JP3976913B2 - 眼科手術装置 - Google Patents
眼科手術装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3976913B2 JP3976913B2 JP31653898A JP31653898A JP3976913B2 JP 3976913 B2 JP3976913 B2 JP 3976913B2 JP 31653898 A JP31653898 A JP 31653898A JP 31653898 A JP31653898 A JP 31653898A JP 3976913 B2 JP3976913 B2 JP 3976913B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stage
- suction
- emulsification
- foot switch
- emulsifying
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Surgical Instruments (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は白内障等によって白濁した水晶体を破砕乳化して体外に摘出する眼科手術装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
白内障等によって白濁した水晶体を破砕乳化して体外に摘出する眼科手術装置は、超音波破砕用ハンドピース(以下、USハンドピースという)の先端に取り付けたチップに超音波振動を増幅伝達して水晶体核を破砕乳化し、破砕した核を眼内に供給した灌流液と共にチップに設けられた吸引孔からチューブを介して吸引除去する。
【0003】
この種の装置では、灌流液の供給動作、吸引動作及びチップの超音波振動動作を適切に調整する必要がある。これらの調整は、例えば図13に示すように、フットスイッチの踏み込み加減により行うようにしたものが知られている。第1段階の踏み込みでは灌流動作を、第2段階の踏み込みでは灌流+吸引の動作を、第3段階の踏み込みでは灌流+吸引+乳化の動作を行うことができる。
【0004】
ところで、最近の白内障手術では水晶体核を超音波振動や手術器具によりいくつかに分割した後、分割した個々の水晶体核をUSハンドピースのチップ先端に吸引保持して前房の中央部に移動させてから乳化吸引する方法が主流となっている。この方法では、吸引圧を高く設定することにより、分割後の核をチップ先端に強く吸引保持できるようにしている。
【0005】
また、水晶体核をすべて乳化吸引した後に残った残留皮質の吸引除去には、USハンドピースに替えて、灌流吸引用ハンドピース(以下、I/Aハンドピースという)が利用される。I/Aハンドピースは残留皮質の吸引を乳化吸引時と同じ灌流吸引系を利用して行う。吸引された残留皮質はI/Aハンドピースの先端に取り付けられたI/Aチップが有する吸引孔から吸引チューブを通り廃液袋に排出される。I/Aハンドピースを用いても吸引除去できず、水晶体嚢に癒着している皮質小片組織を取り除く際には、一般的に、残留皮質の吸引時に対して低い吸引圧とゆっくりした吸引流量を設定し、I/Aチップを水晶体嚢に弱く擦過させ研磨すること(以下、水晶体嚢研磨という)により除去している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水晶体核の硬さや、分割した水晶体核の形状によってはチップの吸引孔を完全に閉塞することができず、吸引保持の際に吸引圧を高く設定したとしても、吸引圧は設定値に到達せずに水晶体核を十分に保持することができない場合がある。
【0007】
また、第3段階の超音波振動の動作により核を乳化吸引するときには、吸引圧を高く設定し過ぎると、一時的に吸引流量が灌流流量を上まわり、前房が潰れてしまう可能性があるため、吸引圧は必要以上に高く設定することができないという問題があった。
【0008】
さらに、I/Aハンドピースによる水晶体嚢研磨では、それまでの残留皮質吸引時の高い吸引圧のままだと後嚢破損の可能性があるため、水晶体嚢研磨に移行する際に吸引圧を設定し直す必要があり、術者に負担を掛けていた。
【0009】
本発明は上記問題点を鑑み、分割後の水晶体核をチップ先端で十分に保持することができ、また、術者に負担を掛けることなく水晶体嚢研磨をも適切に行うことのできる超音波手術装置を提供することを技術課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0011】
(1) 眼内に供給された灌流液とともに眼内の廃物を吸引する吸引手段と、乳化パワーを変化させるパワー可変手段を持ち、超音波振動を利用して眼内の組織を破砕乳化する乳化手段と、足載せ部を持ち該足載せ部の操作量に応じた信号を入力するフットスイッチとを有し、該フットスイッチからの信号に基づいて、前記吸引手段を動作させる第1段階と、吸引手段及び乳化手段を共に動作させる第2段階とを切換え制御する眼科手術装置において、第1段階と第2段階の間に、吸引圧又は吸引流量が前記第2段階よりも高く、かつ乳化パワーが第2段階の乳化パワーより弱い第3段階を設け、前記フットスイッチの操作量により第1段階、第3段階及び第2段階を切換え、各段階に対応して吸引手段及び乳化手段の動作を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
(2) 眼内に供給された灌流液とともに眼内の廃物を吸引する吸引手段と、乳化パワーを変化させるパワー可変手段を持ち、超音波振動を利用して眼内の組織を破砕乳化する乳化手段と、足載せ部を持ち該足載せ部の操作量に応じた信号を入力するフットスイッチとを有し、該フットスイッチからの信号に基づいて、前記吸引手段を動作させる第1段階と、吸引手段及び超音波出力をフットスイッチの操作量によりリニア変化させる乳化手段を共に動作させる第2段階とを切換え制御する眼科手術装置において、第1段階と第2段階の間に、吸引圧又は吸引流量が前記第2段階よりも高く、かつ超音波出力をパルス発振させる第3段階を設け、前記フットスイッチの操作量により第1段階、第3段階及び第2段階を切換え、各段階に対応して吸引手段及び乳化手段の動作を制御する制御手段を、を備えることを特徴とする。
(3) 超音波振動を利用して眼内の組織を破砕乳化する乳化手段と、眼内に供給された灌流液とともに眼内の廃物を吸引する吸引手段と、足載せ部を持ち該足載せ部の踏み込み量に応じた信号を入力するフットスイッチと、該フットスイッチからの踏み込み量に応じた信号に対応させて前記吸引手段を動作させる第1動作指示と前記吸引手段及び乳化手段を共に動作させる第2動作指示を行う第1指示手段とを有する眼科手術装置において、前記フットスイッチはさらに前記足載せ部の踏み込み方向とは異なる方向に操作する操作手段と該操作手段の操作による信号を入力する信号入力手段とを具備し、前記乳化手段の乳化パワーを変化させるパワー可変手段と、前記足載せ部の踏み込みによる第1動作のための信号の入力に加えて前記操作手段による信号が入力されたときに、前記第2動作を行うための信号の入力時における乳化パワーより弱い乳化パワーとなるように前記パワー可変手段に指令して前記乳化手段を動作させる指令手段と、を備えることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本実施例の手術装置の外観略図、図2は概略構成図である。
【0023】
1は装置本体であり、本体1には装置全体の制御を行う制御部5が収納されている。2は術者に把持されるUSハンドピースである。USハンドピース2の先端には吸引孔を持つ管状の破砕用チップ2aが取り付けられている。チップ2aにはUSハンドピース2に内蔵された振動子により発生する超音波振動が増幅伝達され、これによりチップ2aは水晶体核を破砕乳化する。USハンドピース2の振動子には本体1に接続されたケーブルを介して駆動エネルギが供給される。3は入力部であり、フットスイッチ6の踏み込み加減に対応して灌流、吸引、超音波乳化の組み合わせを変更するモードスイッチや、灌流圧、吸引流量、吸引圧、超音波出力等の各種設定を行うスイッチが設けられている。入力部3により入力された設定値はメモリ7に記憶される。
【0024】
10は患者眼Eに供給するための生理食塩水等の灌流液が入れられた灌流瓶であり、11は灌流液を患者眼Eへ導くための灌流チューブである。灌流瓶10はポール12に吊り下げられており、ポール12は上下駆動装置13(又は手動)により上下動され、灌流瓶10の高さを変化できるようになっている。灌流瓶10の高さは患者眼E内の圧力を適度に維持するように設定される。灌流チューブ11の途中には制御弁14が設けられており、制御弁14の開閉により灌流液の流出制御が行われる。灌流チューブ11の一端は灌流瓶10側に接続され、他端は破砕用のUSハンドピース2側に接続される。USハンドピース2は手術段階や術式により各種ハンドピースと繋ぎ換えて使用される。例えば、USハンドピース2により水晶体核をすべて乳化吸引した後、水晶体嚢内に残った残留皮質の吸引除去、水晶体嚢研磨にはI/Aハンドピース8に繋ぎ換える。
【0025】
16は吸引チューブであり、USハンドピース2に取付けられたチップ2aの吸引孔から吸引される灌流液や破砕乳化した核等の廃液を体外に排出するために使用される。吸引チューブ16の後方の途中には、吸引圧を発生するための蠕動型(ペリスタルティック・タイプ)の吸引ポンプ部18が配設されている。吸引ポンプ部18は制御部5により制御され、その吸引流量が調整される。吸引された廃液は廃液袋17に排出投入される。
【0026】
30は圧力センサ、31は電磁弁である。圧力センサ30及び電磁弁31は、接続部32を介して吸引チューブ16と繋がっている。圧力センサ30は吸引圧を常時検出する。水晶体核等の栓塞物によりチップ2a先端の吸引孔が塞がれて吸引チューブ16内の吸引圧が設定値に達すると、制御部5は圧力センサ30による検出信号に基づいて吸引ポンプ部18を停止させた後、吸引チューブ16内の圧力を設定値に保つ。また、必要に応じて電磁弁31を開き、吸引圧を下げる。
【0027】
図3はフットスイッチ6の踏み込み操作機構を説明する図である。20はベース部、21は踏込部である。踏込部21の後方(図上左方向)は軸22によりベース部20に連結しており、踏込部21は軸22を中心として図上の矢印Aの方向に回転可能である。踏込部21とベース部20の間にはスプリング23が介在しており、踏込部21に力を加えないときには図3の状態に保持される。24はギヤ部24aを有する踏込量伝達部材であり、踏込量伝達部材24は踏込部21内に固着されている。25はベース部20に固設された回転型のポテンショメータであり、ポテンショメータ25の回転軸には踏込量伝達部材24のギヤ部24aに噛合するギヤ26が取り付けられている。踏込部21に力が加えられると、踏込量伝達部材24は軸22を中心として回転する。この回転がギヤ部24a及びギヤ26を介してポテンショメータ25に伝達され、ポテンショメータ25はフットスイッチの踏込量を検出する。
【0028】
27はソレノイドである。ソレノイド27は取付部材28により軸22に固定され、踏込部21とともに軸22を回転中心として回転する。27aはソレノイド27の可動部であり、可動部27aは電圧が印加されないときには図示なきバネにより自動的に戻るようになっている。ソレノイド27には、踏込部21の踏み込みの各ポジション(図5参照)が切換わるときに電圧が印加され、ソレノイド27は可動部27aを引き込み駆動する。可動部27aの引き込み駆動により振動がもたらされ、術者は各ポジションの切り替わりを認識することができる。
【0029】
このような機構を持つフットスイッチ6は、図4に示すモード設定により、踏み込みのポジションに応じて灌流、吸引、超音波乳化の動作をコントロールできるようになっている。USハンドピース2を使用する手術では、灌流/吸引/乳化モードを選択できる。このモードの場合、図5に示すフットスイッチ6の踏み込みポジションの信号に対応して、次のように灌流、吸引及び超音波乳化の各動作が制御されるようになっている。
【0030】
フットスイッチ6の踏み込み位置がポジション1にある場合、USハンドピース2からは灌流液のみが供給される。ポジション2には灌流液の供給に加えて入力部3より設定された吸引圧に従った吸引が行われるポジション2−1と、ポジション2−1のときと同じ吸引圧でさらにチップ2aに微弱な超音波振動が付与されるポジション2−2が設けられている。ポジション3では灌流液の供給、入力部3より設定された吸引圧(ポジション2のときとは異なる吸引圧が設定できる)に従った吸引が行われるとともに、破砕乳化用の超音波振動がチップ2aに付与され、超音波乳化を行うことができる。チップ2aの超音波振動は、USハンドピース2に内蔵された振動子に供給する駆動エネルギ量により、その出力(乳化パワー)が変えられる。駆動エネルギ量は、フットスイッチ6のポジション信号と入力部3による超音波出力の設定値に基づいて、制御部5が指令して制御する。
【0031】
また、ポジション2−2及びポジション3での超音波出力の制御方法は、フットスイッチ6の踏み込み加減によって設定範囲内でコントロールするリニアコントロールか、フットスイッチ6の踏み込み加減に関係なく、設定された一定の超音波出力で制御するパネルコントロールか、をそれぞれ入力部3により予め設定できるようになっている。
【0032】
以上のような構成を備える超音波手術装置において、その動作について以下に説明する。ここでは水晶体核を分割して乳化吸引する術式での動作を説明する。
【0033】
手術に際し、灌流瓶10の設置、USハンドピース2や吸引ポンプ部18への各チューブ類の取付けやその他必要な準備を行う。手術のモードは入力部3のモード選択スイッチにより灌流/吸引/乳化モードを選択する。また、灌流瓶の高さ(本実施例の装置では、灌流圧を灌流瓶の高さにより設定する)、吸引圧、吸引流量、及び超音波出力(連続発振とパルス発振を選択できる)等の設定を入力部3のスイッチにより行う。灌流瓶の高さは、例えば、70cmに設定する。吸引の制御方法は吸引流量を一定にし、吸引圧がフットスイッチ6のポジションにより変わるようにする。吸引圧は、例えば、ポジション2では分割後の水晶体核をUSハンドピース2のチップ2a先端に保持しやすいように高めの250mmHgに設定する。一方、ポジション3では吸引圧を高く設定し過ぎると前房が潰れやすいので、ポジション2のときより低い160mmHgに設定する。超音波出力はポジション3では最大出力値の80%に設定し、ポジション2−2では20%に設定する。また、超音波出力の制御方法は、連続発振でポジション2−2及びポジション3の両方ともリニアコンロールに設定する。これらの設定によるフットスイッチ6の各ポジションに対する吸引圧と超音波出力との関係は、図6のようになる。
【0034】
装置側の必要なセッティングができたら、超音波乳化吸引法による手術を行う。術者は図示なき手術顕微鏡で患者眼を観察しながら、強膜の切開、前嚢切開した後、USハンドピース2のチップ2aを切開創から眼内に挿入する。チップ2aの挿入は、フットスイッチ6を灌流のみが行われるポジション1に踏み込み、灌流制御弁14を開いて灌流液を流出させながら行う。灌流液が眼球内に供給されると、灌流瓶10の高さ位置の関係により眼球の前房圧が略一定に確保される。
【0035】
術者はチップ2aを嚢内に挿入したら、フットスイッチ6をポジション3まで踏み込むことにより、灌流液の供給と吸引動作に加えてチップ2aに超音波振動を生じさせる。このチップ2aの超音波振動により、水晶体核をいくつかの小さな水晶体核に分割する。このときの水晶体は嚢内で十分に固定されているため、比較的低い吸引圧でもチップ2aの超音波振動により容易に分割することができる。
【0036】
水晶体核の分割がある程度できたら、個々の水晶体核を乳化吸引する。乳化吸引を行う際には、個々の水晶体核をチップ2aの先端で吸着保持し、前嚢切開により切開されている中央部まで移動させる。この操作においてはチップ2aの振動は必要なく、分割された水晶体核を高い吸引圧によりチップ2aの先端に引きつける。このときにはフットスイッチ6を灌流および吸引を行うポジション2−1まで踏み込む。これにより、分割された水晶体核をチップ2aの先端で吸引保持する。
【0037】
この水晶体核の吸引保持に際し、水晶体核の硬さ、形状によりチップ2a先端の吸引孔が完全に閉塞されずに十分な保持ができない場合には、フットスイッチ6をポジション2−2まで踏み込む。ポジション2−2では吸引圧がポジション2−1と同様に高く、さらにチップ2aに出力の弱い超音波振動が与えられるので、水晶体核は引きつけられながら少しづつ乳化破砕され、チップ2aの先端が徐々に水晶体核に食い込むようになる。これによりチップ2a先端の吸引孔が閉塞され、水晶体核の十分な保持をすることが可能となる。
【0038】
このようにして水晶体核を十分に保持して前房の中央部まで移動させることができたら、フットスイッチ6をポジション3まで踏み込み、移動した水晶体核を乳化して吸引除去する。ポジション3での吸引圧はポジション2−1および2−2に比べて低く設定されているので、前房が潰れることを防止し、前房を安定させての手術ができる。
【0039】
上述した実施例では、吸引圧が同じ設定のポジション2の範囲にポジション2−2を設けて微弱な超音波振動を付与できるようにしたが、さらに吸引圧(又は吸引流量)も変更できるように、フットスイッチ6のポジションを4段階に区分けしても良い。図7〜図10はその例である。図7は微弱な超音波振動を付与するポジション3での吸引圧をポジション2、4に対して高く設定した例である。図8は、図7の例に対してポジション3での超音波出力を一定にし、ポジション2での吸引圧をポジション4より低くした例である。図9はポジション3での超音波出力をパルス発振に、吸引圧をフットスイッチ6の踏込み加減によるリニア変化にした例である。図10は吸引流量をフットスイッチのポジションにより変える例である。さらに、図11のようにフットスイッチ6のポジションを他段階に区分けして、それぞれ吸引圧(又は吸引流量)、超音波出力(連続発振かパルス発振かも設定できる)の変化を細かく変更できるようにしても良い。
【0040】
このように、フットスイッチの踏込み操作に応じて吸引と超音波出力を変化させるポジションを増やすことにより、各手術段階(水晶体核の溝堀段階、分割段階、吸引保持段階、乳化吸引段階等)に応じて、フットスイッチの踏込み操作だけで所望する吸引と超音波出力等を容易に切換えることができ、適切な手術を行うことができる。また、灌流圧、吸引圧、吸引流量、超音波出力の各値とリニア変化にするか否かを各ポジションごとに入力して設定し、その組み合わせを複数登録してこれを選択できるようにしておけば、さらに手術に応じて所望の設定を即座に選択できて都合が良い。
【0041】
また、前述した実施例ではフットスイッチ6の踏み込み機構のみで出力の弱い超音波振動を生じさせたが、踏み込み部の上面を横方向に回転できるように構成し、ポジション2において踏み込み部の上面を回転することによって出力の弱い超音波振動を破砕用チップに生じさせるようにしてもよい。
【0042】
この場合のフットスイッチの構成は、例えば、図12のようにすることができる。踏込部21の上には、術者が足を載せるフットプレート30を設ける。フットプレート30は軸31により踏込部21に対して回転可能に軸支され、術者は足をフットプレート30に載せながら足当部30aに足の側部を当て、フットプレート30を2点鎖線で示される術者から向かって右側(図上の矢印C方向)に振ることができる。フットプレート30を振る(回転する)と、フットプレート30の下面に固着された回転伝達板40、及びギヤ42を介して、その振れ量をポテンショメータ41が検出する。なお、32はフットプレート30を初期位置に戻すための復帰バネである。このような構成により、前述の踏む込みポジション2でフットプレート30を振ると、弱い超音波出力による乳化が行える。
【0043】
さらに、別途にスイッチを設け、このスイッチにより出力の弱い超音波振動を制御することも可能である。
【0044】
USハンドピース2による水晶体核の吸引除去が完了したら、術者はUSハンドピース2をI/Aハンドピース8に繋ぎ換え、残留皮質の吸引除去等を行う。術者は入力部3のスイッチを操作して灌流/吸引モードに設定するとともに、残留皮質吸引と水晶体嚢研磨に最適な吸引圧、吸引流量をそれぞれのフットスイッチポジションに設定する。例えば、図14に示すように、吸引圧については、ポジション2に水晶体嚢研磨に適した弱い吸引圧となるように10mmHg程度(リニア変化での最大値)を設定し、ポジション3に500mmHg程度(リニア変化での最大値)の超音波乳化吸引よりも高い吸引圧を設定して超音波乳化吸引よりも高い吸引圧とする。吸引流量については、ポジション2にゆっくりした10cc/min程度を設定し、ポジション3に早目の25cc/min程度を設定する。また、ポジション1は灌流液の供給がのみが行われるようにする。これらの設定は、手術前に予め設定してメモリに記憶させておくことにより、モード切り換えとともに自動的に設定が変更するようにしてもよい。
【0045】
術者はフットスイッチ6をポジション3まで踏む込み、高い吸引圧で水晶体嚢内に残った残留皮質を吸引する。残留皮質の吸引除去が終了したら、フットスイッチ6をポジション2又はポジション1まで戻し、水晶体嚢研磨を行う。このとき、ポジション2の吸引圧、吸引流量の設定は十分に低いため、水晶体嚢破損を抑制することができる。また、あらかじめポジション位置による吸引圧及び吸引流量を設定して、フットスイッチのみで容易に吸引圧を制御することができるため、術者にかかる負担を軽減して高率良く適切な手術を行うことができる。
【0046】
以上、本実施例においてはフットスイッチのポジション1の位置を灌流のみのポジション位置として設定したが、灌流制御のON/OFFを行うスイッチを別途設け、フットスイッチポジションによる制御は吸引、乳化のみを行うようにすることも可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、分割後の水晶体核を十分に保持でき、その移動を容易に行える。また、水晶体嚢研磨時の後嚢破損の可能性や術者の負担を軽減できる。これにより、手術をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例である灌流吸引装置の外観略図である。
【図2】実施例である灌流吸引装置の概略構成図である。
【図3】フットスイッチの踏み込み操作機構を説明する図である。
【図4】各動作モードにおける灌流、吸引、超音波乳化の作動を説明する図である。
【図5】実施例であるフットスイッチの踏み込みポジション位置による灌流、吸引、超音波乳化の作動を示す図である。
【図6】フットスイッチの各ポジションに対する吸引圧と超音波出力の設定例を示す図である。
【図7】フットスイッチの各ポジションに対する吸引圧と超音波出力の設定例を示す図である。
【図8】フットスイッチの各ポジションに対する吸引圧と超音波出力の設定例を示す図である。
【図9】フットスイッチの各ポジションに対する吸引圧と超音波出力の設定例を示す図である。
【図10】フットスイッチの各ポジションに対する吸引流量と超音波出力の設定例を示す図である。
【図11】フットスイッチの各ポジションに対する吸引パラメータと超音波出力の設定例を示す図である
【図12】フットスイッチの機構の変容例を説明する図である。
【図13】従来のフットスイッチの踏み込みポジション位置による灌流、吸引、超音波乳化の作動を示す図である。
【図14】灌流/吸引モード時のフットスイッチの各ポジションに対する吸引圧、吸引流量の設定例を示す図である。
【符号の説明】
2 USハンドピース
2a チップ
3 入力部
5 制御部
6 フットスイッチ
8 I/Aハンドピース
18 吸引ポンプ部
Claims (3)
- 眼内に供給された灌流液とともに眼内の廃物を吸引する吸引手段と、乳化パワーを変化させるパワー可変手段を持ち、超音波振動を利用して眼内の組織を破砕乳化する乳化手段と、足載せ部を持ち該足載せ部の操作量に応じた信号を入力するフットスイッチとを有し、該フットスイッチからの信号に基づいて、前記吸引手段を動作させる第1段階と、吸引手段及び乳化手段を共に動作させる第2段階とを切換え制御する眼科手術装置において、第1段階と第2段階の間に、吸引圧又は吸引流量が前記第2段階よりも高く、かつ乳化パワーが第2段階の乳化パワーより弱い第3段階を設け、前記フットスイッチの操作量により第1段階、第3段階及び第2段階を切換え、各段階に対応して吸引手段及び乳化手段の動作を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする眼科手術装置。
- 眼内に供給された灌流液とともに眼内の廃物を吸引する吸引手段と、乳化パワーを変化させるパワー可変手段を持ち、超音波振動を利用して眼内の組織を破砕乳化する乳化手段と、足載せ部を持ち該足載せ部の操作量に応じた信号を入力するフットスイッチとを有し、該フットスイッチからの信号に基づいて、前記吸引手段を動作させる第1段階と、吸引手段及び超音波出力をフットスイッチの操作量によりリニア変化させる乳化手段を共に動作させる第2段階とを切換え制御する眼科手術装置において、第1段階と第2段階の間に、吸引圧又は吸引流量が前記第2段階よりも高く、かつ超音波出力をパルス発振させる第3段階を設け、前記フットスイッチの操作量により第1段階、第3段階及び第2段階を切換え、各段階に対応して吸引手段及び乳化手段の動作を制御する制御手段を、を備えることを特徴とする眼科手術装置。
- 超音波振動を利用して眼内の組織を破砕乳化する乳化手段と、眼内に供給された灌流液とともに眼内の廃物を吸引する吸引手段と、足載せ部を持ち該足載せ部の踏み込み量に応じた信号を入力するフットスイッチと、該フットスイッチからの踏み込み量に応じた信号に対応させて前記吸引手段を動作させる第1動作指示と前記吸引手段及び乳化手段を共に動作させる第2動作指示を行う第1指示手段とを有する眼科手術装置において、前記フットスイッチはさらに前記足載せ部の踏み込み方向とは異なる方向に操作する操作手段と該操作手段の操作による信号を入力する信号入力手段とを具備し、前記乳化手段の乳化パワーを変化させるパワー可変手段と、前記足載せ部の踏み込みによる第1動作のための信号の入力に加えて前記操作手段による信号が入力されたときに、前記第2動作を行うための信号の入力時における乳化パワーより弱い乳化パワーとなるように前記パワー可変手段に指令して前記乳化手段を動作させる指令手段と、を備えることを特徴とする眼科手術装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31653898A JP3976913B2 (ja) | 1997-11-10 | 1998-11-06 | 眼科手術装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-325213 | 1997-11-10 | ||
JP32521397 | 1997-11-10 | ||
JP31653898A JP3976913B2 (ja) | 1997-11-10 | 1998-11-06 | 眼科手術装置 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006300863A Division JP4492881B2 (ja) | 1997-11-10 | 2006-11-06 | 眼科手術装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11206803A JPH11206803A (ja) | 1999-08-03 |
JP3976913B2 true JP3976913B2 (ja) | 2007-09-19 |
Family
ID=26568700
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31653898A Expired - Fee Related JP3976913B2 (ja) | 1997-11-10 | 1998-11-06 | 眼科手術装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3976913B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101711711A (zh) * | 2008-09-30 | 2010-05-26 | 株式会社尼德克 | 超声波手术装置 |
JP2011235173A (ja) * | 2003-03-12 | 2011-11-24 | Abbott Medical Optics Inc | キャビテーション効果を利用するパルス化された超音波動力供給のためのシステム及び方法 |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5067992B2 (ja) * | 2001-07-26 | 2012-11-07 | 日立アロカメディカル株式会社 | 手術用装置 |
JP4772996B2 (ja) * | 2001-07-26 | 2011-09-14 | 日立アロカメディカル株式会社 | 手術用装置 |
AR041081A1 (es) * | 2002-09-04 | 2005-04-27 | Alcon Universal Ltd | Conmutador a pedal |
JP4162544B2 (ja) | 2003-01-15 | 2008-10-08 | 株式会社ニデック | 超音波手術装置 |
JP4126253B2 (ja) | 2003-06-25 | 2008-07-30 | 株式会社ニデック | 超音波手術装置 |
US9119700B2 (en) | 2004-11-30 | 2015-09-01 | Novartis Ag | Graphical user interface system and method for representing and controlling surgical parameters |
US7945341B2 (en) | 2004-11-30 | 2011-05-17 | Alcon, Inc. | Graphical user interface for selecting pulse parameters in a phacoemulsification surgical system |
US7626132B2 (en) * | 2005-10-13 | 2009-12-01 | Alcon, Inc. | Foot controller |
JP2008188110A (ja) * | 2007-02-01 | 2008-08-21 | Olympus Medical Systems Corp | 手術用顕微鏡のフットスイッチ |
US9314553B2 (en) | 2008-01-10 | 2016-04-19 | Alcon Research, Ltd. | Surgical system |
JP5475088B1 (ja) * | 2012-11-02 | 2014-04-16 | 株式会社中京メディカル | 手術器具 |
JP2021013666A (ja) * | 2019-07-16 | 2021-02-12 | 株式会社ニデック | 灌流吸引装置および灌流吸引制御プログラム |
-
1998
- 1998-11-06 JP JP31653898A patent/JP3976913B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011235173A (ja) * | 2003-03-12 | 2011-11-24 | Abbott Medical Optics Inc | キャビテーション効果を利用するパルス化された超音波動力供給のためのシステム及び方法 |
CN101711711A (zh) * | 2008-09-30 | 2010-05-26 | 株式会社尼德克 | 超声波手术装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11206803A (ja) | 1999-08-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3679143B2 (ja) | 灌流吸引装置 | |
JP3935653B2 (ja) | 灌流吸引装置 | |
JP3636851B2 (ja) | 灌流吸引装置 | |
JP5400063B2 (ja) | 水晶体吸引術吸引装置用の吸引制御 | |
JP3561227B2 (ja) | 水晶体超音波吸引装置の制御方法 | |
JP3976913B2 (ja) | 眼科手術装置 | |
JP4162544B2 (ja) | 超音波手術装置 | |
US5403307A (en) | Apparatus, system, and method for softening and extracting cataractous tissue | |
EP1832259B1 (en) | Pulse amplitude manipulation for controlling a phacoemulsification surgical system | |
EP3691708B1 (en) | Phacoemulsification system with advanced occlusion management methods | |
KR102170110B1 (ko) | 흡인 및 관주 회로를 위하여 선택적으로 가동 가능한 밸브 요소 | |
JP5544292B2 (ja) | 眼科手術に用いるプローブチップ及び注入スリーブ | |
Kelman | The history and development of phacoemulsification | |
WO2019089203A1 (en) | Automatic ultrasonic phacoemulsification control | |
US6428508B1 (en) | Pulsed vacuum cataract removal system | |
JP4492881B2 (ja) | 眼科手術装置 | |
JP2000237228A (ja) | 眼科手術用スリーブ及びこれを備える眼科手術装置 | |
JP4436899B2 (ja) | 眼科手術装置 | |
JP5301936B2 (ja) | 超音波手術装置 | |
JPH11104164A (ja) | 眼科手術装置 | |
JP3860260B2 (ja) | 灌流吸引装置 | |
JP3695883B2 (ja) | 眼科手術用フットスイッチ及びこれを備える眼科手術装置 | |
JP3244191B2 (ja) | 白内障手術装置 | |
JP3123852B2 (ja) | 灌流吸引装置 | |
JP4126304B2 (ja) | 超音波手術装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060227 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060905 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061106 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070214 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070416 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070522 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070620 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110629 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110629 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120629 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120629 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130629 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |