JP3965555B2 - 画像処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関し、例えば、単板式CCDイメージセンサ等を用いて取得した画像信号から、広ダイナミックレンジのカラー画像信号を生成する場合に用いて好適な画像処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Mental-Oxide Semiconductor)等のような固体撮像素子が、ビデオカメラやディジタルスチルカメラ等の撮像装置、FA(Factory Automation)の分野における部品検査装置、およびME(Medical Electronics)の分野における電子内視鏡等の光計測装置に幅広く利用されている。
【0003】
従来、固体撮像素子を用いた撮像装置および光計測機器のダイナミックレンジを向上させるために、画素毎に異なる感度で計測した光強度信号を合成する方法が知られている。以下、そのような第1乃至第4の従来方法について説明する。
【0004】
第1の従来方法としては、光学的に複数の透過率の異なる光軸に分岐させた入射光をそれぞれの光軸上に配置させた固体撮像素子で計測する方法を挙げることができる。この方法は、特開平8−223491号公報等に開示されている。しかしながら、第1の方法では、複数の固体撮像素子および光を分岐させる複雑な光学系が必要となるので、省コスト化や省スペース化の面で不利である問題があった。
【0005】
第2の従来方法としては、1つの固体撮像素子を用い、その露光時間を複数に分割して複数枚の画像を撮像した後、それらを合成する方法を挙げることができる。この方法は、特開平8−331461号公報等に開示されている。しかしながら、第2の方法では、異なる感度で計測された情報は異なる時刻に撮像されたものであり、かつ、異なる時間幅で撮像されているので、光強度が時々刻々と変化するような動的なシーンを正しく撮像できないという問題があった。
【0006】
第3の従来方法としては、1つの固体撮像素子を用い、固体撮像素子の撮像面で互いに隣接する複数の受光素子を1組として、受光素子の1組を出力画像の1画素に対応させるようにし、1組を構成する複数の受光素子の感度をそれぞれ異なるように設定して撮像する方法を挙げることができる。この方法は、米国特許第5789737号公報等に開示されている。固体撮像素子を構成する受光素子のそれぞれの感度を変化させる方法としては、各受光素子を透過率の異なるフィルタで覆う方法がある。また、特開2000−69491号公報には、第3の従来方法をカラー画像に適応する技術が開示されている。
【0007】
第3の従来方法によれば、第1の従来方法において問題であった省コスト化や省スペース化の面で有利となる。また、第2の従来方法において問題であった動的シーンを正しく撮像できないことを解決することができる。しかしながら、第3の従来方法では、隣接する複数の受光素子を1組として出力画像の1画素に対応させるので、出力画素の解像度を確保するためには、出力画像の画素数の数倍の受光素子から成る撮像素子が必要であり、ユニットセルサイズが大きくなる課題があった。
【0008】
第4の従来方法としては、通常のダイナミックレンジを有する撮像素子に、出力画像の1画素に対応する1つの受光素子毎、その露出が異なるような仕組みを施して撮像し、得られた画像信号に所定の画像処理を施して広ダイナミックレンジの画像信号を生成する方法を挙げることができる。受光素子毎の露出が異なるような仕組みは、受光素子毎に光の透過率や開口率を変えたりすることによって、空間的な感度のパターンをつくることにより実現する。この方法は、文献「S.K.Nayar and T.Mitsunaga,"High Dynamic Range Imaging:Spatially Varying Pixel Exposures",Proc. of Computer Vision and Pattern Recognition 2000,Vol.1,pp.472-479,June,2000」に開示されている。
【0009】
第4の従来方法では、各受光素子は1種類の感度だけを有する。よって、撮像された画像の各画素は本来の撮像素子が有するダイナミックレンジの情報だけしか取得することができないが、得られた画像信号に所定の画像処理を施し、全ての画素の感度が均一になるようにすることによって、結果的にダイナミックレンジが広い画像を生成することができる。また、全ての受光素子が同時に露光するので、動きのある被写体を正しく撮像することができる。さらに、1つの受光素子が出力画像の1画素に対応しているので、ユニットセルサイズが大きくなる問題も生じない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、第4の従来方法は、第1乃至第3の従来方法の問題を解決することが可能である。しかしながら、第4の従来方法は、ダイナミックレンジが広いモノクロ画像を生成することを前提としたものであり、ダイナミックレンジが広いカラー画像を生成することについては、その技術が確立されていない課題があった。具体的には、画素毎に色や感度が異なる画像を元に、全ての画素が全ての色成分を有し、かつ、感度を均一化する技術は確立されていない課題があった。
【0011】
したがって、第4の従来技術をカラー画像に適用する場合における色バランスの補正方法についても確立されていない課題があった。
【0012】
また、第4の従来技術の応用として、撮像する画像の各画素の対応する撮像素子の感度の違いを、撮像素子の読み出しタイミングを変えることで実現する場合において、動きのある被写体を撮像した場合、低感度の画素と高感度の画素とに露出時間が異なることに起因する情報差が発生してしまい、それを局所的に処理すると動きのある被写体のブレ部分にノイズが残ってしまう課題があった。
【0013】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、画素毎に色や感度が異なる色・感度モザイク画像を元にして、各画素の感度特性が均一化されており、かつ、各画素が色バランスの調整された全ての色成分を有し、かつ、ノイズが抑制された復元画像を生成できるようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出する色バランス情報算出手段と、色バランス情報に基づき、色・感度モザイク画像の色バランスを補正する補正手段とを含み、色バランス情報算出手段は、色・感度モザイク画像を構成する画素の感度特性毎に色成分に注目して感度別色バランス情報を算出し、算出した複数の感度別色バランス情報を合成して、色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出することを特徴とする。
【0023】
本発明の画像処理装置は、色・感度モザイク画像の色成分と感度特性の配列を示す色・感度モザイクパターン情報に基づき、補正手段によって色バランスが補正された色・感度モザイク画像を元にして、各画素の感度特性が均一であって、かつ、各画素の単一の色成分を有する感度別色画像を生成する感度別色画像生成手段と、感度別色画像生成手段によって生成された、同一の色成分を有し、感度特性が異なる複数の感度別色画像を合成して広ダイナミックレンジの色画像を生成する合成手段とをさらに含むことができる。
【0024】
前記感度別色画像生成手段は、補正手段によって色バランスが補正された色・感度モザイク画像を構成する全ての画素のうち、同一の感度特性を有し、かつ、同一の色成分を有する画素を用いた補間処理によって感度別色画像を生成するようにすることができる。
【0025】
前記合成手段は、複数の感度別色画像の対応する画素同士を加算して加算画像を生成する加算手段と、加算画像を構成する画素の感度特性を補償する感度特性補償手段とを含むようにすることができる。
【0026】
本発明の画像処理方法は、色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出する色バランス情報算出ステップと、色バランス情報に基づき、色・感度モザイク画像の色バランスを補正する補正ステップとを含み、色バランス情報算出ステップは、色・感度モザイク画像を構成する画素の感度特性毎に色成分に注目して感度別色バランス情報を算出し、算出した複数の感度別色バランス情報を合成して、色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出することを特徴とする。
【0027】
本発明の記録媒体のプログラムは、色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出する色バランス情報算出ステップと、色バランス情報に基づき、色・感度モザイク画像の色バランスを補正する補正ステップとを含み、色バランス情報算出ステップは、色・感度モザイク画像を構成する画素の感度特性毎に色成分に注目して感度別色バランス情報を算出し、算出した複数の感度別色バランス情報を合成して、色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0028】
本発明のプログラムは、色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出する色バランス情報算出ステップと、色バランス情報に基づき、色・感度モザイク画像の色バランスを補正する補正ステップとを含み、色バランス情報算出ステップは、色・感度モザイク画像を構成する画素の感度特性毎に色成分に注目して感度別色バランス情報を算出し、算出した複数の感度別色バランス情報を合成して、色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0030】
本発明においては、色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報が算出され、算出された色バランス情報に基づき、色・感度モザイク画像の色バランスが補正される。なお、色バランス情報算出では、色・感度モザイク画像を構成する画素の感度特性毎に色成分に注目して感度別色バランス情報が算出され、算出された複数の感度別色バランス情報が合成されて、色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報が算出される。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施の形態であるディジタルスチルカメラの構成例を示している。当該ディジタルスチルカメラは、大別して光学系、信号処理系、記録系、表示系、および制御系から構成される。
【0032】
光学系は、被写体の光画像を集光するレンズ1、光画像の光量を調整する絞り2、および、集光された光画像を光電変換して電気信号に変換するCCDイメージセンサ4から構成される。
【0033】
信号処理系は、CCDイメージセンサ4からの電気信号をサンプリングすることによってノイズを低減させる相関2重サンプリング回路(CDS:Correlated Double Sampling)5、相関2重サンプリング回路5が出力するアナログ信号をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ6、A/Dコンバータ6から入力されるディジタル信号に所定の画像処理を施す画像処理部7から構成される。なお、画像処理部7が実行する処理の詳細については後述する。
【0034】
記録系は、画像処理部7が処理した画像信号を符号化してメモリ9に記録し、また、読み出して復号し、画像処理部7に供給するCODEC(Compression/Decompression)8、および、画像信号を記憶するメモリ9から構成される。
【0035】
表示系は、画像処理部7が処理した画像信号をアナログ化するD/Aコンバータ10、アナログ化された画像信号を後段のディスプレイ12に適合する形式のビデオ信号にエンコードするビデオエンコーダ11、および、入力されるビデオ信号に対応する画像を表示することによってファインダとして機能するLCD(Liquid Crystal Display)等よりなるディスプレイ12から構成される。
【0036】
制御系は、CCDイメージセンサ4乃至画像処理部7の動作タイミングを制御するタイミングジェネレータ(TG)3、ユーザによるシャッタ操作やその他のコマンドを入力するための操作入力部13、および、ドライブ15を制御して磁気ディスク16、光ディスク17、光磁気ディスク18、または半導体メモリ19に記憶されている制御用プログラムを読み出し、読み出した制御用プログラム、操作入力部13から入力されるユーザからのコマンド等に基づいてディジタルスチルカメラの全体を制御するCPU(Central Processing Unit)などよりなる制御部14から構成される。
【0037】
当該ディジタルスチルカメラにおいて、被写体の光学画像(入射光)は、レンズ1および絞り2を介してCCDイメージセンサ4に入射され、CCDイメージセンサ4によって光電変換されて電気信号となる。得られた電気信号は、相関2重サンプリング回路5によってノイズ成分が除去され、A/Dコンバータ6によってディジタル化された後、画像処理部7が内蔵する画像メモリに一時格納される。
【0038】
なお、通常の状態では、タイミングジェネレータ3による信号処理系に対する制御により、画像処理部7が内蔵する画像メモリには、一定のフレームレートで絶えず画像信号が上書きされるようになされている。画像処理部7が内蔵する画像メモリの画像信号は、D/Aコンバータ10によってアナログ信号に変換され、ビデオエンコーダ11によってビデオ信号に変換されて対応する画像がディスプレイ12に表示される。
【0039】
ディスプレイ12は、当該ディジタルスチルカメラのファインダの役割も担っている。ユーザが操作入力部13に含まれるシャッタボタンを押下した場合、制御部14は、タイミングジェネレータ3に対し、シャッタボタンが押下された直後の画像信号を保持するように、すなわち、画像処理部7の画像メモリに画像信号が上書きされないように信号処理系を制御する。画像処理部7の画像メモリに保持された画像データは、CODEC8によって符号化されてメモリ9に記録される。以上のようなディジタルスチルカメラの動作によって、1枚の画像データの取り込みが完了する。
【0040】
次に、当該ディジタルスチルカメラの動作の概要について、図2を参照して説明する。当該ディジタルスチルカメラは、CCDイメージセンサ4を中心とする光学系の撮像処理によって、被写体を画素毎に異なる色と感度で撮像し、色と感度がモザイク状になった画像(以下、色・感度モザイク画像と記述し、その詳細は後述する)を得る。その後、画像処理部7を中心とする信号処理系により、撮像処理によって得られた色・感度モザイク画像を元に、各画素が全ての色成分を有し、かつ、均一の感度を有する広ダイナミックレンジ画像を生成される。以下、色・感度モザイク画像を元にして、各画素が全ての色成分を有し、かつ、均一の感度を有する広ダイナミックレンジ画像を生成する信号処理系の処理を、デモザイク処理とも記述する。
【0041】
例えば、当該ディジタルスチルカメラによって図3に示すような被写体を撮影した場合、撮像処理により、図4に示すような色・感度モザイク画像が得られ、画像処理により、各画素が全ての色成分と均一の感度を有する広ダイナミックレンジ画像に変換される。すなわち、図4に示す色・感度モザイク画像を元にして図3に示す被写体の本来の色を広ダイナミックレンジで復元する。
【0042】
次に、光学系の撮像処理によって得る色・感度モザイク画像の、画素の色成分および感度の配列パターン(以下、色・感度モザイクパターンと記述する)P1乃至P14を図5乃至図18に示す。
【0043】
色・感度モザイクパターンを構成する色の組み合わせとしては、R(赤)、G(緑)、およびB(青)からなる3色の組合せの他、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびG(緑)からなる4色の組合せ等が考えられる。感度の段階としては、S0およびS1から成る2段階の他、感度S2を追加した3段階、さらに、感度S3を追加した4段階等とすることができる。なお、色の種類や組み合わせおよび感度の段階は任意であり、上述した例に限定されるものではない。
【0044】
図5乃至図18においては、1マス目が1画素に対応しており、英文字がその色を示し、英文字の添え字として数字がその感度を示している。例えば、G0と表示された画素は、色がG(緑)であって、感度がS0であることを示している。また、感度については、数字が大きいほどより高感度である、すなわち、S0よりもS1の方が高感度である。
【0045】
色・感度モザイクパターンP1乃至P14は、以下に示す第1乃至第4の特徴によって分類することができる。
【0046】
第1の特徴は、同一の色および感度を有する画素に注目した場合、それらが格子状に配列されており、かつ、感度に拘わらず同一の色を有する画素に注目した場合、それらが格子状に配列されていることである。第1の特徴について、図5に示す色・感度モザイクパターンP1を参照して説明する。
【0047】
図5の色・感度モザイクパターンP1において、感度に拘わらず色がRである画素に注目した場合、図面を右回りに45度だけ回転させた状態で見れば明らかなように、それらは、水平方向には21/2の間隔で、垂直方向には23/2の間隔で格子状の配置されている。また、感度に拘わらず色がBである画素に注目した場合、それらも同様に配置されている。感度に拘わらず色がGである画素に注目した場合、それらは、水平方向および垂直方向に21/2の間隔で格子状の配置されている。
【0048】
なお、第1の特徴は、図5に示す色・感度モザイクパターンP1の他、色・感度モザイクパターンP2,P4,P6,P8,P9,P10,P11,P13にも共通である。
【0049】
第2の特徴は、同一の色および感度を有する画素に注目した場合、それらが格子状に配列されており、かつ、色に拘わらず同一の感度を有する画素に注目した場合、それらが格子状に配列されており、かつ、任意の画素に注目した場合、その画素とその上下左右に位置する4画素の合計5画素が有する色の中に、当該色・感度モザイクパターンに含まれる全ての色が含まれることである。
【0050】
なお、第2の特徴は、図7に示す色・感度モザイクパターンP3の他、色・感度モザイクパターンP5,P7,P8,P9,P12,P14にも共通である。
【0051】
第3の特徴は、第1の特徴を有しており、さらに、3種類の色が用いられていて、それらがベイヤ(Bayer)配列をなしていることである。第3の特徴について、図6に示す色・感度モザイクパターンP2を参照して説明する。
【0052】
図6の色・感度モザイクパターンP2において、感度に拘わらず色がGである画素に注目した場合、それらは1画素だけ間隔を空けて市松状に配置されている。感度に拘わらず色がRである画素に注目した場合、それらは1ラインだけ間隔を空けて配置されている。また、感度に拘わらず色がBである画素に注目した場合も同様に、1ラインだけ間隔を空けて配置されている。したがって、このパターンP2は、画素の色だけに注目すれば、ベイヤ配列をなしている。
【0053】
なお、第3の特徴は、図6の色・感度モザイクパターンP2の他、色・感度モザイクパターンP10,P11にも共通である。
【0054】
第4の特徴は、第2の特徴を有しており、さらに、同一の感度を有する画素に注目した場合、それらの配列がベイヤ配列をなしていることである。第4の特徴について、図7に示す色・感度モザイクパターンP3を参照して説明する。
【0055】
図7の色・感度モザイクパターンP3において、感度S0の画素だけに注目した場合、図面を斜め45度だけ回転させて見れば明らかなように、それらは21/2の間隔を空けてベイヤ配列をなしている。また、感度S1の画素だけに注目した場合も同様に、それらはベイヤ配列をなしている。
【0056】
なお、第4の特徴は、図7の色・感度モザイクパターンP3の他、色・感度モザイクパターンP5,P12にも共通である。
【0057】
ところで、以下、図5乃至図18に示した色・感度モザイクパターンP1乃至P14に関連し、画素の感度に拘わらず色の配列だけに注目して「色のモザイク配列」と記述する。また、色に拘わらず感度の配列だけに注目して「感度のモザイク配列」と記述する。
【0058】
次に、CCDイメージセンサ4において上述した色・感度モザイクパターンを実現する方法について説明する。
【0059】
色・感度モザイクパターンのうち、色のモザイク配列については、CCDイメージセンサ4の受光素子の上面に、画素毎に異なる色の光だけを透過させるオンチップカラーフィルタ22(図19)を配置することによって実現する。
【0060】
また、色・感度モザイクパターンのうち、感度のモザイク配列については、光学的な方法、または電子的な方法によって実現する。
【0061】
感度のモザイク配列を光学的に実現する方法について説明する。図19は、CCDイメージセンサ4の受光素子の断面を示している。受光素子の上部表面には、オンチップレンズ21が配置されている。オンチップレンズ21は、図面上方から入射される光がフォトダイオード(PD)23に集光されるようになされている。オンチップカラーフィルタ22は、入射光の色を制限する(特定の波長帯域だけを透過させる)。受光素子の下部には、ウェハ中にフォトダイオード23が形成されている。フォトダイオード23は、入力された光量に対応して電荷を生じる。フォトダイオード21の両脇には、垂直レジスタ26が形成されている。垂直レジスタ26の上部には、垂直レジスタ21を駆動する垂直レジスタ駆動電極25が配線されている。
【0062】
垂直レジスタ26は、フォトダイオード23で生じた電荷を転送する領域である。垂直レジスタ26と垂直レジスタ駆動電極25は、そこで電荷が生じないように、シールド24によって遮光されている。シールド24は、フォトダイオード23の上部だけが開口しており、その開口部分を入射光が通過してフォトダイオード23に到達するようになされている。
【0063】
以上説明したように構成されるCCDイメージセンサ4は、下記の方法によって各受光素子の感度を変えることができる(フォトダイオード23に対する入射光量を変化させることができる)。
【0064】
例えば、図20に示すように、隣接する受光素子の一方にはオンチップレンズ21を設け、他方にはオンチップレンズ21を設けないことにより、隣接する受光素子でそれぞれ集光される光量を変化させることができる。また、例えば図21に示すように、オンチップカラーフィルタ22の上方(または下方)にオンチップニュートラルデンシティ(ND)フィルタ31を設置することにより、光の透過率を変えることができる。また、例えば図22に示すように、隣接する受光素子のシールド24の開口部分の面積を、一方を広く、他方を狭くすることにより、フォトダイオード23に対する入射光量を変化させることができる。
【0065】
次に、感度のモザイク配列を電子的に実現する2種類の方法について説明する。
【0066】
第1の方法は、例えば、隣接する2つの受光素子(第1および第2の受光素子)に対し、制御のタイミングを違えることによって2つの受光素子を異なる感度に設定する方法である。第1の方法について、図23を参照して説明する。
【0067】
図23Aは、CCDイメージセンサ4の露光期間を示している。図23Bは、電荷掃き出しを指令するパルス電圧のタイミングを示している。図23Cは、電荷転送を指令する制御電圧が与えられるタイミングを示している。図23Dは、第1の受光素子に対し、電荷読み出しを指令するパルス電圧のタイミングを示している。図23Eは、電荷掃き出しパルス電圧および電荷読み出しパルス電圧が与えられることに対応して第1の受光素子に蓄積される電荷量の変化を示している。図23Fは、第2の受光素子に対し、電荷読み出しを指令するパルス電圧のタイミングを示している。図23Gは、電荷掃き出しパルス電圧および電荷読み出しパルス電圧が与えられることに対応して第2の受光素子に蓄積される電荷量の変化を示している。
【0068】
感度のモザイク配列を電子的に実現する第1の方法において、電荷掃き出しパルス電圧は、第1および第2の受光素子に対し共通して、露光期間以外においては、フォトダイオード23から電荷を掃き出しさせる(リセットさせる)ように供給され、露光期間中においては、所定のタイミングで1回だけ電荷をリセットするために供給される。
【0069】
電荷転送電圧は、露光期間以外においては、第1および第2の受光素子に対し共通して垂直レジスタ26に電荷を転送させるための波形電圧が供給され、露光期間中においては、垂直レジスタ26からの電荷の転送が停止されるように電荷転送電圧は供給されない。
【0070】
電荷読み出しパルス電圧は、各受光素子に対して異なるタイミングで供給される。第1の受光素子に対しては、露光期間中の電荷掃き出しパルス電圧の供給タイミング(図23B)の直前に、1回目の電荷読み出しパルス電圧が供給され、露光期間中の終了の直前に2回目の電荷読み出しパルス電圧が供給される。
【0071】
その結果、第1の受光素子からは、1回目および2回目の電荷読み出しパルス電圧の供給タイミングのそれぞれにおける第1の受光素子の蓄積電荷量が垂直レジスタ26に読み出される。なお、露光期間中は垂直レジスタ26の電荷の転送は停止されているので、それら2回の読み出し電荷量が垂直レジスタ26の中で加算され、露光期間終了後に同じフレームのデータとして垂直レジスタ26から転送されるようになされている。
【0072】
一方、第2の受光素子に対しては、露光期間中の電荷掃き出しパルス電圧の供給タイミングの直前に1回だけ電荷読み出しパルス電圧が供給される。その結果、第2の受光素子からは、1回だけの電荷読み出しパルス電圧の供給タイミングにおける第2の受光素子の蓄積電荷量が垂直レジスタ26に読み出される。なお、露光期間中は垂直レジスタ23の電荷の転送は停止されているので、第2の受光素子から読み出された蓄積電荷は、露光期間終了後に、第1の受光素子から読み出された蓄積電荷と同じフレームのデータとして垂直レジスタ26から転送されるようになされている。
【0073】
以上のように、第1の受光素子に対する制御タイミングと、第2の受光素子とに対する制御タイミングとが異なるようすることにより、同じ露光期間中に第1の受光素子殻読み出される蓄積電荷量と、第2の受光素子から読み出される蓄積電荷量、すなわち感度が異なるように設定することができる。
【0074】
しかしながら、感度のモザイク配列を電子的に実現する第1の方法では、受光素子によっては露光期間中の全域にわたる被写体の情報を計測できないことが短所である。
【0075】
次に、感度のモザイク配列を電子的に実現する第2の方法について、図24を参照して説明する。図24A乃至図24Gはそれぞれ、図23A乃至図23Gと同様に、CCDイメージセンサ4の露光期間、電荷掃き出しを指令するパルス電圧のタイミング、電荷転送を指令する制御電圧が与えられるタイミング、第1の受光素子に対して電荷読み出しを指令するパルス電圧のタイミング、電荷掃き出しパルス電圧および電荷読み出しパルス電圧が与えられることに対応して第1の受光素子に蓄積される電荷量の変化、第2の受光素子に対する電荷読み出しを指令するパルス電圧のタイミング、電荷掃き出しパルス電圧および電荷読み出しパルス電圧が与えられることに対応して第2の受光素子に蓄積される電荷量の変化を示している。
【0076】
感度のモザイク配列を電子的に実現する第2の方法においては、露光期間中において、電荷掃き出しパルス電圧および電荷読み出しパルス電圧が複数回繰り返して供給される。
【0077】
すなわち、電荷掃き出しパルス電圧については、第1および第2の受光素子の双方に対し、露光期間中において、1回目の電荷掃き出しパルス電圧と2回目の電荷掃き出しパルス電圧の組が複数回供給される。電荷読み出しパルス電圧については、第1の受光素子に対しては、1回目および2回目の電荷掃き出しパルス電圧の組毎に、1回目の電荷掃き出しパルス電圧の直前に1回目の電荷読み出しパルス電圧が供給され、2回目の電荷掃き出しパルス電圧の直前に2回目の電荷読み出しパルス電圧が供給される。一方、第2の受光素子に対しては、電荷掃き出しパルス電圧の組毎に、1回目の電荷掃き出しパルス電圧の直前に1回だけ電荷読み出しパルス電圧が供給される。
【0078】
その結果、第1の受光素子からは、1回目および2回目の電荷掃き出しパルス電圧の組毎に、1回目の電荷読み出しパルス電圧の供給タイミングにおける第1の受光素子の蓄積電荷量と、2回目の電荷読み出しパルス電圧の供給タイミングにおける第1の受光素子の蓄積電荷量が読み出される。なお、露光期間中は、垂直レジスタ26の電荷の転送が停止されているので、これら組毎に2回ずつ読み出された電荷量は、垂直レジスタ26で加算される。第2の受光素子からは、1回目および2回目の電荷掃き出しパルス電圧の組毎に1回だけ供給される電荷読み出しパルス電圧の供給タイミングにおける第2の受光素子の蓄積電荷量が読み出される。これら組ごとに1回ずつ読み出された電荷量は、垂直レジスタ26の中で加算される。
【0079】
以上のように、感度のモザイク配列を電子的に実現する第2の方法では、露光期間において電荷の読み出しを複数に亘って繰り返すことになるので、露光期間中の全域にわたる被写体の情報を計測することが可能となる。すなわち、第2の方法は、上述した第1の方法の短所を解決することが可能である。
【0080】
なお、上述した感度のモザイク配列を電子的に実現する第1および第2の方法に関連し、一般的に、CCDイメージセンサ4の読み出し制御は、水平ライン毎に配線される垂直レジスタ駆動電極25に印加される。例えば、図5に示した色・感度モザイクパターンP1のように、水平ライン毎に感度が変わるような感度のモザイク配列を実現するためには、その電極構造を利用すればよいので、ラインごとに異なる読み出しパルス電圧が印加されるように若干の改良をおこなえばよい。さらに、3相駆動の垂直レジスタを持つプログレッシブスキャンのCCDイメージセンサにおいては、その電極構造を工夫することによって、2段階感度による任意のモザイク配列を電子的に実現できる。
【0081】
図25は、2段階の感度のモザイク配列を実現するために用いる電極配線による垂直転送用ポリシリコン電極の第1の電極構造を示している。図26は、図25の図中の線分aa’におけるCCDイメージセンサの断面図を示している。第1相垂直レジスタ駆動電極42および第2相垂直レジスタ駆動電極43は、同じ水平ライン上で隣接する画素の電極と連結しているので、同一水平ライン上の電極は同期して駆動される。一方、第3相垂直レジスタ駆動電極44は、同じ垂直ライン上で隣接する画素の電極と連結しているので、同一垂直ライン上の電極は同期して駆動される。また、第2相垂直レジスタ駆動電極43および第3相垂直レジスタ駆動電極44は、対応するフォトダイオ−ド23に隣接する読み出しゲ−ト41上にもかかるようになされている。
【0082】
したがって、第2相垂直レジスタ駆動電極43、または第3相垂直レジスタ駆動電極44に読み出しパルスを印加した場合、読み出しゲ−ト41のバリアを一時的に取り除き、対応するフォトダイオ−ド23に蓄積されている電荷を垂直レジスタ26に転送することが可能である。以下、図25および図26に示した電極構造をOR型の電極構造と記述する。
【0083】
図27は、2段階の感度を有する感度のモザイク配列を実現するために用いる電極配線による垂直転送用ポリシリコン電極の第2の電極構造を示している。図27の図中の線分aa’におけるCCDイメージセンサの断面も、図26に示した断面図と同様である。すなわち、第2の電極構造においても、第1の電極構造と同様に、第1相垂直レジスタ駆動電極42および第2相垂直レジスタ駆動電極43は、同じ水平ライン上で隣接する画素の電極と連結しているので、同一水平ライン上の電極は同期して駆動される。第3相垂直レジスタ駆動電極44は、第1の電極構造と同様に、同じ垂直ライン上で隣接する画素の電極と連結しているので、同一垂直ライン上の電極は同期して駆動される。
【0084】
しかしながら、第3相垂直レジスタ駆動電極44が対応するフォトダイオ−ド23に隣接する読み出しゲート41上において、当該フォトダイオ−ド23の辺縁部分に沿って配置され、次いでそれに隣接するように第2相垂直レジスタ駆動電極43の細長く加工された部分が読み出しゲート41にかかるようになされている点が第1の電極構造と異なる。
【0085】
したがって、第2相垂直レジスタ駆動電極43および第3相垂直レジスタ駆動電極44のうち、一方だけに読み出しパルスを印加した場合、読み出しゲ−ト41のバリアを取り除くことができない。読み出しゲ−ト41のバリアを取り除き、フォトダイオ−ド23に蓄積されている電荷を垂直レジスタ26に転送するためには、第2相垂直レジスタ駆動電極43と第3相垂直レジスタ駆動電極44に同時に読み出しパルスを印加する必要がある。以下、図27に示した電極構造をAND型の電極構造と記述する。
【0086】
以上説明したOR型の電極構造とAND型の電極構造を1つのCCDイメージセンサ内で組み合わせて用いることにより、2段階感度による任意のモザイク配列を実現することができる。例えば、図5に示した色・感度モザイクパターンP1のうち、感度のモザイク配列を実現するためには、図28に示すようにOR型の電極構造とAND型の電極構造を組み合わせればよい。
【0087】
図5と図28を比較すれば明らかなように、2段階の感度S0,S1のうち、低感度S0の画素にはAND型の電極構造を採用し、高感度S1の画素にはOR型の電極構造を採用するようにする。このように、OR型とAND型の電極構造を組み合わせて構成したCCDイメージセンサ4に対し、その第2相垂直レジスタ駆動電極43に読み出しパルス電圧を印加すれば、OR型の画素だけで電荷読み出しがおこなわれ、第2相垂直レジスタ駆動電極43および第3相垂直レジスタ駆動電極44に同時に読みだしパルス電圧を印加すれば、OR型とAND型の両方、すなわち全ての画素で電荷読み出しがおこなわれることになる。
【0088】
なお、第2相垂直レジスタ駆動電極43、および第3相垂直レジスタ駆動電極44に対するパルス電圧の供給タイミングは、図24(図23でもよい)に示した制御タイミングのうち、同図Dの1回目の電荷読み出しパルス電圧の供給タイミングと、同図Fの電荷読み出しパルス電圧の供給タイミングにおいて、第2相垂直レジスタ駆動電極43および第3相垂直レジスタ駆動電極44の両方を駆動し、同図Dの2回目の電荷読み出しパルス電圧の供給タイミングにおいて第2相垂直レジスタ駆動電極43だけを駆動するようにすれば、OR型の電極構造の画素は高感度S1となり、AND型の電極構造の画素は低感度S0となる。
【0089】
同様に、2段階の感度を有するその他の感度のモザイク配列も、OR型の電極構造とAND型の電極構造を組み合わせることによって実現することができる。
【0090】
例えば、図6に示した色・感度モザイクパターンP2のうち、感度のモザイクパターンを実現するためには、OR型とAND型を図29に示すように組み合わせればよい。図7に示した色・感度モザイクパターンP3のうち、感度のモザイクパターンを実現するためには、OR型とAND型を図30に示すように組み合わせればよい。図8に示した色・感度モザイクパターンP4のうち、感度のモザイクパターンを実現するためには、OR型とAND型を図31に示すように組み合わせればよい。図9に示した色・感度モザイクパターンP5のうち、感度のモザイクパターンを実現するためには、OR型とAND型を図32に示すように組み合わせればよい。
【0091】
次に、図33は、入力される色・感度モザイク画像を元にして、各画素が全ての色成分を有し、かつ、感度が均一である広ダイナミックレンジ画像を生成するデモザイク処理を実行する画像処理部7の構成例を示している。
【0092】
なお、図33においては、色・感度モザイクパターンP1の色・感度モザイク画像が入力されるように図示されているが、入力する色・感度モザイク画像の色・感度モザイクパターンは任意である。
【0093】
また、画像処理部7を構成する各部には、入力される色・感度モザイク画像の色・感度モザイクパターンを示す情報が供給されているものとする。
【0094】
また、図33においては、出力結果としての各画素が全ての色成分を有し、かつ、感度が均一である広ダイナミックレンジ画像を、各画素の感度が均一である広ダイナミックレンジの3種類の色画像として示している。
【0095】
色バランス補正部61は、入力される色・モザイク画像の色バランスを補正して、補正済みの色・モザイク画像を感度別色画像生成部62に出力する。ここで、色バランスを補正する処理とは、一般にホワイトバランス処理と呼ばれている処理であり、各色の平均を算出して用いてもよいし、既存の統計情報を用いてもよい。
【0096】
図34は、色バランス補正部61の第1の構成例を示している。色バランス算出部71は、入力される色・感度モザイク画像の全体から1つの色バランス情報を算出する。その方法は、各色の平均を算出して用いてもよいし、既存の統計情報を用いてもよい。色バランス調整部72は、色バランス算出部71によって算出される色バランス情報に基づき、入力される色・感度モザイク画像の色バランスを補正する。色バランス補正済みの色・感度モザイク画像は、感度別色画像生成部62に供給される。
【0097】
図35は、色バランス補正部61の第2の構成例を示している。感度別色バランス算出部81は、入力される色・感度モザイク画像の感度毎の色バランス情報を算出する。その方法は、各感度について、各色の平均を算出して用いてもよいし、既存の統計情報を用いてもよい。図35の場合、感度S0の色バランス情報と、感度S1の色バランス情報が算出される。
【0098】
感度別色バランス情報合成部82は、感度別色バランス算出部81によって算出される感度別の色バランス情報を合成して1つの色バランス情報を生成する。色バランス調整部83は、感度別色バランス情報合成部82によって生成される色バランス情報に基づき、入力される色・感度モザイク画像の色バランスを補正する。色バランス補正済みの色・感度モザイク画像は、感度別色画像生成部62に供給される。
【0099】
図33に戻る。感度別色画像生成部62は、入力される色バランス補正済みの色・感度モザイク画像のうち、同一の感度および色成分を有する画素を用いた補間によって感度別色画像を生成する。いまの場合、例えば、色バランス補正済みの色・感度モザイク画像のうちの感度S0でR成分の画素だけに注目して、補間により、感度S0でR成分の画素だけで構成される感度別色画像R0を生成する。同様に、感度S1でR成分の画素だけで構成される感度別色画像R1、感度S0でG成分の画素だけで構成される感度別色画像G0、感度S1でG成分の画素だけで構成される感度別色画像G1、感度S0でB成分の画素だけで構成される感度別色画像B0、および、感度S1でB成分の画素だけで構成される感度別色画像B1を生成する。なお、補間以外の方法によって、感度別色画像を生成するようにしてもよい。
【0100】
画像合成部63Rは、感度別色画像生成部62によって生成される感度別色画像R0,R1の対応する画素対を合成して広ダイナミックレンジの色画像Rを生成する。
【0101】
図36は、画像合成部63Rの構成例を示している。加算部91は、感度別色画像生成部62によって生成される感度別色画像R0,R1の同一座標の画素対を加算することによって加算画像を生成し、合成感度補償部92に出力する。合成感度補償部92は、合成感度補償関数を導出し、加算画像の画素(R0+R1)に対して、導出する合成感度補償関数を用いて感度補償を施して広ダイナミックレンジの色画像Rを生成する。
【0102】
ここで、合成感度補償部推定部92が導出する合成感度補償関数について、図37乃至図39を参照して説明する。図37において、横軸は入射光の強度、縦軸は画素値を示しており、線a,bは、それぞれ、感度S0,S1の画素の感度特性を示している。同図において、高い方の感度S1(線b)は、低い方の感度S0(線a)に対して4倍の感度を有している。
【0103】
合成感度補償部92の前段である加算部91においては、図37の特性曲線aに示すような感度特性で取得された画素R0と、同図の特性曲線bに示すような感度特性で取得された感度S1の画素R1が加算されている。従って、それらの加算値R0+R1は、特性曲線aと特性曲線bを合成した、図38の特性曲線cが示す感度特性を有することになる。
【0104】
したがって、加算画像の画素(R0+R1)は、広ダイナミックレンジではあるが、その感度特性は、図38の特性曲線cのように非線形(折れ線)となっている。そこで、非線形である加算画像の画素(R0+R1)の感度特性が線形となるように補償するために、加算画像の画素(R0+R1)に、特性曲線cの逆特性曲線d(図39)を合成感度補償関数として導出する。
【0105】
なお、合成感度補償部92が処理毎に合成感度補償関数を導出するのではなく、合成感度補償関数を合成感度補償部92に予め供給するようにしてもよい。また、合成感度補償関数の代わりに、ルックアップテーブルを用いるようにしてもよい。
【0106】
図33に戻る。画像合成部63Gは、感度別色画像生成部62によって生成される感度別色画像G0,G1の対応する画素対を合成して広ダイナミックレンジの色画像Gを生成する。画像合成部63Bは、感度別色画像生成部62によって生成される感度別色画像B0,B1の対応する画素対を合成して広ダイナミックレンジの色画像Bを生成する。なお、画像合成部63G,63Rの構成例は、図36に示した画像合成部63Rの構成例と同様であるので、その説明は省略する。
【0107】
次に、画像処理部7によるデモザイク処理について、図40のフローチャートを参照して説明する。
【0108】
なお、既に画像処理部7には、色・感度モザイク画像と、色・感度モザイク画像の色・感度モザイクパターンを示す情報が供給されているものとする。
【0109】
ステップS1において、色バランス補正部61は、供給された色・モザイク画像の色バランスを補正する。具体的には、図41または図42のフローチャートに示す動作により、供給された色・モザイク画像の色バランスを補正する。その後、色バランス補正部61は、色バランス補正済みの色・感度モザイク画像を、感度別色画像生成部62に供給する。
【0110】
図41のフローチャートは、色バランス補正部61の第1の構成例に対応する動作を示している。ステップS11において、色バランス算出部71は、入力された色・感度モザイク画像の全体から1つの色バランス情報を算出する。ステップS12において、色バランス調整部72は、色バランス算出部71によって算出された色バランス情報に基づき、入力された色・感度モザイク画像の色バランスを調整する。
【0111】
図42のフローチャートは、色バランス補正部61の第2の構成例に対応する動作を示している。ステップS21において、感度別色バランス算出部81は、入力された色・感度モザイク画像のうち、感度S0の画素に基づいて感度S0の色バランス情報を生成し、感度S1の画素に基づいて感度S1の色バランス情報を生成する。ステップS22において、感度別色バランス情報合成部82は、感度別色バランス算出部81によって算出された、感度S0の色バランス情報、および感度S1の色バランス情報を合成して1つの色バランス情報を生成する。ステップS23において、色バランス調整部83は、感度別色バランス情報合成部82によって生成された色バランス情報に基づき、入力された色・感度モザイク画像の色バランスを補正する。
【0112】
図40に戻る。ステップS2において、感度別色画像生成部62は、色バランス補正部61から供給された色バランス補正済みの色・感度モザイク画像に基づいて感度別色画像を生成する。
【0113】
ステップS3において、画像合成部63Rは、感度別色画像生成部62によって生成された感度別色画像R0,R1の対応する画素対を合成して広ダイナミックレンジの色画像Rを生成する。画像合成部63Gは、感度別色画像生成部62によって生成された感度別色画像G0,G1の対応する画素対を合成して広ダイナミックレンジの色画像Gを生成する。画像合成部63Bは、感度別色画像生成部62によって生成された感度別色画像B0,B1の対応する画素対を合成して広ダイナミックレンジの色画像Bを生成する。
【0114】
ステップS3の画像合成部63Rによる、広ダイナミックレンジの色画像Rを生成する処理について、図43を参照して説明する。ステップS31において、加算部91は、感度別色画像生成部62によって生成された感度別色画像R0,R1の同一座標の画素対を加算して加算画像を生成し、合成感度補償部92に出力する。ステップS32において、合成感度補償部92は、合成感度補償関数を導出する。なお、加算部91によるステップS31の処理と、合成感度補償部92によるステップS32の処理は、平行して同時に実行するようにしてもよい。
【0115】
ステップS33において、合成感度補償部92は、加算画像の画素(R0+R1)に対し、導出した合成感度補償関数を用いて感度補償を施すことによって、広ダイナミックレンジの色画像Rを生成する。
【0116】
なお、画像合成部63G,63Bのそれぞれによる、広ダイナミックレンジの色画像G,Bを生成する処理も同様である。
【0117】
図40に戻る。以上、画像処理部7によるデモザイク処理の説明を終了する。
【0118】
以上のように、画像処理部7によれば、色・感度モザイク画像を元にして、全ての画素に対し、全色を均一な感度で復元することが可能となる。これにより、広ダイナミックレンジ画像を生成することが可能となる。
【0119】
また、特に、感度別色画像を生成した後に色別画像を生成することにより、撮像素子が露出時間を変更することで感度を変える方式の場合に発生する動きのある被写体のブレ部分のノイズを緩和することができ、動被写体のブレ部分の再現性を向上させることが可能となる。
【0120】
さらに、色・感度モザイク画像の全ての画素に対して、1つの色バランス情報を用いて補正を行うことにより、適正な色バランス補正を施すことが可能となる。
【0121】
なお、上述したように、画像処理部7によるデモザイク処理は任意の色・感度モザイクパターンを有する色・感度モザイク画像に対して施すことが可能であるが、特に、色・感度モザイクパターンP1の色・感度モザイク画像を処理対象とする場合において上述した効果を奏することができる。
【0122】
また、本発明は、本実施の形態のようなディジタルスチルカメラの他、画像処理を実施するあらゆる機器に適用することが可能である。
【0123】
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0124】
この記録媒体は、図1に示すように、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク16(フロッピディスクを含む)、光ディスク17(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク18(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリ19などよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMやハードディスクなどで構成される。
【0125】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に従って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0126】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、画素毎に色や感度が異なる色・感度モザイク画像を元にして、各画素の感度特性が均一化されており、かつ、各画素が色バランスの調整された全ての色成分を有し、かつ、ノイズが抑制された復元画像を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したディジタルスチルカメラの構成例を示すブロック図である。
【図2】ディジタルスチルカメラの動作の概要を説明する図である。
【図3】被写体の一例を示す図である。
【図4】図3に対応する色・感度モザイク画像の一例を示す図である。
【図5】色・感度モザイクパターンP1を示す図である。
【図6】色・感度モザイクパターンP2を示す図である。
【図7】色・感度モザイクパターンP3を示す図である。
【図8】色・感度モザイクパターンP4を示す図である。
【図9】色・感度モザイクパターンP5を示す図である。
【図10】色・感度モザイクパターンP6を示す図である。
【図11】色・感度モザイクパターンP7を示す図である。
【図12】色・感度モザイクパターンP8を示す図である。
【図13】色・感度モザイクパターンP9を示す図である。
【図14】色・感度モザイクパターンP10を示す図である。
【図15】色・感度モザイクパターンP11を示す図である。
【図16】色・感度モザイクパターンP12を示す図である。
【図17】色・感度モザイクパターンP13を示す図である。
【図18】色・感度モザイクパターンP14を示す図である。
【図19】 CCDイメージセンサ4の受光素子の断面を示す図である。
【図20】感度のモザイク配列をオンチップレンズ21の有無に実現する方法を説明するための図である。
【図21】感度のモザイク配列をオンチップNDフィルタ31の有無によって実現する方法を説明するための図である。
【図22】感度のモザイク配列をシールド24の開口部分の面積の広狭によって実現する方法を説明するための図である。
【図23】感度のモザイク配列を電子的に実現する第1の方法を説明するための図である。
【図24】感度のモザイク配列を電子的に実現する第2の方法を説明するための図である。
【図25】OR型の電極構造を示す図である。
【図26】OR型の電極構造の断面を示す図である。
【図27】 AND型の電極構造を示す図である。
【図28】色・感度モザイクパターンP1を実現するためのOR型の電極構造とAND型の電極構造の組み合わせを示す図である。
【図29】色・感度モザイクパターンP2を実現するためのOR型の電極構造とAND型の電極構造の組み合わせを示す図である。
【図30】色・感度モザイクパターンP3を実現するためのOR型の電極構造とAND型の電極構造の組み合わせを示す図である。
【図31】色・感度モザイクパターンP4を実現するためのOR型の電極構造とAND型の電極構造の組み合わせを示す図である。
【図32】色・感度モザイクパターンP5を実現するためのOR型の電極構造とAND型の電極構造の組み合わせを示す図である。
【図33】画像処理部7の構成例を示すブロック図である。
【図34】図33の色バランス補正部61の第1の構成例を示すブロック図である。
【図35】図33の色バランス補正部61の第2の構成例を示すブロック図である。
【図36】図33の画像合成部63Rの構成例を示すブロック図である。
【図37】合成感度補償部92によって導出される合成感度補償関数について説明するための図である。
【図38】合成感度補償部92によって導出される合成感度補償関数について説明するための図である。
【図39】合成感度補償部92によって導出される合成感度補償関数を示す図である。
【図40】画像処理部7によるデモザイク処理を説明するフローチャートである。
【図41】図34に示した色バランス補正部61の第1の構成例による動作を説明するフローチャートである。
【図42】図35に示した色バランス補正部61の第1の構成例による動作を説明するフローチャートである。
【図43】画像合成部63Rによる色画像合成処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
7 画像処理部, 14 制御部, 16 磁気ディスク, 17 光ディスク, 18 光磁気ディスク, 19 半導体メモリ, 61 色バランス補正部, 62 感度別色画像生成部, 63R,63G,63B 画像合成部, 71 色バランス算出部, 72 色バランス調整部, 81 感度別色バランス算出部, 82 感度別色バランス情報合成部, 83 色バランス調整部,91 加算部, 92 合成感度補償部
Claims (7)
- 各画素が複数の色成分のうちのいずれかの色成分を有し、かつ、光強度に対する複数の感度特性のうちのいずれかの感度特性を有する色・感度モザイク画像を元にして、各画素の感度特性が均一化されており、かつ、各画素が前記複数の色成分を有する復元画像を生成する画像処理装置において、
前記色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出する色バランス情報算出手段と、
前記色バランス情報に基づき、前記色・感度モザイク画像の色バランスを補正する補正手段とを含み、
前記色バランス情報算出手段は、前記色・感度モザイク画像を構成する画素の感度特性毎に色成分に注目して感度別色バランス情報を算出し、算出した複数の前記感度別色バランス情報を合成して、前記色・感度モザイク画像に対応する前記色バランス情報を算出する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 前記色・感度モザイク画像の色成分と感度特性の配列を示す色・感度モザイクパターン情報に基づき、前記補正手段によって色バランスが補正された前記色・感度モザイク画像を元にして、各画素の感度特性が均一であって、かつ、各画素の単一の色成分を有する感度別色画像を生成する感度別色画像生成手段と、
前記感度別色画像生成手段によって生成された、同一の色成分を有し、感度特性が異なる複数の前記感度別色画像を合成して広ダイナミックレンジの色画像を生成する合成手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記感度別色画像生成手段は、前記補正手段によって色バランスが補正された前記色・感度モザイク画像を構成する全ての画素のうち、同一の感度特性を有し、かつ、同一の色成分を有する画素を用いた補間処理によって前記感度別色画像を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。 - 前記合成手段は、
前記複数の前記感度別色画像の対応する画素同士を加算して加算画像を生成する加算手段と、
前記加算画像を構成する画素の感度特性を補償する感度特性補償手段とを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。 - 各画素が複数の色成分のうちのいずれかの色成分を有し、かつ、光強度に対する複数の感度特性のうちのいずれかの感度特性を有する色・感度モザイク画像を元にして、各画素の感度特性が均一化されており、かつ、各画素が前記複数の色成分を有する復元画像を生成する画像処理装置の画像処理方法において、
前記色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出する色バランス情報算出ステップと、
前記色バランス情報に基づき、前記色・感度モザイク画像の色バランスを補正する補正ステップとを含み、
前記色バランス情報算出ステップは、前記色・感度モザイク画像を構成する画素の感度特性毎に色成分に注目して感度別色バランス情報を算出し、算出した複数の前記感度別色バランス情報を合成して、前記色・感度モザイク画像に対応する前記色バランス情報を算出する
ことを特徴とする画像処理方法。 - 各画素が複数の色成分のうちのいずれかの色成分を有し、かつ、光強度に対する複数の感度特性のうちのいずれかの感度特性を有する色・感度モザイク画像を元にして、各画素の感度特性が均一化されており、かつ、各画素が前記複数の色成分を有する復元画像を生成するコンピュータの制御用のプログラムであって、
前記色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出する色バランス情報算出ステップと、
前記色バランス情報に基づき、前記色・感度モザイク画像の色バランスを補正する補正ステップとを含み、
前記色バランス情報算出ステップは、前記色・感度モザイク画像を構成する画素の感度特性毎に色成分に注目して感度別色バランス情報を算出し、算出した複数の前記感度別色バランス情報を合成して、前記色・感度モザイク画像に対応する前記色バランス情報を算出する
ことを特徴とするコンピュータが読み取り可能なプログラムが記録されている記録媒体。 - 各画素が複数の色成分のうちのいずれかの色成分を有し、
かつ、光強度に対する複数の感度特性のうちのいずれかの感度特性を有する色・感度モザイク画像を元にして、各画素の感度特性が均一化されており、かつ、各画素が前記複数の色成分を有する復元画像を生成するコンピュータの制御用のプログラムであって、
前記色・感度モザイク画像に対応する色バランス情報を算出する色バランス情報算出ステップと、
前記色バランス情報に基づき、前記色・感度モザイク画像の色バランスを補正する補正ステップとを含み、
前記色バランス情報算出ステップは、前記色・感度モザイク画像を構成する画素の感度特性毎に色成分に注目して感度別色バランス情報を算出し、算出した複数の前記感度別色バランス情報を合成して、前記色・感度モザイク画像に対応する前記色バランス情報を算出する
ことを特徴とする処理をコンピュータに実行させるプログラム。
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