JP3962847B2 - 養魚用固形飼料、及びその製造方法 - Google Patents
養魚用固形飼料、及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、養魚用固形飼料、及びその製造方法に関し、詳しくは、経時的な沈降性の低下を防止することのできる養魚用固形飼料、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来の養魚飼料としては、イワシ、サバ、イカナゴ等をミンチ状あるいはブツ切りした生餌がそのまま給餌されていた。この方法は、捕食率の悪さから来る、海の汚染、栄養の偏り、給餌の手間、歩留まり低下等の問題があった。
【0003】
その後、モイストペレットが出現したが、これは魚粉、植物蛋白質粘結剤等を混合した配合飼料に生餌をミンチ状として混練しペレット状にするため、その調整に相当の労力がかかること、さらに出来上がった飼料の保存性が低い等の問題があった。
【0004】
そこで、新タイプの飼料として、近年エクスパンデットペレット(EP)飼料が注目されてきている。EP飼料は、飼料原料と油脂原料、及び水をエクストルーダーを用いて混練、加熱して製造される。このEP飼料は、生餌を使用していないことや、含水分量が低いことにより保存性が高く、投餌時、自動給餌機での給餌性に優れ、また、配合原料を調整することにより、高蛋白、高カロリーのEP飼料の製造もできるなど、利点は多い。一般にEP飼料は、配合原料の澱粉等がエクストルーダー内でα化されたり、予め配合されたα澱粉が発現する粘結性や膨化形成性を利用してEP飼料の形状(艶、キメの細かさ、形)の向上、投餌した時の海水中での崩れ防止、海水表面への浮き防止等の性能が与えられる。
【0005】
一方、魚粉、植物蛋白質、粘結剤等を混合した配合飼料に、油脂原料及び水を添加混練し、加圧ペレットマシン等でペレット化した(または一部乾燥工程を加えた)ドライペレット(DP)も固形飼料として登場した。
【0006】
しかしながら、このような従来の養魚用固形飼料にあっては、原料品質の変化、微細な製造条件の変化によって投餌した時に沈降せずに浮いてしまうことがあった。このため、当該養魚用固形飼料が水面に浮遊し、餌場外へ流されて汚水の原因になる等、給餌に供されず、餌料効率の低下した商品価値の低い固形飼料として取り扱われた。
【0007】
この問題を回避するため、乳化剤や粘結剤の添加、さらには、製造条件の工夫や模索等により、吸水性の向上、比重高にする等を実施し、飼料の沈降性を付与している。
【0008】
しかし、固形飼料は、製造直後は上記の対応策で沈降性が保持されていても、経時的な(保存中の)品質変化により沈降性が低下し、浮遊性が強まるという問題点があった。
【0009】
[発明の目的]
本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、経時的な品質変化を最小限に抑えた(沈降性低下防止をねらった)養魚用固形飼料、及びその製造方法を提供するところにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、造粒した養魚用固形飼料(ドライペレット、エクスパンデットペレット)にカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(以下、単に「CMC」という)の水溶液を塗布または噴霧した後、乾燥しコーティングすることにより前記課題を解決した。すなわち、
請求項1記載の養魚用固形飼料の製造方法は、造粒した養魚用固形飼料に、エーテル化度が0.6〜1.5、1%水溶液粘度が1〜5,000mPa・sのCMCの水溶液であって、濃度が0.2〜5重量%であり、粘度が10〜1,000mPa・sである水溶液を塗布または噴霧した後、乾燥することにより、前記CMCを0.02〜1重量%の割合で付着させる方法である。
【0013】
請求項2記載の養魚用固形飼料は請求項1に記載の製造方法により得られるものであり、前記CMCが0.02〜1重量%の割合で、表面、或いはその近傍に付着してなるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるCMCは特に限定しないが、好ましくは、エーテル化度0.6〜1.5であり、1%水溶液粘度1〜5,000mPa・sのものが好ましい。
エーテル化度が0.6未満の場合は、CMCの粘着性が不足しがちであり、コーティング後のフィルム強度が弱く、コーティング後のペレットを水中へ投餌したとき、耐水性に弱くなる傾向にあり、またエーテル化度の高いのは特に問題ないが、製造コストが高い商品になり経済的には好ましくない。
【0015】
また、1%水溶液粘度が1mPa・s未満では粘度が不足しがちであり、5%水溶液としても粘度が不足する場合がある。なお、粘度を高めようとすると濃度を高くする必要があり、添加量が増え経済的に好ましくない。また、5,000mPa・sを超える場合には、粘度高により水溶液としたとき0.2%にまで濃度を下げても粘度が高く、ベトツキ、ペレットへの均一塗布ができない、または噴霧するときに充分噴霧ができないといった問題が起こる可能性がある。
【0016】
本発明で用いるCMC水溶液は、濃度0.2〜5重量%で、水溶液粘度10〜1,000mPa・sであることが好ましい。水溶液濃度が0.2重量%未満ではCMC固形分が少なく、ペレットに塗布および噴霧、乾燥後にフィルムコーティング厚が薄く効果が出ない可能性がある。また、5重量%を超えても特に問題はないが、高濃度になるとCMC添加量が多く経済的に好ましくない。
【0017】
本発明に使用する養魚用固形飼料の対象とする魚種は、ハマチ、タイ、サケ、ヒラメ、シマアジ等の海水魚、コイ、マス、アユ、ウナギ、ヤマメ、ティラピア、ナマズ等の淡水魚またはクルマエビ、ウシエビ等の甲殻類が挙げられる。
【0018】
養魚用固形飼料は、飼料原料、油脂原料及び水から構成される。
【0019】
飼料原料は、動物性飼料原料(魚粉、肉粉、骨肉、血粉、オキアミミール、イカミール等)、植物性飼料原料(油脂、大豆粉、大豆粕、小麦粉、脱脂米糠、ビール酵母粕、グルテンミール等)、澱粉原料あるいは予めα化したもの等、ビタミン、ミネラル類からなる。油脂原料は、タラ肝油、スケソーダラ肝油、イワシ油、大豆油、綿実油等がある。水は、通常一般水(井水、水道水等)を用いる。
養魚用固形飼料としてドライペレット(DP)とエクスパンデットペレット(EP)とする。
【0020】
造粒したペレットに水溶液化したCMCを塗布または噴霧して表面コーティング後、乾燥しフィルム化する。
【0021】
CMC水溶液をコーティングし、のち乾燥することによるCMCの付着量は、ペレット重量に対して0.02重量%〜1重量%である。なお、乾燥によるペレットの揮発分を5〜10%になるように調整する。CMCの付着量が0.02重量%未満の場合、CMCの量が少なく効果が出にくいという問題が生じ、また1重量%を超える場合、CMCによるベタツキでペレット同士の付着が発生するという問題が生じる。好ましい範囲は、0.1〜0.5重量%である。
【0022】
本発明で用いるCMC水溶液に、グアガム、アルギン酸ソーダおよび他塩、タマリンドガム、ローカストビーンガム、セスバニアガム、寒天、カラギーナン、アラビアガム、トラガントガム、ペクチン、キサンタンガム、ポリアクリル酸ソーダ等を配合使用することに何等支障はない。
【0023】
DP、EP飼料が保存中に沈降性が劣化する理由は、含油分が表面に溶出することにより表面に油膜が形成され、これによって周囲の水をはじき、沈降性能を低下させると考えられるが、本発明のようにCMC水溶液をコーティングすることにより、表面に溶出した油分が直接水に接触しないことにより沈降性能が保持されるのではないかと推察される。
【0024】
【実施例】
本発明の一実施例を挙げるが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0025】
固形飼料の製造(ドライペレット(DP))
飼料原料組成、製造方法、及び造粒法は下記[表1]の通り。
【0026】
【表1】
【0027】
固形飼料の製造(エスクパンデットペレット(EP))
飼料原料組成、製造方法、及び造粒法は下記[表2]の通り。
【0028】
【表2】
【0029】
DP/EP共に原料組成、製造法は特にこの条件に限定はしない。勿論、乳化剤、粘結剤を原料に配合されても何等支障はない。
【0030】
CMC水溶液の塗布、噴霧方法
DP、EP飼料の造粒した乾燥前ペレット重量に対し、下記[表3][表4]中に記載のCMC水溶液を次のようにして付着させた。
[▲1▼塗布方法]
ペレットに振りかけ均一になるように緩やかに混合し完全に付着させた。
[▲2▼噴霧方法]
CMC水溶液を噴霧器に仕込み、加圧により霧状としてペレットに向けて振りかけて付着させた。
この時点でペレットはCMC水溶液を吸着し、表面が若干粘着性を帯びた状態になっていた。そのまま、ペレット同士の付着がないように時々撹拌を行ない、105℃乾燥機で乾燥し、揮発分を5〜10%になるように仕上げた。
【0031】
沈降性の評価方法
[沈降率(%)]
固形飼料20個を人工海水面に静かに浮かせ、1分後の沈降した個数を割合で求めた(%)。
製造直後と、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後の変化を同一評価方法で評価し、結果を[表3]に併記した。
[沈降速度(sec/100cm)]
人工海水を100cmの円筒ガラス管に入れ、固形飼料を水面に静かに浮かべて水面より沈み始めた時点と底に到達するまでの沈降速度を求めた。
製造直後と、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後の変化を同一評価方法で評価し、結果を[表4]に併記した。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【発明の効果】
従来の養魚固形飼料は保存中に沈降性能が低下したが、本発明の養魚固形飼料にあっては、CMC水溶液がコーティングされているので、6ヶ月の長期保存においても沈降性の低下を抑えることができる。
Claims (2)
- 造粒した養魚用固形飼料に、エーテル化度が0.6〜1.5であり、1%水溶液粘度が1〜5,000mPa・sであるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の水溶液であって、濃度が0.2〜5重量%であり、粘度が10〜1,000mPa・sである水溶液を塗布または噴霧した後、乾燥することにより、前記カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を0.02〜1重量%の割合で付着させることを特徴とするコーティングされた養魚用固形飼料の製造方法。
- 前記カルボキシメチルセルロースナトリウム塩が0.02〜1重量%の割合で表面或いはその近傍に付着してなることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法により得られる養魚用固形飼料。
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JP04166898A JP3962847B2 (ja) | 1998-02-24 | 1998-02-24 | 養魚用固形飼料、及びその製造方法 |
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