JP3973303B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐薬品性、湿熱疲労性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物と芳香族ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂が本来有する耐薬品性などの特性を維持し、且つ、湿熱疲労性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性などの機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性などにも優れており、広く用いられている。このような芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、ビスフェノールAなどの二価フェノールにホスゲンを直接反応させる方法(界面重合法)、あるいはビスフェノールなどの二価フェノールとジフェニルカーボネートなどのジアリルカーボネートとを溶融状態でエステル交換反応させ重合する方法(以下、溶融法と称することがある。)などが知られている。このような製造方法のなかで、二価フェノールとジアリルカーボネートとのエステル交換反応させる方法は、界面重合法による製造に比べて、ホスゲンやメチレンクロライド等のハロゲン化合物を使用する問題がなく、環境に対する負荷が少なく且つ安価に製造できる利点があり、有望な技術である。
【0003】
また、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物は、耐薬品性、耐衝撃性に優れる材料として種々の研究がなされ、自動車分野、OA分野などの種々の分野に幅広く使用されている。
【0004】
特公平7−68441号公報には芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂から熱可塑性樹脂組成物が記載されている。該特許で使用の芳香族ポリカーボネート樹脂は実質的に溶融法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂であり溶液法の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より溶融安定性に優れていることが開示されている。しかしながら、かかる樹脂組成物に使用されている溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂は触媒の失活処理がなされておらず溶融安定性も十分とは言い難いものであり、湿熱疲労性に劣る欠点を有していた。よって機械的強度、耐薬品性、湿熱疲労性などが要求される自動車部品(アウタードアハンドル、インナードアハンドルなど)や機械部品(電動工具カバーなど)等への使用には十分な注意が必要であり、かかる要求を満足する材料はこれまで得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂が本来有する耐薬品性などの特性を維持し、且つ、湿熱疲労性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
我々はかかる樹脂組成物を鋭意検討した結果、溶融法の芳香族ポリカーボネート樹脂に残存する重合触媒を失活処理し、この芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることで上記目的を達成することを発見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)残存触媒活性指数が2%以下で、水酸基末端が全末端に対して0〜40モル%であり、且つ二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶融法で反応させて得られた芳香族ポリカーボネート樹脂5〜95重量%および(B)芳香族ポリエステル樹脂95〜5重量%からなる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0007】
本発明で使用される(A)芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶融法で反応させて得られるものである。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,6−ジヒドロキシナフタリン、2,6−ジヒドロキシナフタリン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−ブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−クロロ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、4−ブロモレゾルシノール、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−フェニル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−エチル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−n−プロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−メトキシ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス{(3−フェノキシ−4−ヒドロキシ)フェニル}エチレン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス{(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステルなどがあげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0008】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス{(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、および4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体が好ましく使用される。
【0009】
カーボネート前駆体としては、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用される。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどを使用し、より好ましくは、ジフェニルカーボネートを使用する。これら炭酸エステルもまた、単独で用いても良く、また二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0010】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0011】
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2,2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、又はトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びこれらの酸クロライド、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−フェノキシカルボニル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−カルボキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0012】
溶融法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を10〜0.1Torr程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0013】
また、溶融法において重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば(i)アルカリ金属化合物および/または(ii)含窒素塩基性化合物よりなる触媒を用いて縮合される。
【0014】
触媒として用いられるアルカリ金属化合物としては、例えばアルカリ金属の水酸化物、炭化水素化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜流酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホウ素塩、安息香酸塩、リン酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0015】
具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、水酸化ホウ素ナトリウム、水酸化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。
【0016】
触媒としてのアルカリ金属化合物は、二価フェノール1モルに対し10-8〜10-5モルの範囲で使用しうる。上記使用範囲を逸脱すると、得られるポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、また、エステル交換反応が充分に進行せず高分子量のポリカーボネートが得られない等の問題があり好ましくない。
【0017】
また、触媒としての含窒素塩基性化合物としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(φ―CH2(Me)3NOH)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラメチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NBH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)などの塩基性塩などを挙げることができる。これらの中で、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4NOH)が好ましく、特にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)が好ましい。
【0018】
上記含窒素塩基性化合物は、含窒素塩基性化合物中のアンモニウム窒素原子が二価フェノール1モル当り1×10-5〜1×10-3当量となる割合で用いるのが好ましい。より好ましい割合は同じ基準に対し2×10-5〜7×10-4当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し5×10-5〜5×10-4当量となる割合である。本発明においては所望により、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類、マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-9〜1×10-5当量、より好ましくは1×10-8〜5×10-6当量の範囲で選ばれる。
【0019】
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェニルフェニルカーボネート、p−t−ブチルフェニルカーボネート、p−クミルフェノール、p−クミルフェニルフェニルカーボネート、p−クミルフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート、2,2,4−トリメチル−4−(4−ヒドロキシフェニル)クロマン2,4,4−トリメチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)クロマンおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0020】
本発明において末端封鎖剤を用いて(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の末端を封鎖することが好ましい。また、末端封鎖剤を添加する前の芳香族ポリカーボネート樹脂の水酸基末端を全末端に対して20モル%以上、好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上に制御することが好ましい。かくすることにより、特定の末端基を高い割合で導入でき、芳香族ポリカーボネート樹脂の改質効果を高めることができる。通常は、芳香族ポリカーボネート樹脂の水酸基末端の割合が、全末端のうち水酸基が30〜95モル%の範囲の芳香族ポリカーボネート樹脂に末端封鎖剤を用いることが有利である。また、末端封鎖剤を添加する前の芳香族ポリカーボネート樹脂水酸基の末端割合は、原料である二価フェノールとジフェニルカーボネートの仕込み比によってコントロールすることができる。ここで芳香族ポリカーボネート樹脂の一定量における末端水酸基のモル数は、常法により1H―NMRにより決定できる。
【0021】
本発明の(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の水酸基末端は、全末端に対して0〜40モル%、好ましくは0〜18モル%、さらに好ましくは0〜9モル%、最も好ましくは0〜7モル%に制御することが好ましい。ここで0モル%とは1H―NMR法で測定した時、検出不可能を表す。水酸基末端がかかる範囲にあると、耐薬品性、湿熱疲労性が更に向上する。
【0022】
本発明では、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂中の触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0023】
失活剤の中でホスホニウムもしくはアンモニウム塩型の失活剤はそれ自身200℃以上でも特に安定である。そしてその失活剤を芳香族ポリカーボネート樹脂に添加した場合すみやかに重縮合反応触媒を中和し、目的とする芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。即ち、重合封鎖反応後に生成するポリカーボネートに対し、失活剤を好ましくは0.01〜500ppmの割合で、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用される。
【0024】
また、かかる失活剤は、重縮合反応触媒に対する割合では、重縮合反応触媒1モル当り0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。失活剤を末端封鎖後の芳香族ポリカーボネート樹脂に添加する方法には特に限定されない。例えば、反応生成物である芳香族ポリカーボネート樹脂が溶融状態にある間にこれらを添加してもよいし、一旦芳香族ポリカーボネート樹脂をペレタイズした後再溶融して添加してもよい。前者においては、末端封鎖反応が終了して得られる溶融状態にある反応器内または押出機内の反応生成物である芳香族ポリカーボネート樹脂が溶融状態にある間に、これらを添加して芳香族ポリカーボネート樹脂を形成した後、押出機を通してペレタイズしてもよいし、また、重合封鎖反応で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂が反応器から押出機を通ってペレタイズされる間に、失活剤を添加して混練することによって芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
【0025】
本発明の溶融重合された芳香族ポリカーボネート樹脂では、その反応を促進するために重合触媒を用いるため、重合反応後にも重合触媒が残存することが多い。この残存した触媒を重合反応終了後、そのまま放置すると重合触媒の触媒活性により芳香族ポリカーボネート樹脂の分解や再反応が起こる弊害がある。更にかかる残存触媒活性のある芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との熱可塑性樹脂組成物ではその影響が拡大される等の問題が発生する。
【0026】
本発明ではかかる残存触媒活性を抑制する必要がある。残存触媒活性を抑制する指標として残存触媒活性指数を用いて、以下の要領で測定する。測定機器として、測定対象となるサンプルの溶融粘度範囲の測定が可能な回転型のレオメーターを使用し、サンプルが外部の酸素により酸化しないよう、十分な窒素気流中、測定する樹脂が溶融する一定温度の条件下で、サンプルを一定方向かつ一定の角速度で回転させ、その際の溶融粘度変化を観察する。サンプルを測定する際の粘弾性測定器の治具は、サンプル全体の歪みが一定となるよう、すなわち剪断速度が一定となるよう円錐円板形のものを使用する。即ち、下記式(i)により計算した1分間当たりの溶融粘度変化を残存触媒活性指数とした。
【0027】
【数1】
Figure 0003973303
【0028】
この残存触媒活性指数は、2%以下であり、好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.2%以下である。残存触媒活性指数がこの範囲を越えると芳香族ポリカーボネート樹脂が経時変化して好ましくない。
【0029】
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で12,000〜30,000が好ましく、14,000〜27,000がより好ましく、15,000〜25,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、組成物として十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0030】
本発明で用いる(B)芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘動体と、ジオール、又はそのエステル誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である。
【0031】
ここでいう芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸が好適に用いられ、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく使用できる。
【0032】
芳香族ジカルボン酸は二種以上を混合して使用してもよい。なお少量であれば、該ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を一種以上混合使用することも可能である。
【0033】
また本発明の芳香族ポリエステルの成分であるジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等、2,2−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の芳香環を含有するジオール等及びそれらの混合物等が挙げられる。更に少量であれば、分子量400〜6000の長鎖ジオール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合してもよい。
【0034】
また本発明の芳香族ポリエステルは少量の分岐剤を導入することにより分岐させることができる。分岐剤の種類に制限はないがトリメシン酸、トリメリチン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0035】
具体的な芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、等の他、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、等のような共重合ポリエステルおよびこれらの混合物が好ましく使用できる。これらの中でもジオール成分として、エチレングリコールを使用したポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが熱的性質、機械的性質等のバランスがとれ好ましく、更に芳香族ポリエステル樹脂100重量%中ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが50重量%以上のものが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが50重量%以上のものが好ましい。また、ジオール成分として、ブチレングリコールを使用したポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートも成形性、機械的性質等のバランスがとれ好ましく、更に重量比でポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートが2〜10の範囲が好ましい。
【0036】
また得られた芳香族ポリエステル樹脂の末端基構造は特に限定されるものではなく、末端基における水酸基とカルボキシル基の割合がほぼ同量の場合以外に、一方の割合が多い場合であってもよい。またかかる末端基に対して反応性を有する化合物を反応させる等により、それらの末端基が封止されているものであってもよい。
【0037】
かかる芳香族ポリエステル樹脂の製造方法については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しながらジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合させ、副生する水又は低級アルコールを系外に排出することにより行われる。例えば、ゲルマニウム系重合触媒としては、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、更に具体的には、酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム等が例示できる。
【0038】
また本発明では、従来公知の重縮合の前段回であるエステル交換反応において使用される、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の化合物を併せて使用でき、及びエステル交換反応終了後にリン酸または亜リン酸の化合物等により、かかる触媒を失活させて重縮合することも可能である。
【0039】
また芳香族ポリエステル樹脂の分子量については特に制限されないが、o−クロロフェノールを溶媒としてで25℃で測定した固有粘度が0.4〜1.2、好ましくは0.65〜1.15である。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂組成物における(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂との配合割合は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、(B)芳香族ポリエステル樹脂95〜5重量%、好ましくは90〜10重量%である。(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の配合割合が5重量%未満、即ち(B)芳香族ポリエステル樹脂の配合割合が95重量%よりも多くなると耐衝撃性が不十分となり、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の配合割合が95重量%よりも多くなる、即ち(B)芳香族ポリエステル樹脂の配合割合が5重量%未満になると耐薬品性が不十分となり好ましくない。
【0041】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には耐衝撃性を更に向上させる目的で(C)ゴム状弾性体を添加することが可能である。本発明に使用可能な(C)ゴム状弾性体とは、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、及びこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。一方架橋構造を有しない熱可塑性エラストマーとして知られている各種、例えばポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
【0042】
ここでいうガラス転移温度が10℃以下のゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム及びこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができる。
【0043】
中でもガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有するゴム状弾性体が好ましく、特にブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコン複合ゴムを使用したゴム状弾性体が好ましい。ブタジエン−アクリル複合ゴムとは、ブタジエンゴムの成分と、アクリルゴムの成分とを共重合または分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合したゴムであり、アクリル−シリコン複合ゴムとは、アクリルゴムの成分とシリコンゴムの成分とを分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造としたまたはシリコンゴム中の官能基と共重合したものをいう。
【0044】
芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にスチレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0045】
ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有するゴム状弾性体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。かかるゴム状弾性体は市販されており容易に入手することが可能である。例えばガラス転移温度が10℃以下のゴム成分として、ブタジエンゴム、またはブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とするものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ、三菱レーヨン(株)のメタブレンCシリーズ、呉羽化学工業(株)のEXLシリーズ、HIAシリーズ、BTAシリーズ、KCAシリーズが挙げられ、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分としてアクリル−シリコン複合ゴムを主体とするものとしては三菱レーヨン(株)よりメタブレンS−2001あるいはRK−200という商品名で市販されているものが挙げられる。かかる(C)ゴム状弾性体の配合量は本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、3〜40重量部であることが更に好ましい。
【0046】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂とのエステル交換反応を抑制する為や成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトおよびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部が更に好ましい。
【0047】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することもできる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.0001〜0.5重量部が好ましい。
【0048】
更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物に本発明の目的を損なわない範囲で、剛性などを改良する為に無機充填材を配合することが可能である。かかる無機充填材のとしてはタルク、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の板状または粒状の無機充填材やガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、カーボン繊維、金属系導電性繊維等の繊維状充填材を挙げることができる。これら無機充填材の配合量は本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して1〜100重量部が好ましく、3〜70重量部が更に好ましい。
【0049】
また、本発明で使用可能な無機充填材はシランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。この表面処理により、芳香族ポリカーボネート樹脂の分解が抑制されるなど本発明の目的である湿熱疲労性をより良好なものとすることができる。ここでいうシランカップリング剤とは下記式
【0050】
【化1】
Figure 0003973303
【0051】
[ここでYはアミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、ビニル基、メルカプト基、ハロゲン原子等の樹脂マトリックスと反応性または親和性を有する基、R1、R2、R3はそれぞれ単結合または炭素数1〜7のアルキレン基を表わし、そのアルキレン分子鎖中に、アミド結合、エステル結合、エーテル結合あるいはイミノ結合が介在してもよく、X1、X2、X3はそれぞれアルコキシ基好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子]で表わされるシラン化合物をいい、具体的には、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0052】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。かかる離型剤としては、オレフィン系ワックス、カルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる離型剤の配合量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましい。
【0053】
オレフィン系ワックスとしては、特にポリエチレンワックスおよび/または1−アルケン重合体の使用が好ましくきわめて良好な離型効果が得られる。ポリエチレンワックスとしては現在一般に広く知られているものが使用でき、エチレンを高温高圧下で重合したもの、ポリエチレンを熱分解したもの、ポリエチレン重合物より低分子量成分を分離精製したもの等が挙げられる。また分子量、分岐度等は特に制限されるものではないが、分子量としては数平均分子量で1,000以上が好ましい。
【0054】
1−アルケン重合体としては炭素数5〜40の1−アルケンを重合したものが使用できる。1−アルケン重合体の分子量としては数平均分子量で1,000以上が好ましい。
【0055】
カルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックスとは、オレフィン系ワックスを後処理により、カルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含有させた化合物、好ましくはマレイン酸及び/または無水マレイン酸で後処理により変性したものが挙げられる。更にエチレン及び/または1−アルケンを重合または共重合する際にかかるモノマー類と共重合可能なカルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含有する化合物、好ましくはマレイン酸及び/または無水マレイン酸を共重合したものも挙げられ、かかる共重合をしたものはカルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基が高濃度かつ安定して含まれるので好ましい。このカルボキシル基やカルボン酸無水物基は、このオレフィン系ワックスのどの部分に結合してもよく、またその濃度は特に限定されないが、オレフィン系ワックス1g当り0.1〜6meq/gの範囲が好ましい。かかるカルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系オレフィン系ワックスは、市販品としては例えばダイヤカルナ−PA30[三菱化学(株)の商品名]、ハイワックス酸処理タイプの2203A、1105A[三井石油化学(株)の商品名]等が挙げられ、これら単独でまたは二種以上の混合物として用いられる。
【0056】
本発明において無機充填材を配合する場合には、カルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックスを添加することは、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させる為だけではなく、無機充填材配合による衝撃強度低下を抑制する効果も発現し好ましく使用できるものである。
【0057】
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価又は多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルであるのが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられ、なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。
【0058】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、光安定剤を配合することができる。かかる光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。かかる光安定剤の配合量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましい。
【0059】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、帯電防止剤を配合することができる。かかる帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライド等が挙げられる。
【0060】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない量の難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、有機塩系難燃剤、芳香族リン酸エステル系難燃剤、あるいは、ハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤等があげられ、それらを一種以上配合することができる。具体的にハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤は、テトラクロロビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラクロロビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネート型難燃剤テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネート型難燃剤等である。具体的に有機塩系難燃剤は、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ビス(2,6−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−クミルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(p−トルエンスルホン)イミドカリウム、ビス(ジフェニルリン酸)イミドカリウム、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(2,4−ジブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−ブロモフェニル)リン酸カリウム、ジフェニルリン酸カリウム、ジフェニルリン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウムあるいはカリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムあるいはカリウム等である。具体的にハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤は、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(4−ブロモフェニル)ホスフェート等である。具体的に芳香族リン酸エステル系難燃剤は、トリフェニルホスフェート、トリス(2,6−キシリル)ホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)レゾルシンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)ヒドロキノンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)−4,4’−ビフェノールジホスフェート、テトラフェニルレゾルシンジホスフェート、テトラフェニルヒドロキノンジホスフェート、テトラフェニル−4,4’−ビフェノールジホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、同様のフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、(以下に示す「芳香族ポリホスフェート」は、フェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェートと含まない芳香族ポリホスフェートの両方を意味するものとする)芳香環ソースがビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート等である。
【0061】
これらの難燃剤の中で、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤として、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネートが好ましく、更にテトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤が好ましい。有機塩系難燃剤としてはジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。芳香族リン酸エステル系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルフスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、レズルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェートが好ましい。これらの中でも、オゾン層破壊しない芳香族リン酸エステル系難燃剤であるトリフェニルホスフェート、トリクレジルフスフェート、レズルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)が最も好ましい。
【0062】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の樹脂を本発明の目的が損なわれない範囲であれば配合することもできる。
【0063】
かかる他の樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0064】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られる熱可塑性樹脂組成物は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知られている方法で成形品にすることができる。なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物の混和性を高めて安定した離型性や各物性を得るためには、溶融押出において二軸押出機を使用するのが好ましい。更に無機充填材を配合する場合には直接押出機ホッパー口あるいは押出機途中から投入する方法、芳香族ポリカーボネート樹脂や芳香族ポリエステル樹脂と予め混合する方法、一部の芳香族ポリカーボネート樹脂や芳香族ポリエステル樹脂と予め混合してマスターを作成し投入する方法、かかるマスターを押出機途中から投入する方法のいずれの方法も取ることができる。
【0065】
かくして得られた本発明の熱可塑性樹脂組成物は、パソコン、ワープロ、ファクス、コピー機、プリンター等のOA機器のハウジング及びシャーシ、CD−ROMのトレー、シャーシー、ターンテーブル、ピックアップシャーシ、各種ギア等のOA内部部品、テレビ、ビデオ、電気洗濯機、電気乾燥機、電気掃除機等の家庭電器製品のハウジングや部品、電気鋸、電動ドリル等の電動工具、望遠鏡鏡筒、顕微鏡鏡筒、カメラボディ、カメラハウジング、カメラ鏡筒等の光学機器部品、ドアーハンドル、ピラー、バンパー、計器パネル等の自動車用部品に有用である。特に機械的強度、耐薬品性、湿熱疲労性などが要求される自動車部品(アウタードアハンドル、インナードアハンドルなど)や機械部品(電動工具カバーなど)に有用である。
【0066】
【実施例】
以下に実施例をあげて更に説明する。実施例中の「部」または「%」は重量部または重量%を示し、また評価項目および組成物中の各成分の記号は下記の内容を意味する。
【0067】
(1)残存触媒活性指数
残存触媒活性量は以下のように測定した。サンプルは測定前に120℃、4時間の減圧乾燥を行い測定に供した。測定機としてレオメトリックス(株)製RDA−II型粘弾性測定器を使用し、直径25mmの円錐円板型の治具を装着し、測定中サンプルの本機器の適正条件を満足した窒素気流中、測定温度である270℃に設定した。測定温度はオーブン内の温度を測定することにより設定した。その後乾燥した測定用サンプルをセットし、サンプル全体が十分に測定温度となるよう静置の後、その後角速度1rad/秒の回転をすることで測定を開始し、これを30分間続け、その間の溶融粘度の変化を観察した。この測定より回転開始後5分後及び30分後の溶融粘度を求め、それらの値を下記式(i)より計算することにより、1分間当たりの溶融粘度変化を残存触媒活性指数として表した。
【0068】
【数2】
Figure 0003973303
【0069】
(2)末端水酸基濃度
サンプル0.02gを0.4mlのクロロホルムに溶解し、20℃で1H−NMR(日本電子社製EX−270)を用いて末端水酸基および末端フェニル基を測定し、下記式(ii)により末端水酸基濃度を測定した。
末端水酸基濃度(モル%)=(末端水酸基数/全末端数)×100 …(ii)
【0070】
(3)湿熱疲労性
図1に示したいわゆるC型の測定用サンプルを用いて、80℃、90%RHの雰囲気で、正弦波で振動数1Hz、最大荷重2kgの条件で、以下の疲労試験機[(株)島津製作所製 島津サーボパルサー EHF−EC5型]を用いて、測定用サンプルが破断するまでの回数を測定した。
【0071】
(4)剛性
ASTM D790により、曲げ弾性率を測定した。
【0072】
(5)耐薬品性
ASTM D638にて使用する引張り試験片に1%歪みを付加し、30℃のエッソレギュラーガソリンに3分間浸漬した後、引張り強度を測定し保持率を算出した。保持率は下記式により計算した。
保持率(%)=(処理サンプルの強度/未処理サンプルの強度)×100
【0073】
(6)ノッチ付衝撃値
ASTM D256により厚み3.2mmの試験片を用いノッチ側からおもりを衝撃させ衝撃値を測定した。
【0074】
(7)耐熱性
JIS K7207により、A法(試験片に加える曲げ応力:18.5kgf/cm2)で、荷重たわみ温度を測定した。
【0075】
(a)芳香族ポリカーボネート樹脂
▲1▼EX−PC
[参照例1]本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造
撹拌機及び蒸留塔を備えた反応器に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン228部(約1モル)、ジフェニルカーボネート(バイエル社製)220部(約1.03モル)及び触媒として水酸化ナトリウム0.000024部(約6×10-7モル/ビスフェノールA1モル)とテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.0073部(約8×10-5モル/ビスフェノールA1モル)を仕込み、窒素置換した。この混合物を200℃まで加熱して撹拌しながら溶解させた。次いで、減圧度を30Torrとして加熱しながら1時間で大半のフェノールを留去し、更に270℃まで温度を上げ、減圧度を1Torrとして2時間重合反応を行ったところで、末端停止剤として2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート3.1部を添加した。その後270℃、1Torr以下で5分間末端封鎖反応を行った。次に溶融状態のままで、触媒中和剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.0035部(約6×10-6モル/ビスフェノールA1モル)添加して270℃、10Torr以下で反応を継続し、粘度平均分子量23300、末端水酸基濃度5モル%、残存触媒活性指数0.01%の芳香族ポリカーボネート樹脂を得た。この芳香族ポリカーボネート樹脂をギアポンプでエクストルーダーに送った。エクストルーダー途中でトリスノニルフェニルホスファイトを0.003重量%、トリメチルホスフェートを0.05重量%加え、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。
【0076】
▲2▼CEX−PC
[参照例2]比較のための芳香族ポリカーボネート樹脂の製造
末端停止剤として2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート及び触媒失活剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を用いない以外は参照例1と同様な条件で芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した。尚、この芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量23000、末端水酸基濃度52モル%、残存触媒活性指数2.5であった。
【0077】
(b)芳香族ポリエステル樹脂
▲1▼ポリエチレンテレフタレート:TR−8580;帝人(株)製、固有粘度0.8(以下PETと称す)
▲2▼ポリブチレンテレフタレート:TRB−H;帝人(株)製、固有粘度1.07(以下PBTと称す)
【0078】
(c)ゴム質弾性体
▲1▼ブタジエン−アルキルアクリレート−アルキルメタアクリレート共重合体
:EXL−2602;呉羽化学工業(株)製(以下E−1と称す)
▲2▼ポリオルガノシロキサン成分及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が相互侵入網目構造を有している複合ゴム:S−2001;三菱レイヨン(株)製(以下E−2と称す)
【0079】
(d)無機充填材
▲1▼ガラス繊維:チョップドストランドECS−03T−511;日本電気硝子(株)製、ウレタン集束処理、繊維径13μm。(以下Gと称す)
▲2▼ワラストナイト:サイカテックNN−4;巴工業(株)製、平均粒径D=4μm、3μm以上の粒子系分布が82.5%及び10μm以上の粒子系分布が0.7%、アスペクト比L/D=20(以下Wと称す)
▲3▼タルク:P−3;日本タルク(株)(以下Tと称す)
【0080】
(e)カルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス
▲1▼α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス:ダイヤカルナ−PA30;三菱化成(株)製(無水マレイン酸含有量=10wt%)(以下WAXと称す)
【0081】
[実施例1〜16、比較例1〜8]
上記で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂及び表1、2,3記載の各成分及びリン系安定剤(サイクリック ネオペンタンテトライルビス(オクタデシルフォスファイト):旭電化工業(株)製PEP−8)0.1重量部をタンブラーを使用して均一に混合した後、30mmφベント付き二軸押出機(神戸製鋼(株)製KTX−30)により、シリンダー温度260℃、10mmHgの真空度で脱気しながらペレット化し、得られたペレットを120℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG150U型)を使用して、シリンダー温度260℃、金型温度70℃の条件で測定用の成形片を作成した。
【0082】
それぞれの比較で明らかな如く本発明の実施例である残存触媒活性指数を有する芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物は、比較例の残存触媒活性が残っている芳香族ポリカーボネート樹脂を用いたものに比較して湿熱疲労性が特に優れており、耐薬品性、衝撃強度も優れていることがわかる。
【0083】
【表1】
Figure 0003973303
【0084】
【表2】
Figure 0003973303
【0085】
【表3】
Figure 0003973303
【0086】
[実施例17〜28、比較例9〜16]
上記で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂及び表4、5、6記載の各成分及びリン系安定剤(サイクリック ネオペンタンテトライルビス(オクタデシルフォスファイト):旭電化工業(株)製PEP−8)0.1重量部をタンブラーを使用して均一に混合した後、以下実施例1と同様な方法で測定用の成形片を作成した。
【0087】
表4、5より本発明の熱可塑性樹脂組成物にガラス繊維、ワラストナイト、タルクなどの無機充填材を配合することにより耐薬品性、衝撃強度を保持しつつ、剛性、湿熱疲労性がさらに向上し好ましいことがわかる。また、表6記載の比較例の残存触媒活性が残っている芳香族ポリカーボネート樹脂を用いた芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物に無機充填材を配合しても湿熱疲労性の改良効果は小さく、さらに衝撃強度、耐薬品性も低く、本発明の改良効果は大きいことがわかる。
【0088】
【表4】
Figure 0003973303
【0089】
【表5】
Figure 0003973303
【0090】
【表6】
Figure 0003973303
【0091】
【発明の効果】
本発明により、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物が本来有する耐薬品性などの特性を生かし、湿熱疲労性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】湿熱疲労性を評価するために使用した、いわゆるC型サンプルの正面図である。なおサンプルの厚みは3mmである。符号6で示される孔の部分に試験機の治具を通し、符号7で示される垂直方向に所定の荷重をかけて試験を行う。
【符号の説明】
1 C型形状の二重円の中心
2 二重円の内側円の半径(20mm)
3 二重円の外側円の半径(30mm)
4 治具装着用孔の位置を示す中心角(60°)
5 サンプル端面の間隙(13mm)
6 治具装着用孔(直径4mmの円であり、サンプル幅の中央に位置する)
7 疲労試験時におけるサンプルに課される荷重の方向

Claims (5)

  1. (A)残存触媒活性指数が2%以下で、水酸基末端が全末端に対して0〜40モル%であり、且つ二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶融法で反応させて得られた芳香族ポリカーボネート樹脂5〜95重量%および(B)芳香族ポリエステル樹脂95〜5重量%からなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. カーボネート前駆体がジフェニルカーボネートである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 芳香族ポリエステル樹脂がエチレングリコールを使用したポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 芳香族ポリエステル樹脂がブチレングリコールを使用したポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 二価フェノールとカーボネート前駆体とを、アルカリ金属化合物および/または含窒素塩基性化合物よりなる重合触媒を用いて溶融反応させ、重合反応終了後に失活剤を添加する方法で得られた、残存触媒活性指数が2%以下で、水酸基末端が全末端に対して0〜40モル%である芳香族ポリカーボネート樹脂5〜95重量%と、芳香族ポリエステル樹脂95〜5重量%とを溶融混合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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