JP3961231B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機及びプリンターに用いられる静電荷像現像用トナー製造方法に関する。更に詳しくは、帯電性に優れ、画質の良好な静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法において従来一般に広く用いられてきた静電荷像現像用トナーは、スチレン/アクリレート系共重合体あるいはポリエステル等の各種バインダー樹脂に、カーボンブラックや顔料のような着色剤、必要に応じて帯電制御剤、磁性体を含む混合物を押出機により溶融混練し、ついで粉砕・分級することによって製造されてきた。しかし、上記のような溶融混練/粉砕法で得られる従来のトナーは、トナーの粒径制御に限界があり、実質的に10μm以下、特に8μm以下の平均粒径のトナーを歩留まり良く製造することが困難であり、今後電子写真に要求される高解像度化を達成するためには十分なものとは言えなかった。
【0003】
また、低温定着性を達成するために、混練時に低軟化点のワックスをトナー中にブレンドする方法が提案されているが、混練/粉砕法に於いては5%程度のブレンドが限界であり、十分な低温定着性能のトナーを得ることができなかった。また、溶融混練してから得られるフレークを機械的に粉砕してトナーとする場合には、歩留まりが悪く、粒度分布も広いものとなる。特に小粒径のトナーを得ようとする場合にはこの傾向は著しい。
【0004】
一方、近年、溶融混練/粉砕法に変わる製造法として乳化重合凝集法や懸濁重合法等による重合トナーの製造法が知られている。これらの方法を用いれば溶融混練/粉砕法と違い原料の分散の制御は可能である。特に乳化重合凝集法では、粒径及び粒径分布もトナー形状も制御可能である。
通常、乳化重合法によりトナーを製造する場合、重合により得られた粒子径0.05μm〜0.5μmの樹脂一次粒子を含む樹脂乳化分散液に、顔料、電荷制御剤等を加え、更に電荷質等を加えて一次粒子を凝集させ、3〜9μmの凝集粒子とし、次いで一次粒子のガラス転移温度(Tg)以上の高温で熟成させ、凝集粒子の表面そして内部の粒子同士を融着させ、トナー粒子として得られ、最後トナー粒子スラリーを洗浄、乾燥して製品のトナー粒子を得る。この方法においては、重合で得られた粒子の安定性を高めるため、そして凝集工程での粒子径制御し易くするため、重合体一次粒子を構成するモノマー単位中に、カルボキシル基の含むモノマーを一定量含めていた。しかし、この方法で得られたトナーは、帯電が弱く、画質に悪影響を与えていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高帯電、そして高画質化及び高速化に適した、小粒径トナー粒子を得るための方法を提供することである。
【0006】
【課題解決のための手段】
発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、乳化重合法によって得られた重合体一次粒子と、当該重合体一次粒子の成分を特定の条件になるように制御することにより、上記課題が解決できることを見いだし、本発明に達した。即ち、本発明の要旨は、乳化重合によって得られた重合体一次粒子と、少なくとも当該重合体一次粒子及び着色剤粒子を含む分散液に電解質を加えて攪拌槽中で攪拌しながら粒子を凝集して粒子凝集体を得る凝集工程、及び粒子凝集体を重合体一次粒子のガラス転移温度(Tg)より10度以上高い温度で所定時間保持することによって融着させる熟成工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、上記重合体一次粒子を構成するモノマー単位中、多官能性モノマーの割合が0.005〜5重量%であり、且つカルボキシル基を含むモノマーの割合が0.1重量%以下であり、上記凝集工程でTg−20℃〜Tgの温度範囲で30分以上保持することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含み、必要に応じ、帯電制御剤、ワックス、その他の添加剤を含むことが出来る。また、本発明に用いられるトナーは、乳化重合/凝集法、懸濁重合法等の湿式重合法により製造される。
【0008】
中でも、本発明の好適な粒度分布を達成するためには、乳化重合/凝集法が好ましい。乳化重合/凝集法であれば、トナーの円形度を適宜制御できる利点もある。
トナーに用いられる結着樹脂は従来公知のものを含む広い範囲から選択できる。好ましくは、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、又はこれらの樹脂のアクリル酸共重合体等のスチレン系ポリマー、飽和もしくは不飽和ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマーを挙げることができる。また、上記結着樹脂は単独で使用するに限らず2種以上併用することもできる。
【0009】
乳化重合/凝集法でトナーを製造する場合には、少なくともスチレンを共重合成分とし、これに、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル等の少なくともいずれかを共重合成分として用いるのが好ましい。
本発明では、重合体一次粒子を構成するモノマー単位中、アクリル酸またはメタクリル酸などカルボキシル基の含むモノマーの割合は、0.1重量%以下であり、この量は少なければ少ないほど望ましく、好ましくは0.01重量%以下であり、最も好ましくは0重量%である。カルボキシル基を含むモノマーの割合が0.1重量%を越えると、トナーの帯電性が弱くなり、画質が悪くなる。
【0010】
着色剤は無機顔料または有機顔料、有機染料のいずれでも良く、またはこれらの組み合わせでも良い。これらの具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料など、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。フルカラートナーの場合にはイエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタとしてキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンとしてフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。
【0011】
これらの内、シアン着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、イエロー着色剤としてはC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、マゼンタ着色剤としては、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド122が好ましく用いられる。
【0012】
着色剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して2〜25重量部の範囲が好ましい。
本発明に用いられるトナーには、帯電量、帯電安定性付与のため、帯電制御剤を添加しても良い。
帯電制御剤としては、従来公知の化合物が使用される。例えば、ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、ナフトール系化合物、ナフトール系化合物の金属化合物、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩及びこれらの混合物が挙げられる。
【0013】
帯電制御剤の添加量は結着樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部の範囲が好ましい。
本発明に用いられるトナーには、、離型性付与のため、ワックスを添加することが好ましい。ワックスとしては、離型性を有するものであればいかなるものも使用可能である。
【0014】
具体的には低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、または部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が例示される。
【0015】
これらのワックスの中で定着性を改善するためには、ワックスの融点は30℃以上が好ましく、40℃以上が更に好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、100℃以下が好ましく、90℃以下が更に好ましく、80℃以下が特に好ましい。融点が低すぎると定着後にワックスが表面に露出しべたつきを生じやすく、融点が高すぎると低温での定着性が劣る。
【0016】
また更に、ワックスの化合物種としては、高級脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。高級脂肪酸エステル系ワックスとしては具体的には例えば、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、モンタン酸グリセリド等の、炭素数15〜30の脂肪酸と1〜5価のアルコールとのエステルが好ましい。また、エステルを構成するアルコール成分としては、1価アルコールの場合は炭素数10〜30のものが好まく、多価アルコールの場合には炭素数3〜10のものが好ましい。
【0017】
上記ワックスは単独で用いても良く混合して用いても良い。また、トナーを定着する定着温度により、ワックス化合物の融点を適宜選択することができる。
トナー中のワックスの使用量は、通常、0.1〜40%、好ましくは1〜40%、更に好ましくは5〜35%、特に好ましくは7〜30%である。
次に、湿式重合法によるトナーの製造について説明する。
【0018】
乳化重合/凝集法では、乳化重合により得られた重合体一次粒子の分散液に着色剤分散液、帯電制御剤分散液、ワックス分散液等を混合し、温度、塩濃度、pH等を適宜制御することによってこれらを凝集しトナーを製造する。
上記乳化重合に用いる乳化剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤の中から選ばれる少なくともひとつの乳化剤が挙げられる。
【0019】
カチオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、等があげられる。
また、アニオン界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等があげられる。
【0020】
さらに、ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖、等があげられる。
【0021】
これらの界面活性剤の内、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
湿式重合法に用いられる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用する事ができる。例えば、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ(2,4−ジメチル)バレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、又はレドックス系開始剤などを使用する事ができる。
【0022】
これらの内、乳化重合/凝集法ではレドックス系開始剤が好ましい。
上記方法によりトナーを製造した後に、ポリマー乳化液、着色剤分散液、帯電制御剤分散液、ワックス分散液等を添加しトナー表面を被覆することにより、カプセル構造を持つトナーとしても良い。
乳化重合/凝集法について、更に詳しく説明する。
【0023】
乳化重合/凝集法によりトナーを製造する場合、通常、重合工程、混合工程、凝集工程、熟成工程、洗浄・乾燥工程を有する。
すなわち、乳化重合により得た重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、荷電制御剤、ワックス等の各粒子の分散液を混合し、この分散液中の一次粒子を凝集させて体積平均粒径3〜8μm程度の粒子凝集体とし、必要に応じて、これに樹脂微粒子等を付着させ、必要に応じて、粒子凝集体あるいは樹脂微粒子が付着した粒子凝集体を融着させ、こうして得られたトナー粒子を洗浄、乾燥して製品のトナー粒子を得る。
○重合体一次粒子
乳化重合/凝集法に用いられる重合体一次粒子としては、好ましくはガラス転移温度(Tg)が40〜80℃であり、平均粒径は通常0.02〜3μmのものである。この重合体一次粒子は、モノマーを乳化重合することにより得られる。
【0024】
乳化重合をするに当たっては、逐次、ブレンステッド酸性基(以下、単に酸性基と称することがある)を有するモノマーもしくはブレンステッド塩基性基(以下、単に塩基性基と称することがある)を有するモノマー、及び、ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基をいずれも有さないモノマー(以下、その他のモノマーと称することがある)とを添加する事により重合を進行させる。この際、モノマー同士は別々に加えても良いし、予め複数のモノマー混合しておいて添加しても良い。更に、モノマー添加中にモノマー組成を変更することも可能である。また、モノマーはそのまま添加しても良いし、予め水や乳化剤などと混合、調整した乳化液として添加することもできる。乳化剤としては、前記の界面活性剤から1種又は2種以上の併用系が選択される。
【0025】
本発明で用いられるブレンステッド酸性基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、等のカルボキシル基を有するモノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有するモノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有するモノマー等があげられる。
【0026】
また、ブレンステッド塩基性基を有するモノマーとしては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、等の窒素含有複素環含有モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、等が挙げられる。
【0027】
また、これら酸性基を有するモノマー及び塩基性基を有するモノマーは、それぞれ対イオンを伴って塩として存在していても良い。
その他のコモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル、等の(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミドを挙げることができる。を挙げることができる。この中で、特にスチレン、ブチルアクリレート、等が特に好ましい。
【0028】
更に、重合体一次粒子に架橋樹脂を用いる場合、上述のモノマーと共用される架橋剤としては、ラジカル重合性を有する多官能性モノマーが用いられ、例えばジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有するモノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることが可能である。
【0029】
好ましくはラジカル重合性の二官能性モノマーが好ましく、更に、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。
このような、多官能性モノマーのモノマー混合物中の配合率は、好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは0.3重量%以上であり、また、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
【0030】
これらのモノマーは単独、または混合して用いられるが、本発明の重合体一次粒子を構成するモノマー単位中カルボキシル基を含むモノマーの割合が0.1重量%以下なので、その様な重合体一次粒子が製造出来るように、原料モノマーの種類と割合を選択する必要がある。
また、重合体のガラス転移温度が40〜80℃となることが好ましい。ガラス転移温度が80℃を越えると定着温度が高くなりすぎたり、OHP透明性の悪化が問題となることがあり、一方重合体のガラス転移温度が40℃未満の場合は、トナーの保存安定性が悪くなる場合がある。
【0031】
重合開始剤は、モノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加しても良く、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせても良い。
乳化重合に際しては、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができるが、その様な連鎖移動剤の具体的な例としては、t―ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン、等があげられる。連鎖移動剤は単独または2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して0〜5重量%用いられる。
【0032】
乳化重合は、上記のモノマー類を水と混合し、重合開始剤の存在下、重合するが、重合温度は通常50〜150℃、好ましくは60〜120℃、更に好ましくは70〜100℃である。
こうして得られた重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm〜3μmの範囲であり、好ましくは0.05μm〜3μm、更に好ましくは0.1μm〜2μmであり、特に好ましくは0.1μm〜1μmである。なお、平均粒径は、例えばUPAを用いて測定することができる。粒径が0.02μm より小さくなると凝集速度の制御が困難となり好ましくない。また、3μmより大きいと凝集して得られるトナー粒径が大きくなりやすく、3〜8μmのトナーを製造するには不適当である。
○着色剤
乳化重合/凝集法では、重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子を混合し、混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とするが、着色剤は、乳化剤(前述の界面活性剤)の存在下で水中に乳化させエマルションの状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の体積平均粒径としては、0.01〜3μmが好ましい。
【0033】
着色剤の使用量は、通常、重合体一次粒子100重量部に対して1〜25重量部、好ましくは3〜20重量部である。
○ワックス
乳化重合/凝集法において、ワックスは、予め乳化剤(前記界面活性剤)の存在下に分散してエマルジョン化したワックス微粒子分散液としたものを用いるのが好ましい。
【0034】
ワックスは、凝集工程に存在させるが、これには、ワックス微粒子分散液を重合体一次粒子及び着色剤粒子と共凝集させる場合と、ワックス微粒子分散液の存在化にモノマーをシード乳化重合させてワックスを内包した重合体一次粒子を作成し、これと着色剤粒子を凝集させる場合とがある。
このうち、ワックスをトナー中に均一に分散させるには、ワックス微粒子分散液を上記の重合体一次粒子の作成時、すなわちモノマーの重合時に存在させるのが好ましい。
【0035】
ワックス微粒子の平均粒径は、0.01μm〜3μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2μm、特に0.3〜1.5μmのものが好適に用いられる。なお、平均粒径は、例えばホリバ社製LA−500を用いて測定することができる。ワックスエマルジョンの平均粒径が3μmよりも大きい場合には凝集時の粒径制御が困難となる傾向にある。また、エマルジョンの平均粒径が0.01μmよりも小さい場合には、分散液を作製するのが困難である。
【0036】
ワックスは、重合体一次粒子中に、トナーのバインダー樹脂100重量部に対して、1〜40重量部含有されることが好ましい。
○荷電制御剤
乳化重合/凝集法において荷電制御剤を含有させる方法として、重合体一次粒子を得る際に、荷電制御剤をワックスと同時にシードとして用いたり、荷電制御剤をモノマー又はワックスに溶解又は分散させて用いたり、重合体一次粒子及び着色剤と同時に荷電制御剤一次粒子を凝集させて粒子凝集体を形成したり、重合体一次粒子及び着色剤を凝集させて、ほぼトナーとして適当な粒径となった後に、荷電制御剤一次粒子を加えて凝集させることもできる。
【0037】
この場合荷電制御剤も乳化剤(前述の界面活性剤)を用いて水中で分散し、平均粒径0.01〜3μmのエマルション(荷電制御剤一次粒子)として使用することが好ましい。
○混合工程
本発明の製造法の凝集工程においては、上述の、重合体一次粒子、着色剤粒子、必要に応じて荷電制御剤、ワックスなどの配合成分の粒子は、同時にあるいは逐次に混合して分散するが、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じ荷電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して混合分散液を得ることが好ましい。
【0038】
また、ワックスは、重合体一次粒子に内包化されたもの、すなわち、ワックスをシードとして乳化重合した重合体一次粒子を用いることにより、トナーに含有させることが好ましく、この場合は、重合体一次粒子に内包化されたワックスと、内包化されていないワックス微粒子を併用して用いることができるが、更に好ましくは、実質的に全量のワックスを重合体一次粒子に内包化された形で用いるものである。
○凝集工程
上記の各粒子の混合分散液を凝集工程で凝集して粒子凝集体を作成するが、この凝集工程においては、1)加熱して凝集を行う方法、2)電解質を加えて凝集を行う方法とがある。
【0039】
加熱して凝集を行う場合に、凝集温度としては具体的には、50℃〜Tgの温度範囲(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)であり、Tg−10℃〜Tg−5℃の範囲が好ましい。上記温度範囲であれば、電解質を用いることなく好ましいトナー粒径に凝集させることができる。
また、加温して凝集を行う場合、凝集工程に引き続いて熟成工程を行う場合には、凝集工程と熟成工程が連続的に行われ、その境界は曖昧となる場合があるが、Tg−20℃〜Tgの温度範囲に少なくとも30分間保持する工程があれば、これを凝集工程とみなす。
【0040】
凝集温度は所定の温度で少なくとも30分保持することにより所望の粒径のトナー粒子とすることが好ましい。所定の温度までは一定速度で昇温しても良いし、ステップワイズに昇温しても良い。保持時間は、Tg−20℃〜Tgの範囲で30分以上8時間以下が好ましく、1時間以上4時間以下が更に好ましい。このようにすることによって、小粒径であり、粒度分布のシャープなトナーを得ることが出来る。
【0041】
また、混合分散液に電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機の塩、無機塩のいずれでも良いが、好ましくは1価あるいは2価以上の多価の金属塩が好ましく用いられる。具体的には、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO4)3、Fe2(SO4)3、CH3COONa、C6H5SO3Na等が挙げられる。
【0042】
電解質の添加量は、電解質の種類によっても異なるが、通常は混合分散液の固形成分100重量部に対して、0.05〜25重量部が用いられる。好ましくは0.1〜15重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。
電解質添加量が上記範囲より著しく少ない場合には、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が3μm以下となるなどの問題を生じる傾向にある。また、電解質添加量が上記範囲より著しく多い場合には、急速で制御の困難な凝集となりやすく、得られた粒子凝集体の中に25μm以上の粗粉が混じったり、凝集体の形状がいびつで不定形の物になるなどの問題を生じる傾向にある。
【0043】
また、混合分散液に電解質を加えて凝集を行う場合には、凝集温度は5℃〜Tgの温度範囲が好ましい。
○その他の配合成分
次に、本発明においては、上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、必要に応じて樹脂微粒子を被覆(付着又は固着)してトナー粒子を形成するのが好ましい。
【0044】
なお、上述した荷電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に荷電制御剤を加えた後、樹脂微粒子を加えても良い。
この樹脂微粒子は、乳化剤(前述の界面活性剤)により水または水を主体とする液中に分散してエマルションとして用いるが、トナーの最外層に用いる樹脂微粒子は、ワックスを含まないものが好ましい。
【0045】
樹脂微粒子としては、好ましくは体積平均粒径が0.02〜3μm、更に好ましくは0.05〜1.5μmであって、前述の重合体一次粒子に用いられるモノマーと同様なモノマーを重合して得られたもの等を用いることができる。
粒子凝集体に樹脂微粒子を被覆してトナーを形成する場合、樹脂微粒子に用いられる樹脂は、架橋されているものが好ましい。
○熟成工程
乳化重合/凝集法においては、凝集で得られた粒子凝集体(トナー粒子)の安定性を増すためにTg+10度以上の温度(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)で、凝集した粒子間の融着を起こす熟成工程を加える。好ましくは、Tg+20℃以上、Tg+80℃以下の範囲で凝集工程を加える。
【0046】
また、この熟成工程では上記の温度範囲に1時間以上保持するのが好ましい。熟成工程を加えることにより、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることができ、形状制御も可能になる。この熟成工程は、通常1時間から24時間であり、好ましくは1時間から10時間である。
熟成工程前の粒子凝集体は、一次粒子の静電的あるいはその他の物理凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は、互いに融着しており、好ましくはほぼ球形となっている。なお、この様なトナーの製造方法によれば、一次粒子が凝集した状態の葡萄型、融着が半ばまで進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
○洗浄・乾燥工程
上記の各工程を経ることにより得た粒子凝集体は、公知の方法に従って固液分離し、粒子凝集体を回収し、次いで、これを必要に応じて、洗浄した後、乾燥することにより目的とするトナー粒子を得ることができる。
【0047】
このようにして、体積平均粒径が3〜8μmと比較的小粒径のトナーを製造することができる。しかもこうして得られたトナーは、粒度分布がシャープで、高画質及び高速化を達成するための静電荷像現像用トナーとして適したものである。
本発明に用いられるトナーには、流動性や現像性を制御する為に公知の外添剤を添加しても良い。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、等の各種無機酸化粒子(必要に応じて疎水化処理する)、ビニル系重合体粒子等が使用できる。外添剤の添加量は、トナー粒子に対して0.05〜5重量部の範囲が好ましい。
【0048】
本発明に用いられるトナーは、2成分現像剤、マグネタイト含有トナー等の磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤に適用することができる。
2成分現像剤として用いる場合には、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアとしては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系キャリア等の磁性物質または、それらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いる事ができる。
【0049】
キャリアの被覆樹脂としては、一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が利用できるが、これらに限定されるものではない。キャリアの平均粒径は、特に制限はないが10〜200μmの平均粒径を有するものが好ましい。これらのキャリアは、トナー1重量部に対して5〜100重量部使用する事が好ましい。
【0050】
トナーの粒子径を測定する方法としては、市販の粒子径測定装置を用いることができるが、典型的にはベックマン・コールター株式会社製の精密粒度分布測定装置コールター・カウンター マルチサイザーIIが用いられる。
本発明で製造されるトナーの体積平均粒径(Dv)は、通常3〜12μmである。好ましくは3〜8μm、更に好ましくは4〜8μmが好ましく、特に好ましくは4〜7μmである。体積平均粒径が大きすぎると高解像度の画像形成に適さず、小さすぎると粉体としての取り扱いが困難となる。
【0051】
トナーの円形度としては、50%円形度が0.9〜1であるものが好ましい。但し、50%円形度とは、典型的にはシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000にてトナーを測定し、式(円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影像の周長)より求められた値の50%における累積粒度分布値に相当する。
【0052】
更には、本発明のトナーの好適な粒度分布を達成するためには、乳化重合/凝集法が特に好ましい。粒度分布がシャープなトナーである方が、着色剤や帯電制御剤等がより均一に分布して帯電性が均一となり、高精細な画像を形成するのに有利である。
具体的には、本発明の画像形成方法及び装置においては、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との関係が、1.0≦Dv/Dn≦1.3であるものが用いられる。Dv/Dnの値としては、1.25以下が好ましく、1.20以下が更に好ましい。また、Dv/Dnの下限値は1であるが、これば、全ての粒径が等しいことを意味し、製造上困難であるので、1.03以上が好ましく、1.05以上が更に好ましい。
【0053】
また、トナーは微細な粒子(微粉)が少ないのが好ましい。微細な粒子が少ない場合には、トナーの流動性が向上し、着色剤や帯電制御剤等均一に分布して帯電性が均一となりやすい。
微細な粒子を測定するには、例えば、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000が好適に用いられる。
【0054】
本発明においては、フロー式粒子像分析装置による0.6μm〜2.12μmの粒子の測定値(個数)が全粒子数の15%以下であるトナーを用いるのが好ましい。これは、微細な粒子が一定量より少ないことを意味しているが、0.6μm〜2.12μmの粒子の数は10%以下が更に好ましく、5%以下が特に好ましい。また、該微粒子の下限は特になく、全く存在しないのが最も好ましいが、それは製造上困難であり通常0.5%以上であり、好ましくは1%以上である。
【0055】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。また、平均粒径、重量平均分子量、ガラス転移点(Tg)、50%円形度、定着温度幅、OHP透過性、帯電量、耐ブロッキング性、及びワックスの融点は、それぞれ下記の方法により測定した。
【0056】
体積平均粒径、個数平均粒径、5μm以下及び15μm以上のトナー粒子の割合:ホリバ社製LA−500、日機装社製マイクロトラックUPA(ultra particle analyzer)、コールター社製コールターカウンターマルチサイザーII型(コールターカウンターと略)により測定した。
重量平均分子量(Mw)、分子量ピーク(Mp):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した(装置:東ソー社製GPC装置 HLC−8020、カラム:Polymer Laboratory 社製 PL-gel Mixed-B 10μ、溶媒:THF、試料濃度:0.1wt%、検量線:標準ポリスチレン)
ガラス転移温度(Tg):パーキンエルマー社製DSC7により測定した(30℃から100℃まで7分で昇温し、100℃から-20℃まで急冷し、-20℃から100℃まで12分で昇温し、2回目の昇温時に観察されたTgの値を用いた)。
【0057】
50%円形度:シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA-2000にてトナーを測定し、下記式より求められた値の50%における累積粒度値に相当する円形度を用いた。
円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影像の周長
定着温度幅:未定着のトナー像を担持した記録紙を用意し、加熱ローラの表面温度を100℃から220℃まで変化させ、定着ニップ部に搬送し、排出された時の定着状態を観察した。定着時に加熱ローラにトナーのオフセットが生じず、定着後の記録紙上のトナーが十分に記録紙に接着している温度領域を定着温度領域とした。
【0058】
定着機の加熱ローラは、芯金としてアルミニウム、弾性体層としてJIS-A規格によるゴム硬度3゜のジメチル系の低温加硫型シリコーンゴム1.5mm厚、離型層としてPFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)50μm厚が用いられており、直径は30mm、日本ゴム協会規格SRIS 0101に準拠して測定される定着ローラ表面のゴム硬度は80である。シリコンオイルの塗布なしで、ニップ幅は4mmで評価した。定着速度は120mm/s又は30mm/sで実施した。
【0059】
なお、評価範囲が100℃から220℃(但し、比較例10は100℃から200℃)なので、定着温度の上限が220℃と記載のものについては、定着温度の真の上限はさらに高い可能性がある。
OHP透過性:上記定着ローラを用い、OHPシート状の未定着のトナー像を、シリコンオイルの塗布なし、定着速度30mm/s、180℃の条件で定着させ、分光光度計(日立製作所社製 U−3210)で、400nm〜700nmの波長範囲で透過率を測定し、最も透過率の高かった波長における透過率(最大透過率(%))と最も透過率の低かった波長における透過率(最小透過率(%))の差(最大透過率−最小透過率)を値として用いた。
【0060】
帯電量:トナーを非磁性1成分の現像層(カシオ社製ColorPagePrestoN4現像層)に投入し、ローラを一定数回転させた後、ローラ上のトナーを吸引し、帯電量(東芝ケミカル製ブローオフにて測定)と吸引したトナー重量から単位重量あたりの帯電量を求めた。
耐ブロッキング性:現像用トナー10gを円筒形の容器に入れ、20gの荷重をのせ、50℃の環境下に5時間放置した後トナーを容器から取り出し、上から荷重をかけることで凝集の程度を確認した。
○:凝集なし
△:凝集しているが軽い荷重で崩れる
×:凝集していて荷重をかけても崩れない
テトラヒドロフラン不溶分:トナー、重合体一次粒子、樹脂微粒子のテトラヒドロフラン不溶分の測定は、試料1gをテトラヒドロフラン100gに加え25℃で24時間静置溶解し、セライト10gを用いて濾過し、濾液の溶媒を留去してテトラヒドロフラン可溶分を定量し、1gから差し引いてテトラヒドロフラン不溶分を算出した。
【0061】
ワックスの融点:セイコーインスツルメンツ社製DSC−20を用いて、昇温速度10℃/minで測定を行い、DSCカーブにおいて最大の吸熱を示すピークの頂点の温度をワックスの融点とした。
[実施例1]
(ワックス分散液−1)
脱塩水68.33部、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル(ユニスターH476、日本油脂製)30部、ネオゲンSC 1.67部を混合し、90℃で高圧剪断をかけ乳化し、エステルワックス微粒子の分散液を得た。LA-500で測定したエステルワックス微粒子の平均粒径は350nmであった。
(重合体一次粒子分散液−1)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にワックス分散液−1 28部、15%ネオゲンSC水溶液1.2部、脱塩水381部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液1.6部、8%アスコルビン酸水溶液1.6部を添加した。
【0062】
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持した。
[モノマー類]
スチレン 79部(395g)
アクリル酸ブチル 21部
アクリル酸 0部
ブロモトリコロロメタン 0.45部
2-メルカプトエタノール 0.01部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.9部
[乳化剤水溶液]
15%ネオゲンSC水溶液 1部
脱塩水 25部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 9部
8%アスコルビン酸水溶液 9部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は78,000、THF不溶分があった。UPAで測定した平均粒子径は213nmであった。軟化点は123℃だった。Tgは、ワックスの融点と重なり不明瞭であったが55〜60℃の間である。
(着色剤微粒子分散液−1)
ピグメントブルー15:3の水分散液(EP-700 Blue GA、大日精化製、固形分35%)UPAで測定した平均粒径は150nmであった。
(現像用トナーの製造−1)
重合体一次粒子分散液−1 108部(194g:固形分として)
着色剤微粒子分散液−1 6.7部(固形分として)
15%ネオゲンSC水溶液 1部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
【0063】
反応器(容積2リットル、バッフル付きダブルヘリカル翼)に重合体一次粒子分散液と15%ネオゲンSC水溶液を仕込み、均一に混合してから着色剤微粒子分散液を添加し、均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸ナトリウム水溶液を滴下した(固形分として5部)。その後攪拌しながら20分かけて55℃に昇温して1時間保持し、さらに10分かけて60℃に昇温して0.5時間保持し、65℃に昇温して0.5時間保持した。2%水酸化カリウム溶液より、凝集液のpH7.6に調整してから50分かけて95℃に昇温して2時間保持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー(トナー−1)を得た。
【0064】
このトナー100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカを0.6部混合攪拌し、現像用トナー(現像用トナー−1)を得た。
トナーの評価−1
トナー−1のコールターカウンターによる体積平均粒径は6.4μm、体積粒径の5μm以下の割合は12.2%、15μm以上の割合は0.0%、体積平均粒径と数平均粒径の比は1.17であった。50%円形度は0.96であった。
【0065】
現像用トナー−1の定着性は、定着速度120mm/Sでは140〜220℃で定着し、定着速度30mm/Sでは120〜220℃で定着した。
トナー−1の帯電量は-20.7μC/g、現像用トナー−1の帯電量は-39.4μC/gだった。耐ブロッキング性は○だった。画質がよく、トナー消費量が少なかった。[比較例1]
(重合体一次粒子分散液−2)
アクリル酸3部添加し、凝集用の電解質溶液は硫酸ナトリウムの代わりに硫酸アルミ(固形分として0.5部)を使用した以外は実施例1と同様に乳化重合より重合体一次粒子(重合体一次粒子分散液−2)を合成した。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は166,000、THF不溶分があった。UPAで測定した平均粒子径は216nmであった。軟化点は129℃だった。
(現像用トナーの製造−2)
重合体一次粒子分散液−2 108部(232g:固形分として)
着色剤微粒子分散液−1 6.7部(固形分として)
15%ネオゲンSC水溶液 0.6部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
【0066】
反応器(容積2リットル、バッフル付きダブルヘリカル翼)に重合体一次粒子分散液と15%ネオゲンSC水溶液を仕込み、均一に混合してから着色剤微粒子分散液を添加し、均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミ水溶液を滴下した(固形分として0.6部)。その後攪拌しながら20分かけて55℃に昇温して1時間保持し、さらに10分かけて65℃に昇温して0.5時間保持し、68℃に昇温して0.5時間保持した。15%ネオゲンSC水溶液を添加してから50分かけて95℃に昇温して3時間保持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー(トナー−2)を得た。
【0067】
このトナー100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカを0.6部混合攪拌し、現像用トナー(現像用トナー−2)を得た。
トナーの評価−2
トナー−2のコールターカウンターによる体積平均粒径は7.6μm、体積粒径の5μm以下の割合は2.0%、15μm以上の割合は0.7%、体積平均粒径と数平均粒径の比は1.12であった。50%円形度は0.93であった。
【0068】
現像用トナー−2の定着性は、定着速度120mm/Sでは150〜220℃で定着し、定着速度30mm/Sでは120〜200℃で定着した。
トナー−2の帯電量は-6.9μC/g、現像用トナー−2の帯電量は-5.3μC/gだった。
[比較例2]
(現像用トナーの製造−3)
凝集用の電解質溶液は硫酸アルミ代わりに硫酸ナトリウム(固形分として16部)を使う以外、比較例1と同様に凝集熟成そして乾燥によりトナー(トナー−3)を得た。
【0069】
このトナー100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカを0.6部混合攪拌し、現像用トナー(現像用トナー−3)を得た。
トナーの評価−3
トナー−3のコールターカウンターによる体積平均粒径は7.5μm、体積粒径の5μm以下の割合は2.9%、15μm以上の割合は0.3%、体積平均粒径と数平均粒径の比は1.12であった。50%円形度は0.93であった。
【0070】
現像用トナー−3の定着性は、定着速度120mm/Sでは150〜220℃で定着し、定着速度30mm/Sでは120〜200℃で定着した。
トナー−3の帯電量は-10.5μC/g、現像用トナー−3の帯電量は-24.7μC/gだった。
実施例1,比較例1,2の帯電特性、定着温度幅に関し、表1にまとめた。
【0071】
【表1】
Figure 0003961231
【0072】
【発明の効果】
本発明の方法で製造された静電荷像現像用トナーは、帯電性が大幅に改良され、かつ、トナーの定着温度幅は広くなった。また、画質もよく、トナーの消費量も少なかった。

Claims (9)

  1. 乳化重合によって得られた重合体一次粒子と、少なくとも当該重合体一次粒子及び着色剤粒子を含む分散液に電解質を加えて攪拌槽中で攪拌しながら粒子を凝集して粒子凝集体を得る凝集工程、及び粒子凝集体を重合体一次粒子のガラス転移温度(Tg)より10度以上高い温度で所定時間保持することによって融着させる熟成工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、上記重合体一次粒子を構成するモノマー単位中、多官能性モノマーの割合が0.005〜5重量%であり、且つカルボキシル基を含むモノマーの割合が0.1重量%以下であり、上記凝集工程でTg−20℃〜Tgの温度範囲で30分以上保持することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 重合体一次粒子のガラス転移温度が、40〜80℃である請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 重合体一次粒子の平均粒径が0.02〜3μmである請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 重合体一次粒子が、ワックス微粒子をシードとして乳化重合によって得られたものである請求項2乃至3のいずれか記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 重合体一次粒子のシードであるワックス微粒子の体積平均粒径が、0.01μm〜3μmである請求項4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. ワックスの融点が30〜100℃である請求項4または5記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 重合体一次粒子中に、トナーのバインダー樹脂100重量部に対して、ワックスが1〜40重量部含有されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  8. トナーの体積平均粒径が3〜12μmである請求項1乃至のいずれかに載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  9. トナーの体積平均粒径と数平均粒径の比(体積平均粒径/数平均粒径)が1〜1.25である請求項1乃至のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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