JP3964106B2 - 有機金属錯体および赤外線吸収色素 - Google Patents

有機金属錯体および赤外線吸収色素 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は赤外光域で吸収を示す新規な有機金属錯体及びこれを用いた赤外線吸収色素に関し、具体的には、赤外線吸収フィルター用色素、熱線遮断用色素、遮光フィルム用色素、光記録用材料色素、データーコード用色素、レーザープリンタ用色素、一重項酸素クエンチャー、退色防止剤などに用いることができる赤外線吸収色素材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、近赤外線吸収色素を含有した樹脂からなるプラスチック性近赤外線吸フィルターは、よく知られており、その用途としては、サングラス、溶接用眼鏡、ビルや自動車,電車、飛行機の窓、あるいは情報読み取りのための光学読み取り装置等が挙げられる。
また、最近では、大型薄型の壁掛けテレビとして注目されているプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という)が、近赤外線を発生して、コードレスホン、近赤外線リモコンを使うビデオデッキ等、周辺にある電子機器に作用し誤動作を起こすことから、PDP用フィルターとしても近赤外線を吸収する赤外吸収色素を含有したフィルターの要求がある。
【0003】
この要求に対し、特公平2−4881号公報においては、ベンゼンジチオール系金属錯体を配合した熱可塑性樹脂からなる光学フィルターが提案されている。また、特公平6−38125号公報においては、アントラキノン化合物あるいは、中心に金属原子を配位するナフタロシアニン系化合物のうちの少なくとも一種を含有する近赤外線吸収フィルムあるいは板が提案されている。特開平4−174402号公報においては、アルミニウム化合物を含有する合成樹脂組成物を更に重合、硬化させた赤外線吸収フィルターが提案されている。さらに、近年、プラズマディスプレー用フィルターとして、特開平9−230134号公報においてはジチオール系金属錯体を特開平10−78509号公報において、フタロシアニン色素を含有するプラズマディスプレー用フィルターが提案されている。
【0004】
また、特開昭63−112592号公報には、アミノチオフェノレート系金属錯体色素が開示されており、その用途として赤外線吸収フィルター用色素の記載がある。しかし、これらの色素においては、耐光性が劣ることや可視光線透過性能に問題があり、実用的に十分でない。
さらに、近年、アミノチオフェノレート系金属錯体として、久司らにより、Bull.Chem.Soc.Jpn.,70(7)(1997)1599-1606 に、N原子とN原子が炭素を介してつながったタイプの配位子を有する金属錯体を報告している。これらの色素は、近赤外領域に強い吸収を示しているが、溶液中でのUV-visスペクトルにおいては、可視領域に吸収を示す前駆体との間に平衡があり、近赤外部分と可視領域に吸収を示すため、溶媒を用いて製品への加工する際、可視領域に吸収を有し、可視領域の透過率が、低下するという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、近赤外光域に大きな吸収を有し、化学的に安定で、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性能および耐光性に優れ、成膜性の良い赤外線吸収色素材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を鑑み、鋭意検討した結果、アミノチオフェノレート系等の金属錯体において、金属に配位している窒素原子どおしを炭素鎖でつなぐことにより耐光性の低下の原因となるN−H部位をなくしたことにより安定化し、耐光性が向上し、また、ベンゼン環に電子吸引性の置換基を入れることにより、溶媒中でも可視領域に吸収がある前駆体へ、戻りが少なくなり、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性能および耐光性に優れる赤外線吸収色素を提供することができることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、下記一般式(I)
【0008】
【化2】
Figure 0003964106
【0009】
(XはSまたはSeを表し、Mは、金属元素を表す。R1 〜R8 はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアノ基を表わし、X1 〜X10 の少なくとも1つがハロゲン原子またはシアノ基であり、残りは水素原子である。)で表される有機金属錯体およびこれを用いた赤外線吸収色素に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはブチル基を、Prはプロピル基を、Hexはヘキシル基を、Phはフェニル基を表し、i−はイソをn−は直鎖、t−はターシャリー、c−はシクロ(環状)を表す。
下記一般式(I)において、
【0011】
【化3】
Figure 0003964106
【0012】
XはSまたはSeを表し、好ましくはSであり、Mは、金属元素を表し、2〜3価の遷移金属が好適に用いられる。好ましくはNi、Pd、Pt、Co、Fe、Ti、SnまたはCu、さらに好ましくはNi,Pd,Pt,Coが用いられ、Niである場合が最も好ましい。 中でも、XがSであり、MがNiである場合、性能的にも優れ、かつ経済的にも有利であることから好ましい。
1 〜R8 は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアノ基を表わし、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアン基を表し、さらに好ましくは、水素原子;メチル基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基;アリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基などの炭素数6〜10のアリールオキシ基;ニトロ基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの置換アミノ基;またはシアノ基が挙げられ、特に好ましくは、水素原子が用いられる。最も好ましいのは、R1 〜R8 が全て水素原子である場合である。
【0013】
1 〜X10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基,ニトロ基,シアノ基、置換されていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。具体的には、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基などの炭素数6〜10のアリールオキシ基、ニトロ基,シアノ基,メチル基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等の置換アルキル基、アリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラキル基が挙げられ、好ましくは、水素原子及びフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ニトロ基、シアノ基等の電子吸引性基が挙げられ、X1 〜X10の中で、少なくともひとつは、水素原子でない。さらに好ましくはX1 〜X10の少なくとも1つがフッ素原子、塩素原子、またはシアノ基であり、残りは水素原子であるのが望ましい。中でも、一般式(I)で表される有機金属錯体が左右対称である場合が、色素としての安定性や合成の容易さの面から好ましい。X1 〜X5 、及びX6 〜X10のうちのそれぞれ1〜3個、さらに好ましくは1〜2個が、フッ素原子、塩素原子、またはシアノ基であり、残りが水素原子であるのが望ましい。
本発明に用いられる一般式(I)で表される有機金属錯体として、例えば次に挙げる化合物が好適に用いられる。
【0014】
【化4】
Figure 0003964106
【0015】
【化5】
Figure 0003964106
【0016】
【化6】
Figure 0003964106
【0017】
【化7】
Figure 0003964106
【0018】
【化8】
Figure 0003964106
【0019】
本発明に用いられる有機金属錯体は、例えばXがSの場合、次のようにして製造することができる。
【0020】
【化9】
Figure 0003964106
【0021】
すなわち、O-アミノベンゼンチオール類に、ベンジルアルデヒドを作用させ、ベンゾチアゾリンを合成し、それに錯体ソースを反応させ錯体(A)を合成する。その後、錯体(A) を溶媒中で加熱することにより、容易に一般式(I)で表される化合物が合成できる。(式中、R1 〜R4 およびX1 〜X5 の定義は、一般式(I)と同じである。)
【0022】
この反応で用いる錯体ソースの具体例としては、NiCl2 、NiCl2 ・6H2 O、Ni(OCOCH3 2 、Ni(OCOCH3 2 ・4H2 O、NiSO4 、PdCl2 、PdSO4 、PtCl4 、Na2 PtCl6 ・6H2 O、K2 PtCl6 ・6H2 O、CoCl2 、Co(OCOCH3 2 、Co(OCOCH3 2 ・4H2 O、CoSO4 、FeCl3 、FeSO4 、Fe2 (SO4 3 、TiCl3 、TiCl4 、Ti(SO4 2 、Sn(OCOCH3 2 、Sn(OCOCH3 4 、Sn(OMe)4 、Sn(OEt)4 、SnCl2 、SnCl2 ・2H2 O、SnCl4 、SnSO4 、Ti(OMe)4 、Ti(OEt)4 、CuCl2 、Cu(OCOCH3 2 、CuSO4 、CuSO4 ・4H2 O等が挙げられる。
【0023】
上記の反応は、通常溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(以下「THF」という)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等のアルコール類、1,2,3−トリクロロプロパン、テトラクロルエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、スクアラン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類、アセトニトリル、プロパンニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、エナント酸メチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル類が用いられる。これらの溶媒の中で、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒が好ましい。
また、反応温度は、室温もしくは0℃〜150℃で円滑に実施できる。
このようにして得られた本発明の金属錯体は、近赤外領域に強い吸収を示し、通常ブルーの色調を示す。
本発明の有機金属錯体は、種々の機能性色素、具体的には、赤外線吸収フィルター用色素、熱線遮断用色素、遮光フィルム用色素、光記録用材料色素、データーコード用色素、レーザープリンタ用色素、一重項酸素クエンチャー、退色防止剤などとして使用できる。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0025】
実施例1
メタノール約100mlにm-クロロベンズアルデヒド 22.7ml(0.2mol)を溶かし、その溶液にo−アミノベンゼンチオール21.5ml(0.20mol)を室温で、撹拌しながら加え、0.5時間、リフラックスさせた。その溶液にさらにメタノール200ml、Ni(AcO)2・4H2O 19.8g(0.08mol)を加えると、茶色の固体が析出した。さらに1時間リフラックス後、減圧ろ過、メタノール懸洗数回後、ろ過物を60℃で真空乾燥し、下式に示す茶色錯体42.7g(0.077mol、収率96.3%)を得た。
【0026】
【化10】
Figure 0003964106
【0027】
上記錯体5.0gにテトラヒドロフラン(以下、THFという)500mlを加え、反応液が、濃紺色に変化するまで、リフラックスさせた(約1時間)。その後、減圧ろ過により、ろ過物を除去後、ろ液を濃縮することにより、生成物を結晶化させた。その後、結晶を減圧ろ過、60℃で、真空乾燥させ、下記錯体色素4.85g(収率97.0%)を得た。
【0028】
【化11】
Figure 0003964106
【0029】
【表1】
構造解析
(1)1H−NMR(δ,ppm)
7.73(d,2H)、7.38(S,2H)、7.02-7.30(m,12H)、6.27(s,2H).
(2)IR(KBr:ν, cm-1)
3047、1569、1516、1421、1311、1144、1050、792 、794 、653 、601 .
(3)元素分析(C26H18Cl2N2NiS2
実測値:C,55.97 ;H,3.10;N,5.01;Cl,12.10
計算値:C,56.56 ;H,3.29;N,5.07;Cl,12.84
(4)マススペクトル:m/z .552(マスパターンがC26H18Cl2N2NiS2 でシュミレーションしたものと一致した。)
この錯体は、THF中で、近赤外領域である830nmにε=34000の強い吸収を示した。
【0030】
実施例2
エタノール約10mlに3,4-ジクロロベンズアルデヒド3.50g(0.02mol)を溶かし、その溶液にo−アミノベンゼンチオール2.1ml(0.02mol)を室温で、撹拌しながら加え、0.5時間、リフラックスさせた。その溶液にさらにエタノール20ml、Ni(AcO)2・4H2O 2.10g(0.0085mol)を加えると、赤茶色の固体が析出した。さらに1時間リフラックス後、減圧ろ過、エタノール懸洗数回後、ろ過物を60℃で真空乾燥し、下式に示す茶色の錯体4.25g(0.0068mol、収率80.5%)を得た。
【0031】
【化12】
Figure 0003964106
【0032】
上記錯体1.0gにTHF100mlを加え、反応液が、濃紺色に変化するまで、リフラックスさせた。その後、減圧ろ過により、ろ過物を除去後、ろ液を濃縮することにより、生成物が結晶化させた。その後、結晶を減圧ろ過、60℃で、真空乾燥させ、下記生成物0.89g(収率89.0%)を得た。
【0033】
【化13】
Figure 0003964106
【0034】
【表2】
構造解析
(1)1H−NMR(δ,ppm)
7.75(d,2H)、7.46(s,2H)、7.00-7.30(m,10H)、6.22(s,2H)
(2)IR(KBr:ν, cm-1)
3046、2882、1571、1518、1465、1425、1314、1244、1143、1049、931 、819 、 752 、714 、645 、597
(3)元素分析(C26H16Cl4N2NiS2
実測値:C,50.75 ;H,2.47;N,4.41;Cl,22.52
計算値:C,50.29 ;H,2.60;N,4.51;Cl,22.83
(4)マススペクトル:m/z .620(マスパターンがC26H16Cl4N2NiS2 でシュミレーションしたものと一致した。)
この錯体はTHF中で、近赤外領域である830nmにε=33000の強い吸収を示した。
【0035】
実施例3
エタノール約10mlに3,4-ジフルオロベンズアルデヒド 2.17ml(0.02mol)を溶かし、その溶液にo−アミノベンゼンチオール2.1ml(0.02mol)を室温で、撹拌しながら加え、0.5時間、リフラックスさせた。その溶液にさらにエタノール20ml、Ni(AcO)2・4H2O 2.10g(0.0085mol)を加えると、赤茶色の固体が析出した。さらに1時間リフラックス後、減圧ろ過、エタノール懸洗数回後、ろ過物を60℃で真空乾燥し、下式に示す茶色の錯体4.25g(0.0072mol、収率85.2%)を得た。
【0036】
【化14】
Figure 0003964106
【0037】
上記錯体1.0gにTHF100mlを加え、反応液が、濃紺色に変化するまで、リフラックスさせた。その後、減圧ろ過により、ろ過物を除去後、ろ液を濃縮することにより、生成物が結晶化させた。その後、結晶を減圧ろ過、60℃で、真空乾燥させ、下記生成物0.85g(収率85.0%)を得た。
【0038】
【化15】
Figure 0003964106
【0039】
【表3】
構造解析
(1)1H-NMR(δ,ppm)
7.75(d,2H)、7.16-7.40(m,4H) 、7.00-7.16(m,8H) 、6.24(s,2H).
(2)19F-NMR (δ,ppm)
-136.5、-138.5.
(3)IR(KBr:ν, cm-1)
3046、1606、1514、1423、1314、1278、1147、1048、754 、617 .
(4)元素分析(C26H16F4N2NiS2
実測値:C,56.54 ;H,2.59;N,5.04;F,13.73
計算値:C,56.25 ;H,2.90;N,5.05;F,13.69
(5)マススペクトル:m/z .554(マスパターンがC26H16F4N2NiS2でシュミレーションしたものと一致した。)
この錯体はTHF中で、近赤外領域である830nmにε=31000の強い吸収を示した。
【0040】
実施例4
エタノール約10mlに2,3-ジクロロベンズアルデヒド 3.50g(0.02mol)を溶かし、その溶液にo−アミノベンゼンチオール2.1ml(0.02mol)を室温で、撹拌しながら加え、0.5時間、リフラックスさせた。その溶液にさらにエタノール20ml、Ni(AcO)2・4H2O 2.10g(0.0085mol)を加えると、茶色の固体が析出した。さらに1時間リフラックス後、減圧ろ過、エタノール懸洗数回後、ろ過物を60℃で真空乾燥し、下式に示す茶色の茶色の錯体4.38g(0.0071mol、収率83.0%)を得た。
【0041】
【化16】
Figure 0003964106
【0042】
上記錯体1.0gにTHF100mlを加え、反応液が、濃紺色に変化するまで、リフラックスさせた。その後、減圧ろ過により、ろ過物を除去後、ろ液を濃縮することにより、生成物が結晶化させた。その後、結晶を減圧ろ過、60℃で、真空乾燥させ、下記生成物0.65g(収率65.0%)を得た。
【0043】
【化17】
Figure 0003964106
【0044】
【表4】
構造解析
(1)1H−NMR(300MHz,inCDCl3 :δ,ppm)
7.72(d,2H)、7.38(d,2H)、7.05-7.30(m,6H) 、7.04(d,2H)、6.89(dd,2H) 、6.74 (s,2H).
(2)IR(KBr:ν, cm-1)
3071、3047、1566、1520、1417、1315、1243、1159、1143、1072、1046、792 、744 、713 、654 、621 、572..
(3)元素分析(C26H16Cl4N2NiS2
実測値:C,50.78 ;H,2.22;N,4.49;Cl,21.93
計算値:C,50.29 ;H,2.60;N,4.51;Cl,21.83
(4)マススペクトル:m/z .620(マスパターンがC26H16Cl4N2NiS2 でシュミレーションしたものと一致した。)
この錯体はTHF中で、近赤外領域である830nmにε=32500の強い吸収を示した。
【0045】
実施例5
エタノール約10mlに3-シアノベンズアルデヒド 0.66.50g(0.005mol)を溶かし、その溶液にo−アミノベンゼンチオール0.53ml(0.005mol)を室温で、撹拌しながら加え、0.5時間、リフラックスさせた。その溶液にさらにエタノール20ml、Ni(AcO)2・4H2O 0.52g(0.0021mol)を加えると、茶色の固体が析出した。さらに1時間リフラックス後、減圧ろ過、エタノール懸洗数回後、ろ過物を60℃で真空乾燥し、下式に示す茶褐色錯体1.03g(0.0019mol、収率92.1%)を得た。
【0046】
【化18】
Figure 0003964106
【0047】
上記錯体1.0gにTHF100mlを加え、反応液が、濃紺色に変化するまで、リフラックスさせた。その後、減圧ろ過により、ろ過物を除去後、ろ液を濃縮することにより、生成物が結晶化させた。その後、結晶を減圧ろ過、60℃で、真空乾燥させ、下記生成物0.95g(収率95.0%)を得た。マススペクトルを測定したところ、m/z .532であり、下記構造に矛盾しなかった。
【0048】
【化19】
Figure 0003964106
【0049】
この錯体はTHF中で、近赤外領域である835nmにε=35000の強い吸収を示した。
【0050】
比較例1
エタノール約10mlに3-ニトロベンズアルデヒド 0.75g(0.005mol)を溶かし、その溶液にo−アミノベンゼンチオール0.53ml(0.005mol)を室温で、撹拌しながら加え、0.5時間、リフラックスさせた。その溶液にさらにエタノール20ml、Ni(AcO)2・4H2O 0.52g(0.0021mol)を加えると、茶色の固体が析出した。さらに1時間リフラックス後、減圧ろ過、エタノール懸洗数回後、ろ過物を60℃で真空乾燥し、下式に示す茶褐色の錯体1.10g(0.0019mol、収率90.5%)を得た。
【0051】
【化20】
Figure 0003964106
【0052】
上記錯体1.0gにTHF100mlを加え、反応液が、濃紺色に変化するまで、リフラックスさせた。その後、減圧ろ過により、ろ過物を除去後、ろ液を濃縮することにより、生成物が結晶化させた。その後、結晶を減圧ろ過、60℃で、真空乾燥させ、下記生成物0.91g(収率91.0%)を得た。マススペクトルを測定したところ、m/z .572であり、下記構造に矛盾しなかった。
【0053】
【化21】
Figure 0003964106
【0054】
この錯体はTHF中で、近赤外領域である835nmにε=24000の強い吸収を示した。
【0055】
比較例2
エタノール約10mlに3-トリフルオロベンズアルデヒド 0.87g(0.005mol)を溶かし、その溶液にo−アミノベンゼンチオール0.53ml(0.005mol)を室温で、撹拌しながら加え、0.5時間、リフラックスさせた。その溶液にさらにエタノール20ml、Ni(AcO)2・4H2O 0.52g(0.0021mol)を加えると、濃茶色の固体が析出した。さらに1時間リフラックス後、減圧ろ過、エタノール懸洗数回後、ろ過物を60℃で真空乾燥し、下式に示す茶色の錯体1.11g(0.0019mol、収率86.7)を得た。
【0056】
【化22】
Figure 0003964106
【0057】
上記錯体1.0gにTHF100mlを加え、反応液が、濃紺色に変化するまで、リフラックスさせた。その後、減圧ろ過により、ろ過物を除去後、ろ液を濃縮することにより、生成物が結晶化させた。その後、結晶を減圧ろ過、60℃で、真空乾燥させ、下記生成物0.96g(収率96.0%)を得た。マススペクトルを測定したところ、m/z .618であり、下記構造に矛盾しなかった。
【0058】
【化23】
Figure 0003964106
【0059】
この錯体はTHF中で、近赤外領域である835nmにε=22000の強い吸収を示した。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、近赤外領域に強い吸収を示す新規な金属錯体色素が提供できる。この金属錯体色素は有機溶媒に可溶なため、フィルム等に容易に加工することができ、近赤外線吸収性能、熱線吸収能、可視光線透過性能および耐光性に優れる近赤外線吸収フィルター等に利用できる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0003964106
    (XはSまたはSeを表し、Mは、金属元素を表す。R1 〜R8 はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアノ基を表わし、X1 〜X10 の少なくとも1つがハロゲン原子またはシアノ基であり、残りは水素原子である。)で表されることを特徴とする有機金属錯体。
  2. 一般式(I)において、XがSであることを特徴とする請求項1に記載の有機金属錯体。
  3. 一般式(I)においてMがNi、Pd、Pt、Co、Fe、Ti、SnまたはCuであることを特徴とする請求項1に記載の有機金属錯体。
  4. 一般式(I)において、MがNiであることを特徴とする請求項1に記載の有機金属錯体。
  5. 請求項1〜4に記載の有機金属錯体からなる赤外線吸収色素。
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