JP3891820B2 - イオン交換樹脂膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用隔膜、透析用隔膜、各種センサー等に使用されるイオン交換樹脂膜、特に固体高分子型燃料電池用隔膜として好適に使用されるイオン交換樹脂膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換樹脂膜は、固体高分子型燃料電池、レドックス・フロー電池、亜鉛−臭素電池等の電池用隔膜、透析用隔膜等として汎用的に使用されている。このうち、イオン交換樹脂膜を電解質として用いた固体高分子型燃料電池は、燃料と酸化剤とを連続的に供給し、これらが反応した時の化学エネルギーを電力として取り出すクリーンで高効率な発電システムの一つであり、近年、低温作動や小型化の観点から自動車用途、家庭用や携帯用途としてその重要性を増している。固体高分子型燃料電池は、一般的に電解質として作用する固体高分子の隔膜の両面に触媒が坦持されたガス拡散電極を接合し、一方のガス拡散電極が存在する側の室(燃料室)に水素ガスあるいはメタノール等からなる燃料を、他方のガス拡散電極が存在する側の室に酸化剤である酸素や空気等の酸素含有ガスをそれぞれ供給し、両ガス拡散電極間に外部負荷回路を接続することにより、燃料電池として作用させる。
【0003】
こうした固体高分子型燃料電池の基本構造を図1に示す。図中、1は電池隔壁、2は燃料ガス流通孔、3は酸化剤ガス流通孔、4は燃料室側ガス拡散電極、5は酸化剤室側ガス拡散電極、6は固体高分子電解質膜を示す。この固体高分子型燃料電池において、燃料室7では、供給された水素ガスからプロトン(水素イオン)と電子が生成し、このプロトンは固体高分子電解質6内を伝導し、他方の酸化剤室8に移動し、空気又は酸素ガス中の酸素と反応して水を生成する。この時、燃料室側ガス拡散電極4で生成した電子は、外部負荷回路を通じて酸化剤室側ガス拡散電極5へと移動することにより電気エネルギーが得られる。
【0004】
このような構造の固体高分子型燃料電池において、上記隔膜には、通常、陽イオン交換樹脂膜が使用されるが、該陽イオン交換樹脂膜においては、電気抵抗が小く、物理的な強度が強いばかりでなく、保水性が高くガス透過性が低いといった特性が要求される。例えば、ガス透過性が高い場合には、イオン交換膜を燃料電池用隔膜として使用した際には、燃料室の水素ガスが酸化室側に拡散することを十分に抑えることが出来ず、大きな電池出力が得られなくなる。また、保水性が低い場合には、使用中にイオン交換樹脂膜の乾燥が生じてプロトンの伝導性が低下し易く、同様に大きな電池出力を安定して得ることが困難となる。
【0005】
従来、固体高分子型燃料電池用隔膜として使用される陽イオン交換樹脂膜として、パーフルオロカーボンスルホン酸膜が主に使用されている。しかし、この膜は、化学的安定性には優れているが、保水力が不十分であり、さらに物理的な強度も不十分であるために薄膜化による電気抵抗の低減が困難であった。更にパーフルオロカーボンスルホン酸膜は高価であった。
【0006】
また、特開2001−135328号公報、特開平11−310649号公報等には、固体高分子型燃料電池隔膜として、ポリオレフィン系やフッ素系樹脂製多孔質膜を使用して、これに、陽イオン交換基を導入可能な官能基を有する単量体を特定の手法により含浸させ重合する方法により、電気抵抗が小さく、そのガスの透過性が極めて小さい陽イオン交換樹脂膜を得ることが提唱されている。しかしながら、此れ等の陽イオン交換樹脂膜は、物理的強度はかなり良好であるものの、前記のパーフルオロカーボンスルホン酸膜同様、イオン交換膜が乾燥すると、イオン伝導性が著しく低下し、電池の内部抵抗が増大して電池性能が低下するという問題があった。
【0007】
さらに、隔膜の比抵抗を小さくしてイオン伝導性を良くすると共に、隔膜に保水性を付与して水分管理を容易にする方法として、隔膜中にシリカに代表される無機フィラーを含有させる技術が知られている。一般的に、隔膜内へのシリカ等の分散は保水性に寄与し、高温になっても高いイオン電導性を有すると共に、燃料ガスを外部から加湿しなくても、反応によって発生した水により、イオン伝導性を維持することができるため、無加湿又は低加湿の運転により水分管理を容易とするとが可能である。こうした陽イオン交換樹脂膜が、例えば特開平6−111827号公報、特開平11−25092号公報等に開示されている。これらの陽イオン交換樹脂膜は、いずれも、パーフルオカーボンスルホン酸等の陽イオン交換樹脂のアルコール溶液にシリカを分散させ、その後溶剤を除去させて製膜する方法により製造されている。ところが、こうした製造方法で得られた陽イオン交換樹脂膜には、無機フィラーの添加効果を有意義なレベルまで上げようとすると、無機フィラーの非導電性のために電解質(陽イオン交換樹脂膜)自体の導電性が低下するという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、固体高分子型燃料電池の隔膜として従来用いられている陽イオン交換樹脂膜においては、要求される特性、即ち物理的強度及び保水性が高く、電気抵抗及びガス透過性が低く、更に長期の使用に対して安定であるという特性をすべて満足するものは知られていないのが現状である。そこで本発明は、物理的強度に優れ、膜抵抗が低く、且つ長期間に亘ってイオン伝導性を安定して維持することができ、固体高分子型燃料電池隔膜として用いた場合に高い電池出力を安定して得ることができるイオン交換樹脂膜を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、保水性の問題を解決するために前記特開平6−111827号公報等に開示されている無機フィラーを利用する技術は有効であると考え、無フィラーの種類やイオン交換樹脂の種類を変え、更に製膜方法等を変える等して種々検討を行なった。しかしながら、このような条件変更によっては所期の性能を有するイオン交換樹脂膜を得ることはできなかった。例えば、高い保水性を有する無機フィラーを用ることを試みたが、この場合には、該無機フィラーのイオン交換樹脂用液又はその前駆体となるモノマーあるいはその溶液に対する分散性が悪いため、無機フィラーが均一に分散したイオン交換樹脂膜を得ることができなかった。また、前記特開平6−111827号公報等に開示されている以外のイオン交換樹脂を用いたり、更にこれらイオン交換樹脂の溶液に無機フィラーを添加した懸濁液を多孔膜等の支持材に含浸させてイオン交換樹脂膜を製造することを試みたが、この様な方法によって得られたイオン交換膜は、前記パーフルオロカーボンスルホン酸膜の場合と同様に無機フィラーの非導電性のために電解質自体の導電性が低下したり(電気抵抗が高くなり)、恐らく無機フィラーの添加によって樹脂液が高粘度になり支持材の空隙部細部まで液が侵入し難くなったことが原因と思われるが、ガス透過性も増大して、目的とするイオン交換膜を得ることはできなかった。
【0010】
そこで、本発明者等は、発想を転換し、イオン交換樹脂そのものに保水性を付与するのではなく、支持層(基材)に保水性を付与することについて鋭意検討を行なった。その結果、ポリオレフィン樹脂に無機フィラーを添加したポリオレフィン樹脂組成物を用いて製造した吸水性を有する多孔膜を支持層とし、その上に炭化水素系イオン交換樹脂層を形成したイオン交換樹脂膜からなる固体高分子型燃料電池用隔膜は、保水性が良好であり、電気抵抗が小さく、ガス透過性が低いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、周期律表第 II A族、第 IV A族、第 III B族、及び第 I B族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーを含むポリオレフィン樹脂組成物により成形されてなる、吸水率が10〜200%の多孔質シート又は多孔質フィルムからなる支持層上に、炭化水素系イオン交換樹脂からなる層が形成されてなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用隔膜である。
【0012】
また、本発明は、上記の固体高分子型燃料電池用隔膜を使用することを特徴とする固体高分子型燃料電池をも提供する。
【0013】
前記本発明で使用するイオン交換樹脂膜においては、水和力の高い炭化水素系イオン交換樹脂が吸水性の多孔質シート又は多孔質フィルムからなる支持層の表面に付着して層を形成した構造を有しているため、高い保水性を持つことが可能になるばかりでなく、上記支持層の空隙部にもイオン交換樹脂が良好に充填されて該支持層の孔を塞ぐため水素ガス等のガスが透過するのを有効に防止できるようになっているものと考えられる。また、前記支持層となる多孔質シート又は多孔質フィルムとして無機フィラーを含むポリオレフィン樹脂組成物からなる多孔質シート又は多孔質フィルムを用いているため、炭化水素系陽イオン交換樹脂と該支持層とのなじみが良く、さらに支持層の空隙部を炭化水素系イオン交換樹脂が埋めることによるアンカー効果によって、両者の密着性が強固となる。その結果、固体高分子型燃料電池用隔膜として使用する際に膜をガス拡散電極と熱圧着したり、燃料電池に装着して長期使用した後においても上記の優れた特性が良好に保持され、得られた固体高分子型料電池は、高い電池出力を安定して示すようになるものと思われる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のイオン交換樹脂膜においては、支持層として、周期律表第 II A族、第 IV A族、第 III B族、及び第 I B族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーを含むポリオレフィン樹脂組成物により成形されてなる、吸水率が10〜200%の多孔質シート又は多孔質フィルムを使用する。ここで、吸水率とは、多孔質シート又は多孔質フィルムの乾燥重量当りの吸水量を意味し、多孔質シート又は多孔質フィルムをイオン交換水に4時間以上浸漬した後、表面の水分をティッシュペーパー等で拭きとりその重量を吸水時の重量とし、次に60℃5時間減圧乾燥させその重量を乾燥重量として、
吸水率(%)=[(吸水時の重量−乾燥重量)/乾燥重量]×100
の式より求めたものである。吸水率が10%以下の場合には、イオン交換樹脂膜としての保水効果が十分でなく、また吸水率が200%以上になると、炭化水素系イオン交換樹脂を支持層の空隙部に良好に充填するのが難しくなりガスの透過性が増大したり、固体高分子型燃料電池用隔膜として使用する際にガス拡散電極との接合が不良になることがある。保水性およびガス不透過性の観点から、支持層の吸水率は50〜150%であるのがより好ましい。
【0015】
支持層として使用する多孔質シート又は多孔質フィルムは、その製造が容易であるばかりでなく炭化水素交換樹脂層との密着強度が高いという観点から、無機フィラーを含む炭化水素系熱可塑性樹脂組成物からなるものが使用される。本発明では、こうした炭化水素系熱可塑性樹脂組成物からなる多孔質シート又は多孔質フィルムとして、周期律表第 II A族、第 IV A族、第 III B族、及び第 I B族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーを含むポリオレフィン樹脂組成物により成形されてなる、吸水率が10〜200%、好ましくは50〜150%のものが使用される。なお、多孔質シート又は多孔質フィルムは、無機フィラーを含むポリオレフィン樹脂組成物をシート状に成形した後に1軸あるいは2軸延伸することにより、又は上記ポリオレフィン樹脂組成物に更に有機液体を含有させた樹脂組成物をシート若しくはフィルム状に成形した後に有機液体を溶剤によって抽出することにより容易に得ることができる。
【0016】
多孔質シート又はフィルムを構成するポリオレフィン樹脂組成物に使用するポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘプテン等のα−オレフィンの単独重合体または共重合体等からなるものが制限なく使用される。こうしたポリオレフィン樹脂は、機械的強度、化学的安定性、耐薬品性に優れ、炭化水素系イオン交換樹脂との馴染みがよいことから用いられ、ポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましく、ポリエチレンが最も好ましい。
【0017】
前記ポリオレフィン樹脂組成物における無機フィラーは、支持層に吸水性を付与するばかりでなく、上記ポリオレフィン樹脂組成物をシート状に成形した後に1軸又は2軸延伸することにより多孔質シート又は多孔質フィルムを製造する場合においては、延伸時にマトリックスであるポリオレフィン樹脂と無機フィラーの界面で剥離が生じ、それが微細な連通孔を形成されるので、形成される孔の性状を制御する作用も有する。上記樹脂組成物に使用する無機フィラーとしては、吸水性を有し、スルホン酸やアミノ基等のイオン交換基の存在下でも耐食性を示すものとして、周期律表第IIA族、第IVA族、第IIIB族、及び第IVB族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物等からなるものが使用される。なお、周期律表第IIA族の金属としてはカルシウム、又はマグネシウムが、第IVA族の金属としてはチタン、又はジルコニウムが、IIB族の金属としてはアルミニウムが、第IVB族の金属としてはケイ素が好適である。本発明において好適に使用できる無機フィラーを具体的に例示すれば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、タルク等のケイ酸塩等が挙げられる。これらの中でも保水性や安定性(耐食性を含む)等の観点からもシリカ、アルミナ、及び酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機フィラーを使用するのが特に好適である。なお、これら無機フィラーは保水性を完全に損なわない範囲であれば、例えばシート又はフィルムに加工した時のマトリックス中における分散性を改良する等の目的で疎水化処理等の表面処理を行なってもよい。
【0018】
上記無機フィラーの粒子径や粒子径分布は特に限定されない。しかしながら、多孔性シート又は多孔性フィルムに加工する際のマトリックスへの分散性や、成形性及び孔径制御の容易さの観点から、その平均粒子径は0.005〜1μm、特に0.005〜1μmであることが好ましい。また、品質の一定したイオン交換膜を得るためには、支持層となる多孔質シート又は多孔質フィルムの細孔は均一な孔径を有するのが好ましく、そのために無機フィラーの粒子径分布は分散で表して分散が1.5以下、特に0.1以下であることが好適である。また、同様な理由から無機フィラーを構成する粒子の形状は、長径と短径の比が1〜2、特に1〜1.5の範囲の(略)球状又は楕円体状であることが好ましい。
【0019】
前記ポリオレフィン樹脂組成物における無機フィラーの配合量は、得られる多孔性シート又はフィルムが所期の保水性を有するように、用いるポリオレフィン樹脂及び無機フィラーの種類に応じて適宜決定すればよいが、吸水率が10〜200%の多孔性シート又はフィルムを得るための無機フィラーの配合量は、一般的にはポリオレフィン樹脂と無機フィラーの合計重量を基準とした無機フィラーの重量%で表して1〜40重量%である。製造時の成形性及び最終的に得られるイオン交換膜の保水性以外の性能等を合わせて考慮すると上記無機フィラーの配合量は10〜30重量%であるのが特に好適である。
【0020】
また、前記無機フィラーを含むポリオレフィン樹脂組成物からなる多孔性シート又は多孔性フィルムの性状は、その吸水率が10〜200%である以外特に限定されないが、最終的に得られるイオン交換膜の電気抵抗を低くすることができ、しかも高い物理的強度を保つために、孔の平均孔径は0.005〜5.0μm、特に0.01〜0.8μmであり、空隙率は30〜95%、特に40〜90%であるのが好ましい。また、その厚みは5〜100μm、特に10〜70μmであるのが好ましい。
【0021】
本発明のイオン交換膜は、前記したようなシート又はフィルムからなる支持層上に炭化水素系イオン交換樹脂層が形成されてなる。ここで、炭化水素系イオン交換樹脂とは、陽イオン交換機能又は陰イオン交換能を有する炭化水素系の樹脂を意味し、炭化水素系樹脂とは、イオン交換基以外の部分が主として炭素及び水素で構成されている樹脂を意味する。なお、上記炭化水素系樹脂においては、炭素と水素とによって主鎖、側鎖の大部分が形成されていればよく、例えば、上記主鎖及び側鎖を構成する炭素−炭素結合の合間にエーテル結合、エステル結合、アミド結合、シロキサン結合等により酸素、窒素、珪素、硫黄、ホウ素、リン等の他の原子が少量介在しても良い。その量は、上記主鎖及び側鎖を構成する炭素原子とこれら原子の総モル数に対して40モル%以下、特に10モル%以下であるのが好ましい。また、上記主鎖及び側鎖に結合するイオン交換基以外の基は、その全てが水素原子ある必要はなく少量であれば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等の他の原子、又は他の原子を含む置換基により置換されていても良い。その置換量は、上記水素原子とこれら置換基の総モル数に対して30モル%以下、好適には10モル%以下であるのが好ましい。
【0022】
また、上記炭化水素系イオン交換樹脂に存在するイオン交換基としては、水溶液中での負又は正の電荷となり得る官能基であれば特に限定されない。このようなイオン交換基となり得る官能基を具体的に例示すれば、陽イオン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、一般的に、強酸性基であるスルホン酸基が特に好ましい。また、陰イオン交換基としては、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基、4級イミダゾリウム基等が挙げられ、一般的に、強塩基性基である4級アンモニウム基や4級ピリジニウム基が好適に用いられる。これらイオン交換基の含有量は、得られるイオン交換膜の電気抵抗値を低くするという観点から、イオン交換容量で0.2〜5.0mmol/g、特に0.5〜3.0mmol/gであるのが好ましい。
【0023】
本発明で、好適に使用できる炭化水素系イオン交換樹脂としては、次のようなものを挙げることができる。即ち、イオン交換基が導入可能な官能基を有する炭化水素系単量体またはイオン交換基を有する炭化水素系単量体、炭化水素系架橋性単量体および重合開始剤からなる単量体組成物を重合し、必要に応じてイオン交換基を導入することにより得られるイオン交換樹脂が好適に使用できる。なお、イオン交換基が導入可能な官能基を有する炭化水素系単量体を用いた場合には、重合後に公知イオン交換基導入処理、陽イオン交換樹脂を得る場合にはスルホン化、クロルスルホン化、ホスホニウム化、加水分解等の処理、陰イオン交換樹脂を得る場合にはアミノ化、アルキル化等の処理を行なうことにより所望のイオン交換基を導入して、イオン交換樹脂とすればよい。
【0024】
上記イオン交換基が導入可能な官能基を有する炭化水素系単量体またはイオン交換基を有する炭化水素系単量体としては、従来公知であるイオン交換樹脂の製造において用いられているものが特に限定されずに使用される。具体的には、陽イオン交換基が導入可能な官能基を有する炭化水素系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−ハロゲン化スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。また、陽イオン交換基を有する炭化水素系単量体としては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、α−ハロゲン化ビニルスルホン酸等のスルホン酸系単量体、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等のカルボン酸系単量体、ビニルリン酸等のホスホン酸系単量体、それらの塩およびエステル類等が用いられる。さらに、陰イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。また、陰イオン交換基を有する単量体としては、ビニルベンジルトリメチルアミン、ビニルベンジルトリエチルアミン等のアミン系単量体、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の含窒素複素環系単量体、それらの塩類およびエステル類が用いられる。
【0025】
また、炭化水素系架橋性単量体としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジビニルベンゼン類、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、ジビニルビフェニル、トリビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物、トリメチロールメタントリメタクリル酸エステル、メチレンビスアクリルアミド、ヘキサメチレンジメタクリルアミド等の多官能性メタクリル酸誘導体が用いられる。また、重合開始剤としては、従来公知のものが特に制限なく使用される。こうした重合開始剤の具体例としては、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物が用いられる。
【0026】
本発明で使用する炭化水素系イオン交換樹脂を得るに際しては、上記各成分の他に、必要に応じて前記各炭化水素系の単量体と共重合可能な他の炭化水素系単量体や可塑剤類を添加してもよい。こうした他の炭化水素系単量体としては、例えば、スチレン、アクリロニトリル、メチルスチレン、アクロレイン、メチルビニルケトン、ビニルビフェニル等が用いられる。また、可塑剤類としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジメチルイソフタレート、ジブチルアジペート、トリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルセバケート等が用いられる。
【0027】
本発明で使用するイオン交換樹脂を製造する際に使用する組成物(原料単量体組成物)の組成は、最終的に得られるイオン交換樹脂膜の要求性能に応じて適宜決定すればよいが、一般的には、イオン交換基が導入可能な官能基を有する炭化水素系単量体またはイオン交換基を有する炭化水素系単量体100重量部に対して、炭化水素系架橋性単量体を0.1〜50重量部、好適には1〜40重量部、これらの単量体と共重合可能な他の炭化水素系単量体を0〜100重量部、可塑剤類を0〜50重量部、重合開始剤、全単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部、好適には0.5〜10重量部である。
【0028】
支持層上に上記のような炭化水素系イオン交換樹脂からなる層を形成する方法は特に限定されず、例えば炭化水素系イオン交換樹脂の原料として示した前記組成物を支持層に塗布したり、スプレーしたり、含浸させたりした後に該組成物を重合硬化させ、必要に応じてイオン交換機導入処理をすることにより好適に行なうことができる。なお、上記原料単量体組成物の塗布等に際しては、支持層である多孔性シートや多孔性フィルムの空隙(孔)に該原料組成物が良好に充填されるように減圧下で両者を接触さたり、接触後に加圧処理を行なうなどの方法を採用してもよい。上記原料単量体組成物には無機フィラーが実質的に含まれていないので、支持層の孔が塞がれることがなく膜全体の低いガス透過性を実現することができる。なお、支持層に塗布されたり含浸させられた原料単量体組成物重合する場合には、ポリエステル等のフィルムに挟んで加圧しながら常温から昇温して重合する方法が好適に採用される。重合条件は、使した重合開始剤の種類や単量体組成物の組成等応じて適宜決定すればよい。
【0029】
この様にして得られるイオン交換樹脂膜は、支持層として前記したような薄い多孔質膜を支持材として用いることが出来るため、炭化水素系イオン交換樹脂のイオン交換容量等を調整することにより、電気抵抗値が1mol/L−硫酸水溶液中の電気抵抗で表して0.20Ω・cm2以下、更には0.10Ω・cm2以下と非常に小さくすることができる。また、支持層が多孔質であり、その空隙部に対してイオン交換樹脂が良好に充填されるため、ガス透過性を極めて小さくすることができ、例えば50℃における水素ガスの透過係数が3.0×10−8cm3(STP)・cm・cm−2・s−1・cmHg−1以下、特に0.5〜2.0×10−8cm3(STP)・cm・cm−2・s−1・cmHg−1の範囲であるもの、更に50℃における酸素ガスの透過係数が2.0×10−8cm3(STP)・cm・cm−2・s−1・cmHg−1以下、特に0.3〜1.5×10−8cm3(STP)・cm・cm−2・s−1・cmHg−1の範囲のものを得ることもできる。このようなイオン交換樹脂膜からなる本発明の固体高分子型燃料電池用隔膜は、上記離如くにガス透過係数が小さいため、燃料室や酸化剤室に供給した水素ガスや酸素ガスが該隔膜を透過して反対の室に拡散することを防止でき、高い出力の電池が得られる。尚、本発明の固体高分子型燃料電池用隔膜を適用できる固体高分子型燃料電池は、通常は図1に示されるような構造をしたものであるが、公知の他の構造の固体高分子型燃料電池にも勿論適用することができる。
【0030】
【実施例】
本発明を更に具体的に説明するため、以下、実施例及び比較例をあげて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例および比較例に示す陽イオン交換樹脂膜の特性は、以下の方法により測定した値を示す。
【0031】
(1)原料単量体組成物の支持層への含浸性
原料単量体組成物が入ったガラス容器にポリオレフィン樹脂系多孔質膜を浸漬した後、ポリオレフィン樹脂系多孔質膜の全面が原料単量体組成物で濡れるまでの時間を目視で観察した。
【0032】
(2)陽イオン交換容量および含水率;
陽イオン交換樹脂膜を1mol/L−HClに10時間以上浸漬し、水素イオン型とした後、1mol/L−NaClでナトリウムイオン型に置換させ遊離した水素イオンを電位差滴定装置(COMTITE−900、平沼産業株式会社製)で定量した(Amol)。次に、同じ陽イオン交換樹脂膜を1(mol/l)HCl水溶液に4時間以上浸漬し、イオン交換水で十分水洗した後膜を取り出しティッシュぺーパー等で表面の水分を拭き取り湿潤時の重さ(Wg)を測定した。次に膜を60℃で5時間減圧乾燥させその重量を測定した(Dg)。上記測定値に基づいて、下記式
陽イオン交換容量=A×1000/W[mmol/g−乾燥重量]
含水率=100×(W−D)D[%]
により陽イオン交換容量および含水率を求めた。
【0033】
(3)電気抵抗
白金電極を備えた2室セルの中央に陽イオン交換樹脂膜を置き、セル内に25℃の3mol/L硫酸水溶液を満たした。陽イオン交換樹脂膜の両側にはルギン管を設け、塩橋により参照電極と液絡した。膜を挟んで100mA/cm2の電流を流したときの電位(a(V))と膜を挟まずに100mA/cm2の電流を流したときの電位(b(V))を測定した。下記式
電気抵抗=1000×(a−b)/100[Ω・cm2]
により陽イオン交換樹脂膜の電気抵抗を求めた。
【0034】
(4)耐熱性(収縮率)
50℃の乾燥機中で1時間予備乾燥させた測定用サンプル膜を190℃のイオン交換水中に4時間浸漬した後、イオン交換水から取り出して寸法を測定し、以下式
S=100×(La−Lb)/La
S:収縮率(%)
La:50℃の乾燥機中で乾燥させた膜の長さ(cm)
Lb:90℃のイオン交換水中で4時間浸漬した膜の長さ(cm)
により収縮率を求めた。
【0035】
(5)ガス透過係数
ガス透過係数の測定方法として、U字管式水銀マノメーター(JIS Z 1707に準拠)によるガス透過試験機を用いた。測定に用いた陽イオン交換樹脂膜は50℃において含水状態でガス透過試験機に装着した。また、測定に用いたガスは、50℃において飽和温度に保った酸素または水素を用いた。下記式
P=(p/t)×(h/A)×{h/(Pa−Pb)}
P:ガス透過係数
p:ガス透過量
t;測定時間
h:陽イオン交換樹脂膜厚み
A:ガス透過面積
Pa:高圧側ガス圧力
Pb:低圧側ガス圧力
によりガス透過係数を求めた。
【0036】
(6)燃料電池出力電圧
先ず、測定する陽イオン交換樹脂膜上に、触媒として平均粒子径が2nmの白金が30重量%の坦持されたカーボンブラックと、スルホン化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体(陽イオン交換容量0.9)のアルコールとジクロロエタンの5%溶液を混合したものを塗布し80℃で4時間減圧乾燥した後、上記の膜状物を100℃、圧力5MPaの加圧下で100秒間熱圧着し、更に室温で2分間放置し、陽イオン交換樹脂膜/ガス拡散電極接合体を得る。次いで得られた陽イオン交換樹脂膜/ガス拡散電極接合体をその両側から、厚みが200μmであり、空孔率が80%のカーボンペーパーの電極で挟み込み、図1に示す構造の燃料電池セルに組み込んで、圧力2気圧、燃料電池セル温度50℃、加湿温度50℃の酸素と水素をそれぞれ200(ml/min.)、400(ml/min.)で供給して発電試験を行ない、電流密度0(A/cm2)、0.3(A/cm2)、及び1.0(A/cm2)におけるセルの端子電圧を測定した。
【0037】
(7)保水性評価
上記出力電圧の評価後、酸素と水素の加湿温度を室温(25℃)に下げ(相対湿度を下げ)た以外は上記の条件で出力電圧を測定し、陽イオン交換樹脂膜の保水性を評価した。
【0038】
(8)耐久性評価
上記出力電圧の測定後、50℃、電流密度0.3A/cm2の条件下で連続発電試験を行い、250時間後の出力電圧を測定し、陽イオン交換樹脂膜の耐久性を評価した。
【0039】
実施例1〜3
表1に示した組成表に従って、各種単量体等を混合して原料単量体組成物を得た後に、得られた単量体組成物400gを500mLのガラス容器に入れ、これに無機フィラーとして粒径0.02μmシリカをそれぞれ所定量含む、延伸法により製造された各20cm×20cmのポリエチレン(PE、重量平均分子量25万)製の多孔質膜B、C、及びDを大気圧下、25℃で10秒浸漬し、これら多孔質膜に単量体組成物を含浸させた。尚、多孔質膜Bは、シリカ含有量5wt%、吸水率60%、膜厚50μm、空隙率70%、平均孔径0.5μmの膜であり、多孔質膜Cは、シリカ含有量10wt%、吸水率100%、膜厚50μm、空隙率70%、平均孔径0.5μmの膜であり、多孔質膜Dは、シリカ含有量15wt%、吸水率130%、膜厚50μm、空隙率75%、平均孔径0.5μmの膜である。この時の単量体組成物の各膜に対する含浸性の評価結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
続いて、上記多孔質膜を単量体組成物中から取り出し、100μmのポリエステルフィルムを剥離剤として上記多孔質膜の両側を被覆した後、3kg/cm2の窒素加圧下、80℃5時間加熱重合した。次いで、得られた膜状物を98%濃硫酸と純度90%以上のクロロスルホン酸の1:1混合物中に40℃で45分間浸漬し、スルホン酸型陽イオン交換樹脂膜を得た。この様にして得られた各スルホン酸型陽イオン交換樹脂膜の膜厚、陽イオン交換容量、含水率、電気抵抗、耐熱性、ガス透過係数、燃料電池出力電圧、保水性、耐久性を測定した。これらの結果を表2に示した。
【0042】
【表2】
【0043】
比較例1
表1に示した組成表に従って、実施例1と同じ単量体を混合して単量体組成物を得た。得られた単量体組成物400gを500mLのガラス容器に入れ、20cm×20cmのポリエチレン(PE、重量平均分子量25万)製の多孔質膜A(シリカ含有量0wt%、吸水率0%、膜厚50μm、空隙率70%、平均孔径0.5μm)を大気圧下、25℃で10秒浸漬し、多孔質膜の空隙に単量体組成物を充填した。尚、これら単量体組成物の含浸性の評価結果を表1に合わせて示す。次いで実施例1と同じ操作を行いスルホン酸型陽イオン交換樹脂膜を得、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を合わせて表2に示す。
【0044】
比較例2
表1に示した組成表に従って、実施例1と同じ単量体を用い、これに粒径0.02μmのシリカを10重量部混合して単量体組成物を得た。得られた単量体組成物400gを500mLのガラス容器に入れ、上記と同じポリエチレン多孔質膜Aを大気圧下、25℃で10分浸漬し、多孔質膜の空隙に単量体組成物を充填した。尚、これら単量体組成物の含浸性の評価結果を表1に示した。次いで実施例1と同じ操作を行いスルホン酸型陽イオン交換樹脂膜を得た。得られたスルホン酸型陽イオン交換樹脂膜の膜厚、陽イオン交換容量、含水率、電気抵抗、耐熱性、ガス透過係数、燃料電池出力電圧、保水性、耐久性を測定した。これらの結果を表2に示した。
【0045】
比較例3
表1に示した組成表に従って、実施例1と同じ単量体を混合して単量体組成物を得た。得られた単量体組成物400gを500mLのガラス容器に入れ、無機フィラーとして粒径0.02μmシリカを含む、延伸法により製造された20cm×20cmポリエチレン(PE、重量平均分子量25万)製多孔質膜E(シリカ含有量22wt%、吸水率280%、膜厚50μm、空隙率80%、平均孔径0.8μm)を大気圧下、25℃で10秒浸漬し、多孔質膜の空隙に単量体組成物を充填した。尚、これら単量体組成物の含浸性の評価結果を表1に示した。次いで実施例1と同じ操作を行いスルホン酸型陽イオン交換樹脂膜を得た。得られたスルホン酸型陽イオン交換樹脂膜の膜厚、陽イオン交換容量、含水率、電気抵抗、耐熱性、ガス透過係数、燃料電池出力電圧、保水性、耐久性を測定した。これらの結果を表2に示した。
【0046】
【発明の効果】
本発明の炭化水素系イオン交換樹脂膜は、保水性が高く、電気抵抗が低く、且つ支持材であるポリオレフィン樹脂からなる基材の空隙部に陽イオン交換樹脂が細部まで隙間なく充填されていることから、ガスの透過性が極めて低い。また、ポリオレフィン樹脂製基材が母材であることから、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性に優れる。さらに、上記ポリオレフィン樹脂製多孔質膜とイオン交換樹脂とのなじみが良いことに起因して、両者の密着性が極めて強固であり、このため前記の優れたガス透過性は、膜表面にガス拡散電極層を形成したり、燃料電池に装着して長期使用した後においても良好に保持される。従って、このような性状を有する本発明の隔膜を装着してなる固体高分子型燃料電池は、燃料および酸素含有ガスのクロスオーバーが抑えられ高い電池出力が長期間安定的に得られる。また、保水性が優れているので、燃料ガスや酸化剤ガスの加湿条件を低くして運転でき、水分管理を容易とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は固体高分子型燃料電池の基本構造を示す概念図である。
【符号の説明】
1;電池隔壁
2;燃料ガス流通孔
3;酸化剤ガス流通孔
4;燃料室側ガス拡散電極
5;酸化剤室側ガス拡散電極
6;固体高分子電解質
7;燃料室
8;酸化剤室
Claims (3)
- 周期律表第 II A族、第 IV A族、第 III B族、及び第 I B族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーを含むポリオレフィン樹脂組成物により成形されてなる、吸水率が10〜200%の多孔質シート又は多孔質フィルムからなる支持層上に、炭化水素系イオン交換樹脂からなる層が形成されてなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用隔膜。
- 周期律表第 II A族、第 IV A族、第 III B族、及び第 I B族よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、又はこれらの混合物からなる無機フィラーが、シリカ、アルミナ、及び酸化チタンから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の固体高分子型燃料電池用隔膜。
- 固体高分子型燃料電池用隔膜として請求項1又は請求項2記載の固体高分子型燃料電池用隔膜を使用することを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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