62及び復号器62が要する処理時間と同時間だけ遅延された受信値yを復号器62に供給する。また、受信装置60においては、復号器62には、復号器62によって生成された符号化系列x(2)に対する事前確率情報P(x(2))と復号器62によって生成された符号化系列x(2)に対する事前確率情報P(x(2))とが入力される。受信装置60においては、復号器62により、これらの受信値y及び事前確率情報P(x(1)),P(x(2))を用いてターボ復号を行い、符号化系列x(0)に対する事後確率情報P(x(0)|y)及び情報ビット系列b(0)に対する事後確率情報P(b(0)|y)を生成する。そして、受信装置60においては、事後確率情報P(x(0)|y)が復号器62から必要に応じて復号器62,62に対して、符号化系列x(0)に対する事前確率情報P(x(0))として供給されるとともに、事後確率情報P(b(0)|y)が軟出力として外部に出力される。
【0172】
受信装置60は、このような動作を行うことにより、事後確率情報P(b(2)|y),P(b(1)|y),P(b(0)|y)の順序で復号することができる。受信装置60は、これらの事後確率情報P(b(2)|y),P(b(1)|y),P(b(0)|y)を図示しない硬判定(hard-decision)器によって2値化することにより、情報ビット系列b(2),b(1),b(0)を得ることができる。なお、受信装置60は、基本的には、高次の情報ビット系列b(2)から順次1回のみ復号を行うが、いわゆるジグザグ復号や繰り返し復号を行うこともできる。これについては、後述するものとする。
【0173】
以下、ターボ復号を行う復号器62,62,62について説明する。まず、受信装置60に適用する復号器62,62,62の特徴を明確化すべく、1つの符号化系列についてターボ復号を行う通常のターボ復号器について説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、先に図10に示した変換器11に対応するターボ復号器について説明する。
【0174】
図14に示すように、通常のターボ復号器70は、入力したデータの順序を元に戻すチャネル用のチャネル・デインターリーバ71と、間引かれたデータを回復するデパンクチャ器72と、入力したデータの順序を並べ替える2つのインターリーバ73,75と、MAP復号を行う2つのMAP復号器74,76と、入力したデータの順序を元に戻すデインターリーバ77とを有する。
【0175】
チャネル・デインターリーバ71は、上述した変換器11のようにチャネル・インターリーバ24が設けられた場合に対応して設けられるものである。チャネル・デインターリーバ71は、受信値yを入力し、変換器11におけるチャネル・インターリーバ24によってインターリーブされたインターリーブデータDeのビット配列を、それぞれ、元の情報ビット系列b(i)及びパンクチャデータDdのビット配列に戻すように、受信値yにデインターリーブを施す。チャネル・デインターリーバ71は、デインターリーブして得られた情報ビット系列b(i)に対応する系列Dfをインターリーバ73及びMAP復号器74に供給するとともに、得られたパンクチャデータDdに対応する系列Dgをデパンクチャ器72に供給する。
【0176】
デパンクチャ器72は、チャネル・デインターリーバ71から供給された系列Dgに対して、変換器11におけるパンクチャ器23によって間引きされたビットに相当する箇所に例えば"0.0"を挿入することによって回復し、変換器11における要素符号化器21,21から出力された2系列の出力データDa,Dcに対応する2つの系列Dh,Diを生成する。デパンクチャ器72は、生成した系列DhをMAP復号器74に供給するとともに、系列DiをMAP復号器76に供給する。
【0177】
インターリーバ73は、チャネル・デインターリーバ71から供給された系列Dfを入力し、この系列Dfに対して、変換器11におけるインターリーバ22と同一の置換位置情報に基づいたインターリーブを施す。インターリーバ73は、生成した系列DjをMAP復号器76に供給する。
【0178】
MAP復号器74は、変換器11における要素符号化器21に対応して設けられるものである。MAP復号器74は、チャネル・デインターリーバ71から供給された情報ビット系列b(i)に対応する軟入力(soft-input)の系列Df及びデパンクチャ器72から供給された軟入力の系列Dhを入力するとともに、デインターリーバ77から供給された軟入力の情報ビットに対する事前確率情報Aprを入力し、これらの系列Df,Dh及び事前確率情報Aprを用いて、MAP復号を行う。そして、MAP復号器74は、符号の拘束条件によって求められる情報ビット系列に対するいわゆる外部情報(extrinsic information)Extを生成し、この外部情報Extをインターリーバ75に軟出力として出力する。なお、この外部情報Extは、尤度の増分を示すものである。
【0179】
インターリーバ75は、MAP復号器74から供給された軟入力である情報ビット系列に対する外部情報Extに対して、変換器11におけるインターリーバ22と同一の置換位置情報に基づいたインターリーブを施す。インターリーバ75は、生成したインターリーブデータをMAP復号器76における情報ビットに対する事前確率情報Aprとして出力する。
【0180】
MAP復号器76は、変換器11における要素符号化器21に対応して設けられるものである。MAP復号器76は、インターリーバ73から供給された情報ビット系列b(i)に対応する軟入力の系列Dj及びデパンクチャ器72から供給された軟入力の系列Diを入力するとともに、インターリーバ75から供給された軟入力の情報ビットに対する事前確率情報Aprを入力し、これらの系列Di,Dj及び事前確率情報Aprを用いて、MAP復号を行う。そして、MAP復号器76は、符号の拘束条件によって求められる情報ビット系列に対する外部情報Extを生成し、この外部情報Extをデインターリーバ77に軟出力として出力する。なお、この外部情報Extは、外部情報Extと同様に、尤度の増分を示すものである。また、MAP復号器76は、所定の繰り返し回数での繰り返し復号の結果得られた軟出力の外部情報に基づいて、情報ビットに対する事後確率情報P(b|y)を生成し、復号データとして出力する。
【0181】
デインターリーバ77は、変換器11におけるインターリーバ22によってインターリーブされたインターリーブデータDbのビット配列を、元の情報ビット系列b(i)のビット配列に戻すように、MAP復号器76から供給された軟入力の外部情報Extにデインターリーブを施す。デインターリーバ77は、生成したデインターリーブデータをMAP復号器74における情報ビットに対する事前確率情報Aprとして出力する。
【0182】
このようなターボ復号器70において、MAP復号器74,76は、情報ビット系列b(i)及びパンクチャデータDdに対応する軟入力の系列と軟入力の情報ビットに対する事前確率情報Apr,Aprとを用いて、時刻jにおいて情報ビットが"b"である確率、すなわち、事後確率情報Apo(b)を算出する。MAP復号器74,76は、次式(46)に示すように、事後確率情報Apo(b)を算出する。
【0183】
【数46】
Figure 0003979105
【0184】
なお、上式(46)においては、事前確率情報Apr(b)を次式(47)のように定義している。
【0185】
【数47】
Figure 0003979105
【0186】
符号xは、情報ビットbが決定されればx=x(b)で表される符号化によって一意に生成されることから、上式(46)は、第2行目から第3行目にかけて示すように変換される。また、上式(46)における"Σ"は、c={c,c,・・・,cN−1}が符号語であり、且つ、時刻jにおいて情報ビットが"b"となっている全ての系列に関して和をとることを示す演算子である。
【0187】
ここで、上式(46)における第5行目は、次式(48)に示すように、事後確率情報Apo(b)に比例しているだけであることから、事後確率情報Apo(b)は、最終的には次式(49)に示すように正規化する必要がある。
【0188】
【数48】
Figure 0003979105
【0189】
【数49】
Figure 0003979105
【0190】
このように、MAP復号器74,76は、事前確率情報Apr(b)=P(b)と送信シンボルの候補に対する受信シンボルの尤度L=p(y|x)とを用いることにより、事後確率情報Apo(b)を算出することができる。なお、尤度Lは、例えば通信路がAWGNチャネルである場合には、雑音の確率密度関数を次式(50)で表すものとすれば、次式(51)に示すように求められる。
【0191】
【数50】
Figure 0003979105
【0192】
【数51】
Figure 0003979105
【0193】
ターボ復号器70において、MAP復号器74,76は、このようにして算出した事後確率情報Apo(b)と事前確率情報Apr,Aprとの差分を上述した外部情報Ext,Extとして出力する。
【0194】
このようなMAP復号器74,76を備えるターボ復号器70は、受信値yを受信すると、所定の繰り返し回数での繰り返し復号を行い、この復号動作の結果得られた軟出力の外部情報に基づいて、MAP復号器76から情報ビットに対する事後確率情報P(b|y)を復号データとして出力する。
【0195】
さて、上述した受信装置60においては、このようなターボ復号器70を改良して復号器62,62,62を構成する。なお、ここでは、説明の便宜上、先に図10に示した変換器11に対応するターボ復号を行う復号器62について説明する。
【0196】
図15に示すように、復号器62は、入力したデータの順序を元に戻すチャネル用のチャネル・デインターリーバ81と、間引かれたデータを回復するデパンクチャ器82と、入力したデータの順序を並べ替える2つのインターリーバ83,85と、MAP復号を行う2つのMAP復号器84,86と、入力したデータの順序を元に戻すデインターリーバ87と、入力したデータを適宜間引くパンクチャ器88と、入力したデータの順序を並べ替えるチャネル用のチャネル・インターリーバ89とを有する。
【0197】
チャネル・デインターリーバ81は、上述したターボ復号器70におけるチャネル・デインターリーバ71と同様に、上述した変換器11におけるチャネル・インターリーバ24に対応して設けられるものである。チャネル・デインターリーバ81は、受信値y並びに符号化系列x(1)に対する事前確率情報P(x(1))及び符号化系列x(2)に対する事前確率情報P(x(2))を入力し、変換器11におけるチャネル・インターリーバ24によってインターリーブされたインターリーブデータDeのビット配列を、それぞれ、元の情報ビット系列b(i)及びパンクチャデータDdのビット配列に戻すように、受信値y及び事前確率情報P(x(1)),P(x(2))にデインターリーブを施す。チャネル・デインターリーバ81は、デインターリーブして得られた情報ビット系列b(i)に対応する受信値y及び事前確率情報P(x(1)),P(x(2))のそれぞれについての3つの系列Dk,Dk,Dkをインターリーバ83及びMAP復号器84に供給するとともに、得られたパンクチャデータDdに対応する受信値y及び事前確率情報P(x(1)),P(x(2))のそれぞれについての3つの系列Dl,Dl,Dlをデパンクチャ器82に供給する。
【0198】
デパンクチャ器82は、上述したターボ復号器70におけるデパンクチャ器72と同様に、チャネル・デインターリーバ81から供給された系列Dlに対して、変換器11におけるパンクチャ器23によって間引きされたビットに相当する箇所に例えば"0.0"を挿入することによって回復し、変換器11における要素符号化器21から出力された出力データDaに対応する受信値yについての系列Dmを生成するとともに、要素符号化器21から出力された出力データDcに対応する受信値yについての系列Dnを生成する。また、デパンクチャ器82は、チャネル・デインターリーバ81から供給された系列Dl,Dlに対して、変換器11におけるパンクチャ器23によって間引きされたビットに相当する箇所をP(x(l)=1)=0.5,P(x(l)=−1)=0.5として挿入することによって回復し、変換器11における要素符号化器21から出力された出力データDaに対応する事前確率情報P(x(1)),P(x(2))のそれぞれについての2つの系列Dm,Dmを生成するとともに、要素符号化器21から出力された出力データDcに対応する事前確率情報P(x(1)),P(x(2))のそれぞれについての2つの系列Dn,Dnを生成する。デパンクチャ器82は、生成した系列Dm,Dm,DmをMAP復号器84に供給するとともに、系列Dn,Dn,DnをMAP復号器86に供給する。
【0199】
インターリーバ83は、上述したターボ復号器70におけるインターリーバ73と同様に、チャネル・デインターリーバ81から供給された系列Dk,Dk,Dkを入力し、これらの系列Dk,Dk,Dkに対して、変換器11におけるインターリーバ22と同一の置換位置情報に基づいたインターリーブを施す。インターリーバ83は、生成した3つの系列Do,Do,DoをMAP復号器86に供給する。
【0200】
MAP復号器84は、上述したターボ復号器70におけるMAP復号器74と同様に、変換器11における要素符号化器21に対応して設けられるものである。MAP復号器84は、チャネル・デインターリーバ81から供給された情報ビット系列b(i)に対応する軟入力の系列Dk,Dk,Dk及びデパンクチャ器82から供給された軟入力の系列Dm,Dm,Dmを入力するとともに、デインターリーバ87から供給された軟入力の情報ビットに対する事前確率情報Aprを入力し、これらの系列Dk,Dk,Dk,Dm,Dm,Dm及び事前確率情報Aprを用いて、MAP復号を行う。そして、MAP復号器84は、符号の拘束条件によって求められる情報ビット系列に対する外部情報Extを生成し、この外部情報Extをインターリーバ85に軟出力として出力する。また、MAP復号器84は、所定の繰り返し回数での繰り返し復号の結果得られた軟出力の外部情報に基づいて、情報ビットに対する事後確率情報Apo0iを生成するとともに、変換器11における要素符号化器21から出力された出力データDaに相当する符号化ビットに対する事後確率情報Apo0cを生成する。MAP復号器84は、生成した事後確率情報Apo0iをチャネル・インターリーバ89に供給するとともに、事後確率情報Apo0cをパンクチャ器88に供給する。なお、MAP復号器84は、上述したターボ復号器70におけるMAP復号器74と同様に尤度Lを算出するが、MAP復号器74とは異なる演算を行う。これについては、後述するものとする。
【0201】
インターリーバ85は、上述したターボ復号器70におけるインターリーバ75と同様に、MAP復号器84から供給された軟入力である情報ビット系列に対する外部情報Extに対して、変換器11におけるインターリーバ22と同一の置換位置情報に基づいたインターリーブを施す。インターリーバ85は、生成したインターリーブデータをMAP復号器86における情報ビットに対する事前確率情報Aprとして出力する。
【0202】
MAP復号器86は、上述したターボ復号器70におけるMAP復号器76と同様に、変換器11における要素符号化器21に対応して設けられるものである。MAP復号器86は、インターリーバ83から供給された情報ビット系列b(i)に対応する軟入力の系列Do,Do,Do及びデパンクチャ器82から供給された軟入力の系列Dn,Dn,Dnを入力するとともに、インターリーバ85から供給された軟入力の情報ビットに対する事前確率情報Aprを入力し、これらの系列Dn,Dn,Dn,Do,Do,Do及び事前確率情報Aprを用いて、MAP復号を行う。そして、MAP復号器86は、符号の拘束条件によって求められる情報ビットに対する外部情報Extを生成し、この外部情報Extをデインターリーバ87に軟出力として出力する。また、MAP復号器86は、所定の繰り返し回数での繰り返し復号の結果得られた軟出力の外部情報に基づいて、情報ビット系列b(0)に対する事後確率情報P(b(0)|y)を生成し、復号データとして外部へと出力するとともに、変換器11における要素符号化器21から出力された出力データDcに相当する符号化ビットに対する事後確率情報Apo1cを生成する。MAP復号器86は、生成した事後確率情報Apo1cをパンクチャ器88に供給する。なお、MAP復号器86は、上述したターボ復号器70におけるMAP復号器76と同様に尤度Lを算出するが、MAP復号器76とは異なる演算を行う。これについては、後述するものとする。
【0203】
デインターリーバ87は、上述したターボ復号器70におけるデインターリーバ77と同様に、変換器11におけるインターリーバ22によってインターリーブされたインターリーブデータDbのビット配列を、元の情報ビット系列b(i)のビット配列に戻すように、MAP復号器86から供給された軟入力の外部情報Extにデインターリーブを施す。デインターリーバ87は、生成したデインターリーブデータをMAP復号器84における情報ビットに対する事前確率情報Aprとして出力する。
【0204】
パンクチャ器88は、MAP復号器84から供給された符号化ビットに対する事後確率情報Apo0cと、MAP復号器86から供給された符号化ビットに対する事後確率情報Apo1cとを、変換器11におけるパンクチャ器23と同一の規則に基づいて間引き、ビット数が削減されたパンクチャデータDpとしてチャネル・インターリーバ89に供給する。
【0205】
チャネル・インターリーバ89は、パンクチャ器88が要する処理時間と同時間だけ遅延されてMAP復号器84から供給された事後確率情報Apo0iと、パンクチャ器88から供給されたパンクチャデータDpとを入力し、これらの事後確率情報Apo0i及びパンクチャデータDpを構成する各ビットデータの順序を、変換器11におけるチャネル・インターリーバ24と同一の置換位置情報に基づいて並べ替え、符号化系列x(0)に対する事後確率情報P(x(0)|y)を生成する。チャネル・インターリーバ89は、生成した事後確率情報P(x(0)|y)を外部へと出力する。
【0206】
ところで、このような復号器62においては、送信装置10による符号化が複数の符号化系列が加算されたものを出力するものであることから、上式(51)に示したように単純に尤度を算出することができない。そこで、復号器62において、MAP復号器84,86は、以下のようにして尤度を算出する。
【0207】
符号化系列x(0)に対する受信系列の時間的にk番目の要素が"1","−1"であるとしたときの尤度L (0)(+1),L (0)(−1)は、それぞれ、他の符号化系列x(1),x(2)についての確率が得られているものとすると、次式(52)及び次式(53)で表される。なお、尤度L (0)(+1),L (0)(−1)は、最終的にはそれらの和が"1"となるように正規化される。
【0208】
【数52】
Figure 0003979105
【0209】
【数53】
Figure 0003979105
【0210】
すなわち、尤度L (0)(+1),L (0)(−1)としては、それぞれ、可能性のある全ての送信シンボルの候補に対して、受信シンボルを比較したときの尤もらしさを求め、その送信シンボルが送信される確率で重み付けして加算したものが用いられる。ここで、送信シンボルが送信される確率は、符号化系列x(0)の要素が送信される確率を乗算して求めることができる。また、符号化系列x(0)の要素が送信される確率としては、以前にその符号が復号されている場合には、その確率が用いられ、復号されていない場合には、確率が未知であることを示す値として反映される。
【0211】
なお、振幅に変動がある通信路を介した伝送が行われた場合には、尤度L (0)(+1),L (0)(−1)は、それぞれ、次式(54)及び次式(55)を用いて算出される。なお、次式(54)及び次式(55)における"f"は、通信路におけるk番目の要素の振幅を示すものである。
【0212】
【数54】
Figure 0003979105
【0213】
【数55】
Figure 0003979105
【0214】
復号器62において、MAP復号器84,86は、このようにして算出した尤度L (0)(+1),L (0)(−1)を用いて事後確率情報を算出する。
【0215】
このようなMAP復号器84,86を備える復号器62は、変換器11における要素符号化器21,21のそれぞれに対応するMAP復号器84,86を備えることにより、復号複雑度が高い符号を複雑度の小さい要素に分解し、MAP復号器84,86の間の相互作用によって特性を逐次的に向上させることができる。復号器62は、受信値yを受信すると、所定の繰り返し回数での繰り返し復号を行い、この復号動作の結果得られた軟出力の外部情報に基づいて、MAP復号器86から情報ビット系列b(0)に対する事後確率情報P(b(0)|y)を復号データとして出力するとともに、符号化系列x(0)に対する事後確率情報P(x(0)|y)を、必要に応じて、他の復号器62,62に供給する。
【0216】
受信装置60においては、復号器62,62についても復号器620と同様に構成される。すなわち、復号器62は、上式(52)及び上式(53)又は上式(54)及び上式(55)に示したように算出した尤度L (1)(+1),L (1)(−1)を用いて、情報ビット系列b(1)に対する事後確率情報P(b(1)|y)及び符号化系列x(1)に対する事後確率情報P(x(1)|y)を生成し、事後確率情報P(b(1)|y)を復号データとして出力するとともに、事後確率情報P(x(1)|y)を、必要に応じて、他の復号器62,62に供給する。また、復号器62についても同様に、上式(52)及び上式(53)又は上式(54)及び上式(55)に示したように算出した尤度L (2)(+1),L (2)(−1)を用いて、情報ビット系列b(2)に対する事後確率情報P(b(2)|y)及び符号化系列x(2)に対する事後確率情報P(x(2)|y)を生成し、事後確率情報P(b(2)|y)を復号データとして出力するとともに、事後確率情報P(x(2)|y)を、必要に応じて、他の復号器62,62に供給する。
【0217】
このような復号器62,62,62を備える受信装置60は、情報ビット系列b(2),b(1),b(0)に対する事後確率情報P(b(2)|y),P(b(1)|y),P(b(0)|y)を順次求めることにより、情報ビット系列b(2),b(1),b(0)の順序で復号することができる。
【0218】
また、受信装置60は、高次の情報ビット系列b(2)から順次1回のみ復号を行うのではなく、上述したように、ジグザグ復号や繰り返し復号を行うこともできる。
【0219】
具体的には、受信装置60は、復号器62,62,62による復号処理を、それぞれ、"A","B","C"で表すものとすると、基本的には上述したように、"A","B","C"の順序で復号を行うが、"A","B"が終了した段階で、得られた符号化系列x(1)に対する事後確率情報P(x(1)|y)を符号化系列x(1)に対する事前確率情報P(x(1))として復号器62に供給して再度"A"を行うこともできる。これにより、受信装置60は、符号化系列x(2)に対する復号の信頼性を向上させることができ、これに応じて、より低次の符号化系列x(1),x(0)に対する復号の信頼性も向上させることができる。同様に、受信装置60は、"A","B","C"が終了した段階で、得られた符号化系列x(0)に対する事後確率情報P(x(0)|y)を符号化系列x(0)に対する事前確率情報P(x(0))として復号器62に供給して再度"B"を行い、符号化系列x(1)に対する復号の信頼性をより向上させることもできる。すなわち、受信装置60は、"A","B","A","B","C","B","C"の順序で復号を行うこともできる。
【0220】
また、受信装置60は、"A","B","C"が終了した段階で、同様の復号動作を複数回繰り返し、"A","B","C","A","B","C",・・・の順序で復号を行ったり、"A","B","A","B","C","B","C"が終了した段階で、同様の復号動作を複数回繰り返し、"A","B","A","B","C","B","C","A","B","A","B","C","B","C" ,・・・の順序で復号を行うようにしてもよい。
【0221】
このように、受信装置60は、高次の情報ビット系列b(2)から順次1回のみ復号を行うのではなく、所定の規則に基づいたジグザグ復号や繰り返し復号を行うことができる。
【0222】
また、受信装置60は、尤度を求める際に、以下のような方法を採用することにより、演算の簡略化を図ることもできる。
【0223】
まず、第1の方法は、復号が終了した符号化系列がある場合に、次式(56)に示すように、k番目の要素に対する事後確率情報P(x (l))を最大にする要素x (l)を最良の候補として選出し、この最良の候補を事前確率情報xk・best (l)として他の符号化系列に対する尤度を求めるものである。すなわち、この第1の方法は、復号が終了した符号化系列については硬判定を行うものである。
【0224】
【数56】
Figure 0003979105
【0225】
例えば、上述した復号器62,62,62による復号処理"A","B","C"のうち、復号処理"A","C"が終了しているものとした場合、復号器62は、要素x (1)の尤度を、次式(57)に示すように算出する。すなわち、復号器62は、復号が終了した符号化系列x(0),x(2)における最良の候補に対する事前確率情報を"1"とみなし、他の要素に対する事前確率情報を"0"とみなすことにより、上式(52)及び上式(53)を簡略化することができる。
【0226】
【数57】
Figure 0003979105
【0227】
また、第2の方法は、復号が終了した符号化系列がある場合に、次式(58)に示すように、軟判定を行ったk番目の要素に対する期待値を事後確率情報として求め、この事後確率情報を事前確率情報xk・exp (l)として他の符号化系列に対する尤度を求めるものである。
【0228】
【数58】
Figure 0003979105
【0229】
例えば、上述した復号器62,62,62による復号処理"A","B","C"のうち、復号処理"A","C"が終了しているものとした場合、復号器62は、要素x (1)の尤度を、次式(59)に示すように算出することにより、上式(52)及び上式(53)を簡略化することができる。
【0230】
【数59】
Figure 0003979105
【0231】
さらに、第3の方法は、ある符号化系列を復号しようとする際に、他の符号化系列が復号されていない場合、これらの復号されていない符号化系列を電力の等しいガウス雑音とみなすものである。
【0232】
例えば、復号器62は、上述した復号器62による復号処理"C"を行う場合には、要素x (2)の尤度を、次式(60)に示すように算出することにより、上式(52)及び上式(53)を簡略化することができる。なお、この場合、仮に復号が終了した符号化系列がある場合には、これらの符号化系列については上述した第1の方法又は第2の方法を適用することもできる。
【0233】
【数60】
Figure 0003979105
【0234】
さて、復号するにあたって通信路にゲイン又はロスがある場合には、受信装置60は、この値を把握する必要が生じる。ここでは、通信路の推定方法について説明する。
【0235】
通常、通信路を推定するには、符号化系列とは別途設けられたパイロット信号を用いて、ゲイン又はロスの大きさを把握することができる。しかしながら、この方法は、多くのパイロット信号を用いた場合には、これを伝送するためのエネルギが過大となり望ましくない。
【0236】
そこで、受信装置60は、図16に示すように、チャネル推定部90を少なくとも復号器62に付設し、通信路を推定することができる。
【0237】
すなわち、受信装置60は、最も振幅が大きい符号化系列x(2)の復号に十分な精度の振幅fについては、推定器91によってパイロット信号を用いる方法や受信値yの大きさを判別する方法等を用いて推定した後、復号器62によって符号化系列x(2)の復号を行う。続いて、受信装置60は、この符号化系列x(2)の復号が終了した際に、次式(61)及び次式(62)に示すように、復号結果である情報ビット系列b(2)に対する事後確率情報p(b(2)|y)を用いて、変換器92によって再符号化gを行い、符号化系列x(2)の推定値である硬判定値系列x(2)'を求める。
【0238】
【数61】
Figure 0003979105
【0239】
【数62】
Figure 0003979105
【0240】
そして、受信装置60は、相関算出器93によって硬判定値系列x(2)'と受信値yとの相関を算出する。通信路の振幅を"f"とすると、受信値yは、次式(63)で表されることから、硬判定値系列x(2)'に誤りがないものとすると、相関値f'は、次式(64)によって求めることができる。なお、次式(64)における"・"は、内積を示す演算子である。また、次式(64)における分母は、大きさを正規化するためのものであって、|x(2)は、符号化系列x(2)がM次元ベクトルであることから"M"に置換できる。
【0241】
【数63】
Figure 0003979105
【0242】
【数64】
Figure 0003979105
【0243】
すなわち、受信装置60は、符号化系列x(0),x(2)が符号化系列x 2)とは独立であることから、上式(64)によって求められる相関値f'において"M"を大きな値とすることにより、通信路の振幅fを正確に推定することができる。
【0244】
また、受信装置60は、図17に示すように、チャネル推定部100を少なくとも復号器62に付設し、通信路を推定することもできる。
【0245】
すなわち、受信装置60は、チャネル推定部90と同様に、最も振幅が大きい符号化系列x(2)の復号に十分な精度の振幅fについては、推定器101によってパイロット信号を用いる方法や受信値yの大きさを判別する方法等を用いて推定した後、復号器62によって符号化系列x(2)の復号を行う。続いて、受信装置60は、この符号化系列x(2)の復号が終了した際に、次式(65)に示すように、符号化系列x(2)に対する事後確率情報p(x(2)|y)を用いて、符号化系列推定器102によって符号化系列x(2)の推定値である硬判定値系列x(2)'を求める。
【0246】
【数65】
Figure 0003979105
【0247】
そして、受信装置60は、チャネル推定部90と同様に、相関算出器103によって硬判定値系列x(2)'と受信値yとの相関を算出し、通信路の振幅fを正確に推定することができる。
【0248】
受信装置60は、このようにして推定した振幅fを用いて、復号器62,62によって符号化系列x(1),x(0)の復号を行う。また、受信装置60は、推定した振幅fを用いて、再度、復号器62によって符号化系列x(2)の復号を行うようにしてもよい。
【0249】
このような符号化を行う送信装置10と復号を行う受信装置60とを備えるデータ送受信システムにおいては、以下のようにして、通信路の状態変化に適応的に対応して定数a(l)を設定することができる。すなわち、例えば移動通信においては、移動機の移動速度によってチャネルモデルが変化し、静止時にはスタティックチャネルであり、高速移動時にはレイリーチャネルに遷移する。このような場合、データ送受信システムにおいては、送信装置10によって符号化のパラメータである各符号化系列x(l)の振幅、すなわち、定数a(l)を、通信路に応じて変化させた方が良好な特性が得られる。
【0250】
データ送受信システムにおいては、チャネルモデルが変化する場合、通信路の状態を同定し、その通信路に最適な定数a(l)を求め、この定数a(l)に基づいて適応的に符号化を行う。
【0251】
このような適応的符号化としては、いわゆるドゥプレックス(duplex)通信を行っている場合に、受信側が通信路の状態を同定し、その情報を送信側にフィードバックし、このフィードバックされた情報に基づいて送信側が適応的に符号化する方法が考えられる。
【0252】
具体的には、データ送受信システムにおいては、例えば図18に概略を示すように、チャネル推定部を備える受信装置60によって通信路の状態を同定し、その結果に基づいてコントローラ150によって符号化のパラメータ、すなわち、定数a(l)を決定する。データ送受信システムにおいては、決定された定数a(l)を現時刻のパラメータPRとして用いて、復号器によって復号を行うとともに、決定された定数a(l)を次時刻のパラメータPRとして送信する。なお、ここでの受信装置60における復号器とは、上述した復号器62,62,62に相当するものである。
【0253】
そして、データ送受信システムにおいては、通信路を介して受信装置60から送信されてきた次時刻のパラメータPRを受信すると、コントローラ150を介してこのパラメータPRを現時刻のパラメータPRとして用いて、符号化器によって符号化を行い、通信路を介して受信装置60へと送信する。なお、ここでの送信装置10における符号化器とは、上述した変換器11,11,11及び乗算器12,12,12並びに加算器13,13に相当するものである。
【0254】
このように、データ送受信システムにおいては、ドゥプレックス通信を行っている場合に、受信側が通信路の状態を同定して送信側にフィードバックし、このフィードバックされた情報に基づいて送信側が適応的に符号化することができ、特性を向上させることができる。
【0255】
また、適応的符号化としては、送信側が受信している通信路の状態を同定し、送信する通信路の状態が受信している通信路の状態と等しいものとみなして、受信している通信路の状態を示す情報に基づいて送信側が適応的に符号化する方法が考えられる。
【0256】
具体的には、データ送受信システムにおいては、パラメータの変更を行う際に、その変更の予告を事前に行う場合には、例えば図19に概略を示すように、チャネル推定部を備える送信装置10によって通信路の状態を同定し、その結果に基づいてコントローラ150によって符号化のパラメータ、すなわち、定数a(l)を決定する。データ送受信システムにおいては、決定された定数a(l)を次時刻のパラメータPRとして、マルチプレクサによって情報ビット系列に多重させ、さらに、コントローラ150から与えられている定数a(l)を現時刻のパラメータPRとして用いて、符号化器によって多重化されたデータに対する符号化を行い、送信する。なお、ここでの送信装置10における符号化器とは、上述した変換器11,11,11及び乗算器12,12,12並びに加算器13,13に相当するものである。
【0257】
そして、データ送受信システムにおいては、通信路を介して送信装置10から送信されてきたデータを受信装置60が受信すると、復号器によって復号を行う。このとき、データ送受信システムにおいては、コントローラ150から与えられるパラメータPRを用いて復号が行われる。データ送受信システムにおいては、復号されたデータからデマルチプレクサによって送信装置10によって多重されたパラメータPRを分離してコントローラ150に与え、パラメータを変更させる。これにより、データ送受信システムにおいては、次時刻からの復号に際しては、新たなパラメータPRが現時刻のパラメータPRとして用いられ、復号が行われる。なお、ここでの受信装置60における復号器とは、上述した復号器62,62,62に相当するものである。
【0258】
このように、データ送受信システムにおいては、送信側が受信している通信路の状態を同定し、送信する通信路の状態が受信している通信路の状態と等しいものとみなして、受信している通信路の状態を示す情報に基づいて送信側が適応的に符号化することができ、受信側の処理負担を軽減することができる。
【0259】
なお、この適応的符号化としては、パラメータの変更の予告を事前に行うようにしている。これは、適応的符号化においては、基本的には、次時刻のデータの復号に用いるパラメータを予め受信装置に対して教える必要があるからである。しかしながら、データ送受信システムにおいては、以下のようにして、現時刻のパラメータを現時刻のデータに含ませて伝送することもできる。
【0260】
具体的には、データ送受信システムにおいては、例えば図20に概略を示すように、先に図19に示したデータ送受信システムと同様に構成される。このとき、受信装置60は、パラメータが多重化されたデータを復号する必要がある。ここで、最高次の符号化系列は、低次の符号化系列の電力比に比較的影響を受けることなく復号することができることに着目する。
【0261】
データ送受信システムにおいては、チャネル推定部を備える送信装置10によって通信路の状態を同定し、その結果に基づいてコントローラ150によって符号化のパラメータ、すなわち、定数a(l)を決定すると、この決定された定数a(l)を現時刻のパラメータPRとして、マルチプレクサによって最高次の情報ビット系列に多重させるとともに、決定された定数a(l)を現時刻のパラメータPRとして用いて、符号化器によって多重化されたデータに対する符号化を行い、送信する。
【0262】
そして、データ送受信システムにおいては、通信路を介して送信装置10から送信されてきたデータを受信装置60が受信すると、復号器によって最高次の符号化系列から復号を行う。このとき、データ送受信システムにおいては、最高次の符号化系列の復号に際しては、コントローラ150から与えられる所定のパラメータPRを用いて復号が行われる。データ送受信システムにおいては、復号されたデータからデマルチプレクサによって送信装置10によって多重されたパラメータPRを分離してコントローラ150に与え、パラメータを変更させる。これにより、データ送受信システムにおいては、最高次よりも低次の符号化系列の復号に際しては、新たなパラメータPRを用いた復号を行うことができる。
【0263】
このように、データ送受信システムにおいては、送信側が受信している通信路の状態を同定し、送信する通信路の状態が受信している通信路の状態と等しいものとみなして、受信している通信路の状態を示す情報に基づいて送信側が適応的に符号化する際に、現時刻のパラメータを現時刻の最高次の符号化系列に含ませることができ、受信側にパラメータを予告することなく符号化を行うことができる。
【0264】
さて、このようなデータ送受信システムにおける性能を評価するために、符号性能を示す上で一般的に用いられるビットエラーレートBERと1ビットあたりの信号対雑音電力比E/nとの関係で示される特性を、AWGNチャネルとレイリーチャネルのそれぞれについてシミュレーションによって求めた。
【0265】
このシミュレーションにおいては、原符号として、生成多項式G(D)が次式(66)で表されるターボ符号を用い、インターリーバとして、各変換器間で異なるランダムインターリーブを施すものを用い、伝送率をC=1/2とし、パンクチャパタンを次式(67)に示すものとし、さらに、各変換器間で異なるランダムインターリーブを施すチャネル・インターリーバを備えるものとした。そして、このシミュレーションにおいては、各変換器に入力する情報ビット数をN=20000、すなわち、各変換器によって生成される符号化系列の要素数をM=40000とし、各復号器によるターボ復号における繰り返し回数を20回とした。
【0266】
【数66】
Figure 0003979105
【0267】
【数67】
Figure 0003979105
【0268】
このような条件のもと、AWGNチャネルにおける特性を求めると、図21に示すようにまとめられた結果が得られるとともに、図22に示す特性曲線が得られた。
【0269】
すなわち、このターボ符号の単独のAWGN特性として、雑音の確率密度関数を次式(68)で表してビットエラーレートを求めると、図22に示す特性曲線のうち、最左側に位置する実線で表される特性曲線が得られた。ここで、このチャネルに関する特性から符号として所要とする信号対雑音電力比E/n=ξ(0)を"0.8[dB]"として選出すると、図21に示すように、定数a(0)は、"0.775"となる。
【0270】
【数68】
Figure 0003979105
【0271】
次に、チャネルモデルとして、雑音と、定数倍符号化系列a(0)(0)と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を確率密度関数で表すと、次式(69)で表され、図22に示す特性曲線のうち、最左側に位置する破線で表される特性曲線が得られた。ここで、このチャネルに関する特性から符号として所要とする信号対雑音電力比E/(n+2ν(0))=ξ(1)を"0.7[dB]"として選出すると、定数a(1)は、"1.137"となる。
【0272】
【数69】
Figure 0003979105
【0273】
さらに、チャネルモデルとして、雑音と、定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1)と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を想定すると、図22に示す特性曲線のうち、最左側に位置する一点鎖線で表される特性曲線が得られた。ここで、このチャネルに関する特性から符号として所要とする信号対雑音電力比E/(n+2ν(1))=ξ(2)を"0.6[dB]"とすると、定数a(2)は、"1.658"となる。
【0274】
同様に、チャネルモデルとして、雑音と、定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1),a(2)(2)と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を想定すると、図22に示す特性曲線のうち、最左側に位置する二点鎖線で表される特性曲線が得られた。ここで、このチャネルに関する特性から符号として所要とする信号対雑音電力比E/(n+2ν(2))=ξ(3)を"0.6[dB]"とすると、定数a(3)は、"2.430"となる。
【0275】
これらの定数a(l)を用いることにより、符号として、2系列の定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1)を加算した伝送率がC=2/2である加算符号化系列と、3系列の定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1),a(2)(2)を加算した伝送率がC=3/2である加算符号化系列と、4系列の定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1),a(2)(2),a(3)(3)を加算した伝送率がC=4/2である加算符号化系列とを構成することができる。これらをまとめたものが、図21である。なお、ここでは、各定数倍符号化系列a(0)(0),a(1)(1),a(2)(2),a(3)(3)を、それぞれ、0段、1段、2段、3段と称するものとする。なお、同図においては、各加算符号化系列を伝送する際に期待される所要とする平均の信号対雑音電力比E/n=ξave'も示している。
【0276】
このように設計された符号を用いて雑音電力密度nを変化させ、AWGNチャネルにおける各系列の特性を求めた結果、図22に示す特性曲線が得られた。
【0277】
また、同様の条件のもと、通信路推定が完全であるものとして、フリー・インターリーブド・レイリーチャネル(fully-interleaved Rayleigh Channel)における特性も求めた。図23に示すように、符号として所要とする信号対雑音電力比E/n=ξ(0),E/(n+2ν(0))=ξ(1),E/(n+2ν(1))=ξ(2),E/(n+2ν(2))=ξ(3)を、それぞれ、"2.7[dB]","1.9[dB]","1.1[dB]","1.0[dB]"として選出すると、定数a(0),a(1),a(2),a(3)は、それぞれ、"0.965","1.489","2.167","3.242"となる。
【0278】
このように設計された符号を用いて雑音電力密度nを変化させ、レイリーチャネルにおける各系列の特性を求めた結果、図24に示す特性曲線が得られた。
【0279】
これらの図22及び図24から明らかなように、所要とする信号対雑音電力比E/(n+2ν)の値は、加算する定数倍符号化系列の数が増加するほど、すなわち、段数が増加するほど小さくなることがわかる。これは、加算する定数倍符号化系列の数が増加すると、通信路がガウス分布の状態ではなくなっていくことによるものである。また、この加算する定数倍符号化系列の数の増加に伴う信号対雑音電力比E/(n+2ν)の値の減少の度合いは、AWGNチャネルの場合よりもレイリーチャネルの場合の方が顕著である。これは、加算する定数倍符号化系列の数が増加すると、通信路がガウス分布の状態ではなくなっていくことによるものの他、上述したように、符号の変動の偏差が小さくなることによるものである。なお、シミュレーション結果からは、高次の符号の復号結果の曖昧さが低次の符号の復号に影響を与えていることもわかる。そのため、高次の符号に対する定数a(l)としては、マージンを多くとることが有効だと思われる。
【0280】
このように、データ送受信システムは、伝送率の小さな符号を用いて、伝送率が大きな符号を容易に構成することができ、高い性能で容易に復号することができるものであることがわかる。
【0281】
なお、このシミュレーションにおいては、通信路がスタティックであるか又はレイリーであるかによって定数a(l)等の符号化のパラメータを最適化したが、仮にレイリーチャネル用の符号化のパラメータを用いてスタティックチャネルにおける特性を予測すると、図25に示すようになる。すなわち、この場合、1段以上の符号においては、スタティックチャネルよりもレイリーチャネルの方が所要とする信号対雑音電力比E/(n+2ν)の値が大きくなり、また、0段の符号の所要とする信号対雑音電力比E/nは、図21に示した0.8[dB]よりも1.9[dB]だけ大きい2.7[dB]となることから、スタティックチャネルにおける特性は、レイリーチャネルにおける特性よりも少なくとも1.9[dB]だけ低い信号対雑音電力比E/(n+2ν)となることが予測される。
【0282】
以上のように、データ送受信システムにおいては、送信装置により、複数の情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}に対して所定の符号化及び/又は変調を含む変換処理を施し、得られた符号化系列{x(0),x(1),・・・,x(L−1)}に対して定数{a(0),a(1),・・・,a(L−1)}を乗算し、さらに、得られた定数倍符号化系列{a(0)(0),a(1)(1),・・・,a(L−1)(L−1)}を加算して加算符号化系列gを生成して伝送することにより、基本となる原符号に制限が少なく、符号設計の自由度を格段に向上させた高い性能での符号化を容易に実現して、情報ビット系列{b(0),b(1),・・・,b(L−1)}に対して最適な符号化を行うことができ、ビットエラーレートを十分に低くするための所要信号対雑音電力比E/nの値を小さくすることができる。
【0283】
また、データ送受信システムにおいては、受信装置により、最高次の情報ビット系列b(L−1)から順次復号を行うことにより、少なくとも1つの情報ビット系列b(l)に対する復号を高精度且つ容易に行うことができる。特に、データ送受信システムにおいては、受信装置により、MAP復号又はこれに準ずる復号を行うことにより、現実の符号に対する復号を行うことができる。また、データ送受信システムにおいては、受信装置による任意の符号化系列の復号の際に、他の符号化系列に対する情報を利用することにより、ビットエラーレートを十分に低くするための所要信号対雑音電力比E/nの値を小さくすることができる。
【0284】
したがって、データ送受信システムは、帯域が制限されている場合等、限られた個数の実数でデータを伝送する必要がある場合に、高い伝送率での符号化を行いたいといった要求に十分に応えられるものであり、ユーザにとって優れた利便を提供することができるものである。
【0285】
なお、上述した実施の形態では、基本的には、原符号の振幅がガウス分布をなすものとして説明したが、通常の符号の振幅は、ガウス分布でないことが多く、特に、符号化率が低い符号ほど、BPSK変調方式が施されている。このような場合には、符号化の過程で、以前に加算した符号のエネルギに基づいて符号のエネルギを求めるのは望ましくない。
【0286】
ここで、BPSK変調方式による信号点の2値の分布のエントロピは"1"であり、ガウス分布のエントロピ(1/2)log (πe)=1.65よりも低い値となる。したがって、各情報ビット系列に対する符号化系列の振幅がガウス分布を呈していなくても、フェージングチャネルを除いては、これにランダムな正規直交変換を施すことによって見かけ上ガウス分布にすることは可能であることから、各符号がガウス分布であるものと仮定した結果よりも悪い結果が得られることはないのは明らかである。
【0287】
そこで、原符号の振幅が非ガウス分布を呈する場合における所要信号対雑音電力比E/(n+2ν)は、符号化器のモデルを反映した非ガウスチャネルで測定すれば求めることができる。また、復号においては、尤度を符号化器のモデルに即して正確に計算するのが最適である。
【0288】
さて、以下では、このようなデータ送受信システムを適用した多元接続システムについて説明する。
【0289】
この多元接続システムは、上述したデータ送受信システムにおける各レベルの情報ビット系列b(l)を多元接続における各端末の情報系列とするものである。
【0290】
具体的には、多元接続システムにおける下りリンクは、3人のユーザからのデータからなる3つの情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}を多元接続するものとすると、図26に示すように構成される。すなわち、多元接続システムは、上述した送信装置10が適用された基地局200と、各情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}を出力する上述した受信装置60が適用された3つの端末300,300,300とを備える。
【0291】
基地局200は、上述した変換器11,11,11に相当する3つの変換器201,201,201と、上述した乗算器12,12,12に相当する3つの乗算器202,202,202と、上述した加算器13,13に相当する加算器203と、上述した送信部14に相当する送信部204とを有する。ここで、加算器203は、同図においては1つのみを示しているが、基地局200においては、上述した送信装置10のように2つの加算器としてもよい。
【0292】
一方、端末300,300,300は、それぞれ、上述した受信部61に相当する受信部301,301,301と、復号器302,302,302とを有する。ここで、復号器302は、上述した3つの復号器62,62,62に相当するものであり、復号器302は、少なくとも上述した2つの復号器62,62に相当するものであり、復号器302は、少なくとも上述した1つの復号器62に相当するものである。
【0293】
このような多元接続システムにおいては、基地局200によって上述した送信装置10と同様の処理を行うことにより、3つの情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}を符号化して送信信号g'に変換し、この送信信号g'を外部へと送信する。
【0294】
多元接続システムにおいては、この送信信号g'が、3人のユーザのそれぞれに対応する伝送ロスL(0),L(1),L(2)を有する通信路を介して伝送されることにより、送信信号g'に対して雑音n(0),n(1),n(2)がそれぞれ加算され、この信号が受信信号y'(0),y'(1),y'(2)として端末300,300,300のそれぞれによって受信される。なお、伝送ロスL(0),L(1),L(2)は、値が小さいほどロスが大きいことを示すものである。
【0295】
そして、多元接続システムにおいては、端末300,300,300のそれぞれによって上述した受信装置60と同様の処理を行うことにより、3つの情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}のそれぞれに対する事後確率情報P(b(0)|y),P(b(1)|y),P(b(2)|y)を硬判定した情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}を得る。
【0296】
このとき、端末300は、受信値y(2)に基づいて少なくとも情報ビット系列b(2)を復号して得ればよいことから、上述したように、少なくとも上述した1つの復号器62に相当する復号器302を有していればよい。また、端末300は、受信値y(1)に基づいて少なくとも情報ビット系列b(1),b(2)を復号して得た後、必要な情報ビット系列b(1)のみを出力することになることから、上述したように、少なくとも上述した2つの復号器62,62に相当する復号器302を有する必要がある。さらに、端末300は、受信値y(0)に基づいて情報ビット系列b(0),b(1),b(2)の全てを復号して得た後、必要な情報ビット系列b(0)のみを出力することになることから、上述したように、上述した3つの復号器62,62,62の全てに相当する復号器302を有する必要がある。
【0297】
このように、多元接続システムは、基地局200として上述した送信装置10を適用し、端末300,300,300として上述した受信装置60を適用することにより、下りリンクを構成することができる。
【0298】
なお、多元接続システムにおいては、基地局200と、各端末300,300,300との間での伝送ロスに差異があることが想定されることから、伝送ロスの大きなユーザに対しては、上述したように、高次の情報ビット系列として割り当てるのが有効である。また、多元接続システムにおいては、伝送ロスの大きなユーザのデータほど相対的に信号対雑音比S/Nが低い値で受信されることから、上述したように、伝送ロスの大きなユーザに対して割り当てた高次の符号に対する定数a(l)として、マージンを多くとるように決定してもよい。同図においては、高次から順に符号化系列x(2),x(1),x(0)が割り当てられているが、これは、対応する伝送ロスL(2),L(1),L(0)の値の関係が、L(2)<L(1)<L(0)となっていることに相当する。
【0299】
一方、このような下りリンクに対する多元接続システムにおける上りリンクは、同じく3人のユーザからのデータからなる3つの情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}を多元接続するものとすると、図27に示すように構成される。すなわち、多元接続システムは、上述した受信装置60が適用された3つの端末400,400,400と、情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}を出力する上述した送信装置10が適用された基地局500とを備える。
【0300】
端末400,400,400は、それぞれ、上述した変換器11,11,11に相当する変換器401,401,401と、上述した乗算器12,12,12に相当する乗算器402,402,402と、上述した送信部14に相当する送信部403,403,403とを有する。
【0301】
一方、基地局500は、上述した受信部61に相当する受信部501と、上述した3つの復号器62,62,62に相当する復号器502とを有する。
【0302】
このような多元接続システムにおいては、端末400,400,400のそれぞれによって上述した送信装置10と同様の処理を行うことにより、各情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}をそれぞれ符号化して送信信号g'(0),g'(1),g'(2)に変換し、これらの送信信号g'(0),g'(1),g'(2)を外部へと送信する。ここで、定数G(0),G(1),G(2)は、それぞれ、通信路上で発生する3人のユーザのそれぞれに対応する伝送ロスL(0),L(1),L(2)に基づいて送信パワーが制御され、G(0)×L(0),G(1)×L(1),G(2)×L(2)のそれぞれが上述したように適切な振幅となるように設定される。
【0303】
多元接続システムにおいては、これらの送信信号g'(0),g'(1),g'(2)のそれぞれが、3人のユーザのそれぞれに対応する伝送ロスL(0),L(1),L(2)を有する通信路を介して互いに多重化されて伝送されることにより、互いに多重化された送信信号g'(0),g'(1),g'(2)に対して雑音nが加算され、この信号が受信信号y'として基地局500によって受信される。なお、伝送ロスL(0),L(1),L(2)は、上述したように、値が小さいほどロスが大きいことを示すものである。
【0304】
そして、多元接続システムにおいては、基地局500によって上述した受信装置60と同様の処理を行うことにより、3つの情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}のそれぞれに対する事後確率情報P(b(0)|y),P(b(1)|y),P(b(2)|y)を硬判定した情報ビット系列{b(0),b(1),b(2)}を得る。
【0305】
このように、多元接続システムは、端末400,400,400として上述した送信装置10を適用し、基地局500として上述した受信装置60を適用することにより、上りリンクを構成することができる。
【0306】
なお、多元接続システムにおいては、各端末400,400,400と、基地局500との間での伝送ロスに差異があることが想定されることから、伝送ロスの小さなユーザに対しては、上述したように、高次の情報ビット系列として割り当てるのが有効である。また、多元接続システムにおいては、伝送ロスの大きなユーザのデータほど相対的に送信パワーに余裕があることから、上述したように、伝送ロスの小さなユーザに対して割り当てた高次の符号に対する定数G(l)として、マージンを多くとるように決定してもよい。同図においては、高次から順に符号化系列x(2),x(1),x(0)が割り当てられているが、これは、対応する伝送ロスL(2),L(1),L(0)の値の関係が、L(2)>L(1)>L(0)となっていることに相当する。
【0307】
以上説明したように、多元接続システムにおいては、上述したデータ送受信システムにおける各レベルの情報ビット系列b(l)を多元接続における各端末の情報系列とすることにより、限られたリソースでより多くのユーザを収容することができる。また、多元接続システムにおいては、各ユーザの伝送ロスに応じた適切な多重化を行うことができることから、リソースを有効利用することができる。
【0308】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、移動体通信における基地局と端末との間でデータを送受信する際の多元接続システムについて説明したが、本発明は、いわゆる無線LAN(Local Area Network)における制御局又はアクセスポイントと端末との間でデータを送受信する際の多元接続システムといった各種システムにも適用することができる。すなわち、上述した基地局は、移動体通信における基地局のみならず、無線LANやその他各種の通信システムにおいて同等の機能を有する装置も含む概念である。
【0309】
また、上述した実施の形態では、送信装置における変換器による符号化としてターボ符号を例として説明したが、本発明は、例えばリード・ソロモン符号(Reed-Solomon code)やBCH符号(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem code)といったいかなる符号でも適用することができる。
【0310】
さらに、上述した実施の形態では、送信装置における変換器による符号化としてBPSK変調方式を行うものとして説明したが、本発明は、例えば4相位相変調方式(Quadrature Phase Shift Keying;QPSK)といった変調方式でも適用することができる。なお、QPSK変調方式を適用した場合であっても、加算符号化系列gにおける信号点は、上述したように、信号対雑音比S/Nに依存して配置され、例えば図28に示すように、非等間隔に配置される。
【0311】
さらにまた、上述した実施の形態では、送信装置における1つの変換器に対して、1系列の情報ビット系列b(l)が入力されるものとして説明したが、この情報ビット系列b(l)は、例えば、1系列の2000ビットの情報ビットではなく、2系列の1000ビットの情報ビットとして構成されてもよい。すなわち、本発明は、各変換器から出力される各符号化系列x)l)が全てM個の数値からなるものであればよい。
【0312】
また、上述した実施の形態では、受信装置における復号器による復号としてMAP復号を例として説明したが、本発明は、例えばビタビ復号(Viterbi decoding)等も適用することができる。なお、ビタビ復号を適用した場合には、復号器は、尤度を入力することになるが、復号結果としては軟出力の事後確率情報を出力することはない。そのため、この場合、復号器は、復号結果が確率が"1"で正しいものであるとして復号することになる。
【0313】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【0314】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明にかかる多元接続システムは、基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続システムであって、各ユーザの情報を所定の形式に変換して伝送する下りリンクにおける基地局は、所定のビットからなる第1のユーザの第1の情報ビット系列をM個の数値からなる第1の符号化系列に変換する第1の変換手段と、この第1の変換手段によって変換されて得られた第1の符号化系列に対して第1の定数を乗算する第1の乗算手段と、所定のビットからなる第2のユーザの第2の情報ビット系列をM個の数値からなる第2の符号化系列に変換する少なくとも1つの第2の変換手段と、この第2の変換手段によって変換されて得られた第2の符号化系列に対して第2の定数を乗算する少なくとも1つの第2の乗算手段と、第1の乗算手段によって乗算されて得られた第1の定数倍符号化系列と、第2の乗算手段によって乗算されて得られた第2の定数倍符号化系列とを要素毎に加算して加算符号化系列を生成する加算手段と、加算符号化系列を送信信号として送信する送信手段とを備え、基地局によって伝送された加算符号化系列に対して所定の雑音が加算された受信信号を受信する端末は、それぞれ、受信信号を入力する受信手段と、この受信手段から供給された受信値に基づいて、第1の情報ビット系列又は第2の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を行い、必要な情報ビット系列を出力する復号手段とを備える。
【0315】
したがって、本発明にかかる多元接続システムは、第1の符号化系列に対して第1の乗算手段によって第1の定数が乗算された第1の定数倍符号化系列と、第2の符号化系列に対して第2の乗算手段によって第2の定数が乗算された第2の定数倍符号化系列とを加算手段によって加算して加算符号化系列を生成して基地局から伝送し、この加算符号化系列に対して所定の雑音が加算された受信値に基づいて、第1の情報ビット系列又は第2の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を各端末における復号手段によって行うことにより、符号設計の自由度を格段に向上させた高い性能での符号化を容易に実現し、限られたリソースを有効利用してより多くのユーザを収容することができる。
【0316】
また、本発明にかかる多元接続方法は、基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続方法であって、各ユーザの情報を所定の形式に変換して伝送する下りリンクにおける基地局によって所定のビットからなる第1のユーザの第1の情報ビット系列をM個の数値からなる第1の符号化系列に変換する工程と、基地局によって第1の情報ビット系列を変換して得られた第1の符号化系列に対して第1の定数を乗算する工程と、基地局によって所定のビットからなる第2の情報ビット系列をM個の数値からなる第2の符号化系列に変換する少なくとも1つの工程と、基地局によって第2の情報ビット系列を変換して得られた第2の符号化系列に対して第2の定数を乗算する少なくとも1つの工程と、基地局によって第1の符号化系列に対して第1の定数を乗算して得られた第1の定数倍符号化系列と、第2の符号化系列に対して第2の定数を乗算して得られた第2の定数倍符号化系列とを要素毎に加算して加算符号化系列を生成する工程と、基地局によって加算符号化系列を送信信号として送信する工程と、基地局によって伝送された加算符号化系列に対して所定の雑音が加算された受信信号を受信する端末によって受信信号を入力する工程と、端末によって受信された受信値に基づいて、第1の情報ビット系列又は第2の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を行い、必要な情報ビット系列を出力する工程とを備える。
【0317】
したがって、本発明にかかる多元接続方法は、第1の符号化系列に対して第1の定数が乗算された第1の定数倍符号化系列と、第2の符号化系列に対して第2の定数が乗算された第2の定数倍符号化系列とを基地局によって加算して加算符号化系列を生成して伝送し、この加算符号化系列に対して所定の雑音が加算された受信値に基づいて、第1の情報ビット系列又は第2の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を各端末によって行うことにより、符号設計の自由度を格段に向上させた高い性能での符号化を容易に実現し、限られたリソースを有効利用してより多くのユーザを収容することが可能となる。
【0318】
さらに、本発明にかかる多元接続システムは、基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続システムであって、情報を所定の形式に変換して伝送する上りリンクにおける端末は、それぞれ、所定のビットからなる情報ビット系列をM個の数値からなる符号化系列に変換する変換手段と、この変換手段によって変換されて得られた符号化系列に対して所定の定数を乗算する乗算手段とを備え、複数の端末のそれぞれによって伝送された定数倍符号化系列が多重化された信号に対して所定の雑音が加算された受信信号を受信する基地局は、受信信号を入力する受信手段と、この受信手段から供給された受信値に基づいて、端末のそれぞれに対応する複数の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を行い、必要な情報ビット系列を出力する復号手段とを備える。
【0319】
したがって、本発明にかかる多元接続システムは、符号化系列に対して乗算手段によって所定の定数が乗算された定数倍符号化系列が各端末から伝送され、これらの定数倍符号化系列が多重化された信号に対して所定の雑音が加算された受信値に基づいて、端末のそれぞれに対応する複数の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を基地局における復号手段によって行うことにより、符号設計の自由度を格段に向上させた高い性能での符号化を容易に実現し、限られたリソースを有効利用してより多くのユーザを収容することができる。
【0320】
さらにまた、本発明にかかる多元接続方法は、基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続方法であって、情報を所定の形式に変換して伝送する上りリンクにおける端末のそれぞれによって所定のビットからなる情報ビット系列をM個の数値からなる符号化系列に変換する工程と、端末のそれぞれによって情報ビット系列を変換して得られた符号化系列に対して所定の定数を乗算する工程と、複数の端末のそれぞれによって伝送された定数倍符号化系列が多重化された信号に対して所定の雑音が加算された受信信号を受信する基地局によって受信信号を入力する工程と、基地局によって受信された受信値に基づいて、端末のそれぞれに対応する複数の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を行い、必要な情報ビット系列を出力する工程とを備える。
【0321】
したがって、本発明にかかる多元接続方法は、符号化系列に対して所定の定数が乗算された定数倍符号化系列が各端末から伝送され、これらの定数倍符号化系列が多重化された信号に対して所定の雑音が加算された受信値に基づいて、端末のそれぞれに対応する複数の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を基地局によって行うことにより、符号設計の自由度を格段に向上させた高い性能での符号化を容易に実現し、限られたリソースを有効利用してより多くのユーザを収容することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における符号化の定義を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態として示す多元接続システムに適用されるデータ送受信システムにおける送信装置が行う符号化の過程で得られる1つの定数倍符号化系列における信号点の配置を説明する図である。
【図3】同データ送受信システムにおける送信装置が行う符号化の過程で得られる2つの定数倍符号化系列を加算することによって得られる加算符号化系列における信号点の配置を説明する図である。
【図4】同データ送受信システムにおける送信装置が行う符号化の過程で得られる3つの定数倍符号化系列を加算することによって得られる加算符号化系列における信号点の配置を説明する図である。
【図5】通常の4ASK変調方式による信号点の配置を説明する図である。
【図6】信号対雑音比を"12[dB]"としたときの信号点の配置による情報量を説明する図である。
【図7】信号対雑音比を"1.96[dB]"としたときの信号点の配置による情報量を説明する図である。
【図8】図7における情報量が1ビット近傍である領域を拡大した場合の信号点の配置による情報量を説明する図である。
【図9】同データ送受信システムにおける送信装置の現実的な具体的構成を説明するブロック図である。
【図10】同送信装置が有する変換器の具体的構成を説明するブロック図である。
【図11】同変換器が有する要素符号化器の具体的構成を説明するブロック図である。
【図12】本発明における復号を実現する一般的な受信装置の構成を説明するブロック図である。
【図13】同データ送受信システムにおける受信装置の現実的な具体的構成を説明するブロック図である。
【図14】通常のターボ復号器の構成を説明するブロック図である。
【図15】同受信装置が有する復号器の具体的構成を説明するブロック図である。
【図16】同受信装置が有するチャネル推定部の構成を説明するブロック図であって、情報ビット系列に対する事後確率情報を用いて硬判定値系列を求めるチャネル推定部の構成を説明するブロック図である。
【図17】同受信装置が有するチャネル推定部の他の構成を説明するブロック図であって、符号化系列に対する事後確率情報を用いて硬判定値系列を求めるチャネル推定部の構成を説明するブロック図である。
【図18】適応的符号化として、受信側が通信路の状態を同定するデータ送受信システムの概略構成を説明するブロック図である。
【図19】適応的符号化として、送信側が通信路の状態を同定するデータ送受信システムの概略構成を説明するブロック図であって、符号化のパラメータの変更の予告を事前に行うデータ送受信システムの概略構成を説明するブロック図である。
【図20】適応的符号化として、送信側が通信路の状態を同定するデータ送受信システムの概略構成を説明するブロック図であって、現時刻の符号化のパラメータを現時刻のデータに含ませて伝送するデータ送受信システムの概略構成を説明するブロック図である。
【図21】AWGNチャネルにおける特性を求めるシミュレーションで用いた符号構成を説明する図である。
【図22】同シミュレーションで求めたAWGNチャネルにおける特性を示す特性曲線を説明する図である。
【図23】フリー・インターリーブド・レイリーチャネルにおける特性を求めるシミュレーションで用いた符号構成を説明する図である。
【図24】同シミュレーションで求めたフリー・インターリーブド・レイリーチャネルにおける特性を示す特性曲線を説明する図である。
【図25】レイリーチャネル用の符号化のパラメータを用いてスタティックチャネルにおける特性を予測した結果の符号構成を説明する図である。
【図26】同多元接続システムにおける下りリンクの構成を説明するブロック図である。
【図27】同多元接続システムにおける上りリンクの構成を説明するブロック図である。
【図28】同送信装置における変換器による符号化としてQPSK変調方式を適用した場合に得られる加算符号化系列における信号点の配置を説明する図である。
【符号の説明】
10,10,10 送信装置、 11,11,11,11,52L−1,52L−2,・・・,51,92,201,201,201,401,401,401 変換器、 12,12,12,53L−1,53L−2,・・・,53,202,202,202,402,402,402 乗算器、 13,13,203 加算器、 14,204,403,403,403 送信部、 21,21 要素符号化器、 22,83,85 インターリーバ、 23,88 パンクチャ器、 24,89 チャネル・インターリーバ、 25 BPSKマッピング器、 50,60,60,60 受信装置、 51L−1,51L−2,・・・,51,62,62,62,302,302,302,502 復号器、 54L−1,54L−2,・・・,54 差分器、 61,301,301,301,501 受信部、 63,63,63 尤度算出部、81 チャネル・デインターリーバ、 82 デパンクチャ器、 84,86MAP復号器、 87 デインターリーバ、 90,100 チャネル推定部、 91,101 推定器、 93,103 相関算出器、 102 符号化系列推定器、 150,150 コントローラ、 200,500 基地局、300,300,300,400,400,400 端末

Claims (20)

  1. 基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続システムであって、
    各ユーザの情報を所定の形式に変換して伝送する下りリンクにおける上記基地局は、
    所定のビットからなる第1の情報ビット系列をM個の数値からなる第1の符号化系列に変換する第1の変換手段と、
    上記第1の変換手段によって変換されて得られた上記第1の符号化系列に対して第1の定数を乗算する第1の乗算手段と、
    所定のビットからなる第2の情報ビット系列をM個の数値からなる第2の符号化系列に変換する少なくとも1つの第2の変換手段と、
    上記第2の変換手段によって変換されて得られた上記第2の符号化系列に対して第2の定数を乗算する少なくとも1つの第2の乗算手段と、
    上記第1の乗算手段によって乗算されて得られた第1の定数倍符号化系列と、上記第2の乗算手段によって乗算されて得られた第2の定数倍符号化系列とを実数の要素毎に加算して加算符号化系列を生成する加算手段と、
    上記加算符号化系列を送信信号として送信する送信手段と、
    を備え、
    上記基地局によって伝送された上記加算符号化系列に対して所定の雑音が加算された受信信号を受信する上記端末は、それぞれ、
    上記受信信号を入力する受信手段と、
    上記受信手段から供給された上記受信値に基づいて、上記第1の情報ビット系列又は上記第2の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を行い、必要な情報ビット系列を出力する復号手段と、
    を備えることを特徴とする多元接続システム。
  2. 上記第1の乗算手段は、雑音が加算される通信路を介して上記第1の符号化系列を伝送するものとみなしたとき、上記第1の情報ビット系列を所望のビットエラーレートで伝送するために要求されるエネルギに依存して設定された上記第1の定数を、上記第1の符号化系列に対して乗算し、
    上記第2の乗算手段は、上記雑音と、上記第1の定数倍符号化系列と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を介して上記第2の符号化系列を伝送するものとみなしたとき、上記第2の情報ビット系列を所望のビットエラーレートで伝送するために要求されるエネルギに依存して設定された上記第2の定数を、上記第2の符号化系列に対して乗算することを特徴とする請求項1記載の多元接続システム。
  3. 上記第1の乗算手段は、雑音が加算される通信路を介して上記第1の符号化系列を伝送するものとみなしたとき、上記第1の情報ビット系列を所望のビットエラーレートで伝送するために要求されるエネルギに依存して設定された上記第1の定数を、上記第1の符号化系列に対して乗算し、
    上記第2の乗算手段は、上記雑音に比して所定量だけ大きい雑音と、上記第1の定数倍符号化系列と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を介して上記第2の符号化系列を伝送するものとみなしたとき、上記第2の情報ビット系列を所望のビットエラーレートで伝送するために要求されるエネルギに依存して設定された上記第2の定数を、上記第2の符号化系列に対して乗算することを特徴とする請求項1記載の多元接続システム。
  4. 上記基地局は、伝送ロスの大きなユーザに対して割り当てた上記第2の符号化系列に対する上記第2の定数として、マージンを多くとるように決定し、伝送ロスの小さなユーザに対して割り当てた上記第1の符号化系列に対する上記第1の定数として、マージンを少なくとるように決定することを特徴とする請求項3記載の多元接続システム。
  5. 上記第1の変換手段は、
    上記第1の情報ビット系列に対して所定の符号化を施す第1の符号化手段と、
    上記第1の符号化手段によって得られた系列に対して所定の変調方式に基づく信号点のマッピングを行い、M個の数値からなる上記第1の符号化系列を生成する第1の変調手段とを有し、
    上記第2の変換手段は、
    上記第2の情報ビット系列に対して所定の符号化を施す第2の符号化手段と、
    上記第2の符号化手段によって得られた系列に対して所定の変調方式に基づく信号点のマッピングを行い、M個の数値からなるからなる上記第2の符号化系列を生成する第2の変調手段とを有することを特徴とする請求項1記載の多元接続システム。
  6. 上記第1の符号化手段及び/又は上記第2の符号化手段は、入力したデータの順序を所定の置換位置情報に基づいて並べ替えるチャネル用のチャネル・インターリーブ手段を有し、
    上記第1の変調手段及び/又は上記第2の変調手段は、上記チャネル・インターリーブ手段から供給されたインターリーブデータに対して所定の変調方式に基づく信号点のマッピングを行うことを特徴とする請求項5記載の多元接続システム。
  7. 上記復号手段は、少なくとも出力する情報ビット系列よりも高次の情報ビット系列を変換する変換手段に対応した復号を行うことを特徴とする請求項1記載の多元接続システム。
  8. 上記復号手段は、上記受信値から受信シンボルに関する尤度を算出する尤度算出手段を有することを特徴とする請求項7記載の多元接続システム。
  9. 上記復号手段は、上記加算手段によって最後に加算された最高次の上記第2の情報ビット系列から順次復号を行うことを特徴とする請求項1記載の多元接続システム。
  10. 上記基地局は、伝送ロスの大きなユーザに対しては、高次の情報ビット系列として割り当てることを特徴とする請求項1記載の多元接続システム。
  11. 基地局と複数の端末との間で多元接続を行うことによってデータの送受信を行う多元接続システムであって、
    情報を所定の形式に変換して伝送する上りリンクにおける上記端末は、それぞれ、
    所定のビットからなる情報ビット系列をM個の数値からなる符号化系列に変換する変換手段と、
    上記変換手段によって変換されて得られた上記符号化系列に対して所定の定数を乗算する乗算手段とを備え、
    複数の上記端末のそれぞれによって伝送された定数倍符号化系列が実数の要素毎に多重化された信号に対して所定の雑音が加算された受信信号を受信する上記基地局は、
    上記受信信号を入力する受信手段と、
    上記受信手段から供給された上記受信値に基づいて、上記端末のそれぞれに対応する複数の情報ビット系列のうち、少なくとも1つの情報ビット系列に対する復号を行い、必要な情報ビット系列を出力する復号手段とを備えることを特徴とする多元接続システム。
  12. 低次の情報ビット系列が割り当てられた第1の端末における上記乗算手段は、雑音が加算される通信路を介して符号化系列を伝送するものとみなしたとき、情報ビット系列を所望のビットエラーレートで伝送するために要求されるエネルギに依存して設定された定数を、符号化系列に対して乗算し、
    高次の情報ビット系列が割り当てられた第2の端末における上記乗算手段は、上記雑音と、上記第1の端末から伝送された定数倍符号化系列と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を介して符号化系列を伝送するものとみなしたとき、情報ビット系列を所望のビットエラーレートで伝送するために要求されるエネルギに依存して設定された定数を、符号化系列に対して乗算することを特徴とする請求項11記載の多元接続システム。
  13. 低次の情報ビット系列が割り当てられた第1の端末における上記乗算手段は、雑音が加算される通信路を介して符号化系列を伝送するものとみなしたとき、情報ビット系列を所望のビットエラーレートで伝送するために要求されるエネルギに依存して設定された定数を、符号化系列に対して乗算し、
    高次の情報ビット系列が割り当てられた第2の端末における上記乗算手段は、上記雑音に比して所定量だけ大きい雑音と、上記第1の端末から伝送された定数倍符号化系列と同一の統計的性質を有する系列との和が加算される通信路を介して符号化系列を伝送するものとみなしたとき、情報ビット系列を所望のビットエラーレートで伝送するために要求されるエネルギに依存して設定された定数を、符号化系列に対して乗算することを特徴とする請求項11記載の多元接続システム。
  14. 上記端末は、それぞれ、伝送ロスに基づいて送信パワーを制御し、各ユーザ間の送信信号の振幅が適切となるように上記定数を設定することを特徴とする請求項13記載の多元接続システム。
  15. 低次の情報ビット系列が割り当てられた第1の端末における上記変換手段は、
    情報ビット系列に対して所定の符号化を施す第1の符号化手段と、
    上記第1の符号化手段によって得られた系列に対して所定の変調方式に基づく信号点のマッピングを行い、M個の数値からなる符号化系列を生成する第1の変調手段とを有し、
    高次の情報ビット系列が割り当てられた第2の端末における上記変換手段は、
    情報ビット系列に対して所定の符号化を施す第2の符号化手段と、
    上記第2の符号化手段によって得られた系列に対して所定の変調方式に基づく信号点のマッピングを行い、M個の数値からなるからなる符号化系列を生成する第2の変調手段とを有することを特徴とする請求項11記載の多元接続システム。
  16. 上記第1の符号化手段及び/又は上記第2の符号化手段は、入力したデータの順序を所定の置換位置情報に基づいて並べ替えるチャネル用のチャネル・インターリーブ手段を有し、
    上記第1の変調手段及び/又は上記第2の変調手段は、上記チャネル・インターリーブ手段から供給されたインターリーブデータに対して所定の変調方式に基づく信号点のマッピングを行うことを特徴とする請求項15記載の多元接続システム。
  17. 上記復号手段は、
    低次の情報ビット系列が割り当てられた第1の端末における上記変換手段に対応した復号を行う第1の復号手段と、
    高次の情報ビット系列が割り当てられた第2の端末における上記変換手段に対応した復号を行う少なくとも1つの第2の復号手段とを有することを特徴とする請求項11記載の多元接続システム。
  18. 上記第1の復号手段及び上記第2の復号手段は、それぞれ、上記受信値から受信シンボルに関する尤度を算出する尤度算出手段を有することを特徴とする請求項17記載の多元接続システム。
  19. 上記復号手段は、最高次の情報ビット系列から順次復号を行うことを特徴とする請求項11記載の多元接続システム。
  20. 伝送ロスの小さなユーザの上記端末ほど、高次の情報ビット系列として割り当てられることを特徴とする請求項11記載の多元接続システム。
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