JP3966054B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
鋼の連続鋳造においては、タンディシュに収容した溶鋼をその底部に設けた浸漬ノズルを通して連続鋳造用鋳型に供給するが、浸漬ノズルの吐出口から噴出する溶鋼の流速は鋳造速度に比較して著しく大きいため溶鋼中の介在物や気泡がクレーター深くに侵入しやすく、このような場合には内部欠陥になるのが避けられない。また、凝固シェルの再溶解の問題もあり、さらには溶鋼の噴流のうち、とくに上向きの流れ(反転流等)はモールドメニスカス部を盛り上がらせ湯面変動を助長してモールドパウダーを巻き込むことから鋳造鋳片の品質や鋳造操業に著しい悪影響を及ぼす。
【0002】
この発明は、とくに、溶鋼の供給量が従来の2倍を超えるような高速鋳造を行う場合において、連続鋳造用鋳型内における湯面変動やパウダーの巻き込みあるいは介在物等の巻き込み等を軽減して内部品質の改善を図るとともにその表面性状の健全化も合わせて図り、内・外品質の改善された鋳造鋳片を安定して得ようとするものである。
【0003】
【従来の技術】
浸漬ノズルからの溶鋼噴流を制御するには、従来は浸漬ノズルの吐出口の形状に工夫を加えたり溶鋼の注入速度を低減するのが一般的であった。
【0004】
しかしながら、浸漬ノズルの吐出口の形状を単に変更したり溶鋼の注入速度を低減するのみでは、溶鋼中に含まれる介在物等に起因した品質欠陥を完全に防止するのは困難であった。
【0005】
この点に関する先行技術として、例えば特開昭57−17356号公報には、連続鋳造用鋳型に静磁場発生装置を設置し、これによって浸漬ノズルからの溶鋼の噴出流に制動を加える方法が、また、特開平2−284750号公報には連続鋳造用鋳型の全面に静磁場を作用させ、これによって浸漬ノズルから溶鋼の噴出流に制動を加える技術がそれぞれ開示されている。
【0006】
ところで、上掲の特開昭57−17356号公報に開示の技術では溶鋼の噴流に制動を加えた際に、それがあたかも壁に当たったようにその向きを変えるが、噴流のもつエネルギーを分散して均一な流れにすることができず、また、噴流が静磁場のない方向に逃げるため、満足のいく結果を得ることができない不利があった。
【0007】
一方、特開平2−284750号公報に開示の技術においては、浸漬ノズルからの溶鋼の噴流の均一化を図ることが可能であるとともに、メニスカス部の湯面変動も小さくすることができ、鋳造鋳片の表面および内部の品質についてはある程度まで改善することができるようになったが、溶鋼のスループットが従来の2倍を超えるような高速鋳造を実施するような場合においては、以下のような問題があり未だ多少の改善の余地が残されていた。
【0008】
1)多孔式の浸漬ノズルを用いた場合、浸漬ノズルからの溶鋼噴流に伴う鋳型内での偏流の発生が避けられない。
2)多孔式の浸漬ノズルを用いた場合、溶鋼噴流の高速化によりノズル詰まりが発生した際に、鋳型内での偏流が大きくなって安定した連続鋳造を実現できない。
3)多孔式の浸漬ノズルを用いた場合、溶鋼噴流の高速化に伴い鋳型短辺での反転流も高速化するため湯面の流動増加によるパウダーの巻き込みが避けられない。なお、この点については単孔式の浸漬ノズルの適用が考えられるが、溶鋼噴流の下方部域に静磁場を印加すると鋳型内における戻り電流(誘導電流)の影響で溶鋼の反転上昇流が生じ湯面変動をきたしてパウダーの巻き込みが避けられない。
4)湯面の乱れが大きくなるためオシレーションに起因したマーク深さが深くなり、また、同時にオシレーションマークが乱れるため、圧延して得た鋼板に表面きず(コイル欠陥)が多発する。
5)鋳型内における湯面が波立ち、オシレーションマークが乱れるため均一なパウダー供給が困難となりスティッキング等の発生による拘束性ブレークアウトを起こしやすい。
6)浸漬ノズルからの溶鋼噴流による凝固シェルの再溶解のおそれがある。
【0009】
また、最近では連続鋳造用鋳型の下端部に、静磁場を印加して連続鋳造する方法(特開平7-51801 号公報、特開平7-51802 号公報) の他、連続鋳造用鋳型の下端に静磁場を印加するとともに、2本のノズルを用いて連続鋳造を行う方法 (特開平5-277641号公報) 等が提案されている。これらの技術はクラッド鋼の鋳造を対象としたものであるが、これによれば例えば浸漬ノズルからの溶鋼の噴流に対して適切な領域(連続鋳造用鋳型の短辺壁側の凝固シェルの近傍域等)に静磁場を印加することにより流速を小さくすることが可能であって、普通鋼の連続鋳造においても十分に適用することが可能である。
【0010】
しかしながら、これらの技術においては静磁場の値はいずれも0.5 T以下であるため、スループットが6〜10t/min にもなるような高速鋳造では溶鋼噴流によりメニスカス表面が乱れパウダーや介在物の巻き込み等が避けられず、製品に欠陥を生じさせることになしに鋳造できる量は極わずかなものに限定されてしまう不利があった。
【0011】
磁束密度をより高くしかつ、電力コストの軽減を図るべく、特公昭63−54470号公報には従来の常温磁石を超伝導磁石に交換する技術が開示されている。ところで、常電導電磁石であろうが、超伝導電磁石であろうが、静磁場の印加条件が悪い場合には却って欠陥が多発することがあり、とくに、スループットを従来の5t/min 程度から6t/min を超える高速鋳造を行う場合においては湯面の乱れや介在物の巻き込み等の問題から、かかる技術では、このような磁石を使用した磁場発生装置によって欠陥のない鋳造鋳片を得るのに必要な磁場の印加条件、鋳造条件については全く開示されていない。
【0012】
さらに、これに関連したものとして、特開平3−94959号公報には、超伝導電磁石とカプス磁場を用いて鋳造する方法が開示されているが、この方法による磁場の磁束密度は0.15T程度であり常電導磁石を用いた場合と比較してもかなり小さいことと、磁場の印加方式がカプスであることから高速鋳造の際に問題となる連続鋳造用鋳型内における湯面については制御不可能であった。
【0013】
なお、特開平4−52057号公報には、磁束密度が最大で0.5 Tになる静磁場を鋳型の下端に印加して欠陥の少ないスラブを鋳造する方法が開示されていて、これによって従来よりも気泡や介在物の巻き込みの軽減を図ることを可能とされているが、鋳造条件については従来と同様の条件であるため、高速鋳造には対応し得ない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
高スループット、高速鋳造を実現するために上述した1)〜6)についての解決を図る有効な提案は今のことろない。
この発明の目的は、高スループット、高速鋳造を実施する場合における上記の如き課題を解決しDHCR法(Direct Hot Charged Rolling) あるいはCC−DR法 (Continuous Casting Rolling) に適した無手入れ鋳造鋳片を製造するのに適した新規な連続鋳造方法を提案するところにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明は、連続鋳造用鋳型の対向側壁の相互間に静磁場を印加して、浸漬ノズルを通して該連続鋳造用鋳型内へ供給する溶鋼の噴流を制御するに当たり、6t/min 以上のスループットにして溶鋼を連続鋳造鋳型内へ供給するとともに、前記浸漬ノズルの吐出口の上下に各々電磁石を配置して連続鋳造用鋳型のメニスカス部に磁束密度が0.5 T以上になる静磁場を、浸漬ノズルの吐出口から噴出した溶鋼噴流の下方部域には磁束密度が0.5 T以上になる静磁場をそれぞれ同時に印加することを特徴とする鋼の連続鋳造方法(請求項1)である。
【0016】
この発明においては、溶鋼の供給中はS・F≧450 (S:連続鋳造用鋳型の上下ストローク(mm)、F:オシレーション数 (cpm)) の条件を満足するように連続鋳造用鋳型を振動させるのが好ましい。
【0017】
溶鋼の供給中にS・F≧450 の条件を満足させるにはSについては設備等の問題からその値はほぼ一定の値に設定されるのでオシレーション数Fの調整が必要になり、この発明において対象としている高スループット、高速鋳造ではFは好ましくは150cpm以上、より好ましくは200cpm以上に設定する。この場合、高い磁束密度が得られ装置の重量の軽減を図ることができる静磁場印加手段として、超電導磁石、それも鉄芯を有しない空芯超電導電磁石を用いる。
【0018】
【作用】
図1,図2は、浸漬ノズルを通過する溶鋼(C:20〜30ppm ,Mn: 0.1〜0.2wt %,P:0.01〜0.012wt %,S: 0.006〜0.010wt %,Al: 0.032〜0.045wt%,T .0:22〜32ppm )の量Q、すなわちスループットを4t/min 、7t/min 、10t/min として、それぞれの場合につき、タンディッシュ溶鋼温度Tt :1555〜1560℃,1チャージ:230 t,鋳型サイズ:260mm ×1300mm,垂直曲げ連鋳機(垂直部3m),浸漬ノズル:2孔ノズル,ノズル径:内径70mm,吐出口サイズ:70mm×80mmの角型、ノズル角度:下向き15°、ノズル閉塞防止用ガス (Arガス) の吹き込み無しの条件で連続鋳造を行い、連続鋳造中に印加した静磁場(磁場の印加タイプ:上下2段全幅タイプでL1 =250 mm, L2 =250 mm, 図8参照、磁束密度:0〜10T印加可能)の磁束密度と鋳型内湯面温度(指数)および浸漬ノズルのノズル詰まり(指数)との関係をそれぞれ調査した結果を示したものである。なお、図1, 2においては磁束密度はメニスカス部で0.5 T、溶鋼噴流の下方部域で0〜5Tの範囲で調整し、ストロークおよびオシレーション条件については図1では鋳型ストローク:8〜10mm, オシレーション:187 〜257 cpm 、図2では鋳型ストローク:7〜9mm, オシレーション:170 〜220cpmとした。
【0019】
メニスカス部において0.5 T以上になる静磁場を印加し、かつ溶鋼噴流の下方部域において磁束密度が0.5T以上になる静磁場を印加して溶鋼の噴流を制御する場合においては、鋳型内における湯面温度の低下は小さくなり(図1)、ノズル吐出口での溶鋼噴流の整流化作用によってノズル詰まりも小さくなる(図2)。とくに0.5Tでその効果が表れはじめ0.7T近傍で効果が顕著となる。
【0020】
溶鋼噴流を制御するために印加する磁場に関しては単に磁束密度を高くすればよいというものではなく溶鋼噴流に対する磁場の印加長さを特定の範囲とすることが重要な要素となってくる。溶鋼の噴流を制御できる磁場印加長さは、溶鋼流動の運動エネルギーを停止若しくは減速させられるだけの制動力を与えられる範囲と考えられ、一般に、磁場中で流動している導電性流体が磁場から受けるエネルギーEは流体の平均流速をV1 、磁束密度をB、導電性流体の抵抗率をρ、磁場印加長さをL (図6参照) とした場合、E∝ (V1 /ρ) ・B2 ・Lで表すことができる。とくに溶鋼のスループットが6t/min 以上の高速鋳造においては溶鋼の流速を低減させるまでに必要な磁場印加長さLは、モデル実験等より比例係数を求めて、k・Q/B≦L (k:5.5,L(mm),B (T),Q (t/min ))で表すことができる。
この発明においてはメニスカス部の磁場印加長さの最小値は50mm程度とすることが、また、溶鋼噴流の下方部域の磁場印加長さの最小値についても50mm程度とするのがよい。
【0021】
空芯超電導電磁石を使用して静磁場を印加する場合、磁場印加長さLは電磁石の巻き線の上下端の間隔とし、磁束密度Bは磁場印加長さLにおける鋳型の1/2厚さで最大磁束密度とする。磁場印加用の電磁石を複数個使用する場合にはL1+L2---Ln =Lになる。
【0022】
鋳造用鋳連続型のメニスカス部において磁束密度が0.5 T以上になる静磁場を印加し同時に溶鋼噴流の下方部域に磁束密度が0.5T以上になる静磁場を印加することにより、多孔式ノズルを使用した場合における溶鋼の反転流による湯面の変動は抑制され、同時に浸漬ノズルを流下する溶鋼が整流化されるためノズル内およびノズル吐出口部での溶鋼の流れが均一になりノズル閉塞のおそれが少なくなる。
【0023】
また、単孔式の浸漬ノズルの場合にはメニスカス部および溶鋼噴流の下方部域に同時に0.5 T以上の静磁場を印加することにより、溶鋼の反転上昇流による湯面の変動は抑制されるとともに、高スループット、高速鋳造において懸念される溶鋼噴流の凝固シェルへの衝突が回避され再溶解の危険も極めて軽減されたものとなる。
【0024】
図3、図4は、磁束密度について、コイル欠陥発生率、ブレークアウト発生率を調査した結果を示したもの(図3はストローク:6〜8mm, オシレーション数:180 〜190 cpm 、図4はストローク:6〜8mm, オシレーション数:240 〜260 cpm,他の条件は図1, 2の場合と同じ) であるが、メニスカス部および溶鋼噴流の下方部域共に磁束密度が 0.5T以上になる静磁場を印加した場合においてはパウダーの巻き込みやブレークアウトの発生率も極めて小さくなる。なお、この場合、メニスカス部に印加する静磁場の磁束密度を0.35T以下とした場合についてはスループットが6t/min以上であっても単孔ノズル、多孔ノズルにかかわりなくコイル欠陥発生率は0.25%以上になる。
【0025】
また、図5に磁束密度を0〜1.25Tとした場合における連続鋳造用鋳型内の溶鋼湯面のスーパーヒートと鋳片表面のオッシレーションマークのつめ深さの関係を示した。図1、図5より、メニスカス部および溶鋼噴流の下方部記につき同時に磁束密度の高い静磁場を印加し鋳型内の溶鋼湯面のスーパーヒートを高い状態に維持することによってつめ深さも軽減される。このつめ深さが軽減されれば当該部に捕捉される介在物、パウダー、気泡が減少するために冷延コイル製品の欠陥率が低下するものと考えられる。
【0026】
溶鋼のスループットが6t/min以上になる高速鋳造を対象としたこの発明においては、浸漬ノズルによる溶鋼の供給中、S・F≧450(S:連続鋳造用鋳型の上下ストローク (振幅の最大値から最小値の間の値)(mm) 、F:オシレーション数 (cpm)) の条件を満足するような連続鋳造を行うことが望ましい。その理由は、この発明において目指したような高スループット、高速鋳造を実施する場合、ブレークアウトや鋳造鋳片の内部欠陥の発生防止を図るうえでは溶鋼流動を安定化させることが大きな要因になるが、モールドパウダーを安定して流れ込ませることも重要であって、そのためにはとくに上記の条件下で連続鋳造を行う必要があり、これによりオシレーションマークの乱れはなくなり、そのマークの深さは軽減される。この条件はより好ましくはS・F≧1000とする。
【0027】
なお、オシレーション数 (振動数) Fについてはその数値を高くすることによりパウダーの消費量が多くなりオシレーションマークの深さは低減されるので好ましく150 cpm 以上、より好ましくは200 cpm 以上とする。また、最大値はオシレーション波形の乱れ度の軽減、パウダー消費量の確保等から600cpm程度とする。
【0028】
直接圧延を前提とした表面無手入れ鋳造鋳片を製造すべく、とくに溶鋼のスループットを6t/min 以上、好ましくは7t/min 、より好ましくは10t/min以上にして行う高速鋳造においては、上記の効果はより一層顕著となるだけでなく、温度の高い溶鋼が連続鋳造用鋳型の出側よりも下側に深く侵入するのを阻止できるので凝固シェルの再溶解も回避される。ここに、溶鋼のスループット6t/min は、厚さ0.22m、幅 1.2mのスラブの連続鋳造を前提とした場合であって、鋳造速度Vc は2.9 m/min 程度となる。
【0029】
図6a,bに、この発明を実施するのに用いて好適な設備(連続鋳造用鋳型)の構成を示す。
【0030】
図における番号1は一対の短辺壁1aと長辺壁1bの組合せからなる連続鋳造用鋳型、2は連続鋳造用鋳型1へ溶鋼を供給する浸漬ノズル、3は連続鋳造用鋳型1の長辺壁1bの相互間に静磁場を印加する電磁石(超電導電磁石) であって、この電磁石3は連続鋳造用鋳型1の背面で浸漬ノズル2の吐出口2aの上下に位置するように各々配置される。
【0031】
上掲図6a,bに示した設備において、浸漬ノズル2による溶鋼の供給中、磁石3にて磁束密度が0.5 T以上の静磁場を印加 (メニスカス部:0.5 T, 溶鋼噴流の下方部域:0.5 T) するとこの静磁場と溶鋼流との相互作用で生じる誘導電流に由来した電磁力(ローレンツ力)にて溶鋼流に制動が加えられ減速された均一な流れとなり、また、モールドパウダーを巻き込んだり介在物が深く侵入して凝固シェルに捕捉されるようなことはない。
【0032】
また、図6a、bに示すように、浸漬ノズル2の吐出口2aの上下に電磁石3を配置したことにより上下の電磁石間に溶鋼噴流を封じ込めることができるので、介在物を含む噴流の侵入深さの減少とメニスカスの鎮静化が同時に達成されるだけでなく、鋳型内における溶鋼の温度降下も抑制される。
【0033】
上掲図6においてはすべて多孔式の浸漬ノズルについて示したが、この発明では単孔式の浸漬ノズルを適用することができるのはいうまでもなく、得られる効果もほぼ同様となる 。
【0034】
図7a、bは浸漬ノズルとして単孔式のストレートノズルを適用した場合について示したものである。このような浸漬ノズルはとくに溶鋼噴流が深く侵入するため凝固シェルの再溶解、介在物、ガス気泡の侵入が懸念されるが、浸漬ノズルの下側の電磁石によって溶鋼の流速が減速されると同時に介在物、ガス気泡の侵入が阻止され、さらに下向きの流れは均一化される。一方、メニスカス部についてはその領域に配置した電磁石による磁場の印加によって戻り電流 (誘導電流)と磁場で形成される上昇流は弱められ湯面の乱れは小さくなる。
【0035】
なお、図7a,bに示したように上下に電磁石を配置する場合にはその配置は浸漬ノズルの配置関係から磁場の印加がより有効に作用する領域にすればよいが、磁極については上下と対向面でそれぞれ異極とするのが望ましい。
【0036】
図8は、この発明を実施するのに用いて好適な空芯静磁場発生用電磁石3の構成をしたものである。電磁石3はヘリウム槽、輻射断熱シールドおよびこれらを取り囲み対流による熱の入り込みを防止する真空容器を有し、ヘリウム槽は液体ヘリウムコンテナーに、輻射断熱シールドは液体窒素コンテナーにそれぞれつながっている。電磁石3は常時、液体ヘリウムによって冷却され−268.9 ℃以下に保持されるようになっている。輻射断熱シールドへは液体窒素コンテナーより液体窒素が常時供給され外部の熱が直接ヘリウム槽に届かないようになっている。各コンテナーは、図示はしないが冷凍機を有していて、気体となったそれぞれのガスを再度冷却、液化しそれぞれのコンテナーに回収する仕組みになっている。
【0037】
静磁場発生用電磁石として上掲図10に示すような超電導電磁石を使用すれば、高い磁束密度が得られるだけでなく鉄心がいらないので、従来の常電導式の電磁石に比較して軽量化を図ることができ、また、常時、通電する必要がないので省エネルギーを達成するうえでも極めて有利となる。
【0038】
【実施例】
C:10〜15ppm , Mn:0.15〜0.2 wt%, P:0.02〜0.025 wt%, S:0.008 〜0.012 wt%, Al:0.025 〜0.035 wt%,T.O:25〜31ppm の成分組成になる溶鋼を用いて、長辺壁間の間隔 (鋳造鋳片の厚さに対応する) が220mm ,短辺壁間の間隔 (鋳造鋳片の幅に対応する) が1600mmで、長辺壁の背面に縦200mm ,幅2000mmの静磁場発生用超電導電磁石(種類Nb- Ti線)を配置した図6, 図7に示したような構造になる鋳型を有する連続鋳造機にて、
Figure 0003966054
の条件のもとで厚さ 220mm、幅1600mmのスラブを600 チャージ、1チャージ当たり 260トンそれぞれ鋳造し、鋳造時におけるノズル詰まり、ブレークアウトの発生状況および得られたスラブの内部品質、表面品質 (コイル欠陥率) について調査した。その結果を、静磁場を印加しない他はすべて同一の条件で連続鋳造を行った比較法で得られたスラブの品質とともに表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0003966054
【0040】
表1より明らかなように、この発明に従えば、圧延製品板の表面品質の改善を図ることが可能であるだけでなく、内部も高い品質にすることができ、高スループット、高速鋳造において無手入れ鋳造鋳片を安定して製造できることが確認できた。
【0041】
【発明の効果】
かくしてこの発明によれば鋳型内の溶鋼湯面温度の低下が小さいのでノズル詰まりを起こすことが極めて少なく、また、モールドパウダーの巻き込み、介在物の巻き込み、オシレーションに起因した表面欠陥等が軽減され、さらにはシェルの再溶解も回避できるので内、外ともに品質の良好な鋳造鋳片を安定して製造できる。また、鋳型のオシレーション数が高いのでマークの深さが小さくなり、加えて爪深さも低減されるのでコイル欠陥を著しく軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 連続鋳造用鋳型内における溶鋼湯面温度と磁束密度 (溶鋼噴流の下方部域において静磁場を印加した場合の磁束密度) の関係を示した図である。
【図2】 ノズル詰まりと磁束密度 (溶鋼噴流の下方部域において静磁場を印加した場合) の関係を示した図である。
【図3】 冷延コイル欠陥と磁束密度 (溶鋼噴流の下方部域において静磁場を印加した場合) の関係を示した図である。
【図4】 ブレークアウト発生率と磁束密度 (溶鋼噴流の下方部域において静磁場を印加した場合) の関係を示した図である。
【図5】 オッシレーションマーク部つめ深さと溶鋼のスーパーヒートとの関係を示した図である。
【図6】 a, bはこの発明を実施するのに用いて好適な設備の構成を示した図である。
【図7】 a, bはこの発明を実施するのに用いて好適な設備の構成を示した図である。
【図8】 静磁場発生用超電導磁石の構成を示した図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造用鋳型
1a短辺壁
1b長辺壁
2 浸漬ノズル
2a吐出口
3 静磁場発生用電磁石 (空芯超電導磁石)

Claims (2)

  1. 連続鋳造用鋳型の対向側壁の相互間に静磁場を印加して、浸漬ノズルを通して該連続鋳造用鋳型内へ供給する溶鋼の噴流を制御するに当たり、
    6t/min 以上のスループットにして溶鋼を連続鋳造鋳型内へ供給するとともに、前記浸漬ノズルの吐出口の上下に各々電磁石を配置して連続鋳造用鋳型のメニスカス部に磁束密度が0.5 T以上になる静磁場を、浸漬ノズルの吐出口から噴出した溶鋼噴流の下方部域には磁束密度が0.5 T以上になる静磁場をそれぞれ同時に印加することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  2. 溶鋼の供給中に下記式を満足するように連続鋳造用鋳型を振動させる、請求項1記載の方法。

    S・F≧450
    S:連続鋳造用鋳型の上下ストローク(mm)
    F:オシレーション数 (cpm)
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