JP3962856B2 - 印刷装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ＣＤ−Ｒ(Compact Disk Recordable)等の被印刷媒体の表面に所望の文字や記号等のキャラクタを印刷する印刷装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＣＤ−Ｒはユーザが自由にデータを書き込むことができる光記録媒体であり、書き込んだデータのタイトル等をそのＣＤ−Ｒの表面に印刷して表示しておくことが管理上便利である。
【０００３】
従来、ＣＤ−Ｒ等の光ディスクの表面にレーベル印刷を行なう種々の印刷装置が提案されている。この発明者も、熱転写方式により光ディスクの表面にレーベル印刷を行なう印刷装置の開発を行った。その印刷装置は、光ディスクを載置するトレイ、およびそのトレイに載置されて装置本体内の所定位置に配置された光ディスク上でサーマルヘッドを移動させてインクリボンを用いて熱転写印刷を行なう印刷手段を備えている。
【０００４】
前記トレイは、光ディスクの載置およびその取り出しを行なえるように、装置本体の前面から装置本体外に突出するように移動可能に設けられている。また、前記トレイの上方の装置本体の前面上部には、前記印刷手段を覆うプリンタカバーが設けられ、このプリンタカバーを開いてサーマルヘッドが搭載されているキャリッジに対してインクリボンのカートリッジを交換することができるように構成されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
前記印刷装置では、光ディスクを載置するトレイと印刷手段とが上下に配置されているため、印刷手段に対してインクリボンの消耗に応じてカートリッジを交換する際に、トレイと印刷手段との間隔距離が小さいとカートリッジの交換作業がやりにくく、またカートリッジの交換作業時にそのカートリッジが光ディスクの表面に接触して傷つけるような虞が生じるという問題がある。
【０００６】
前記印刷装置はサーマルヘッドを備える熱転写方式であるが、適正な印刷を行なうためにはサーマルヘッドを被印刷面に対して所定の角度で当接させる必要がある。サーマルヘッドはキャリッジに搭載され、シャフトを中心にして回動するヘッドアームの一端部に支持されて印刷位置と印刷待機位置との間を移動するように構成されている。
【０００７】
ここで、カートリッジの交換作業性を考慮してトレイと印刷手段との間隔距離をある程度大きくすると、ヘッドアームの回動角度も大きくなり、サーマルヘッドの被印刷面に対する当接角度が規定の角度の範囲から外れ、適正な印刷を行なうことができなくなるという問題がある。
【０００８】
そこで、シャフトを中心にして回動するヘッドアームの長さを長くしてサーマルヘッドの被印刷面に対する当接角度を所定の角度に確保しようとすると、その長さの長いヘッドアームにより印刷手段の構成が大型化してしまう。
【０００９】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、印刷手段に対してインクリボン等の印刷に必要な消耗材を収容したカートリッジを交換する際には、印刷手段とトレイとの間隔距離を広げてその作業を容易に能率よく、また被印刷媒体を傷つけることがなく行なうことができるとともに、印刷時には印刷手段と被印刷媒体との距離を小さな最適な距離に保って適正な印刷を行なうことができる印刷装置を提供することを目的としている。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の発明は、装置本体内の所定位置に配置されるとともに、その所定位置から装置本体外に移動可能に設けられた被印刷媒体支持用の支持手段と、印刷を行なうための消耗材を収容したカートリッジが着脱可能に装着され、そのカートリッジに収容された消耗材を用いて前記支持手段により支持されて前記所定位置に配置されている被印刷媒体に印刷を行なう印刷手段と、前記支持手段が装置本体内の前記所定位置に配置されているときには、前記支持手段を前記印刷手段に対して第１の間隔距離で対向させ、前記支持手段が装置本体外に移動するときには、前記支持手段を前記印刷手段に対して前記第１の間隔距離より大きい第２の間隔距離で対向させる間隔距離変更手段と、を備えることを特徴としている。
【００１１】
請求項２に記載の発明は、前記間隔距離変更手段が、前記装置本体と前記支持手段との互いに対向する面に、前記第１の間隔距離と前記第２の間隔距離との差に相当する突出高を有して設けられた第１の凸部と第２の凸部とで構成され、前記第１の凸部と前記第２の凸部とが、前記支持手段が装置本体内の前記所定位置に配置されたときに互いに当接して重なり合うことを特徴としている。
【００１２】
請求項３に記載の発明は、前記第１の凸部と第２の凸部とのいずれか一方に、これら凸部が互いに当接して重なるときの動きをガイドする傾斜面が形成されていることを特徴としている。
【００１３】
請求項４に記載の発明は、前記印刷手段が、前記カートリッジに収容された消耗材としてのインクリボンを介して被印刷媒体に接触して所定の印刷領域を移動する印刷ヘッドを備え、前記第１の凸部が、前記印刷ヘッドによる印刷領域に対応する位置に設けられていることを特徴としている。
【００１４】
請求項５に記載の発明は、前記印刷手段が、前記印刷ヘッドを覆うヘッドカバーを備え、このヘッドカバーに、前記カートリッジを前記印刷手段に装着する際のその装着方向へのカートリッジのインクリボンの移動を案内する案内面が形成されていることを特徴としている。
【００１５】
請求項６に記載の発明は、前記支持手段が装置本体外に向けて所定の移動距離を移動したときに、前記第２の凸部と係合して、前記支持手段の更なる装置本体外への移動を規制する規制手段が設けられていることを特徴としている。
【００１６】
請求項７に記載の発明は、装置本体が前記印刷手段を覆うプリンタカバーを備え、前記支持手段が装置本体内の前記所定位置にあるときに前記プリンタカバーを係止してその開放を禁止し、前記支持手段が装置本体内の前記所定位置から装置本体外に向けて移動したときに前記プリントカバーの係止を解除してその開放を可能にするカバー係止手段が設けられていることを特徴としている。
【００１７】
請求項８に記載の発明は、前記支持手段が装置本体に対し許容されるほぼ最大距離まで外部に移動したときに、前記カバー係止手段が前記プリンタカバーの開放を可能にすることを特徴としている。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【００１９】
図１および図２には印刷装置の全体の外観を示してあり、この印刷装置は装置本体としてのケース１を備え、このケース１は合成樹脂により比較的厚さの薄いほぼ箱形状に形成されている。
【００２０】
ケース１の前面から上面の一部に亘る部分には開口部２が形成され、この開口部２には、ピン３を支点にして上下方向に回動することにより開口部２を開閉するプリンタカバー４が設けられている。そして通常時には、図に示すようにプリンタカバー４は開口部２に閉合され、開口部２が閉じられている。
【００２１】
ケース１は、内底部にベース７を有し、このベース７の上に支持手段としてのトレイ８が設けられている。そしてベース７の両側部には、その上方に起立し、かつ互いに対向するようにガイド壁９が一体に形成されている。
【００２２】
図３にはケース１内からベース７およびトレイ８を取り出した状態を、図４にはそのベース７からトレイ８を取り外した状態を、図５にはトレイ８を反転した状態を、図６にはベース７の単独の状態をそれぞれ示してあり、ベース７に設けられたガイド壁９は、図６に示すように断面コ字状をなし、その内側がガイド溝１０となっており、これらガイド溝１０内にトレイ８の両側縁のスライド部１１が摺動自在に嵌合され、これによりトレイ８がガイド溝１０に沿うケース１の前後方向に移動し得るようになっている。
【００２３】
すなわちトレイ８は、ケース１内の所定の収納位置からプリンタカバー４の下側の開口部２を通してその前方に突出するように移動し、また突出した状態からケース１内に移動して所定の収納位置に配置するようになっている。
【００２４】
トレイ８の前端部には起立壁１２が設けられ、またトレイ８の上面の前端寄り部分には被印刷媒体としてのＣＤ−Ｒなどの光ディスク６を載置するための載置部１３が設けられている。この載置部１３には、光ディスク６を支持する滑り止め用およびクッション用のラバー１４と、このラバー１４の上に載置された光ディスク６を位置決めするための位置決め突起１５と、光ディスク６の周縁に指を掛けるための切欠部１６とが設けられている。また、トレイ８の上面の後部両側には、後述する位置合わせ部材を取り付けて定置させるための突起２４が設けられている。
【００２５】
トレイ８の前端部に設けられた起立壁１２の上部の内面には係合爪１７が突出形成され、またプリンタカバー４の下端部には前記係合爪１７に対向する係合穴１８が設けられている。
【００２６】
そしてトレイ８がケース１内の所定の収納位置に配置し、かつプリンタカバー４が開口部２に閉合しているときに、図７に示すように前記係合爪１７が前記係合穴１８内に係合し、これによりプリンタカバー４を係止してその開放を禁止するカバー係止手段が構成されている。
【００２７】
前記ベース７の後部上面には一対の突片１９が形成され、これら突片１９の内面にトレイ８の押出し機構２０を構成するコイルスプリング２１が設けられ、これらコイルスプリング２１の先端部に押し駒２２が装着されている。
【００２８】
また、ベース７の後部上面にはトレイ８を係脱可能に係止する係止機構２５が設けられている。この係止機構２５は、ソレノイド２６と、このソレノイド２６に連動してピン２７を中心に回動する係止レバー２８とで構成され、係止レバー２８の一端部にフック２８ａが一体に形成され、このフック２８ａが図５に示すようにトレイ８の後部下面に形成された突起２９と係脱可能に係合するようになっている。
【００２９】
そしてトレイ８がケース１内に押し込まれてケース１内の所定の収納位置に配置しているときには、トレイ８の後部縁が押出し機構２０の押し駒２２に当接してコイルスプリング２１が圧縮され、またトレイ８の突起２９が係止レバー２８のフック２８ａに係合し、この係合によりコイルスプリング２１の弾性力に抗してトレイ８がケース１内に保持される。
【００３０】
ケース１の前面の一端部には係止機構２５のソレノイド２６を駆動するための制御信号を入力するイジェクトボタン３０が設けられ、このイジェクトボタン３０を指先で押圧操作することにより、ソレノイド２６が励磁され、この励磁でソレノイド２６のプランジャが吸引され、この吸引の動作で係止レバー２８がピン２７を中心に回動し、この回動でフック２８ａがトレイ８の突起２９から外れてその係合が解除され、この係合の解除に応じてトレイ８が押出し機構２０のコイルスプリング２１の弾性力によりケース１の前方側に一定寸法だけ押し出されるようになっている。そして一定寸法だけ押し出されたトレイ８をユーザが手先でさらに前方に引き出してトレイ８をケース１の前方側の許容最大距離まで大きく突出させることができるようになっている。
【００３１】
一方、引き出したトレイ８をケース１内に押し込むと、このトレイ８の後部縁が押し駒２２に当接し、さらにトレイ８を押し込むとコイルスプリング２１が圧縮するとともに、トレイ８の突起２９が係止レバー２８のフック２８ａに係合し、この係合によりトレイ８がコイルスプリング２１の弾性力に抗してケース１内の所定の収納位置に保持される。
【００３２】
ベース７の上面には、トレイ８の押し込みに応じてそのトレイ８を上方にせり上げるためのせり上げ用の凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃが設けられている。これら凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃは図６に示すようにベース７の上面の前部と中間部と後部とに分散するように設けられ、これら凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃの前面部にはそれぞれベース７の前方に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面３４が設けられている。
【００３３】
トレイ８の下面には、図５に示すようにベース７の上面の各凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃに対応する複数の乗り上げ用の凸部３５ａ，３５ｂ，３５ｃが突出形成されている。これら乗り上げ用の凸部３５ａ，３５ｂ，３５ｃの突出高さは、ベース７に形成されたせり上げ用の凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃの突出高さと同じ寸法となっている。
【００３４】
そして、図８（ａ），（ｂ）に示すように、トレイ８の押し込みに応じてこれら乗り上げ用の凸部３５ａ，３５ｂ，３５ｃがその対応するせり上げ用の凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃの上にそれぞれ傾斜面３４をガイドにして乗り上げて重なり、これによりトレイ８が水平状態を保ったまま上方に変位するようになっている。
【００３５】
トレイ８の凸部３５ａ，３５ｂ，３５ｃがベース７の凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃの上に乗り上げるときのタイミングは、ケース１に対するトレイ８の押し込みが完了する直前である。すなわち、トレイ８は、ケース１の前方側に引き出されているときには、下方のレベル位置に保持され、トレイ８がケース１内に向けて移動してケース１内に所定の収納位置に配置する直前に凸部３５ａ，３５ｂ，３５ｃが凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃの上に乗り上げて下方のレベル位置から上方のレベル位置に変位して定置する。
【００３６】
トレイ８の両側縁のスライド部１１には、図３および図４に示すように、トレイ８の上下変位を可能にするために、その長手方向の途中に段差３９が形成され、この段差３９によりスライド部１１がトレイ８の後部側の高さの高い高位部区間１１ａと、この高位部区間１１ａからトレイ８の前部側に延びる高さの低い低位部区間１１ｂとに区分されている。
【００３７】
トレイ８がケース１内に押し込められて上方に変位するときには、図９（ａ１），（ａ２）に示すように、高位部区間１１ａがガイド溝１０から離脱して低位部区間１１ｂの上面がガイド溝１０の上面にほぼ接する状態となり、トレイ８がケース１の前方に引き出されて下方に変位するときには、図９（ｂ１），（ｂ２）に示すように、高位部区間１１ａがガイド溝１０内に進入してこの高位部区間１１ａの上面がガイド溝１０の上面にほぼ接する状態となり、これによりそのいずれの状態のときにもトレイ８のがたつきが抑えられる。
【００３８】
さらに説明すると、図８（ａ），（ｂ）にはトレイ８の凸部３５ａがベース７の凸部３３ａの上に乗り上げるときの状況を示してあり、トレイ８の押し込みに応じてトレイ８の凸部３５ａが傾斜面３４の上を滑って凸部３３ａの上面の上に乗り上げて重なり、これによりトレイ８が下位のレベル位置から上位のレベル位置に変位する。トレイ８がケース１内の所定の収納位置に配置したときには、トレイ８の凸部３５ａがベース７の凸部３３ａの上面の中間点に配置する。
【００３９】
また、トレイ８がケース１の前方に移動したときには、トレイ８の凸部３５ａがベース７の凸部３３ａの上から傾斜面３４を伝わってケース１の前方側下方に移動し、これによりトレイ８が上位のレベル位置から下位のレベル位置に変位する。
【００４０】
ここで、ベース７の凸部３３ａの高さはＡ、傾斜面３４の水平距離はＤ、傾斜面３４の上位側縁部と凸部３３ａの上面の中間点との距離はＣであり、また図９（ａ１）に示すように、トレイ８のスライド部１１における高位部区間１１ａと低位部区間１１ｂとの高低差がベース７の凸部３３ａの高さと同じＡ、スライド部１１の段差３９の部分に設けられた傾斜面４０の水平距離がベース７の傾斜面３４の水平距離と同じＤとなっている。そしてトレイ８の凸部３５ａがベース７の凸部３３ａの上面の中間点に配置しているときに、スライド部１１の傾斜面４０の下位側縁部とガイド壁９の端面の間の距離が前記Ｃより大きいＣ+αとなっている。
【００４１】
これにより、トレイ８の凸部３５ａがベース７の凸部３３ａの上面の中間点からケース１の前方側に移動する際に、スライド部１１の傾斜面３４がガイド溝１０の縁に引っ掛かることなく、その傾斜面３４がガイド溝１０内に円滑に進入し得るようになっている。
【００４２】
なお、例えばＡは２ｍｍ、Ｃは１．５ｍｍ、Ｄは７ｍｍである。また、ベース７の他の凸部３３ｂ，３３ｃとトレイ８の他の凸部３５ｂ，３５ｃとの間の寸法関係も上述と同じ関係に設定されている。そしてＡの寸法が２ｍｍであるときには、トレイ８はその前後方向の移動に応じて２ｍｍの高低差で上下に変位する。
【００４３】
ベース７の前部寄りの上面には、図６に示すようにストッパ爪４１が設けられている。そして、トレイ８が前方に引き出されたときにこのトレイ８の凸部３５ｃが前記ストッパ爪４１に突き当たり、これによりトレイ８の突出移動範囲が所定の許容範囲内に規制されてベース７からの離脱が防止されるようになっている。
【００４４】
一方、ケース１内の前方寄りのトレイ８の上方位置には印刷手段としての印刷機構が設けられている。すなわち、図３に示すようにトレイ８を跨いでケース１の幅方向に延びる金属製のプリンタフレーム４５が取り付けられ、このプリンタフレーム４５は、図３および図１０に示すように、トレイ８の上面と離間して対向すると横梁４６およびこの横梁４６の下側に平行に架設されたガイドシャフト４７を有し、前記横梁４６の下面にその長手方向に沿って延びるガイドレール４８およびラック４９が設けられている。そしてガイドシャフト４７およびガイドレール４８に対してキャリッジ５０が移動自在に、かつその前面のリボンカートリッジ装着面がケース１の開口部２に臨むように設けられている。
【００４５】
キャリッジ５０のカートリッジ装着面となる前面には、その前方に一体的に突出するヘッドカバー５１が形成され、このヘッドカバー５１の内側にサーマルヘッド８１が設けられ、このサーマルヘッド８１がヘッドカバー５１でカバーされている。またこのキャリッジ５０内には、キャリッジ５０の走行駆動機構、サーマルヘッド８１のヘッド移動機構、印刷用消耗材としてのインクリボンの巻取り機構が設けられ、これら各機構の駆動源となる正逆回転可能なステッピングモータ５２がキャリッジ５０の背面に取り付けられている。
【００４６】
そしてこのキャリッジ５０の前面に、印刷用消耗材としてのインクリボン５５を収容したリボンカートリッジ５６が着脱可能に装着されている。このリボンカートリッジ５６は、ケース５７を備え、このケース５７にヘッドカバー５１が嵌合するコ字状の凹部５７ａが形成されている。
【００４７】
このケース５７内には図１１に示すようにリボン供給コア５８とリボン巻取りコア５９とが設けられ、リボン供給コア５８にインクリボン５５がロール状に巻装され、このリボン供給コア５８上から繰り出されたインクリボン５５が複数のガイドピン６０を経て巻取りコア５９に掛け止められ、このインクリボン５５が巻取りコア５９の正回転に応じて順次巻取りコア５９に巻き取られるようになっている。そしてインクリボン５５の途中はケース５７の外部に露出してサーマルヘッド８１が位置する前記凹部５７ａの下面側を走行するようになっている。
【００４８】
キャリッジ５０内に設けられた前記走行駆動機構、ヘッド移動機構およびリボン巻取り機構について説明すると、キャリッジ５０内には、前記ステッピングモータ５２の出力軸に取り付けられた出力ギア６４が配置され、この出力ギア６４に第１のギア６５ａが噛合し、この第１のギア６５ａに同軸的に第２のギア６５ｂが設けられ、この第２のギア６５ｂに第３のギア６５ｃが噛合し、さらにこの第３のギア６５ｃに第４のギア６５ｄが噛合している。
【００４９】
そして、第４のギア６５ｄの回転軸に同一軸的にワンウエイクラッチ（図示せず）を介してリボン巻取り軸６３が設けられ、このリボン巻取り軸６３がキャリッジ５０のカートリッジ装着面からその前方に突出し、カートリッジ装着面に対するリボンカートリッジ５６の装着に応じてそのリボン巻取り軸６３に巻取りコア５９が係合するようになっている。
【００５０】
前記第３のギア６５ｃは前記ラック４９と噛合し、この噛合により第３のギア６５ｃの正逆回転に応じてキャリッジ５０がガイドレール４８およびガイドシャフト４７に沿って往復移動するようになっている。
【００５１】
また、キャリッジ５０内にはカムギア６６が設けられ、このカムギア６６にはその回転中心に対して偏心する円弧状のカム溝６７が形成されている。そしてこのカムギア６６と前記出力ギア６４との間に首振りクラッチ６８が設けられている。
【００５２】
この首振りクラッチ６８は、出力ギア６４に噛合した太陽ギア６９と、この太陽ギア６９に噛合し、かつアーム７０を介して太陽ギア６９の周方向に移動可能に支持された一対の遊星ギア７１ａ，７１ｂとからなり、太陽ギア６９の正回転時（時計回り方向の回転時）には一方の遊星ギア７１ａがカムギア６６に噛合するとともに他方の遊星ギア７１ｂがカムギア６６から離れ、太陽ギア６９の逆回転時（反時計回り方向の回転時）には一方の遊星ギア７１ａがカムギア６６から離れるとともに他方の遊星ギア７１ｂがカムギア６６に噛合するようになっている。
【００５３】
キャリッジ５０内にはシャフト７４を中心にして上下方向に回動するヘッドアーム７５が設けられ、このヘッドアーム７５はその一端側の端部に張設されたスプリング７６により図１１における時計回り方向に弾性的に付勢され、またこのヘッドアーム７５にはその一端寄りにピン７７が設けられ、このピン７７が前記カムギア６６のカム溝６７内に摺動自在に挿入されている。
【００５４】
ヘッドアーム７５の他端側の端部にはヘッドホルダ７８が取り付けられ、このヘッドホルダ７８は、キャリッジ５０の前方側に突出したヘッドカバー５１内に配置するとともに、このヘッドカバー５１に沿ってキャリッジ５０の前方側に延出しており、このヘッドホルダ７８の下面にシャフト７９を介してヘッドベース８０が支持され、このヘッドベース８０の下面に印刷ヘッドとしてのサーマルヘッド８１が取り付けられ、このサーマルヘッド８１がヘッドカバー５１の下面の開口に対向するように配置されている。
【００５５】
ヘッドカバー５１の前端下部には、図１２に示すように、キャリッジ５０に対してリボンカートリッジ５６を装着する際の装着方向に向かって傾斜する案内面５１ａが形成され、リボンカートリッジ５６の凹部５７ａをヘッドカバー５１に嵌合させながらキャリッジ５０の前面にリボンカートリッジ５６を装着するときに、その凹部５７ａの下面側に露出したインクリボン５５を前記案内面５１ａでガイドしながらヘッドカバー５１の下面側に導入させることができるようになっている。
【００５６】
なお、通常時においては、前記キャリッジ５０およびリボンカートリッジ５６は、ケース１の開口部２に閉合されたプリンタカバー４により覆われて保護されている。
【００５７】
サーマルヘッド８１はキャリッジ５０と一体にガイドシャフト４７およびガイドレール４８に沿って移動し、そのサーマルヘッド８１の移動範囲内において印刷が施されるようになっている。そして図８（ｂ）に示すように、ベース７の凸部３３ａおよびこの凸部３３ａの上に重なるトレイ８の凸部３５ａは、サーマルヘッド８１によって押圧力を受ける部位である、印刷領域に対応する位置に設けられている。
【００５８】
すなわち、前記凸部３３ａ，３５ａはサーマルヘッド８１の直下の位置に配置している。そして図３および図５に示すように、前記凸部３３ａ，３５ａはサーマルヘッド８１の移動のストローク範囲Ｓの区間に亘って延びるように設けられている。
【００５９】
このように、特に、サーマルヘッド８１の移動範囲に対応するトレイ８の裏面位置に凸部３５ａを設けることにより、トレイ８がサーマルヘッド８１によって力の加わる部分で凸部３５ａによって補強されることになり、必ずしもトレイ８の全体を堅牢な構造にする必要がない。
【００６０】
また、ケース１内の後部には、図示しないがソレノイド２６、モータ５２、サーマルヘッド８１等を制御する制御回路を備える回路基板が設けられ、さらにケース１の背部には、電源ジャックおよびＵＳＢジャックが設けられている。そして印刷装置の使用時に、電源ジャックに電源ケーブルを接続して電源を供給し、またＵＳＢジャックにＵＳＢケーブルを挿入して印刷装置にパソコンを接続するようになっている。
【００６１】
この印刷装置は、通常時にはトレイ８がケース１内の所定の収納位置に収納され、開口部２がプリンタカバー４により閉じられ、かつそのプリンタカバー４の開放が係合爪１７と係合穴１８との係合で阻止された状態にある。
【００６２】
この状態から印刷装置を使用する際には、印刷装置の電源ジャックに電源ケーブルを接続して電源を供給し、またＵＳＢジャックにＵＳＢケーブルを挿入して印刷装置にパソコンを接続する。
【００６３】
そして印刷装置のイジェクトボタン３０を押すか、あるいはパソコンの画面上の専用アプリケーションのイジェクトトグルをクリックする。これに応じてソレノイド２６による駆動で係止レバー２８が回動し、フック２８ａとトレイ８の突起２９との係合が外れ、トレイ８が押出し機構２０によるコイルスプリング２１の弾性力でケース１の前方側に一定寸法だけ突出する。
【００６４】
そして一定寸法だけ突出したトレイ８を、図１に示すようにユーザが手動操作によりさらにケース１の前方側に許容の最大距離まで引き出す。この際、トレイ８の凸部３５ｃがベース７のストッパ爪４１に突き当たり、これによりトレイ８の引き出しの長さが許容最大距離内に規制され、トレイ８のケース１に対する離脱が防止される。
【００６５】
トレイ８を引き出した後には、このトレイ８の載置部１３の上に被印刷媒体としての光ディスク６を載せ、この後、トレイ８を手動でケース１内に押し込む。この押し込みにより、トレイ８の突起２９が係止レバー２８のフック２８ａに係合してトレイ８がケース１内の所定の収納位置に保持される。
【００６６】
次に、パソコン上の専用アプリケーションで印刷内容を指定し、印刷トグルをクリックする。これに応じて印刷動作が開始され、光ディスク６の表面の所定の領域に所定の文字や記号等のキャラクタが印刷される。そして所定の印刷が終了すると、トレイ８が自動的にイジェクトされる。
【００６７】
印刷時の動作について説明すると、まず印刷動作の待機時には、図１１（ａ）に示すように、キャリッジ５０内のヘッドアーム７５はほぼ水平の状態に保持され、サーマルヘッド８１が光ディスク６の表面から一定の距離だけ離間する印刷待機位置に配置された状態にある。またキャリッジ５０はその移動範囲の右端部付近に設定されるホームポジション位置で停止している。 この状態でモータ５２が正転駆動され、出力ギア６４が反時計回り方向に回転する。この出力ギア６４の回転動力は第１、第２、第３、第４の各ギア６５ａ，６５ｂ，６５ｃ，６５ｄに伝達される。そしてラック４９と噛合している第３のギア６５ｃの反時計回り方向の回転によりキャリッジ５０がガイドシャフト４７およびガイドレール４８に沿って右方向に移動し、さらに第４のギア６５ｄの回転によりこれと一体的にリボン巻取り軸６３がリボン巻取り方向に回転し、このリボン巻取り軸６３に係合するリボンカートリッジ５６内の巻取りコア５９が回転し、このコア５９の巻取り回転でインクリボン５５が順次巻き取られて走行する。
【００６８】
またこの動作と並行して、出力ギア６４の回転により首振りクラッチ６８の太陽ギア６９が駆動されて回転し、この太陽ギア６９の回転に応じて一方の遊星ギア７１ａがカムギア６６に接近してそのカムギア６６に噛合し、この噛合により太陽ギア６９の回転動力がカムギア６６に伝達されてこのカムギア６６が時計回り方向に回転する。
【００６９】
そしてカムギア６６の時計回り方向の正方向の回転により、カム溝６７内のピン７７がヘッドアーム７５と一体に上方に移動する。そしてピン７７と一体に移動するヘッドアーム７５がシャフト７４を中心にして反時計回り方向に回動し、この回動により図１１（ｂ）に示すようにサーマルヘッド８１が下方に移動するとともに水平に対して傾斜する。
【００７０】
カムギア６６の周縁の一部には欠落部（図示せず）が形成されており、カムギア６６が一定の角度だけ回転したときに、その欠落部内に前記遊星ギア７１ａが落ち込んで空転し、これによりサーマルヘッド８１が所定の傾斜角度を維持し、かつインクリボン５５を挟んで光ディスク６の表面に接触する印刷位置に保持される。この際、サーマルヘッド８１はスプリング７６による弾性力で光ディスク６の表面に所定の圧力で接触する。
【００７１】
モータ５２が更に正転駆動されると、遊星ギア７１ａは欠落部内に位置するため、サーマルヘッド８１が印刷位置に保持されたままで、キャリッジ５０が右方向に移動しつつインクリボン５５の巻取り駆動が行われる。
【００７２】
そして、キャリッジ５０の移動とインクリボン５５の巻取りと同時に、印刷データに基づいてサーマルヘッド８１の発熱体が発熱駆動されてインクリボン５５のインクが順次溶融され、光ディスク６の表面に熱転写されて光ディスク６の表面におけるキャリッジ５０（サーマルヘッド８１）の移動範囲に対応する所定の印刷領域に所定の文字や記号等のキャラクラが印刷される。
【００７３】
この際、光ディスク６を載置したトレイ８は、互いに重なり合う凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃ，３５ａ，３５ｂ，３５ｃにより水平に支持されているが、そのうちの互いに重なり合う凸部３３ａ，３５ａは、図８（ｂ）に示すようにサーマルヘッド８１による印刷領域に対応する位置にその印刷領域に沿って延びるように設けられており、このためサーマルヘッド８１によりトレイ８が加圧されても、トレイ８の変形が確実に防止され、適正な印刷が行なわれる。
【００７４】
印刷の終了後には、モータ５２が逆転駆動され、出力ギア６４が逆方向（時計回り方向）に回転する。出力ギア６４の逆回転により第３のギア６５ｃも時計回り方向に逆回転し、この第３のギア６５ｃの逆回転によりキャリッジ５０がガイドシャフト４７およびガイドレール４８に沿って逆方向（左方向）に移動し、ホームポジション位置に戻る。
【００７５】
第４のギア６５ｄはワンウエイクラッチを介してリボン巻取り軸６３に連結されているから、この第４のギア６５ｄの逆回転の動作はリボン巻取り軸６３に伝達されず、インクリボン５５の巻き取りは行なわれない。
【００７６】
また同時に、出力ギア６４の逆回転により首振りクラッチ６８の太陽ギア６９が逆回転し、この太陽ギア６９の逆回転により一方の遊星ギア７１ａがカムギア６６から離れるとともに、他方の遊星ギア７１ｂがカムギア６６に接近して噛合し、この噛合により太陽ギア６９の回転動力がカムギア６６に伝達されてこのカムギア６６が反時計回り方向に逆回転する。
【００７７】
そしてカムギア６６の逆回転により、カム溝６７内のピン７７がヘッドアーム７５と一体に下方に移動する。そしてピン７７と一体に移動するヘッドアーム７５がシャフト７４を中心にして時計方向に回動し、この回動によりサーマルヘッド８１が上方に移動して光ディスク６の表面から離れ、ヘッドアーム７５が当初の水平状態に戻る。
【００７８】
なお、カムギア６６の周縁の一部には遊星ギア７１ｂに対応して欠落部（図示せず）が形成されており、カムギア６６が一定の角度だけ回転してサーマルヘッド８１が印刷待機位置に戻ったときに、その欠落部内に前記遊星ギア７１ｂが落ち込んで空転するようになっている。遊星ギア７１ｂが欠落部内に位置した後は、モータ５２の逆転駆動によりサーマルヘッド８１が印刷待機位置に保持されたままでキャリッジ５０のみが逆方向（左方向）に移動することになる。
【００７９】
そしてこの後、トレイ８が自動的にイジェクトされてケース１の前方に突出し、この突出によりトレイ８内の光ディスク６の取り出しが可能となる。
【００８０】
このような印刷工程の繰り返しにより、リボンカートリッジ５６の巻取りコア５９にインクリボン５５の有効長さの全長分が巻き取られてインクリボン５５が消耗したときには、そのリボンカートリッジ５６を新規のリボンカートリッジ５６と交換する。
【００８１】
リボンカートリッジ５６の交換時には、イジェクトボタン３０を操作してトレイ８をケース１の前方に突出させ、さらにこのトレイ８を手動でケース１の前方側に許容最大距離まで引き出す。
【００８２】
トレイ８がケース１内の所定の収納位置に配置されているときには、トレイ８の起立壁１２の係合爪１７がプリンタカバー４の下部の係合穴１８内に係合してプリンタカバー４の開放が阻止されており、したがって印刷装置の保管時や印刷動作時にはキャリッジ５０およびリボンカートリッジ５６がプリンタカバー４により覆われて保護される。
【００８３】
また、トレイ８を前方に引き出さない限り、プリンタカバー４の単独の開放が阻止され、このため光ディスク６が載置されたトレイ８の真上でのリボンカートリッジ５６の交換作業ができず、したがってカートリッジ交換作業に伴って光ディスク６の表面を傷つけるようなことがない。
【００８４】
これに対し、トレイ８をケース１の前方に引き出したときには、前記係合爪１７が前記係合穴１８から離脱してプリンタカバー４の係止が解除される。したがってリボカートリッジ５６の交換に際してトレイ８をケース１の前方に引き出したときには、その引き出し後に図２に示すようにプリンタカバー４を上方に回動し、開口部２を開放してキャリッジ５０およびリボンカートリッジ５６を外部に露出させることができる。
【００８５】
そしてこの状態のもとで、キャリッジ５０の前面から消耗したリボンカートリッジ５６を手前側に引き出して抜き取り、このリボンカートリッジ５６に換えて新規のリボンカートリッジ５６をキャリッジ５０の前面に装着する。
【００８６】
この装着に当たっては、リボンカートリッジ５６の凹部５７ａをキャリッジ５０の前面に突出しているヘッドカバー５１の下面を除く外周に嵌合させるとともに、前記凹部５７ａの下側に露出しているインクリボン５５をヘッドカバー５１とトレイ８との間の隙間に差し込むようにして装着する。
【００８７】
この際、ヘッドカバー５１の前端下部には、リボンカートリッジ５６の装着方向に向かって傾斜する案内面５１ａが形成されているから、リボンカートリッジ５６の凹部５７ａをヘッドカバー５１に嵌合させながらキャリッジ５０の前面にリボンカートリッジ５６を装着するときに、その凹部５７ａの下面側に露出したインクリボン５５を前記案内面５１ａでガイドしながらヘッドカバー５１の下面側に円滑に導入させてリボンカートリッジ５６をキャリッジ５０に容易に円滑に装着することができる。
【００８８】
トレイ８をケース１の前方に引き出したときには、トレイ８の各凸部３５ａ，３５ｂ，３５ｃがベース７の各凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃの上面から離脱してトレイ８が下位のレベル位置に下降した状態にあり、このためキャリッジ５０とトレイ８との間の間隔が比較的大きく開き、このためキャリッジ５０に対するリボンカートリッジ５６の装着を容易に能率よく行なうことができる。
【００８９】
特に、リボンカートリッジ５６の凹部５７ａの下面に露出しているインクリボン５５をサーマルヘッド８１（ヘッドカバー５１）とトレイ８との間に差し込む作業を容易に行なえ、そのインクリボン５５に多少の弛みが生じているときであっても、そのインクリボン５５をトレイ８やサーマルヘッド８１（ヘッドカバー５１）に引っ掛けて傷つけるようなことなく円滑に差し込むことができる。
【００９０】
また、トレイ８の載置部１３の上に光ディスク６を乗せたまま、リボンカートリッジ５６を交換する場合であっても、その光ディスク６とリボンカートリッジ５６との接触を避け、光ディスク６の表面を傷つけることなくリボンカートリッジ５６を円滑に交換することができる。
【００９１】
さらに、トレイ８が最大距離まで引き出されていることにより、その前端部の起立壁１２がキャリッジ５０から大きく離間して退避している状態にあり、このためトレイ８の前端部の起立壁１２が邪魔にならず、容易にリボンカートリッジ５６を交換することができる。
【００９２】
一方、光ディスク６の印刷に際し、トレイ８をケース１内に押し込んで所定の収納位置に配置させたときには、トレイ８の各凸部３５ａ，３５ｂ，３５ｃがベース７の各凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃの上に乗り上げてトレイ８が上位のレベル位置に保持され、したがってトレイ８の上の光ディスク６とキャリッジ５０との間の間隔が狭まり、光ディスク６の表面がサーマルヘッド８１に接近して対向する。
【００９３】
このため、印刷時にヘッドアーム７５の回動動作で印刷待機位置から印刷位置に移動するサーマルヘッド８１の移動距離を小さくすることができ、これによりヘッドアーム７５の長さ寸法も小さくすることができる。そしてヘッドアーム７５の長さ寸法を小さくすることができることから、キャリッジ５０の小型化を図ることができる。
【００９４】
ところで、光ディスク６の表面に、予め既成の印刷が施されている場合、新たに印刷する文字や記号等のキャラクタの配列方向をその既成の印刷の図柄の配列方向にきちんと揃えることが好ましく、この場合には図１３に示すような位置合わせ部材を用いることが可能である。
【００９５】
図１３に示す位置合わせ部材は、厚さの薄いフィルム状の透明なシート８５からなり、このシート８５に前記印刷領域に対応する印刷窓８６が形成されているとともに、シート８５の表面に印刷窓８６に対して平行および直交する位置決め用の罫線８９が縦横に施されている。
【００９６】
そして図１４に示すように、光ディスク６をトレイ８の載置部１３の上に載置した後に、シート８５を光ディスク６の上に乗せ、このシート８５の位置決め孔８８をトレイ８の上面の位置決め突起２４に差し込んでシート８５を所定の位置に配置させる。
【００９７】
この状態で、トレイ８の切欠部１６から光ディスク６の周縁に指先を掛けて光ディスク６を回し、シート８５の罫線８９を基準にして光ディスク６の表面の既成の文字等の図柄Ｐの配列方向と罫線８９の方向とが一致するように合わせる。
【００９８】
この後、シート８５をトレイ８から取り外し、あるいは取り付けたままトレイ８をケース１内に押し込んで、前述の工程で印刷を行なう。ケース８の上にシート８５が取り付けられたままのときには、印刷時にサーマルヘッド８１がシート８５の印刷窓８６を通して光ディスク６の表面に接触し、所定の印刷が施される。
【００９９】
このように光ディスク６をトレイ８の上に位置決めして印刷を行なうことにより、その印刷による文字や記号等のキャラクタの方向を既成の図柄Ｐの方向に的確に一致させて外観上見栄えのよい印刷を施すことができる。
【０１００】
図１５には、光ディスクの収納ケースに付属し、その収納ケース内に装着して使用するインデックスラベル紙に印刷を行なうための専用アダプターを示してある。このアダプタは、台紙９０ａを備え、この台紙９０ａの上面には再剥離性接着剤が塗布されており、台紙９０ａ上には互いに一辺を接着して透明のシートカバー９０ｂが被着されている。
【０１０１】
シートカバー９０ｂにはサーマルヘッド８１の印刷領域に対応して印刷窓８６ａが開けられ、また、台紙９０ａおよびシートカバー９０ｂには、トレイ８の位置決め突起２４に対応して位置決め孔８８ａが設けられている。なお、シートカバー９０ｂには位置合わせ用の罫線８９ａを設けることとしてもよい。
【０１０２】
このアダプターを使用する場合には、インデックスラベル紙を台紙９０ａ上に載置し、その上からシートカバー９０ｂを被せてトレイ８にセットする。これにより、インデックスラベル紙の印刷窓８６ａ内での露出箇所に印刷を行なうことができる。例えば、インデックスラベル紙に光ディスクと同内容の印刷を施すことで、光ディスクを収納ケースに入れて保存するときに、インデックスラベル紙によって一見して光ディスクの記録内容等を知ることができて便利である。
【０１０３】
ところで、トレイ８の載置部１３には、光ディスク６の滑り止めおよびクッション用のラバー１４が貼り付けてあり、このためこのラバー１４の上に光ディスク６を乗せて印刷をするときに、サーマルヘッド８１による加圧力で光ディスク６がラバー１４とともに下側に僅かに沈み込んで湾曲状に変形し、これが原因で印刷部分の中央部にかすれが生じたり、インクリボン５５に走行不良が生じて印刷品位の低下を招く恐れがある。
【０１０４】
このような場合の対策としては、図１６（ａ），（ｂ）に示すように、ラバー１４の下側のトレイ８の上に、サーマルヘッド８１による印刷領域に対応して硬質材料からなる厚さの薄いプレート状のスペーサ９３を設けるようにするとよい。スペーサ９１の大きさは、サーマルヘッド８１による印刷領域とほぼ同じか、それより若干大きめとする。
【０１０５】
スペーサ９３を設けることにより、通常時には図１６（ａ）に示すように、ラバー１４の表面のスペーサ９３に対応する部分が僅かに***する。そして図１６（ｂ）に示すように、印刷時にラバー１４の上に光ディスク６を乗せ、その表面にサーマルヘッド８１を接触させて加圧したときに、その圧力でラバー１４の***部分が弾性的に変形してラバー１４の表面の全体が平坦面となり、これにより光ディスク６の湾曲変形が防止され、したがって印刷品位を低下させることなく、良好な品位を保って光ディスク６に所定の印刷を施すことができる。
【０１０６】
なお、前記実施形態においては、ベース７の凸部３３ａ，３３ｂ，３３ｃの前面部に、トレイ８の凸部３５ａ，３５ｂ，３５ｃをガイドしてせり上げるための傾斜面３４を形成したが、この傾斜面３４に代えてトレイ８の凸部３５ａ，３５ｂ，３５ｃの前面部に傾斜面を形成するようにしてもよい。
【０１０７】
また、前記実施形態においては、トレイ８がケース１から一定寸法だけ突出したときに、プリンタカバー４の開放を可能にするようにしたが、図１７に示すカバー係止手段のように、トレイ８がケース１に対して許容されるほぼ最大距離まで移動したときに、プリンタカバー４の開放を可能にするような構成とする場合であってもよい。
【０１０８】
すなわち、このカバー係止手段においては、ケース１内にＬ状のレバー１００がピン１０１を介して回動自在に設けられ、このレバー１００がスプリング１０２により図中反時計方向に弾性的に付勢されている。
【０１０９】
レバー１００の一端部には係合バー１０３がピン１０４を介して回動自在に連結され、この係合バー１０３の上端部がプリンタカバー４に形成された係合穴１０５内に挿入され、これによりプリンタカバー４の開放が不能となっている。そしてトレイ８の後部上面にはレバー１００に対応する位置に突起１０６が設けられている。なお、１０７はレバー１００の回動範囲を規制するストッパである。
【０１１０】
この状態で、トレイ８がケース１に対して許容されているほぼ最大距離までケース１の前方側に移動すると、突起１０５がレバー１００の他端部に当接し、この当接でレバー１００がスプリング１０２の弾性力に抗してレバー１００が時計方向に回動し、この回動で係合バー１０３が下降してプリンタカバー４の係合穴１０５から離脱し、プリンタカバー４の開放が可能な状態となる。
【０１１１】
このような構成の場合には、リボンカートリッジ５６の交換時には、トレイ８が必ず最大距離まで引き出されることとなり、このためリボンカートリッジ５６を常にトレイ８の前端部の起立壁１２に邪魔されることなく、容易に能率よく交換することができる。
【０１１２】
図１８にはこの発明の他の実施形態を示してあり、この実施形態においては、トレイ８の上面に四角形の凹部１１０が形成されている。この凹部１１０は、光ディスク６の収納用のケース６ａの外形に対応する四角形状となっている。
【０１１３】
そして凹部１１０内に対し、アダプター１１１が挿脱可能に収納され、このアダプター１１１に光ディスク６に対応する円形の凹部１１２が形成されている。
【０１１４】
光ディスク６に印刷をするときには、図１８（ａ）に示すように、トレイ８の凹部１１０内にアダプター１１１を収納し、このアダプター１１１の凹部１１２内に光ディスク６を収納し、この状態でトレイ８をケース１内に押し込み、印刷手段により光ディスク６の表面に所定の文字や記号等のキャラクタを印刷する。
【０１１５】
この印刷装置においては、光ディスク６のほかにその収納用のケース６ａの表面にも文字や記号等のキャラクタを印刷することができる。ケース６ａにキャラクタを印刷するときには、図１８（ｃ）に示すように、トレイ８の凹部１１０内のアダプター１１１を取り除き、その凹部１１０内にケースを収納する。そしてトレイ８をケース１内に押し込み、印刷手段によりケースの表面に所定の文字や記号等のキャラクタを印刷する。
【０１１６】
【発明の効果】
請求項１に記載の発明によれば、支持手段を装置本体外に移動させ、支持手段を印刷手段に対して第１の間隔距離より大きい第２の間隔距離で対向させた状態で、印刷用の消耗材を収容したカートリッジを印刷手段に対して着脱することができるため、カートリッジの交換作業を容易に能率よく行なえ、またカートリッジの交換作業時に被印刷媒体を傷めるようなことがない。
【０１１７】
一方、支持手段が装置本体内の所定位置に配置されて印刷手段によって被印刷媒体に印刷が行なわれるときには、印刷手段と支持手段とが第２の間隔距離より小さい印刷に適した第１の間隔距離で対向し、したがって適正な印刷を行なうことができる。
【０１１８】
請求項２に記載の発明によれば、前記間隔距離変更手段が支持手段と装置本体に設けられた凸部の組み合せにより構成されているから、構造が簡単となる。
【０１１９】
請求項３に記載の発明によれば、支持手段が装置本体の内外方向に移動する際に、支持手段を凸部の高さ方向へ滑らかに移動させることができる。
【０１２０】
請求項４に記載の発明によれば、印刷手段の印刷ヘッドにより支持手段に加わる圧力を間隔距離変更手段としての凸部により的確に受け止めて支持手段の変形を防止することができる。
【０１２１】
請求項５に記載の発明によれば、印刷手段のヘッドカバーにカートリッジの装着時にそのインクリボンの移動を案内する案内面が形成されているから、印刷手段に対して円滑にカートリッジを装着することができる。
【０１２２】
請求項６に記載の発明によれば、規制手段により、支持手段の装置本体外に向けた所定の移動距離を超える移動を規制して支持手段の装置本体からの離脱を防止することができる。
【０１２３】
請求項７に記載の発明によれば、カバー係止手段により、支持手段を装置本体外に移動させた後でなければ、印刷手段を覆うプリンタカバーを開けて印刷手段に対してカートリッジを交換することができず、すなわち被印刷媒体を支持した支持手段を装置本体外に退避させた後にカートリッジの交換を行なうこととなり、このため支持手段の前端部がカートリッジの交換の際に邪魔になることがなく、またカートリッジの交換の際に被印刷媒体を傷めるようなこともない。
【０１２４】
請求項８に記載の発明によれば、支持手段が装置本体に対して許容されるほぼ最大距離まで外部に移動したときにカバー係止手段の解除が行なわれ、したがって支持手段が装置本体外に大きく退避した状態でカートリッジの交換がなされることになり、カートリッジの交換作業の容易性がより高まり、また交換時の被印刷媒体に対する傷つけをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の一実施形態に係る印刷装置の全体の外観を示す斜視図。
【図２】その印刷装置のプリントカバーを開いた状態の斜視図。
【図３】その印刷装置のベースおよびトレイを示す斜視図。
【図４】そのトレイの斜視図。
【図５】そのトレイを反転して示す斜視図。
【図６】そのベースを示す斜視図。
【図７】印刷装置のプリンタカバーの係止手段を示す断面図。
【図８】印刷装置のベースの凸部とトレイの凸部との動作関係を示す説明図。
【図９】印刷装置のベースのガイド溝とトレイのスライド部との動作関係を示す説明図。
【図１０】印刷装置のキャリッジおよびリボンカートリッジの支持構造を示す正面図。
【図１１】印刷装置のキャリッジおよびリボンカートリッジの内部構造を模式的に示す構成図。
【図１２】印刷装置のキャリッジに対するリボンカートリッジの装着構造を示す説明図。
【図１３】被印刷媒体としての光ディスクの位置合わせ部材を示す斜視図。
【図１４】その位置合わせ部材の使用時の状態を示す平面図。
【図１５】被印刷媒体としてのインデックスラベル紙に印刷をするときに使用する専用アダプタを示す斜視図。
【図１６】印刷装置のトレイとラバーとの間にスペーサを介在させた例を示す断面図。
【図１７】印刷装置のプリンタカバーを係止する係止手段の変形例を示す断面図。
【図１８】この発明の他の実施形態に係る印刷装置を示す斜視図。
【符号の説明】
１…ケース
２…開口部
４…プリンタカバー
６…光ディスク（ＣＤ−Ｒ）
７…ベース
８…トレイ
１０…ガイド溝
１１…スライド部
１７…係合爪
１８…係合穴
３０…イジェクトボタン
３３ａ，３３ｂ，３３ｃ…凸部
３４…傾斜面
３５ａ，３５ｂ，３５ｃ…凸部
４１…ストッパ爪
４５…フレーム
４７…ガイドシャフト
５０…キャリッジ
５１…ヘッドカバー
５１ａ…案内面
５２…ステッピングモータ
５５…インクリボン
５６…リボンカートリッジ
７５…ヘッドアーム
８１…サーマルヘッド

Claims (8)

1. 装置本体内の所定位置に配置されるとともに、その所定位置から装置本体外に移動可能に設けられた被印刷媒体支持用の支持手段と、
   印刷を行なうための消耗材を収容したカートリッジが着脱可能に装着され、そのカートリッジに収容された消耗材を用いて前記支持手段により支持されて前記所定位置に配置されている被印刷媒体に印刷を行なう印刷手段と、
   前記支持手段が装置本体内の前記所定位置に配置されているときには、前記支持手段を前記印刷手段に対して第１の間隔距離で対向させ、前記支持手段が装置本体外に移動するときには、前記支持手段を前記印刷手段に対して前記第１の間隔距離より大きい第２の間隔距離で対向させる間隔距離変更手段と、
   を備えることを特徴とする印刷装置。
2. 前記間隔距離変更手段は、
   前記装置本体と前記支持手段との互いに対向する面に、前記第１の間隔距離と前記第２の間隔距離との差に相当する突出高を有して設けられた第１の凸部と第２の凸部とで構成され、
   前記第１の凸部と前記第２の凸部とが、前記支持手段が装置本体内の前記所定位置に配置されたときに互いに当接して重なり合うことを特徴とする請求項１に記載の印刷装置。
3. 前記第１の凸部と第２の凸部とのいずれか一方には、これら凸部が互いに当接して重なるときの動きをガイドする傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項２に記載の印刷装置。
4. 前記印刷手段は、前記カートリッジに収容された消耗材としてのインクリボンを介して被印刷媒体に接触して所定の印刷領域を移動する印刷ヘッドを備え、
   前記第１の凸部は、前記印刷ヘッドによる印刷領域に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項２または３に記載の印刷装置。
5. 前記印刷手段は、前記印刷ヘッドを覆うヘッドカバーを備え、このヘッドカバーには、前記カートリッジを前記印刷手段に装着する際のその装着方向へのカートリッジのインクリボンの移動を案内する案内面が形成されていることを特徴とする請求項４に記載の印刷装置。
6. 前記支持手段が装置本体外に向けて所定の移動距離を移動したときに、前記第２の凸部と係合して、前記支持手段の更なる装置本体外への移動を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする請求項２ないし５のいずれかに記載の印刷装置。
7. 装置本体は前記印刷手段を覆うプリンタカバーを備え、前記支持手段が装置本体内の前記所定位置にあるときに前記プリンタカバーを係止してその開放を禁止し、前記支持手段が装置本体内の前記所定位置から装置本体外に向けて移動したときに前記プリントカバーの係止を解除してその開放を可能にするカバー係止手段が設けられていることを特徴とする請求項１ないし６のいずれかに記載の印刷装置。
8. 前記カバー係止手段は、前記支持手段が装置本体に対し許容されるほぼ最大距離まで外部に移動したときに、前記プリンタカバーの開放を可能にすることを特徴とする請求項７に記載の印刷装置。

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