JP3959866B2 - 多層成形品を成形するための射出成形装置及び多層成形品の射出成形方法 - Google Patents

多層成形品を成形するための射出成形装置及び多層成形品の射出成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層成形品を成形するための射出成形装置、及び、多層成形品の射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱可塑性樹脂を用いた容器が、軽量化、破裂に対する安全性等の利点から、化粧品、食品、飲料などの容器として広範に使用されている。特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂と略す場合がある)から成る容器の開発が、二軸延伸ブロー成形技術の向上により急速に進展している。しかしながら、PET樹脂を主体とする熱可塑性ポリエステル樹脂から成る二軸配向した容器も、万全の性能を具備しているわけではない。即ち、特に容器に充填すべき内容物がガス遮断性を容器に対して高度に要求する飲料品である場合には、酸素ガスや炭酸ガス等に対するガスバリヤー性能がPET樹脂から成形された容器には不足しているため、内容物の風味を損なう等の欠点を有している。最近では、容器の小型化により、容器のガスバリヤー性に対する要求が一層高くなっている。
【0003】
このような要求に対して、熱可塑性ポリエステル樹脂と、熱可塑性ガスバリヤー性樹脂であるメタキシリレン基含有ポリアミド樹脂(以下MXナイロン樹脂と略す場合がある)との各々を可塑化、溶融する2つの射出シリンダーを備え、単一の金型を有する射出成形装置を用い、1回の成形サイクルにおいて、溶融熱可塑性ポリエステル樹脂を射出し、溶融熱可塑性ポリエステル樹脂を射出し続けながら溶融MXナイロン樹脂を射出し、溶融MXナイロン樹脂の射出完了後も溶融熱可塑性ポリエステル樹脂を射出し続けることによって、熱可塑性ポリエステル樹脂/MXナイロン樹脂/熱可塑性ポリエステル樹脂の3層構造を有するパリソンを成形する技術が、特開昭57−128520号から公知である。尚、このような射出成形方法を同時射出成形方法と呼ぶ。
【0004】
また、上記方法と同様であるが、特定の条件下、例えば熱可塑性ポリエステル樹脂とMXナイロン樹脂とを、熱可塑性ポリエステル樹脂、MXナイロン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂の順に射出することにより、熱可塑性ポリエステル樹脂/MXナイロン樹脂/熱可塑性ポリエステル樹脂/MXナイロン樹脂/熱可塑性ポリエステル樹脂の5層構造を有するパリソンを成形する技術が、特開昭60−240409号から公知である。尚、このような射出成形方法を交互射出成形方法と呼ぶ。
【0005】
また、近年、PET樹脂を主体とした容器を回収し粒状化して回収PET樹脂として再利用する技術の開発も進められている。このような回収PET樹脂(パリソン成形時の不良品の再利用PET樹脂やパリソン成形時に一旦使用した後の再生PET樹脂を含む)を用いて飲料容器用のパリソンを成形する場合、PET樹脂層/回収PET樹脂層/PET樹脂層の3層構造、あるいは、PET樹脂層/回収PET樹脂層/PET樹脂層/回収PET樹脂層/PET樹脂層の5層構造とする必要がある。
【0006】
これらの特許公開公報に開示された技術により、ポリエチレンテレフタレート樹脂から成る容器と同等の外観及び機械的性能を有し、しかも、酸素ガスや炭酸ガスに対するバリヤー性が大きく向上した多層容器(多層ボトル)を製造することが可能となり、現在、使用されるに至っている。
【0007】
従来、2つ以上の射出シリンダーを用いて2種類以上の樹脂から多層成形品(例えば、多層容器の前駆体である多層パリソン)を成形する場合、キャビティが設けられた金型と、少なくとも2つの射出シリンダーとを備えた射出成形装置を使用する。例えば、2つの射出シリンダーとを備えた射出成形装置においては、各射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ各樹脂流路(第1の溶融樹脂が流れる第1の樹脂流路及び第2の溶融樹脂が流れる第2の樹脂流路)は、キャビティに開口したゲート部の上流の合流部で合流する構造を有している。尚、金型内に位置する第1の樹脂流路及び第2の樹脂流路の部分はホットランナー構造を有する。また、合流部よりも上流の樹脂流路の部分は、通常、多重管構造となっている。そして、射出シリンダー内に配設されたスクリューは、溶融樹脂の射出時及び保圧時以外には、樹脂流路から圧力が加わると後退する構造となっており、樹脂流路内の溶融樹脂が射出シリンダー内に逆流する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような構造を有する射出成形装置においては、キャビティ内を第1及び第2の溶融樹脂で完全に充填するために、多層成形品の最外層を構成する第1の溶融樹脂を第1の樹脂流路を経由してキャビティ内に射出したとき、第1の樹脂流路を流れる第1の溶融樹脂は第2の樹脂流路内に流入するが、この際の第1の溶融樹脂の流入量は一定ではない。その結果、キャビティ内に射出すべき第1の溶融樹脂の量が不安定となったり、第1の溶融樹脂の最初の射出時、合流部近傍の第2の樹脂流路内に存在する第2の溶融樹脂と第1の溶融樹脂とが混ざり合った状態でキャビティ内に射出されるため、多層成形品の最外層を構成しない第2の樹脂が最外層表面に出現するといった問題が生じる。
【0009】
このような第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路へ流入することを防止するために、従来の技術においては、第2の溶融樹脂を射出するための射出シリンダーのノズル部に、油圧作動方式のシャットオフ弁を配設している。第2の溶融樹脂の射出時のみシャットオフ弁を開き、それ以外の場合においては、シャットオフ弁を閉じることによって、第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路へ流入することを防止している。
【0010】
ところで、シャットオフ弁による溶融樹脂の流れの制御を行う場合、第2の樹脂流路への第1の溶融樹脂の流入は防止することができるが、逆に、第1の溶融樹脂の射出時、樹脂流路の合流部近傍において第1の溶融樹脂と第2の溶融樹脂との混合が生じたり、射出状態にない第2の溶融樹脂が射出されつつある第1の溶融樹脂に巻き込まれる結果、合流部近傍の第2の溶融樹脂がキャビティ内に流入し、例えば、第2の樹脂が多層成形品の表面に出現するといった問題が生じる。即ち、多層成形品の最外層を構成しない第2の樹脂が最外層表面に出現するといった問題が生じる。
【0011】
特開昭61−206612号公報には、第1の樹脂流路11と第2の樹脂流路12を有し、第2の樹脂流路12に逆止弁13が備えられた射出成形用ホットランナー金型が開示されている。そして、第1の樹脂材料Aの注入の際、キャビティ22は樹脂によって完全に充填されるが、第2の樹脂流路12には逆止弁13が設けられているので、第1の樹脂材料Aによって第2の樹脂材料Bが逆流することはないとされている。
【0012】
本発明の目的は、少なくとも2種類の樹脂から成形され、各樹脂から構成された樹脂層が積層された多層成形品であって、多層成形品の最外層を構成しない樹脂が最外層表面に出現することを確実に防止し得る、言い換えれば、多層成形品の最外層を構成する樹脂層によって多層成形品の最外層を構成しない樹脂が確実に封鎖された構造を有する多層成形品を成形するための射出成形装置及び多層成形品の射出成形方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の多層成形品を成形するための射出成形装置は、
(a)キャビティが設けられたキャビティブロックと、ホットランナーブロックとを有する金型、
(b)少なくとも第1の射出シリンダー及び第2の射出シリンダー、
(c)第1の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第1の樹脂流路、
及び、
(d)第2の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第2の樹脂流路、
を備え、
金型内に位置する第1の樹脂流路及び第2の樹脂流路の部分はホットランナーブロック内に設けられ、
第1の樹脂流路と第2の樹脂流路とは、キャビティに開口したゲート部の上流の合流部で合流する構造を有する射出成形装置であって、
第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出した後、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる逆流手段が設けられており、
該逆流手段は、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内の第2の溶融樹脂に及ぼす圧力によって動作することを特徴とする。ここで、上流とは射出シリンダー側を意味し、下流とはキャビティ側を意味する。以下においても同様である。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る多層成形品の射出成形方法は、上記の本発明の多層成形品を成形するための射出成形装置を使用した交互射出成形方法である。即ち、上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る多層成形品の射出成形方法は、
(a)キャビティが設けられたキャビティブロックと、ホットランナーブロックとを有する金型、
(b)少なくとも第1の射出シリンダー及び第2の射出シリンダー、
(c)第1の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第1の樹脂流路、
及び、
(d)第2の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第2の樹脂流路、
を備え、
金型内に位置する第1の樹脂流路及び第2の樹脂流路の部分はホットランナーブロック内に設けられ、
第1の樹脂流路と第2の樹脂流路とは、キャビティに開口したゲート部の上流の合流部で合流する構造を有する射出成形装置であって、
第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出した後、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる逆流手段が設けられており、
該逆流手段は、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内の第2の溶融樹脂に及ぼす圧力によって動作する射出成形装置を用いた多層成形品の射出成形方法であって、
(A)第1の射出シリンダー内で溶融させた第1の溶融樹脂を、第1の樹脂流路を介してキャビティ内に射出した後、第1の溶融樹脂の射出を中断し、
(B)第2の射出シリンダー内で溶融させた第2の溶融樹脂を、第2の樹脂流路を介してキャビティ内に射出した後、第2の溶融樹脂の射出を終了し、次いで、
(C)第1の射出シリンダー内で溶融させた第1の溶融樹脂を、第1の樹脂流路を介してキャビティ内に射出し、第1の溶融樹脂の射出中若しくは射出完了後、逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる、
工程から成ることを特徴とする。
【0015】
本発明の第1の態様に係る多層成形品の射出成形方法においては、射出成形条件にも依存するが、多層成形品の主たる部分を、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の5層構成とすることができる。あるいは又、多層成形品の主たる部分の一部分を、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の5層構成とし、多層成形品の主たる部分の他の部分を、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の3層構成とすることもできる。これらの場合、多層成形品の主たる部分以外の部分は、第1の樹脂層によって構成される。
【0016】
図14、図15及び図16に、本発明の第1の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示す。尚、図14〜図21中の「逆流手段の状態」において、「閉状態」とは、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとが逆流手段によって非連通状態となっていることを意味し、「開状態」とは、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとが逆流手段によって連通状態となっていることを意味し、「逆流」とは、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内の第2の溶融樹脂に及ぼす圧力によって逆流手段が動作しており、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に流入し、その結果、第2の溶融樹脂が第2の射出シリンダーに向かって流れる状態を意味する。本発明の第1に係る多層成形品の射出成形方法において、第1の溶融樹脂の射出完了後に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に流入する場合には、具体的には、第1の射出シリンダーによって保圧を行い、併せて、第1の溶融樹脂の射出完了後に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる(図16参照)。また、第1の溶融樹脂の射出中に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に流入し始めた場合には、第1の溶融樹脂の第2の樹脂流路内への流入完了の時点は、第1の溶融樹脂の射出中であってもよいし(図14参照)、射出完了と同時であってもよいし、射出完了後の保圧期間中であってもよい(図15参照)。
【0017】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る多層成形品の射出成形方法は、上記の本発明の多層成形品を成形するための射出成形装置を使用した同時射出成形方法である。即ち、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る多層成形品の射出成形方法は、
(a)キャビティが設けられたキャビティブロックと、ホットランナーブロックとを有する金型、
(b)少なくとも第1の射出シリンダー及び第2の射出シリンダー、
(c)第1の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第1の樹脂流路、
及び、
(d)第2の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第2の樹脂流路、
を備え、
金型内に位置する第1の樹脂流路及び第2の樹脂流路の部分はホットランナーブロック内に設けられ、
第1の樹脂流路と第2の樹脂流路とは、キャビティに開口したゲート部の上流の合流部で合流する構造を有する射出成形装置であって、
第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出した後、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる逆流手段が設けられており、
該逆流手段は、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内の第2の溶融樹脂に及ぼす圧力によって動作する射出成形装置を用いた多層成形品の射出成形方法であって、
(A)第1の射出シリンダー内で溶融させた第1の溶融樹脂を、第1の樹脂流路を介してキャビティ内に射出し、
(B)第1の溶融樹脂の射出中に、第2の射出シリンダー内で溶融させた第2の溶融樹脂を第2の樹脂流路を介してキャビティ内に射出し、
(C)第2の溶融樹脂の射出完了後であって第1の溶融樹脂の射出中若しくは射出完了後、逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる、
工程から成ることを特徴とする。
【0018】
図17、図18及び図19に、本発明の第2の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示す。第1の溶融樹脂の射出完了後に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に流入する場合には、具体的には、第1の射出シリンダーによって保圧を行い、併せて、第1の溶融樹脂の射出完了後に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる(図19参照)。また、第1の溶融樹脂の射出中に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に流入し始めた場合には、第1の溶融樹脂の第2の樹脂流路内への流入完了の時点は、第1の溶融樹脂の射出中であってもよいし(図17参照)、射出完了と同時であってもよいし、射出完了後の保圧期間中であってもよい(図18参照)。
【0019】
本発明の第2の態様に係る多層成形品の射出成形方法においては、工程(B)において、第1の溶融樹脂の単位時間当たりの射出量を第2の溶融樹脂の単位時間当たりの射出量よりも多くすることが好ましい。射出成形条件にも依存するが、多層成形品の主たる部分を、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の3層構成とすることができる。あるいは又、多層成形品の主たる部分の一部分を、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の3層構成とすることができる。これらの場合、多層成形品の主たる部分以外の部分は、第1の樹脂層によって構成される。
【0020】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る多層成形品の射出成形方法は、上記の本発明の多層成形品を成形するための射出成形装置を使用した射出成形方法であり、
(A)第1の射出シリンダー内で溶融させた第1の溶融樹脂を、第1の樹脂流路を介してキャビティ内に射出した後、第1の溶融樹脂の射出を終了し、
(B)第2の射出シリンダー内で溶融させた第2の溶融樹脂を、第2の樹脂流路を介してキャビティ内に射出した後、第2の溶融樹脂の射出を終了し、次いで、
(C)第1の射出シリンダーによって保圧を行い、併せて、逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる、
工程から成ることを特徴とする。図20に、本発明の第3の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示す。
【0021】
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法は、上記の本発明の多層成形品を成形するための射出成形装置を使用した同時射出成形方法であり、
(A)第1の射出シリンダー内で溶融させた第1の溶融樹脂を、第1の樹脂流路を介してキャビティ内に射出し、
(B)第1の溶融樹脂の射出中に、第2の射出シリンダー内で溶融させた第2の溶融樹脂を第2の樹脂流路を介してキャビティ内に射出し、
(C)第1の溶融樹脂の射出と第2の溶融樹脂の射出を略同時に完了した後、第1の射出シリンダーによって保圧を行い、併せて、逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる、
工程から成ることを特徴とする。図21に、本発明の第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示す。
【0022】
本発明の多層成形品を成形するための射出成形装置、若しくは、本発明の第1〜第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法においては、逆流手段は、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に一定量流入させることが好ましい。また、第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出しているとき及び射出完了後には、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって連通状態となり、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に所定量流入した後、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって非連通状態となることが好ましい。尚、所定量と一定量との間には、(所定量)≦(一定量)の関係がある。あるいは又、第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出しているとき及び射出完了後には、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって連通状態となり、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に流入し始めた後、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって非連通状態となることが好ましい。
【0023】
本発明の多層成形品を成形するための射出成形装置、若しくは、本発明の第1〜第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法においては、逆流手段は、樹脂流路の合流部と第2の射出シリンダーとの間の第2の樹脂流路に設けられていることが好ましい。この場合、逆流手段は、第2の射出シリンダーのノズル部と金型との間、若しくは、第2の射出シリンダーのノズル部に配設されていることが特に好ましい。
【0024】
本発明の多層成形品を成形するための射出成形装置、若しくは、本発明の第1〜第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法においては、一定量の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させるという観点から、また、構造の簡素化の観点から、逆流手段を逆流制御弁とすることが好ましい。逆流制御弁として、ボール形式逆流制御弁又はスライド形式逆流制御弁を挙げることができる。
【0025】
本発明の多層成形品を成形するための射出成形装置、若しくは、本発明の第1〜第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法においては、第2の樹脂流路内に流入させる第1の溶融樹脂の体積は、キャビティの体積の5乃至50%、好ましくは5乃至35%、より好ましくは5乃至25%とすることが望ましい。第2の樹脂流路内に流入する第1の溶融樹脂の体積がキャビティの体積の5%未満では、多層成形品の最外層を構成しない樹脂が最外層表面に出現することを防止することが困難となる。一方、射出条件にも依るが、第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させることにより、多層成形品の各層を構成する樹脂層に乱れが発生するが、これらの乱れを確実に防止するためには、第2の樹脂流路内に流入する第1の溶融樹脂の体積がキャビティの体積の35%以下、特に25%以下であることが望ましい。キャビティの体積の50%を越える場合には、多層成形品の各層を構成する樹脂層に、実用上、問題となる程度の乱れが多々発生する虞がある。
【0026】
本発明の多層成形品を成形するための射出成形装置、若しくは、本発明の第1〜第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法においては、成形すべき多層成形品は如何なる構造、形状のものであってもよく、例えば、多層容器(多層ボトル)を成形するための前駆体であるパリソンを挙げることができる。この場合、第1の樹脂流路を経由してキャビティ内に射出された第1の溶融樹脂によってパリソンの最外層が形成されることが好ましい。また、成形すべき多層成形品として、その他、自動車用バンパー、自動車用ドアハンドルを挙げることができる。また、成形品に強度と外観性等の異なった機能を付与するために、多層成形技術によって複数の樹脂を組み合わせた多層成形品を挙げることもできる。
【0027】
本発明の第1〜第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法においては、第2の樹脂として、ガスバリヤー性を有する熱可塑性樹脂(ガスバリヤー性樹脂)、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂(パリソン成形時に一旦使用した後の再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む)、着色ポリエチレンテレフタレート樹脂から成る群から選択された少なくとも1種の樹脂を挙げることができる。
【0028】
ここで、ガスバリヤー性樹脂は、メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂(MXナイロン樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂ケン化物、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂から成る群から選択された少なくとも1種の樹脂であることが好ましいが、中でも、MXナイロン樹脂とすることが一層好ましい。
【0029】
MXナイロン樹脂とは、メタキシリレンジアミン単独、又は、メタキシリレンジアミン及び全量の30%以下のパラキシリレンジアミンを含む混合キシリレンジアミンと炭素数6〜10のα・ω−脂肪族ジカルボン酸とから得られる構成単位を少なくとも70モル%以上含有する重合体を意味する。これらの重合体の例としては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスベラミド等のような単独重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンスベラミド共重合体のような共重合体、あるいは、これらの単独若しくは共重合体成分と、ヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジン等の脂環族ジアミン、パラ−ビス−(2−アミノエチル)ベンゼン等の芳香族ジアミン、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタム等のラクタム、ω−アミノヘプタン酸等のω−アミノカルボン酸、パラ−アミノ安息香酸等の芳香族アミノカルボン酸等との共重合を例示することができる。また、これらの重合体に、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11等の重合体を含有させてもよい。
【0030】
これらのMXナイロン樹脂の相対粘度は1.5以上が適当であり、好ましくは2.0〜4.0である。尚、相対粘度(ηrel)は、樹脂1g/96%硫酸100mlの条件にて、25゜Cにて測定したときの粘度である。
【0031】
一方、本発明の第1〜第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法において、第1の樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;熱可塑性共重合ポリエステル樹脂;ポリオレフィン系樹脂;脂肪族ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアクリルニトリル樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリスチレン樹脂から成る群から選択された少なくとも1種の樹脂を挙げることができるが、中でも、熱可塑性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。また、必要に応じて2種の樹脂をブレンドしたもの、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂とをブレンドしたものを使用することもできる。
【0032】
ここで、ポリエチレンテレフタレートとは、通常、酸成分の80モル%以上、好ましくは90モル%以上がテレフタル酸であり、グリコール成分の80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレングリコールであるポリエステルを意味し、残部の他の酸成分としてはイソフタル酸、ジフェニルエ−テル−4,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4又は2,6−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカン−1,10−ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸を、また、他のグリコール成分としてはプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を例示することができる。更には、オキシ酸として、P−オキシ安息香酸等を含有するポリエステル樹脂を挙げることもできる。
【0033】
また、ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、エチレン−2,6−ナフタレートの他に、他のエステル形成単位を20モル%以下、好ましくは10モル%以下で含有してもよい。他のエステル形成単位を構成するジカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、3,4’−ジフェニルカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸を好適なものとして挙げることができる。また、他のエステル形成単位を構成するジオールとして、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族グリコール;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−シクロヘキサンジオール等の脂肪族グリコール;ビスフェノールA等の芳香族グリコールを好適なものとして挙げることができる。上記のようなポリエチレン−2,6−ナフタレートは、例えば、少量の安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリエチレングリコール等の単官能化合物によって分子末端を封止されていてもよい。また、グリセリン、トリメシン酸、ペンタエリスリトール等の多官能化合物を極く少量含んでいてもよい。
【0034】
これらの熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度は0.40以上が適当であり、好ましくは0.50〜1.4である。固有粘度が0.40未満では、得られる積層成形品(例えば、多層容器)の機械的強度が不十分となる他、例えば多層成形品を透明な非晶質状態で得ることが困難となる。尚、固有粘度(η)は、フェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)の混合溶媒を使用して、30゜Cにて測定したときの粘度である。
【0035】
熱可塑性共重合ポリエステル樹脂とは、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等のジオール成分の中から、少なくとも2つの成分を共重合して成る熱可塑性共重合ポリエステル樹脂である。これらの熱可塑性共重合ポリエステル樹脂は、必要に応じて、他の熱可塑性ポリエステル樹脂と混合して使用してもよい。
【0036】
本発明の第1〜第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法においては、熱可塑性ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)と、MXナイロン樹脂との組み合わせが最も好ましい。その理由は、樹脂の有する透明性、機械的強度、射出成形性、延伸ブロー成形性の全てにおいて優れているためである。また、両樹脂の熱的性質が近いため、成形温度条件の設定が容易である。この場合、ポリエチレンテレフタレート樹脂とMXナイロン樹脂の溶融粘度が接近していることが好ましく、例えば固有粘度0.7〜0.8のポリエチレンテレフタレート樹脂を使用する場合、相対粘度2.7前後のMXナイロン樹脂を使用することが望ましい。他のガスバリヤー性樹脂を使用する場合にも、その溶融粘度はポリエチレンテレフタレート樹脂の溶融粘度に近い値を有することが好ましい。
【0037】
更には、本発明の第1〜第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法においては、必要に応じて、第1の樹脂や第2の樹脂、あるいは、多層成形品を構成する各樹脂層を形成するための樹脂に、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、核剤、抗菌剤等を配合することができる。
【0038】
本発明の射出成形装置においては、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる逆流手段が設けられている。それ故、第1の溶融樹脂をキャビティ内に射出する際、樹脂流路の合流部近傍の第2の樹脂流路には、前回の成形サイクルにおいて第2の樹脂流路内に流入した第1の溶融樹脂が既に存在することになる。従って、樹脂流路の合流部近傍において、射出された第1の溶融樹脂と第2の樹脂流路内に存在する第2の溶融樹脂との混合が生じたり、射出状態にない第2の溶融樹脂が射出されつつある第1の溶融樹脂に巻き込まれるといった現象の発生を防止することができる結果、例えば、第2の樹脂が多層成形品の表面に出現するという問題の発生を確実に回避することができる。
【0039】
本発明の第1〜第4の態様に係る射出成形方法においては、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる逆流手段が設けられた本発明の射出成形装置を用いる。それ故、工程(A)において第1の溶融樹脂をキャビティ内に射出する際、樹脂流路の合流部近傍の第2の樹脂流路には、前回の成形サイクルにおいて第2の樹脂流路内に流入した第1の溶融樹脂が既に存在することになる。従って、樹脂流路の合流部近傍において、射出された第1の溶融樹脂と第2の樹脂流路内に存在する第2の溶融樹脂との混合が生じたり、射出状態にない第2の溶融樹脂が射出されつつある第1の溶融樹脂に巻き込まれるといった現象の発生を防止することができる結果、例えば、第2の樹脂が多層成形品の表面に出現するという問題の発生を確実に回避することができる。
【0040】
本発明において、逆流手段を逆流制御弁から構成すれば、射出成形装置の大型化、複雑化を回避することができるし、樹脂流路からの溶融樹脂の漏れ発生等が生じることもない。逆流制御弁をボール形式逆流制御弁とすれば、ボールが流体圧力によって移動するだけであり、構造が極めて簡素であり、可動部及び摺動部が無い。尚、ボール形式逆流制御弁による流体の制御は、溶融樹脂の流れの制御だけでなく、他の液体やガス体に対しても行うことができる。従来の開閉弁は、外部からの油圧や空気圧等によって電磁バルブやシリンダーを動かし、これらの回転や往復運動によって流体流路を強制的に開閉している。そのため、構造や作動制御が複雑となり、耐久性に乏しい。
【0041】
【実施例】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【0042】
(実施例1)
実施例1における多層成形品を成形するための射出成形装置(以下、単に射出成形装置と呼ぶ)の概念図を図1及び図2に示す。尚、図1は、射出成形を全く行っていない状態の射出成形装置を示し、図2は、多層成形品の成形直前の第1の溶融樹脂40A、第2の溶融樹脂40Bの計量済みの射出成形装置の状態を示している。
【0043】
この射出成形装置は、金型20と、2つの射出シリンダー10A,10Bと、第1の射出シリンダー10Aの内部とキャビティ25とを結ぶ第1の樹脂流路23Aと、第2の射出シリンダー10Bの内部とキャビティ25とを結ぶ第2の樹脂流路23Bとを備えている。金型20は、キャビティ25が設けられたキャビティブロック21と、ホットランナーブロック22から構成されている。キャビティブロック21は、複数のブロックが組み合わされて構成されている。そして、金型20内に位置する第1の樹脂流路23A及び第2の樹脂流路23Bの部分は、ホットランナーブロック22内に設けられている。更に、第1の樹脂流路23Aと第2の樹脂流路23Bとは、キャビティ25に開口したゲート部24の上流の合流部で合流する構造を有する。また、第1及び第2の射出シリンダー10A,10Bのノズル部を参照番号12A,12Bで示す。第1の樹脂流路23Aと第2の樹脂流路23Bとの合流部より上流(射出シリンダー側)における第1の樹脂流路23A及び第2の樹脂流路23Bの一部分は、二重管構造となっている。この二重管構造の樹脂流路における内側の管状の第2の樹脂流路23B内にはゲートカットピン26が配設されている。ゲートカットピン26は空気圧シリンダー27の作動によってキャビティ25に近づく方向及び遠ざかる方向に移動可能である。二重管構造の樹脂流路における外側の第1の樹脂流路23Aとキャビティ25との連通、及び、二重管構造の樹脂流路における内側の管状の第2の樹脂流路23Bとキャビティ25との連通は、ゲートカットピン26の移動によって制御することができる。即ち、ゲートカットピン26を前進端に位置させると、第1の樹脂流路23Aとキャビティ25との連通、及び、第2の樹脂流路23Bとキャビティ25との連通が遮断される。また、ゲートカットピン26を後進端に位置させると、第1の樹脂流路23Aとキャビティ25との連通、及び、第2の樹脂流路23Bとキャビティ25との連通が確保される。尚、図1には、ゲートカットピン26がゲート部24から抜き出された状態(後進端に位置する状態)を示す。また、図2には、ゲートカットピン26がゲート部24に挿入された状態(前進端に位置する状態)を示す。ここで、図2において、参照番号40Aは、第1の射出シリンダー10Aから第1の樹脂流路23A及びゲート部24を介してキャビティ25に射出される第1の溶融樹脂を示し、参照番号40Bは、第2の射出シリンダー10Bから第2の樹脂流路23B及びゲート部24を介してキャビティ25に射出される第2の溶融樹脂を示す。また、参照番号40aは、前回の射出時に流入し、第2の樹脂流路23B内に残された第1の溶融樹脂40Aの残り(図中、白四角印で表現する)を示す。尚、キャビティブロック21の内部には冷却水を流す配管が配設され、ホットランナーブロック22の内部にはヒータが配設されているが、かかる配管やヒータの図示は省略した。
【0044】
本発明の射出成形装置においては、第2の溶融樹脂40Bを第2の樹脂流路23Bを経由してキャビティ25内に射出した後、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aを第2の樹脂流路23B内に一定量流入させる逆流手段が設けられている。この逆流手段は、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bに及ぼす圧力によって動作する。実施例1の射出成形装置においては、この逆流手段は、第1及び第2の樹脂流路23A,23Bの合流部より上流の第2の樹脂流路23Bに設けられた逆流制御弁であり、具体的には、この逆流制御弁はボール形式の逆流制御弁30Bである。尚、逆流制御弁30Bは、第2の射出シリンダー10Bのノズル部12Bと金型20との間に配設されているが、ノズル部12B内に配設されていてもよい。
【0045】
従来のボールチェッキ弁(逆止弁)は、溶融樹脂の逆流を防止するために設けられている。一方、実施例1における逆流制御弁30Bは、一定量の第2の溶融樹脂40Bを逆流させ得る構造を有する。具体的には、図6の(A)に模式的な端面図を示すように、逆流制御弁30Bは、中空部32を有する円筒管部31と、中空部32内に格納されたボール34から構成されている。中空部32の下流側(金型側)の端部から上流側(射出シリンダー側)に向かっての所定の中空部32の部分の直径はボール34の直径よりも大きい。この中空部32の部分を拡径部33と呼ぶ。中空部32の拡径部33以外の部分の直径は、ボール34の直径とほぼ等しい。
【0046】
第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40Bをキャビティ25に向かって送り出す際には、図6の(B)に示すように、ボール34は中空部32の下流側端部の拡径部33に第2の溶融樹脂40Bの圧力によって押し付けられる。従って、第2の樹脂流路23Bを経由して第2の溶融樹脂40Bをキャビティ25内に射出しているとき及び射出完了後には、第2の射出シリンダー10Bの内部とキャビティ25とは逆流制御弁30Bによって連通状態となる。ボール34と拡径部33との間の隙間を通って第2の溶融樹脂40Bはキャビティ25に向かって流れる。
【0047】
一方、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bに及ぼす圧力によって、第2の溶融樹脂40Bは逆流する。そして、第2の溶融樹脂40Bが逆流制御弁30B内を逆流する際には、逆流する第2の溶融樹脂40Bの圧力によってボール34は中空部32の上流側端部に向かって移動させられ、最終的には、中空部32の上流側端部に押し付けられる(図6の(C)参照)。ボール34と中空部32の上流側端部との間には隙間が存在しない。従って、図6の(C)に示した状態においては、これ以上、第2の溶融樹脂40Bの逆流が生じることはない。言い換えれば、ボール34が円筒管部31の拡径部33から中空部32の上流側端部に移動する間に、第2の溶融樹脂40Bは逆流制御弁30B内を逆流する。この逆流する第2の溶融樹脂40Bの体積は、概ね、ボール34の断面積及びボール34の移動距離の積によって規定され、一定量である。言い換えれば、この逆流する第2の溶融樹脂40Bの体積は、概ね、中空部32の体積からボール34の体積を減じた値と略等しく、一定量である。従って、ボール34の直径及びボール34の移動距離を適切に選択、設定することにより、第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40Aの体積を規定することができる。即ち、第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40Aの体積を、キャビティの体積の5乃至50%、好ましくは5乃至35%、一層好ましくは5乃至25%とするためには、ボール34の直径及びボール34の移動距離を適切に選択、設定すればよい。言い換えれば、ボール34の断面積及びボール34の移動距離の積は、第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40Aの体積とほぼ等しい。尚、図6の(B)及び(C)において、第2の溶融樹脂40Bの流れる方向を矢印で示した。
【0048】
尚、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し始めると、ボール34が円筒管部31の拡径部33から中空部32の上流側端部に向かって移動する。第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に所定量流入したとき、ボール34は拡径部33と拡径部33以外の部分の境界に達する、中空部32の拡径部33以外の部分にボール34が侵入した時点で、中空部32の拡径部33以外の部分の直径はボール34の直径とほぼ等しいので、第2の射出シリンダー10Bの内部とキャビティ25とは逆流制御弁30Bによって非連通状態となる。
【0049】
図6の(B)の矢印A−Aに沿った円筒管部31の模式的な断面図を図7の(A)及び(B)に示す。図7の(A)及び(B)に示した構造においては円筒管部31の拡径部33の内面の4カ所から、突起部33Aが円筒管部31の軸線と平行な方向にボール受け部31C近傍まで延びており、ボール34は突起部33Aの頂点若しくは頂面に接触しながら移動する。また、図6の(B)の矢印A−Aに沿った円筒管部31の拡径部33の変形例を、図7の(C)及び(D)に示す。図7の(C)及び(D)に示した構造においては円筒管部31の拡径部33の内面の3カ所から、突起部33Aが円筒管部31の軸線と平行な方向にボール受け部31C近傍まで延びている。図7の(A)及び(C)に示した構造においては、突起部33Aの断面形状は円形を一部切り欠いた形状である。また、図7の(B)及び(D)に示した構造においては、突起部33Aの断面形状は略矩形である。第2の溶融樹脂40Bは、ボール34と突起部33Aと拡径部33の内面によって囲まれた空間内を流動する。尚、突起部33Aの断面形状、突起部33Aの数、円筒管部31の軸線に垂直な面でかかる空間を切断したときの空間の形状は、図7の(A)〜(D)に示した形状や数に限定するものではない。更には、図6の(B)の矢印B−Bに沿ったボール受け部31Cの模式的な断面図を図7の(E)に示す。また、図6の(B)の矢印B−Bに沿ったボール受け部31Cの部分の変形例を図7の(F)、(G)及び(H)の模式的な断面図に示す。図7の(E)〜(H)に示すように、中空部32の下流側端部に設けられたボール受け部31Cと円筒管部31との間には、円筒管部31の軸線と平行な方向に延びる空間31Bが設けられており、かかる空間31Bは拡径部33に連通しており、第2の溶融樹脂40Bはこれらの空間31B内を流動する。ボール受け部31Cと円筒管部31は一体に作製してもよいし、個別に作製してもよい。尚、円筒管部31の軸線に垂直な面でかかる空間31Bを切断したときの空間31Bの形状や数は、図7の(E)〜(H)に示した形状や数に限定するものではない。
【0050】
第1及び第2の射出シリンダー10A,10Bに配設されたスクリュー11A,11Bのそれぞれは、樹脂を可塑化、溶融すると同時にプランジャの作用も有する形式のインラインスクリュー方式である。以下、図8を参照して、第2の射出シリンダー10Bを例にとり説明を行うが、図9に示すように、第1の射出シリンダー10Aも同様の構造とすることができる。スクリュー11Bは、減速歯車13を介して油圧モータ14によって回転させられる。ホッパ15からスクリュー11Bに投入された第2の樹脂は、加熱シリンダー10B、スクリュー11Bによって加熱、可塑化、溶融、計量され、加熱シリンダー10Bとスクリュー11Bの先端の間に形成された空隙16に蓄えられる。スクリュー11Bの後端には射出ラム17Bが取り付けられており、射出ラム17Bは射出用油圧シリンダー18Bによって圧力が加えられる。射出用油圧シリンダー18Bによって射出ラム17Bに圧力を加えることにより、スクリュー11Bが前方に押し出され第2の溶融樹脂に圧力が加わる結果、空隙16に蓄えられた第2の溶融樹脂は、逆流制御弁30B、第2の樹脂流路23B及びゲート部24を経由して、キャビティ25に射出される。尚、図8において、参照番号19は射出装置前進後退用シリンダー、参照番号19A,19Bは油圧配管、参照番号19Cは圧力計である。
【0051】
以下、図2〜図5を参照して、実施例1の射出成形装置を用いた本発明の第1の態様に係る多層成形品の射出成形方法を説明する。尚、この射出成形方法は交互射出成形方法である。図14に、実施例1の多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示す。
【0052】
[工程−100]
図2に示した第1及び第2の溶融樹脂40A,40Bの計量済みの状態から、多層成形品(実施例1においてはパリソン)を成形するために、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を後退させ、ゲートカットピン26をゲート部24から抜き出し、後進端に位置させ、ゲート部24を開く。そして、第1の射出シリンダー10A内で溶融させた第1の溶融樹脂40Aの一部を、第1の樹脂流路23Aを介してキャビティ25内に射出する。即ち、射出用油圧シリンダー18Aによって射出ラム17Aに圧力を加えることによりスクリュー11Aを前方に押し出す。これによって、第1の射出シリンダー10A内で溶融された第1の溶融樹脂40Aの一部は、第1の樹脂流路23A及びゲート部24を経由してキャビティ25内に射出される。この状態を模式的に図3に示す。尚、図3において、参照番号40aは、前回の射出時に流入し、第2の樹脂流路23B内に残された第1の溶融樹脂40Aの残り(図中、白四角印で表現する)を示す。
【0053】
例えば、キャビティ25における溶融樹脂充填率がキャビティ25の体積の例えば70%以下においては、第1の溶融樹脂40Aをキャビティ25内に射出する際には、第1の溶融樹脂40Aの射出に起因した第2の射出シリンダー10Bに向かう圧力が、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bには殆ど加わらない。それ故、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが第2の射出シリンダー10Bに向って逆流することはない。
【0054】
尚、多層成形品の最外層を形成するために第1の溶融樹脂40Aを第1の樹脂流路23Aを経由してキャビティ25内に射出するより以前に、即ち、この[工程−100]より以前に(具体的には、例えば前回の成形サイクルにおいて)、多層成形品の最外層ではない層を形成するための溶融樹脂以外の溶融樹脂(実施例1においては、第1の溶融樹脂40A)が、合流部より上流の第2の樹脂流路23Bに既に一定量流入している。
【0055】
[工程−110]
そして、第1の溶融樹脂40Aを中止する。即ち、第1の射出シリンダー10Aにおける射出用油圧シリンダー18Aによる射出ラム17Aへの加圧を中止する。そして、第2の射出シリンダー10B内で溶融させた第2の溶融樹脂40Bを、第2の樹脂流路23Bを介してキャビティ25内に射出する。即ち、第2の射出シリンダー10Bにおいて、射出用油圧シリンダー18Bによって射出ラム17Bに圧力を加えることによりスクリュー11Bを前方に押し出す。これによって、第2の射出シリンダー10B内で溶融された第2の溶融樹脂40Bは、第2の樹脂流路23B及びゲート部24を経由してキャビティ25内に射出される。第2の溶融樹脂40Bの射出途中の状態を模式的に図4に示す。キャビティ25内に射出された第2の溶融樹脂40Bは、射出条件にも依るが、既にキャビティ25の一部分を充填した第1の溶融樹脂40Aの中央部を前進する。前回の成形サイクルにおいて流入し、第2の樹脂流路23B内に残された第1の溶融樹脂40aも、第2の溶融樹脂40Bと一緒にキャビティ25内に射出される。尚、図4には第1の溶融樹脂40aの図示は省略した。
【0056】
尚、3つの射出シリンダーを備えた射出成形装置を用い、[工程−110]に引き続き、第3の射出シリンダー内で溶融させた第3の樹脂を、第3の樹脂流路を介してキャビティ内に射出してもよい。この場合、例えば、第3の樹脂を、第1の樹脂と同種の樹脂あるいは異種の樹脂とすることができる。
【0057】
[工程−120]
第2の溶融樹脂40Bの射出が完了したならば、第2の射出シリンダー10Bにおける射出用油圧シリンダー18Bによる射出ラム17Bへの加圧を中止する。そして、第1の射出シリンダー10A内で溶融させた第1の溶融樹脂40Aの残りを、第1の樹脂流路23A及びゲート部24を介してキャビティ25内に射出する。即ち、第1の射出シリンダー10Aにおいて、射出用油圧シリンダー18Aによって射出ラム17Aに圧力を加えることによりスクリュー11Aを前方に押し出す。これによって、第1の射出シリンダー10A内で溶融された第1の溶融樹脂40Aは、第1の樹脂流路23A及びゲート部24を経由してキャビティ25内に射出される。第1の溶融樹脂40Aの射出完了時点における状態を模式的に図5に示す。尚、射出すべき第1の溶融樹脂40Aの残りの量は、キャビティ25の全てを充填するのに充分な量及び第2の樹脂流路23B内に流入する量の合計とする。キャビティ25内に射出された第1の溶融樹脂40Aは、射出条件にも依るが、既にキャビティ25の一部分を充填した第2の溶融樹脂40Bの中央部を前進する。
【0058】
このとき、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bに対して第2の射出シリンダー10Bに向かう圧力が第1の溶融樹脂40Aによって加わる。それ故、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが第2の射出シリンダー10Bに向って逆流する。その結果、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aの一部が第2の樹脂流路23B内に流入する。先に説明したとおり、第2の溶融樹脂40Bの逆流によってボール34が円筒管部31の拡径部33から中空部32の上流側端部に移動させられる。この逆流する第2の溶融樹脂40Bの体積は一定量である。従って、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入する量も一定量となる。尚、第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂の部分を参照番号40aで示し、白四角印で表現した。このとき、第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aと第2の溶融樹脂40Bとは、射出成形条件に依っては、殆ど混ざり合わない場合もあるし、混ざり合う場合もある。また、射出成形条件に依っては、この工程では、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aの一部が第2の樹脂流路23B内に流入する現象が生ぜず、次の保圧期間中において、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aの一部が第2の樹脂流路23B内に流入する現象が生じる場合もある。また、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aの一部が第2の樹脂流路23B内に流入し終わる時点は、射出成形条件に依って、第1の溶融樹脂40Aの射出中の場合があるし、次の保圧期間中となる場合もある。
【0059】
[工程−130]
第1の溶融樹脂40Aの射出完了後、第1の射出シリンダー10Aによって保圧を行う。その後、ゲートカットピン26を前進させ、ゲートカットピン26によってゲート部24を閉じる。そして、キャビティ25内の樹脂を冷却した後、金型20を開き、多層成形品であるパリソンを取り出す。こうして得られた多層成形品の主たる部分(パリソンの側面の主たる部分)は、射出条件にも依るが、第1の樹脂40A/第2の樹脂40B/第1の樹脂40A/第2の樹脂40B/第1の樹脂40Aの5層構造である。また、多層成形品の主たる部分以外の部分は、第1の樹脂層によって構成される。
【0060】
第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40Aの体積は、キャビティ25の体積の5乃至50%であることが好ましい。第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aは、第2の溶融樹脂40Bの射出時に、第2の溶融樹脂40Bと共にキャビティ25内に射出される。第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40aの体積がキャビティ25の体積の50%以下ならば、第2の溶融樹脂40Bと共にキャビティ内に射出される第1の溶融樹脂40aが多層成形品の特性に何ら悪影響を与えることがない。尚、第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40aの体積がキャビティ25の体積の25%以下ならば、多層成形品の各層を構成する樹脂層に乱れが発生することを確実に防止することができる。第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40aの体積がキャビティ25の体積の25%を越え、50%以下の場合には、多層成形品の各層を構成する樹脂層に若干の乱れが発生する場合があるが、実用上問題となる乱れではない。第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40aの体積がキャビティ25の体積の50%を越える場合には、多層成形品の各層を構成する樹脂層に、実用上、問題となる程度の乱れが発生する場合がある。
【0061】
一方、第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40aの体積がキャビティ25の体積の5%未満の場合、例えば[工程−100]において第1の溶融樹脂40Aをキャビティ25内に射出する際、前回の射出時に流入しそして第2の樹脂流路23B内に残された第1の溶融樹脂40a、更には、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが、キャビティ25内に射出される第1の溶融樹脂40Aに巻き込まれ、第2の溶融樹脂40Bもキャビティ25内に流入する。その結果、キャビティ25内で第1の溶融樹脂40Aと第2の溶融樹脂40Bの混合が生じ、第2の樹脂40Bが多層成形品の最外層表面に出現するといった問題が生じる場合がある。
【0062】
先に説明したように、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に流入する現象は、常に起こるわけではなく、キャビティ25内における溶融樹脂充填率が例えば70%を越える場合に発生する。従って、[工程−100]において、キャビティ25における溶融樹脂充填率がキャビティ25の体積の例えば70%以下においては、第1の溶融樹脂40Aをキャビティ25内に射出する際には、第1の溶融樹脂40Aの射出に起因した第2の射出シリンダー10Bに向かう圧力が、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bには殆ど加わらず、第2の樹脂流路23B内に第1の溶融樹脂40Aが流入することはない。また、[工程−110]においても、第2の樹脂流路23B及びゲート部24を経由して第2の溶融樹脂40Bをキャビティ25内に射出したとき、キャビティ25における溶融樹脂充填率が例えば70%を越えない場合には、第2の溶融樹脂40Bをキャビティ25内に射出する際、第2の溶融樹脂40Bの射出に起因した第1の射出シリンダー10Aに向かう圧力が、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aには殆ど加わらない。それ故、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第1の射出シリンダー10Aに向って逆流することはない。第1の射出シリンダー10Aのノズル部12Aあるいはノズル部12Aと金型20との間に逆流を防止するための弁を配設する必要はないが、場合によっては、かかる弁を射出シリンダー10Aのノズル部12Aあるいはノズル部12Aと金型20との間に配設してもよい。この場合の弁は、逆流制御弁30Bと同様の構造であってもよいし、従来の溶融樹脂の逆流を防止するボールチェッキ弁(逆止弁)であってもよい。
【0063】
尚、射出条件によっては、[工程−120]においてキャビティ25内に射出された第1の溶融樹脂40Aは、既にキャビティ25の一部分を充填した第2の溶融樹脂40Bの中央部を前進するが第2の溶融樹脂40Bから成る樹脂層の先端部分にまでは到達せず、図10の(A)にパリソンの模式的な断面図を示すように、多層成形品の主たる部分(パリソンの側面の主たる部分)の一部分は、第1の樹脂40A/第2の樹脂40B/第1の樹脂40A/第2の樹脂40B/第1の樹脂40Aの5層構造の部分であり、多層成形品の主たる部分の他の部分は、第1の樹脂40A/第2の樹脂40B/第1の樹脂40Aの3層構造の部分の3層構成とすることもできる。あるいは又、射出条件によっては、図10の(B)に示すように、パリソンの側面が3層/5層/3層等の構造を有するパリソンを成形することも可能である。
【0064】
尚、図14、図15及び図16に交互射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示すように、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aの一部が第2の樹脂流路23B内に流入する現象が第1の溶融樹脂40Aの射出中に生じるか(図14及び図15参照)、射出完了後に生じるか(図16参照)は、射出成形条件に依存する。尚、第1の溶融樹脂40Aの射出完了後に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入する場合には、具体的には、第1の射出シリンダー10Aによって保圧を行い、併せて、第1の溶融樹脂40Aの射出完了後に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aを第2の樹脂流路23B内に流入させる(図16参照)。また、第1の溶融樹脂40Aの射出中に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し始めた場合には、第1の溶融樹脂40Aの第2の樹脂流路23B内への流入完了の時点は、第1の溶融樹脂40Aの射出中であってもよいし(図14参照)、射出完了と同時であってもよいし、射出完了後の保圧期間中であってもよい(図16参照)。
【0065】
また、本発明の第2の態様に係る多層成形品の射出成形方法である同時射出成形方法に基づく射出を行えば、即ち、[工程−110]において、第1の溶融樹脂40Aをキャビティ25に射出し続けながら、第2の溶融樹脂40Bを一定量だけキャビティ25に射出すれば、図11の(A)にパリソンの模式的な断面図を示すように、多層成形品の主たる部分(パリソンの側面の主たる部分)が、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の3層構造のパリソンが得られる。場合によっては、図11の(B)にパリソンの模式的な断面図を示すように、多層成形品の主たる部分(パリソンの側面の主たる部分)の一部分が、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の3層構成のパリソンを得ることもできる。尚、図17、図18及び図19に射出圧力等の時間変化を示すように、第2の溶融樹脂40Bの射出完了後であって第1の溶融樹脂40Aの射出中若しくは射出完了後、逆流手段の動作によって第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aを第2の樹脂流路23B内に流入させる。第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aの一部が第2の樹脂流路23B内に流入する現象が第1の溶融樹脂40Aの射出中に生じるか(図17及び図18参照)、射出完了後に生じるか(図19参照)は、射出成形条件に依存する。尚、第1の溶融樹脂40Aの射出完了後に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入する場合には、具体的には、第1の射出シリンダー10Aによって保圧を行い、併せて、第1の溶融樹脂40Aの射出完了後に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aを第2の樹脂流路23B内に流入させる(図19参照)。また、第1の溶融樹脂40Aの射出中に逆流手段の動作によって第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し始めた場合には、第1の溶融樹脂40Aの第2の樹脂流路23B内への流入完了の時点は、第1の溶融樹脂40Aの射出中であってもよいし(図17参照)、射出完了と同時であってもよいし、射出完了後の保圧期間中であってもよい(図18参照)。
【0066】
更には、場合によっては、[工程−120]を省略することもできる。この場合、本発明の第3の態様に係る多層成形品の射出成形方法である交互射出成形方法においては、[工程−110]において、第2の溶融樹脂40Bをキャビティ25に射出し、キャビティ25内を第2の溶融樹脂40Bで完全に満たす。また、本発明の第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法である同時射出成形方法においては、[工程−110]において、第1の溶融樹脂40Aをキャビティ25に射出し続けながら、第2の溶融樹脂40Bをキャビティ25に射出し、キャビティ25内を第1の溶融樹脂40A及び第2の溶融樹脂40Bで完全に満たす。そして、これらの場合、[工程−130]において、第1の射出シリンダー10Aによる保圧を行う。この第1の射出シリンダー10Aによる保圧によって、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bに対して第2の射出シリンダー10Bに向かう圧力が第1の溶融樹脂40Aによって加わる。その結果、逆流手段が動作し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが第2の射出シリンダー10Bに向って逆流し、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aの一部が第2の樹脂流路23B内に流入する(図20及び図21参照)。
【0067】
尚、逆流制御弁として、図6の(A)〜(C)に示したボール形式逆流制御弁の代わりに、図12の(A)〜(C)に示すスライド形式逆流制御弁50を用いることもできる。このスライド形式逆流制御弁50は、一定量の第2の溶融樹脂40Bを逆流させ得る構造を有する。具体的には、図12の(A)に模式的な端面図を示すように、逆流制御弁50は、中空部52を有する円筒管部51と、中空部52内に格納された弁体54と、バー55から構成されている。バー55は円筒管部51の中心部にその軸線に沿って配設され、支持体56A,56Bによって円筒管部51に取り付けられている。第2の溶融樹脂40Bは、支持体56A,56Bを自由に通過し得る。弁体54の中心部はバー55に滑動自在に取り付けられている。中空部52の下流側(金型側)の端部から上流側(射出シリンダー側)に向かっての所定の中空部52の部分の断面積は弁体54の断面積よりも大きい。この中空部52の部分を拡径部53と呼ぶ。中空部52の拡径部53以外の部分の断面形状は、弁体54の断面形状とほぼ等しい。
【0068】
第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40Bをキャビティ25に向かって射出する場合には、図12の(B)に示すように、弁体54は中空部52の下流側端部の支持体56Aに第2の溶融樹脂40Bの圧力によって押し付けられる。従って、第2の樹脂流路23Bを経由して第2の溶融樹脂40Bをキャビティ25内に射出しているとき及び射出完了後には、第2の射出シリンダー10Bの内部とキャビティ25とは逆流制御弁50によって連通状態となる。弁体54と拡径部53との間の隙間を通って第2の溶融樹脂40Bはキャビティ25に向かって流れる。
【0069】
一方、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bに及ぼす圧力によって、第2の溶融樹脂40Bは逆流する。そして、第2の溶融樹脂40Bが逆流制御弁50内を逆流する際には、第2の樹脂流路23Bに流入する第1の溶融樹脂40Aの圧力によって弁体54は中空部52の上流側端部に向かって移動させられ、最終的には、中空部52の上流側端部に押し付けられる(図12の(C)参照)。弁体54と中空部52の上流側端部との間には隙間が存在しない。従って、図12の(C)に示した状態においては、これ以上、第2の溶融樹脂40Bの逆流が生じることはない。言い換えれば、弁体54が円筒管部51の中空部52の下流側端部から上流側端部に移動する間に、第2の溶融樹脂40Bは逆流制御弁50内を逆流する。この逆流する第2の溶融樹脂40Bの体積は、概ね、弁体54が移動する中空部52の部分の断面積及び弁体54の移動距離の積によって規定され、一定量である。言い換えれば、この逆流する第2の溶融樹脂40Bの体積は、概ね、中空部52の体積から弁体54の体積を減じた値と略等しく、一定量である。従って、弁体54が移動する中空部52の部分の断面積及び弁体54の移動距離を適切に選択、設定することにより、第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40Aの体積を規定することができる。言い換えれば、弁体54が移動する中空部52の部分の断面積及び弁体54の移動距離の積は、第2の樹脂流路23B内に流入する第1の溶融樹脂40Aの体積とほぼ等しい。図12の(B)及び(C)において、第2の溶融樹脂40Bの流れる方向を矢印で示した。尚、第2の溶融樹脂40Bの流れる方向に垂直な面で切断したときの弁体54及び中空部52の形状は円形であることが好ましいが、かかる形状に限定されず、矩形等、任意の形状とすることができる。
【0070】
尚、第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し始めると、弁体54が中空部52を上流側端部に向かって移動する。第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に所定量流入したとき、弁体54は、拡径部53と拡径部53以外の部分の境界に達する。中空部52の拡径部53以外の部分に弁体54が侵入した時点で、中空部52の拡径部53以外の部分の断面形状は弁体54の断面形状とほぼ等しいので、第2の射出シリンダー10Bの内部とキャビティ25とは逆流制御弁50によって非連通状態となる。
【0071】
図12の(B)の矢印A−Aに沿った円筒管部51の模式的な断面図を図13の(A)に示す。また、図12の(B)の矢印B−Bに沿った円筒管部51の模式的な断面図を図13の(B)に示す。支持体56Aは中央部が円盤状であり、周囲から4本の腕が延び、これらの腕の先端部が円筒管部51の内面に達している。支持体56Aと円筒管部51は一体に作製してもよいし、個別に作製してもよい。支持体56Aの中心部にはバー55が固定されている。尚、支持部56Aの構造は、図13の(A)及び(B)に示した構造に限定されるものではなく、支持体56Aの中央部の形状、腕の数は、任意である。
【0072】
実施例1においては、2つの射出シリンダーを備え、2つの射出シリンダーのそれぞれの内部とキャビティとを結ぶ2つの樹脂流路を有する射出成形装置を例にとり説明を行ったが、射出シリンダーの数は3つ以上であってもよく、この場合には、射出シリンダーの数と同じ数の樹脂流路を設ければよい。そして、[工程−110]と[工程−120]との間で、第3、第4・・・の射出シリンダーから溶融した第3、第4・・・の樹脂をキャビティ25へと射出すればよい。この場合、1つの樹脂流路が第1の樹脂流路に相当し、残りの樹脂流路が第2の樹脂流路に相当する。尚、第2の樹脂流路のそれぞれに流入する第1の溶融樹脂の体積が、キャビティの体積の5乃至50%、好ましくは5乃至35%、より好ましくは5乃至25%であることが望ましい。また、金型に設けられたキャビティの数は1つに限定されず、任意である。キャビティの数が複数の場合、第1の樹脂流路及び第2の樹脂流路のそれぞれをキャビティの数だけ分岐し、分岐された各樹脂流路を各キャビティに開口した各ゲート部と結べばよい。この場合、本発明の射出成形装置においては、逆流手段の下流で樹脂流路を分岐することが好ましい。尚、第2の樹脂流路のそれぞれに流入する第1の溶融樹脂の体積が、キャビティの体積の5乃至50%、好ましくは5乃至35%、より好ましくは5乃至25%であることが望ましい。
【0073】
実施例1においては、第2の樹脂流路23B内にゲートカットピン26が配設されている構造としたが、ゲート部の構造や、ゲート部における溶融樹脂の温度を適宜設定することによって、ゲートカットピンを省略することもできる。
【0074】
また、実施例1においては、射出シリンダー内で樹脂の可塑化、溶融、計量を行い、射出シリンダーから溶融樹脂の射出を行ったが、ポット式(シューティング・ポット式あるいは加熱ポット式とも呼ばれる)の成形装置を用いることもできる。このポット式の成形装置においては、樹脂の可塑化、溶融、計量をシリンダー内で行い、溶融樹脂を射出用ポット内に充填する。シリンダーと射出用ポットとの間には逆止弁が配設されている。射出用ポット内に充填された溶融樹脂には射出用シリンダーから圧力が加えられ、樹脂流路及びゲート部を介して溶融樹脂がキャビティ内に射出される。このようなポット式の成形装置においても、射出用ポットとキャビティとを結ぶ第2の樹脂流路に逆流手段を配設すればよい。
【0075】
以下、実施例2〜実施例11及び比較例1〜比較例3により、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらの実施例及び比較例における温度条件を以下の表1に示すが、特に断りの無い限り、表1の温度条件を採用した。また、これらの実施例及び比較例においては、図1に示した実施例1の射出成形装置を使用した。
【0076】
【表1】
射出シリンダー10Aにおける第1の溶融樹脂40Aの温度:270゜C
射出シリンダー10Bにおける第2の溶融樹脂40Bの温度:260゜C
ホットランナーブロック内の第1及び第2の樹脂流路の温度:270゜C
キャビティブロック内の冷却水の温度 : 15゜C
【0077】
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(η)は、フェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)の混合溶媒を使用して、30゜Cにて測定した。一方、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂の相対粘度(ηrel)は、樹脂1g/96%硫酸100mlの条件にて、25゜Cにて測定した。また、層間接着強度の測定は、剥離方向180度、剥離速度20mm/分、試料寸法10mm(幅)×100mm(長さ)にて行った。
【0078】
(実施例2)
第1の樹脂40Aとして、固有粘度0.75のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂。日本ユニペット株式会社製のRT543C)を用い、第2の樹脂40Bとして、相対粘度2.7のポリメタキシリレンアジパミド樹脂(N−MXD6樹脂。三菱瓦斯化学株式会社製の#6007)を使用した。そして、実施例1にて説明した各工程に基づき、PET樹脂、N−MXD6樹脂、PET樹脂を交互に射出し、5層構成のパリソンを交互射出成形方法(本発明の第1の態様に係る多層成形品の射出成形方法)に基づき成形した。パリソンの長さを110mm、肉厚を4.5mm、外形直径を26.5mmとした。尚、このようなパリソンに基づき二軸延伸ブロー成形法にて得られる多層ボトルの寸法は、全長200mm、外径75mm、容積600ミリリットルである。
【0079】
第1の樹脂流路23Aと第2の樹脂流路23Bとの合流部より上流(射出シリンダー側)における第1の樹脂流路23A及び第2の樹脂流路23Bの一部分は、二重管構造となっており、この部分の長さを120mmとした。この二重管構造の樹脂流路における外側の第1の樹脂流路23Aの外径を18mm、内径を14mmとした。一方、この二重管構造の樹脂流路における内側の管状の第2の樹脂流路23Bの直径を8mmとした。また、円柱状のゲートカットピン26の外径を4mmとした。
【0080】
第1の射出シリンダー10Aとしては内径50mmのものを使用して、第1の樹脂40A(PET樹脂)を可塑化し、溶融した。また、第2の射出シリンダー10Bとしては内径40mmのものを使用し、第2の樹脂40B(N−MXD6樹脂)を可塑化し、溶融した。逆流手段としてボール形式逆流制御弁30Bを使用した。金型20には4つのキャビティ25が設けられており、各樹脂流路23A,23Bを、逆流制御弁30Bよりも下流で分岐させて、各々のキャビティ25に開口したゲート部24へと繋げた。
【0081】
射出成形前には、前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aがキャビティ25の体積の5%に相当する量だけ第2の樹脂流路23B内に残っていた。
【0082】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の30%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0083】
次いで、[工程−110]と同様にして、第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40B(溶融N−MXD6樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の5%に相当する量とした。前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入し、キャビティ25の体積の5%に相当する量だけ残っていた第1の溶融樹脂40aもキャビティ25に射出された。この際にも、第2の溶融樹脂40B及び第1の溶融樹脂40aが第1の樹脂流路23A内に流入することはなかった。
【0084】
続いて、[工程−120]と同様にして、第1の射出シリンダー10Aから第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第1の溶融樹脂40Aの量を、キャビティ25を溶融樹脂で充填するためのキャビティ25の体積の60%に相当する量と、第2の樹脂流路23B内に第1の溶融樹脂40Aが流入する量の合計とした。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが逆流し、第2の射出シリンダー10B内のスクリュー11Bが後退したが、逆流制御弁30Bの作動によって、第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の5%にとどまった。
【0085】
次に、第1の射出シリンダー10Aにより、15秒間保圧した後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。その後、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。得られたパリソンは、図5に示したと同様に、PET樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET樹脂層の5層構造であり、樹脂層に乱れの無い、きれいな樹脂層が形成されていた。また、N−MXD6樹脂層がパリソンの最外層表面(パリソンの内側表面及び外側表面)に出現する現象も全く認められなかった。得られた多層パリソンを100゜Cに加熱して、二軸延伸ブロー成形法にて多層ボトルを製造したところ、外観良好な多層ボトルが得られた。
【0086】
(実施例3)
ボール34の直径は実施例2にて使用した逆流制御弁30Bのボール34の直径と同じであるが、ボール34の移動距離が実施例2にて使用した逆流制御弁30Bよりも長いボール形式逆流制御弁30Bに交換した以外は、実施例2の射出成形装置を用いてパリソンの成形を行った。
【0087】
射出成形前には、前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aがキャビティ25の体積の15%に相当する量だけ第2の樹脂流路23B内に残っていた。
【0088】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の40%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0089】
次いで、[工程−110]と同様にして、第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40B(溶融N−MXD6樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の5%に相当する量とした。前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入し、キャビティ25の体積の15%に相当する量だけ残っていた第1の溶融樹脂40aもキャビティ25に射出された。この際にも、第2の溶融樹脂40B及び第1の溶融樹脂40aが第1の樹脂流路23A内に流入することはなかった。
【0090】
続いて、[工程−120]と同様にして、第1の射出シリンダー10Aから第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第1の溶融樹脂40Aの量を、キャビティ25を溶融樹脂で充填するためのキャビティ25の体積の40%に相当する量と、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bの逆流する量に相当する量の合計とした。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが逆流し、第2の射出シリンダー10B内のスクリュー11Bが後退したが、逆流制御弁30Bの作動によって、第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の15%にとどまった。
【0091】
次に、第1の射出シリンダー10Aにより、15秒間保圧した後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。その後、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。得られたパリソンは、図5に示したと同様に、PET樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET樹脂層の5層構造であり、樹脂層に乱れの無い、きれいな樹脂層が形成されていた。また、N−MXD6樹脂層がパリソンの最外層表面(パリソンの内側表面及び外側表面)に出現する現象も全く認められなかった。また、外観良好な多層ボトルが得られた。
【0092】
(実施例4)
第2の樹脂40Bとして、N−MXD6樹脂の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂ケン化物(EVOH。クラレ株式会社製のEVAL EF−E)を用いた。実施例4に於ける温度条件を、以下の表2に示す。ボール34の直径は実施例3にて使用した逆流制御弁30Bのボール34の直径と同じであるがボール34の移動距離が実施例3にて使用した逆流制御弁30Bよりも長いボール形式逆流制御弁30Bに交換した点を除き、実施例2と同様の射出成形装置にて射出成形を行った。
【0093】
【表2】
射出シリンダー10Aにおける第1の溶融樹脂40Aの温度:270゜C
射出シリンダー10Bにおける第2の溶融樹脂40Bの温度:230゜C
ホットランナーブロック内の第1及び第2の樹脂流路の温度:270゜C
キャビティブロック内の冷却水の温度 : 15゜C
【0094】
射出成形前には、前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aがキャビティ25の体積の25%に相当する量だけ第2の樹脂流路23B内に残っていた。
【0095】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の40%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0096】
次いで、[工程−110]と同様にして、第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40B(溶融EVOH樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の5%に相当する量とした。前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入し、キャビティ25の体積の25%に相当する量だけ残っていた第1の溶融樹脂40aもキャビティ25に射出された。この際にも、第2の溶融樹脂40B及び第1の溶融樹脂40aが第1の樹脂流路23A内に流入することはなかった。
【0097】
続いて、[工程−120]と同様にして、第1の射出シリンダー10Aから第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第1の溶融樹脂40Aの量を、キャビティ25を溶融樹脂で充填するためのキャビティ25の体積の30%に相当する量と、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bの逆流する量に相当する量の合計とした。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが逆流し、第2の射出シリンダー10B内のスクリュー11Bが後退したが、逆流制御弁30Bの作動によって、第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の25%にとどまった。
【0098】
次に、第1の射出シリンダー10Aにより、15秒間保圧した後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。その後、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。得られたパリソンは、図5に示したと同様に、PET樹脂層/EVOH樹脂層/PET樹脂層/EVOH樹脂層/PET樹脂層の5層構造であり、樹脂層に乱れの無い、きれいな樹脂層が形成されていた。また、EVOH樹脂層がパリソンの最外層表面(パリソンの内側表面及び外側表面)に出現する現象も全く認められなかった。また、外観良好な多層ボトルが得られた。
【0099】
(実施例5)
ボール34の直径は実施例2にて使用した逆流制御弁30Bのボール34の直径と同じであるが、ボール34の移動距離が実施例2にて使用した逆流制御弁30Bよりも長いボール形式逆流制御弁30Bに交換した点、第1の射出シリンダー10Aのノズル部12Aに従来の逆止弁を設けた点を除き、実施例2と同様の射出成形装置にて射出成形を行った。尚、第2の樹脂40BとしてN−MXD6樹脂の代わりに回収PET樹脂を用いた。
【0100】
射出成形前には、前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aがキャビティ25の体積の10%に相当する量だけ第2の樹脂流路23B内に残っていた。
【0101】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の50%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0102】
次いで、[工程−110]と同様にして、第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40B(回収PET樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の20%に相当する量とした。前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入し、キャビティ25の体積の10%に相当する量だけ残っていた第1の溶融樹脂40aもキャビティ25に射出された。この際、第1の射出シリンダー10Aのノズル部12Aに従来の逆止弁が設けられているので、第2の溶融樹脂40B及び第1の溶融樹脂40aが第1の樹脂流路23A内に流入することはなかった。
【0103】
続いて、[工程−120]と同様にして、第1の射出シリンダー10Aから第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第1の溶融樹脂40Aの量を、キャビティ25を溶融樹脂で充填するためのキャビティ25の体積の20%に相当する量と、第2の樹脂流路23B内に第1の溶融樹脂40Aが流入する量の合計とした。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが逆流し、第2の射出シリンダー10B内のスクリュー11Bが後退したが、逆流制御弁30Bの作動によって、第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の10%にとどまった。
【0104】
次に、第1の射出シリンダー10Aにより、15秒間保圧した後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。その後、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。得られたパリソンは、図5に示したと同様に、PET樹脂層/回収PET樹脂層/PET樹脂層/回収PET樹脂層/PET樹脂層の5層構造であり、樹脂層に乱れの無い、きれいな樹脂層が形成されていた。また、回収PET樹脂層がパリソンの最外層表面に出現する現象も全く認められなかった。得られた多層パリソンを100゜Cに加熱して、二軸延伸ブロー成形法にて多層ボトルを製造したところ、外観良好な多層ボトルが得られた。
【0105】
(実施例6)
ボール34の直径は実施例4にて使用した逆流制御弁30Bのボール34の直径と同じであるが、ボール34の移動距離が実施例4にて使用した逆流制御弁30Bよりも長いボール形式逆流制御弁30Bに交換した点、第1の射出シリンダー10Aのノズル部12Aに従来の逆止弁を設けた点を除き、実施例2と同様の射出成形装置にて射出成形を行った。尚、第2の樹脂40BとしてN−MXD6樹脂の代わりに、回収PET樹脂を用いた。
【0106】
射出成形前には、前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aがキャビティ25の体積の50%に相当する量だけ第2の樹脂流路23B内に残っていた。
【0107】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の30%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0108】
次いで、[工程−110]と同様にして、第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40B(回収PET樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の10%に相当する量とした。前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入し、キャビティ25の体積の50%に相当する量だけ残っていた第1の溶融樹脂40aもキャビティ25に射出された。この際、第1の射出シリンダー10Aのノズル部12Aに従来の逆止弁が設けられているので、第2の溶融樹脂40B及び第1の溶融樹脂40aが第1の樹脂流路23A内に流入することはなかった。
【0109】
続いて、[工程−120]と同様にして、第1の射出シリンダー10Aから第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第1の溶融樹脂40Aの量を、キャビティ25を溶融樹脂で充填するためのキャビティ25の体積の10%に相当する量と、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bの逆流する量に相当する量の合計とした。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが逆流し、第2の射出シリンダー10B内のスクリュー11Bが後退したが、逆流制御弁30Bの作動によって、第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の50%にとどまった。
【0110】
次に、第1の射出シリンダー10Aにより、15秒間保圧した後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。その後、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。得られたパリソンは、PET樹脂層/回収PET樹脂層/PET樹脂層/回収PET樹脂層/PET樹脂層の5層構造を有し、各層を構成する樹脂層に若干の乱れが発生したが、実用上問題となる乱れではなかった。また、回収PET樹脂層がパリソンの最外層表面に出現する現象も全く認められなかった。得られた多層パリソンを100゜Cに加熱して、二軸延伸ブロー成形法にて多層ボトルを製造したところ、外観良好な多層ボトルが得られた。
【0111】
(実施例7)
実施例2と同じ樹脂を使用し、実施例2の射出成形装置を用いて、射出成形を行った。尚、温度条件は表1と同様とした。実施例7が実施例2と相違する点は、実施例2が交互射出成形方法であったのに対して、実施例7においては同時射出成形方法(本発明の第2の態様に係る多層成形品の射出成形方法)を採用した点にある。
【0112】
射出成形前には、前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aがキャビティ25の体積の5%に相当する量だけ第2の樹脂流路23B内に残っていた。
【0113】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の20%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0114】
次いで、キャビティ25への第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)の射出を続行しながら、第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40B(溶融N−MXD6樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の5%に相当する量とした。前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入し、キャビティ25の体積の5%に相当する量だけ残っていた第1の溶融樹脂40aもキャビティ25に射出された。この際にも、第2の溶融樹脂40B及び第1の溶融樹脂40aが第1の樹脂流路23A内に流入することはなかった。
【0115】
その後、キャビティ25への第2の溶融40B樹脂の射出を中止した。そして、キャビティ25への第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)の射出を続行し、キャビティ25内を溶融樹脂で完全に充填した。射出した第1の溶融樹脂40Aの量を、キャビティ25を溶融樹脂で充填するためのキャビティ25の体積の70%に相当する量と、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bの逆流する量に相当する量の合計とした。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが逆流し、第2の射出シリンダー10B内のスクリュー11Bが後退したが、逆流制御弁30Bの作動によって、第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の5%にとどまった。
【0116】
次に、第1の射出シリンダー10Aにより、15秒間保圧した後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。その後、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。得られたパリソンは、図11の(A)に示したと同様に、PET樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET樹脂層の3層構造であり、樹脂層に乱れの無い、きれいな樹脂層が形成されていた。また、N−MXD6樹脂層がパリソンの最外層表面(パリソンの内側表面及び外側表面)に出現する現象も全く認められなかった。得られた多層パリソンを100゜Cに加熱して、二軸延伸ブロー成形法にて多層ボトルを製造したところ、外観良好な多層ボトルが得られた。
【0117】
(実施例8)
逆流手段を図12の(A)に示したスライド形式逆流制御弁50に換えた以外は、実施例2の射出成形装置を用い、実施例2と同様の射出形成条件にてパリソンの成形を行った。
【0118】
射出成形前には、前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aがキャビティ25の体積の20%に相当する量だけ第2の樹脂流路23B内に残っていた。
【0119】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の30%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0120】
次いで、[工程−110]と同様にして、第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40B(溶融N−MXD6樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の5%に相当する量とした。前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入し、キャビティ25の体積の20%に相当する量だけ残っていた第1の溶融樹脂40aもキャビティ25に射出された。この際にも、第2の溶融樹脂40B及び第1の溶融樹脂40aが第1の樹脂流路23A内に流入することはなかった。
【0121】
続いて、[工程−120]と同様にして、第1の射出シリンダー10Aから第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第1の溶融樹脂40Aの量を、キャビティ25を溶融樹脂で充填するためのキャビティ25の体積の45%に相当する量と、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bの逆流する量に相当する量の合計とした。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが逆流し、第2の射出シリンダー10B内のスクリュー11Bが後退したが、逆流制御弁50の作動によって、第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の20%にとどまった。
【0122】
次に、第1の射出シリンダー10Aにより、15秒間保圧した後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。その後、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。得られたパリソンは、図5に示したと同様に、PET樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET樹脂層の5層構造であり、樹脂層に乱れの無い、きれいな樹脂層が形成されていた。また、N−MXD6樹脂層がパリソンの最外層表面(パリソンの内側表面及び外側表面)に出現する現象も全く認められなかった。また、外観良好な多層ボトルが得られた。
【0123】
(実施例9)
第1の樹脂40Aとして、固有粘度0.75のPET樹脂と、固有粘度0.50のポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂(PEN樹脂)とを90/10の重量割合でブレンドした樹脂を使用し、温度条件を以下の表3に示す条件とした以外は、実施例2の射出成形装置を用いて射出成形を行った。
【0124】
【表3】
射出シリンダー10Aにおける第1の溶融樹脂40Aの温度:290゜C
射出シリンダー10Bにおける第2の溶融樹脂40Bの温度:260゜C
ホットランナーブロック内の第1及び第2の樹脂流路の温度:290゜C
キャビティブロック内の冷却水の温度 : 15゜C
【0125】
射出成形前には、前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aがキャビティ25の体積の5%に相当する量だけ第2の樹脂流路23B内に残っていた。
【0126】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET・PEN樹脂)をキャビティ25の体積の30%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0127】
次いで、[工程−110]と同様にして、第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40B(溶融N−MXD6樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の5%に相当する量とした。前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入し、キャビティ25の体積の5%に相当する量だけ残っていた第1の溶融樹脂40aもキャビティ25に射出された。この際にも、第2の溶融樹脂40B及び第1の溶融樹脂40aが第1の樹脂流路23A内に流入することはなかった。
【0128】
続いて、[工程−120]と同様にして、第1の射出シリンダー10Aから第1の溶融樹脂40A(溶融PET・PEN樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第1の溶融樹脂40Aの量を、キャビティ25を溶融樹脂で充填するためのキャビティ25の体積の60%に相当する量と、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bの逆流する量に相当する量の合計とした。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが逆流し、第2の射出シリンダー10B内のスクリュー11Bが後退したが、逆流制御弁30Bの作動によって、第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の5%にとどまった。
【0129】
次に、第1の射出シリンダー10Aにより、15秒間保圧した後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。その後、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。得られたパリソンは、PET・PEN樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET・PEN樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET・PEN樹脂層の5層構造であり、樹脂層に乱れの無い、きれいな樹脂層が形成されていた。また、N−MXD6樹脂層がパリソンの最外層表面(パリソンの内側表面及び外側表面)に出現する現象も全く認められなかった。得られた多層パリソンを110゜Cに加熱して、二軸延伸ブロー成形法にて多層ボトルを製造したところ、外観良好な多層ボトルが得られた。
【0130】
(実施例10)
第1の射出シリンダー10Aのノズル部12Aに従来の逆止弁を設けた点を除き、実施例2と同じ樹脂を使用し、実施例2の射出成形装置を用いて、射出成形を行った。尚、温度条件は表1と同様とした。実施例2が本発明の第1の態様に係る交互射出成形方法であったのに対して、実施例10においては、本発明の第3の態様に係る多層成形品の射出成形方法(交互射出成形方法)を採用した。
【0131】
射出成形前には、前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aがキャビティ25の体積の10%に相当する量だけ第2の樹脂流路23B内に残っていた。
【0132】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の70%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0133】
次いで、キャビティ25への第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)の射出を終了し、[工程−110]と同様にして、第2の射出シリンダー10B内で溶融させた第2の溶融樹脂40B(溶融N−MXD6樹脂)を、第2の樹脂流路23Bを介してキャビティ25内に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の20%に相当する量とした。前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入し、キャビティ25の体積の10%に相当する量だけ残っていた第1の溶融樹脂40aもキャビティ25に射出された。
【0134】
第2の溶融樹脂40Bの射出を終了した後、第1の射出シリンダー10Aによって15秒間の保圧を行い、併せて、ボール形式逆流制御弁30Bの動作によって第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aを第2の樹脂流路23B内に流入させた。即ち、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが逆流し、第2の射出シリンダー10B内のスクリュー11Bが後退したが、逆流制御弁30Bの作動によって、第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の10%にとどまった。
【0135】
その後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。そして、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。ゲート部に対応するパリソンの部分以外のパリソンの表面には、N−MXD6樹脂層の出現は認められなかった。得られた多層パリソンを100゜Cに加熱して、二軸延伸ブロー成形法にて多層ボトルを製造したところ、外観良好な多層ボトルが得られた。
【0136】
(実施例11)
第1の射出シリンダー10Aのノズル部12Aに従来の逆止弁を設けた点を除き、実施例2と同じ樹脂を使用し、実施例2の射出成形装置を用いて、射出成形を行った。尚、温度条件は表1と同様とした。実施例2が本発明の第1の態様に係る交互射出成形方法であったのに対して、実施例11においては、本発明の第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法(同時射出成形方法)を採用した。
【0137】
射出成形前には、前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入した第1の溶融樹脂40aがキャビティ25の体積の20%に相当する量だけ第2の樹脂流路23B内に残っていた。
【0138】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の40%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0139】
引き続き、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の20%に相当する量だけキャビティ25に射出しながら、第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40B(溶融N−MXD6樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の20%に相当する量とした。前回の射出時に第2の樹脂流路23B内に流入し、キャビティ25の体積の20%に相当する量だけ残っていた第1の溶融樹脂40aもキャビティ25に射出された。
【0140】
第1の溶融樹脂40Aの射出と第2の溶融樹脂40Bの射出を略同時に完了した後、第1の射出シリンダー10Aによって15秒間の保圧を行い、併せて、ボール形式逆流制御弁30Bの動作によって第1の樹脂流路23A内の第1の溶融樹脂40Aを第2の樹脂流路23B内に流入させた。即ち、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入し、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40Bが逆流し、第2の射出シリンダー10B内のスクリュー11Bが後退したが、逆流制御弁30Bの作動によって、第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の20%にとどまった。
【0141】
その後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。そして、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。ゲート部に対応するパリソンの部分以外のパリソンの表面には、N−MXD6樹脂層の出現は認められなかった。得られた多層パリソンを100゜Cに加熱して、二軸延伸ブロー成形法にて多層ボトルを製造したところ、外観良好な多層ボトルが得られた。
【0142】
(比較例1)
ボール34の直径は実施例6にて使用した逆流制御弁30Bのボール34の直径と同じであるが、ボール34の移動距離が実施例6にて使用した逆流制御弁30Bよりも長いボール形式逆流制御弁30Bに交換して、実施例2と同じ樹脂及び実施例2と同じ射出成形装置を用いてパリソンの成形を行った。第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入がキャビティ25の体積の60%以上にも達し、しかも、射出成形サイクル毎に大きく変動した。第2の射出シリンダー10Bにおける第2の溶融樹脂40Bの計量値を増加させたが安定した成形を行うことができず、得られた5層のパリソンは層構造が非常に乱れたものであった。
【0143】
(比較例2)
逆流手段を、溶融樹脂の逆流を防止する従来のボールチェッキ弁(逆止弁)に交換した。そして、実施例2と同じ樹脂及び実施例2の射出成形装置を用いてパリソンの成形を行った。
【0144】
先ず、[工程−100]と同様にして、第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25の体積の60%に相当する量だけキャビティ25に射出した。この際、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0145】
次いで、[工程−110]と同様にして、第2の射出シリンダー10Bから第2の溶融樹脂40B(溶融N−MXD6樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第2の溶融樹脂40Bの量を、キャビティ25の体積の10%に相当する量とした。
【0146】
続いて、[工程−120]と同様にして、第1の射出シリンダー10Aから第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)をキャビティ25に射出した。射出した第1の溶融樹脂40Aの量を、キャビティ25を溶融樹脂で充填するためのキャビティ25の体積の30%に相当する量とした。この際、従来の逆止弁を使用しているので、第1の溶融樹脂40Aが第2の樹脂流路23B内に流入することはなかった。
【0147】
次に、第1の射出シリンダー10Aにより、15秒間保圧した後、空気圧シリンダー27を作動させてゲートカットピン26を前進させてゲート部24を閉じた。その後、10秒間冷却した後、金型を開き、積層成形品であるパリソンを金型から取り出した。PET樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET樹脂層/N−MXD6樹脂層/PET樹脂層の5層構造のパリソンが得られた。パリソンの表面にはN−MXD6樹脂層の出現が認められた。
【0148】
(比較例3)
逆流手段を、従来の油圧シリンダー作動にて開閉動作するシャットオフ弁に変えた以外は、実施例2と同様の方法にてパリソンの成形を行った。即ち、第2の射出シリンダー10Bのノズル部12Bに、油圧シリンダーの作動にて開閉するシャットオフ弁を配設し、[工程−110]の完了後、直ちに油圧シリンダーを作動させてシャットオフ弁を閉じ、第2の溶融樹脂40Bの第2の射出シリンダー10B内への逆流を防止した。第2の樹脂流路23Bへの第1の溶融樹脂40Aの流入はキャビティ25の体積の0〜0.9%であった。その結果、[工程−100]と同様の工程において第1の溶融樹脂40A(溶融PET樹脂)の射出の際、第2の樹脂流路23B内の第2の溶融樹脂40B(溶融N−MXD6樹脂)が同伴されてキャビティ25内に流入し、得られた5層のパリソンの開口部付近の第1の樹脂40A(PET樹脂)から構成された樹脂層表面に第2の樹脂40B(N−MXD6樹脂)が出現していた。
【0149】
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1にて説明した射出成形装置は例示であり、適宜、設計変更することができる。また、各実施例にて説明した射出成形装置や射出成形条件も例示であり、適宜、設計変更・条件変更することができるし、実施例にて使用した樹脂も例示である。[工程−110]において、溶融樹脂40Aを射出し続けながら溶融樹脂40Bの射出を行い、溶融樹脂40Bの射出完了後も溶融樹脂40Aを射出し続ける、同時射出成形方法を実行してもよい。実施例においては、逆流手段内を第2の溶融樹脂が逆流したが、逆流手段の配設位置によっては、逆流手段内を第2の溶融樹脂だけでなく第1の溶融樹脂が逆流する場合もあり得る。
【0150】
本発明における逆流手段は、断続的に2種類の液体(比較的粘度の高い液体等から構成された流動体を含む)を切り替える場合にも適用することができる。更には、本発明における逆流手段は、断続的に2種類のガス体を切り替える場合にも適用することができる。断続的に切り替える際、最初に使用する液体若しくはガス体中に、第2番目に使用する液体若しくはガス体の混入を避けたい分野に、特に有効であり、石油化学の分野、食品製造分野(菓子の製造分野や食品加工分野等)、化学品製造装置、排水処理設備等への適用が可能である。以下、具体的に適用可能な分野を列挙する。
(1)原油採取設備における原油と海水の切換装置において、海水中に原油が流入することを避ける場合
(2)菓子の製造において、2色の高粘度のクリーム等を切り替えて使用するときに、或る色のクリームが他の色のクリームに混入することを避ける場合
(3)水産加工等の食品加工分野において、真水中に海水が混入することを避ける場合
(4)化学品製造装置において、最終製品と粗製品の貯蔵設備への配管を共通に使用するとき、最終製品に粗製品が混入することを避ける場合
(5)イオン交換装置において、液体の吸着ライン及び脱着ラインの切り替えを行う場合
(6)高純度のガス製造設備において、ガスの流れを断続的に切り替えてガス製造設備を運転するとき、高純度のガス中に原料ガスあるいは粗ガスが混入することを避ける場合
【0151】
【発明の効果】
本発明の射出成形装置あるいは本発明の射出成形方法においては、第1の溶融樹脂の射出時、樹脂流路の合流部近傍において、多層成形品の外層を形成する第1の溶融樹脂と第2の樹脂流路内に存在する多層成形品の内層を形成する第2の溶融樹脂との混合が生じたり、射出状態にない第2の溶融樹脂が射出されつつある第1の溶融樹脂に巻き込まれるといった現象の発生を防止することができる。その結果、例えば、第2の樹脂が多層成形品の表面に出現するという問題の発生を確実に回避することができる。樹脂として、例えば熱可塑性ポリエステル樹脂とガスバリヤー性樹脂とから構成された多層成形品であるパリソンを成形すれば、二軸延伸ブロー成形することによって、ガスバリヤー性、透明性、機械的強度に優れた多層容器を製造することができる。しかも、第2の樹脂流路内に流入する第1の溶融樹脂の量の上限を規定することによって、多層成形品の各層を構成する樹脂層に乱れが発生することを確実に防止することができる。
【0152】
尚、逆流手段を逆流制御弁から構成すれば、射出成形装置の大型化、複雑化を回避することができるし、樹脂流路からの溶融樹脂の漏れ発生等が生じることもない。更には、逆流手段の作動が迅速であり、しかも、第2の樹脂流路への一定量の第1の溶融樹脂の流入を確実に生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における射出成形装置の概念図であって、射出成形を全く行っていない状態の射出成形装置を示す図である。
【図2】 実施例1における射出成形装置の概念図であって、多層成形品の成形直前の第1及び第2の溶融樹脂の計量済みの射出成形装置の状態を示す図である。
【図3】 実施例1の射出成形装置を用いた多層成形品の射出成形方法を説明するためのキャビティ等の概念図である。
【図4】 図3にに引き続き、実施例1の射出成形装置を用いた多層成形品の射出成形方法を説明するためのキャビティ等の概念図である。
【図5】 図4に引き続き、実施例1の射出成形装置を用いた多層成形品の射出成形方法を説明するためのキャビティ等の概念図である。
【図6】 実施例1における逆流手段である逆流制御弁の模式的な端面図である。
【図7】 図6の(B)の矢印A−Aに沿った逆流制御弁の円筒管部の模式的な断面図、及び、図6の(B)の矢印B−Bに沿った逆流制御弁の円筒管部の模式的な断面図である。
【図8】 第2の射出シリンダーの構造を示す模式的な断面図である。
【図9】 第1の射出シリンダーの構造を示す模式的な断面図である。
【図10】 パリソンの模式的な断面図である。
【図11】 パリソンの模式的な断面図である。
【図12】 スライド形式逆流制御弁の模式的な端面図である。
【図13】 図12の(B)の矢印A−Aに沿った円筒管部の模式的な断面図、及び、図12の(B)の矢印B−Bに沿った円筒管部の模式的な断面図である。
【図14】 本発明の第1の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示すグラフである。
【図15】 本発明の第1の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示すグラフである。
【図16】 本発明の第1の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示すグラフである。
【図17】 本発明の第2の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示すグラフである。
【図18】 本発明の第2の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示すグラフである。
【図19】 本発明の第2の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示すグラフである。
【図20】 本発明の第3の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示すグラフである。
【図21】 本発明の第4の態様に係る多層成形品の射出成形方法における射出圧力等の時間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10A,10B・・・射出シリンダー
11A,11B・・・スクリュー
12B・・・射出シリンダー10Bのノズル部
13・・・減速歯車
14・・・油圧モータ
15・・・ホッパ
16・・・空隙
17A,17B・・・射出ラム
18A,18B・・・射出用油圧シリンダー
19・・・射出装置前進後退用シリンダー
19A,19B・・・油圧配管
19C・・・圧力計
20・・・金型
21・・・キャビティブロック
22・・・ホットランナーブロック
23A,23B・・・樹脂流路
24・・・ゲート部
25・・・キャビティ
26・・・ゲートカットピン
27・・・空気圧シリンダー
30B,50・・・逆流制御弁
31,51・・・円筒管部
32,52・・・中空部
33,53・・・拡径部
34・・・ボール
40A,40B・・・樹脂又は溶融樹脂
40a・・・他の樹脂流路内に流入した第1の溶融樹脂
54・・・弁体
55・・・バー
56A,56B・・・支持体

Claims (42)

  1. (a)キャビティが設けられたキャビティブロックと、ホットランナーブロックとを有する金型、
    (b)少なくとも第1の射出シリンダー及び第2の射出シリンダー、
    (c)第1の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第1の樹脂流路、
    及び、
    (d)第2の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第2の樹脂流路、
    を備え、
    金型内に位置する第1の樹脂流路及び第2の樹脂流路の部分はホットランナーブロック内に設けられ、
    第1の樹脂流路と第2の樹脂流路とは、キャビティに開口したゲート部の上流の合流部で合流する構造を有する射出成形装置であって、
    第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出した後、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる逆流手段が設けられており、
    該逆流手段は、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内の第2の溶融樹脂に及ぼす圧力によって動作し、
    該逆流手段は、ボール形式逆流制御弁又はスライド形式逆流制御弁であることを特徴とする多層成形品を成形するための射出成形装置。
  2. 逆流手段は、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に一定量流入させることを特徴とする請求項1に記載の多層成形品を成形するための射出成形装置。
  3. 第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出しているとき及び射出完了後には、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって連通状態となり、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に所定量流入した後、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって非連通状態となることを特徴とする請求項1に記載の多層成形品を成形するための射出成形装置。
  4. 第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出しているとき及び射出完了後には、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって連通状態となり、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に流入し始めた後、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって非連通状態となることを特徴とする請求項1に記載の多層成形品を成形するための射出成形装置。
  5. 逆流手段は、樹脂流路の合流部と第2の射出シリンダーとの間の第2の樹脂流路に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の多層成形品を成形するための射出成形装置。
  6. 逆流手段は、第2の射出シリンダーのノズル部と金型との間、若しくは、第2の射出シリンダーのノズル部に配設されていることを特徴とする請求項5に記載の多層成形品を成形するための射出成形装置。
  7. 第2の樹脂流路内に流入させる第1の溶融樹脂の体積は、キャビティの体積の5乃至50%であることを特徴とする請求項1に記載の多層成形品を成形するための射出成形装置。
  8. 第2の樹脂流路内に流入させる第1の溶融樹脂の体積は、キャビティの体積の5乃至25%であることを特徴とする請求項7に記載の多層成形品を成形するための射出成形装置。
  9. 多層成形品はパリソンであることを特徴とする請求項1に記載の多層成形品を成形するための射出成形装置。
  10. 第1の樹脂流路を経由してキャビティ内に射出された第1の溶融樹脂によってパリソンの最外層が形成されることを特徴とする請求項9に記載の多層成形品を成形するための射出成形装置。
  11. (a)キャビティが設けられたキャビティブロックと、ホットランナーブロックとを有する金型、
    (b)少なくとも第1の射出シリンダー及び第2の射出シリンダー、
    (c)第1の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第1の樹脂流路、
    及び、
    (d)第2の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第2の樹脂流路、
    を備え、
    金型内に位置する第1の樹脂流路及び第2の樹脂流路の部分はホットランナーブロック内に設けられ、
    第1の樹脂流路と第2の樹脂流路とは、キャビティに開口したゲート部の上流の合流部で合流する構造を有する射出成形装置であって、
    第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出した後、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる逆流手段が設けられており、
    該逆流手段は、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内の第2の溶融樹脂に及ぼす圧力によって動作し、
    該逆流手段は、ボール形式逆流制御弁又はスライド形式逆流制御弁である射出成形装置を用いた多層成形品の射出成形方法であって、
    (A)第1の射出シリンダー内で溶融させた第1の溶融樹脂を、第1の樹脂流路を介してキャビティ内に射出した後、第1の溶融樹脂の射出を中断し、
    (B)第2の射出シリンダー内で溶融させた第2の溶融樹脂を、第2の樹脂流路を介してキャビティ内に射出した後、第2の溶融樹脂の射出を終了し、次いで、
    (C)第1の射出シリンダー内で溶融させた第1の溶融樹脂を、第1の樹脂流路を介してキャビティ内に射出し、第1の溶融樹脂の射出中若しくは射出完了後、逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる、
    工程から成ることを特徴とする多層成形品の射出成形方法。
  12. 逆流手段によって、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に一定量流入させることを特徴とする請求項11に記載の多層成形品の射出成形方法。
  13. 第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出しているとき及び射出完了後には、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって連通状態となり、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に所定量流入した後、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって非連通状態となることを特徴とする請求項11に記載の多層成形品の射出成形方法。
  14. 第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出しているとき及び射出完了後には、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって連通状態となり、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に流入し始めた後、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって非連通状態となることを特徴とする請求項11に記載の多層成形品の射出成形方法。
  15. 多層成形品の主たる部分は、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の5層構成であることを特徴とする請求項11に記載の多層成形品の射出成形方法。
  16. 多層成形品の主たる部分の一部分は、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の5層構成であり、多層成形品の主たる部分の他の部分は、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の3層構成であることを特徴とする請求項11に記載の多層成形品の射出成形方法。
  17. 逆流手段は、樹脂流路の合流部と第2の射出シリンダーとの間の第2の樹脂流路に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の多層成形品の射出成形方法。
  18. 逆流手段は、第2の射出シリンダーのノズル部と金型との間、若しくは、第2の射出シリンダーのノズル部に配設されていることを特徴とする請求項17に記載の多層成形品の射出成形方法。
  19. 第2の樹脂流路内に流入させる第1の溶融樹脂の体積は、キャビティの体積の5乃至50%であることを特徴とする請求項11に記載の多層成形品の射出成形方法。
  20. 第2の樹脂流路内に流入させる第1の溶融樹脂の体積は、キャビティの体積の5乃至25%であることを特徴とする請求項19に記載の多層成形品の射出成形方法。
  21. 多層成形品はパリソンであることを特徴とする請求項11に記載の多層成形品の射出成形方法。
  22. 第1の樹脂流路を経由してキャビティ内に射出された第1の溶融樹脂によってパリソンの最外層が形成されることを特徴とする請求項21に記載の多層成形品の射出成形方法。
  23. 第1の樹脂は、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性共重合ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂から成る群から選択された少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項11に記載の多層成形品の射出成形方法。
  24. 第2の樹脂は、ガスバリヤー性樹脂、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂、着色ポリエチレンテレフタレート樹脂から成る群から選択された少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項11に記載の多層成形品の射出成形方法。
  25. ガスバリヤー性樹脂は、メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂ケン化物、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂から成る群から選択された少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項24に記載の多層成形品の射出成形方法。
  26. (a)キャビティが設けられたキャビティブロックと、ホットランナーブロックとを有する金型、
    (b)少なくとも第1の射出シリンダー及び第2の射出シリンダー、
    (c)第1の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第1の樹脂流路、
    及び、
    (d)第2の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第2の樹脂流路、
    を備え、
    金型内に位置する第1の樹脂流路及び第2の樹脂流路の部分はホットランナーブロック内に設けられ、
    第1の樹脂流路と第2の樹脂流路とは、キャビティに開口したゲート部の上流の合流部で合流する構造を有する射出成形装置であって、
    第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出した後、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる逆流手段が設けられており、
    該逆流手段は、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内の第2の溶融樹脂に及ぼす圧力によって動作し、
    該逆流手段は、ボール形式逆流制御弁又はスライド形式逆流制御弁である射出成形装置を用いた多層成形品の射出成形方法であって、
    (A)第1の射出シリンダー内で溶融させた第1の溶融樹脂を、第1の樹脂流路を介してキャビティ内に射出し、
    (B)第1の溶融樹脂の射出中に、第2の射出シリンダー内で溶融させた第2の溶融樹脂を第2の樹脂流路を介してキャビティ内に射出し、
    (C)第2の溶融樹脂の射出完了後であって第1の溶融樹脂の射出中若しくは射出完了後、逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる、
    工程から成ることを特徴とする多層成形品の射出成形方法。
  27. 逆流手段によって、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に一定量流入させることを特徴とする請求項26に記載の多層成形品の射出成形方法。
  28. 第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出しているとき及び射出完了後には、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって連通状態となり、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に所定量流入した後、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって非連通状態となることを特徴とする請求項26に記載の多層成形品の射出成形方法。
  29. 第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出しているとき及び射出完了後には、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって連通状態となり、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内に流入し始めた後、第2の射出シリンダーの内部とキャビティとは逆流手段によって非連通状態となることを特徴とする請求項26に記載の多層成形品の射出成形方法。
  30. 多層成形品の主たる部分は、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の3層構成であることを特徴とする請求項26に記載の多層成形品の射出成形方法。
  31. 多層成形品の主たる部分の一部分は、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第1の樹脂層の3層構成であることを特徴とする請求項26に記載の多層成形品の射出成形方法。
  32. 逆流手段は、樹脂流路の合流部と第2の射出シリンダーとの間の第2の樹脂流路に設けられていることを特徴とする請求項26に記載の多層成形品の射出成形方法。
  33. 逆流手段は、第2の射出シリンダーのノズル部と金型との間、若しくは、第2の射出シリンダーのノズル部に配設されていることを特徴とする請求項32に記載の多層成形品の射出成形方法。
  34. 第2の樹脂流路内に流入させる第1の溶融樹脂の体積は、キャビティの体積の5乃至50%であることを特徴とする請求項26に記載の多層成形品の射出成形方法。
  35. 第2の樹脂流路内に流入させる第1の溶融樹脂の体積は、キャビティの体積の5乃至25%であることを特徴とする請求項34に記載の多層成形品の射出成形方法。
  36. 多層成形品はパリソンであることを特徴とする請求項26に記載の多層成形品の射出成形方法。
  37. 第1の樹脂流路を経由してキャビティ内に射出された第1の溶融樹脂によってパリソンの最外層が形成されることを特徴とする請求項36に記載の多層成形品の射出成形方法。
  38. 第1の樹脂は、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性共重合ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂から成る群から選択された少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項26に記載の多層成形品の射出成形方法。
  39. 第2の樹脂は、ガスバリヤー性樹脂、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂、着色ポリエチレンテレフタレート樹脂から成る群から選択された少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項26に記載の多層成形品の射出成形方法。
  40. ガスバリヤー性樹脂は、メタキシリレン基含有ポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂ケン化物、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂から成る群から選択された少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項39に記載の多層成形品の射出成形方法。
  41. (a)キャビティが設けられたキャビティブロックと、ホットランナーブロックとを有する金型、
    (b)少なくとも第1の射出シリンダー及び第2の射出シリンダー、
    (c)第1の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第1の樹脂流路、
    及び、
    (d)第2の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第2の樹脂流路、
    を備え、
    金型内に位置する第1の樹脂流路及び第2の樹脂流路の部分はホットランナーブロック内に設けられ、
    第1の樹脂流路と第2の樹脂流路とは、キャビティに開口したゲート部の上流の合流部で合流する構造を有する射出成形装置であって、
    第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出した後、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる逆流手段が設けられており、
    該逆流手段は、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内の第2の溶融樹脂に及ぼす圧力によって動作し、
    該逆流手段は、ボール形式逆流制御弁又はスライド形式逆流制御弁である射出成形装置を用いた多層成形品の射出成形方法であって、
    (A)第1の射出シリンダー内で溶融させた第1の溶融樹脂を、第1の樹脂流路を介してキャビティ内に射出した後、第1の溶融樹脂の射出を終了し、
    (B)第2の射出シリンダー内で溶融させた第2の溶融樹脂を、第2の樹脂流路を介してキャビティ内に射出した後、第2の溶融樹脂の射出を終了し、次いで、
    (C)第1の射出シリンダーによって保圧を行い、併せて、逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる、
    工程から成ることを特徴とする多層成形品の射出成形方法。
  42. (a)キャビティが設けられたキャビティブロックと、ホットランナーブロックとを有する金型、
    (b)少なくとも第1の射出シリンダー及び第2の射出シリンダー、
    (c)第1の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第1の樹脂流路、
    及び、
    (d)第2の射出シリンダーの内部とキャビティとを結ぶ第2の樹脂流路、
    を備え、
    金型内に位置する第1の樹脂流路及び第2の樹脂流路の部分はホットランナーブロック内に設けられ、
    第1の樹脂流路と第2の樹脂流路とは、キャビティに開口したゲート部の上流の合流部で合流する構造を有する射出成形装置であって、
    第2の樹脂流路を経由して第2の溶融樹脂をキャビティ内に射出した後、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる逆流手段が設けられており、
    該逆流手段は、第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂が第2の樹脂流路内の第2の溶融樹脂に及ぼす圧力によって動作し、
    該逆流手段は、ボール形式逆流制御弁又はスライド形式逆流制御弁である射出成形装置を用いた多層成形品の射出成形方法であって、
    (A)第1の射出シリンダー内で溶融させた第1の溶融樹脂を、第1の樹脂流路を介してキャビティ内に射出し、
    (B)第1の溶融樹脂の射出中に、第2の射出シリンダー内で溶融させた第2の溶融樹脂を第2の樹脂流路を介してキャビティ内に射出し、
    (C)第1の溶融樹脂の射出と第2の溶融樹脂の射出を略同時に完了した後、第1の射出シリンダーによって保圧を行い、併せて、逆流手段の動作によって第1の樹脂流路内の第1の溶融樹脂を第2の樹脂流路内に流入させる、
    工程から成ることを特徴とする多層成形品の射出成形方法。
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