JP3966209B2 - エンジンの始動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドリング時等に自動的にエンジンをいったん停止させ、その後に自動的に再始動させるエンジンの始動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃費低減およびCO2排出量抑制等のため、アイドル時に自動的にエンジンをいったん停止させ、その後に発進操作等の再始動条件が成立したときに自動的にエンジンを再始動させるようにしたエンジンの始動装置が開発されてきている。
【0003】
このようにエンジン停止後に自動的に再始動させる場合に、発進操作等に応じて即座に始動させることが要求されるため、始動用のモータによりエンジン出力軸を駆動するクランキングを経てエンジンを始動させるような、始動完了までにかなりの時間を要する従来の一般的な始動の方法は好ましくない。
【0004】
そこで、停止状態のエンジンの特定気筒に燃料を供給して着火、燃焼を行わせ、そのエネルギーでエンジンが即時的に始動されるようにすることが望ましい。この場合、エンジン停止中に膨張行程にある気筒に燃料を供給して燃焼を行わせるようにすればその燃焼のエネルギーをエンジン正転方向に作用させることができる。しかし、エンジン作動中であれば燃焼室内が高圧縮状態となってから燃焼が行われるので大きなエネルギーが得られるが、エンジン停止中には膨張行程の気筒から空気が洩出して燃焼室内の圧力が低下するため、その低い圧力の燃焼室内に燃料を供給して燃焼を行わせても始動に必要なエネルギーが充分に得られない場合が多い。
【0005】
このような問題の対策として、多気筒エンジンにおいてエンジン停止時に圧縮行程にある気筒に対して初回の燃焼を実行して当該気筒のピストンを下死点前の位置まで押し下げ、それに伴い膨張行程にある気筒のピストンが上死点に近づくことによって当該気筒の筒内圧力を高めるようにした上で、この膨張行程の気筒に対して燃料を噴射させて点火、燃焼を行わせ、こうしてエンジン正転方向に作用する燃焼エネルギーを増大させるように工夫したものも提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第01/81759号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に示された始動装置によると、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒における初回燃焼により少しだけエンジンが逆転してから、エンジン停止時に膨張行程にある気筒での燃焼に伴うエンジンの正転により、圧縮行程にあった気筒が圧縮上死点を経て膨張行程へ移行するが、上記エンジン逆転時にいずれかの気筒の上死点を越えてしまうと、その次の膨張行程の気筒での燃焼によってエンジンの正転方向に駆動力を付与することが困難となり、始動性が却って悪化する。
【0008】
従って、圧縮行程にある気筒における初回燃焼によるエンジン逆転は、いずれかの気筒の上死点を越えない範囲にとどめることが要求されるが、ピストン停止位置などにより逆転方向の移動の勢いにはばらつきがあるため、エンジン逆転によりいずれかの気筒の上死点を越えてしまう可能性があった。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑み、エンジンの再始動時に少しだけエンジンを逆転させてから膨張行程の気筒で燃焼を行わせるようにすることでその燃焼エネルギーを増大させるようにし、しかも、上記逆転時にいずれかの気筒の上死点を越えてしまうことを防止し、始動性を向上することができるエンジンの始動装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジン停止後の再始動条件成立時に、シリンダ容積が縮小する行程にある気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを逆転方向に所定量作動させてから、膨張行程にある気筒で燃焼を行わせることによりエンジンを正転方向に回転させて始動させるエンジンの始動装置において、エンジンを逆転方向に作動させる始動初期に、いずれかの気筒がピストン上死点を越えるような逆転方向の過剰作動が生じるか否かを予測する予測手段と、この予測手段によって上記逆転方向の過剰作動が予測されたときに、いずれかの気筒がピストン上死点に達するまでの逆転方向作動中に、エンジン正転方向の駆動力を与える燃焼を実行させる制御手段とを備え、上記予測手段は、逆転方向へのピストン移動中の角速度を検出することにより逆転方向へのピストンの移動の勢いを調べるものであり、上記制御手段は、上記勢いが所定値以上に大きいとき、エンジン正転方向の駆動力を与える燃焼を実行させる制御として、エンジン停止時に吸気行程にある気筒の吸気弁を閉じるとともに、当該気筒に燃料を供給して点火することにより、当該気筒をエンジン停止時に膨張行程にある気筒とともに燃焼させるようになっていることを特徴とする
【0011】
この発明によると、エンジン再始動の際に、先ずエンジンがある程度だけ逆転し、膨張行程の気筒のピストンが上昇して筒内圧力が高められてから、当該気筒で燃焼が行われることにより、膨張行程の気筒での燃焼圧が高められて、その燃焼圧が有効にピストンに作用し、エンジン正転方向の駆動力が得られる。
【0012】
このような再始動時の動作において、逆転方向へのピストン移動中の角速度を検出することにより逆転方向へのピストンの移動の勢いを調べ、この勢いが所定値以上に大きいか否かにより、いずれかの気筒がピストン上死点を越えるような逆転方向の過剰作動が生じるか否かを予想できる。そして、逆転方向の過剰作動が生じることが予測されたときは、逆転方向作動中にエンジン正転方向の駆動力を与える燃焼が行われることにより、逆転方向のピストンの移動が抑制されて、いずれかの気筒のピストン上死点を越えることが防止されるとともに、逆転後におけるエンジン正転方向の駆動力が高められ、始動性が向上される。
【0014】
とくに、吸気行程にある気筒の吸気弁が閉じられることによりこの吸気行程の気筒が膨張行程の気筒と同じような状態となり、この気筒と膨張行程気筒とにおいて燃焼が行われることにより、上記逆転方向の過剰作動が防止されるとともに、正転方向の駆動力が高められる。
【0018】
また、上記制御手段は、吸気行程気筒側の燃焼時の空燃比を理論空燃比以下とするように、当該気筒に対する燃料供給量を制御するようになっていることが好ましい。このようにすると、吸気行程の気筒では空燃比が適度にリッチにされることにより正転方向の駆動力が高められる。
【0020】
また、本発明において、エンジン停止時にシリンダ容積が縮小する行程にある気筒に対する燃料の供給と膨張行程にある気筒に対する燃料の供給とを同時期に行うようにすることが好ましい。このようにすると、膨張行程にある気筒に対して燃料供給の時期が可及的に早くされ、燃料供給から点火までの間に燃料の気化霧化のための時間を確保することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1及び図2は本発明の一実施形態によるエンジンの概略構成を示している。これらの図において、エンジン本体はシリンダヘッド1及びシリンダブロック2で構成され、複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒3A〜3Dを有している。各気筒3A〜3Dにはピストン4が嵌挿され、ピストン4の上方に燃焼室5が形成されている。上記ピストン4はコンロッドを介してクランクシャフト6に連結されている。
【0023】
各気筒3A〜3Dの燃焼室5の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室5内に臨んでいる。
【0024】
さらに、燃焼室5の側方部には、燃焼室5内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁8が設けられている。この燃料噴射弁8は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。そして、点火プラグ7付近に向けて燃料を噴射するように燃料噴射弁8の噴射方向が設定されている。なお、この燃料噴射弁8には図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0025】
また、各気筒3A〜3Dの燃焼室5に対して吸気ポート9及び排気ポート10が開口し、これらのポート9,10に吸気弁11及び排気弁12が装備されている。これら吸気弁11及び排気弁12は動弁機構により駆動される。そして、後に詳述するように各気筒が所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、各気筒の吸・排気弁11,12の開閉タイミングが設定されている。
【0026】
さらに、上記吸気弁11と排気弁12とに対し、これらを作動状態と閉じて停止した状態とに切換可能なバルブ駆動変更手段13,13´が設けられている。このバルブ駆動変更手段13,13´は、例えば図3に示すように、非磁性材料からなるハウジング13aと、このハウジング13a内に摺動自在に配設されるとともに上記排気弁12と一体に連結されたアーマチュアコア13bと、ハウジング13a内の上下両端部に配設された一対の電磁石13c,13d及び戻しばね13e,13fとを備えている。
【0027】
そして、上方の電磁石13cに通電されたときはアーマチュアコア13bが上方に吸引されることにより吸気弁11または排気弁12が開かれ、下方の電磁石13dに通電されたときはアーマチュアコア13bが下方に吸引されることにより吸気弁11または排気弁12が閉じられる。このような構造によると、各電磁石13c,13dに対する通電のタイミングがコントロールされることにより、吸・排気弁11,12が所定のタイミングで開閉作動され、また、下方の電磁石13dに対する通電状態が保たれたときは、吸・排気弁11,12が閉じて停止した状態となる。
【0028】
図1に戻って、上記吸気ポート9及び排気ポート10には吸気通路15及び排気通路16が接続されている。上記吸気通路15には、吸入空気量を調節するスロットル弁が設けられ、当実施形態では、吸入空気量の制御の応答性を高めるため、吸気ポート9に近い分岐吸気通路15aにスロットル弁17が設けられている。すなわち、吸気通路15は、サージタンク15bの下流に気筒別の分岐吸気通路15aを有し、各分岐吸気通路15aの下流端が各気筒の吸気ポート9に連通するが、その各分岐吸気通路15aの下流端近傍に、各分岐吸気通路15aを同時に絞り調節する多連型のロータリバルブからなるスロットル弁17が配設されている。このスロットル弁17はアクチュエータ18により駆動されるようになっている。
【0029】
上記吸気通路15におけるサージタンク15bの上流の共通吸気通路15cには、吸入空気量を検出するエアフローセンサ20が設けられている。また、上記クランクシャフト6に対し、その回転角を検出するクランク角センサが設けられており、当実施形態では、後に詳述するように、互いに一定量だけ位相のずれたクランク角信号を出力する2つのクランク角センサ21,22が設けられている。さらに、エンジンの特定クランク角を検出することで気筒識別信号を与えることのできる気筒識別センサ23が設けられている。なお、この他にもエンジンの制御に必要な検出要素として、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ24、アクセル開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ25等が装備されている。
【0030】
30はECU(エンジンコントロールユニット)であり、上記各センサ20〜25からの信号を受け、上記燃料噴射弁8に対して燃料噴射量及び噴射時期を制御する信号を出力し、点火装置に対して点火時期制御信号を出力するとともに、バルブ駆動変更手段13に制御信号を出力している。また、スロットル弁17のアクチュエータ18に対してスロットル開度を制御する信号を出力している。さらに、スタータ(始動用モータ)31に対し、必要なときにその駆動を制御する信号を出力するようになっている。
【0031】
そして、アイドリング時において所定のエンジン停止条件が成立したときに、燃料供給停止等により自動的にエンジンを停止させるとともに、その後のエンジン再始動条件成立時に、自動的にエンジンの再始動を行わせる。このエンジン再始動時に、ピストンの停止位置が特定範囲にある場合は、先ずエンジン停止時に圧縮行程にある気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを逆転方向に所定量作動させてから、膨張行程にある気筒で燃焼を行わせることによりエンジンを正転方向に回転させて始動させるようになっている。
【0032】
さらにECU30は、エンジンを逆転方向に作動させる始動初期に、いずれかの気筒がピストン上死点を越えるような逆転方向の過剰作動が生じるか否かを予測する予測手段30aと、この予測手段30aによって上記逆転方向の過剰作動が予測されたときに、いずれかの気筒がピストン上死点を越えるまでは逆転方向作動中に、エンジン正転方向の駆動力を与える燃焼を実行させる制御手段30bとを含んでいる。
【0033】
なお、当実施形態では、上述のようにエンジン停止時に圧縮行程にある気筒でのエンジン逆転のための初回燃焼と、エンジン停止時に膨張行程にある気筒でのエンジン正転のための燃焼とを行わせてから、エンジン停止時に圧縮行程にあった気筒が膨張行程に移行したときに当該気筒での再燃焼を行わせる第1再始動制御モードと、上記再燃焼を行わせない第2再始動制御モードと、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒での初回燃焼を行わずにスタータ(始動用モータ)31でアシストしつつ膨張行程の気筒での燃焼により始動を行う第3再始動制御モードとを、ピストンの停止位置に応じて選択的に実行する。そして、第1再始動制御モード、第2再始動制御モードのいずれかが選択されたときに、上記予測手段30a及び制御手段30bとしての機能が発揮されるようになっている。
【0034】
上記ECU30によるエンジン停止及び再始動の制御を、図4〜図11によって説明する。なお、以下の説明では、吸気行程にある気筒を吸気気筒、圧縮行程にある気筒を圧縮気筒、膨張行程にある気筒を膨張気筒、排気行程にある気筒を排気気筒と略称する。
【0035】
図4のフローチャートに示す処理は、エンジンが運転されている状態からスタートし、ECU30は、先ずステップS1でアイドルストップ条件が成立したか否かを判定する。この判定は、車速、エンジン温度(エンジン冷却水の温度)等に基づいて行い、例えば車速が0の停車状態が所定時間以上持続し、かつ、エンジン温度が所定範囲内にあり、さらにエンジンを停止させることに格別の不都合がない状況にある場合等に、アイドルストップ条件成立とする。
【0036】
アイドルストップ条件が成立したときは、エンジンの各気筒に対する燃料供給を停止し(ステップS2)、次いでいったんスロットル弁17を所定開度に開き(ステップS3)、それからエンジン回転数が所定回転数以下となるまでこの状態を保ち(ステップS4)、所定回転数以下となればスロットル弁17を閉じる(ステップS5)。
【0037】
続いて、ステップS6でエンジンが停止したか否かを判定し、エンジンが停止すると、後述の図6の停止位置検出ルーチンによるピストンの停止位置の検出に基づき、上記ステップS7で上記停止位置が所定範囲内にあるか否かを判定する。この場合に、エンジン停止時の膨張気筒においてピストン停止位置が図5中に斜線を付して示した範囲A、つまり、膨張行程中期に相当する範囲を所定範囲とする。そして、この所定範囲A内にあるときは、ステップS8で、エンジン停止時の膨張気筒においてピストン停止位置が所定位置よりTDC(上死点)側にあるか否かを判定する。
【0038】
上記ステップS7,S8の判定に基づき、ピストン4の停止位置が所定範囲A内であって、そのTDC側(範囲A1内)にあることが確認された場合には、後述の図8に示す第1再始動制御モードのルーチン(R1)を実行し、ピストン4の停止位置が所定範囲A内であって、そのBDC側(下死点側)の範囲A2内にあることが確認された場合には、第2再始動制御モードのルーチン(R2)を実行する。また、ピストン4の停止位置が所定範囲A外であることが確認された場合は、第3再始動制御モードのルーチン(R3)を実行する。
【0039】
図6は停止位置検出ルーチンを示している。このルーチンがスタートすると、ECU30は、第1クランク角信号CA1(第1クランク角センサからの信号)および第2クランク角信号CA2(第2クランク角センサからの信号)を調べ、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowまたは第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighであるか否かを判定する。要するに、これらの信号CA1,CA2の位相の関係が図7(a)のようになるか、それとも図7(b)のようになるかを判別することにより、エンジンの正転時か逆転時かを判別する(ステップS11)。
【0040】
すなわち、エンジンの正転時には、図7(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図7(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなる。そこで、ステップS11の判定がYESであればエンジンの正転方向のクランク角変化を計測するためのCAカウンタをアップし(ステップS12)、ステップS11の判定がNOの場合は上記CAカウンタをダウンする(ステップS13)。そして、エンジン停止時に上記CAカウンタの値を調べることで停止位置を求める(ステップS14)。
【0041】
図8は図4のフローチャート中のステップS7での判定がYESのときに実行される第1再始動制御モードのルーチンを示している。また、図9及び図10は第1再始動制御モードにより制御される場合の各気筒のサイクル及び燃焼動作を示すものであって、図9は予測手段の機能を果たす後記ステップS26で圧縮気筒下死点を越えないこと(逆転が過剰にならないこと)が予測された場合について示し、図10は後記ステップS26で圧縮気筒下死点を越える可能性があること(逆転が過剰になること)が予測された場合について示している。
【0042】
なお、図9,図10は4気筒4サイクルエンジンの場合について示しており、この4気筒4サイクルエンジンの場合、気筒列方向一端側からNo.1〜NO.4気筒と呼ぶと、吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルがNO.1気筒、NO.3気筒、NO.4気筒、NO.2気筒の順にクランク角で180°ずつの位相差をもって行われるようになっているので、例えば図9,図10の例のようにエンジン停止時にNO.1気筒が圧縮行程であれば、NO.2気筒は膨張行程、NO.3気筒は吸気行程、NO.4気筒は排気行程となる。図9,図10を参照しつつ、図8のルーチンを説明する。
【0043】
ECU30は、このルーチンにおいて先ずステップS21で、所定のエンジン再始動条件が成立したか否かを判定し、エンジン再始動条件が成立していなければ待機する。
【0044】
停車状態から発進のためのアクセル操作等が行われた場合や、バッテリー電圧が低下した場合等のエンジン再始動条件成立時(ステップS21の判定がYESのとき)には、ステップS22で、ピストンの停止位置に基づき、圧縮気筒(図9,図10ではNO.1気筒)と膨張気筒(図9,図10ではNO.2気筒)の各空気量を算出する。つまり、上記停止位置から上記各気筒の燃焼室容積が求められ、また、エンジン停止の際には燃料カット後にエンジンが数回転してから停止するので上記各気筒はいずれも新気で満たされ、かつ、エンジン停止中に各気筒の筒内圧は略大気圧となるので、上記燃焼室容積から空気量が求められることとなる。
【0045】
続いてステップS23で、算出した圧縮気筒の空気量に対して所定の空燃比となるように燃料噴射量を求めて、その噴射量で当該気筒に対する燃料噴射(図9,図10中のF11)を行う。この場合、当該気筒での初回燃焼後も余剰空気が残存するように、上記所定の空燃比は理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とされる。また、ステップS24で、算出した膨張気筒の空気量に対して所定の空燃比(理論空燃比もしくはその近傍)となるように燃料噴射量を求め、その噴射量で当該気筒に対する燃料噴射(図9,図10中のF12)を行う。
【0046】
さらにステップS25で、圧縮気筒の燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定した時間の経過後に、当該気筒に対して点火(図9,図10中のI11)を行う。こうして圧縮気筒内で燃焼を行わせ、その燃焼圧で当該気筒のピストンを押し下げ、エンジンを逆転させる。
【0047】
次に、ステップS26で、予測手段30aの機能を果たす処理として、上記逆転によって圧縮気筒下死点を越えないか否かを予測する。この場合、逆転方向へのピストンの移動の勢いを調べ、例えばクランク角センサ21,22からのクランク角信号の周期を計測することによって逆転方向へのピストン移動中の角速度を検出し、この角速度が所定値以下であれば圧縮気筒下死点を越えない(ステップS26がYES)と判定し、上記角速度が所定値より高くなれば圧縮気筒下死点を越える可能性がある(ステップS26がNO)と判定する。あるいは、エンジン停止中の圧縮気筒のピストン位置を調べ、この位置が下死点から所定量以上遠ければ圧縮気筒下死点を越えない(ステップS26がYES)と判定し、この位置が下死点から所定量未満であれば、圧縮気筒下死点を越える可能性がある(ステップS26がNO)と判定するようにしてもよい。
【0048】
圧縮気筒下死点を越えないことが予測された場合、ステップS27で、クランク角信号のエッジ(クランク角信号の立ち上がり又は立ち下がり)を検出した後に所定ディレイ時間が経過してから膨張気筒に対して点火(図9中のI12)を行う。
【0049】
こうして、エンジンの再始動開始後にいずれかの気筒が上死点に達するまでの第1行程で、圧縮気筒で点火、燃焼が行われてエンジンがある程度だけ逆転をした後、膨張気筒で点火、燃焼が行われてエンジンが正転する。
【0050】
それから、ステップS28で、後に詳述するスタートアシスト実行判定を行った後、ステップS29で、算出したエンジン停止時の圧縮気筒の残存空気量に対して所定の空燃比(理論空燃比もしくはその近傍)となるように燃料を噴射する(図9中のF21)。この場合、ステップS23で算出された圧縮気筒の空気量から初回燃焼(ステップS25での点火による燃焼)により消費された分の空気量を差し引いた量が残存空気量となり、この残存空気量に対して理論空燃比もしくはその近傍の空燃比となるように燃料噴射量を求める。
【0051】
そして、ステップS30で、エンジン停止時の圧縮気筒が上死点を越えた時点で点火(図9中のI21)を行う。つまり、エンジン停止時の圧縮気筒が膨張行程となる第2行程で、この気筒において再燃焼を行わせる。
【0052】
その後、ステップS31で、通常制御に移行する。つまり、エンジン停止時の排気気筒が圧縮行程となる第3行程及びそれ以降の行程では、順次各気筒に対して、それぞれ、吸気行程などの適当な時期に燃料を噴射した後に、圧縮気筒から膨張行程へ以降するときの上死点付近で点火して燃焼を行わせる。
【0053】
また、上記ステップS26での判定がNOの場合(逆転によって圧縮気筒下死点を越える可能性があることが予測される場合)は、それに応じた制御手段30bの機能を果たす処理として、次のようなステップS32〜S38の処理を行う。
【0054】
ステップS32では、吸気気筒(図10でNO.3気筒)の吸排気弁11,12を閉じて膨張気筒化する。つまり、吸気気筒と膨張気筒(図10でNO.2気筒)とはピストンの動きが同じであるので、吸気気筒の吸排気弁11,12を閉じれば当該気筒の燃焼室は膨張気筒と同じ状態となる。なお、吸気気筒を膨張気筒化するには、少なくとも吸気弁11を閉じるようにすればよいが、エンジンの逆転により吸気気筒の上死点に近づいたとき(排気弁の閉時期より進角側となったとき)に排気弁12が開いてしまうことを避けるため、吸排気弁11,12をともに閉じた状態に保つようにすることが好ましい。
【0055】
続いてステップS33で、吸排気弁の閉タイミングに応じて当該気筒の空気量を算出し、その空気量に対し、所定の空燃比(理論空燃比もしくはその近傍)となるように燃料噴射量を求め、その噴射量で当該気筒に対する燃料噴射(図10中のF13)を実行する。そして、ステップS34で、圧縮気筒が下死点を越える前に、膨張気筒及び膨張気筒化した吸気気筒に対して点火(図10中のI12,I13)を行うことにより、これらの気筒で燃焼を行わせる。
【0056】
次にステップS35で、上記ステップS29と同様に、エンジン停止時の圧縮気筒の残存空気量を求めて、それに対して所定の空燃比(理論空燃比もしくはその近傍)となるように燃料を噴射する(図10中のF21)。また、ステップS36で、エンジン停止時の吸気気筒(膨張気筒化した気筒;NO.3気筒)が下死点に至る前に、当該気筒の排気弁を開く。これにより、当該気筒の第2行程(本来は圧縮行程)を排気行程化し、既燃ガスを排出させる。
【0057】
さらにステップS37で、エンジン停止時の圧縮気筒が上死点を越えた時点で当該気筒に対して点火(図10中のI21)を行うことにより、当該気筒で再燃焼を行わせる。また、ステップS38で、エンジン停止時の吸気気筒(膨張行程化した気筒;NO.3気筒)が本来の排気弁閉タイミングとなったとき排気弁12を閉じ、通常制御に戻る。
【0058】
図8のステップS28において行われるスタートアシスト実行判定を、図11に基づいて説明する。この実行判定のルーチンがスタートするとステップS41で、膨張気筒の燃焼を行った後の時点におけるエンジン回転数Neが、予め設定された基準回転数以上であるか否かを判定し、NOと判定された場合には、ステップS42で、スタータ31を駆動させて再始動をアシストするスタートアシスト制御を行う。
【0059】
また、上記ステップS41でYESと判定され、エンジン回転数が基準回転数以上であることが確認された場合には、ステップS43で、ブレーキスイッチがOFFとなった状態でエンジンの再始動が行われたか否かを判定する。このステップS43でYESと判定され、運転者が車両の発進を意図してブレーキペダルから足を離すことにより、ブレーキスイッチがOFFとなった状態で、再始動条件が成立したことが確認された場合には、ステップS44で、ブレーキスイッチがOFFとなった時点から所定時間内にアクセルスイッチがON状態となったか否か、あるいは登坂状態である等によりエンジンの再始動時における要求トルクが大きいか否かを判定する。
【0060】
上記ステップS44でYESと判定され、エンジンの再始動時における要求トルクが大きいことが確認された場合には、ステップS45で、エンジンの再始動開始時点から現時点、つまりエンジン回転数が上記基準回転数以上となるまでの経過時間が、予め設定された第1基準時間T1以上であるか否かを判定する。このステップS45でYESと判定された場合には、エンジンの再始動を失敗する可能性が高いと判断し、ステップS42に移行してスタートアシスト制御を行う。
【0061】
また、上記ステップS44でNOと判定され、エンジンの再始動時における要求トルクが小さいことが確認された場合には、ステップS46で、エンジンの再始動開始時点から現時点までの経過時間が、第1基準時間T1よりも長い時間に設定された第2基準時間T2以上であるか否かを判定する。このステップS46でYESと判定されてエンジンの再始動を失敗する可能性が高いことが確認された場合には、ステップS42に移行してスタートアシスト制御を行う。
【0062】
一方、上記ステップS43でNOと判定され、運転者が車両の発進を意図することなく、エアコンが作動状態となり、あるいはバッテリーの容量が減少する等によりエンジンの再始動条件が成立した状態にあることが確認された場合には、ステップS47でエンジンの再始動開始時点から現時点までの経過時間が、第2基準時間T2よりも長い時間に設定された第3基準時間T3以上であるか否かを判定する。このステップS47でYESと判定されてエンジンの再始動を失敗する可能性が高いことが確認された場合には、ステップS42に移行してスタートアシスト制御を行う。
【0063】
ステップS45,S46,S47のいずれかで判定がNOの場合は、エンジン回転数が上記基準回転数以上となるまでの経過時間が短くて、再始動が成功であると認められるので、スタートアシスト制御を行うことなくリターンする。
【0064】
なお、図3のフローチャート中のステップS8での判定がNOのときに実行される第2再始動制御モード(再燃焼なし)のルーチンの詳細については図示を省略するが、第1再始動制御モードのルーチンのうちのステップS21〜S27,S31,S32〜S34,S36,S38と略同様の処理が行われる。ただし、ステップS23に相当する処理において、ピストンの停止位置に応じてマップから求められる圧縮行程気筒の空燃比は略理論空燃比もしくはそれよりリッチとなる。
【0065】
図12は、図4のフローチャート中のステップS7での判定がNOのときに実行される第3再始動制御モード(モータアシスト)のルーチンを示している。ECUは、このルーチンにおいて先ずステップS51で、所定のエンジン再始動条件が成立したか否かを判定し、エンジン再始動条件が成立していなければ待機する。
【0066】
エンジン再始動条件成立時(ステップS51の判定がYESのとき)には、ステップS52でスタータ31の駆動を開始し、ステップS53でピストンの停止位置に基づいて圧縮気筒及び膨張気筒の空気量を算出し、ステップS54で圧縮気筒及び膨張気筒の各空燃比が理論空燃比付近となるように燃料を噴射する。そして、ステップS55で、膨張気筒の燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定された時間が経過してから、当該気筒に対して点火を行う。
【0067】
次に、ステップS56で、所定クランク角となったとき圧縮気筒に対して点火を行う。それからスタータ31の駆動を停止し(ステップS57)、通常の制御(ステップS58)に移行する。
【0068】
以上のような当実施形態の装置によると、エンジンの出力を要しない所定のアイドル状態となってエンジン停止条件が成立したときにエンジンが自動停止状態となる。このエンジン停止に至るときには、圧縮気筒ではピストンが上死点に近づくにつれて当該気筒内の空気が圧縮されてピストンを押し返す方向に圧力が作用し、これによりエンジンが逆転して圧縮気筒のピストンが下死点側に押し返されると、膨張気筒のピストンが上死点側に移動し、それに伴い当該気筒内の空気が圧縮され、その圧力で膨張気筒のピストンが下死点側に押し返される。このようにしてピストンがある程度振動してから停止し、この際、圧縮気筒及び膨張気筒においてそれぞれピストンが上死点に近いほどこれを押し戻す力が大きいため、ピストンの停止位置は行程中間部に近い位置となる場合が多い。
【0069】
このようにエンジンが自動停止状態となった後にエンジン再始動条件が成立したとき、再始動が行われるが、この場合、エンジン停止時の膨張気筒のピストン位置が行程中間部付近の所定範囲A(図5参照)にあるときは、第1再始動制御モードのルーチン(図8)または第2再始動制御モードのルーチンが実行されることにより、圧縮気筒での点火、燃焼によりエンジンが多少逆転されてから、膨張気筒での点火、燃焼によりエンジンが正転方向に駆動される。
【0070】
すなわち、図9,図10に示す例によると、圧縮気筒であるNO.1気筒に対する燃料噴射後に点火、燃焼が行われることにより、この気筒のピストンが押し下げられてエンジンが逆転し、これにより、膨張気筒であるNO.2気筒ではピストンが上死点に近づき、当該気筒内の空気が圧縮されて筒内圧が上昇し、この状態で点火が行われて、当該気筒に既に噴射されている燃料が燃焼することにより、比較的大きな燃焼圧が膨張気筒のピストンに作用し、エンジン正転方向の駆動力が高められる。
【0071】
ところで、上記逆転時に、エンジン停止時の圧縮気筒(NO.1気筒)での初回燃焼による駆動力が大きすぎてエンジン停止時の膨張気筒(NO.2気筒)のピストン上死点(圧縮気筒のピストン下死点)を越えてしまうと、そのエンジン停止時の膨張気筒で点火、燃焼を行わせてもエンジン正転方向の駆動トルクが得られず、始動できなくなる。
【0072】
そこで、当実施形態の装置では、逆転初期の段階で圧縮気筒の下死点を越えてしまう過剰作動が生じないか否かが予測され、過剰作動が生じる可能性がある場合、膨張気筒(NO.2気筒)での燃焼に加えて膨張気筒化した吸気気筒(NO.3気筒)で燃焼を行わせ、且つ、これら膨張気筒および吸気気筒での燃焼を逆転移動の途中で行わせるようにしている。これにより、膨張気筒のピストン上死点(圧縮気筒のピストン下死点)に達する前に、上記膨張気筒及び吸気気筒の燃焼によりピストン逆転方向の移動が止められ、且つ、正転方向の駆動力が高められるため、再始動成功の確率が大幅に高められることとなる。
【0073】
なお、エンジン停止時の膨張気筒のピストン位置が上記所定範囲Aのうちで中間部より上死点寄りの範囲A1にあれば、圧縮気筒のピストンは下死点寄りとなるので、このピストンを下死点の近くまで移動させるのに必要なトルクが小さくなるとともに、圧縮気筒内の空気量が多くなることから、当該気筒の空燃比をリーンとするように燃料噴射量が制御される。それにより、逆転のための初回燃焼の後にも筒内に余剰空気が残されるので、この余剰空気に応じた燃料が噴射され、当該気筒が膨張行程に移行したとき再燃焼が行われ、始動性が高められる。一方、エンジン停止時の膨張気筒のピストン位置が上記所定範囲Aのうちで中間部より下死点寄りの範囲A2にあれば、圧縮気筒のピストンは上死点寄りとなるので、このピストンを下死点の近くまで移動させるのに比較的大きなトルクが必要となり、かつ、圧縮気筒内の空気量か比較的少ないことから、当該気筒の空燃比を理論空燃比もしくはこれよりリッチとするように燃料噴射量が制御され、この場合は上記再燃焼は行われない。
【0074】
また、上述のようにエンジン停止時のピストン位置は上記範囲A内となることが多いため、エンジン再始動時に殆どの場合は上記第1再始動制御モードまたは第2再始動制御モードの制御により良好に再始動が行われるが、稀にはエンジン停止時のピストン位置が上記範囲Aから外れる可能性があり、上記範囲Aよりも膨張気筒の上死点側(排気気筒の下死点側)に近寄りすぎた場合には、エンジン逆転方向の移動量を充分にとることができなくなるとともに、膨張気筒の空気量が少なくなるので膨張気筒での燃焼により得られるトルクが少なくなり、また、上記範囲Aよりも膨張気筒の下死点側(排気気筒の上死点側)に近寄りすぎた場合には、排気気筒の空気量が少なくなるのでエンジン逆転のためのトルクが充分に得られなくなるため、これらの場合には上記第1再始動制御モードによる再始動が困難になる。
【0075】
そこで、エンジン停止時のピストン位置が上記範囲Aから外れた場合には、第3再始動制御モードが実行されてスタータにより始動がアシストされる。
【0076】
なお、本発明の装置の具体的構成は上記実施形態に限定されず、種々変更可能である。他の実施形態を以下に説明する。
【0077】
図8に示す実施形態では、逆転によって圧縮気筒下死点を越える可能性があることが予測された場合の制御において、ステップS34で、膨張気筒及び膨張気筒化した吸気気筒の点火、燃焼を同時的に行わせるようになっているが、両気筒の燃焼を時間的に少しずらせてもよい。とくに、膨張気筒は再始動の開始時等の早い時期に燃料を噴射しておいて適当な時期に点火を行えばよいが、吸気気筒は、逆転によって圧縮気筒下死点を越える可能性があることが予測された後に吸気弁が閉じられてから燃料が噴射され、その後に気化、霧化のための時間が経過してから点火を行う必用があるので、膨張気筒よりも遅い時期に点火、燃焼を行わせることが好ましい。
【0078】
図8におけるステップS33で設定される吸気気筒の空燃比は、理論空燃比よりも多少リッチとする方が、正転方向の駆動力を高めるのに有利である。
【0079】
また、上記実施形態では、逆転によって圧縮気筒下死点を越える可能性があることが予測された場合、吸気気筒の吸気弁を閉じるとともに、この吸気気筒と膨張気筒の両気筒で燃焼を行わせるようにしているが、吸気気筒に対する燃料供給及び点火、燃焼を行わず、吸気気筒の吸気弁を閉じるようにするだけでもよい。このようにしても、逆転方向作動中に、吸気弁が閉じられることにより吸気行程の気筒内の圧力が上昇し、逆転方向作動に対する抵抗が増大するとともに、逆転により圧縮されることの反力でピストンを押し返して、正転を助勢する作用が得られる。
【0080】
また、上記実施形態では、再始動の初期に圧縮気筒で燃焼を行わせることでエンジンを逆転方向に作動させるようにしているが、その代わりに、エンジン停止時に排気行程にある気筒の排気弁を閉じることにより圧縮気筒化し、この圧縮行程化した排気気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行わせるようにしてもよく、要は、シリンダ容積が縮小する行程にある気筒に燃料の供給して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを逆転方向に作動させることができる。
【0081】
【発明の効果】
以上のように本発明のエンジンの始動装置によると、再始動時において、エンジンを逆転方向に作動させる始動初期に、逆転方向の過剰作動が生じるか否かを予測する予測手段と、この予測手段によって上記逆転方向の過剰作動が予測されたときに、いずれかの気筒がピストン上死点に達するまでの逆転方向作動中に、エンジン正転方向の駆動力を与える燃焼を実行させる制御手段とを備えているため、上記逆転により膨張行程気筒を圧縮して膨張行程での燃焼による駆動力を高めるようにし、しかも、いずれかの気筒がピストン上死点を越えてしまうような逆転方向の過剰作動を有効に防止することができる。従って、再始動成功の確率を大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による始動装置を備えたエンジンの概略断面図である。
【図2】上記エンジンの概略平面図である。
【図3】バルブ駆動変更手段の一例を示す断面図である。
【図4】制御手段によるエンジンの停止及び再始動のための制御のフローチャートである。
【図5】エンジン停止時のピストン位置に応じた再始動制御モード選択のための範囲の設定を示す説明図である。
【図6】エンジン停止時のピストン位置を検出するための処理を示すフローチャートである。
【図7】2つのクランク角センサからのクランク角信号を示すものであって、(a)はエンジン正転時の信号、(b)はエンジン逆転時の信号である。
【図8】第1再始動制御モードを示すフローチャートである。
【図9】エンジン再始動時の各気筒のサイクル及び燃料供給、点火のタイミング等を示すものであって、再始動初期のエンジン逆転方向の作動によって圧縮気筒下死点を越えないことが予測される場合の制御によるものを示す説明図である。
【図10】エンジン再始動時の各気筒のサイクル及び燃料供給、点火のタイミング等を示すものであって、再始動初期のエンジン逆転方向の作動によって圧縮気筒下死点を越える可能性があることが予測される場合の制御によるものを示す説明図である。
【図11】スタートアシスト実行判定の処理を示すフローチャートである。
【図12】第2再始動制御モードを示すフローチャートである。
【符号の説明】
3A〜3D 気筒
4 ピストン
5 燃焼室
7 点火プラグ
8 燃料噴射弁
30 ECU
30a 予測手段
30b 制御手段
31 スタータ

Claims (3)

  1. エンジン停止後の再始動条件成立時に、シリンダ容積が縮小する行程にある気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを逆転方向に所定量作動させてから、膨張行程にある気筒で燃焼を行わせることによりエンジンを正転方向に回転させて始動させるエンジンの始動装置において、
    エンジンを逆転方向に作動させる始動初期に、いずれかの気筒がピストン上死点を越えるような逆転方向の過剰作動が生じるか否かを予測する予測手段と、
    この予測手段によって上記逆転方向の過剰作動が予測されたときに、いずれかの気筒がピストン上死点に達するまでの逆転方向作動中に、エンジン正転方向の駆動力を与える燃焼を実行させる制御手段とを備え
    上記予測手段は、逆転方向へのピストン移動中の角速度を検出することにより逆転方向へのピストンの移動の勢いを調べるものであり、
    上記制御手段は、上記勢いが所定値以上に大きいとき、エンジン正転方向の駆動力を与える燃焼を実行させる制御として、エンジン停止時に吸気行程にある気筒の吸気弁を閉じるとともに、当該気筒に燃料を供給して点火することにより、当該気筒をエンジン停止時に膨張行程にある気筒とともに燃焼させるようになっていることを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. 上記制御手段は、吸気行程気筒側の燃焼時の空燃比を理論空燃比以下とするように、当該気筒に対する燃料供給量を制御することを特徴とする請求項記載のエンジンの始動装置。
  3. エンジン停止時にシリンダ容積が縮小する行程にある気筒に対する燃料の供給と膨張行程にある気筒に対する燃料の供給とを同時期に行うようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの始動装置。
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