JP3186649B2 - 溶融金属の連続鋳造方法 - Google Patents

溶融金属の連続鋳造方法

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JP3186649B2 JP17158297A JP17158297A JP3186649B2 JP 3186649 B2 JP3186649 B2 JP 3186649B2 JP 17158297 A JP17158297 A JP 17158297A JP 17158297 A JP17158297 A JP 17158297A JP 3186649 B2 JP3186649 B2 JP 3186649B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、導電性溶融金属
の連続鋳造に際し、鋳型内溶融金属の流動を適正に制御
することによって鋳造の高速化および鋳片の品質の改善
を可能にする連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融金属の連続鋳造においては、浸漬ノ
ズルから溶融金属を鋳型内に吐出させる注入方法が一般
に採用されている。連続鋳造法では、鋳造の高速化と鋳
片の品質の改善(割れやパウダーの巻き込みなどによる
表面欠陥および介在物や気泡などによる内部欠陥の減
少)を行うことは、究極の課題である。
【0003】図4は、通常の連続鋳造鋳型内の溶融金属
の流動を模式的に示した鋳型短辺中心での縦断面図であ
る。同図に示すように、スラブ鋳片の連続鋳造では、鋳
型1の長手方向に均一に溶融金属6を注入するため、浸漬
ノズル2から鋳型短辺側壁1Bに向けて溶融金属6を吐出さ
せる。この吐出流15が鋳型短辺側壁1Bに突き当たると、
二次上昇流16と二次下降流18を生ずる。
【0004】鋳造速度を高くすると、単位時間当たりの
溶融金属の注入量が増えるため、吐出流15の鋳型短辺側
壁1Bへの衝突流速が高くなり、凝固したシェル8が再溶
解することによって鋳片9に表面割れやブレークアウト
などの操業トラブルが頻発する。また、二次下降流18の
流速も高くなるため、浸漬ノズル閉塞防止用に吹き込ま
れる不活性ガスや介在物が鋳片内部へ持ち込まれ、鋳片
の内質を悪化させる。さらに、二次上昇流16の流速も同
様に高くなり、メニスカス湯面を変動させ、溶融金属面
を被覆している溶融パウダー11がメニスカス7の下に巻
き込まれ、鋳片における表皮下欠陥の原因となる。
【0005】このような操業上、品質上の問題点を解決
するために、静磁場を利用した溶融金属の流動制御技術
の開発が進められてきた。
【0006】例えば、特公平5-55220 号公報には、静磁
場を浸漬ノズルからの溶鋼吐出流路を含まない上段およ
び下段の鋳型長辺全幅領域に印加する方法と装置が開示
されている。この方法では、浸漬ノズルからの溶鋼吐出
流が鋳型短辺に衝突して生ずる二次上昇流および二次下
降流を抑制できるので、介在物や気泡が効果的に溶鋼か
ら分離できる。しかし、この方法では鋳型短辺側壁への
衝突流速が抑制できず、鋳片短辺側の凝固シェルを再溶
解することによって鋳片の表面割れやブレークアウトな
ど操業トラブルを誘発する危険性がある。したがって、
鋳造速度の高速化にも自ずから限界がある。
【0007】特開平2-284750号公報には、静磁場を浸漬
ノズル吐出孔を含む鋳型長辺全幅領域、または吐出孔の
上下の鋳型長辺全幅に印加する方法が開示されている。
吐出孔を含む領域に印加する方法では浸漬ノズルからの
吐出流速を低減できるので鋳型短辺側壁への衝突流が抑
制され、高速鋳造の条件下でも鋳型短辺側の凝固シェル
が再溶解することによる鋳片の表面割れやブレークアウ
トなどの操業トラブルを防止することができる。しか
し、吐出流のみに静磁場を印加すると磁場の印加領域を
迂回する強い上昇流と下降流を生じるため、鋳片の品質
が低下する。
【0008】本出願人は上記の問題を解決するため、鋳
型内の溶融金属に対し静磁場を印加する領域を上段、中
段および下段に区分し、各段ごとに静磁場強度を調整す
る連続鋳造方法とその装置を提案した(特開平8-10917
号公報参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】連続鋳造鋳型内の溶融
金属に静磁場を印加する領域を上段、中段および下段に
区分し、各段ごとに静磁場強度を調整する特開平8-1091
7号公報で提案した方法であっても、高速鋳造を指向す
ると、単位時間に鋳型内に供給される溶融金属量(すな
わち、「鋳型の水平断面積×鋳片引き抜き速度×比重」
によって計算される溶融金属量であり、以下、これを単
に「スループット」と記載する)が増大するため、浸漬
ノズルから吐出される溶融金属は鋳型短辺側壁に衝突し
た後に、強烈な二次上昇流と二次下降流を形成する。ま
た、鋳型短辺側壁への衝突流もスループットの増大とと
もに大きくなる。このため、鋳片のブレークアウトなど
の操業トラブルを発生させずに、なおかつ表面性状、内
質ともに良好な鋳片を得るのは困難である。ここで、
「高速鋳造」とは、スループットが5トン/分以上の連
続鋳造条件をいう。
【0010】本発明の目的は、上記鋳型内の溶融金属に
静磁場を印加する領域を上段、中段および下段に区分
し、各段ごとに静磁場強度を調整する連続鋳造を高速鋳
造条件下においても鋳片のブレークアウトなどの操業ト
ラブルを発生させずに、なおかつ表面性状、内質ともに
良好な鋳片を製造できる溶融金属の連続鋳造方法を提供
するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
連続鋳造方法にある。
【0012】鋳型内の溶融金属に静磁場を印加する領域
を下記に示す上段U、中段Mおよび下段Lに区分し、各段
ごとに静磁場強度を調整する連続鋳造方法であって、上
段における静磁場強度を1000〜3000ガウス、中段におけ
る静磁場印加方向を上段および下段のそれと反対方向と
し、前記上段の静磁場強度を1とした場合に中段を0.5
から1.0までの範囲、下段を0.5から1.5までの範囲に調
整する連続鋳造方法(図1参照)。
【0013】上段:メニスカス8を含み、浸漬ノズル2か
らの吐出流路15Bを含まない上方部分、 中段:浸漬ノズルからの吐出流路を含む中間部分、 下段:浸漬ノズルからの吐出流路を含まない下方部分、 ここで、「吐出流路」とは、静磁場を印加しないときの
浸漬ノズル2から吐出された溶融金属が鋳型短辺1Bの側
壁に衝突するまでの流路である(図4参照)。
【0014】
【発明の実施の形態】スループットが5トン/分以上と
なると、浸漬ノズルから吐出される溶融金属は鋳型短辺
側壁に衝突した後に、強烈な二次上昇流と二次下降流を
形成する。また、鋳型短辺側壁への衝突流もスループッ
トの増大とともに大きくなる。これを回避するために
は、各段における静磁場の印加強度を設定する必要があ
ることがわかった。
【0015】(1)上段における静磁場強度:高速鋳造の
条件では、前述したように二次上昇流が大きくなり、こ
れを十分抑制するには、上段における静磁場強度を1000
ガウス以上にする必要がある。しかし、3000ガウスを超
えるとメニスカス流の停滞を招き、かえって鋳片表皮下
介在物が増加する。したがって、上段における静磁場強
度は1000〜3000ガウスとした。
【0016】(2)中段の静磁場印加方向:中段における
静磁場の印加方向を上段および下段と同じ方向に設定す
ると、メニスカス湯面への熱供給が不十分となるため、
鋳片の表皮下介在物が増加する。したがって、中段にお
ける静磁場の印加方向は上段および下段のそれと反対方
向に設定することが肝要である。
【0017】(3)各段における静磁場強度の割合:中段
における静磁場強度が強すぎると、中段磁極中央部の位
置で抑制された吐出流の水平方向成分が強まり、メニス
カス湯面の安定性を悪化させるため上段における静磁場
強度と同等またはそれ以下とする。しかし、上段静磁場
強度の0.5倍未満となると吐出流の抑制が不十分とな
り、二次下降流、二次上昇流により鋳片の内質、表皮下
介在物ともに悪化する。また、ブレークアウト発生頻度
も増加する。
【0018】次に本発明に使用する連続鋳造装置と、鋳
型内の溶融金属の流動制御について説明する。
【0019】図1は、鋳型の高さ方向の3段に電磁石を
配置した連続鋳造装置の一例を示す斜視図である。ま
た、図2は、図1のX-Xで示す断面を鋳型の短辺側から
見た縦断面図である。
【0020】両図において、鋳型1の長辺1Aの両側壁外
面の上段U、中段Mおよび下段Lの3段に鋳込み方向から
見てコの字形の鉄心3Bを配置し、鉄心の平行部3Cにコイ
ル3Aを巻回し、鋳型を挟む磁極3Dを形成し、浸漬ノズル
2の両側に磁場を形成する一対の磁石3(図では電磁石)
が設けられている。
【0021】電磁石は、コの字形の鉄心3Bの2つの平行
部3Cに、それぞれコイル3Aを巻回し、図2に示すように
可変抵抗器4を介して直流電源を接続する。鋳片の短辺
を挟んで相対する磁極の極性を反対にして、鋳型の短辺
方向に磁場を形成させる。それぞれのコイルに供給する
電流の大きさ、または方向を変えることによって、磁場
強度または磁場分布を変えることができる。
【0022】上記の3段の領域は、静磁場を印加しない
通常の鋳造状態に基づいて定められる。即ち、前述の図
4に破線で示すように、吐出流15が斜め下方に進行し、
鋳型短辺側壁1Bに衝突するまでの流路15Bを「吐出流
路」と定義し、中段Mは、この吐出流路の少なくとも一
部を含む位置に設定する。上段Uは、吐出流を含まず、
それよりも上方にあり、かつ鋳型内溶融金属7のメニス
カス7を含む領域、即ちメニスカス流17を含む領域、下
段Lは吐出流を含まずそれよりも下方に設定する。
【0023】このように電磁石を配置することにより磁
場の分布を任意に設定することができ、種々の鋳造条件
に対して浸漬ノズルからの吐出流の流動制御の最適化を
図ることができる。
【0024】次に、上記の装置を用いた連続鋳造方法に
ついて説明する。
【0025】図3は、静磁場を3段に分けて溶融金属に
印加したときの鋳型内の溶融金属の流動を示す縦断面図
である。これに用いた鋳造装置は、図1および図2に示
すように、鋳型1の鋳型長辺の両側壁外面の上段U、中段
Mおよび下段Lの3段に各々磁極が対向する電磁石が設け
られている。これら3対の電磁石によって、各段に発生
する静磁場強度を各段ごとに独立して調整することがで
きる。
【0026】二次上昇流16は、ほぼ垂直方向に上昇し、
静磁場強度が調整された上段磁極中心線12の位置で流速
が抑制される。そして、二次上昇抑制流16Aはメニスカ
ス7近傍で水平方向に転じて流速変動のないメニスカス
流17を生ずる。これにより湯面変動が抑制され、溶融パ
ウダー11の巻き込みが防止される。吐出抑制流15Aが鋳
型短辺側壁1Bに衝突して生じる二次下降流18は、ほぼ垂
直方向に下降し、中段磁極中心線13の位置で弱い二次下
降抑制流18Aを生じる。この抑制流は、静磁場強度が調
整された下段磁極中心線14の位置で失速する。これによ
り、二次下降流18に伴って非金属介在物や気泡が鋳片9
の内部へ持ち込まれるのを防止することができる。
【0027】
【実施例】
(実施例1)内壁寸法が、長辺幅1600mm、短辺幅 270m
m、高さ 900mmの水冷銅鋳型を備えた2ストランドスラ
ブ連続鋳造設備を用いて、低炭素アルミキルド鋼のスラ
ブ鋳片をスループット3〜7トン/分として鋳造した。
浸漬ノズルの吐出孔は、鋳型短辺に対向する側に2孔を
設けた。鋳型内溶鋼の流動の制御装置としては、前記図
1に示す電磁石を用い磁場を印加する場合と印加しない
場合の試験を行った。磁場の印加は、上段を2000ガウ
ス、中段を−1500ガウス、下段を2000ガウスとした。な
お、磁場を印加しない場合のデータは、流動制御装置を
備えないストランドにおいて、同一条件で鋳造すること
によって得た。
【0028】図5は、スループットを3〜7トン/分と
して磁場印加する場合と印加しない場合の湯面変動を比
較した図である。湯面変動量は、渦流式レベル計によっ
て測定したメニスカス湯面レベルの標準偏差値であり、
磁場を印加しないときのスループットが3トン/分の場
合を1.0として、その相対値で示した。図5から、磁場
を印加しない従来法では、湯面変動はスループットの増
加とともに約3.5倍に増大するが、磁場を印加した本発
明法の場合では、1.6倍以下の変動である。
【0029】湯面変動は、鋳型内の二次上昇流に起因す
るメニスカス流の変動によって引き起こされるので、メ
ニスカス流に比例する。また、湯面変動が大きくなると
パウダーの巻き込み頻度が増加するので、鋳片表皮下介
在物量も増加する。
【0030】これらは、スループット量が7トン/分ま
での試験であるが、鋳型断面積の大きな鋳型では、7ト
ン/分を超えるが、7トン/分を超えても同様な効果が
得られることが予想される。
【0031】(実施例2)実施例1と同様な試験条件で
スループットを6.7トン/分として、各段に印加する磁
場強度を表1および表2に示すように変化させて鋳造試
験を行った。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】発明例1(ケースNo.1からケースNo.3ま
で)は、上段および下段の静磁場強度を2000ガウスと
し、中段の静磁場強度を上段と反対方向の向きで上段と
の比で0.5から1.0の範囲で変化させた例である。
【0035】発明例2(ケースNo.4およびケースNo.
5)は、上段および中段の静磁場強度をそれぞれ2000ガ
ウスおよび−1500ガウスとして、下段の静磁場強度を上
段との比で0.5から1.5の範囲で変化させた例である。
【0036】発明例3(ケースNo.6からケースNo.9ま
で)は、上段の静磁場強度を1000ガウスから3000ガウス
まで変化させた例である。
【0037】(比較例)これらに対し、比較例1(ケー
スNo.10から12まで)は、表2に示すように中段の静磁
場印加条件を本発明で定める範囲外とした例であり、ケ
ースNo.10は中段の静磁場印加方向を上段および下段と
同方向にした場合、ケースNo.11は中段の静磁場印加強
度を上段よりも大きくした場合、ケースNo.12は中段の
静磁場強度を上段との比で0.5よりも小さくした場合で
ある。比較例2(ケースNo.13およびケースNo.14)は、
上段の静磁場強度を本発明で定める範囲外とした例であ
る。比較例3(ケースNo.15およびケースNo.16)は、下
段の静磁場強度を本発明で定める範囲外とした例であ
る。また、参考例のケースNo.17は、全段とも静磁場を
印加しないベース条件の例であり、ケースNo.18は、印
加方向を同じにして、中段の磁場強度を大きくした例で
ある。
【0038】ブレークアウト指数は、ケースNo.17の場
合に発生するブレークアウト発生回数を1.00とする相対
値で示した。メニスカス安定性指数は、連続鋳造中に渦
流式湯面レベル計にて測定されたメニスカス湯面レベル
の標準偏差値であり、ケースNo.17の場合を1.00として
その相対値で示した。鋳片内介在物指数は、顕微鏡によ
り鋳片内の 20μm以上の介在物個数を計量し、ケースN
o.17の介在物個数を1.00としてその相対値で示した。鋳
片内気泡指数は、顕微鏡により鋳片内の 50μm以上の
気泡個数を計量し、ケースNo.17の気泡個数を1.00とし
てその相対値で示した。表面清浄性指数は、鋳片の表面
から10mm以内の領域について、顕微鏡により鋳片内の20
μm以上の介在物個数を計量し、ケースNo.17の介在物
個数を1.00としてその相対値で示した。いずれも相対値
の小さい方が良好である。
【0039】これらの測定結果を表1および表2に併せ
て示す。
【0040】表1から、発明例のケースNo.1からケー
スNo.9までは、各評価項目の相対指数が1.00以下であ
り、いずれも向上していることがわかる。これは、溶融
金属の吐出流、二次上昇流および二次下降流が、磁場印
加によってバランスよく制御された結果である。
【0041】これに対し表2から、比較例のケースNo.1
0は、中段の磁場印加方向を上段および下段と同方向に
した場合であるが、表面清浄性指数が悪化していること
がわかる。これは、鋳型長さ方向全域に静磁場が印加さ
れるため、吐出流の水平成分も大きく抑制され、その結
果、二次上昇流が抑制必要以上に低下することによって
メニスカス湯面への熱供給が不足するためである。
【0042】ケースNo.11は、中段の静磁場印加強度を
上段よりも大きくした場合であるが、中段の静磁場強度
を必要以上に大きくしたため、吐出流の垂直成分の抑制
効果が顕著となり、その結果、二次上昇流が強まるため
にメニスカス湯面の安定性が劣る傾向が見られ、また、
それに伴ってブークアウト指数や表面性状指数も悪化し
た。
【0043】ケースNo.12は、中段に十分な静磁場を印
加しない場合であるが、吐出流が抑制されないまま鋳型
短辺側壁に衝突するので衝突流、二次上昇流および二次
下降流の流速が大きく、そのため、ブレークアウトの発
生回数が増加した。また、二次上昇流が大きいため、上
段に静磁場を印加してもメニスカス流速の抑制は十分で
なく、メニスカス安定性も劣っている。さらには、二次
下降流も抑制が不十分であるため、鋳片内介在物や気泡
の個数にも改善効果は見られなかった。
【0044】ケースNo.13は、上段の静磁場強度が小さ
い場合であるが、メニスカス安定性が確保できず、鋳片
表面清浄性も改善できていない。これは、メニスカス流
の抑制が不十分であるためである。
【0045】ケースNo.14は、上段の静磁場強度が大き
い場合であるが、鋳片表面清浄性の悪化が認められた。
これは、静磁場強度が大きすぎるためメニスカス流が停
滞し、メニスカス近傍の溶鋼温度が下がることが原因で
ある。
【0046】ケースNo.15は、下段の静磁場強度が小さ
い場合であるが、下降流の抑制が不十分であり、したが
って内質の改善効果が小さい。
【0047】ケースNo.16は、下段の静磁場強度が大き
い場合であるが、二次下降流の抑制が顕著であるため、
内質の改善は認められるが、その分二次上昇流が顕著に
現れるため、メニスカスの安定性が劣る結果となってい
る。
【0048】ケースNo.18は、印加方向を同じにして、
中段の磁場強度を大きくした例であるが、吐出流の抑制
効果が大きいのでブレークアウト指数、鋳片内介在物指
数および鋳片内気泡指数が低下するが、メニスカス安定
性指数および表面清浄性指数には顕著な効果が得られな
かった。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、連続鋳造における鋳型内の溶融金属の流動を適正
に制御することができるので、高スループット鋳造時の
ブレークアウトの発生を防止しつつ、非金属介在物や気
泡の発生抑制を図ることが可能である。従って、鋳造速
度のさらなる高速化への対応も図ることができ、しかも
良好な表面性状および内質を有する鋳片の製造が可能と
なった。本発明は普通鋼の鋳造のみならず、ステンレス
鋼や銅のような非鉄金属の連続鋳造にも適用することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳型の高さ方向の3段に電磁石を配置した連続
鋳造装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のX-Xで示す断面を鋳型の短辺側から見た
縦断面図である。
【図3】静磁場を3段に分けて溶融金属に印加したとき
の鋳型内の溶融金属の流動を示す縦断面図である。
【図4】通常の連続鋳造鋳型内の溶融金属の流動を模式
的に示した鋳型短辺中心での縦断面図である。
【図5】スループットを3〜7トン/分として磁場印加
する場合と印加しない場合の湯面変動を比較した図であ
る。
【符号の説明】
1.鋳型 1A.鋳型長辺側壁 1B.鋳型短辺側壁 2.浸漬ノズル 2A.吐出孔 3.電磁石 3A.コイル 3B.鉄芯 4.可変抵抗器 5.直流電源 6.溶融金属 7.メニスカス 8.凝固シェル 9.鋳片 10.固体パウダー 11.溶融パウダー 12.上段磁極中心線 13.中段磁極中心線 14.下段磁極中心線 15.吐出流 15A.吐出抑制流 15B.吐出流路 16.二次上昇流 16A.二次上昇抑制流 17.メニスカス流 18.二次下降流 18A.二次下降抑制流
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−284750(JP,A) 特開 平5−96351(JP,A) 特開 平3−142049(JP,A) 特開 昭57−17356(JP,A) 特開 平2−117756(JP,A) 特開 平11−10296(JP,A) 特開 平11−10295(JP,A) 特開 平9−174216(JP,A) 特開 平8−10917(JP,A) 特表 平11−502466(JP,A) 特表 平10−505792(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/115 B22D 11/04 311 B22D 11/11

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳型内の溶融金属に静磁場を印加する領域
    を下記に示す上段、中段および下段に区分し、各段ごと
    に静磁場強度を調整する連続鋳造方法であって、上段に
    おける静磁場強度を1000〜3000ガウス、中段における静
    磁場印加方向を上段および下段のそれと反対方向とし、
    前記上段の静磁場強度を1とした場合に中段を0.5から
    1.0までの範囲、下段を0.5から1.5までの範囲に調整す
    ることを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。 上段:メニスカスを含み、浸漬ノズルからの吐出流路を
    含まない上方部分、 中段:浸漬ノズルからの吐出流路を含む中間部分、 下段:浸漬ノズルからの吐出流路を含まない下方部分、 ここで、「吐出流路」とは、静磁場を印加しないときの
    浸漬ノズルから吐出された溶融金属が鋳型短辺の側壁に
    衝突するまでの流路である。
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