JP3973466B2 - 成形用型、成形用型の製造方法、成形用型の製造システム、及び成形方法 - Google Patents

成形用型、成形用型の製造方法、成形用型の製造システム、及び成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形用型、成形用型の製造方法及び製造システム、及び成形方法に係り、更に詳しくは、プラスチックレンズ等の精密部品を成形するための成形用型、該成形用型を製造する成形用型の製造方法及び製造システム前記成形用型を用いて成形を行う成形方法に関する
【0002】
【従来の技術】
レンズ等の光学部品は、安価で軽量であることから、プラスチック等の樹脂製のものが比較的多く用いられている。そして、樹脂製の光学部品は、大部分が射出成形法及びそれに類似する方法により製造されている。射出成形法では、成形品と類似の形状のキャビティを有する金型等の成形用型が使用される。この成形用型を構成する型部材の表面は、前記キャビティを形成するために、成形品の目的形状(設計形状)に基づいて、所定の表面形状に加工されている。
【0003】
そして、射出成形機等を用いて、成形用型のキャビティに溶融した樹脂を加圧しながら注入し、冷却後、固化した樹脂を成形用型から分離することにより、型部材の表面形状が転写された所定形状の成形品が得られる。
【0004】
射出成形用の樹脂には、光学部品用としては非晶質ポリオレフィン樹脂やアクリル(PMMA)樹脂等の熱可塑性樹脂が通常用いられており、樹脂は200℃以上に加熱、溶融され、溶融状態を保持したまま成形用型に注入される。従って、注入された樹脂が固化するときに生じる収縮や、室温まで冷却されるときに生じる熱収縮等により成形品は変形し、その形状は成形用型のキャビティよりも小さくなる。そこで、その変形分を補うために、成形品の変形を相似変形として近似し、成形品の設計形状に等方的な変形率(熱収縮率)の逆数を乗じたキャビティ形状が形成されるように型部材の表面形状を設計していた。
【0005】
ところで、レーザプリンタやデジタル複写装置等では、価格の点から射出成形法等で成形された樹脂製の光学素子が多く用いられている。近年、画質に対する要求が高くなるにつれて、特に画質に大きな影響を与える走査光学系に用いられている光学素子の形状精度に対する関心が高くなってきている。また一方では、価格低減への要求も同時に満足させる必要があり、高精度のプラスチック光学素子の要求が高まっている。
【0006】
射出成形による成形品には、冷却速度の不均一性、樹脂温度の不均一性、及び成形品形状の非対称性などに起因する不均一な内部応力が発生する。これは、成形品の不均一な変形(ひずみ)の原因となる。また、型部材の製造誤差も無視できない。すなわち、実際に成形品に生じる変形には、相似変形だけでなく、種々の波長成分を有する周期的な変形も含まれている。従って、成形品の変形を相似変形として近似して設計、製造された成形用型では、要求される特性(例えば、光学特性など)を満たす成形品を成形することは困難であった。このことは、設計上の特性を確実に実現できる成形品を得るためには、成形品に生じる種々の変形を考慮した成形用型の加工・製造が必要であることを示している。
【0007】
そこで、成形品の寸法精度や面精度を目的の公差内におさめるために、所定の表面形状を有する型部材を用いて成形された成形品の形状を測定し、この測定値(形状データ)と成形品の設計形状との寸法差である形状誤差を求め、この形状誤差を低減するように型部材の表面形状を修正することが従来より行なわれている。
【0008】
型部材の加工・製造はコンピュータで管理及び制御されている工場の加工装置で行なわれることが多いため、コンピュータでの処理の都合上も含み、成形品の形状誤差から型部材の加工量を求める際には、成形品ないしは型部材の形状データを多項式(形状回帰式)で近似する処理が広く行なわれている。また、この近似処理は、未測定部の形状データを補間するだけでなく、形状データに含まれる低周波成分(長波長成分)を抽出する、いわゆるローパスフィルタの効果をも持っている。
【0009】
しかしながら、形状データに含まれる長波長成分に基づいて成形品の形状誤差を修正しても、成形品が設計上の特性を確実に実現できない場合があった。そこで、形状データに含まれるさらに波長の短い成分(いわゆる「うねり」成分)に対して注目されるようになった。
【0010】
例えば、特開2000−263391号公報(以下、「第1の公知例」と呼ぶ)には、成形品の転写面上に存在する代表的なうねり成分の波長を求め、これを主たるうねりとして除去する方法が開示されている。この場合は、成形品の形状データから形状回帰式等の多項式を求める手順は用いずに、成形品の形状データに対してフーリエ解析等の周波数解析を行ない、うねり成分を抽出している。
【0011】
また、例えば、特開2001−62871号公報(以下、「第2の公知例」と呼ぶ)には、金型の形状データを成形材料(成形素材)の収縮率を考慮して相似変形させた形状式と成形品の形状データとの差分をうねり成分として抽出し、成形品の目的形状とうねり成分とから金型の修正量を求める方法が開示されている。
【0012】
さらに、特許第2898197号(以下、「第3の公知例」と呼ぶ)には、安定した形状誤差が形成される成形条件で成形される光学素子の光学機能面を複数個の領域に分割し、その分割された各領域の境界で連続するように形状誤差を多項式で近似し、さらにその近似式に基づいて、形状誤差を相殺するように成形用型部材を加工する成形方法が開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記第1の公知例では、支配的なうねり成分の波長は特定できるものの、形状データから成形品の形状とうねり成分とを分離することが十分できず、うねり成分の振幅に関する情報が十分に抽出できないという不都合がある。従って、修正加工の際に、加工点の位置毎に修正量を変化させるような手法には用いることができない。そこで、加工工具の弾性や粘性を利用して加工工具と被加工物との接触面内でうねり成分を除去する手法がとられるが、曲率変動が大きい被加工面に対しては、加工工具と被加工物との面形状のなじみが優先されるため、加工工具の弾性を低くしなければならず、十分なうねり成分の除去ができないという不都合が生じる。
【0014】
上記第2の公知例では、従来の形状回帰式にのらない比較的短い波長成分も考慮されているが、成形品に対して向上させるべき特性(例えば、光学特性)と関連の薄い、不要な高周波成分までが金型の修正量に混入する可能性があり、加工装置の応答性能とも関係するが、加工が不安定となったり、加工能率が低下するという不都合がある。さらに、波長にかかわらず一律に目的形状に近づけるような手法では、重点をおくべき波長成分についての精度確保が不十分になりがちになるといった不都合も生じる。
【0015】
例えば、図31に示されるように、成形品がレーザプリンタのポリゴンスキャナ光学系に用いられる走査レンズの場合について具体的に説明する。図31のポリゴンスキャナ光学系は、光源としての半導体レーザS1と、コリメータレンズS2と、ポリゴンミラーS3と、走査レンズS4及び感光体S5を備えている。半導体レーザS1から出射した光束はコリメータレンズS2を透過してポリゴンミラーS3に照射される。ポリゴンミラーS3の回転によって偏向された光束は、走査レンズS4を透過して感光体S5が置かれた像面近傍で集光する。ここで、もし走査レンズS4の表面に形状誤差S6が存在すると、局所的なレンズ効果により、像面において焦点ずれS7が生じることとなる。焦点ずれS7が大きいと、像面におけるビームスポット径がいわゆるピンぼけのため広がってしまい、画像劣化につながる。ここで、形状誤差S6の振幅を一定と仮定したときの形状誤差S6の空間波長と焦点ずれS7との関係を考えてみる。第1のケースとして、走査レンズS4を通過する光束径Dに対して形状誤差S6の空間波長が十分長い場合には、レンズ面の曲率は小さいので、焦点ずれ量も小さなものとなる。第2のケースとして、光束径Dに対して形状誤差S6の空間波長が十分短い場合には、レンズ面の曲率は大きくなるものの、その光学的な効果が光束径Dの範囲内で平均化されるため、結果として焦点ずれ量は小さなものとなる。第3のケースとして、光束径Dに対して形状誤差S6の空間波長が同等の場合には、レンズ面の曲率は大きい上に、平均化の効果も期待できないため、第1のケース及び第2のケースと比較すると焦点ずれ量は大きなものとなる。以上をまとめると、走査レンズS4の表面に存在する形状誤差S6の空間波長が走査レンズS4を通過する際の光束径Dと同等であるとき、焦点ずれ量への影響は最大となり、画像品質に多大な悪影響を及ぼすことになる。このような理由から、例えば、全長100mmのレンズでは、設計上の光学特性を満足させるためには、50mmの波長成分については1μmの誤差が許容できるが、1mmの波長成分については0.05μmの誤差しか許容されないといった例が多数ある。
【0016】
上記第3の公知例では、形状誤差に含まれるうねり成分のような短い波長の成分に関しては、成形用型部材の加工データに精度良くフィードバックすることが困難であるとともに、成形収縮率が考慮されていないために、光学素子の形状によっては形状誤差を十分に低減しきれない場合があるという不都合があった。
【0017】
また、今後、レーザプリンタ等における高画質への要求の高まりにつれて、設計上の特性を確実に実現できる光学部品が求められることは必至であり、従来の方法では、この要求を満たすことは困難であることが予想される。
【0018】
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、その第1の目的は、設計上の特性を確実に実現できる成形品の成形に好適な成形用型を効率良く製造することが可能な成形用型の製造方法及び製造システムを提供することにある。
【0019】
また、本発明の第2の目的は、設計上の特性を確実に実現できる成形品を安定して成形することが可能な成形用型及び該成形用型を用いた成形方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の観点からすると、所定形状のキャビティを有し、該キャビティを形成する型部材の前記キャビティ側の表面形状を成形素材に転写して成形品を成形するための成形用型を製造する成形用型の製造方法であって、第1の型部材のキャビティ側の表面形状及び前記第1の型部材を用いて成形された成形品の形状の少なくとも一方に基づいて、前記成形品に含まれる形状誤差の複数の波長成分をそれぞれ抽出する第1工程と;抽出された前記複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分を低減するような形状に第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成する第2工程と;前記加工情報に基づいて前記第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する第3工程と;を含む成形用型の製造方法である。
【0024】
ここで、第1の型部材と第2の型部材とは、異なる型部材であっても良いし、同一の型部材であっても良い。
【0025】
これによれば、第1工程において、第1の型部材のキャビティ側の表面形状及び第1の型部材を用いて成形された成形品の形状の少なくとも一方に基づいて、成形品に含まれる形状誤差の複数の波長成分をそれぞれ抽出する。ここでは、形状誤差のうちで、特に成形品の特性に悪影響を及ぼす波長成分が選択されて抽出される。
【0026】
更に、第2工程において、第1工程で抽出された複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分を低減するような形状に第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成する。すなわち、成形品に含まれる形状誤差から成形品の特性に悪影響を及ぼす波長成分を選択的に低減するように第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成しているため、該加工情報に基づいて第3工程で第2の型部材の加工を行うことにより、従来のように、一律に目的形状に近づけるような加工情報に基づいて加工する場合と比較して、効率良く、しかも精度良く第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工することが可能となる。
【0027】
従って、請求項1に記載の発明によれば、設計上の特性を確実に実現できる成形品を成形するのに好適な成形用型を効率良く製造することが可能となる。
【0043】
本発明は、第2の観点からすると、本発明の成形用型の製造方法によって製造されたことを特徴とする成形用型である。
【0044】
これによれば、本発明に係る成形用型は、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分が選択的に低減されるような加工情報に基づいて製造されている。従って、結果として、この成形用型を用いて成形された成形品は、設計上の特性を確実に実現することが可能となる。
【0045】
本発明は、第3の観点からすると、成形用型として本発明の成形用型を用い、安定した成形品の形状が得られる所定の成形条件下で、前記成形用型が備える型部材のキャビティ側の表面形状を成形素材に転写して成形品の成形を行うことを特徴とする成形方法である。
【0046】
これによれば、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分が選択的に低減されるような加工情報に基づいて製造された本発明の成形用型を用い、しかも転写した際に安定した成形品の形状が得られるような所定の成形条件下で成形品の成形を行うので、設計上の特性を確実に実現できる成形品を安定して成形することができる。
【0055】
本発明は、第4の観点からすると、所定形状のキャビティを有し、該キャビティを形成する型部材の前記キャビティ側の表面形状を成形素材に転写して成形品を成形するための成形用型を製造する成形用型の製造システムであって、第1の型部材のキャビティ側の表面形状及び前記第1の型部材を用いて成形された成形品の形状の少なくとも一方の測定情報に基づいて前記成形品に含まれる形状誤差の複数の波長成分をそれぞれ抽出し、該複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分を低減するような形状に第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成する情報作成装置と;前記加工情報に基づいて前記第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工装置と;を含む成形用型の製造システムである。
【0056】
これによれば、情報作成装置により、第1の型部材のキャビティ側の表面形状及び第1の型部材を用いて成形された成形品の形状の少なくとも一方の測定情報に基づいて成形品に含まれる形状誤差の複数の波長成分を選択してそれぞれ抽出し、抽出された複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分を低減するような形状に第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成する。ここでは、成形品に含まれる形状誤差から成形品の特性に悪影響を及ぼす波長成分を選択的に低減するように型部材の表面形状を加工する加工情報が作成される。この加工情報は例えばネットワーク等を介して加工装置に通知される。
【0057】
そして、加工装置により、情報作成装置からの加工情報に基づいて第2の型部材のキャビティ側の表面形状が加工される。ここでは、従来のように、一律に設計形状に近づけるような加工情報に基づいて加工する場合と比較して、効率良く、しかも精度良く第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工することができる。
【0058】
従って設計上の特性を確実に実現できる成形品の成形に好適な成形用型を効率良く製造することができる。
【0071】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明に係る成形用型の製造方法について説明する。
【0072】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図15に基づいて説明する。
【0073】
図1(A)には、本発明に係る製造方法で製造される成形用型を用いて成形される光学素子10の外形形状が示されている。この光学素子10は、レーザプリンタ等に用いられる走査レンズ(fθレンズ)であり、光学機能面FAを有する。ここでは、光学素子としての走査レンズ(以下、「レンズ」という)10の光軸方向をZ軸方向、レンズ10の長手(以下、適宜「母線」という)方向をX軸方向、レンズ10の短手(以下、適宜「子線」という)方向をY軸方向とする。なお、本実施形態では、一例として、母線の長さが140mm、子線の長さが8mm、光軸方向の最大長さが30mmのレンズ10を成形するものとし、また、図1(B)に示されるように光学機能面FAの中心をXY座標系の原点とする。さらに、このレンズ10の成形素材としては、一例として非晶質ポリオレフィン樹脂が用いられるものとする。
【0074】
また、本実施形態では、母線方向(以下、適宜「主走査方向」という)の形状は、図2(A)に示されるようにZ方向の高さで示し、子線方向(以下、適宜「副走査方向」という)の形状は、図2(B)に示されるようにY方向断面(YZ断面)の曲率半径で示すこととする。
【0075】
このレンズ10の光学機能面FAは、非球面形状を有している。非球面形状は、zをZ方向の値(以下、適宜「デプス」という)、xをX方向の値(以下、適宜「母線方向のレンズ高さ」という)、yをY方向の値(以下、適宜「子線方向のレンズ高さ」という)とすると、一般的に次の(1)式で示されることが知られている。
【0076】
【数1】
Figure 0003973466
【0077】
ここで、c1は光軸近傍における母線方向の曲率、c2は光軸近傍における子線方向の曲率、k1は母線方向の円錐定数、k2は子線方向の円錐定数である。なお、c2、k2は、母線方向のレンズ高さに依存する値を有している。また、上記(1)式の第3項は、多項式であり、m及びnはそれぞれx及びyの次数、M及びNはそれぞれx及びyの最大次数、Amnは多項式の係数を意味している。
【0078】
図3(A)には、レンズ10を成形するための成形用型である金型15の一部が一例として示されている。金型15は、複数の型部材で構成されており、これらの型部材によって所定形状のキャビティ17が形成されている。図3(B)には、金型15を構成する複数の型部材のうち、レンズ10の光学機能面FAを成形する型部材20が示されている。この型部材20は、レンズ10の光学機能面FAとほぼ同様の形状(表面形状)の面DAを有している。金型15の湯口から注入された溶融樹脂は、ランナ(湯道)及びゲート(堰)を介してキャビティ17内に充填され、その後、樹脂が固化することにより、面DAの表面形状が樹脂に転写される。従って、型部材20の面DAの寸法精度がレンズ10の形状精度に大きな影響を与える。
【0079】
そこで以下では、この型部材20の製造方法について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、レンズ10の光学機能面FAの設計形状は前記(1)式で与えられるものとし、便宜的に、デプスzを母線方向のレンズ高さxと子線方向のレンズ高さyとの関数として、次の(2)式で略述する。
【0080】
z=f(x,y) ……(2)
【0081】
また、本実施形態では、一例として、先ず、レンズ10の目的形状に基づいて第1の型部材を製作し、この第1の型部材を用いて成形されたレンズ10に含まれる形状誤差に基づいて第1の型部材を修正し、第2の型部材すなわち、型部材20を製造するものとする。
【0082】
図4のステップ101において、レンズ10の素材である樹脂のX,Y,Z方向に関する収縮率として各収縮変形率(mx,my,mz)を決定する。本実施形態では、非晶質ポリオレフィン樹脂に関する成形の経験に基づいて収縮変形率を、例えば、mx=0.99325、my=0.99215、mz=0.99206とする。
【0083】
次に、ステップ103において、第1の型部材のキャビティ側の表面形状(以下、「第1の型部材の表面形状」と略述する)を決定する。ここでは、レンズ10の設計形状に対して、各収縮変形率で与えられる収縮変形量を考慮して、次の(3)式で示される形状を第1の型部材の表面形状とする。
【0084】
z=-f(-0.99325x,0.99215y)/0.99206 ……(3)
【0085】
なお、本実施形態では、レンズ10の座標系と第1の型部材の座標系とは、図5(A)に示されるように、Y軸に関しては+−の方向は同一であるが、Z軸及びX軸に関しては+−の方向が逆の関係にあるものとする。一方、例えば、図5(B)に示されるように、X軸が同一関係で、Z軸及びY軸に関して+−の方向が逆の関係にある場合には、第1の型部材の表面形状は、上記(3)式ではなく、次の(4)式で示される形状となる。
【0086】
z=-f(0.99325x,-0.99215y)/0.99206 ……(4)
【0087】
上記(3)式と(4)式を比べてみると、xとyの各係数の正負符号が異なるのみであるため、以下では、Y軸が同一関係にある場合について説明する。なお、X軸が同一関係にある場合には、後述する式において、xとyの各係数の正負符号をそれぞれ変えることにより以下の手順をそのまま用いることができる。
【0088】
図4に戻り、第1の型部材の表面形状が決定されると、ステップ105において、その表面形状に基づいて第1の型部材の製作が行われる。第1の型部材の製作には、高い加工精度を得るためにNC旋盤等の数値制御による自動工作機械(以下、適宜「金型加工機」という)が用いられる。そこで、第1の型部材の表面形状は数値制御用データ(NCデータ等)に変換され、金型加工機に入力される。一例として図6に示されるように、金型加工機は、単結晶ダイヤモンド工具30と工具スピンドル31とを有しており、Y軸回りに一定速度で回転する工具スピンドル31の外周面に単結晶ダイヤモンド工具30が保持されている。また、第1の型部材は、図示しない移動ステージによってXYZ3軸方向に移動可能となっている。第1の型部材の素材(例えば、被加工面にNiメッキを施した金型用ステンレス鋼)が金型加工機の所定位置にセットされると、図示しない制御装置の指示に従って、工具スピンドル31は一定速度で回転し、単結晶ダイヤモンド工具30によって、先ずXY同時2軸制御により最初の加工ライン34に沿った切削加工が行われる。そして加工ライン34の切削加工が終了すると、次に第1の型部材をY軸方向に一定ピッチだけ移動させて次の加工ラインの切削加工を行う。これを繰り返すことにより、設定された表面形状が第1の型部材に形成される。なお、切削工具は、単結晶ダイヤモンド工具でなくとも良く、第1の型部材の材質や要求される形状精度等により、他の切削工具を用いることが可能である。
【0089】
図4に戻り、次にステップ109において、この第1の型部材がセットされた金型を用いて、所定の成形条件で射出成形が行われる。本実施形態では、一例として、金型温度が135℃、樹脂温度が280℃、射出速度が20m/秒、射出圧力が50MPa、冷却時間が300秒という成形条件で電動式射出成形機により射出成形を行なった。なお、金型を構成する他の型部材等はすでに準備されているものとする。また、本実施形態では、金型は1回の射出成形で2個のレンズ10を成形できる(図3(A)参照)ようになっているが、これに限定されるものではない。
【0090】
次に、ステップ111では、成形されたレンズ10の主走査方向(第1の方向)における形状誤差を修正するための型部材修正式を算出する。ここでの処理を図7のフローチャートを用いて詳細に説明する。本実施形態では、成形されたレンズ10の光学機能面FAの形状(以下、「レンズ形状」と略述する)に基づいて主走査方向における形状誤差を修正するための型部材修正式を算出している。
【0091】
図7のステップ131では、レンズ形状を図示しない超高精度三次元測定機を用いて測定し、主走査方向の形状データを取得する。ここでは、図8(A)に示されるように、X方向への走査線を3本(L1、L2、L3)設定する。なお、一例として走査線L2はX軸上にあり、走査線L1とL2とのY方向に関する間隔及び走査線L2とL3とのY方向に関する間隔はそれぞれ1mmに設定されている。そして、各走査線上を超高精度三次元測定機の計測プローブ(不図示)で走査し、所定のピッチでZ軸方向の高さ(デプス)を測定する。本実施形態における測定ピッチは、一例として、図8(B)に示されるように、X軸方向に0.05mm間隔となるように設定している。
【0092】
そして、3本の走査線における各測定値を平均化し、主走査方向実測データとする。これは、主走査方向の形状誤差のうちで、図8(C)に示されるように、Y方向には変化しない誤差成分が、レンズ10の集光特性に大きな影響を与えることが知られているためである。
【0093】
図7のステップ133では、図9(A)に示されるように、主走査方向実測データを多項式にあてはめ、例えば最小自乗法を利用して近似式(以下、「実形状式」という)Jm(x)を求める。ここで用いる多項式の次数については、ノイズの影響を受けにくくするためには、なるべく低いほうが望ましいが、あまり低すぎると主走査方向実測データの中心からのずれが大きくなり、後で行なうバンドパスフィルタ処理に不都合を生じる場合がある。そこで、種々検討した結果、前記(1)式で示される設計形状式と同程度の次数をとるのが適当であるという知見を得ることができ、本実施形態では、一例として4次式を用いることとした。なお、ここで、求められる実形状式Jm(x)は、図9(A)からも明らかなように、主走査方向実測データに含まれる長波長成分を示している。また、図9(A)では、便宜上、各主走査方向実測データを連結した近似曲線も表示している。
【0094】
図7に戻り、ステップ135では、次の(5)式を用いて主走査方向の設計形状式Dm(x)と実形状式Jm(x)との差Em(x)を求める。すなわち、Em(x)は、主走査方向の形状誤差の長波長成分(第1の波長成分)を示している。
【0095】
Em(x)=Jm(x)-Dm(x) …(5)
【0096】
ここで、Dm(x)は、具体的には、前記(1)式においてy=0としたときの式で与えられる。
【0097】
ステップ137では、図9(B)に示されるように、形状誤差の長波長成分Em(x)の最大値(山部)と最小値(谷部)の幅(Peek to Valley値、以下「PV値」という)ΔEmが、所定の公差内であるか否かを判断する。ここで、ΔEmが所定の公差内でなければ、形状誤差の長波長成分Em(x)の修正が必要であるため、ステップ137での判断は否定され、ステップ139に移行する。なお、図9(B)では、便宜上、設計形状式Dm(x)を直線で示している。
【0098】
図7に戻り、ステップ139では、次の(6)式を用いて、形状誤差の長波長成分Em(x)を第1の型部材の修正量Zem(x)に変換する。
【0099】
Zem(x)=-Em(-mx・x)/mz …(6)
【0100】
ここで、mxは成形時のX方向に関する樹脂の収縮変形率、mzはZ方向に関する樹脂の収縮変形率である。第1の型部材の修正量Zem(x)への変換が終了すると、ステップ141に移行する。
【0101】
一方、ステップ137において、ΔEmが所定の公差内であれば、形状誤差の長波長成分Em(x)の修正は不要であるため、ステップ137での判断は肯定されステップ141に移行する。なお、この場合は、第1の型部材の修正量Zem(x)には0がセットされる。
【0102】
次に、ステップ141では、主走査方向実測データと実形状式Jm(x)との差から主走査方向実測データに含まれる第1のうねり成分を抽出する。この第1のうねり成分には、レンズ10の光学特性にあまり影響を及ぼさない波長1mm以下の成分、いわゆる粗さ成分も含まれている。
【0103】
そこで、ステップ143では、図9(C)に示されるように、第1のうねり成分に含まれる粗さ成分やノイズ等を除去するために、第1のうねり成分をバンドパスフィルタに通し、波長が3mm〜6mmの第2のうねり成分(第2の波長成分)を抽出する。なお、図9(C)では、便宜上、実形状式Jm(x)は直線で示しており、また、主走査方向実測データは、実際は離散データであるが、便宜上、曲線で示している。
【0104】
図7に戻り、ステップ145では、第2のうねり成分のPV値が、所定の公差内であるか否かを判断する。ここで、第2のうねり成分のPV値が所定の公差内でなければ、第2のうねり成分の修正が必要であるため、ステップ145での判断は否定され、ステップ147に移行する。
【0105】
ステップ147では、第2のうねり成分を第1の型部材の修正量Zumに変換する。ここでは、第2のうねり成分のうねり波形を第1の型部材の位置に合わせるために、図9(D)に示されるように、X方向に関する樹脂の収縮変形率mxを用いて、第2のうねり成分を主走査方向に拡大する。なお、第2のうねり成分及び第1の型部材の修正量Zumは、実際は離散データであるが、図9(D)では、便宜上、曲線で示している。第1の型部材の修正量Zumへの変換が終了すると、ステップ149に移行する。
【0106】
一方、ステップ145において、第2のうねり成分のPV値が所定の公差内であれば、第2のうねり成分の修正は不要であるため、ステップ145での判断は肯定され、ステップ149に移行する。なお、この場合は、第1の型部材の修正量Zumには0がセットされる。
【0107】
ステップ149では、長波長成分Em(x)に対する第1の型部材の修正量Zem(x)と第2のうねり成分に対する第1の型部材の修正量Zumとを合算して、新たに第1の型部材の修正式Zm(x)を求める。さらに、第1の型部材の修正式Zm(x)は、前述したようにY方向に関しては変化しない(図8(C)参照)ため、そのままXY平面での第1の型部材の修正式Zm(x,y)とすることができる。これによって、図4のステップ111での処理は終了し、図4のステップ113に移行する。
【0108】
図4のステップ113では、成形されたレンズ10の副走査方向(第2の方向)の形状誤差を修正するための型部材修正式を算出する。ここでの処理を図10のフローチャートを用いて詳細に説明する。本実施形態では、レンズ形状に基づいて副走査方向における形状誤差を修正するための型部材修正式を算出している。
【0109】
図10のステップ161では、レンズ形状を図示しない超高精度三次元測定機を用いて測定し、副走査方向の形状データを取得する。ここでは、図11(A)に示されるように、−Y方向への複数の走査線を設定する。なお、ここでは、一例として、図11(B)に示されるように、各走査線の間隔はX軸方向に3mmと設定している。そして、各走査線上を超高精度三次元測定機の計測プローブ(不図示)で走査し、図11(C)に示されるように、所定のピッチPsでZ軸方向の高さ(デプス)を測定する。本実施形態における測定ピッチPsは、Y方向に数mm間隔となるように設定されている。なお、各測定データは、前記主走査方向の形状測定で測定された主走査方向実測データを参照して傾き補正が行われ、副走査方向実測データとする。但し、主走査方向の形状測定後に、第1の型部材が一時的に超高精度三次元測定機からはずされたような場合には、前記主走査方向の形状測定で測定された主走査方向実測データは参照データとはならないので、再度、主走査方向(例えば、走査線L2)の形状データが測定される。
【0110】
図10に戻り、ステップ163では、各走査線毎に、図12(A)に示されるように、副走査方向実測データに対して円弧近似を行い、例えば最小自乗法を用いて曲率半径Rasを算出する。なお、副走査方向実測データは離散値であるが、図12(A)では、便宜上、副走査方向実測データを曲線で示している。
【0111】
図10のステップ165では、図12(B)に示されるように、各走査線毎に、算出された曲率半径Rasと設計形状から得られる設計値との差、すなわち曲率半径誤差ΔR(第3の波長成分)を求める。さらに、各曲率半径誤差ΔRに対してX方向の位置の関数として多項式近似を行い、図12(C)に示されるように、曲率半径誤差式ΔR(x)を求める。これによって、任意のX位置における曲率半径誤差ΔRが補間される。多項式の次数としては4〜16次が用いられるが、本実施形態では、一例として、4次の多項式を用いた。なお、図12(B)及び(C)では、便宜上、一部のデータのみを示している。
【0112】
図10に戻り、ステップ167では、曲率半径誤差式ΔR(x)で算出される曲率半径誤差の最大値が、所定の公差内であるか否かを判断する。ここで、曲率半径誤差の最大値が所定の公差内でなければ、副走査方向における曲率半径誤差の修正が必要であるため、ステップ167での判断は否定され、ステップ169に移行する。ここでは、一例として、曲率半径誤差の最大値を比較対象としているが、曲率半径誤差の積算値や、特定位置での曲率半径誤差を比較対象としても良い。
【0113】
ステップ169では、次の(7)式を用いて、曲率半径誤差式ΔR(x)を第1の型部材の修正式Zrs(x)に変換する。
【0114】
Zrs(x)=-ΔR(-mx・x)/mr …(7)
【0115】
ここで、mrは成形時のYZ断面における樹脂の収縮変形率であり、例えば、球状あるいは円筒状の成形品をテスト成形して、予め求められている。なお、Y方向とZ方向とで異なる値を用いても良い。第1の型部材の修正式Zrs(x)への変換が終了すると、図4のステップ113の処理を終了する。
【0116】
一方、ステップ167において、曲率半径誤差の最大値が所定の公差内であれば、副走査方向における曲率半径誤差の修正は不要であるため、ステップ167での判断が肯定され、図4のステップ113の処理を終了する。この場合は、第1の型部材の修正式Zrs(x)には0がセットされる。
【0117】
図4のステップ115では、主走査方向の第1の型部材の修正式Zm(x,y)と副走査方向の第1の型部材の修正式Zrs(x)とから、第2の型部材の加工データを作成する。但し、主走査方向の第1の型部材の修正式Zm(x,y)と副走査方向の第1の型部材の修正式Zrs(x)とがいずれも0であれば、第1の型部材の修正加工は不要であり、第2の型部材の加工データの作成処理は行なわれず、第1の型部材を製作したときの加工データがそのまま第2の型部材の加工データとなる。従って、本実施形態では、主走査方向の第1の型部材の修正式Zm(x,y)及び副走査方向の第1の型部材の修正式Zrs(x)の少なくともいずれかは0ではないとして第2の型部材の加工データの作成処理について以下に説明する。
【0118】
先ず、第1の型部材の修正量をXY平面内の高さデータで記述する、いわゆるZmapを作成する。ここでは、図13(A)に示されるように、X方向に被加工面上で等間隔(0.1〜0.2mm)となるようにm個、Y方向に被加工面上で等間隔(0.1〜0.2mm、図13(B)参照)となるようにn個の加工点をマトリックス状(合計m×n個)に設定し、各加工点をPij(i=1〜m、j=1〜n)で示すこととする。そして、主走査方向の第1の型部材の修正式Zm(x,y)と副走査方向の第1の型部材の修正式Zrs(x)とから、各加工点Pij毎にZ方向の修正量Zij(i=1〜n、j=1〜m)を求める。これがZmapである。第1の型部材の修正加工を切削で行なう場合には、Zijが切削量となる。本実施形態では、修正量が小さいので、研磨工具の点接触による研磨で修正加工を行なう。通常、修正量が3μm以下の場合は研磨加工が用いられる。そこで、図13(C)に示されるように、Zmapを研磨工具の滞留時間Wij(i=1〜m、j=1〜n)、いわゆるWmapに変換する。なお、ここでの変換は、同一の条件(金型の材質、研磨工具の種類、研磨工具の回転数、研磨荷重等)下での実測データに基づいて作成された変換テーブルあるいは変換式を用いて行われる。これは、研磨工具による研磨量が研磨時間、すなわち研磨工具の滞留時間に関係しているという知見に基づいている。さらに、本実施形態では、NC加工機を用いて研磨加工を行なうため、Wmapから、一例として図13(D)に示されるように、加工データとしてNCプログラムを作成する。X1.20Y0.00W0.061とは、X座標が1.20、Y座標が0.00の加工点での研磨工具の滞留時間が0.061秒であることを意味している。
【0119】
NCプログラムがNC加工機にセットされ、さらに第1の型部材がNC加工機の所定位置に固定されると、図14(A)に示されるように、研磨工具40にZ方向から所定の研磨荷重を印加しつつ、回転している研磨工具40が第1の型部材の最初の加工点P11に接触する。ここでの研磨工具40の滞留時間がW11になると、図14(B)に示されるように、研磨工具40の接触位置がP12になるように研磨工具40又は第1の型部材が移動し、その位置に時間W12だけ滞留する。このようにして、NCプログラムに基づいて全ての加工点について滞留時間を変えながら加工を行う。なお、研磨工具40は、一例として、ウレタン樹脂とフィラーを混練し、圧縮成形したディスク状の研磨具であり、研磨用の砥粒にはダイヤモンドペーストを用いている。また、各加工点での研磨工具40の接触領域の長さは、除去すべきうねり波長の1/2以下であることが望ましいため、本実施形態では、接触領域の長さが3mmφとなるように研磨工具40の大きさ及び研磨荷重を調整している。
【0120】
そして、修正加工が終了した第1の型部材(すなわち第2の型部材)は、所定の仕上げ処理等が行われ完成する。なお、切削加工では、被加工面の全面にわたって加工することが可能であるが、点接触による研磨加工では、研磨工具40が被加工面から落下することがあるため、図15(A)に示されるように、被加工面の外周に研磨できない領域ARが生じる。すなわち、切削加工で製作した第1の型部材を研磨加工で修正する場合には、やとい等を使用しなければ、図15(B)に示されるように、被加工面に2種類の加工痕が残ることとなる。通常、フライカット形式のダイヤモンド切削では、工具のトラバース方向に加工痕が残り、点接触による研磨加工では、加工点での工具の回転方向に加工痕が残る。従って、このようにして加工された第2の型部材を用いて成形されたレンズ10の転写面には、2種類の加工痕が転写される。
【0121】
以上説明したように、本第1の実施形態では、レンズ10の主走査方向(第1の方向)の形状データに基づいて、主走査方向の形状誤差の長波長成分(第1の波長成分)と3mm〜6mmの波長を有するうねり成分(第2の波長成分)を抽出し、レンズ10の副走査方向(第2の方向)の形状データに基づいて、副走査方向の曲率半径誤差(第3の波長成分)を抽出し、これらの誤差が所定のレベル以下となるように第1の型部材の表面形状を修正加工しているため、この修正加工された第1の型部材(すなわち第2の型部材)を用いて成形されたレンズ10の光学特性に悪影響を及ぼす形状誤差の波長成分を選択的に低減することができ、結果として設計上の光学特性を確実に実現できるレンズ10を成形するのに好適な成形用型を効率良く製造することができる。
【0122】
なお、上記第1の実施形態では、曲率半径誤差式ΔR(x)を求める際に、多項式近似を用いているが、これに限定されるものではない。離散データを用いて補間を行なう方法として、離散データから直接求める方法と、離散データを関数に近似して求める方法がある。離散データから直接求める方法としては、例えばバイリニア法、バイキュービック法等が知られている。一方、離散データを関数に近似して求める方法としては、例えば既知の関数モデル(多項式、NURBS等)を用いて離散データに対する最小自乗近似を行なう方法が知られている。
【0123】
さらに、主走査方向の第2のうねり成分と副走査方向の曲率半径誤差を同時に修正する際は、副走査方向の曲率半径誤差のX方向に関する波長LMを主走査方向の第2のうねり成分の波長よりも2倍以上にすると良い。なお波長LMは近似多項式の次数で概ね規定され、次数が高いほど短い波長まで修正することができる。しかしながら、波長LMが短すぎると、主走査方向において母線以外の箇所で新たなうねりを形成する可能性があるため、上記のような関係をもたせておくことで、レンズ10の光学機能面FA全体の緻密な計測データを必要とせずに、効率良くレンズ10の光学特性を向上させる修正加工が可能となる。
【0124】
《第2の実施形態》
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0125】
本第2の実施形態は、前述した第1の実施形態における主走査方向(第1の方向)の型部材修正式を算出する処理(図4のステップ111、図7)のみを変更したものである。そこで、第1の実施形態と同一形状のレンズ10を同一種類の樹脂で成形するための型部材20を製造するものとし、図7のフローチャートに示される第1の実施形態との相違点を中心に図16のフローチャートを用いて説明する。また、本第2の実施形態では、一例として、先ず、レンズ10の目的形状に基づいて第1の型部材を製作し、この第1の型部材の形状及び第1の型部材を用いて成形されたレンズ10に含まれる形状誤差に基づいて第1の型部材を修正加工し、第2の型部材すなわち、型部材20を製造するものとする。従って、前提として、第1の実施形態と同様にして、すでに第1の型部材の製作及びレンズ10の成形が行われたものとする。
【0126】
図16のステップ201〜209は、第1の実施形態におけるステップ131〜139と同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0127】
ステップ211では、第1の型部材の主走査方向の形状を超高精度三次元測定機(不図示)を用いて測定し、形状データを取得する。ここでは、レンズ形状の場合と同様に3本の走査線について測定し、各測定値の平均値を型実測データとする。
【0128】
ステップ213では、型実測データを多項式にあてはめ、例えば最小自乗法を利用して実形状式Jk(x)を求める。ここでは、多項式の次数は第1の実施形態と同様に一例として4次式を用いることとした。なお、ここで、求められる実形状式Jk(x)は、型実測データに含まれる長波長成分を示している。
【0129】
ステップ215では、型実測データと実形状式Jk(x)との差から型実測データに含まれる第1のうねり成分を抽出する。この第1のうねり成分には、レンズ10の光学特性にあまり影響を及ぼさない波長1mm以下の成分、いわゆる粗さ成分も含まれている。
【0130】
そこで、ステップ217では、第1のうねり成分に含まれる粗さ成分やノイズ等を除去するために、第1のうねり成分をバンドパスフィルタに通し、波長が3mm〜6mmの第2のうねり成分(第2の波長成分)を抽出する。なお、レンズ10側では、樹脂の収縮変形率分だけ波長が短くなるが、その差は1%程度であり、抽出結果にほとんど影響がないため、ここでは、第1のうねり成分に対してそのまま、第1の実施形態と同様なバンドパスフィルタ処理を行なう。
【0131】
ステップ219では、第2のうねり成分のPV値が、所定の公差内であるか否かを判断する。ここで、第2のうねり成分のPV値が所定の公差内でなければ、第2のうねり成分の修正が必要であるため、ステップ219での判断は否定され、ステップ221に移行する。
【0132】
ステップ221では、第2のうねり成分を第1の型部材の修正量Zumとする。ここでは、第1の型部材での測定データを用いているため、樹脂の収縮変形率を考慮した変換処理は不要であり、第2のうねり成分が、そのまま第1の型部材の修正量Zumとなる。処理が終了すると、ステップ223に移行する。
【0133】
一方、ステップ219において、第2のうねり成分のPV値が所定の公差内であれば、第2のうねり成分の修正は不要であるため、ステップ219での判断は肯定され、ステップ223に移行する。なお、この場合は、第1の型部材の修正量Zumには0がセットされる。
【0134】
ステップ223では、長波長成分Em(x)に対する第1の型部材の修正量Zem(x)と第2のうねり成分に対する型部材の修正量Zumとを合算して、新たに第1の型部材の修正式Zm(x)を求める。さらに、第1の型部材の修正量は、Y方向に関しては変化しないため、第1の型部材の修正式Zm(x)を、そのままXY平面での第1の型部材の修正式Zm(x,y)とする。これによって、主走査方向の型部材修正式を算出する処理は終了する。
【0135】
続いて、第1の実施形態と同様にして、副走査方向の型部材修正式を算出し、第2の型部材の加工データを作成するとともに、その加工データに基づいて第1の型部材を修正加工する。
【0136】
以上説明したように、本第2の実施形態では、主走査方向の第2のうねり成分(第2の波長成分)を第1の型部材の形状データから抽出している。これは、第1の型部材とレンズ10間で、第2のうねり成分の転写精度が良好な場合に有効である。第1の実施形態で求めた第1のうねり成分には、抽出すべき第2のうねり成分の波長域(3mm〜6mm)に対して、長波長側のノイズと短波長側のノイズが含まれている。これらのノイズを除去するためにバンドパスフィルタ処理を行なうのであるが、完全な除去は非常に困難である。長波長側のノイズは、主に成形時の転写不良によるものなので、第1の型部材の形状データには存在しないものである。言い換えると、第1の型部材の形状データから得られる第2のうねり成分がレンズ10における第2のうねり成分と振幅及び位相ともに一致する条件下では、第1の型部材の形状データに基づいて第2のうねり成分を抽出したほうが、ノイズ混入が減少するため、より高い精度で第2のうねり成分の修正が可能となる。
【0137】
《第3の実施形態》
以下、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0138】
本第3の実施形態は、前述した第1の実施形態における主走査方向の型部材修正式を算出する処理(図4のステップ111、図7)および副走査方向の型部材修正式を算出する処理(図4のステップ113、図10)を変更したものである。そこで、第1の実施形態と同一形状のレンズ10を同一種類の樹脂で成形するための型部材20を製造するものとし、第1の実施形態との相違点を中心に簡単に説明する。また、本第3の実施形態では、一例として、先ず、レンズ10の目的形状に基づいて第1の型部材を製作し、この第1の型部材を用いて成形されたレンズ10に含まれる形状誤差に基づいて第1の型部材を修正加工し、第2の型部材すなわち、型部材20を製造するものとする。従って、前提として、第1の実施形態と同様にして、すでに第1の型部材の製作及びレンズ10の成形が行われたものとする。また、本実施形態では、前述した第1、第2の実施形態と異なり、副走査方向が第1の方向、主走査方向が第2の方向に対応する。
【0139】
先ず、主走査方向(第2の方向)の型部材修正式を算出する処理について、図17のフローチャートを用いて説明する。
【0140】
図17のステップ301では、レンズ形状を図示しない超高精度三次元測定機を用いて測定し、主走査方向の形状データを取得する。ここでは、第1の実施形態と同様に、3本の走査線を設定し、各走査線毎に得られた形状データを平均化して主走査方向実測データとする。
【0141】
ステップ303では、主走査方向実測データと主走査方向の設計値との差から主走査方向の形状誤差を求める。
【0142】
ステップ305では、主走査方向の形状誤差に対して円弧近似を行い、誤差の曲率成分R(第3の波長成分、以下、「誤差R」と略述する)を抽出する。
【0143】
ステップ307では、誤差Rが所定の公差内であるか否かを判断する。ここで、誤差Rが所定の公差内でなければ、誤差Rの修正が必要であるため、ステップ307での判断は否定され、ステップ309に移行する。
【0144】
ステップ309では、成形時のXZ平面に関する樹脂の収縮変形率を考慮して、誤差Rを第1の型部材の曲率半径誤差ΔRemに変換する。
【0145】
ステップ311では、次の(8)式を用いて、曲率半径誤差ΔRemを第1の型部材の修正量Zrm(x)を求める。
【0146】
Zrm(x)=Rem-(Rem2-x2)1/2 …(8)
【0147】
ここで、Remは、目的形状に対して曲率半径誤差ΔRemを考慮した曲率半径である。そして、Y方向に関しては、修正量は変化しないので、上記(8)式で得られる修正量Zrm(x)を拡張し、修正式Zrm(x,y)とする。ここでの変換が終了すると、主走査方向の型部材修正式を算出する処理は終了する。
【0148】
一方、ステップ307において、誤差Rが所定の公差内であれば、誤差Rの修正は不要であるため、ステップ307での判断は肯定され、主走査方向の型部材修正式を算出する処理は終了する。なお、この場合は、第1の型部材の修正式Zrm(x,y)には0がセットされる。
【0149】
次に、副走査方向(第1の方向)の型部材修正式を算出する処理について、図18のフローチャートを用いて簡単に説明する。
【0150】
図18のステップ331では、レンズ形状を図示しない超高精度三次元測定機を用いて測定し、副走査方向の形状データ(副走査方向実測データ)を取得する。ここでは、複数本の走査線が設定され、各走査線毎に副走査方向実測データが得られる。
【0151】
ステップ333では、各走査線毎に、副走査方向実測データを多項式にあてはめ、例えば最小自乗法を利用して実形状式Jsi(y)(i=1〜走査線の本数)を求める。すなわち、Js1(y)、Js2(y)、Js3(y)、・・・・と、複数(走査線の本数)の実形状式が得られる。
【0152】
ステップ335では、各走査線毎に、実形状式Jsi(y)と設計形状式との差を求め、副走査方向の形状誤差Esi(y)を抽出する。すなわち、Esi(y)は、副走査方向の形状誤差の長波長成分(第1の波長成分)を示している。
【0153】
ステップ337では、各走査線毎に、副走査方向の形状誤差Esi(y)が所定の公差内であるか否かを判断する。ここで、Esi(y)が所定の公差内でなければ、副走査方向の形状誤差Esi(y)の修正が必要であるため、ステップ337での判断は否定され、ステップ339に移行する。なお、1本でも形状誤差が所定の公差内に入らない走査線があれば、全走査線について修正を行なう。
【0154】
ステップ339では、各走査線毎に、成形時における樹脂の主走査方向及びZ方向に関する収縮変形率を考慮して、第1の型部材の修正量Zesi(y)に変換する。
【0155】
一方、ステップ337において、全ての走査線において、副走査方向の形状誤差Esi(y)が所定の公差内であれば、副走査方向の形状誤差Esi(y)の修正は不要であるため、ステップ337での判断は肯定され、ステップ341に移行する。なお、この場合は、第1の型部材の修正量Zesi(y)には0がセットされる。
【0156】
ステップ341では、各走査線毎に、副走査方向実測データと実形状式Jsi(y)との差を求め、第1のうねり成分を抽出する。
【0157】
ステップ343では、各走査線毎に、第1のうねり成分に対してバンドパスフィルタ処理を行い、粗さ成分やノイズを除去して第2のうねり成分(第2の波長成分)を抽出する。
【0158】
ステップ345では、各走査線毎に、第2のうねり成分のPV値が所定の公差内であるか否かを判断する。ここで、第2のうねり成分のPV値が所定の公差内でなければ、第2のうねり成分の修正が必要であるため、ステップ345での判断は否定され、ステップ347に移行する。なお、1本でも第2のうねり成分のPV値が所定の公差内にはいらない走査線があれば、全走査線について修正を行なう。
【0159】
ステップ347では、各走査線毎に、第2のうねり成分を第1の型部材の修正量Zusi(y)に変換する。ここでは、第2のうねり成分のうねり波形を第1の型部材の位置に合わせるために、成形時におけるY方向に関する樹脂の収縮変形率を用いて、第2のうねり成分を副走査方向に拡大する。
【0160】
一方、ステップ345において、全ての走査線での第2のうねり成分のPV値が所定の公差内であれば、第2のうねり成分の修正は不要であるため、ステップ345での判断は肯定され、ステップ349に移行する。なお、この場合は、第1の型部材の修正量Zusi(y)には0がセットされる。
【0161】
ステップ349では、各走査線毎に、長波長成分に対する第1の型部材の修正量Zesi(y)と第2のうねり成分に対する第1の型部材の修正量Zusi(y)とを合算して、新たに第1の型部材の修正式Zsi(y)を求める。さらに、各走査線毎に得られた第1の型部材の修正式Zsi(y)をなめらかに補完し、第1の型部材の修正式Zs(x,y)を求める。これによって、副走査方向の型部材修正式を算出する処理を終了する。
【0162】
次に、主走査方向の第1の型部材の修正式Zrm(x,y)と副走査方向の第1の型部材の修正式Zs(x,y)とから、第2の型部材の加工データを作成し、その加工データに基づいて、第1の実施形態と同様に第1の型部材を修正する。
【0163】
以上説明したように、本第3の実施形態では、レンズ10の副走査方向(第1の方向)の形状データに基づいて形状誤差の長波長成分(第1の波長成分)と第2のうねり成分(第2の波長成分)を抽出し、レンズ10の主走査方向(第2の方向)の形状データに基づいて曲率半径誤差(第3の波長成分)を抽出し、これらの誤差が所定のレベル以下となるように第1の型部材の表面形状を修正加工しているために、特に副走査方向の第2のうねり成分が、レンズ10の光学特性に悪影響を及ぼすような場合には、本第3の実施形態で第2の型部材を製造することが望ましい。
【0164】
《第4の実施形態》
以下、本発明の第4の実施形態を説明する。
【0165】
本第4の実施形態は、前述した第3の実施形態における副走査方向(第1の方向)の型部材修正式を算出する処理(図18)のみを変更したものである。そこで、図18のフローチャートに示される第3の実施形態との相違点を中心に図19のフローチャートを用いて説明する。また、本第4の実施形態では、一例として、先ず、レンズ10の目的形状に基づいて第1の型部材を製作し、この第1の型部材の形状及び第1の型部材を用いて成形されたレンズ10に含まれる形状誤差に基づいて第1の型部材を修正加工し、第2の型部材すなわち、型部材20を製造するものとする。そして、前提として、第3の実施形態と同様にして、すでに主走査方向(第2の方向)の型部材修正式を算出する処理までは、行なわれているものとする。
【0166】
図19のステップ361〜369は、第3の実施形態におけるステップ331〜339と同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0167】
ステップ371では、第1の型部材の副走査方向の形状を超高精度三次元測定機(不図示)を用いて測定し、形状データ(型実測データ)を取得する。ここでは、レンズ形状の場合と同様に複数本の走査線について測定し、各走査線毎に型実測データが得られる。
【0168】
ステップ373では、各走査線毎に、型実測データを多項式にあてはめ、例えば最小自乗法を利用して実形状式Jki(y)(i=1〜走査線の本数)を求める。ここでは、多項式の次数は、一例として4次式を用いることとした。なお、ここで、求められる実形状式Jki(y)は、型実測データに含まれる長波長成分を示している。
【0169】
ステップ375では、各走査線毎に、型実測データと実形状式Jki(y)との差から型実測データに含まれる第1のうねり成分を抽出する。この第1のうねり成分には、レンズ10の光学特性にあまり影響を及ぼさない波長1mm以下の成分、いわゆる粗さ成分も含まれている。
【0170】
そこで、ステップ377では、各走査線毎に、第1のうねり成分に含まれる粗さ成分やノイズ等を除去するために、第1のうねり成分をバンドパスフィルタに通し、波長が3mm〜6mmの第2のうねり成分(第2の波長成分)を抽出する。
【0171】
ステップ379では、各走査線毎に、第2のうねり成分のPV値が、所定の公差内であるか否かを判断する。ここで、第2のうねり成分のPV値が所定の公差内でなければ、第2のうねり成分の修正が必要であるため、ステップ379での判断は否定され、ステップ381に移行する。
【0172】
ステップ381では、各走査線毎に、第2のうねり成分を第1の型部材の修正量Zuki(y)とする。ここでは、第1の型部材での測定データを用いているため、樹脂の収縮変形率を考慮した変換処理は不要である。処理が終了すると、ステップ383に移行する。
【0173】
一方、ステップ379において、第2のうねり成分のPV値が所定の公差内であれば、第2のうねり成分の修正は不要であるため、ステップ379での判断は肯定され、ステップ383に移行する。なお、この場合は、第1の型部材の修正量Zuki(y)には0がセットされる。
【0174】
ステップ383では、第1の型部材の修正量Zesi(y)と第2のうねり成分に対する第1の型部材の修正量Zuki(y)とを合算して、新たに第1の型部材の修正式Zs(x,y)を求める。これによって、副走査方向の型部材修正式を算出する処理は終了する。
【0175】
続いて、第3の実施形態と同様にして、第2の型部材の加工データを作成するとともに、その加工データに基づいて第1の型部材を修正する。
【0176】
以上説明したように、本第4の実施形態では、第3の実施形態と異なり、副走査方向の第2のうねり成分を第1の型部材の形状データから抽出している。これは、第2の実施形態において説明したように、第1の型部材の形状データから得られる第2のうねり成分がレンズ10における第2のうねり成分と振幅及び位相ともに一致する条件下では、第1の型部材の形状データに基づいて第2のうねり成分を抽出したほうが、ノイズ混入が減少するため、より高い精度で第2のうねり成分の修正が可能となる。
【0177】
以上説明したように、前述の各実施形態に係る成形用型の製造方法によると、第1の型部材のキャビティ側の表面形状及び第1の型部材を用いて成形されたレンズ10の形状の少なくとも一方に基づいて、レンズ10の光学特性に悪影響を及ぼす形状誤差の複数の波長成分を抽出するとともに、該複数の波長成分の大きさ(振幅)が所定のレベル以下となるような形状に第1の型部材の表面形状を修正加工し、第2の型部材としているために、この第2の型部材を用いて成形されるレンズ10は、光学特性に悪影響を及ぼす形状誤差の波長成分が選択的に低減されている。従って、前述の各実施形態によると、結果として設計上の光学特性を確実に実現できるレンズ10を成形するための成形用型を効率良く製造することができる。
【0178】
なお、前述の第1及び第2の実施形態では、第2のうねり成分は離散データとして扱っているが、関数近似を行なっても良い。
【0179】
さらに、前述の各実施形態では、形状データから実形状式を求める際に、最小自乗法を利用しているが、これに限定されるものではなく、例えば最小減衰自乗法を初めとする種々の収束演算手法を用いても良い。
【0180】
また、前述の各実施形態では、第1の型部材の修正式に基づいて、第1の型部材のキャビティ側の表面形状を修正加工し、第2の型部材としているが、これに限定されるものではない。すなわち、第1の型部材のキャビティ側の表面形状の設計式に対して第1の型部材の修正式を反映させて、第2の型部材のキャビティ側の表面形状の設計式を求め、この新たな設計式から得られる加工情報に基づいて、新規に第2の型部材を製造しても良い。
【0181】
なお、前述の各実施形態では、レンズ10の成形素材として、非晶質ポリオレフィン樹脂を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。透明性が要求される光学素子を成形する場合には、軟化温度がそのガラス転移温度である熱可塑性の非晶質樹脂、例えば、ポリメタアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式アクリル樹脂、環状オレフィンコポリマ等を使用しても良い。また、ミラーのような透明性を必要としない光学素子や,光学素子以外の形成品では、前記樹脂に限定されるものではなく、軟化温度がその融解温度である結晶性樹脂を成形素材として使用することも可能である。また、上記熱可塑性樹脂のみならず、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂、あるいはガラス等も成形素材として用いることが可能である。
【0182】
また、前述の各実施形態では、射出成形法により、レンズ10を成形しているが、本発明における成形手段としては、射出成形法のみならず、圧縮成形、ブロー成形、ガスインジェクション成形、熱プレス成形、あるいは、特開平6−304973号公報や特開平11−028745号公報などで開示されているようなヒケを誘導する低圧成形法など、種々のプラスチック成形法を適用することが可能である。また、ガラス母材の表面に光硬化性樹脂を形成するハイブリッドレンズの加工や、成形素材にガラスを用いたガラスプレス成形にも適用可能である。つまり、成形加工時に成形素材の収縮または膨張を伴うような型転写成形であれば適用可能である。
【0183】
さらに、前述の各実施形態では、成形用型として金型の場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、例えばセラミック等の非金属製の成形用型であっても良い。
【0184】
また、前述の各実施形態において、多項式近似を行う際の次数は、要求される精度や、形状誤差の程度によって変更することができる。
【0185】
なお、前述の各実施形態では、光学機能面が凸面の場合について説明しているが、勿論これに限定されるものではなく、例えば平面であっても良い。また、光学機能面の形状が前記(1)式で示されない場合であっても、なんらかの関数で示すことができれば、前述の各実施形態と同様な手順で成形用型を製造することができる。
【0186】
さらに、前述の各実施形態では、第1の型部材のキャビティ側の表面形状及び第1の型部材を用いて成形されたレンズ10の形状を測定する際に、超高精度三次元測定機を用いたが、これは接触型でも非接触型でも良い。そして、三次元測定機に必要な測定精度は、成形品に要求される精度によって異なる場合がある。また、測定対象である光学素子の光学機能面が球面であれば、超高精度三次元測定機ではなく、フィゾー干渉計などの干渉計を用いて測定しても良い。
【0187】
また、前述の各実施形態において、研磨によって第1の型部材の修正加工を行なう場合、研磨用NCデータとしての研磨工具の滞留時間を導出する際に、修正量の空間周波数によって滞留時間への変換式が若干異なる場合がある。このようなときは、第1の型部材の修正量を空間周波数毎に区分けし、それぞれについて、滞留時間分布に変換した後、それらを積算して1つのNCデータとする手順が有効である。
【0188】
なお、前述の各実施形態では、第2のうねり成分として、波長が3mm〜6mmのものを抽出しているが、これに限定されるものではない。成形品の形状や用途によっても波長は異なってくる。これに関しては、第1のうねり成分から第2のうねり成分を抽出する際に用いられるバンドパスフィルタの設定を変更することで対応可能である。
【0189】
また、例えば成形品が走査レンズ(画像形成用走査レンズ)であって、その光学機能面の表面に形状誤差が存在すると、前述したように、走査レンズを透過した光束の焦点位置が設計上の焦点位置からずれる、いわゆる焦点位置ずれが生じたり、焦点位置での光束のビーム径が設計上のビーム径よりも大きくなる、いわゆるビーム径太りが生じる。そして、走査レンズがレーザプリンタなどの画像形成装置の走査光学系に用いられた場合には、焦点位置のずれ量が所定の許容値(以下、「ずれ許容値」という)を超えたり、あるいはビーム径の太り量が所定の許容値(以下、「太り許容値」という)を超えたりすると、画像形成装置で形成される画像の画質低下を引き起こすおそれがある。
【0190】
そこで、発明者等は、焦点位置のずれ量がずれ許容値と一致するときの、走査レンズに入射される光束のビーム径Dと、形状誤差の波長λと、形状誤差WEとの関係をシミュレーションにより求めた。その結果、図20(A)に直線LM1で示されるように、ビーム径Dに対して波長λが小さいほど、許容できる形状誤差は小さくなるという結果が得られた。なお、画像形成装置では、走査光学系の焦点深度は数mmあるが、走査光学系を透過した光束によって潜像が形成される感光体や反射ミラーなどの他の部品の組み付け精度を考慮すると、ずれ許容値はかなり小さくなる。そこで、本シミュレーションでは、部品の組み付け精度を考慮するとともに、走査光学系が2枚の走査レンズを用いた、いわゆる2枚玉構成(光学機能面としては4面存在)の場合を想定し、光学機能面1面当たりのずれ許容値の一例として0.2mmという値を用いた。
【0191】
同様に、ビーム径の太り量が太り許容値と一致するときの、走査レンズに入射される光束のビーム径Dと、形状誤差の波長λと、形状誤差WEとの関係をシミュレーションにより求めた。その結果、図20(B)に直線LM2で示されるように、LM1に比べ波長依存性は小さくほぼフラットであるという結果が得られた。なお、ビーム径太りの影響が現われるのはλ/Dが1以下の場合であるため、図20(B)ではλ/Dが1を超える場合は点線で示している。また、レーザ光に対する感光体の感度によって太り許容値は異なるが、本シミュレーションでは、太り許容値の一例として設計上のビーム径の12%という値を用いた。
【0192】
そして、上記シミュレーション結果と、走査レンズに含まれる形状誤差の実測値との比較を行なった。画質に対する焦点位置ずれ及びビーム径太りの影響は、ビーム径Dに対して波長λが大きい場合には、焦点位置ずれが支配的であり、ビーム径Dに対して波長λが小さい場合には、ビーム径太りが支配的であることが知られている。そこで、図21(A)に示されるように、λ/Dが1以上の部分では直線LM1と比較し、λ/Dが1以下の部分では直線LM2と比較した。図21(A)には、従来の成形用型を用いて成形された走査レンズの光学機能面の母線方向における形状誤差の実測値の一例をフーリエ変換して得られた波形CV1が示されている。また、図21(B)には、本発明に係る成形用型を用いて成形された走査レンズの光学機能面の母線方向における形状誤差の実測値の一例をフーリエ変換して得られた波形CV2が示されている。図21(A)及び図21(B)から明らかなように、本発明に係る成形用型を用いて成形された走査レンズでは、従来の成形用型を用いて成形された走査レンズに比べて殆どの波長の形状誤差が小さくなっているとともに、λ/Dが1以上の部分では直線LM1以下となっており、λ/Dが1以下の部分では直線LM2以下となっている。
【0193】
上記直線LM1及び直線LM2は、それぞれ形状誤差の波長が単一であるという条件でシミュレーションした結果である。しかしながら、実際の光学機能面では、複数の波長の形状誤差が混在している。そこで、より厳密に評価するために、複数の波長の形状誤差が同時に存在することによる複合効果を考慮し、焦点位置のずれ量及びビーム径の太り量をそれぞれ推定した。ここでは、一例として、n個の波長成分(λ1、λ2、・・・、λn)が、形状誤差に含まれているものとする。そして、走査レンズに含まれる形状誤差の実測値をフーリエ変換するとともに、直線LM1から得られる各波長での形状誤差の許容値の逆数(a1、a2、・・・、an)を、各波長での焦点位置ずれに対する重みを示す指標とみなし、波長毎に形状誤差(FA1、FA2、・・・、FAn)と指標とを乗算し、次の(9)式に基づいて乗算結果の二乗和の平方根FXを求めた。
【0194】
FX={(a1×FA1)2+(a2×FA2)2+・・・・+(an×FAn)2}1/2 …(9)
【0195】
そして、次の(10)式に示されるように、形状誤差と焦点位置のずれ量との関係を示す所定の関数Pに基づいて、複数の波長の形状誤差が同時に存在する場合の焦点位置のずれ量MFを推定した。
【0196】
MF=P(FX)…(10)
【0197】
次に、直線LM2から得られる各波長での形状誤差の許容値の逆数(b1、b2、・・・、bn)を、各波長でのビーム径太りに対する重みを示す指標とみなし、波長毎に形状誤差(FA1、FA2、・・・、FAn)と指標とを乗算し、次の(11)式に基づいて乗算結果の二乗和の平方根DXを求めた。
【0198】
DX={(b1×FA1)2+(b2×FA2)2+・・・・+(bn×FAn)2})1/2 …(11)
【0199】
そして、次の(12)式に示されるように、形状誤差とビーム径の太り量との関係を示す所定の関数Qに基づいて、複数の波長の形状誤差が同時に存在する場合のビーム径の太り量MBを推定した。
【0200】
MB=Q(DX)…(12)
【0201】
種々の波長範囲について、上記の如くして焦点位置ずれ量及びビーム径太り量を推定した結果、形状誤差のうちで、次の(13)式で示される範囲内の波長成分(以下、「特定波長成分」という)が、特に焦点位置ずれ及びビーム径太りに大きく影響していることを見出した。
【0202】
0.5×D≦λ≦1.5×D …(13)
【0203】
なお、ここでのビーム径Dは、一般的に用いられているように、中心の光強度を1としたときに1/e2以上の光強度を有する領域の直径で示される。例えば、ビーム径が6mm(D=6)の光束が走査レンズに入射される場合には、上記(13)式から、焦点位置ずれ及びビーム径太りに大きく影響しているのは、形状誤差に含まれている3mm〜9mmの波長成分であることが算出される。
【0204】
そこで、複数の走査レンズに対して、形状誤差の実測値に含まれている3mm〜9mmの波長成分を抽出し、一例として、図22(A)及び図22(B)に示されるように、形状誤差Aと焦点位置ずれ量及びビーム径太り量との関係を求めた。そして、ずれ許容値(ここでは、0.2mm)及び太り許容値(ここでは、12%の径増加)に対して約30%の余裕を持たせ、形状誤差が複数の波長成分を含む場合に、良好な画像が安定して得られるためには、特定波長成分の形状誤差Aは、次の(14)式で示される条件を満足する必要があることを見出した。ここで、Wは感光体表面(以下、「像形成面」という)での設計上のビーム径である。例えば、像形成面で40μmのビーム径(W=40)が設計値とされる場合には、特定波長成分の形状誤差の絶対値が20nm以下であれば、良好な画像を安定して得ることが可能であると推定できる。なお、(14)式における|A|の下限値は、計測精度などによって規定される値である。
【0205】
0.00001×W≦|A|≦0.0005×W …(14)
【0206】
そこで、従来の成形用型を用いて成形された走査レンズ及び本発明に係る成形用型を用いて成形された走査レンズについて、それぞれ母線方向の形状誤差に含まれている3mm〜9mmの波長成分をバンドパスフィルタで抽出した。なお、バンドパスフィルタの減衰率は通常の粗さ計に使用されている2CR系のフィルタと同等の−12dB/octとした。その結果、従来の成形用型を用いて成形された走査レンズでは、一例として図23(A)に示されるように、形状誤差Aの絶対値の最大値Amaxは約32nmであり、許容値である20nmを超えていたが、本発明に係る成形用型を用いて成形された走査レンズでは、一例として図23(B)に示されるように、形状誤差Aの絶対値の最大値Amaxは約13nmであり、許容値を大きく下回った。なお、バンドパスフィルタの減衰率は、−12dB/oct以下であることが好ましい。
【0207】
そして、本発明に係る成形用型を用いて成形された走査レンズの光学特性を評価したところ、焦点位置のずれ量及びビーム径の太り量について所望の性能を得ることができた。また、走査レンズを2枚玉構成とした走査光学系において、1枚を従来の成形用型を用いて成形された走査レンズ、他の1枚を本発明に係る成形用型を用いて成形された走査レンズを用いた場合(走査光学系SL1とする)と、2枚とも本発明に係る成形用型を用いて成形された走査レンズを用いた場合(走査光学系SL2とする)について、焦点位置のずれ量を実測した。その結果、一例として図24に示されるように、走査光学系SL1では、焦点位置のずれ量がずれ許容値を超える箇所(矢印で示す)がみられたが、走査光学系SL2では、焦点位置のずれ量がずれ許容値を超える箇所はみられなかった。
【0208】
本発明に係る成形用型は、前述の各実施形態と同様な方法で、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の波長成分が選択的に低減されるような加工情報に基づいて製造されるため、該成形用型を用いることにより、結果として、設計上の特性を確実に実現できる成形品を安定して成形することが可能となる。
【0209】
また、本発明に係る成形方法は、前述の各実施形態と同様な方法で、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の波長成分が選択的に低減されるような加工情報に基づいて製造された成形用型を用い、しかも転写した際に安定した成形品の形状が得られるような所定の成形条件下で成形品の成形を行うので、設計上の特性を確実に実現できる成形品を安定して成形することが可能となる。
【0210】
なお、本発明に係る成形品は、プリズム、回折格子、光ファイバ用フェルール、及び光学ハウジング等であっても良い。
【0211】
《成形用型の設計装置》
次に、本発明に係る成形用型の設計装置の一実施形態を図25に基づいて説明する。
【0212】
図25には、本発明に係る成形用型の設計装置500の機能がブロック化されて示されている。この設計装置500は、型部材のキャビティ側の表面形状及び該表面形状が転写された成形品の形状の少なくとも一方の測定情報を入力する形状入力部501と、前記測定情報に基づいて成形品に含まれる形状誤差の複数の波長成分をそれぞれ抽出する誤差成分抽出部502と、抽出された複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分を低減するような形状に型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成する加工情報作成部507と、前記加工情報を出力する加工情報出力部509とを備えている。
【0213】
ここで、誤差成分抽出部502は、第1の方向における形状誤差の第1の波長成分と第2の波長成分とを抽出する第1方向誤差成分抽出部503と、第2の方向における曲率半径の誤差を抽出する第2方向誤差成分抽出部505とから構成されている。なお、第1方向誤差成分抽出部503は、第1の波長成分を抽出する第1波長成分抽出部511と第2の波長成分を抽出する第2波長成分抽出部513を備え、第2方向誤差成分抽出部505は、曲率半径誤差抽出部515を備えている。
【0214】
また、加工情報作成部507は、前記第1方向誤差成分抽出部503にて抽出された形状誤差の第1の波長成分と第2の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分に基づいて、型部材の修正量を求める第1型修正量変換部と、前記第2方向誤差成分抽出部505にて抽出された曲率半径の誤差に基づいて、型部材の修正量を求める第2型修正量変換部と、前記第1型修正量変換部及び第2型修正量変換部の少なくともいずれかで求められた型部材の修正量に基づいて、型部材の加工データを作成する加工データ作成部521とから構成されている。
【0215】
次に、設計装置500による成形用型の設計方法について簡単に説明する。
【0216】
先ず、形状入力部501は、型部材のキャビティ側の表面形状及び該表面形状が転写された成形品の形状の少なくとも一方の測定情報が入力されると、第1方向誤差成分抽出部503と第2方向誤差成分抽出部505に転送する。
【0217】
第1方向誤差成分抽出部503では、測定情報に含まれる型部材のキャビティ側の表面形状データ又は成形品の形状データに基づいて、第1波長成分抽出部511にて、主走査方向(第1の方向)の形状誤差に含まれる第1波長成分を抽出し、さらに第2波長成分抽出部513にて、第1の方向の形状誤差に含まれる第2波長成分を抽出する。なお、ここでは、前述した成形用型の製造方法の場合と同様の手法を用いた演算により第1波長成分及び第2波長成分が抽出される。
【0218】
第2方向誤差成分抽出部505では、測定情報に含まれる型部材のキャビティ側の表面形状データ又は成形品の形状データに基づいて、曲率半径誤差抽出部517にて、副走査方向(第2の方向)における曲率半径の誤差を算出する。なお、ここでは、前述した成形用型の製造方法の場合と同様の手法を用いた演算により曲率半径の誤差が算出される。
【0219】
そして、第1型修正量変換部517は、第1波長成分及び第2波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分を修正するための型部材の修正量を求め、第2型修正量変換部519は、曲率半径の誤差を修正するための型部材の修正量を求める。
【0220】
加工データ作成部521は、第1の方向における型部材の修正量及び第2の方向における修正量の少なくともいずれかに基づいて型部材の加工データを作成する。
【0221】
加工情報出力部509は、このようにして作成された加工データを所定のファイル形式にして出力する。ここでは、図示しない記憶装置、表示装置、あるいは加工機等へ出力される。
【0222】
以上説明したように、本実施形態に係る成形用型の設計装置によると、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の複数の波長成分を抽出し、該複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分が選択的に減少するように型部材のキャビティ側の表面形状を加工するために、結果的に設計上の特性を確実に実現できる成形品を成形するのに好適な成形用型を効率良く設計することができる。
【0223】
なお、上記実施形態では、第1の方向が主走査方向であり、第2の方向が副走査方向の場合について説明しているが、これに限らず、第1の方向が副走査方向であり、第2の方向が主走査方向の場合でも良い。
【0224】
《成形用型の設計プログラム》
また、本発明に係る成形用型の設計プログラムに従って、型設計用コンピュータが所定の手順を実行することにより、成形用型の設計を行うことができる。以下、この場合の一実施形態について、上記設計用コンピュータのCPU(中央演算処理装置)によって、上記設計プログラムに従って実行される制御アルゴリズムを示す、図26のフローチャートに基づいて簡単に説明する。
【0225】
前提として、不図示の型設計用コンピュータ(例えば、通常のパーソナルコンピュータ又はワークステーション等)が備える記憶装置に本発明に係る成形用型の設計プログラムが格納されているものとする。また、記憶装置には、成形品の設計形状式が記憶されているものとする。
【0226】
図26のフローチャートに対応する制御アルゴリズムがスタートするのは、オペレータからの指示に応じて、設計プログラムが記憶装置から主メモリに転送(ロード)されたときである。
【0227】
先ず、図26のステップ553では、型部材のキャビティ側の表面形状が転写された成形品の形状の測定データに基づいて、成形品の主走査方向(第1の方向)の形状誤差に含まれる第1の波長成分を抽出する。ここでは、記憶装置内に記録されている成形品の形状の設計値と測定データとから形状誤差が算出される。なお、このステップ553においては、前述した成形用型の製造方法の場合と同様の手法を用いた演算により第1の波長成分が抽出される。
【0228】
次のステップ555では、型部材のキャビティ側の表面形状又は成形品の形状の少なくとも一方の測定データに基づいて、主走査方向の形状誤差に含まれる第2の波長成分を抽出する。なお、このステップ555においては、前述した成形用型の製造方法の場合と同様の手法を用いた演算により第2の波長成分が抽出される。
【0229】
次のステップ557では、成形品の形状の測定データに基づいて、副走査方向(第2の方向)における曲率半径の誤差(第3の波長成分)を抽出する。なお、このステップ557においては、前述した成形用型の製造方法の場合と同様の手法を用いた演算により曲率半径の誤差が抽出される。
【0230】
次のステップ559では、上で抽出した第1の波長成分、第2の波長成分及び曲率半径の誤差のうち少なくともいずれかを減少するように型部材の修正量に変換する。
【0231】
ステップ561では、型部材の修正量に基づいて加工データを作成する。
【0232】
そして、実行結果、すなわち型部材の最終的な加工データは記憶装置に保存されるとともに、図示しない表示装置(CRTディスプレイ等)に表示される。
【0233】
以上説明したように、本実施形態に係る成形用型の設計プログラムによると、コンピュータに、上記のステップ553〜561の処理を実行させることにより、型部材のキャビティ側の表面形状の加工データが算出される際に、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の波長成分が選択的に減少するようになっている。
【0234】
すなわち、本実施形態に係る成形用型の設計プログラムによると、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の複数の波長成分を抽出し、抽出された複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分が選択的に減少するように型部材のキャビティ側の表面形状の加工データを算出しているために、この加工データに基づいて加工された型部材を用いて成形した成形品の特性を向上させることが可能となる。従って、結果的に設計上の特性を確実に実現できる成形品を成形するのに好適な成形用型を効率良く設計することが可能となる。
【0235】
なお、上記実施形態では、主走査方向の形状誤差から第1の波長成分と第2の波長成分を抽出し、副走査方向の形状誤差から曲率半径の誤差を抽出しているが、副走査方向の形状誤差から第1の波長成分と第2の波長成分を抽出し、主走査方向の形状誤差から曲率半径の誤差を抽出しても良い。
【0236】
《成形用型の製造システム》
次に、本発明に係る成形用型の製造システムの一実施形態を図27に基づいて説明する。
【0237】
この成形用型の製造システム900は、形状測定装置としての超高精度三次元測定機901と、情報作成装置としての型設計装置903と、加工装置としてのNC加工機905とから構成されている。
【0238】
ここで、型設計装置903は、前述した成形用型の設計装置で構成されていても良く、また、前述した成形用型の設計プログラムを搭載したコンピュータであっても良い。
【0239】
また、超高精度三次元測定機901、型設計装置903及びNC加工機905は、一例としてLAN等のネットワークで接続されている。
【0240】
超高精度三次元測定機901は、第1の型部材のキャビティ側の表面形状及び第1の型部材を用いて成形された成形品の形状の少なくとも一方を測定し、その測定結果を測定情報として前記型設計装置903に出力する。型設計装置903は、超高精度三次元測定機901からの測定情報に基づいて成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の複数の波長成分をそれぞれ抽出し、該複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分を選択的に低減するような形状に第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成し、NC加工機905に出力する。NC加工機905は、型設計装置903からの加工情報に基づいて第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する。
【0241】
なお、本実施形態では、第1の型部材のキャビティ側の表面形状を修正加工して第2の型部材とする場合には、超高精度三次元測定機901にて表面形状が測定された第1の型部材は、自動的にNC加工機905に送られ、所定位置にセットされるようになっている。
【0242】
また、本実施形態では、超高精度三次元測定機901、型設計装置903及びNC加工機905は、それぞれお互いに双方向で情報交換を行なっており、超高精度三次元測定機901での測定からNC加工機905での加工まで、自動的に連続して行なうことができる。勿論、それぞれの可動状況は図示しない監視装置にてリアルタイムにモニタされている。
【0243】
従って、本実施形態に係る成形用型の製造システム900によると、設計上の特性を確実に実現できる成形品を成形するのに好適な成形用型を連続して効率良く製造することができる。
【0244】
なお、上記実施形態では、成形用型の製造システム900が超高精度三次元測定機901、型設計装置903及びNC加工機905で構成されている場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、型設計装置903とNC加工機905とで構成されていても良い。この場合は、例えばオペレータ等により、図示しない入力手段を介して測定情報が型設計装置903に入力される。
【0245】
《光学システム》
次に、本発明に係る光学システムの実施形態について説明する。
【0246】
まず、光学システムの一実施形態を図28に基づいて説明する。
【0247】
図28には、本発明に係る光学システム600の概略構成が示されている。この光学システム600は、光源としての半導体レーザ601、該半導体レーザ601からの光を所定角度範囲で等角速度的に偏向する偏向面を有する偏向手段としての回転多面鏡(ポリゴンミラー)604、該回転多面鏡604にて偏向された光を等速度的な光に変換する光学系としてのレーザ走査光学系605、及び該レーザ走査光学系605からの光の方向を変更する(光路を折り曲げる)折り返しミラー(折り曲げミラー)608等を備えている。ここで、レーザ走査光学系605は、前述した成形用型の製造方法によって製造された成形用型を用いて例えば射出成形により成形された3種類の光学素子としての走査レンズ605a、605b、605cから構成されている。
【0248】
ここで、光学システム600の動作について簡単に説明する。半導体レーザ601から出射された光は、レンズ602およびレンズ603を介して、回転多面鏡604の偏向面近傍に一旦結像される。この回転多面鏡604は、一定の速度で図中の矢印C方向に回転しており、その回転に伴って偏向面近傍に結像された光は等角速度的に偏向される。この偏向された光は、さらに各走査レンズ605a、605b、及び605cを順次透過し、折り返しミラー608の長手方向(主走査方向)を所定角度範囲で等速度的に走査する光に変換される。そして、この光は、折り返しミラー608で反射されて走査対象である感光体ベルト606表面を走査する。
【0249】
例えば、本実施形態に係る光学システム600がデジタル複写機に使用された場合には、半導体レーザ601の光は複写画像に対応する画像情報によって、その光強度が変調されており、この光が感光体ベルト606表面に結像することにより、感光体ベルト606表面に複写画像の静電潜像が形成される。従って、レーザ走査光学系605における走査方向や走査速度等の走査精度が、複写品質に大きな影響を与えることとなる。すなわち、各走査レンズ605a、605b、605cの形状精度が複写品質に大きな影響を与える。
【0250】
しかるに、本実施形態に係る光学システム600では、各走査レンズ605a、605b、605cは前述した成形用型の製造方法によって製造された成形用型を用いて例えば射出成形により成形されているため、設計上の光学特性を確実に実現することが可能であり、前記回転多面鏡604にて等角速度的に偏向された光を精度良く等速度的に走査する光(スキャンビーム)に変換することができる。従って、複写すべき情報を正確に再現することが可能となる。
【0251】
次に、本発明に係る光学システムの他の実施形態を図29に基づいて説明する。
【0252】
図29には、他の実施形態に係る光学システム700の概略構成が示されている。この光学システム700は、光源としての半導体レーザ701、該半導体レーザ701からの光を等角速度的に偏向する偏向面を有する偏向手段としての回転多面鏡704、該回転多面鏡704にて偏向された光を等速度的に走査する光に変換する光学系としてのレーザ走査光学系709、及び該レーザ走査光学系709からの光の方向を変更する折り返しミラー708b等を備えている。この場合、レーザ走査光学系709は、前述した成形用型の製造方法によって製造された成形用型を用いて例えば射出成形により成形された2種類の光学素子としての走査ミラー709a及び走査レンズ709bから構成されている。
【0253】
ここで、光学システム700の動作について簡単に説明する。半導体レーザ701から出射された光は、レンズ702およびレンズ703を介して、回転多面鏡704の偏向面近傍に一旦結像される。この回転多面鏡704は、一定の速度で図中矢印B方向に回転しており、その回転に伴って偏向面近傍に結像された光は等角速度的に偏向される。この偏向された光は、走査ミラー709a及び折り返しミラー708aを介して走査レンズ709bに入射され、折り返しミラー708bの長手方向を所定角度範囲で等速度的に走査する光に変換される。そして、この光は、折り返しミラー708bで反射されて走査対象である感光体ベルト706表面を走査する。
【0254】
本実施形態に係る光学システム700では、走査ミラー709a、及び走査レンズ709bは前述した成形用型の製造方法によって製造された成形用型を用いて例えば射出成形により成形されているため、設計上の光学特性を確実に実現することが可能であり、前記回転多面鏡704にて等角速度的に偏向された光を精度良く等速度的に走査する光(スキャンビーム)に変換することができる。従って、複写すべき情報を正確に再現することが可能となる。
【0255】
次に、本発明に係る光学システムのその他の実施形態として画像形成装置について説明する。
【0256】
図30には、一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ800の概略構成が示されている。
【0257】
このレーザプリンタ800は、感光層が表面に形成されている像担持体としての感光体ドラム806、画像情報を含むレーザ光を射出する光源としてのレーザ光源804、該レーザ光源804からの光を走査し画像情報の静電潜像を前記感光体ドラム806の表面に形成する光学系としての走査光学系810、前記静電潜像を現像しトナー画像を形成する現像部812、転写手段としての転写部820、及び前記トナー画像を用紙上に定着する熱定着部821等を備えている。
【0258】
ここで、前記走査光学系810は、前述した成形用型の製造方法によって製造された成形用型を用いて例えば射出成形により成形された3種類の光学素子としての走査レンズ810a、810b、810cを備えている。また、前記現像部812は、トナーTが格納されているトナー室814と、該トナー室814のトナーTを前記感光体ドラム806の表面に付着させる現像スリーブ813とを有している。さらに、前記熱定着部821は、不図示のヒータが内蔵された定着ローラ821aと、加圧ローラ821bとで構成され、この加圧ローラ821bは、不図示の付勢手段によって、定着ローラ821aに押し当てられている。
【0259】
ここで、レーザプリンタ800の動作について簡単に説明する。電源が投入され、トナー量のチェック等の各種準備処理が終了すると、スタンバイ状態になる。ここで、感光体ドラム806は、図面内で時計回り(矢印方向)に回転し、ローラ状の帯電部811によってドラム表面が一様に帯電される。そして、例えばコンピュータのような画像情報を作成する作成装置(不図示)から画像情報が図示しない入力部に入力されると、該画像情報に基づいて強度変調されたレーザ光がレーザ光源804から射出される。この強度変調された光は、図示しない偏向部で偏向されて走査光学系810に入射され、光路上に配置されている走査レンズ810a、810b、810cをそれぞれ透過し、図示しないミラーを介して光Lとして感光体ドラム806に射出される。なお、走査光学系810では、入射される光が各走査レンズ810a、810b、810cによって、感光体ドラム806の長手方向に所定角度範囲で等速で走査する光に変換される。そして、感光体ドラム806の表面に光Lが照射されると、ドラム表面の帯電状態が変化し、画像情報に対応する静電潜像が形成される。
【0260】
さらに、感光体ドラム806の回転とともに、現像スリーブ813を介してトナーTがドラム表面の帯電部分に付着される。これにより、感光体ドラム806の表面に形成された静電潜像は現像され、トナー画像が得られる。
【0261】
他方、給紙カセット816内の用紙817は、給紙ローラ815と不図示の付勢部材によって、上から順に繰り出され、さらに分離パッド818で1枚の用紙が分離され、レジストローラ対819の前面に送られ、そこで待機する。
【0262】
そして、前述した静電潜像の現像処理にタイミングを合わせてレジストローラ対819が回転すると、用紙はローラ状の転写部820に搬送される。転写部820では、感光体ドラム806の表面のトナー画像が用紙に転写される。
【0263】
転写後の用紙は、そのまま熱定着部821に搬送され、定着ローラ821aと加圧ローラ821bとの間を通過する際に用紙上のトナー画像に熱と圧力が加えられ、これによってトナー画像が用紙上に定着される。
【0264】
画像が定着された後、用紙は画像面を下にして図中矢印Aで示す方向に排出されプリンタ本体上に順次スタックされる。一方、トナー画像を用紙に転写した後の感光体ドラム806は、そのまま回転しながらクリーニングブレード822でドラム表面の残留トナーが除去され、帯電部811による再度の帯電に備える。
【0265】
用紙上に転写される画像の画質は、前述した走査光学系810における光の走査精度に依存している。すなわち、高画質の画像を形成するためには、レーザ光源804からの光が感光体ドラム806の表面で結像し、しかも走査方向及び走査速度が一定であることが必要である。
【0266】
本実施形態に係るレーザプリンタでは、前述した成形用型の成形用型の製造方法によって製造された成形用型を用いて、例えば射出成形により成形された走査レンズを使用しているために、設計上の光学特性に悪影響を及ぼす形状誤差が小さく、設計上の光学特性を確実に実現することができ、その結果として正確な走査が可能となり、高画質の画像を形成することができる。
【0267】
なお、走査光学系810は、必ずしも3種類の走査レンズを具備する必要はなく、また、走査ミラー等のレンズ以外の光学素子を含むことも可能である。
【0268】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る成形用型の製造方法及び製造システムによれば、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の波長成分を選択的に低減するように型部材の加工情報を作成しているため、設計上の特性を確実に実現できる成形品を成形するのに好適な成形用型を効率良く製造することができるという効果がある。
【0269】
また、本発明に係る成形用型によれば、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の波長成分を選択的に低減する加工情報に基づいて型部材が加工されているため、設計上の特性を確実に実現できる成形品を安定して成形することができるという効果がある。
【0270】
また、本発明に係る成形方法によれば、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の波長成分を選択的に低減する加工情報に基づいて加工された型部材を備えた成形用型を用いているため、設計上の特性を確実に実現できる成形品を安定して成形することができるという効果がある。
【0271】
また、本発明に係る成形用型の設計装置及び設計プログラムによれば、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の波長成分を選択的に低減する加工データを作成することにより、設計上の特性を確実に実現できる成形品の成形に好適な成形用型を効率良く設計することができるという効果がある。
【0272】
また、本発明に係る成形品及び光学素子によれば、成形品の特性に悪影響を及ぼす形状誤差の波長成分を選択的に低減する加工情報に基づいて製造された成形用型を用いることにより、設計上の部品特性を確実に実現することができるという効果がある。
【0273】
また、本発明に係る光学システムによれば、光学特性に優れた光学素子を用いることにより、走査精度を向上することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、本発明の実施形態において成形される光学素子(レンズ)の外形形状を示す図である。図1(B)は、XY平面における原点を示す図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、それぞれ本発明の実施形態において成形される光学素子(レンズ)の主走査方向及び副走査方向の形状を説明するための図である。
【図3】図3(A)及び図3(B)は、それぞれ本発明の実施形態において製造される型部材の形状を示す図である。
【図4】本発明に係る成形用型の製造方法の第1の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、それぞれ型部材の座標系と成形品の座標系との関係を説明するための図である。
【図6】型部材の切削加工を説明するための図である。
【図7】図4のステップ111(主走査方向の型部材修正式の算出処理)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8(A)〜図8(C)は、それぞれ主走査方向における形状データの測定点を説明するための図である。
【図9】図9(A)〜図9(D)は、それぞれ主走査方向における形状誤差を説明するための図である。
【図10】図4のステップ113(副走査方向の型部材修正式の算出処理)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11(A)〜図11(C)は、それぞれ副走査方向における形状データの測定点を説明するための図である。
【図12】図12(A)〜図12(C)は、それぞれ副走査方向における曲率半径誤差を説明するための図である。
【図13】図13(A)〜図13(D)は、それぞれ型部材の修正加工時における加工データを説明するための図である。
【図14】図14(A)及び図14(B)は、それぞれ型部材の修正加工時における研磨方向を説明するための図である。
【図15】図15(A)及び図15(B)は、それぞれ型部材の被加工面に形成される加工痕を説明するための図である。
【図16】本発明に係る成形用型の製造方法の第2の実施形態における主走査方向の型部材修正式の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明に係る成形用型の製造方法の第3の実施形態における主走査方向の型部材修正式の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明に係る成形用型の製造方法の第3の実施形態における副走査方向の型部材修正式の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】本発明に係る成形用型の製造方法の第4の実施形態における副走査方向の型部材修正式の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】図20(A)は、焦点位置のずれ許容値に及ぼす、走査レンズに入射される光束のビーム径D、形状誤差の空間波長λ及び形状誤差WEの影響を説明するための図であり、図20(B)は、ビーム径の太り許容値に及ぼす、走査レンズに入射される光束のビーム径D、形状誤差の空間波長λ及び形状誤差WEの影響を説明するための図であ。
【図21】図21(A)は、従来の成形用型を用いて成形された走査レンズにおいて計測された母線方向の形状誤差をフーリエ変換した結果の一例を説明するための図であり、図21(B)は、本発明に係る掛かる成形用型を用いて成形された走査レンズにおいて計測された母線方向の形状誤差をフーリエ変換した結果の一例を説明するための図である。
【図22】図22(A)は、3mm〜9mmの波長域での形状誤差と焦点位置のずれ量との関係を説明するための図であり、図22(B)は、3mm〜9mmの波長域での形状誤差とビーム径の太り量との関係を説明するための図である。
【図23】図23(A)は、従来の成形用型を用いて成形された走査レンズにおける母線方向の形状誤差に含まれている3mm〜9mmの波長成分を説明するための図であり、図23(B)は、本発明に係る掛かる成形用型を用いて成形された走査レンズにおける母線方向の形状誤差に含まれている3mm〜9mmの波長成分を説明するための図である。
【図24】走査レンズが2枚玉構成の走査光学系における焦点位置のずれ量を説明するための図である。
【図25】本発明に係る成形用型の設計装置を説明するための機能ブロック図である。
【図26】本発明に係る型設計コンピュータのプログラムを説明するためのフローチャートである。
【図27】本発明に係る成形用型の製造システムの一実施形態を説明するためのブロック図である。
【図28】本発明に係る光学システムの第1の実施形態を説明するための図である。
【図29】本発明に係る光学システムの第2の実施形態を説明するための図である。
【図30】本発明に係る光学システムとしての画像形成装置の一実施形態を説明するための図である。
【図31】レンズにおける形状誤差の空間波長と焦点ずれとの関係を説明するための図である。
【符号の説明】
10…成形品(レンズ)、15…金型(成形用型)、17…キャビティ、20…型部材、500…成形用型の設計装置、501…形状入力部(形状入力手段)、502…誤差成分抽出部(誤差成分抽出手段)、507…加工情報作成部(加工情報作成手段)、600…光学システム(第1の実施形態)、604…偏向手段(回転多面鏡:光走査系の一部)、605…光学系(レーザ走査光学系:光走査系の一部)、605a,605b,605c…光学素子(走査レンズ)700…光学システム(第2の実施形態)、704…偏向手段(回転多面鏡:光走査系の一部)、709…光学系(レーザ走査光学系:光走査系の一部)、709a…光学素子(走査ミラー)、709b…光学素子(走査レンズ)、800…画像形成装置(レーザプリンタ)、804…光源、806…像担持体(感光体ドラム)、810…光学系(走査光学系:光走査系の一部)、810a,810b,810c…光学素子(走査レンズ)、820…転写手段(転写部)、900…成形用型の製造システム、901…超高精度三次元測定機(形状測定装置、成形用型の製造システムの一部)、903…型設計装置(情報作成装置、成形用型の製造システムの一部)、905…NC加工機(加工装置、成形用型の製造システムの一部)。

Claims (19)

  1. 所定形状のキャビティを有し、該キャビティを形成する型部材の前記キャビティ側の表面形状を成形素材に転写して成形品を成形するための成形用型を製造する成形用型の製造方法であって、
    第1の型部材のキャビティ側の表面形状及び前記第1の型部材を用いて成形された成形品の形状の少なくとも一方に基づいて、前記成形品に含まれる形状誤差の複数の波長成分をそれぞれ抽出する第1工程と;
    抽出された前記複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分を低減するような形状に第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成する第2工程と;
    前記加工情報に基づいて前記第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する第3工程と;を含む成形用型の製造方法。
  2. 前記複数の波長成分は、第1の波長成分と第2の波長成分とを含み、
    前記第1工程では、前記第1の型部材のキャビティ側の表面形状に基づいて前記第の波長成分を抽出し、前記成形品の形状に基づいて前記第の波長成分を抽出することを特徴とする請求項1に記載の成形用型の製造方法。
  3. 前記第1の波長成分の波長が前記第2の波長成分の波長よりも長いことを特徴とする請求項2に記載の成形用型の製造方法。
  4. 前記複数の波長成分は、第1の波長成分と第2の波長成分とを含み、
    前記第1工程では、前記第1の波長成分は第1の方向に関する形状誤差から抽出し、前記第2の波長成分は前記第1の方向とは異なる第2の方向に関する形状誤差から抽出することを特徴とする請求項1に記載の成形用型の製造方法。
  5. 前記第1の方向と第2の方向とは、互いに直交していることを特徴とする請求項4に記載の成形用型の製造方法。
  6. 前記第1工程では、複数の測定点における形状誤差に基づいて未測定点での形状誤差を補間することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形用型の製造方法。
  7. 前記複数の波長成分は、第1の波長成分、第2の波長成分及び第3の波長成分を含み、
    前記第1工程では、前記形状誤差の前記第1、第2及び第3の波長成分をそれぞれ抽出し、前記第2工程では、抽出された前記第1、第2及び第3の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分を低減するような形状に前記第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の成形用型の製造方法。
  8. 前記第1工程では、前記第1の波長成分と第2の波長成分は第1の方向に関する形状誤差からそれぞれ抽出し、前記第3の波長成分は前記第1の方向とは異なる第2の方向に関する形状誤差から抽出することを特徴とする請求項7に記載の成形用型の製造方法。
  9. 前記第1工程では、前記成形品の形状の測定値から求めた形状回帰式と前記成形品の設計形状式との差分で得られる所定の波長成分と、前記第1の型部材のキャビティ側の表面形状の測定値とその測定値から求めた形状回帰式との差分に対してバンドパスフィルタをかけて得られる前記所定の波長成分とは異なる波長成分とを抽出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の成形用型の製造方法。
  10. 前記第2工程では、前記第1の型部材を用いて成形された成形品の前記複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分に基づいて得られる補正量と前記成形品の素材の少なくとも一方向に関する収縮変形率とを用いて、前記第1の型部材のキャビティ側の表面形状の補正量を算出し、該表面形状の補正量に基づいて前記第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の成形用型の製造方法。
  11. 前記成形品の補正量zが、XYZ直交座標系上でz=f(x,y)で表される場合に、前記第1の型部材のキャビティ側の表面形状の補正量zは、X,Y,Z方向の前記各収縮変形率m,m,mを用いて、z=−f(−m・x,m・y)/m、及びz=−f(m・x,−m・y)/m、のいずれかで示されることを特徴とする請求項10に記載の成形用型の製造方法。
  12. 前記第3工程では、前記第1の型部材のキャビティ側の表面形状を加工し、前記第2の型部材とすることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の成形用型の製造方法。
  13. 前記第3工程では、単結晶ダイヤモンドバイトによる切削加工及び被加工面と研磨工具との接触領域が直径3mm以下となる研磨加工の少なくともいずれかで前記加工が行なわれることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の成形用型の製造方法。
  14. 前記第3工程では、加工具を所定ピッチで走査することにより、前記加工が行なわれることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の成形用型の製造方法。
  15. 前記第3工程は、最初に全体を切削する切削工程と、その後、内側領域のみを前記切削の方向とは異なる方向に研磨する研磨工程とを含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の成形用型の製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の成形用型の製造方法によって製造されたことを特徴とする成形用型。
  17. 成形用型として請求項16に記載の成形用型を用い、安定した成形品の形状が得られる所定の成形条件下で、前記成形用型が備える型部材のキャビティ側の表面形状を成形素材に転写して成形品の成形を行うことを特徴とする成形方法。
  18. 所定形状のキャビティを有し、該キャビティを形成する型部材の前記キャビティ側の表面形状を成形素材に転写して成形品を成形するための成形用型を製造する成形用型の製造システムであって、
    第1の型部材のキャビティ側の表面形状及び前記第1の型部材を用いて成形された成形品の形状の少なくとも一方の測定情報に基づいて前記成形品に含まれる形状誤差の複数の波長成分をそれぞれ抽出し、該複数の波長成分のうちの少なくとも1つの波長成分を低減するような形状に第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工情報を作成する情報作成装置と;
    前記加工情報に基づいて前記第2の型部材のキャビティ側の表面形状を加工する加工装置と;を含む成形用型の製造システム。
  19. 前記第1の型部材のキャビティ側の表面形状及び前記第1の型部材を用いて成形された成形品の形状の少なくとも一方を測定し、その測定結果を測定情報として前記情報作成装置に出力する形状測定装置を更に備えることを特徴とする請求項18に記載の成形用型の製造システム。
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