JP3963833B2 - 作業車の走行伝動構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、右及び左の走行装置を備えた作業車の走行伝動構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
右及び左の走行装置を備えた作業車として、例えば特許文献1に開示されているように、動力が第1伝動系(特許文献1の図2中のG9)を介して伝達され、第1伝動系が右及び左の第2伝動系(特許文献1の図2中の20R,20L,21R,21L)に分岐され、右及び左の第2伝動系を介して右及び左の走行装置(特許文献1の図2中の1R,1L)に伝達されるように構成している。これにより、第1伝動系、右及び左の第2伝動系を介して、同方向及び同速度の動力が右及び左の走行装置に伝達されて機体は直進(前進又は後進)する。
【0003】
特許文献1の構造では、右又は左の走行装置の一方に右又は左の走行装置の他方と同方向で且つ右又は左の走行装置の他方よりも低速に減速された動力を伝達可能な旋回機構(特許文献1の図2中のC,27R,27L,25R,25L)を備えている。これにより、例えば第1伝動系及び左の第2伝動系を介して、正転の動力が左の走行装置が伝達されている状態で、旋回機構により動力を右の走行装置に伝達すると、左の走行装置よりも低速の正転の動力が右の走行装置に伝達されて、右及び左の走行装置の速度差により機体は前進しながら右に旋回していく。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−193835号公報(図2,4,11,12)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の構造では[従来の技術]に記載の旋回機構に加えて、右及び左の走行装置を制動可能な制動機構(特許文献1の図2中のB)を備えている。これにより、例えば第1伝動系及び左の第2伝動系を介して正転の動力が左の走行装置が伝達されている状態で、制動機構により右の走行装置に制動を掛けると、右の走行装置が停止した状態で左の走行装置が駆動される状態となって、[従来の技術]に記載のように、前進(後進)しながら右に旋回する場合に比べて小さな旋回が行われる。
【0006】
前述のように制動機構を使用すると小さな旋回が可能であるが、右(左)の走行装置が停止した状態で左(右)の走行装置が駆動されることにより、小さな旋回が行われるので、停止した右(左)の走行装置が移動せずにその場で向きを変えるような状態となり、停止した右(左)の走行装置により地面の土が横に大きく押し退けられるような状態となって、地面が荒らされることが多くある。
本発明は、右及び左の走行装置を備えた作業車の走行伝動構造において、右及び左の走行装置の速度差により前進(後進)しながら右(左)に旋回する場合の利点を残して、できるだけ地面の荒れを抑えて小さな旋回が行えるように構成することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
[I] 請求項1の特徴によると、伝動上手側の第1伝動系から伝達される動力を、右及び左に分岐して伝動下手側に伝える第2伝動系を介して、右及び左の走行装置を駆動するように構成してある作業車の走行伝動構造において、
前記右又は左の走行装置の一方に前記右又は左の走行装置の他方と同方向で且つ第1減速比によって前記右又は左の走行装置の他方よりも低速に減速された動力を伝達可能な第1旋回機構と、
前記第1旋回機構によって動力が伝達される右又は左の走行装置と同じ一方の走行装置に対して、前記右又は左の走行装置の他方と同方向で且つ前記第1減速比よりも低速の第2減速比によって前記右又は左の走行装置の他方よりも低速に減速された動力を伝達可能な第2旋回機構とを備え、
前記第1伝動系から第2伝動系への動力伝達系とは別に、前記第1伝動系から前記第1旋回機構及び第2旋回機構へ動力を分岐伝動する分岐伝動機構を備え、
前記分岐伝動機構を、第1伝動系の動力が伝達される伝動ギヤの両側に一体形成した一対の出力ギヤによって構成するとともに、各出力ギヤから前記第1旋回機構及び第2旋回機構へ伝える動力の減速比が、各出力ギヤ同士で互いに異なるように設定してある。
【0008】
請求項1の特徴によると、所定の旋回半径で旋回を行う場合、第1旋回機構を作動させればよい。これにより、例えば第1伝動系及び左の第2伝動系を介して正転の動力が左の走行装置が伝達されている状態で、第1旋回機構により左の走行装置と同方向で且つ第1減速比によって左の走行装置よりも低速に減速された動力が右の走行装置に伝達されて、右及び左の走行装置の速度差により機体は前進しながら右に旋回していく。
【0009】
請求項1の特徴によると、前述の所定の旋回半径での旋回よりも小さな旋回を行う場合、第2旋回機構を作動させればよい。これにより、例えば第1伝動系及び左の第2伝動系を介して正転の動力が左の走行装置が伝達されている状態で、第2旋回機構により左の走行装置と同方向で且つ第1減速比よりも低速の第2減速比によって左の走行装置よりも低速に減速された動力が右の走行装置に伝達される。第1旋回機構の第1減速比よりも第2旋回機構の第2減速比が低速に設定されているので、第1旋回機構の場合に比べて右及び左の走行装置の速度差が大きなものとなり、第1旋回機構の場合に比べて小さな旋回半径で機体は前進しながら右に旋回していく。
【0010】
この場合、請求項1の特徴によると、第2旋回機構の第2減速比を充分に低速に設定すれば、右及び左の走行装置の速度差が大きなものとなって小さな旋回半径での旋回が可能になるのであるが、第2旋回機構により動力が伝達される右(左)の走行装置(旋回中心側の走行装置)は、停止するのではなく他方の走行装置と同方向に駆動されている。
これにより、第2旋回機構を作動させた旋回では、第2旋回機構により動力が伝達される右(左)の走行装置(旋回中心側の走行装置)が、その場で向きを変えるような状態になることはなく、停止した右(左)の走行装置により地面の土が横に大きく押し退けられるような状態は生じ難いので、地面が荒らされることが少ない。
【0011】
【0012】
右及び左の第2伝動系に分岐する前の第1伝動系の部分から、第1及び第2旋回機構を介して右又は左の走行装置に動力が伝達されており、共通の部分と言ってよい第1伝動系から、第1及び第2旋回機構を介して右又は左の走行装置に動力が伝達されているので、別々の部分から動力を分岐させ、第1及び第2旋回機構を介して右又は左の走行装置に動力が伝達されように構成する場合に比べて、構造が複雑なものになり難い。
【0013】
【0014】
【0015】
[II] 請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
請求項2の特徴によると、摩擦式の多板クラッチを備えて第1及び第2旋回機構を構成しているので、第1及び第2旋回機構を介して右又は左の走行装置に動力を伝達する場合、右又は左の走行装置への伝動及び遮断を滑らかに行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
[1]
図1に示すように、クローラ式の右及び左の走行装置1によって支持された機体の前部の左部に刈取部2、機体の前部の右部に運転部3が備えられ、機体の後部の左部に脱穀装置4、機体の後部の右部にグレンタンク5が備えられて、作業車の一例である稲用のコンバインが構成されている。これにより、圃場の穀稈が刈取部2によって刈り取られ、脱穀装置4により脱穀処理されて、脱穀装置4で回収された穀粒がグレンタンク5に供給される。
【0017】
図2に示すように、走行用のミッションケース6が備えられて、前進側及び後進側に変速自在な静油圧式無段変速装置7がミッションケース6に連結されており、エンジン8の出力軸8aの動力が、ベルト式のテンションクラッチ9を介して静油圧式無段変速装置7の入力軸7aに伝達される。静油圧式無段変速装置7の出力軸7bの動力が出力軸10に伝達され、ベルト式のテンションクラッチ11を介して刈取部2に伝達される。
【0018】
[2]
次に、ミッションケース6の内部に備えられた伝動系において、直進(前進又は後進)の伝動系について説明する。
図2に示すように、ミッションケース6の内部に伝動軸12が備えられ、出力軸10に固定された伝動ギヤ13が、伝動軸12に固定された伝動ギヤ14に咬合している。伝動軸12に低速ギヤ15、中速ギヤ16及び高速ギヤ17が相対回転自在に外嵌されており、シフト部材18,19がスプライン構造により一体回転及びスライド自在に伝動軸12に外嵌されている。
【0019】
図2に示すように、ミッションケース6の内部に伝動軸20が備えられて、伝動軸20に固定された低速ギヤ21、中速ギヤ22及び高速ギヤ23が低速ギヤ15、中速ギヤ16及び高速ギヤ17に咬合している。これにより、シフト部材18,19をスライド操作して低速ギヤ15、中速ギヤ16及び高速ギヤ17に咬合させることにより、伝動軸12から伝動軸20に伝達される動力を3段に変速することができる。
【0020】
図2及び図3に示すように、ミッションケース6の内部に支持軸24が回転自在に支持されて、支持軸24の中央に伝動ギヤ25が固定されており、中速ギヤ22と伝動ギヤ25とが咬合している。支持軸24に右及び左のサイドギヤ26が相対回転自在及びスライド自在に外嵌されており、右及び左の走行装置1に動力を伝達する右及び左の伝動ギヤ27が、右及び左のサイドギヤ26のスライド操作に関係なく右及び左のサイドギヤ26に常時咬合している。
【0021】
図2及び図3に示すように、右及び左のサイドギヤ26と支持軸24との間に右及び左の油室43が構成されており、バネ39により右及び左のサイドギヤ26が伝動ギヤ25に向けて付勢されている。これにより、バネ39の付勢力により右及び左のサイドギヤ26が伝動ギヤ25の咬合部25cに咬合しており、右及び左の油室43に作動油を供給すると、バネ39に抗して右及び左のサイドギヤ26がスライド操作されて伝動ギヤ25の咬合部25cから離れる。
【0022】
以上の構造により、図2及び図3に示すように、右及び左のサイドギヤ26を伝動ギヤ25の咬合部25cに咬合させると、伝動軸20の動力が中速ギヤ22及び伝動ギヤ25、右及び左のサイドギヤ26、右及び左の伝動ギヤ27を介して右及び左の走行装置1に伝達される。これにより、同方向及び同速度の動力が右及び左の走行装置1に伝達されて、機体は直進(前進又は後進)する。次に右(左)のサイドギヤ26をスライド操作して伝動ギヤ25の咬合部25cから離すと、伝動ギヤ25から右(左)の走行装置1への動力が遮断される。このように、伝動ギヤ25の咬合部25cと右及び左のサイドギヤ26との間で、右及び左のサイドクラッチ37が構成されている。
すなわち、サイドクラッチ37で分岐される直前の上記伝動ギヤ25に至るまでの上手側の伝動系が第1伝動系を構成するものであり、伝動ギヤ25から分岐された下手側の伝動系が第2伝動系を構成している。
【0023】
[3]
次に、ミッションケース6の内部に備えられた伝動系において、旋回の伝動系について説明する。
図2及び図3に示すように、ミッションケース6の内部に伝動軸28が備えられて、第1旋回クラッチ29及び第2旋回クラッチ30が伝動軸28に備えられている。第1及び第2旋回クラッチ29,30は、伝動軸28に固定されたケース部材31、伝動軸28に相対回転自在に外嵌された小径の第1旋回ギヤ32及び大径の第2旋回ギヤ33、ケース部材31と第1及び第2旋回ギヤ32,33との間に配置された摩擦板34、摩擦板34を押圧するピストン部材35等を備えて、油圧多板型式に構成されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、伝動ギヤ25に大径の第1出力ギヤ25a及び小径の第2出力ギヤ25bが一体的に備えられており、第1出力ギヤ25aと第1旋回ギヤ32とが咬合し、第2出力ギヤ25bと第2旋回ギヤ33とが咬合している。伝動軸28に右及び左の伝動ギヤ36が固定されている。
上記伝動ギヤ25と一体に形成された大径の第1出力ギヤ25aと、小径の第2出力ギヤ25bとが、前記第1伝動系から第2伝動系への動力伝達系とは別に、前記第1伝動系から後述する前記第1旋回機構及び第2旋回機構へ動力を分岐伝動する分岐伝動機構を構成している。
【0025】
図2及び図3に示すように、右及び左のサイドギヤ26と右及び左の伝動ギヤ36との間に、右及び左の伝動クラッチ38が備えられている。右及び左の伝動クラッチ38は、支持軸24に相対回転自在に外嵌されたケース部材40、ケース部材40と右及び左のサイドギヤ26との間に配置された摩擦板41、摩擦板41を押圧するピストン部材42等を備えて、油圧多板型式に構成されている。
ケース部材40の外周部にギヤ歯が備えられており、右及び左の伝動ギヤ36が右及び左の伝動クラッチ38のケース部材40のギヤ歯に咬合している。
【0026】
以上の構造により、前項[2]に記載のように、右及び左のサイドギヤ26が伝動ギヤ25の咬合部25cに咬合し、伝動軸20の動力が右及び左のサイドギヤ26を介して右及び左の走行装置1に伝達されて、機体が直進(前進又は後進)している状態において、第1及び第2旋回クラッチ29,30、右及び左の伝動クラッチ38が遮断状態に操作されている。
【0027】
前述の状態において、例えば図3に示すように、左のサイドギヤ26をスライド操作して伝動ギヤ25の咬合部25cから離し(左のサイドクラッチ37の遮断状態)、第1旋回クラッチ29及び左の伝動クラッチ38を伝動状態に操作すると、伝動ギヤ25の動力が第1出力ギヤ25a、第1旋回クラッチ29、伝動軸28、左の伝動ギヤ36及び左の伝動クラッチ38を介して左のサイドギヤ26に伝達される。これにより、第1出力ギヤ25aと第1旋回ギヤ32との間で低速に減速(第1減速比)された動力(右の走行装置1と同方向)が、左の走行装置1に伝達されて、右及び左の走行装置1の速度差(例えば左の走行装置1の速度が右の走行装置1の速度の1/3)により、機体は前進(後進)しながら左に旋回していく。
上記第1出力ギヤ25aの動力が伝達される第1旋回ギヤ32、第1旋回クラッチ29、伝動軸28、左の伝動ギヤ36及び左の伝動クラッチ38によって、前記右又は左の走行装置1の一方に前記右又は左の走行装置1の他方と同方向で、且つ前記右又は左の走行装置1の他方よりも低速の第1減速比によって減速された動力を伝達可能な第1旋回機構が構成されている。
【0028】
次に前述の状態において、第2旋回クラッチ30及び左の伝動クラッチ38を伝動状態に操作すると、伝動ギヤ25の動力が第2出力ギヤ25b、第2旋回クラッチ30、伝動軸28、左の伝動ギヤ36及び左の伝動クラッチ38を介して左のサイドギヤ26に伝達される。これにより、第2出力ギヤ25bと第2旋回ギヤ33との間で低速に減速(第2減速比)された動力(右の走行装置1と同方向)が、左の走行装置1に伝達されて、右及び左の走行装置1の速度差(例えば左の走行装置1の速度が右の走行装置1の速度の1/8〜1/10)により、機体は前進(後進)しながら左に旋回していく。
上記第2出力ギヤ25bの動力が伝達される第2旋回ギヤ33と、第2旋回クラッチ30、伝動軸28、左の伝動ギヤ36及び左の伝動クラッチ38によって、前記右又は左の走行装置1の一方に前記右又は左の走行装置1の他方と同方向で、且つ前記第1減速比よりも低速の第2減速比によって減速された動力を伝達可能な第2旋回機構が構成されている。
【0029】
この場合、図3に示すように、第1出力ギヤ25aと第1旋回ギヤ32との間の第1減速比に比べて、第2出力ギヤ25bと第2旋回ギヤ33との間の第2減速比が低速に設定されているので、第1旋回クラッチ29を使用した場合の右及び左の走行装置1の速度差に比べて、第2旋回クラッチ30を使用した場合の右及び左の走行装置1の速度差が大きなものとなり、第1旋回クラッチ29を使用した場合に比べて、第2旋回クラッチ30を使用した場合の方が、小さな旋回半径で機体は前進(後進)しながら右に旋回していく。前述のように左の伝動クラッチ38を伝動状態に操作した場合と同様に、右の伝動クラッチ38を伝動状態に操作した場合も同じ状態が生じる。
【0030】
[4]
次に、右及び左のサイドクラッチ26、右及び左の伝動クラッチ38、第1及び第2旋回クラッチ29,30の操作並びに油圧回路構造について説明する。
図4に示すように、油圧ポンプ44の作動油が、3位置切換式の方向切換弁45から油路46,47を介して右及び左の油室43、右及び左の伝動クラッチ38に供給されている。右及び左の油室43からの油路48が旋回選択弁50に接続され、旋回選択弁50の作動油が第1及び第2旋回クラッチ29,30に供給されるように構成されており、旋回選択弁50に可変リリーフ弁49が接続されている。操向レバー51が運転部3に備えられて、操向レバー51と方向切換弁45及び可変リリーフ弁49とが、連係機構52を介して連係されている。
【0031】
図4に示す状態は、旋回選択弁50を第1旋回位置50aに操作し、操向レバー51を中立位置Nに操作している状態であり、方向切換弁45が中立位置45Nに操作され、可変リリーフ弁49が開位置に操作されている。この状態で右及び左の油室43に作動油は供給されず、右及び左の伝動クラッチ38、第1及び第2旋回クラッチ29,30が遮断状態に操作されている。
【0032】
これによって、図2及び図3に示すように、右及び左のサイドギヤ26が伝動ギヤ25の咬合部25cに咬合して(右及び左のサイドクラッチ37の伝動状態)、伝動軸20の動力が中速ギヤ22及び伝動ギヤ25、右及び左のサイドギヤ26、右及び左の伝動ギヤ27を介して右及び左の走行装置1に伝達され、同方向及び同速度の動力が右及び左の走行装置1に伝達されて、機体は直進(前進又は後進)する。
【0033】
図2及び図4に示すように、操向レバー51を中立位置Nから右第1旋回位置R1(左第1旋回位置L1)に操作すると、方向切換弁45が右旋回位置45R(左旋回位置45L)に操作され、作動油が右(左)の油室43及び右(左)の伝動クラッチ38に供給されて、右(左)のサイドギヤ26がスライド操作されて伝動ギヤ25の咬合部25cから離れ(右(左)のサイドクラッチ37の遮断状態)、右(左)の伝動クラッチ38が伝動状態に操作される。この場合、第1及び第2旋回クラッチ29,30が遮断状態に操作されているので(可変リリーフ弁49が開位置に操作されていることによる)、右(左)の走行装置1が自由回転する状態となって、機体は右(左)に緩やかに向きを変える。
【0034】
図2及び図4に示すように、操向レバー51を右第1旋回位置R1(左第1旋回位置L1)から、右第2旋回位置R2(左第2旋回位置L2)に操作していくと、前述の状態から可変リリーフ弁49が開位置から次第に閉位置に操作されていくので、第1旋回クラッチ29が遮断状態から次第に伝動状態に操作されていく。これにより、前項[3]に記載のように、第1出力ギヤ25aと第1旋回ギヤ32との間で低速に減速(第1減速比)された動力が右(左)の走行装置1に伝達されていき、右及び左の走行装置1の速度差により、機体は前進(後進)しながら右(左)に旋回していくのであり、操向レバー51を右第2旋回位置R2(左第2旋回位置L2)に操作すると、第1旋回クラッチ29が完全な伝動状態となる。
【0035】
図2及び図4に示すように、操向レバー51を右第1旋回位置R1(左第1旋回位置L1)から、右第2旋回位置R2(左第2旋回位置L2)に操作していく際、事前に旋回選択弁50を第2旋回位置50bに操作しておくと、前述の状態から可変リリーフ弁49が開位置から次第に閉位置に操作されていけば、第2旋回クラッチ30が遮断状態から次第に伝動状態に操作されていく。これにより、前項[3]に記載のように、第2出力ギヤ25bと第2旋回ギヤ33との間で低速に減速(第2減速比)された動力が右(左)の走行装置1に伝達されていき、右及び左の走行装置1の速度差により、機体は前進(後進)しながら右(左)に旋回していくのであり、操向レバー51を右第2旋回位置R2(左第2旋回位置L2)に操作すると、第2旋回クラッチ30が完全な伝動状態となる。
【0036】
この場合に、図3に示すように、第1出力ギヤ25aと第1旋回ギヤ32との間の第1減速比に比べて、第2出力ギヤ25bと第2旋回ギヤ33との間の第2減速比が低速に設定されているので、旋回選択弁50を第1旋回位置50aに操作した状態で操向レバー51を右第2旋回位置R2(左第2旋回位置L2)に操作した場合に比べて、旋回選択弁50を第2旋回位置50bに操作した状態で操向レバー51を右第2旋回位置R2(左第2旋回位置L2)に操作した場合の方が、小さな旋回半径で機体は前進(後進)しながら右(左)に旋回していく。
【0037】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明の実施の形態]において、操向レバー51と旋回選択弁50とを連係して、以下のように構成してもよい。
図5に示すように、操向レバー51を中立位置Nに操作していると、右及び左のサイドクラッチ37が伝動状態に操作され、操作レバー51を中立位置Nから右第1旋回位置R1(左第1旋回位置L1)に操作すると、右(左)のサイドクラッチ37が遮断状態に操作されて、右(左)の伝動クラッチ38が伝動状態に操作される。
【0038】
図5に示すように、操向レバー51を右第1旋回位置R1(左第1旋回位置L1)から右第2旋回位置R2(左第2旋回位置L2)に操作していくと、第1旋回クラッチ29が遮断状態から次第に伝動状態に操作されていき、操向レバー51を右第2旋回位置R2(左第2旋回位置L2)に操作すると、第1旋回クラッチ29が完全な伝動状態に操作される。操向レバー51を右第2旋回位置R2(左第2旋回位置L2)から右第3旋回位置R3(左第3旋回位置L3)に操作していくと、第1旋回クラッチ29が直ちに遮断状態に操作され、第2旋回クラッチ30が遮断状態から次第に伝動状態に操作されていき、操向レバー51を右第3旋回位置R3(左第3旋回位置L3)に操作すると、第2旋回クラッチ30が完全な伝動状態に操作される。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明の実施の形態]〜[発明の実施の第1別形態]において、第2出力ギヤ25bと第2旋回ギヤ33との間の第2減速比よりも低速の第3減速比を備えた第3旋回クラッチ(図示せず)を、図2及び図3に示す伝動軸28に備えて、第2旋回クラッチ30及び第3旋回クラッチにより第2旋回機構を構成してもよい。操向レバー51に代えて、一般の乗用車のような丸型の操縦ハンドル(図示せず)を使用してもよい。
本発明はクローラ式の右及び左の走行装置1ばかりではなく、操向操作されない走行車輪を右に複数個備え左に複数個備えて、右及び左の走行装置1を構成した作業車にも適用できる。
【0043】
【発明の効果】
請求項1の特徴によると、右及び左の走行装置を備えた作業車の走行伝動構造において、右又は左の走行装置の一方に右又は左の走行装置の他方と同方向で且つ第1減速比(第2減速比)によって右又は左の走行装置の他方よりも低速に減速された動力を伝達可能な第1旋回機構(第2旋回機構)を備えることにより、地面の荒れを少なくしながら、所定の旋回半径での旋回及び所定の旋回半径での旋回よりも小さな旋回を行うことができるようになって、作業車の旋回性能を向上させることができた。
【0044】
共通の部分と言ってよい第1伝動系から、第1及び第2旋回機構を介して右又は左の走行装置に動力が伝達されており、別々の部分から動力を分岐させ、第1及び第2旋回機構を介して右又は左の走行装置に動力が伝達されように構成する場合に比べて、構造が複雑なものになり難いので、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【0045】
【0046】
請求項2の特徴によると、摩擦式の多板クラッチを備えて第1及び第2旋回機構を構成しており、第1及び第2旋回機構を介して右又は左の走行装置に動力を伝達する場合、右又は左の走行装置への伝動及び遮断を滑らかに行うことができるようになって、作業車の旋回性能を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンバインの全体側面図
【図2】 ミッションケースの内部を示す概略図
【図3】 ミッションケースの第1及び第2旋回クラッチ、右及び左のサイドクラッチ(サイドギヤ)の付近の縦断正面図
【図4】 右及び左のサイドクラッチ(サイドギヤ)、右及び左の伝動クラッチ、第1及び第2旋回クラッチの油圧回路図
【図5】 発明の実施の第1別形態における操向レバーを示す図
【符号の説明】
1 走行装置
25 第1伝動系
26,27 第2伝動系
28,36 第3伝動系
29 第1旋回機構
30 第2旋回機構
Claims (2)
- 伝動上手側の第1伝動系から伝達される動力を、右及び左に分岐して伝動下手側に伝える第2伝動系を介して、右及び左の走行装置を駆動するように構成してある作業車の走行伝動構造であって、
前記右又は左の走行装置の一方に前記右又は左の走行装置の他方と同方向で且つ第1減速比によって前記右又は左の走行装置の他方よりも低速に減速された動力を伝達可能な第1旋回機構と、
前記第1旋回機構によって動力が伝達される右又は左の走行装置と同じ一方の走行装置に対して、前記右又は左の走行装置の他方と同方向で且つ前記第1減速比よりも低速の第2減速比によって前記右又は左の走行装置の他方よりも低速に減速された動力を伝達可能な第2旋回機構とを備え、
前記第1伝動系から第2伝動系への動力伝達系とは別に、前記第1伝動系から前記第1旋回機構及び第2旋回機構へ動力を分岐伝動する分岐伝動機構を備え、
前記分岐伝動機構を、第1伝動系の動力が伝達される伝動ギヤの両側に一体形成した一対の出力ギヤによって構成するとともに、各出力ギヤから前記第1旋回機構及び第2旋回機構へ伝える動力の減速比が、各出力ギヤ同士で互いに異なるように設定してあることを特徴とする作業車の走行伝動構造。 - 摩擦式の多板クラッチを備えて前記第1及び第2旋回機構を構成してある請求項1記載の作業車の走行伝動構造。
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