JP3973404B2 - 射出延伸ブロー容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、耐衝撃性及び臭いに優れたコールド法射出延伸ブロー容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出延伸ブロー成形によって得られる容器は、ダイレトブロー成形による容器に比べてより剛性、透明性、耐衝撃性に優れることが知られている。一般に、射出延伸ブロー成形は、まずプリフォームと呼ばれる射出成形品を得て、その次にそのプリフォームを加熱・延伸ブロー成形することにより得られる。
【0003】
射出延伸ブロー容器の成形材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂やポリプロピレン系樹脂が挙げられるが、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂は、その延伸ブロー成形適性、透明性、臭気に優れるため各種飲料容器や調味料などの食品容器を中心に多用されている。一方、ポリプロピレン系樹脂は、一般に安価で、その優れた諸物性から容器類をはじめ各種用途に広く用いられているものの、射出延伸ブロー成形においては、前述の樹脂に比べ基本的にプリフォームの適正な加熱温度幅が狭く延伸ブロー成形適性が劣るが、軽量性、防湿性、耐熱変形性、さらには容器廃棄時の減容性等の点においては優れることからポリプロピレン系樹脂も液体洗剤の詰替え容器や芳香剤容器をはじめとして徐々に使われ始めている。
【0004】
ポリプロピレン系樹脂を各種ブロー容器用に用いるために、その物性の改良が行われてきているが、延伸ブロー成形性の改善は、ポリプロピレン系樹脂特性に即したプリフォーム形状や射出成形条件、及び成形機におけるプリフォーム加熱方法の最適化工夫が図られてきているものの、透明性、耐衝撃性、臭気においては未だ改善がなされていないという問題を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、従来技術の有する問題点を克服し、ポリプロピレン系樹脂を用い、透明性、耐衝撃性及び低臭性に優れた射出延伸ブロー容器を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意検討した結果、特定のプロピレン・α−オレフィン共重合体樹脂組成物を用いて、コールド法射出延伸ブロー成形し、胴部のヘイズを特定にすることにより上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、メタロセン触媒によって重合され、下記の特性(1)〜(4)を満たすプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を射出延伸ブロー成形してなり、胴部の厚みが0.1〜0.7mmの容器であって、胴部のヘイズが、厚みを0.3mmに換算した時に2.0%以下であることを特徴とするコールド法射出延伸ブロー容器が提供される。
特性(1):MFRが0.5〜200g/10分
特性(2):α−オレフィン含有量が0.1〜10モル%
特性(3):Q値が1.5〜4
特性(4):T80−T20が10℃以下
(但し、MFRはJIS−K6921による230℃、21.18Nでのメルトフローレート、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、T80は温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる積分溶出曲線において80重量%が溶出する温度、T20は20重量%が溶出する温度をそれぞれ示す。)
【0008】
また、本発明の第2の発明によれば、プロピレン系樹脂組成物が、メタロセン触媒によって重合され、下記の特性(1)〜(4)を満たすプロピレン・α−オレフィン共重合体70〜99重量%とプロピレン単独重合体1〜30重量%を含有する樹脂組成物を、射出延伸ブロー成形してなる容器であることを特徴とする第1の発明に記載のコールド法射出延伸ブロー容器が提供される。
特性(1):MFRが0.5〜200g/10分
特性(2):α−オレフィン含有量が0.1〜10モル%
特性(3):Q値が1.5〜4
特性(4):T80−T20が10℃以下
(但し、MFRはJIS−K6921による230℃、21.18Nでのメルトフローレート、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、T80は温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる積分溶出曲線において80重量%が溶出する温度、T20は20重量%が溶出する温度をそれぞれ示す。)
【0009】
また、本発明の第3の発明によれば、容器が、飲料容器、食品容器、ヘアケア容器、化粧品容器、家庭用洗剤容器、トイレタリー容器、薬品容器、及び医療容器からなる群から選ばれる容器であることを特徴とする第1又は2の発明に記載のコールド法射出延伸ブロー容器が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体
本発明の射出延伸ブロー容器で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、メタロセン触媒を使用して重合した共重合体である。メタロセン触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期律表第4〜6族遷移金属と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体基との錯体を使用した触媒である。
【0011】
メタロセン触媒において、シクロペンタジエニル誘導体基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等で結合したものも好ましく用いられる。
【0012】
メタロセン錯体として、具体的には次の化合物を好ましく挙げることができる。(1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(11)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(14)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド、
(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、
(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(17)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(18)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(20)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(21)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、
(22)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、
(23)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(24)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド。
【0013】
また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても上記と同様の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分および触媒については、これらの化合物を併用してもよい。
【0014】
また、これらの化合物のクロリドの一方あるいは両方が臭素、ヨウ素、水素、メチルフェニル、ベンジル、アルコキシ、ジメチルアミド、ジエチルアミド等に代わった化合物も例示することができる。さらに、上記のジルコニウムの代わりに、チタン、ハフニウム等に代わった化合物も例示することができる。
【0015】
助触媒としては、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が用いられる。また、必要に応じてこれら化合物と共に有機アルミニウム化合物を添加することができる。
【0016】
アルミニウムオキシ化合物としては、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。また、トリアルキルアルミニウムとアルキルボロン酸との反応物を使用することもできる。例えば、トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物などである。
【0017】
イオン交換性層状珪酸塩としては、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などの珪酸酸塩が用いられる。これらのケイ酸塩は化学処理を施したものであることが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
【0018】
また、必要に応じてこれら化合物と共にトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化合物が使用してもよい。
【0019】
本発明においては、上記メタロセン触媒を使用してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る。α−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチル−1−ブテン、ヘキセン−1、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは、一種類でも二種類以上併用してもよい。このうちエチレン、ブテン−1が好適であり、特にはエチレンが好ましい。
【0020】
重合法としては、これらの触媒の存在下、不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法や溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
【0021】
2.プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の物性
上記のようにして得られた本発明のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、次の物性を有している。
(1)MFR
本発明に用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のMFR(メルトフローレート)は、JIS−K7210(230℃、21.18N荷重)に準拠して測定された値で、0.5〜200g/10分であり、好ましくは2〜100g/10分である。MFRが200g/10分を超えると容器としての衝撃強度が不足する傾向があり、0.5g/10分未満であるとプリフォーム成形時に流動不良となり易く、プリフォームが成形不良となり延伸ブロー性が悪化する。ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量などを適宜調節する方法、あるいは重合終了後に過酸化物の添加により調整する方法がある。
【0022】
(2)α−オレフィン含有量
本発明のプロピレン・α−オレフィンランダム重合体としては、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体が用いられ、そのプロピレン系重合体中に、プロピレンから得られる構造単位が99.9〜90mol%、好ましくは99〜90mol%、エチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンから得られる構造単位が0.1〜10mol%、好ましくは1〜10mol%の割合で含有されていることが重要である。上記プロピレンと共重合されるコモノマーのエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等を挙げることができ、エチレン、ブテン−1が好ましい。α−オレフィンから得られる構造単位が上記範囲内であればターポリマーの如く複数のα−オレフィンを用いてもよい。コモノマーの構造単位が上記範囲を超過する場合には、剛性が大きく低下してしまい、容器としての座屈強度等が損なわれてしまう。また、上記範囲未満の場合は、容器の耐衝撃強度が悪化する。プロピレンランダム共重合体中のプロピレンから得られる構造単位、及び、エチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンから得られる構造単位は、13C−NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値である。具体的には、日本電子社製FT−NMRの270MHzの装置により測定される値である。ポリマー中のα−オレフィン含有量は重合反応系へ供給するα−オレフィンの量を制御することにより容易に調節することができる。
【0023】
(3)Q値
Q値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC:Gel Permeation Chromatography)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として求められる値である。この値は小さいほど分子量が均一で分子量分布が狭いことを意味する。
本発明に用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のQ値は、1.5〜4であり、好ましくは1.5〜3.5である。Q値が1.5未満の場合は、成形性が不良となり、Q値が4を超える場合は、透明性が悪化する。上記分子量分布(Mw/Mn)は、GPC測定装置を用いて測定される値である。具体的には、WATERS社製150−C ALC/GPCにより測定される値である。プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のQ値を調整する方法は、好ましくは2種以上のメタロセン触媒成分の併用した触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合する、または重合時に2段以上の多段重合を行うことによりQ値を広く制御することができる。逆にQ値を狭く調整するためには、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を重合後、有機過酸化物を使用し溶融混練することにより調整することができる。
【0024】
なお、Q値の具体的測定は、次の条件でおこなう。
装置 :Waters社製HLC/GPC 150C
カラム温度:135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
流量 :1.0ml/min
カラム :東ソー株式会社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1
注入量 :0.15ml(濾過処理無し)
溶液濃度 :5mg/3.4ml
試料調整 :o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整し140℃で1〜3時間溶解させる。
検量線 :ポリスチレン標準サンプルを使用する。
検量線次数:1次
PP分子量:PS×0.639
【0025】
(4):T80−T20(TREFによる溶出量差温度)
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fraction)によって得られる積分溶出曲線において、80重量%が溶出する温度(T80)と20重量%が溶出する温度(T20)の差、T80−T20が、10℃以下であり、好ましくは2〜9℃であり、より好ましくは2〜8℃である。T80−T20が10℃を超えると、低融点成分が増加するため、容器の臭いが悪化すると共に、容器の透明性が悪化する。ポリマーのT80−T20が上記のように特定の狭い範囲にあることは、ポリマーの分子量分布がより均一であることを意味している。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のT80−T20を調整する方法は、2種以上のメタロセン触媒成分の併用した触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合することにより、T80−T20を大きく調整することができる。
また、担体にメタロセン触媒成分を担持する際、担持が不均一である触媒を使用して重合した場合、低分子量成分が増え、これに伴いT80−T20が大きくなってしまう。したがってメタロセン触媒成分を担体に均一に担持する技術が重要である。
【0026】
ここで、上記温度上昇溶離分別(TREF)とは、不活性担体の存在下に一定高温下でポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、該不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次に、温度を連続又は段階的に昇温して、溶出した成分を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフ(積分溶出曲線)により、ポリマーの組成分布を測定する方法である。温度上昇溶離分別(TREF)の測定の詳細については、Journal of Applied Polymer Science第26巻 第4217〜4231頁(1981年)に記載されており、本発明においてもこれに従って行う。
【0027】
なお、T80−T20は、具体的には、次の条件で測定する値である。
測定装置は、ダイヤインスツルメンツ製CFC T−102Lを使用し、まず、測定すべきサンプルを溶媒(o−ジクロロベンゼン)を用い、3mg/mlとなるように、140℃で溶解し、これを測定装置内のサンプルループ内に注入する。以下の測定は設定条件にしたがって自動的に行われる。サンプルループ内に保持された試料溶液は、溶解温度の差を利用して分別するTREFカラム(不活性担体であるガラスビーズが充填された内径4mm、長さ150mmの装置付属のステンレス製カラム)に0.4ml注入される。次に該サンプルを1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却させる。TREFカラムが0℃で更に30分間保持された後、0℃の温度で溶解している成分2mlが1ml/分の流速でTREFカラムからSECカラム(昭和電工製AD806MS 3本)へ注入される。SECで分子サイズの分別が行われている間に、TREFカラムでは次の溶出温度(10℃)に昇温され、その温度に約30分保持される。SECでの各溶出区分の測定は39分間隔で行われる。溶出温度は0℃から40℃まで10℃毎に、40℃から90℃まで5℃毎に、90℃から140℃までは4℃毎に階段的に昇温される。該SECカラムで分子サイズによって分別された溶液は装置付属の赤外線分光光度計で検出され、各溶出温度区分におけるクロマトグラフが得られる。なお、赤外線分光光度計での検出は検出波数3.42μmにおける吸光度を使用して行われ、溶液中のポリマー成分量と吸光度とが比例するものとして以下のデータ処理が行われる。各溶出温度区分におけるクロマトグラムは内蔵のデータ処理ソフトにより処理され、各クロマトグラムの面積を基に、積算が100%となるように規格化された各溶出温度区分の溶出量が計算される。更に、得られた各溶出温度区分の溶出量から、積分溶出曲線が作成される。0℃可溶分量とは0℃で溶出したポリマー成分の量(%)を示すものであり、T20とは積算溶出量が20%となる温度を、T80とは積算溶出量が80%となる温度を示すものである。
【0028】
3.ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物は、上記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を1成分とした樹脂組成物であって、樹脂成分としては、上記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を単独で用いても良く、プロピレン単独重合体との樹脂組成物として用いても良い。
【0029】
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体とプロピレン単独重合体との樹脂組成物として用いる場合の配合組成は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体70〜99重量%とプロピレン単独重合体1〜30重量%のプロピレン系組成物を用いることが好ましい。プロピレン単独重合体を1〜30重量%ブレンドすることにより、成形性が改良され、容器の衝撃強度が向上する。プロピレン単独重合体は、触媒、重合等に特に制限はなく、具体的には、触媒としてはチーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒等があげられ、重合法としてはスラリー、バルク、気相法等があげられる。また、ブレンド方法としては、重合ブレンド、溶融ブレンド、ドライブレンド等の方法で行うことが可能である。ただし、上記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体とのブレンドをより効果的に行うために、プロピレン単独重合体とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、同じであることが好ましい。
【0030】
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、他の付加的成分(任意成分)を本発明の効果を著しく損なわない範囲で配合することもできる。この付加的成分としては、通常のポリオレフィン樹脂用配合剤として使用される核剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、分散剤、無機顔料、有機顔料、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、及び、本発明に使用する以外の樹脂、エチレン・プロピレン系ゴム、エチレン・ブテン系ゴム、エチレン・ヘキセン系ゴム、エチレン・オクテン系ゴム等を挙げることができる。
【0031】
上記添加剤として、好ましい酸化防止剤、中和剤としては、次のものを挙げることができる。
(i)フェノール系酸化防止剤
本発明に用いるプロピレン・α−オレフィン共重合体に配合する酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましい。具体的なフェノール系酸化防止剤としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等である。この中でも薬剤への揮発、抽出の観点より分子量が高く低揮発性でかつ耐抽出性に優れたペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンがより好ましい。
【0032】
このフェノール系酸化防止剤の配合量は、プロピレン・α−オレフィン共重合体100重量部あたり、0.005〜0.5重量部、好ましくは0.01〜0.3重量部である。0.005重量部未満では製品の耐酸化劣化性が十分ではなく、一方、0.5重量部を超えると、不経済であるばかりか薬剤への汚染、変色の問題、ブリードの問題が発生し好ましくない。
【0033】
(ii)中和剤
本発明に用いるプロピレン・α−オレフィン共重合体に配合する中和剤としては、ハイドロタルサイト、水酸化金属塩から選ばれる少なくとも一種の中和剤が好ましく、単独で用いても、2種類以上併用して用いてもよい。具体的なハイドロタルサイトとしては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩又は結晶水を含まないもので、天然物及び合成品が含まれる。天然物としては、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oの構造のものが挙げられる。また、合成品としては、Mg0.7Al0.3(OH)2(CO3)0.15・0.54H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.2Al2(OH)12.4CO3、Zn6Al2(OH)16CO3・4H2O、Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg14Bi2(OH)29.6・4.2H2O等が挙げられる。また、具体的な水酸化金属塩としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、リチウムアルミニウム複合水酸化物塩を挙げることができる。
【0034】
これら中和剤の配合量は、プロピレン・α−オレフィン共重合体100重量部あたり、0.005〜0.5重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部である。0.005重量部未満では、金型、成形機等の腐食を防止する効果が十分でなく、一方、0.5重量部を超えると、不経済であるばかりでなく、ブリード等の問題が発生する。
【0035】
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物は、上記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体に、プロピレン単独重合体、必要に応じて添加剤を配合して、機械的混合或いは溶融混練に用いられる混合機或いは混練機、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、ロール、一軸スクリュー押出造粒機、二軸スクリュー押出造粒機等を用いて製造することができる。また、溶融混練温度は一般に100〜300℃で行われる。
【0036】
4.射出延伸ブロー容器の製造
上記プロピレン系樹脂組成物を、公知の方法に従った射出延伸ブロー成形によりブロー容器を製造する。この方法は射出成形により有底筒状の所謂プリフォームを先ず製造し、次工程で該プリフォームを金型内に挿入し、高圧空気を吹き込み所定の容器にブローアップして賦形するものであるが、プリフォーム成形工程とブローアップ工程が分離してプリフォームを再加熱するコールドパリソン法と分離せずに同時に行うホットパリソン法が挙げられるが、品質面、生産性の面でコールド法を用いることが重要である。プリフォーム延伸時の縦方向の倍率は、1.5倍以上、好ましくは2〜5倍の範囲、横方向の倍率は、1.5倍以上、好ましくは2〜10倍の範囲で二軸延伸し、縦/横の延伸比は1〜5倍とすることが透明性、強度の観点から重要である。縦方向、横方向の延伸倍率が1.5倍未満の場合、容器の耐衝撃性が不足する。
【0037】
また、本発明の射出延伸ブロー容器は、胴部の厚みが0.1〜0.7mmであり、胴部のヘイズが、厚みを0.3mmに換算したときに、2.0%以下である。
容器の厚みは、胴部において0.1〜0.7mmであり、好ましくは0.2〜0.6mmであり、より好ましくは0.25〜0.55mmである。容器胴部の厚みが、0.1mm未満であると容器の強度が不足し、0.7mmを超えると透明性が低くなる上に目付が重くなってしまう。
胴部のヘイズは、厚みを0.3mmに換算したときに、2.0%以下であり、好ましくは1.5%以下であり、より好ましくは1.0%以下である。ヘイズが2.0%を超えると容器の透明性が劣り、目視で容器に曇りがあることが確認される。
厚み0.3mmのヘイズの換算方法は、先ず容器胴部より厚み0.08mm〜0.72mmの測定用切片を4点切り出し、それぞれJIS−K7105に準拠して容器胴部のヘイズ値を測定する。これら4点の測定結果から厚みとヘイズの関係を最小二乗法で数式化して、厚み0.3mmのヘイズ値として求めるものとする。
【0038】
本発明の射出延伸ブロー容器の用途としては、ミネラルウオ−タ−、お茶等の各種非炭酸系の飲料容器や食品容器、更には、シャンプー、リンスなどのヘアケア容器、各種化粧品容器、家庭用洗剤容器、トイレタリー製品容器、その他薬品容器、輸液ボトルなどの医療容器などが挙げられるが、低溶出性といった耐内容物性の特徴から飲料や食品向容器、医療向容器がより好適である。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、重合体組成物の物性評価、容器の品質評価の方法は次の通りである。
【0040】
1.物性評価
(1)MFR:JIS−K7210に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件でペレットのMFRを測定した。
(2)Q値:ゲル・パーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)をQ値とした。測定は前述のとおりである。
検量線 :表1のポリスチレン標準サンプルを使用した。
【0041】
【表1】
検量線次数:1次
PP分子量:PS×0.639
【0042】
(3)温度上昇溶離分別(TREF)による、T80−T20:測定装置はダイヤインスツルメンツ製CFC T−102Lを使用し、前述の測定方法で測定した。
【0043】
2.容器評価
(1)容器落下強度:容器10本に各々水を満水にし、0℃で、1mの高さから平滑なコンクリ−ト面に垂直に繰り返し落下させ、割れが発生し始める平均落下回数にて判定した。
(2)容器透明性(ヘイズ):厚み0.3mmのヘイズの換算方法は、先ず容器胴部より厚み0.28mm〜0.32mmの測定用切片を4点切り出し、それぞれJIS−K7105に準拠して容器胴部のヘイズ値を測定した。これら4点の測定結果から厚みとヘイズの関係を最小二乗法で数式化して、厚み0.3mmのヘイズ値として求めた。
(3)容器の臭気:口部を密閉した容器を80℃にコントロールされたギヤーオーブン中に入れて1時間加熱し、その後取り出し直ちに容器内部の臭い官能試験を行ない、その臭いを下記の基準で判定した。
○:無臭
△:僅かに臭いが感じられる。
×:かなり臭いが感じられる。
【0044】
3.プロピレン系重合体の製造
重合例1
メタロセン触媒の合成
(1)珪酸塩の化学処理
3Lの撹拌翼の付いたガラス製フラスコに、蒸留水1130mL、続いて濃硫酸750gをゆっくりと添加し、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm、粒度分布=10〜60μm)を300g分散させ、90℃まで1時間かけ昇温し、5時間その温度を維持した後、1時間で50℃まで冷却した。このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。
このケーキに蒸留水を4L加え、再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を4回繰り返した。最終の洗浄液(ろ液)のpHは、3.42であった。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は227gであった。この化学処理したモンモリロナイトの組成は、Alが5.0%、Mgが0.8%、Feが1.6%、Siが37.7%含まれていた。
【0045】
(2)触媒の調製
以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された溶媒、モノマーを使用して実施した。先に化学処理したモンモリロナイトを減圧下、200℃で、2時間乾燥を実施した。
内容積3Lの攪拌翼のついたガラス製反応器に上記で得た乾燥モンモリロナイト200gを導入し、ヘプタン、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(500mmol)を加え、室温で攪拌した。1時間後、ヘプタンにて洗浄し、スラリーを2000mLに調製した。
次に、あらかじめ(r)−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]ジルコニウムジクロリド3mmolのトルエンスラリー870mLとトリイソブチルアルミニウム(30mmol)のヘプタン溶液42.6mLを室温にて1時間反応させておいた混合液を、モンモリロナイトスラリーに加え、1時間攪拌した。
続いて、窒素で十分置換を行った内容積10Lの攪拌式オートクレーブにヘプタン2.1Lを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製したモンモリロナイト/錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後、プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。回収した予備重合触媒スラリーから、上澄みを約3L除き、トリイソブチルアルミニウム(120mmol)のヘプタン溶液を170mL添加し、10分間撹拌した後に、50℃にて減圧下乾燥した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが2.25gを含む予備重合処理触媒が得られた。
【0046】
(3)重合
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)、液化プロピレン45kg、エチレンガス量を0.77kg、水素11NLを導入し、内温を30℃に維持した。次いで、固体触媒▲1▼(予備重合によるポリマー成分を除いた量として)2gを加えた。その後、70℃に昇温して重合を開始させ、1時間その温度を維持した。そして、エタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、ポリマーを乾燥した。その結果、MFRが31g/10分、エチレン含量2.0mol%であるプロピレン・エチレンランダム共重合体が18kg得られた。このポリマーの分析を行なった結果、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比はQ値(Mw/Mn)=3.3であった。また、温度上昇溶離分別(TREF)の測定によるT80−T20=6.5℃であった。
【0047】
重合例2
エチレンガス量を0.23kg、固体触媒を2g(予備重合によるポリマー成分を除いた量として)と変更した以外は、重合例1に記載の方法と同様にして重合を行なった。その結果、MFRが26g/10分、エチレン含量0.9mol%であるプロピレン・エチレンランダム共重合体が23kg得られた。このポリマーの分析を行なった結果、Q値(Mw/Mn)=3.4、T80−T20=6.3℃であった。
【0048】
重合例3
メタロセン錯体に(r)−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]ハフニウムジクロリドを使用して触媒を合成し、重合温度60℃、エチレンガス量を2.4kg水素量を18NL、固体触媒を0.4g(予備重合によるポリマー成分を除いた量として)と変更した以外は、重合例1に記載の方法と同様にして重合を行なった。その結果、MFRが30g/10分、エチレン含量5.6mol%であるプロピレン・エチレンランダム共重合体が25kg得られた。このポリマーの分析を行なった結果、Q値(Mw/Mn)=3.1、T80−T20=6.3℃であった。
【0049】
重合例4
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、精製したn−ヘプタン60リットルを導入し、ジエチルアルミニウムクロライド40g、丸紅ソルベー社製三塩化チタン触媒7.5gを55℃にてプロピレン雰囲気下で導入した。更に、気相部水素濃度を7.0容量%に保ちながら、60℃の温度でプロピレン10.8kg/時間及びエチレンを0.25kg/時間のフィード速度で4時間フィードした後、更に1時間重合を継続した。その後、生成物を瀘過し、乾燥を行なって、30kgの粉末状プロピレン・エチレンランダム共重合体を得た。この共重合体のMFRは30g/10分、エチレン含量は2.1mol%であった。このコポリマーの分析を行なった結果、Q値(Mw/Mn)=4.9、T80−T20=35.0℃であった。
【0050】
重合例5
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、精製したn−ヘプタン60リットルを導入し、ジエチルアルミニウムクロライド40g、丸紅ソルベー社製三塩化チタン触媒7.5gを55℃にてプロピレン雰囲気下で導入した。更に、気相部水素濃度を7.0容量%に保ちながら、60℃の温度でプロピレン10.8kg/時間のフィード速度で4時間フィードした後、更に1時間重合を継続した。その後、生成物を瀘過し、乾燥を行なって、30kgの粉末状プロピレン単独重合体を得た。この重合体のMFRは30g/10分、であった。
【0051】
実施例1
上記重合例1で得られたのプロピレン・エチレンランダム共重合体100重量部に対し、中和剤としてステアリン酸カルシウム0.05重量部、及び、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.05重量部を添加してスーパーミキサーにて3分間混合し、230℃に加熱したスクリュー径が40mmの単軸押出機にて溶融混練しペレットを作成した。
このペレットを東芝機械(株)社製IS−150E型射出成形機を用い、射出圧力100kg/cm2、射出樹脂温度210℃、金型冷却水温度25℃の条件で、目付21g、外径2.8mm、高さ90mm、胴部最大肉厚4.5mmの試験管状の有底プリフォームを成形した。次にこのプリフォームをフロンティア社製二軸延伸ブロー成形機EFB1000型二軸延伸ブロー成形機を用いて、ピーク波長が1〜2μmの電気式近赤外ランプでプリフォームを回転させながら加熱し、非接触表面温度計でプリフォームの表面温度が120℃になったところで、縦延伸倍率2.7倍、横延伸倍率2.4倍となるように縦延伸ロッドの上昇と共に一次圧力40kg/cm2、二次圧力25kg/cm2の空気圧力で二軸延伸ブロー成形して500cc円筒ボトル容器を得た。得られた容器の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0052】
実施例2
実施例1のプロピレン・エチレンランダム共重合体に換え、重合例2のプロピレン・エチレンランダム共重合体にした以外は、実施例1と同様にして容器を得た。得られた容器の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0053】
実施例3
実施例1のプロピレン・エチレンランダム共重合体に換え、重合例3のプロピレン・エチレンランダム共重合体にした以外は、実施例1と同様にして容器を得た。得られた容器の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0054】
実施例4
実施例1のプロピレン・エチレンランダム共重合体に換え、重合例3のプロピレン・エチレンランダム共重合体80重量%、重合例5のプロピレン単独重合体20重量%の溶融ブレンド物にした以外は、実施例1と同様にして容器を得た。得られた容器の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0055】
実施例5
実施例1のプロピレン・エチレンランダム共重合体に換え、重合例3のプロピレン・エチレンランダム共重合体90重量%、重合例5のプロピレン単独重合体10重量%の溶融ブレンド物にした以外は、実施例1と同様にして容器を得た。得られた容器の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0056】
実施例6
実施例1のプロピレン・エチレンランダム共重合体に換え、重合例1のプロピレン・エチレンランダム共重合体90重量%、重合例5のプロピレン単独重合体10重量%の溶融ブレンド物にした以外は、実施例1と同様にして容器を得た。得られた容器の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0057】
比較例1
実施例1のプロピレン・エチレンランダム共重合体を、重合例4により製造したプロピレン・エチレンランダム共重合体に変更した以外は、実施例1と同様にして容器を得た。得られた容器の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0058】
比較例2
実施例1のプロピレン・エチレンランダム共重合体に換え、重合例4のプロピレン・エチレンランダム共重合体80重量%、重合例5のプロピレン単独重合体20重量%の溶融ブレンド物にした以外は、実施例1と同様にして容器を得た。得られた容器の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】
従って、本発明は、前記課題を達成するために鋭意検討した結果、メタロセン触媒を用いて重合された特定の物性を有するポリプロピレン系重合体を用いることにより透明性、耐衝撃性及び耐内容物性に優れた射出延伸ブロー容器を提供することが可能となり、従来ポリプロピレン系樹脂での制約要因であった耐内容物性が大幅に改善された結果、種々の飲料や食品向容器、医療向容器への適用範囲が広がり工業的に非常に価値の高いものとなった。
Claims (3)
- メタロセン触媒によって重合され、下記の特性(1)〜(4)を満たすプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を、射出延伸ブロー成形してなり、胴部の厚みが0.1〜0.7mmの容器であって、胴部のヘイズが、厚みを0.3mmに換算したときに、2.0%以下であることを特徴とするコールド法射出延伸ブロー容器。
特性(1):MFRが0.5〜200g/10分
特性(2):α−オレフィン含有量が0.1〜10モル%
特性(3):Q値が1.5〜4
特性(4):T80−T20が10℃以下
(但し、MFRはJIS−K6921による230℃、21.18Nでのメルトフローレート、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、T80は温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる積分溶出曲線において80重量%が溶出する温度、T20は20重量%が溶出する温度をそれぞれ示す。) - プロピレン系樹脂組成物が、メタロセン触媒によって重合され、下記の特性(1)〜(4)を満たすプロピレン・α−オレフィン共重合体70〜99重量%とプロピレン単独重合体1〜30重量%を含有する樹脂組成物を、射出延伸ブロー成形してなる容器であることを特徴とする請求項1に記載のコールド法射出延伸ブロー容器。
特性(1):MFRが0.5〜200g/10分
特性(2):α−オレフィン含有量が0.1〜10モル%
特性(3):Q値が1.5〜4
特性(4):T80−T20が10℃以下
(但し、MFRはJIS−K6921による230℃、21.18Nでのメルトフローレート、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、T80は温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる積分溶出曲線において80重量%が溶出する温度、T20は20重量%が溶出する温度をそれぞれ示す。) - 容器が、飲料容器、食品容器、ヘアケア容器、化粧品容器、家庭用洗剤容器、トイレタリー容器、薬品容器、及び医療容器からなる群から選ばれる容器であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコールド法射出延伸ブロー容器。
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