JP3967581B2 - イオン交換樹脂膜及びその製造方法 - Google Patents

イオン交換樹脂膜及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用隔膜、透析用隔膜、各種センサー等に使用されるイオン交換樹脂膜、特に固体高分子型燃料電池用隔膜として好適に使用されるイオン交換樹脂膜およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換樹脂膜は、固体高分子型燃料電池、レドックス・フロー電池、亜鉛−臭素電池等の電池用隔膜、透析用隔膜等として汎用的に使用されている。このうち、イオン交換樹脂膜を電解質として用いた固体高分子型燃料電池は、燃料と酸化剤とを連続的に供給し、これらが反応した時の化学エネルギーを電力として取り出すクリーンで高効率な発電システムの一つであり、近年、低温作動や小型化の観点から自動車用途、家庭用や携帯用途としてその重要性を増している。固体高分子型燃料電池は、一般的に電解質として作用する固体高分子の隔膜の両面に触媒が坦持されたガス拡散電極を接合し、一方のガス拡散電極が存在する側の室(燃料室)に水素ガスあるいはメタノール等からなる燃料を、他方のガス拡散電極が存在する側の室に酸化剤である酸素や空気等の酸素含有ガスをそれぞれ供給し、両ガス拡散電極間に外部負荷回路を接続することにより、燃料電池として作用させる。
【0003】
こうした固体高分子型燃料電池の基本構造を図1に示す。図中、(1)は電池隔壁、(2)は燃料ガス流通孔、(3)は酸化剤ガス流通孔、(4)は燃料室側ガス拡散電極、(5)は酸化剤室側ガス拡散電極、(6)は固体高分子電解質膜を示す。この固体高分子型燃料電池において、燃料室(7)では、供給された水素ガスからプロトン(水素イオン)と電子が生成し、このプロトンは固体高分子電解質(6)内を伝導し、他方の酸化剤室(8)に移動し、空気又は酸素ガス中の酸素と反応して水を生成する。この時、燃料室側ガス拡散電極(4)で生成した電子は、外部負荷回路を通じて酸化剤室側ガス拡散電極(5)へと移動することにより電気エネルギーが得られる。
【0004】
このような構造の固体高分子型燃料電池において、上記隔膜には、通常、陽イオン交換樹脂膜が使用されるが、該陽イオン交換樹脂膜においては、電気抵抗が小く、物理的な強度が強いばかりでなく、保水性が高くガス透過性が低いといった特性が要求される。例えば、ガス透過性が高い場合には、イオン交換膜を燃料電池用隔膜として使用した際には、燃料室の水素ガスが酸化室側に拡散することを十分に抑えることが出来ず、大きな電池出力が得られなくなる。また、保水性が低い場合には、使用中にイオン交換樹脂膜の乾燥が生じてプロトンの伝導性が低下し易く、同様に大きな電池出力を安定して得ることが困難となる。
【0005】
従来、固体高分子型燃料電池用隔膜として使用される陽イオン交換樹脂膜として、パーフルオロカーボンスルホン酸膜が主に使用されている。しかし、この膜は、化学的安定性には優れているが、保水力が不十分であり、さらに物理的な強度も不十分であるために薄膜化による電気抵抗の低減が困難であった。更にパーフルオロカーボンスルホン酸膜は高価であった。
【0006】
また、特開2001−135328号公報、特開平11−310649号公報等には、固体高分子型燃料電池隔膜として、ポリオレフィン系やフッ素系樹脂製多孔質膜を使用して、これに、陽イオン交換基を導入可能な官能基を有する単量体を特定の手法により含浸させ重合する方法により、電気抵抗が小さく、そのガスの透過性が極めて小さい陽イオン交換樹脂膜を得ることが提唱されている。しかしながら、此れ等の陽イオン交換樹脂膜は、物理的強度はかなり良好であるものの、前記のパーフルオロカーボンスルホン酸膜同様、イオン交換膜が乾燥すると、イオン伝導性が著しく低下し、電池の内部抵抗が増大して電池性能が低下するという問題があった。
【0007】
さらに、隔膜の比抵抗を小さくしてイオン伝導性を良くすると共に、隔膜に保水性を付与して水分管理を容易にする方法として、隔膜中にシリカに代表される無機フィラーを含有させる技術が知られている。一般的に、隔膜内へのシリカ等の分散は保水性に寄与し、高温になっても高いイオン電導性を有すると共に、燃料ガスを外部から加湿しなくても、反応によって発生した水により、イオン伝導性を維持することができるため、無加湿又は低加湿の運転により水分管理を容易とするとが可能である。こうした陽イオン交換樹脂膜が、例えば特開平6−111827号公報、特開平11−25092号公報等に開示されている。これらの陽イオン交換樹脂膜は、いずれも、パーフルオカーボンスルホン酸等の陽イオン交換樹脂のアルコール溶液にシリカを分散させ、その後溶剤を除去して製膜する方法により製造されている。ところが、こうした製造方法で得られた陽イオン交換樹脂膜には、無機フィラーの添加効果を有意義なレベルまで上げようとすると、無機フィラーの非導電性のために電解質(陽イオン交換樹脂膜)自体の導電性が低下するという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、固体高分子型燃料電池の隔膜として従来用いられている陽イオン交換樹脂膜においては、要求される特性、即ち物理的強度及び保水性が高く、電気抵抗及びガス透過性が低く、更に長期の使用に対して安定であるという特性をすべて満足するものは知られていないのが現状である。そこで本発明は、物理的強度に優れ、膜抵抗が低く、且つ長期間に亘ってイオン伝導性を安定して維持することができ、固体高分子型燃料電池隔膜として用いた場合に高い電池出力を安定して得ることができるイオン交換樹脂膜を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、保水性の問題を解決するために前記特開平6−111827号公報等に開示されている無機フィラーを利用する技術は有効であると考え、無フィラーの種類やイオン交換樹脂の種類を変え、更に製膜方法等を変える等して種々検討を行なった。しかしながら、このような条件変更によっては所期の性能を有するイオン交換樹脂膜を得ることはできなかった。例えば、高い保水性を有する無機フィラーを用ることを試みたが、この場合には、該無機フィラーのイオン交換樹脂溶液又はその前駆体となるモノマー(単量体)あるいはその溶液に対する分散性が悪いため、無機フィラーが均一に分散したイオン交換樹脂膜を得ることができなかった。また、前記特開平6−111827号公報等に開示されている以外のイオン交換樹脂を用いたり、更にこれらイオン交換樹脂の溶液に無機フィラーを添加した懸濁液を多孔膜等の支持材に含浸させてイオン交換樹脂膜を製造することを試みたが、この様な方法によって得られたイオン交換膜は、前記パーフルオロカーボンスルホン酸膜の場合と同様に無機フィラーの非導電性のために電解質自体の導電性が低下したり(高抵抗値になり)、恐らく無機フィラーの添加によって樹脂液が高粘度になり支持材の空隙部細部まで液が侵入し難くなったことが原因と思われるが、ガス透過性も大きくなり、目的とするイオン交換膜を得ることはできなかった。
【0010】
そこで、本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意研究を続けてきた。その結果、イオン交換樹脂膜の製造方法として、イオン交換樹脂の前駆体である単量体に、カップリング剤を用いて表面が疎水化された無機フィラーを添加した縣濁液を多孔膜等の支持材に含浸させて製造したイオン交換樹脂膜は、保水性が良好であり、電気抵抗が小さく、ガス透過性が低いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、炭化水素系イオン交換樹脂(ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く)、及びカップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーを含む層が支持体の表面上に形成されてなることを特徴とするイオン交換樹脂膜である。該本発明のイオン交換樹脂膜は、高い保水性を有するばかりでなく、支持体として強度に優れそれゆえに薄膜化(延いてはイオン交換樹脂膜の低抵抗化)が可能であるポリオレフィン系の多孔質フィルム等を用いた時にイオン交換樹脂層と該支持体の密着性が良好で、ガス拡散透過性が低いという特徴を有し、例えば固体高分子型燃料電池隔膜として好適に使用できる。
【0012】
また、本発明は、上記本発明のイオン交換樹脂膜を好適に製造する方法を提供するものである。即ち、本発明の製造方法は、イオン交換樹脂溶液やイオン交換樹脂の前駆体である重合性単量体(若しくはその溶液)等を用いて支持体上にイオン交換樹脂を含む層を形成する従来のイオン交換樹脂膜の製造方法において、イオン交換樹脂(又はその前駆体)
として、炭化水素系イオン交換樹〔ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く〕(又はその前駆体)を使用し、更に製造時に使用するこれら炭化水素系イオン交換樹脂(又はその前駆体)の溶液等に、カップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーを添加することにより、上記本発明のイオン交換樹脂膜を好適に製造する方法を提供するものである。具体的には(1)この表面が疎水化された特定の無機フィラー、炭化水素系イオン交換樹脂(ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く)又はその前駆体となり得る樹脂、及び有機溶媒を含有する懸濁液、又は(2)この表面が疎水化された特定の無機フィラー、及び炭化水素系イオン交換樹脂(ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く)の原料となる重合性単量体又は炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂の原料となる重合性単量体を含有する縣濁液を、支持体の表面上に保持し、その後上記(1)の場合には前記有機溶媒を除去し、更に炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂を含有する懸濁液を用いた場合には該樹脂を炭化水素系イオン交換樹脂に転化することにより、また上記(2)の場合には使用した懸濁液中に含まれる重合性単量体を重合し、更に炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂の原料となる重合性単量体を含有する縣濁液を用いた場合には得られた重合体を炭化水素系イオン交換樹脂に転化することによって、前記支持体の表面に炭化水素系イオン交換樹脂及び前記無機フィラーを含む層を形成して前記本発明のイオン交換樹脂膜を製造するものである。
【0013】
これら本発明の製造方法の中でも前記支持体が熱可塑性樹脂組成物、特に炭化水素系熱可塑性樹脂組成物からなる多孔質のシート又はフィルムであるものは、その製造が容易であるばかりでなく、炭化水素系イオン交換樹脂層との密着強度が高いという特徴を有する。また、表面が疎水化された無機フィラーとしてシランカップリング剤によって疎水化された無機フィラーを用いた場合には、前記懸濁液中、特に前記(2)の懸濁液中での当該無機フィラーの分散性が良好であるばかりでなく、最終的に得られる炭化水素系イオン交換樹脂膜の含水率も高くなる。
【0014】
更に本発明は、前記本発明のイオン交換樹脂膜からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用隔膜、及び該固体高分子型燃料電池用隔膜を使用した固体高分子型燃料電池をも提供する。
【0015】
本発明は、論理に拘束されるものではないが、本発明のイオン交換樹脂膜においては、無機フィラーを含む水和力の高い炭化水素系イオン交換樹脂がシート又はフィルムからなる支持層の表面に均一付着して層が形成されているために高い保水性を持つことが可能になるが、疎水化された無機フィラーを用いているためにその製造過程において用いる懸濁液中における無機フィラーの分散性が良好になると共に支持体との馴染みも良くなるため、支持体として多孔膜を使用した場合にも、支持体の空隙部に上記イオン交換樹脂の縣濁液が良好に充填されて該支持体の孔を塞ぐため水素ガス等のガスが透過するのを有効に防止できるようになっているものと考えられる。また、前記支持体として熱可塑性樹脂組成物からなる多孔質のシート又はフィルム、特に炭化水素系熱可塑性樹脂組成物からなる多孔質のシート又は多孔質フィルムを用いた場合には、炭化水素系イオン交換樹脂と該支持体とのなじみが良く、さらに支持体の空隙部を炭化水素系イオン交換樹脂が埋めることによるアンカー効果によって、両者の密着性が強固となり、例えば固体高分子型燃料電池用隔膜として使用する際に膜をガス拡散電極と熱圧着したり、燃料電池に装着して長期使用した後においても上記の優れた特性が良好に保持され、得られた固体高分子型料電池は、高い電池出力を安定して示すようになるものと思われる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のイオン交換樹脂膜は、炭化水素系イオン交換樹脂(ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く)、及びカップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーを含む層が支持体の表面上に形成されてなる。支持体表面上に形成される前記層に無機フィラーが含まれない場合には保水性を高くすることができず、また無機フィラーとして表面が疎水化されていないものを用いた場合には高品位な本発明のイオン交換膜を効率よく製造するのが困難となる。また、該層に含まれるイオン交換樹脂が炭化水素系であることにより、固体高分子型燃料電池用隔膜に使用されているパーフルオロカーボンスルホン酸を使用したときと比べて製造コストが安価になるばかりでなく、強度の高いポリオレフィン系フィルム等からなる支持体との馴染みが良いために薄膜化による低抵抗化が可能であり、更に無機フィラーを添加した時の保水性向上効果も高くなる。該層の厚さは特に限定されず、用途に応じて適宜変更調整すればよいが、通常0.05〜5μm、好適には0.1〜3μmである。
【0017】
前記層に含まれる炭化水素系イオン交換樹脂とは、陽イオン交換機能/又は陰イオン交換能を有する炭化水素系の樹脂を意味し、炭化水素系樹脂とは、イオン交換基以外の部分が主として炭素及び水素で構成されている樹脂を意味する。なお、上記炭化水素系樹脂においては、炭素と水素とによって主鎖、側鎖の大部分が形成されていればよく、例えば、上記主鎖及び側鎖を構成する炭素−炭素結合の合間にエーテル結合、エステル結合、アミド結合、シロキサン結合等により酸素、窒素、珪素、硫黄、ホウ素、リン等の他の原子が少量介在しても良い。しかしながら、支持体表面に形成される炭化水素系イオン交換樹脂を含む層に含まれる炭化水素系イオン交換樹脂においては、その量は、上記主鎖及び側鎖を構成する炭素原子とこれら原子の総モル数に対して40モル%以下、特に10モル%以下であるのが好ましい。また、上記主鎖及び側鎖に結合するイオン交換基以外の基は、その全てが水素原子ある必要はなく少量であれば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等の他の原子、又は他の原子を含む置換基により置換されていても良い。しかしながら、支持体表面に形成される層に含まれる炭化水素系イオン交換樹脂においては、その置換量は、上記水素原子とこれら置換基の総モル数に対して30モル%以下、好適には10モル%以下であるのが好ましい。
【0018】
また、上記炭化水素系イオン交換樹脂に存在するイオン交換基としては、水溶液中での負又は正の電荷となり得る官能基であれば特に限定されない。このようなイオン交換基となり得る官能基を具体的に例示すれば、陽イオン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、一般的に、強酸性基であるスルホン酸基が特に好ましい。また、陰イオン交換基としては、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基、4級イミダゾリウム基等が挙げられ、一般的に、強塩基性基である4級アンモニウム基や4級ピリジニウム基が好適に用いられる。支持体表面に形成される層に含まれる炭化水素系イオン交換樹脂における、これらイオン交換基の含有量は、得られるイオン交換膜の電気抵抗値を低くするという観点から、イオン交換容量で0.2〜5.0mmol/g、特に0.5〜3.0mmol/gであるのが好ましい。
【0019】
また、乾燥によるプロトンの伝導性の低下が生じ難いように、含水率は、30%以上、好適には40%以上であるのが好ましい。一般に含水率は30〜90%程度で保持される。このような範囲の含水率を得るためには、イオン交換基の種類、イオン交換容量及び架橋度等により制御することができる。このような炭化水素系イオン交換樹脂は、後述する前記懸濁液2で使用する前駆体モノマーを重合し、必要に応じてイオン交換基を導入することによって容易に得ることができる。
【0020】
本発明のイオン交換樹脂膜において支持体の表面上に形成される層に含まれる、カップリング剤を用いて表面が疎水化された無機フィラーの原料無機フィラー(疎水化される無機フィラー)としては、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物等の粉末が使用される。なお、周期律表第IIA族の金属としてはカルシウム、又はマグネシウムが、第IVA族の金属としてはチタン、又はジルコニウムが、IIB族の金属としてはアルミニウムが、第IVB族の金属としてはケイ素が好適である。本発明において好適に使用できる無機フィラーを具体的に例示すれば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、タルク等のケイ酸塩等が挙げられる。これらの中でも保水性や安定性(耐食性を含む)等の観点からもシリカ、アルミナ、及び酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機フィラーを使用するのが特に好適である。
【0021】
上記原料無機フィラーの粒子径や粒子径分布は特に限定されない。しかしながら、炭化水素系イオン交換樹脂又はその前駆体となり得る重合性単量体への分散性や、支持体である熱可塑性樹脂組成物からなる多孔質シート又はフィルムの空隙部への充填の容易さ等の観点から、その平均粒子径は0.005〜1μm、特に0.005〜1μmであることが好ましい。また、原料無機フィラーの粒子径分布は分散で表して分散が1.5以下、特に0.1以下であることが好適である。また、同様な理由から無機フィラーを構成する粒子の形状は、長径と短径の比が1〜2、特に1〜1.5の範囲の(略)球状又は楕円体状であることが好ましい。
【0022】
本発明においては、上記のような原料無機フィラーはその表面を、カップリング剤により疎水化して用いる必要がある。無機フィラーの表面をカップリング剤を用いて疎水化する方法は、詳しくは、疎水基および無機フィラー表面の水酸基等と反応可能な官能基を有する化合物からなる表面処理剤(カップリング剤)と無機フィラーとを接触させて無機フィラー表面に該化合物を結合させる方法であるこのように無機フィラーの表面をカップリング剤を用いて疎水化する方法は、無機フィラーの表面を疎水性のコーティング被膜で覆う疎水化方法等に比較して、無機フィラーが元来持つ親水性を失わずにイオン交換樹脂膜の含水率を高くできるため好適に用いられる。
【0023】
上記の疎水基および無機フィラー表面の水酸基等と反応可能な官能基を有する化合物としては、従来公知のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミナートカップリング剤、カルボン酸カップリング剤、リン酸カップリング剤等が使用できるが、ヘキサメチルジシラザン、エトキシトリメチルシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のシランカップリング剤が化学的安定性、熱的安定性の面から好適である
【0024】
なお、カップリング剤を用いて表面を疎水化した無機フィラーは、上記原料無機フィラーとカップリング剤とを直接ミキサー等を用いて混合する(乾式処理法)か、若しくは水や溶剤等の中で混合する(湿式処理)こと等により容易に得ることができる。また、無機フィラーの疎水化度としては、これら原料無機フィラーの保水性を完全に損なわない範囲が好ましく、水−メタノールの比を変えて該溶液に対する粉体の浮遊割合を測定する方法によって求められる浮遊量が0%となるメタノール濃度が40〜70容量%であることが好ましい。
【0025】
本発明のイオン交換樹脂膜において支持体の表面上に形成される層に含まれる炭化水素系イオン交換樹脂と、カップリング剤を用いて表面が疎水化された無機フィラーとの割合は特に限定されないが、製造時の操作性及び最終的に得られるイオン交換樹脂膜の保水性及びそれ以外の性能等を合わせて考慮すると、炭化水素系イオン交換樹脂100重量部に対してカップリング剤を用いて表面が疎水化された無機フィラーが1〜70重量部、特に5〜45重量部であるのが好適である。なお、後述する本発明のイオン交換膜の製法において詳述するが該層には上記2成分以外に可塑剤や他の樹脂(ポリマー)等が含まれていてもよい。
【0026】
また、本発明のイオン交換樹脂膜で使用する支持体は、イオン交換樹脂膜の基材となるものであり、従来のイオン交換樹脂膜において支持体として使用されている、親水性基を有する天然もしくは合成高分子からなるシート又はフィルム、熱可塑性樹脂に親水性の化合物を含有させた組成物からなるシート又はフィルム等が特に制限なく使用できる。また、これらシート又はフィルムの形態も特に限定されず、通常のシート又はフィルムの他、織布、不織布、多孔質膜等が使用できる。しかしながら、本発明においては、これらの中でも、その製造が容易であるばかりでなく炭化水素系イオン交換樹脂を含む層との密着強度が高いという観点から、熱可塑性樹脂組成物、特に炭化水素系熱可塑性樹脂組成物からなる多孔質シート又は多孔質フィルムを使用するのが好適である。なお、多孔質シート又は多孔質フィルムは、上記熱可塑性樹脂組成物及び有機液体よりなる樹脂組成物をシート若しくはフィルム状に成形した後に有機液体を溶剤によって抽出すること、或いは無機フィラー及び/又は有機フィラーを充填したシートを延伸すること等により容易に得ることができる。
【0027】
多孔質シート又はフィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘプテン等のα−オレフィンの単独重合体または共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−オレフィン共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフロオロエチレン−ペルフロオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等のフッ素系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂等からなるものが制限なく使用されるが、機械的強度、化学的安定性、耐薬品性に優れ、炭化水素系イオン交換樹脂との馴染みがよいことからポリオレフィン樹脂を用いるのが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましく、ポリエチレンが最も好ましい。
【0028】
また、前記熱可塑性樹脂からなる多孔質シート又は多孔質フィルムの性状は、特に限定されないが、最終的に得られるイオン交換膜の電気抵抗を低くすることができ、しかも高い物理的強度を保つために、孔の平均孔径は0.005〜5.0μm、特に0.01〜0.8μmであり、空隙率は30〜95%、特に40〜90%であるのが好ましい。また、その厚みは5〜100μm、特に10〜70μmであるのが好ましい。
【0029】
本発明のイオン交換樹脂膜の製造方法は特に限定されないが、高性能の膜を効率よく製造できるという観点から前記本発明の製造方法で製造するのが好適である。以下、本発明の製造方法について説明する。
【0030】
本発明の製造方法では、支持体の表面にイオン交換樹脂層を形成する際の原料組成物として(以下、イオン交換樹脂原料組成物ともいう)、(1)カップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラー、炭化水素系イオン交換樹脂(ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く)又はその前駆体となり得る樹脂、及び有機溶媒を含有する懸濁液(以下、懸濁液1ともいう)、又は(2)カップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラー、及び炭化水素系イオン交換樹脂(ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く)の原料となる重合性単量体又は炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂の原料となる重合性単量体を含有する縣濁液(以下、懸濁液2ともいう)を使用する。
【0031】
本発明の方法でイオン交換樹脂原料組成物として使用される前記懸濁液1及び2は、カップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第 II A族、第 IV A族、第 III B族、及び第 IV B族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーを含むことが必須である。無機フィラーを含まないイオン交換樹脂原料組成物を用いた場合には高い保水性を有するイオン交換樹脂膜を得ることができない。また、無機フィラーを含んでいてもその表面が疎水化されていないものを用いた場合には、懸濁液に該無機フィラーを均一に分散させるのが困難となりガスの透過を防止するのが困難になる。表面が疎水化された無機フィラーとしては本発明のイオン交換樹脂膜の構成成分として前記したものが使用できる。
【0032】
本発明の製造方法で使用する前記懸濁液1は、カップリング剤を用いて表面が疎水化された前記無機フィラー、炭化水素系イオン交換樹脂(ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く)又はその前駆体となり得る樹脂、及び有機溶媒を含有する。ここで、上記炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂とは、イオン交換基導入処理を施すことによりイオン交換樹脂に転化することができる樹脂を意味する。上記懸濁液1で使用する炭化水素系イオン交換樹脂又はその前駆体となり得る樹脂は、該懸濁液中の有機溶媒を除去することにより最終的に支持体上に形成される炭化水素系イオン交換樹脂及び前記無機フィラーを含む層に含まれる炭化水素系イオン交換樹脂となることから、前記したような炭化水素系イオン交換樹脂、又はイオン交換機導入処理等によってそのような炭化水素イオン交換樹脂を与える樹脂が好適に使用されるが、支持体上に均質な膜層が形成できることから有機溶媒に可溶なものを使用するのが特に好適である。
【0033】
また、懸濁液1に含まれる有機溶媒は上記の樹脂を溶解させるものであれば特に限定されず、公知の有機溶媒の中から適宜選択して使用される。そのような有機溶媒を例示すれば、ジクロルエタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン等が挙げられる。
【0034】
懸濁液1におけるカップリング剤を用いて表面が疎水化された無機フィラー、炭化水素系イオン交換樹脂又はその前駆体となり得る樹脂、及び有機溶媒の量比は、これらの混合物が均一な懸濁液を与える範囲であれば特に限定されないが、製造時の成形性及び最終的に得られるイオン交換樹脂膜の保水性以外の性能等を合わせて考慮すると、炭化水素系イオン交換樹脂又はその前駆体となり得る樹脂100重量部に対してカップリング剤を用いて表面が疎水化された無機フィラーが1〜70重量部、特に5〜45重量部、有機溶媒10〜500重量部、特に20〜200重量部の範囲である。
【0035】
なお、該懸濁液1には、上記した必須成分以外にも、上記可溶性の炭化水素系イオン交換樹脂又はその前駆体となり得る樹脂を架橋させるための架橋剤(ケイ素−酸素結合による架橋構造を形成させるものを除く)、或いは有機溶媒を除去したときに上記炭化水素系イオン交換樹脂又はその前駆体となり得る樹脂を不溶化若しくは難溶加させるための各種添加剤(例えば各種モノマー及び重合触媒、可塑剤等)を含んでいてもよい。上記各種モノマーとしては後述する前駆体モノマー、これと共重合可能な他の炭化水素系単量体が挙げられ、具体的にはスチレン、アクリロニトリル、メチルスチレン、アクロレイン、メチルビニルケトン、ビニルビフェニル等が用いられる。また、可塑剤類としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジメチルイソフタレート、ジブチルアジペート、トリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルセバケート等が用いられる。
【0036】
本発明の製造方法で使用する前記懸濁液2は、カップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第 II A族、第 IV A族、第 III B族、及び第 IV B族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラー、及び前駆体モノマーを含有してなる。ここで、前駆体モノマーとしては、従来公知であるイオン交換樹脂の製造において用いられている、イオン交換基が導入可能な官能基を有する炭化水素系単量体(該単量体が炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂の原料となる重合性単量体である。)、またはイオン交換基を有する炭化水素系単量体(該単量体が炭化水素系イオン交換樹脂の原料となる重合性単量体である。)が特に限定されずに使用される。具体的には、陽イオン交換基が導入可能な官能基を有する炭化水素系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−ハロゲン化スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。また、陽イオン交換基を有する炭化水素系単量体としては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、α−ハロゲン化ビニルスルホン酸等のスルホン酸系単量体、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等のカルボン酸系単量体、ビニルリン酸等のホスホン酸系単量体、それらの塩およびエステル類等が用いられる。さらに、陰イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。また、陰イオン交換基を有する単量体としては、ビニルベンジルトリメチルアミン、ビニルベンジルトリエチルアミン等のアミン系単量体、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の含窒素複素環系単量体、それらの塩類およびエステル類が用いられる。
【0037】
これらイオン交換基が導入可能な官能基を有する炭化水素系単量体、またはイオン交換基を有する炭化水素系単量体は、炭化水素系架橋性単量体および重合開始剤を用いて重合し、必要に応じてイオン交換基を導入することにより、前記した炭化水素系イオン交換樹脂とすることができる。なお、イオン交換基が導入可能な官能基を有する炭化水素系単量体を用いた場合には、重合後に公知イオン交換基導入処理、陽イオン交換樹脂を得る場合にはスルホン化、クロルスルホン化、ホスホニウム化、加水分解等の処理、陰イオン交換樹脂を得る場合にはアミノ化、アルキル化等の処理を行なうことにより所望のイオン交換基を導入して、イオン交換樹脂とすればよい。
【0038】
なお、該懸濁液2には、上記した必須成分以外にも、上記前駆体モノマーを重合させるための炭化水素系架橋性単量体や重合開始剤、さらに有機溶媒等の各種添加剤が含まれていてもよい。上記炭化水素系架橋性単量体としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジビニルベンゼン類、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、ジビニルビフェニル、トリビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物、トリメチロールメタントリメタクリル酸エステル、メチレンビスアクリルアミド、ヘキサメチレンジメタクリルアミド等の多官能性メタクリル酸誘導体が用いられる。また、重合開始剤としては、従来公知のものが特に制限なく使用される。こうした重合開始剤の具体例としては、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物が用いられる。
【0039】
また、上記各成分の他に、必要に応じて前駆体モノマーと共重合可能な他の炭化水素系単量体や可塑剤類を添加してもよい。これら成分としては懸濁液1において示したのと同じものが使用できる。
【0040】
懸濁液2におけるカップリング剤を用いて表面が疎水化された無機フィラーと前駆体モノマーとの量比は、これらの混合物が均一な懸濁液を与える範囲であれば特に限定されないが、製造時の成形性及び最終的に得られるイオン交換樹脂膜の保水性以外の性能等を合わせて考慮すると、前駆体モノマー100重量部に対してカップリング剤を用いて表面が疎水化された無機フィラーが1〜70重量部、特に5〜45重量部の範囲である。また、各種添加剤添加する場合には、最終的に支持体表面に形成される炭化水素系イオン交換樹脂を含む層に含まれる炭化水素系イオン交換樹脂について好適なものとして前記したようなものを得るために、前駆体モノマー100重量部に対して、炭化水素系架橋性単量体0.1〜50重量部、特に1〜40重量部;前駆体モノマーと共重合可能な他のモノマー0〜100重量部;可塑剤類を0〜50重量部;重合開始剤全は単量体100重量部に対して0.1〜20重量部、特に0.5〜10重量部とするのが好適である。なお、前記懸濁液1及び2は各構成成分を通常のミキサー等で混合することで容易に調製できる。
【0041】
本発明の製造方法では、前記懸濁液1又は2を支持体の支持体の表面上に保持し、その後懸濁液1を用いた場合には前記有機溶媒を揮発させる等によって除去することにより、また懸濁液2を用いた場合上記重合性単量体を重合し、炭化水素系イオン交換樹脂とすることによりイオン交換樹脂膜を製造する。本発明の製造方法において、上記のような支持体の表面上に前記懸濁液1又は2を保持させる方法は特に限定されず、例えばこれら縣濁液を支持体上に塗布したり、スプレーしたり、含浸させたりすることにより好適に行なうことができる。なお、これら懸濁液は、少なくとも支持体の表面上に保持されていればよく、一部は内部に浸透していてもよい。また、支持体が多孔質である場合、その孔の壁面も支持体の表面とし、これら孔を完全に塞ぐように保持させるのが好適である。上記縣濁液の塗布等に際しては、例えば支持体として多孔質シートや多孔質フィルムを用いた場合にその空隙(孔)に該縣濁液が良好に充填されるように減圧下で両者を接触さたり、接触後に加圧処理を行なうなどの方法を採用してもよい。なお、支持体に塗布されたり含浸させられた該縣濁液を重合する場合には、ポリエステル等のフィルムに挟んで加圧しながら常温から昇温して重合する方法が好適に採用される。重合条件は、使した重合開始剤の種類や単量体組成物の組成等応じて適宜決定すればよい。
【0042】
本発明の製造方法において、縣濁液1で炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂を用いた場合には有機溶媒を除去後に、また懸濁液2で炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂の原料となる重合性単量体を用いた場合には重合後に、公知のイオン交換基導入処理を施して炭化水素系イオン交換樹脂とする。イオン交換基導入処理としては、所望のイオン交換基に応じて、陽イオン交換樹脂膜を得る場合にはスルホン化、クロルスルホン化、ホスホニウム化、加水分解等の処理を行なえばよく、また陰イオン交換樹脂膜を得る場合にはアミノ化、アルキル化等の処理を行なえばよい。
【0043】
この様にして得られる本発明のイオン交換樹脂膜は、支持体として前記したような高強度で薄い多孔質膜を用いることが出来るため、炭化水素系イオン交換樹脂のイオン交換容量等を調整することにより、電気抵抗値が1mol/L−硫酸水溶液中の電気抵抗で表して0.20Ω・cm以下、更には0.10Ω・cm以下と非常に小さくすることができる。また、支持体(支持層)が多孔質である場合にもその空隙部へのイオン交換樹脂が良好に充填されるため、ガス透過性を極めて小さくすることができ、例えば50℃における水素ガスの透過係数が3.0×10−8cm(STP)・cm・cm−2・s−1・cmHg−1以下、特に0.5〜2.0×10−8cm(STP)・cm・cm−2・s−1・cmHg−1の範囲であるもの、更に50℃における酸素ガスの透過係数が2.0×10−8cm(STP)・cm・cm−2・s−1・cmHg−1以下、特に0.3〜1.5×10−8cm(STP)・cm・cm−2・s−1・cmHg−1の範囲のものを得ることもできる。本発明のイオン交換膜はこのようにガス透過係数が小さいため、固体高分子型燃料電池用隔膜として使用した場合に、燃料室や酸化剤室に供給した水素ガスや酸素ガスが該隔膜を透過して反対の室に拡散することを防止でき、高い出力の電池が得られる。尚、本発明の製造方法で製造した本発明のイオン交換膜を固体高分子型燃料電池用隔膜として適用した固体高分子型燃料電池は、図1に示したような構造をしたものが一般的であるが、該本発明のイオン交換膜は、その他の公知の構造を有する固体高分子型燃料電池にも勿論適用することができる。
【0044】
【実施例】
本発明を更に具体的に説明するため、以下、実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例および比較例に示す陽イオン交換樹脂膜の特性は、以下の方法により測定した値を示す。
【0045】
(1)懸濁液1又は2の支持体への含浸性
懸濁液1又は2が入ったガラス容器に熱可塑性樹脂系多孔質膜を浸漬した後、熱可塑性樹脂系多孔質膜の全面が単量体組成物で濡れるまでの時間を目視で観察した。
【0046】
(2)陽イオン交換容量および含水率;
陽イオン交換樹脂膜を1(mol/l)HCl水溶液に10時間以上浸漬し、水素イオン型とした後、1(mol/l)NaCl水溶液でナトリウムイオン型に置換させ遊離した水素イオンを電位差滴定装置(COMTITE−900、平沼産業株式会社製)で定量した(Amol)。次に、同じ陽イオン交換樹脂膜を1(mol/l)HCl水溶液に4時間以上浸漬し、イオン交換水で十分水洗した後膜を取り出しティッシュぺーパー等で表面の水分を拭き取り湿潤時の重さ(Wg)を測定した。次に膜を60℃で5時間減圧乾燥させその重量を測定した(Dg)。上記測定値に基づいて、陽イオン交換容量は次式により求めた。
【0047】
陽イオン交換容量=A×1000/W[mmol/g−乾燥重量]
含水率=100×(W−D)D[%] 。
【0048】
(3)電気抵抗
白金電極を備えた2室セルの中央に陽イオン交換樹脂膜を置き、セル内に25℃の3(mol/l)硫酸水溶液を満たした。陽イオン交換樹脂膜の両側にはルギン管を設け、塩橋により参照電極と液絡した。膜を挟んで100(mA/cm)の電流を流したときの電位(aV)と膜を挟まずに100(mA/cm)の電流を流したときの電位(bV)を測定した。陽イオン交換樹脂膜の電気抵抗は次式より求めた。
【0049】
電気抵抗=1000×(a−b)/100[Ω・cm] 。
(4)耐熱性(収縮率)
50℃の乾燥機中で1時間予備乾燥させた測定用サンプル膜を190℃のイオン交換水中に4時間浸漬した後、イオン交換水から取り出して寸法を測定し、以下の式により収縮率を求めた。
【0050】
S=100×(La−Lb)/La
S:収縮率(%)
La:50℃の乾燥機中で乾燥させた膜の長さ(cm)
Lb:90℃のイオン交換水中で4時間浸漬した膜の長さ(cm)。
【0051】
(5)ガス透過係数
ガス透過係数の測定方法として、U字管式水銀マノメーター(JIS Z 1707に準拠)によるガス透過試験機を用いた。測定に用いた陽イオン交換樹脂膜は50℃において含水状態でガス透過試験機に装着した。また、測定に用いたガスは、50℃において飽和温度に保った酸素または水素を用いた。ガス透過係数は次式により求めた。
【0052】
P=(p/t)×(h/A)×{h/(Pa−Pb)}
P:ガス透過係数
p:ガス透過量
t;測定時間
h:陽イオン交換樹脂膜厚み
A:ガス透過面積
Pa:高圧側ガス圧力
Pb:低圧側ガス圧力。
【0053】
(6)燃料電池出力電圧
先ず、測定する陽イオン交換樹脂膜上に、触媒として平均粒子径が2nmの白金が30重量%の坦持されたカーボンブラックと、スルホン化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体(陽イオン交換容量0.9)のアルコールとジクロロエタンの5%溶液を混合したものを塗布し80℃で4時間減圧乾燥した後、上記の膜状物を100℃、圧力5MPaの加圧下で100秒間熱圧着し、更に室温で2分間放置し、陽イオン交換樹脂膜/ガス拡散電極接合体を得る。次いで得られた陽イオン交換樹脂膜/ガス拡散電極接合体をその両側から、厚みが200μmであり、空孔率が80%のカーボンペーパーの電極で挟み込み、図1に示す構造の燃料電池セルに組み込んで、圧力2気圧、燃料電池セル温度50℃、加湿温度50℃の酸素と水素をそれぞれ200(ml/min.)、400(ml/min.)で供給して発電試験を行ない、電流密度0(A/cm)、0.3(A/cm)、及び1.0(A/cm)におけるセルの端子電圧を測定した。
【0054】
(7)保水性評価
上記出力電圧の評価後、酸素と水素の加湿温度を室温(25℃)に下げ(相対湿度を下げ)た以外は上記の条件で出力電圧を測定し、陽イオン交換樹脂膜の保水性を評価した。
【0055】
(8)耐久性評価
上記出力電圧の測定後、50℃、電流密度0.3(A/cm)の条件下で連続発電試験を行い、250時間後の出力電圧を測定し、陽イオン交換樹脂膜の耐久性を評価した。
【0056】
実施例1〜5、比較例1
表1に示した組成表に従って、各種単量体等に表面が疎水化された無機フィラーとしてシリカを混合して単量体組成物を得た後に、得られた単量体組成物400gを500mlのガラス容器に入れ、これに各20cm×20cmのポリエチレン(PE、重量平均分子量25万)製の多孔質膜(膜厚50μm、空隙率70%、平均孔径0.5μm)を大気圧下、25℃で10分浸漬し、これら多孔質膜に単量体組成物を含浸させた。尚、シリカAは、ヘキサメチレンジシラザンで疎水化され、粒径0.02μm、疎水化度65%のシリカであり、シリカBは、ジメチルジクロルシランで疎水化され、粒径0.02μm、疎水化度55%のシリカであり、シリカCは、ポリジメチルシロキサンで疎水化され、粒径0.02μm、疎水化度70%のシリカである(比較例1)。この時の単量体組成物の各膜に対する含浸性の評価結果を表1に示した。
【0057】
【表1】
Figure 0003967581
【0058】
続いて、上記多孔質膜を単量体組成物中から取り出し、100μmのポリエステルフィルムを剥離剤として上記多孔質膜の両側を被覆した後、3kg/cmの窒素加圧下、80℃5時間加熱重合した。次いで、得られた膜状物を98%濃硫酸と純度90%以上のクロロスルホン酸の1:1混合物中に40℃で45分間浸漬し、スルホン酸型陽イオン交換樹脂膜を得た。この様にして得られた各スルホン酸型陽イオン交換樹脂膜の膜厚、陽イオン交換容量、含水率、電気抵抗、耐熱性、ガス透過係数、燃料電池出力電圧、保水性、耐久性を測定した。これらの結果を表2に示した。
【0059】
【表2】
Figure 0003967581
【0060】
実施例
ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体100重量部、表面が疎水化された無機フィラーとしてシリカA10重量部、溶媒としてジクロロエタン100重量部を混合して単量体組成物を得た。得られた単量体組成物400gを500mlのガラス容器に入れ、上記と同じポリエチレン製の多孔質膜を大気圧下、25℃で10分浸漬し、多孔質膜の空隙に単量体組成物を充填した。尚、これら単量体組成物の含浸性は30秒であった。続いて、上記多孔質膜を単量体組成物中から取り出し、25℃で6時間過熱し膜状物を得た。次いで実施例1と同じ操作を行いスルホン酸型陽イオン交換樹脂膜を得、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を合わせて表3に示す。
【0061】
【表3】
Figure 0003967581
【0062】
比較例
表1に示した組成表に従って、実施例1と同じ単量体を混合してシリカを含まない単量体組成物を得た。得られた単量体組成物400gを500mlのガラス容器に入れ、上記と同じポリエチレン製の多孔質膜を大気圧下、25℃で10分浸漬し、多孔質膜の空隙に単量体組成物を充填した。尚、これら単量体組成物の含浸性の評価結果を表1に合わせて示す。次いで実施例1と同じ操作を行いスルホン酸型陽イオン交換樹脂膜を得、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を合わせて表2に示す。
【0063】
比較例
表1に示した組成表に従って、実施例1と同じ単量体を用い、これに親水性のシリカ(粒径0.02μm、疎水化度0%)を10重量部混合して単量体組成物を得た。得られた単量体組成物400gを500mlのガラス容器に入れ、上記と同じポリエチレン多孔質膜を大気圧下、25℃で10分浸漬し、多孔質膜の空隙に単量体組成物を充填した。尚、これら単量体組成物の含浸性の評価結果を表1に示した。次いで実施例1と同じ操作を行いスルホン酸型陽イオン交換樹脂膜を得た。得られたスルホン酸型陽イオン交換樹脂膜の膜厚、陽イオン交換容量、含水率、電気抵抗、耐熱性、ガス透過係数、燃料電池出力電圧、及び保水性を測定した。これらの結果を表2に示した。
【0064】
【発明の効果】
本発明の炭化水素系イオン交換樹脂膜は、保水性が高く、電気抵抗が低く、且つ支持材である熱可塑性樹脂からなる基材の空隙部に陽イオン交換樹脂が細部まで隙間なく充填されていることから、ガスの透過性が極めて低い。また、熱可塑性樹脂製の基材(支持体)を使用していることから、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性に優れる。さらに、上記熱可塑性樹脂製多孔質膜とイオン交換樹脂とのなじみが良いことに起因して、両者の密着性が極めて強固であり、このため前記の優れたガス透過性は、膜表面にガス拡散電極層を形成したり、燃料電池に装着して長期使用した後においても良好に保持される。従って、かような性状を有する本発明の隔膜を装着してなる固体高分子型燃料電池は、燃料および酸素含有ガスのクロスオーバーが抑えられ高い電池出力が長期間安定的に得られる。また、保水性が優れているので、燃料ガスや酸化剤ガスの加湿条件を低くして運転でき、水分管理を容易とすることが可能である。また、本発明の製造方法によれば、上記のような優れた特長を有する本発明のイオン交換樹脂膜を簡便に効率よく製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は固体高分子型燃料電池の基本構造を示す概念図である。
【符号の説明】
1;電池隔壁
2;燃料ガス流通孔
3;酸化剤ガス流通孔
4;燃料室側ガス拡散電極
5;酸化剤室側ガス拡散電極
6;固体高分子電解質
7;燃料室
8;酸化剤室

Claims (6)

  1. 炭化水素系イオン交換樹脂(ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く)、及びカップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーを含む層が支持体の表面上に形成されてなることを特徴とするイオン交換樹脂膜。
  2. カップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーが、シランカップリング剤を用いて表面が疎水化された、シリカ、アルミナ、及び酸化チタンから選ばれる少なくとも1種の無機フィラーである請求項1記載のイオン交換樹脂膜。
  3. カップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラー、炭化水素系イオン交換樹脂(ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く)又はその前駆体となり得る樹脂、及び有機溶媒を含有する懸濁液を支持体の表面上に保持させた後に前記有機溶媒を除去し、更に炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂を含有する懸濁液を用いた場合には該樹脂を炭化水素系イオン交換樹脂に転化させて、前記支持体の表面に炭化水素系イオン交換樹脂及び前記無機フィラーを含む層を形成することを特徴とする請求項1に記載のイオン交換樹脂膜の製造方法。
  4. カップリング剤を用いて表面が疎水化された、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラー、及び炭化水素系イオン交換樹脂(ケイ素−酸素結合による架橋構造を有するものを除く)の原料となる重合性単量体又は炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂の原料となる重合性単量体を含有する縣濁液を支持体の表面上に保持させた後に当該懸濁液に含まれる重合性単量体を重合し、更に炭化水素系イオン交換樹脂の前駆体となり得る樹脂の原料となる重合性単量体を含有する縣濁液を用いた場合には得られた重合体を炭化水素系イオン交換樹脂に転化させて、前記支持体の表面に炭化水素系イオン交換樹脂及び前記無機フィラーを含む層を形成することを特徴とする請求項1に記載のイオン交換樹脂膜の製造方法。
  5. 請求項1に記載のイオン交換樹脂膜からなることを特徴とする固体高分子
    型燃料電池用隔膜。
  6. 固体高分子型燃料電池用隔膜として請求項5に記載の固体高分子型燃料電池用隔膜を使用することを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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