JP3960416B2 - 帯電防止フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は帯電防止フィルムに関し、さらに詳しくは、帯電防止性、背面転着性、透明性、耐熱性、易接着性に優れた包装材料、電子材料、グラフィック材料、製版材料、磁気記録材料等に有用な帯電防止フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂フィルムは、包装材料、電子材料、グラフィック材料、製版材料、磁気記録材料等のベースフィルムに広く使用されているが、プラスチックフィルム共通の問題として、静電気が発生しやすく、製膜工程、加工工程、さらに製品の使用時などにおいて種々の静電気トラブルを発生しやすいという欠点を有している。
例えば包装材料として、ポリエステルフィルムが使用されているが、その製造工程、加工工程や最終製品としての帯電防止性に難点があり、フィルム表面に帯電防止性塗膜を形成する方法が種々提案され、かつ実用化されている。この帯電防止性塗膜に含有させる帯電防止剤としては、従来、低分子型のものや高分子型のものが知られているが、それぞれ長短を有する。そこで帯電防止剤はその特性を用途に合わせて使い分けられている。
【0003】
例えば、低分子型の帯電防止剤としては、スルホン酸塩基を有する長鎖アルキル化合物(特開昭60−141525公報等)等のような界面活性剤型のアニオン系帯電防止剤が知られており、また高分子型の帯電防止剤としては、アニオン性高分子としてスルホン酸塩変性ポリスチレン(特開昭61−204240号公報等)、カチオン性高分子として4級アンモニウム塩含有アクリル(特開昭52−136274号公報等)等が知られている。
しかし、低分子型の帯電防止剤を用いた帯電防止性塗膜では、帯電防止剤の一部が塗膜中を移動して界面に集積し、フィルムの反対面等に移行することによる問題や、帯電防止性が経時的に悪化するという問題がある。一方、高分子型の帯電防止剤を用いた帯電防止性塗膜では、良好な帯電防止性を発現するためには多量の帯電防止剤の配合が必要であったり、膜厚の厚い帯電防止性塗膜を形成させたりすることが必要であるため経済的でない。さらに、塗膜が剥がれやすい欠点等があり、延伸したり、高温で熱処理したりすることによって透明性・帯電防止性を損なうなどの欠点を有するため、その解決が望まれている。
【0004】
また、帯電防止性能の他に表面に接着性を要求されることも多く、これを改良するため従来多くの提案がなされてきた。例えば接着性を付与するため各種ガス雰囲気下でのコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理などの物理的方法やアルカリ、トリクロロ酢酸、アミン、フェノールなどによる化学的処理、またはこれらを併用した処理方法などが試みられているがいずれも十分な密着性が得られなかったり、経時的に処理効果が薄れたりするなどの欠点があった。
一方、ポリエステルフィルムの表面にプライマー層を設けることによる易接着処理が近年盛んに行われており、特にポリエステルフィルム製造工程中で一気にプライマー処理を行う方法(インラインコーティング法)が工程簡略化や製造コスト、環境保全などの点で有力視され盛んに実施されている。これに利用されるプライマー層として易接着性を目的とした有機スルホン酸塩基含有ポリエステル樹脂(特開昭58−1727号公報等)、有機スルホン酸塩基含有ポリエステル樹脂とアニオン性ウレタン樹脂の混合物(特開昭58−78761号公報等)などがある。
【0005】
これら帯電防止と接着性付与は多くの場合別々に検討され、同時に両方の要求を達成することは技術には次のような問題がある。すなわち、スルホン酸塩基含有ポリエステルを易接着層として用いた場合には、所望の接着性が得られたとしても帯電防止効果がなく、易接着層上へ塗布層を設ける過程において工程中の塵埃が付着し、精度の良い塗布層が得られない欠点がある。
また、帯電防止剤を添加する方法においては帯電防止剤自身が一種の界面活性剤のようなもので構成されているため、帯電防止効果は得られるが、表面にブリードアウトしやすく接着性付与の点では不十分である。また、従来のスチレンスルホン酸共重合体は、帯電防止効果や易接着性、易滑性などには優れるものの、それ自身の延伸追随性が悪く、インラインコーティング法に適用した場合には塗膜の亀裂による透明性の低下が発生する欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、インラインコーティング法によっても透明性の低下がなく、接着性、帯電防止効果に優れた積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を採用することにより、優れた特性を有する帯電防止フィルムを提供できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に帯電防止層が積層され、当該層が側鎖にポリアルキレンオキサイドを有する成分と4級アンモニウム塩基とを有する成分との共重合により得られた帯電防止性樹脂(A)を含有してなる層であり、当該4級アンモニウム塩基を有する成分が、重合性官能基としてアクリルアミド構造を有し、かつ、当該層が少なくとも一軸方向に延伸されていることを特徴とする帯電防止フィルム、および熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に帯電防止層が積層され、当該層が側鎖にポリアルキレンオキサイドを有する成分と4級アンモニウム塩基とを有する成分との共重合により得られた帯電防止性樹脂(A)を含有してなる層であり、当該4級アンモニウム塩基を有する成分が、重合性官能基としてスチレン構造を有し、かつ、当該層が少なくとも一軸方向に延伸されていることを特徴とする帯電防止フィルムに存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、その材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルフィルム、ナイロンに代表されるポリアミドフィルム、ポリスチレンフィルム等が使用できるが、これらの中でも、力学的性質、耐熱性、透明性などに優れたポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムが好ましく、特に優れた機械強度の点で、ポリエスレンテレフタレート・ポリエチレンナフタレートが好ましい。これらの熱可塑性樹脂フィルムは、常法により製造することができる。
【0009】
以後はポリエステルフィルムを代表例として記述するが、本発明はそれに限定されるものではない。
本発明においてポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる線状ポリエステルである。このジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を例示しうる。特にフィルムの機械的性質の点からテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0010】
グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等を例示しうる。特にフィルムの剛直性の点からエチレングリコールが好ましい。
上記のポリエステルは、第3成分として上記ジカルボン酸成分あるいはグリコール成分を共重合したコポリエステルであってもよく、三官能以上の多価カルボン酸成分あるいはポリオール成分を、得られるポリエステルが実質的に線状となる範囲(例えば5モル%以下)で少量共重合したポリエステルであってもよい。
ポリエチレンテレフタレートとは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレートの繰り返し単位とするものであるが、この限定範囲内で他のジカルボン酸成分、ジオール成分を共重合してもよい。またこのポリエチレンテレフタレート中に本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、核剤などを添加してもよい。これらの添加剤は必要に応じて2種以上の添加剤を配合して用いてもよい。
【0011】
ポリエチレンテレフタレートの極限粘度(25℃のオルソクロロフェノール中で測定)が0.40〜1.20dl/g、さらには0.50〜0.80dl/gの範囲にあるものが好ましいものである。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、特に限定されず用途に応じて適宜選択されるが、好ましくは2μm以上、さらに好ましくは10〜500μmで使用される。この厚さが2μm未満、および500μmを超えると製膜性が劣る傾向が見られる。
【0012】
本発明において熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に設けられる帯電防止性を有する層は、少なくとも一軸方向に延伸して得る。延伸されていることによって、層の基材フィルムへの密着性、層の均一性が向上し、優れた帯電防止効果を発揮することができる。
本発明において熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に設けられる帯電防止性を有する層は、側鎖に少なくともポリアルキレンオキサイドを有する成分と4級アンモニウム塩基とを有する成分の共重合により得られた帯電防止性樹脂(A)よりなる。ここでいう帯電防止性とは、例えば表面固有抵抗率が通常温湿度条件下(23℃,50%RH)で3×1013(Ω/□)以下、好ましくは3×1012(Ω/□)以下であり、さらに好ましくは3×1010(Ω/□)以下のものをいう。
【0013】
本発明のフィルムの帯電防止性を有する層の組成物である側鎖にポリアルキレンオキサイドを有する成分と4級アンモニウム塩基とを有する成分の共重合により得られた帯電防止性樹脂(A)とは、樹脂を構成するモノマーのいずれかにポリアルキレンオキサイドと4級アンモニウム塩基とを含有するものであり、これらは下記の他のモノマー群から必要に応じて適宜選択される少なくとも一種以上のモノマーと共重合することによって得ることができるが、これらに限定されるものではない。
ポリアルキレンオキサイド含有モノマー成分としては、例えばアルキレンオキサイドユニットを少なくとも2連鎖以上、好ましくは3連鎖以上、特に好ましくは4連鎖以上有し、かつビニル系基またはアクリル系基等の反応性不飽和二重結合を有しているものであればよく、特に制限はない。該当するモノマーの例として、例えば、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレートなどを挙げることができるが必ずしもこれに限定されるものではない。
【0014】
これらのポリアルキレンオキサイドを有するモノマー成分を帯電防止樹脂中に共重合することにより易接着性、帯電防止性、延伸適性に優れた積層フィルムを得ることができる。
4級アンモニウム塩基を有するモノマーとしては、側鎖に4級アンモニウム塩基を有し、かつビニル基またはアクリル系基等の反応性不飽和二重結合を有しているものであればよく、下記の他のモノマー群から必要に応じて適宜選択される少なくとも一種以上のモノマーと共重合することによって得ることができるが、これらに限定されるものではない。
4級アンモニウム塩基含有モノマー成分としては、特に限定されるものではないが、好ましくは4級アンモニウム塩基と重合性官能基を有するアクリルモノマー系とビニルモノマー系化合物が選択される。
4級アンモニウム塩を有するアクリルモノマーとしては、例えば重合性官能基としてアクリルアミド構造有する、下記一般式で示されるモノマーが好ましい。
【0015】
【化1】
(上記式中、R1およびR2は、Hまたはメチル基、R3は炭素数が1〜5の脂肪族炭化水素基、R4およびR5は、それぞれ炭素数が1〜4の脂肪族炭化水素基、R6は、炭素数が1〜12の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらの複合基、X-はアニオン性化合物を示す)
【0016】
4級アンモニウム塩を有するビニルモノマーとしては、例えば重合性官能基としてスチレン構造有する、下記一般式で示されるモノマーが好ましい。
【0017】
【化2】
(上記式中、R1はHまたはメチル基、R2は炭素数が1〜5の脂肪族炭化水素基、R3およびR4は、それぞれ炭素数が1〜4の脂肪族炭化水素基、R5は炭素数が1〜12の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらの複合基、X-はアニオン性化合物を示す)
【0018】
上記4級アンモニウム塩基の対イオンとしては、アニオン性化合物であれば特に限定されるものではないが、好ましくはハロゲンイオン、モノもしくはポリハロゲン化アルキルイオン、ナイトレートイオン、サルフェートイオン、アルキルサルフェートイオン、スルホネートイオンまたはアルキルスルホネートイオンから適宜選択できるが、好ましくは、クロルイオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、硝酸イオンが選択される。
本発明で用いる帯電防止剤は、さらに側鎖に架橋点となる官能基を有する成分を共重合されていることが好ましい。架橋点としては、特に限定されるものではないが、重合性官能基に加えて、好ましくは、アミノ基(1級、2級、3級)、アセトアセトキシ基、水酸基、カルボン酸基、酸無水物基、アミド基、メチロール基、グリシジル基、オキサゾリン基、シラノール基等が挙げられる。
【0019】
これらの中で、まずアミノ基含有モノマーを例示すると、下記の他のモノマー群から必要に応じて適宜選択される少なくとも一種以上のモノマーと共重合することによって得ることができるがこれらに限定されるものではない。
アミノ基またはアルキロール化されたアミノ基含有モノマー成分としては、例えばアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、α置換ビニル化合物を基本骨格とし、さらにアミノ基を含有するモノマーが用いられる。上記官能基を有するモノマーを例示すると、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、2−アミノブチルメタクリレート、2−アミノブチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、および上記アミノ基をメチロール化したものなどを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0020】
さらに他の官能基を有するモノマーを例示すると、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アセトアセトキシメタクリレート、ビニル基を有するアルコキシシランなどを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0021】
これらの架橋点となる官能基を有するモノマー成分を帯電防止樹脂中に共重合することにより、易接着性、特に有機溶剤を含有する塗布液から形成された塗布層(磁性層、酸化硬化型インク層等)、UV硬化型塗布層(UVハードコート層、UV硬化型インク層等)等との接着性に優れた積層フィルムを得ることができる。
本発明の帯電防止性樹脂を構成するモノマー成分としては、必要に応じ他の成分を使用することができる。他の成分として、例えばアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、α置換ビニル化合物(側鎖基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基など)を基本骨格とし、さらにスルホン酸基、燐酸基、燐酸エステル基などを例示することができる。
【0022】
上記官能基を有するモノマーを例示すると、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルメタクリレート、フェニルアクリレート、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸塩、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸塩(これらの塩を形成する対イオンとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなど)、スチレン、α−メチルスチレン、メチルビニルケトン、ブチルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、イタコン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クロトン酸塩(これらの塩を形成する対イオンとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなど)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイン酸およびイタコン酸のモノまたはジアルキルエステルなどを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0023】
これらの公知のモノマー成分を帯電防止樹脂中に共重合することにより易接着性、造膜性に優れた積層フィルムを得ることができる。
本発明に用いる帯電防止性樹脂は上記モノマーを任意の比率で共重合したものを用いることができる。
ポリアルキレンオキサイドを有する成分と4級アンモニウム塩基とを有する成分の共重合比については、特に限定されるものではないが、それぞれ5重量%以上が好ましく、さらに好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であることが帯電防止性の点で望ましい。
特にポリアルキレンオキサイドを有するモノマーの共重合比は、20重量%以上であることが帯電防止性、透明性、接着性の点で望ましい。
架橋点となる官能基を有するモノマー成分を有するモノマーの共重合比は特に限定されるものではないが、40重量%未満、さらには1〜35重量%、特には5〜30重量%が、帯電防止性、接着性の点で望ましい。
【0024】
本発明で用いる帯電防止性樹脂(A)の分子量は、GPCによる測定で、1万以上が好ましく、さらには2万以上とすることが接着性の点で望ましい。
本発明で用いる帯電防止性樹脂は、公知のビニル系樹脂またはアクリル系樹脂の重合方法によって得ることができるが、帯電防止剤をインラインコーティング法に適用する場合には、水に溶解または分散できるものが好ましいため、乳化重合、懸濁重合または水を溶媒とする水溶液重合などの方法によって作成したものが好ましい。
本発明で用いる帯電防止性樹脂を前述の方法で重合する場合、反応容器中に後述の水系ポリエステルおよびまたは水系ポリウレタン存在下で重合反応を行うことによって部分的にポリエステルまたはポリウレタン骨格を幹としたグラフト型の共重合体を得ることができる。
【0025】
本発明における帯電防止性層には、熱可塑性樹脂フィルムとの接着をより強固なものとするために、前記帯電防止剤(A)とバインダー樹脂(B)を併用することが好ましい。
このバインダー樹脂(B)としてはアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、水溶性樹脂等を例示することができ、これらの樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を用いることが好ましい。とくにアクリル樹脂またはポリウレタン樹脂またはポリエステル樹脂を用いると、帯電防止性塗膜とポリエステルフィルムとの密着性が良好になるため好ましい。
バインダー樹脂(B)のガラス転移温後は、特に制限は無いが0℃以上で有ることが好ましく、さらには20〜100℃であることが好ましい。
【0026】
前記バインダー樹脂(B)であるアクリル樹脂は、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ソーダ、アクリル酸アンモニウム、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ソーダ、メタクリル酸アンモニウム、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等として例示できるアクリル系モノマーをこれらの化合物の中からそれぞれ適宜1つ以上選択して、常法の重縮合反応によって合成することによって得ることができる。これらのモノマーは、例えばスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン、スチレンスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソーダ等の他の不飽和単量体と併用して重合することもできる。
【0027】
また、アクリル系モノマーを含む不飽和2重結合を有する付加重合性モノマーを後述のポリエステルポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの樹脂成分存在下で行うグラフト重合等の手法により共重合体を得ることもできる。
前記バインダー樹脂(B)であるポリウレタン樹脂は、以下の様なポリオール、ポリイソシアネート、鎖長延長剤等を原料とする通常の重合反応によって合成することができる。
ポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシテトラメチレングリコールの様なポリエーテル類、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリヘキシレンアジペート、ポリカプロラクトンの様なポリエステル類、アクリル系ポリオール、ひまし油などが挙げられる。
【0028】
ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートのような芳香族系ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの様な脂肪族系ジイソシアネート等が挙げられる。
鎖長延長剤または架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水などが挙げられる。これらの化合物の中から適宜選択して、常法の重合反応によって合成することによって得たポリウレタンを用いることができる。
【0029】
前記バインダー樹脂(B)であるポリエステル樹脂はジカルボン酸成分とグリコール成分とを構成成分とする線状ポリエステルである。
このジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ダイマー酸等を例示することができる。これらの成分は二種以上を用いることができる。さらに、これらの成分とともにマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の如き不飽和多塩基酸やp−ヒドロキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸を少割合用いることができる。不飽和多塩基酸成分やヒドロキシカルボン酸成分の割合は高々10モル%、好ましくは5モル%以下である。
【0030】
また、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシ)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等を例示することができる。これらは2種以上を用いることができる。
かかるポリオール成分の中でもエチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物、1,4−ブタンジオールが好ましく、さらにエチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
【0031】
また、前記ポリエステル樹脂には、水性液化を容易にするために若干量の、スルホン酸塩基を有する化合物やカルボン酸塩基を有する化合物を共重合させることが可能であり、その方が好ましい。
このスルホン酸塩基を有する化合物としては、例えば5−Naスルホイソフタル酸、5−アンモニウムスルホイソフタル酸、4−Naスルホイソフタル酸、4−メチルアンモニウムスルホイソフタル酸、2−Naスルホイソフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸、4−Kスルホイソフタル酸、2−Kスルホイソフタル酸、Naスルホコハク酸等のスルホン酸アルカリ金属塩系またはスルホン酸アミン塩系化合物等が好ましく挙げられる。
【0032】
このカルボン酸塩基を有する化合物としては、例えば無水トリメリット酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン酸等、あるいはこれらのモノアルカリ金属塩等が挙げられる。なお、遊離カルボキシル基は共重合後にアルカリ金属化合物やアミン化合物を作用させてカルボン酸塩基とする。これらの化合物の中からそれぞれ適宜1つ以上選択して、常法の重縮合反応によって合成することによって得たポリエステルを用いることができる。
本発明の帯電防止フィルムにおいて、熱硬化性化合物(C)、例えばメラミン化合物および樹脂、ブロックイソシアネート基を有する化合物および樹脂、エポキシ化合物およびエポキシ樹脂、オキサゾリン化合物および樹脂、アジリジン化合物、メチロール化またはアルキロール化された尿素化合物、アクリルアミド・ポリアミド系化合物、ポリアミン類、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネート系カップリング剤、金属キレート、有機酸無水物、有機過酸化物、熱または光反応性のビニル化合物や感光性樹脂等が挙げることができるが必ずしもこれに限定されるものではない。
【0033】
特に、架橋点となる官能基を有するモノマー成分を共重合した場合には、それぞれの官能基に応じて最適な架橋剤を選択することができる。
さらに本発明の効果を阻害しない範囲において、公知の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、有機、無機の微粒子、界面活性剤、ワックス類などを添加してもよい。
本発明のフィルムの帯電防止層を設ける方法は、特に限定されるものではないが、塗布により形成する場合の塗布液は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的または造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、主たる媒体である水と混合して使用する場合、水に溶解する範囲で使用することが必要である。有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
【0034】
本発明のフィルムにおいて、帯電防止層の厚みは特に限定されるものではないが、本発明においては、0.01〜2.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.02〜1.0μm、特に好ましくは0.02〜0.5μmである。
本発明において、帯電防止層を設ける方法として塗布による方法が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。熱可塑性樹脂フィルムに帯電防止層を塗布する方法としては、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるようなリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ダイコーター等を用いることができる。
本発明において、これらの塗布装置などを用いて形成される帯電防止層は基材の熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向が完了する前に塗布され、その後、少なくとも一軸方向に延伸された後、フィルムの結晶配向を完了させる方法によって製造されるのが本発明の効果をより顕著に発現させることができるので好ましい方法である。
【0035】
塗布層形成後に延伸処理をしない場合、形成される塗布層とベースフィルムであるポリエステルフィルムとの密着力が弱く、実用に適した接着性を得られない恐れがある。
これらを工業的有利に達成するためには、二軸延伸フィルム製造工程内で塗布することが好ましい。かかる方法の例として、未延伸または一軸方向に延伸された熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面に本発明の帯電防止性樹脂を含んだ水系塗布液を塗布する。その後、連続的に約40〜130℃の加熱ゾーンに導き、乾燥または乾燥途中の状態で長手方向およびまたは横方向に延伸する方法が挙げられる。
【0036】
または、あらかじめ二軸に延伸した熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面に本発明の帯電防止性樹脂を含んだ水系塗布液を塗布した後、乾燥または乾燥途中の状態で再度これを長手方向または横方向に延伸する方法も採用される。さらに好ましくは製膜工程の長手方向に一軸延伸されたフィルムに本発明の帯電防止性樹脂を含んだ水系塗布液を塗布した後、連続的に約60〜130℃の加熱ゾーンに導き、乾燥または乾燥途中の状態でさらに先の一軸延伸方向と直角の方向に延伸した後、熱処理を施す方法が製造コスト面の点から採用されるが、これらに限定されるものではない。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、本発明の帯電防止性樹脂を含んだ水性調合液を塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、本発明のフィルムにおいて、塗布層の表面特性等を改良するために、塗布層形成前または後にフィルムまたは塗布層に放電処理を施してもよい。
【0037】
本方法によるならば、延伸と同時に塗布層の乾燥が可能になるとともに塗布層の厚さを延伸倍率に応じて薄くすることができ、熱可塑性樹脂フィルム基材として好適なフィルムを比較的安価に製造できる。
本発明の帯電防止フィルムを得るための延伸工程は、好ましくは50〜180℃で行われ、延伸倍率は、面積倍率で少なくとも4倍以上、好ましくは6〜30倍である。延伸されたフィルムは、通常150〜250℃で熱処理される。さらに、熱処理の最高温度ゾーンおよびまたは熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましく採用される。
特に、50〜130℃でロール延伸法によりフィルム長手方向に2〜6倍延伸された一軸延伸フィルムに塗布液を塗布し、適当な乾燥を施し、または乾燥途中で、塗布された一軸延伸フィルムを横方向に50〜180℃で2〜6倍に延伸し、さらにフィルム長手方向に100〜180℃で1.01〜1.9倍再延伸し、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行う方法が好ましく採用される。
【0038】
熱処理前にフィルム長手方向と直角方向に100〜230℃で1.01〜1.9倍再延伸することにより横方向の強度を高めることも好ましい。
本発明の帯電防止層は、熱可塑性樹脂フィルムの片面だけに設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面にのみ設けた場合、その反対面には必要に応じて本発明の帯電防止層以外の表面処理を施し、本発明の熱可塑性樹脂フィルムに他の特性を付与することもできる。
かくして得られた積層ポリエステルフィルムは、透明性、接着性、帯電防止性に優れた物であり、磁気記録用、写真用、印刷ベースフィルムなどに好適に使用できる。本発明の帯電防止フィルムを得るための方法として上記の方法が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」および「%」とあるのは、各「重量部」および「重量%」を意味する。
本発明における特性の評価方法および効果の評価方法は次のとおりである。
【0040】
(1)表面固有抵抗率
サンプルフィルムの表面固有抵抗を、ヒューレットパッカード社製高抵抗計:4329A(商品名)および測定電極:16008A(商品名)を使用し、測定温度23℃、測定湿度50%の条件調湿後、印加電圧100Vで1分後の表面固有抵抗率(Ω/□)を測定し、以下の基準で判定した。
◎:3×1010(Ω/□)未満
○:3×1012(Ω/□)未満
△:3×1013(Ω/□)未満
×:3×1013(Ω/□)以上
【0041】
(2)帯電防止層濁度
日本電色工業社製分球式濁度計「NDH−300A(商品名)」を用い、JIS−K6714に準じてフィルム濁度を測定した。塗布フィルムと非塗布フィルムの濁度と塗布フィルムの濁度の差を測定し、以下の基準により評価した。
○:フィルム濁度差0.5%未満
△:フィルム濁度0.5%以上、1%未満
×:フィルム濁度1%以上
【0042】
(3)上塗りインク接着性
東洋インキ製造社製UV硬化型オフセットインク“FDOL藍APNロ”を、明製作所製のオフセット印刷テスト機である“RIテスター RI−2”にて約2μmの厚さとなるようフィルムに転写させ、これをウシオ電機社製UV照射装置“UVC−402/1HN:302/1MH”に通し、水銀灯出力120W/cm(MH)、ラインスピード15m/分、ランプ〜フィルム間隔150mmの条件にてインクを硬化させ、直ちに粘着テープ剥離試験を行い(セロテープ(登録商標)を使用)、剥離面積により評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:剥離なし
△:一部剥離箇所有り(剥離は50%未満)
×:剥離(剥離は50%以上)
【0043】
実施例および比較例で用いた帯電防止層を構成する組成は、以下に示すとおりである。
【0044】
[帯電防止層組成]
(A)帯電防止成分
帯電防止性樹脂(A1):ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級塩(興人社製DMAPAA−Q,45重量部)下式:
【0045】
【化3】
【0046】
とメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(新中村化学社製NKエステル M−90G、45重量%)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(10重量%)を蒸留水中に溶解しフラスコ内で約60℃に加熱拡販しながら重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩を添加することで重合して得た帯電防止性樹脂の水溶液。
【0047】
帯電防止性樹脂(A2):p−クロロメチルスチレンとジメチルベンジルアミンより合成した下式:
【0048】
【化4】
【0049】
で表されるモノマー(p−ビニルベンジルジメチルベンジルアンモニウムクロライド,45重量%)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(新中村化学社製NKエステル M−90G、45重量%)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(10重量%)を蒸留水中に溶解しフラスコ内で約60℃に加熱拡販しながら重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩を添加することで重合し、得た帯電防止樹脂の水溶液。
【0050】
帯電防止剤(A3):帯電防止剤(A1)のジメチルアミノエチルメタクリレートをアセトアセトキシエチルメタクリレートとした帯電防止樹脂の水溶液。
帯電防止剤(A4):下式:
【0051】
【化5】
【0052】
で表されるモノマー(メタクリロイルコリンクロライド,90重量部)と(10重量%)を蒸留水中に溶解しフラスコ内で約60℃に加熱拡販しながら重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)2塩酸塩を添加することで重合し、得た帯電防止性樹脂の水溶液。
【0053】
帯電防止剤(A5):ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(日本NSC社製バーサTL−70)
【0054】
(B)バインダー成分
バインダー樹脂(B1):水性アクリル樹脂(日本カーバイド工業社製、ニカゾール)
(C)熱硬化性成分
架橋剤(C1):エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス社製、デナコール)
架橋剤(C2):メラミン架橋剤(大日本インキ社製、ベッカミン)
【0055】
(D)その他の成分
界面活性剤(D1):ノニルフェノール系界面活性剤(ライオン社製 リポノックス)
滑剤(D2):コロイダルシリカ(日産化学社製:スノーテックス)
【0056】
実施例1
固有粘度0.65(オルソクロロフェノール中、35℃)のポリエチレンテレフタレート(平均粒径約2.4μmのシリカ粒子を0.005%含有)のチップを十分に乾燥した後、280〜300℃に加熱溶融し、T字型口金よりシート状に押し出した。このシートを静電密着法を併用しながら表面温度20℃の鏡面冷却ドラムに巻き付けて冷却固化せしめて、未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。このフィルムの片面に、下記表1に示す水分散液をバーコーターを用いて、約6μm(wet厚)となるよう塗布した。塗布後、連続的に端部をクリップで保持しながら110〜150℃のゾーンで横方向に3.9倍延伸し、230℃で熱処理して、結晶配向の完了した厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。この横方向の延伸処理以降の熱処理で塗膜を乾燥させ帯電防止層を設けたフィルムを得た。この方法によって得られたポリエステルフィルムのヘーズは1%、全光線透過率は、89%であった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
100℃の加熱ゾーンに導き乾燥、予熱を経て幅方向に3.9倍延伸し、さらに210℃の加熱ゾーンで3秒間熱処理を施し、基材フィルム厚みが50μm、積層厚みが約0.06μmの積層二軸延伸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。この方法によって得られたポリエステルフィルムのヘーズは1.0%であった。
【0057】
実施例2〜8
実施例1で用いた塗布液を表1に記載のように変更する以外は実施例1と全く同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表2に示す
【0058】
比較例1〜3
実施例1で用いた塗布液を表1に記載のように変更する以外は実施例1と全く同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表2に示す。
【0059】
比較例4
実施例1において、組成物を塗布せずに得た二軸延伸ポリエステルフィルムの特性を表2に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のものに比べて、帯電防止性、接着性、耐熱性に優れた帯電防止性フィルムを提供することができる。
Claims (2)
- 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に帯電防止層が積層され、当該層が側鎖にポリアルキレンオキサイドを有する成分と4級アンモニウム塩基とを有する成分との共重合により得られた帯電防止性樹脂(A)を含有してなる層であり、当該4級アンモニウム塩基を有する成分が、重合性官能基としてアクリルアミド構造を有し、かつ、当該層が少なくとも一軸方向に延伸されていることを特徴とする帯電防止フィルム。
- 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に帯電防止層が積層され、当該層が側鎖にポリアルキレンオキサイドを有する成分と4級アンモニウム塩基とを有する成分との共重合により得られた帯電防止性樹脂(A)を含有してなる層であり、当該4級アンモニウム塩基を有する成分が、重合性官能基としてスチレン構造を有し、かつ、当該層が少なくとも一軸方向に延伸されていることを特徴とする帯電防止フィルム。
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