JP3958145B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録手段から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置は、記録情報に基づいて紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の被記録材(記録媒体)に画像(文字や記号等を含む)を記録していくように構成されている。
被記録材の搬送方向と交叉する方向に主走査しながら記録するシリアルタイプの記録装置においては、被記録材に沿って移動するキャリッジに搭載した記録ヘッド(記録手段)によって画像を記録し、1行分の記録を終了した後に所定ピッチの紙送りを行い、その後に再び停止した被記録材に対して次の行の画像を記録するという動作を繰り返すことにより、被記録材全体の記録が行われる。
一方、被記録材の搬送方向のみで記録するラインタイプの記録装置においては、被記録材を所定位置にセットし、一括して1行分の記録を行った後、所定ピッチの紙送りを行い、次の行を一括して記録する動作を繰り返すことにより、被記録材全体の記録が行われる。
【0003】
上記記録装置のうちの、記録ヘッドから被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置は、記録手段のコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で記録することができ、普通紙に特別の処理を必要とせずに記録することができ、ランニングコストが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多種類のインク(例えばカラーインク)を使用してカラー画像を記録するのが容易であるなどの利点を有している。
また、インクジェット記録装置で使用される被記録材の材質に対する要求も様々なものがあり、近年では、これらの要求に対する開発が進み、通常の記録用紙や樹脂薄板(OHP等)などの他に、布、皮革、不織布、さらには金属等も使用されるようになっている。
【0004】
一方、インクジェット記録ヘッド吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子としては、ピエゾ素子などの電気機械変換体を用いるもの、レーザなどの電磁波を照射して発熱させ、この発熱による作用でインク滴を吐出させるもの、あるいは発熱抵抗体を有する電気熱変換体素子によって液体を加熱させるものなどがある。
その中でも、熱エネルギーを利用してインクを滴として吐出させる方式のインクジェット記録ヘッドは、吐出口を高密度に配列できることから、高解像度の記録を容易に行うことが可能である。その中でも、電気熱変換体素子をエネルギー発生素子として用いる記録ヘッドは、小型化が容易であり、かつ最近の半導体分野における技術の進歩と信頼性の向上が著しいIC技術やマイクロ加工技術の長所を十分に活用して製造でき、高密度実装化が容易で製造コストも廉価なことから、有利である。
【0005】
上述のように、インクジェット記録方式は簡単な構成から成る極めて優れた記録方式であるが、一方解決すべき技術的課題も存在する。
インクジェット記録装置の技術的課題の一つに吐出口の目詰まりがあるが、この目詰まりを解消して記録ヘッドの性能の維持回復を図るための吐出回復装置として、一般にポンプ手段を介在させた回復手段が使用されている。具体的には、負圧発生手段としての吸引ポンプを用いて吐出口からインクを吸引することにより、吐出口近傍のインク流路内の増粘インク(乾燥して粘度を増したインク)、微細なゴミ、あるいは、インク中に発生した気泡などの異物をインクと共に吐出口より吸引排出するという吸引回復処理が行われている。このような目詰まり回復手段を実現するために、記録ヘッドの吐出口面をキャップで覆う動作を行うためのキャッピング手段と該キャップに接続された吸引ポンプ等の吸引手段が用いられている。
【0006】
近年では、インクジェット記録装置は利用価値の上昇に伴い、使用用途の幅が広がり、写真高画質を特徴とするインクジェット記録装置、黒文字記録を主体とし、黒色の鮮明さを強調するために黒色のみ顔料インクを用い、他色のインクを染料で構成したインクジェット記録装置、さらには、低価格を特徴とするインクジェット記録装置など、機種も増加する傾向が見られる。機種の増加に伴い、インクを吐出し画像を記録する心臓部であるインクジェット記録ヘッドの種類も増加し、それぞれに対応する個別の吐出回復装置が要求され、設計効率や生産効率の悪さ、並びにそれに伴うコスト上昇という解決すべき技術的課題も発生している。
【0007】
図16は従来のインクジェット記録装置の吐出回復装置の一例を示す模式的斜視図であり、図17は図16の吐出回復装置の内部構造の一例を示す模式的斜視図であり、図18は図16の吐出回復装置の内部構造の別の例を示す模式的斜視図である。
図16において、吐出回復装置6の吸引手段61として円弧状のガイド部(ガイド面)に沿って這い回されたチューブを回転体に軸支された押圧ローラでしごいていくことで負圧(吸引力)を発生する方式のチューブポンプを使用する場合、該チューブの組み込みにおいて、押圧ローラとの協働でチューブを円弧状のガイド面に沿わせて組み込む方法が採用されており、装置の小型化及び部品点数の削減に有利であることから、吐出回復装置の各種部品を取り付けるためのベース部材(回復ベース)と前記ガイド部とを一部品で構成している。すなわち、吐出回復装置のベース部材の一部に前記ガイド部を形成する構成が採られている。
【0008】
吐出回復装置が吐出回復作用を及ぼす各種インクジェット記録ヘッドには前述のように種々の機能を有するものがあるが、先ず、写真高画質を特徴とするインクジェット記録装置に搭載されるインクジェット記録ヘッドについて述べると、1個の吐出口から吐出するインク量を極小にすることが求められており、吐出口の開口径も小径であり、それに伴い高密度に配置され、吐出口の数も多い。そのため、吐出回復装置において、複数の吐出口が形成された面(吐出口面)にキャップを密着させたキャッピング状態で該キャップ内を負圧状態にして各吐出口からインクを引き出す時に、大きな負圧を作用させる必要があり、大きい負圧を発生する吸引ポンプが必要になる。このような記録ヘッドに対しては、図17に示すように1個のキャップ621に2系統のチューブ616を有するチューブポンプ61を接続し、キャップ621内に作用する負圧を大きくしている。
【0009】
また、黒文字記録を主体とし、黒色の鮮明さを強調するために黒色のみ顔料インクを用い、他色のインクを染料で構成したインクジェット記録装置においては、吐出回復装置により吸引回復を行う時、顔料と染料が混じり合わないように個別に吸引する必要があり、キャップを複数設けたり、あるいは1個のキャップで密閉空間を2個に分けたりする工夫がなされている。
このような記録ヘッドに対しては、図17と同様の2系統のチューブ616を有するチューブポンプ61を使用し、2系統のチューブのそれぞれを図18に示すように2個のキャップ621a、621bのそれぞれに1系統づつ分割して個別に接続することで対応している。
このような工夫により、前記2種類の記録ヘッドに対応する吐出回復装置は、図17と図18の部品の違いだけで作製することができ、設計効率及び生産効率の悪さ、並びにそれに伴うコスト上昇という課題の軽減化が図られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述したようなインクジェット記録装置、並びにその構成品である吐出回復装置及びチューブポンプ(ポンプユニット)には、以下に説明するような解決すべき技術的課題があった。
すなわち、チューブポンプにおけるチューブの組み込みにおいては、押圧ローラとの協働によって、チューブをつぶす円弧状のガイド面に沿わせてチューブを組み込む方法が採用されている。しかしながら、チューブを円弧部の内側に沿わせる際に、チューブの取り付け位置を合わせようとしてずらす場合に該チューブが直線状態に戻ろうとする作用が生じ、チューブがガイド面に貼り付いたり、ガイド面から浮き上がったりしてチューブの状態が安定せず、組み込み作業が非常に困難であった。その結果、チューブは、位置がずれた状態、たるんだ状態、座屈した状態、あるいはねじれた状態で組み込まれやすく、組み込みミスが発生しやすいという技術的課題があった。
【0011】
また、チューブポンプ動作時に押圧ローラのしごき作用によりチューブが引っ張られた時、取り付け位置がずれたり、外れたりしないように固定する必要があるが、前記ガイド面が形成されている吐出回復装置のベース部材にはチューブポンプを含む多くの構成部品が機能的に動作するように組み込まれるため、チューブ固定部も自由なスペースに配置することができず、チューブの大きな変形を回避することが困難であった。
このチューブ変形箇所がガイド面近傍に存在すると、ポンプ押圧ローラがガイド面と対向する状態に突入する時には負荷が急激に上昇し、ガイド面との対向状態が解除される時には、押圧ローラがチューブの弾性復元力によって押し出される現象が発生し、前記回転体が駆動速度より早回りしてしまい、動作不良の発生原因になるなどの技術的課題があった。
【0012】
また、吐出回復装置に用いられる吸引手段としてのチューブポンプにおいては、装置の小型化及び部品点数の削減に有利であることから、吐出回復装置の各種部品を取り付けるベース部材と前記ガイド面とを一部品で構成しているが、吐出回復装置のベース部材は、高い剛性及び高い寸法精度が要求されることから、ガラス入りの材料を使用して作製する必要がある。
また、従来のインクジェット記録装置の吐出回復装置においては、前記ベース部材に前記回転体を直接回転支持する構成が用いられているが、ガラス入り材料は摺動性がないため、回転体がチューブ押圧力の大きな反力を受けて回転するときに大きな負荷が発生したり、材料の削れが発生したり、削れ粉が摺動部に入り込むことにより異音が発生するなどの不都合があり、その対策としてグリス塗布が必要になるという技術的課題があった。
なお、吐出回復装置においては、キャップやワイパーにグリスが付着すると記録ヘッドの吐出口を塞いでしまうおそれがあるという点からも、グリス塗布は可能な限り減らすことが要求されている。
【0013】
また、近年、インクジェット記録装置の用途が拡大してきたことで、使用用途により、インクジェット記録装置の吐出回復装置が対応しなければならない記録ヘッドの種類(吐出口径、吐出口数)、使用されるインクの種類(染料、顔料または混在)、接続されるインクタンクの種類(構成、数)も増え続けている。これら種類の違いにより吐出回復装置の吸引ポンプに要求される性能差が大きくなると、前記従来例のようなチューブの接続方法だけで対応することは困難となり、チューブポンプのチューブ径まで変えることが必要となり、大きく異なる吐出回復装置を新たに作製しなければならなくなる。
【0014】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ポンプユニットの状態で分離可能とすることで、チューブの組込みを容易化することができ、チューブを座屈した状態やねじれた状態で組み込むという組み込みミスを容易に無くすことができるインクジェット記録装置を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、チューブの這いまわしをポンプ部分で完結させることで組み込み性を向上させることができ、支持部材であるチューブガイドにチューブの固定手段を設けることで余分なジョイント部品及びその組み付け工数を無くすことができるインクジェット記録装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、記録ヘッドの吐出口面をキャッピングするキャップを有し、該キャップに接続されるとともに回復ベースに配された円弧状のガイド面に沿って配されたチューブをポンプローラでしごくことにより前記チューブ内に負圧を発生させて前記記録ヘッドからインクを吸引するインクジェット記録装置であって、前記ポンプローラをガイド溝に沿って移動可能に軸支するポンプローラホルダと、前記ポンプローラを付勢するためのばね部材と、前記ポンプローラホルダを揺動可能に軸支するポンプローラホイールと、前記チューブと、がチューブガイドに組み込まれてポンプユニットを構成し、該ポンプユニットの状態で前記回復ベースから分離可能な構成であり、前記ポンプユニットの状態で、前記チューブの一方の端部は前記チューブガイドに係止部で固定され、他方の端部は前記チューブガイドに一体で設けられたジョイント部に差し込まれて固定されることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。
図1は本発明を適用したインクジェット記録装置の一実施例の内部機構を右前方から見て示す斜視図であり、図2は図1のインクジェット記録装置の内部機構を左前方から見て示す斜視図であり、図3は図1のインクジェット記録装置の縦断面図である。
また、図4〜図15は本発明を適用したインクジェット記録装置に装着された吐出回復装置の一実施例の構成及び動作を説明するための図面である。
図1〜図3において、本実施例に係るインクジェット記録装置1は、給紙部2、送紙部3、排紙部4、キャリッジ部(記録手段移動手段)5、吐出回復装置((吐出回復部、クリーニング部)6、記録手段(記録ヘッド)7、及び電気部9を備えている。以下に、これらの各部について項目に分けて概略を順次述べていく。
【0021】
(A)給紙部
給紙部2は、シート材Pを積載する圧板21、シート材Pを給紙する給紙ローラ28、シート材Pを分離する分離ローラ241、シート材Pを積載位置に戻すための戻しレバー22などをベース20に取り付けて構成されている(図3)。前記給紙ローラ28は断面円弧の棒状をしており、該給紙ローラ28には用紙基準よりに1つの分離ローラゴム(給紙ローラゴム)281が設けられている。このような給紙ローラ28によってシート材の給紙(送り出し)が行われる。前記給紙ローラ28の駆動は、給紙部2に設けられた専用の給紙モータ273から駆動伝達ギアを介して伝達される駆動力によって行われる。
前記圧板21には可動サイドガイド23が被記録材幅方向に移動可能に設けられ、シート材Pの積載位置を規制している。圧板21はベース20に結合された回転軸を中心に回転可能で、圧板ばね212により給紙ローラ28に向けて付勢されている。前記圧板21は、圧板カム(不図示)によって、給紙ローラ28に対して当接、離間できるように構成されている。
【0022】
さらに、ベース20には、シート材Pを1枚ずつ分離するための分離ローラ241が取り付けられた分離ローラホルダ24が取り付けられている。この分離ローラホルダ24は、前記ベース20に設けられた回転軸を中心に回転可能で、かつ分離ローラばね242により給紙ローラ28に付勢された状態で取り付けられている。分離ローラ241には不図示の分離ローラクラッチ(クラッチばね)が取り付けられており、該分離ローラ241に所定以上の負荷がかかると、該分離ローラ241が取り付けられた部分が回転できるように構成されている。分離ローラ241は、分離ローラリリースシャフト244とコントロールカム(不図示)とによって、給紙ローラ28に対して当接、離間できるように構成されている。これらの圧板21、戻しレバー22及び分離ローラ241の位置は不図示のASF(自動給紙装置)センサによって検知されている。
また、シート材Pを積載位置に戻すための戻しレバー22は、ベース20に回転可能に取り付けられ、解除方向に戻しレバーばね(不図示)で付勢されている。この戻しレバー22は、シート材Pを積載位置に戻す時は、前記コントロールカム(不図示)によって回転するように構成されている。
【0023】
以上の構成を用いて給紙する状態を以下に説明する。
通常の待機状態では、圧板21は圧板カム(不図示)でリリースされ、分離ローラ241はコントロールカム(不図示)でリリースされ、さらに、戻しレバー22はシート材Pを積載位置に戻すとともに、積載時にシート材Pが奥に入らないように積載口を塞ぐような積載位置に位置する状態になっている。
この状態から、給紙が始まると、モータの駆動によって、まず、分離ローラ241が給紙ローラ28に当接する。そして、戻しレバー22がリリースされ、圧板21が給紙ローラ28に当接する。この状態で、シート材Pの給紙が開始される。シート材Pはベース20に設けられた前段分離部(不図示)で制限され、シート材Pの所定枚数のみが給紙ローラ28と分離ローラ241とで形成されるニップ部に送られる。送られたシート材Pはこのニップ部で分離され、最上位のシート材Pのみが搬送(給紙)される。
【0024】
シート材Pが後述の搬送ローラ36及びピンチローラ37から成る搬送ローラ対まで到達すると、圧板21は圧板カム(不図示)によって、分離ローラ28はコントロールカム(不図示)によって、それぞれリリースされる。また、戻しレバー22はコントロールカム(不図示)によって積載位置に戻される。この時、給紙ローラ28と分離ローラ241との間のニップ部に到達していたシート材Pを積載位置まで戻すことができる。
【0025】
(B)送紙部
送紙部3はシート材Pを搬送する搬送ローラ36とPEセンサ32とを有している。搬送ローラ36は金属軸の表面にセラミックの微小粒をコーティングした構成であり、両端軸部の金属部分を軸受38で受けることでシャーシ11に取り付けられている。搬送ローラ36には、従動する複数のピンチローラ37が当接して設けられている。ピンチローラ37はピンチローラホルダ30に保持され、ピンチローラばね(不図示)で付勢することでピンチローラ37が搬送ローラ36に圧接され、シート材Pの搬送力を生み出している。
ピンチローラホルダ30には、シート材Pの先端及び後端の検出をPEセンサ(不図示)に伝えるためのPEセンサレバー321が設けられている。プラテン34はシャーシ11に取り付けられて位置決めされている。
さらに、搬送ローラ36のシート材搬送方向における下流側には、画像情報に基づいて画像を形成する記録手段としての記録ヘッド7が往復移動可能に装着されている。
【0026】
上記構成において、送紙部3に送られたシート材Pは、ピンチローラホルダ30に案内されて、搬送ローラ36とピンチローラ37とのローラ対へ送り込まれる。この時、搬送されてきたシート材Pの先端をPEセンサレバー321で検知し、これによりシート材Pの記録位置(印刷位置、画像形成位置)を求めている。また、シート材Pは、搬送モータ35によりローラ対36、37が回転することで、プラテン34上を搬送される。搬送ローラ36の駆動は、DCモータからなる搬送モータ35の回転力をタイミングベルト(不図示)で搬送ローラ36の軸上に設けたプーリ361に伝達することによって行われる。
【0027】
また、搬送ローラ36の軸上には、該搬送ローラ36による搬送量を検出するためのコードホイール362が設けられている。このコードホイール362には150〜300lpiのピッチでマーキングが形成されている。そして、前記コードホイール362に隣接する位置のシャーシ11の部位には、前記マーキングを読み取るためのエンコーダーセンサ363が取り付けられている。
なお、前記記録手段(記録ヘッド)7としては、インクジェット記録ヘッドが使用されている。この記録ヘッド7には、各インク色ごとに別体のインクタンク71が交換可能に装着されるようになっている。また、この記録ヘッド7は、記録データに基づいて駆動されるヒータ(発熱素子)等によってインクに吐出用の熱エネルギーを与えることが可能となっている。そして、この熱(吐出エネルギー)によりインクが膜沸騰し、この膜沸騰による気泡の成長または収縮によって生じる圧力変化によって記録ヘッド7の吐出口からインクを吐出し、吐出されたインク滴によってシート材P上に画像を形成するように構成されている。
【0028】
(C)キャリッジ部
キャリッジ部5は、記録手段としての記録ヘッド7を被記録材搬送方向と交差する方向(主走査方向)に移動させるための記録手段移動手段としてのキャリッジ50を有している。このキャリッジ50は、シート材Pの搬送方向と直交する方向に設置されたガイドシャフト52及びガイドレール111によって主走査方向に往復移動可能に案内支持されている。前記ガイドレール111は、キャリッジ50の後端を保持することで、記録ヘッド7とシート材Pとの隙間(紙間)を適正値に維持する機能も有している。なお、前記ガイドシャフト52はシャーシ11に取り付けられており、前記ガイドレール111はシャーシ11と一体に形成されている。前記ガイドレール111のキャリッジ50との摺動側には、SUS等の薄板の摺動シート53が張設され、摺動音の低減が図られている。
【0029】
また、キャリッジ部5(キャリッジ50)は、シャーシ11に取り付けられたキャリッジモータ(不図示)によりタイミングベルト541を介して駆動される。このタイミングベルト541はアイドルプーリ542によって張設支持されている。タイミングベルト541とキャリッジ50とはゴム等からなるダンパー(不図示)を介して結合されており、キャリッジモータ(不図示)等の振動を減衰することで、画像ムラ等を低減している。そして、キャリッジ50の位置を検出するために、150〜300lpiのピッチでマーキングを形成したコードストリップ561がタイミングベルト541と平行に設けられている。さらに、該コードストリップ561を読み取るためのエンコーダーセンサ(不図示)が、キャリッジ50に搭載したキャリッジ基板(不図示)に設けられている。このキャリッジ基板(不図示)には、記録ヘッド7と電気的な接続を行うためのコンタクト(不図示)も設けられている。また、キャリッジ50には、電気部(電気基板)9から記録ヘッド7へヘッド信号を伝えるためのフレキシブル基板57が設けられている。
【0030】
記録手段としての記録ヘッド7をキャリッジ50に固定するために、該キャリッジ50には位置決めのための突き当て部(不図示)並びに記録ヘッド7を押し付けて固定するための押圧手段(不図示)が設けられている。この押圧手段(不図示)はヘッドセットレバー51に搭載されており、該ヘッドセットレバー51を回転支点を中心に回動して記録ヘッド7をセットする際に、該記録ヘッド7に押し付け力が作用する構成になっている。
また、ガイドシャフト52の両端には偏心カム521が設けられており、キャリッジ昇降モータ58の駆動により、ギア列581を介して偏心カム521まで駆動を伝達することによってガイドシャフト52を上下に昇降させることができる。このガイドシャフト52の昇降に応じてキャリッジ50も同様に昇降させられ、厚みの異なるシート材Pに対しても最適なギャップを形成することができる。
【0031】
上記構成において、シート材Pに画像を形成する時は、ローラ対(搬送ローラとピンチローラ)36、37によって、記録する行の位置(シート材Pの搬送方向の位置)にシート材Pを搬送するとともに、キャリッジモータ54によりキャリッジ50を記録(画像形成)開始位置に移動させ、記録ヘッド7を記録位置(画像形成位置)に対向させる。その後、前記キャリッジ50の主走査移動に連動して電気部(電気基板)9からの信号により記録ヘッド7がシート材Pに向けてインクを吐出することにより、記録(画像形成)が行われる。
【0032】
(D)排紙部
排紙部4は、2本の排紙ローラ40、41と、該排紙ローラ40、41に所定圧で当接することで従動回転可能な拍車42と、搬送ローラ36の駆動を排紙ローラ40、41伝達するためのギア列と、を備えている(図3)。
排紙ローラ40、41はプラテン34に取り付けられている。搬送方向上流側の排紙ローラ40は金属軸に複数のゴム部(排紙ローラゴム)401を設けて構成されている。排紙ローラ40は、搬送ローラ36からの駆動がアイドラギアを介して伝達されることにより駆動される。排紙ローラ41は樹脂の軸に複数のエラストマー等の弾性体411を取り付けた構成になっている。排紙ローラ41は、排紙ローラ40からアイドラギアを介して駆動を伝達されることにより駆動される。
【0033】
拍車42としては、例えば、SUSの薄板で周囲に凸形状を複数設けたものを樹脂部と一体成型したものが使用される。このような拍車42は拍車ホルダ43に取り付けられている。本実施例では、コイルばねを棒状に設けた拍車ばね(不図示)によって、拍車42の拍車ホルダー43への取り付けと排紙ローラ40、41への圧接等が行われている。拍車42には、主にシート材Pの搬送力を生み出すものと、主に記録される時のシート材Pの浮き上がりを阻止するものとがある。主に搬送力を生み出す拍車は、排紙ローラ40、41のゴム部(排紙ローラゴム部、弾性体部)401に対応する位置に配設されている。一方、主にシート材Pの浮き上がりを阻止するための拍車は、排紙ローラ40、41のゴム部401が無い位置(ゴム部401とゴム部401との間など)に配設されている。
以上の構成によって、キャリッジ部5で記録(画像形成)されたシート材Pは、排紙ローラ41と拍車42とのニップ部に挟まれ、搬送されて排紙排出される。
【0034】
(E)吐出回復装置(吐出回復部、クリ−ニング部)
インクジェット記録装置1においては、記録ヘッド7を搭載するキャリッジ50の記録動作のための往復運動の範囲外(記録領域外)の所望位置(例えばホームポジションと対応する位置)に、記録ヘッド7の吐出不良を回復するための吐出回復装置6を配設することが行われている。このような吐出回復装置(吐出回復部、クリーニング部)6は、一般に、負圧発生源としての吸引手段61と、記録ヘッド7の吐出口面をキャッピングするキャッピング手段62と、記録ヘッド7の吐出口面をクリーニングするワイピング手段63と、を備えており、このキャッピング手段62による吐出口面のキャッピングに連動して吐出回復装置6内の吸引手段61により吐出口からインクを強制的に排出させ、それによって、記録ヘッド7のインク流路内の増粘インクや気泡等を除去するなどの吐出回復処理を行うことができる。
【0035】
また、非記録時等に、記録ヘッド7の吐出口面をキャッピングすることによって、該記録ヘッド7を保護するとともにインクの乾燥を防止することができる。前記吸引手段61は前記キャッピング手段62に接続されている。また、前記ワイピング手段63は、前記キャッピング手段62の近傍に配されると共に、記録ヘッド7の吐出口面に付着したインク滴を拭き取るようになっている。そして、これら吸引手段61、キャッピング手段62及びワイピング手段63により、記録ヘッド7を正常な状態(吐出口の目詰まり等がなく、正常な記録動作が可能な状態)に保つことが可能となっている。
【0036】
次に、本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置6の構成及び動作を図4〜図15を参照して説明する。
図4は本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の一実施例(第1実施例)を右側前方から見た模式的斜視図であり、図5は図4の吐出回復装置を左側から見た模式的斜視図であり、図6は図5の吐出回復装置において外枠部としての回復ベースを取り外して内部構造を示す模式的斜視図であり、図7は本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の一実施例で用いられる吸引手段としてのポンプユニットの構造を示す模式的斜視図であり、図8は図7のポンプユニットの回転体を示す模式的斜視図であり、図9は図8の回転体に嵌合されて回転駆動力を伝達するポンプギアを示す模式的斜視図であり、図10は本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の一実施例の内部構造を示す模式的縦断面図である。
【0037】
さらに、図11は図10の吐出回復装置においてポンプユニットを取り外した状態を示す模式的縦断面図であり、図12は本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の一実施例の別形態の内部構造を示す模式的斜視図であり、図13は図12の吐出回復装置で用いられる吸引手段としてのポンプユニットの構造を示す模式的斜視図であり、図14は本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の動作制御用のカムの停止位置を示すカムチャートであり、図15は本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の吸引回復動作のシーケンスを例示するフローチャートである。
【0038】
本発明に係る吐出回復装置6は、記録ヘッド7のインク吐出性能を維持回復するための回復手段として、吸引手段61とキャッピング手段62とワイピング手段63とを備えている。
前記吸引手段61は、並行に配設された2本(2系統)のポンプチューブ616を有するチューブポンプ(ポンプユニット)で構成され、1本(1系統)のポンプチューブ616によって1つのチューブポンプ部分610が構成されている。回復ベース60の一部に形成された円弧状内面をガイド面601として、そのガイド面601に沿ってポンプチューブ616が2本配置され、2系統のチューブポンプ部分610から成るポンプユニット(チューブポンプ、吸引手段)61が構成されている。
【0039】
吸引手段61としてのポンプユニットを構成する各チューブポンプ部分610は、円弧状のガイド部601に沿って配置されたチューブ616を、回転体支持部材としてのチューブガイド611に回転可能に軸支された回転体(ポンプローラホイール612、ポンプローラホルダ613)に自転可能に軸支された押圧ローラ(ポンプローラ)614によってしごくことにより、該チューブ616内に負圧を発生させるように構成されている。
【0040】
すなわち、チューブ616内に負圧を発生させるための複数の押圧ローラ614をポンプローラホルダ613の長孔形状のガイド溝に沿って移動可能に軸支し、各押圧ローラ614をローラばね(ポンプばね)615によってチューブ押圧方向に付勢するとともに、ポンプチューブ616内に負圧を発生させる吸引動作中には押圧ローラ614を転動回転(自転、公転)させながらポンプチューブ616を押しつぶしていく(しごいていく)ように動作させ、吸引動作以外のときには押圧ローラ614をポンプチューブ616から退避させるように動作するように構成されている。前記押圧ローラ614は、2本のポンプチューブ616のそれぞれに対して2個づつ、合計4個配置されている。
【0041】
本実施例では、ポンプチューブ616をガイドする回復ベース60のガイド部(ガイド面)601が半円形状であり、押圧ローラ(ポンプローラ)614は、各ポンプチューブ616ごとに、180度の角度位相を有するように2個づつ配置されている。このように構成することにより、1個の押圧ローラ614がポンプチューブ616を押圧している状態から離間する瞬間の時点でも、もう一方の押圧ローラ614がポンプチューブ616を押圧している状態にすることができ、2個の押圧ローラ614を連続的に回転させることでポンプチューブ616内の負圧を保ちつつ連続的に吸引動作を行うことが可能になる。なお、ガイド部601の形状がほぼ円形状になっている場合は1個の押圧ローラでも同様の効果を実現することができる。
【0042】
前記ポンプローラホルダ613はポンプローラホイール612に回復ベース60の円弧状ガイド面601の半径方向に揺動可能に軸支され、押圧ローラ614をポンプチューブ616に対し押圧・退避させる働きをする。前記ポンプローラホイール612は、その両端部の軸部を円弧状ガイド部601の円弧中心位置で軸支することにより、駆動用モータである回復モータ691からの駆動力を伝達されることで回転可能に装着されている。本実施例では、前記ポンプローラホイール612及び前記ポンプローラホルダ613によって前記押圧ローラ614を支持するための回転体が構成されており、この回転体(ポンプローラホイール)612、ポンプローラホルダ613は回転体支持部材611によって回転自在に軸支されている。
【0043】
回復モータ691から吸引手段61への駆動力の伝達は、回復ギア692を介して、前記回転体(本実施例ではポンプローラホイール612)の回転軸と同心配置されたポンプギア618に伝達される。そして、このポンプギア618の回転駆動力は、ポンプローラホイール612の片端面に配置されたポンプギアトリガーボス(突出部)6121が該ポンプギア618の回転によりポンプギアトリガリブ6181a、6181bと当接した時に伝達されるようになっている。つまり、チューブポンプ61へ回転駆動力は、所定角度範囲の遊び(不感領域)を有する回転伝達機構を介して伝達されるように構成されている。
【0044】
ここで、図9を参照して、ポンプギア618の形状について説明する。ポンプギア618は内部に2つのリブ(ギアトリガリブ6181a、6181b)を備え、側面に空間が設けられ、その空間に入ってくるボス(ローラホイール612のトリガボス6121)と前記両リブ6181a、6181bが当接することでローラホイール(回転体)612に回転力が伝達され、それによってチューブポンプから成るポンプユニット(吸引手段)61が駆動される。また、吸引手段61は回復モータ691の回転駆動に対し直結された形になっており、回復モータ691の一方向回転(以降正転)で吸引動作を行い、逆方向回転(以降逆転)で押圧ローラ614をポンプチューブ616への押圧状態から解除方向へ移動させる働きを得る構成となっている。
【0045】
本発明を適用した吐出回復装置6の特徴の一つとして、回転体支持部材としてのチューブガイド611にポンプローラホイール612を軸支する軸受部6113が設けられている。これに対し、従来の吐出回復装置では、回復ベース自体に回転体(ポンプローラホイール)を軸支するための軸受部が設けられていた。
回復ベースは、吐出回復装置の構造体として高剛性及び寸法精度を要求される部品であることから、ガラスを混入した材料等が使用されており、摺動性が悪く、グリス等の塗布が必要であった。本発明の実施例に係る吐出回復装置6においては、回転体支持部材としてのチューブガイド611を摺動性の良いPOM等の材料で作製することで、吸引動作時の低摺動負荷及び高耐久性等の軸受としての性能を満足することができ、同時に、この軸受を摺動性の良い材料から成る回転体支持部材であるチューブガイド611と一体に形成することができ、従って、軸受部品を特別に設ける必要もなく、グリス等の塗布を省略することができるチューブポンプを構成することができる。
【0046】
また、ポンプチューブ(吸引チューブ)616は、ポンプローラホイール612に巻き付けた状態で、一方の端部は回転体支持部材611のガイド部(ガイド手段)6114に挟持されて係止部(固定手段)6115、6116で固定されている。また、このポンプチューブ616の他方の端部は、回転体支持部材(チューブガイド)611に一体で設けられたジョイント部6111に差し込まれて固定されている。2個のジョイント部6111は1個のジョイント部6112と管路で統合連結されており、ジョイント部6112にはキャッピング手段62に接続されるジョイントチューブ626が連結されている。2本のポンプチューブ616を直接キャッピング手段62に接続する単純な構成とせず、2本のポンプチューブ616を1本のジョイントチューブ626に統合してキャッピング手段62と連結する構成を採る理由は、2本のポンプチューブ616間の部品公差等により発生する負圧差に起因して、キャップ内部の各領域に対応した記録ヘッド7の各吐出口からのインク流出状態やキャップ内部でのインクの流れ状態にバラツキが生じることを防止することにある。
【0047】
このように、回転体支持部材(チューブガイド)611、ポンプローラホイール612、ポンプローラホルダ613、押圧ローラ(ポンプローラ)614、ポンプばね615、ポンプチューブ616、ポンプローラダンパ617で、1個のチューブポンプ部分610が構成されており、本実施例では、このようなチューブポンプ部分を2組結合することにより、吸引手段(ポンプユニット、チューブポンプ)61が構成されている。
また、回転体支持部材611のポンプローラホイール軸受部6113は該回転体支持部材611から外側に突出しており、回復ベース60の押圧ローラ614との協働でポンプチューブ616を圧接するガイド部601の中心の固定部602に係止することにより、2つのチューブポンプ部分610から成るポンプユニット61が回復ベース60に固定され、吸引手段として完成した構成となる。
【0048】
このとき、ポンプチューブ616と回転体支持部材611のジョイント部6111との圧入部上方を、回復ベース60に設けたポンプチューブ押さえ603によって押さえることにより、ポンプチューブ616をジョイント部6111から引き抜く力が作用しても抜けない構成となっている。
また、前述のようなポンプチューブ616の固定手段を採用することにより、押圧ローラ614の接触開始部及び脱出部近傍のポンプチューブ616の組み込み状態を屈曲やつぶれの少ない状態にすることができ、それによって、押圧ローラ614の突入時の負荷変動の発生を防いだり、ポンプ動作中の押圧ローラ614のポンプチューブ開放時の弾性復元反発力等による該押圧ローラ614の回転体(駆動手段)に対する先回り現象(押圧ローラ614が回転体の回転より回転方向に先回りする現象)の発生を防ぐことができる。
【0049】
ここまで説明してきた吐出回復装置6は、記録ヘッド7に搭載されるインクタンク71は全て染料インクを使用するとともに、吐出口の数を増やして(高密度化して)写真等の画像を高速高画質で記録する記録ヘッドの吸引回復を行うのに好適な吐出回復装置であり、インクジェット記録装置の設計効率の向上(設計日程短縮、人員削減)、生産効率の向上(部品作製費用(型代等)、部品管理費の削減、組立作業者の教育期間短縮等)を達成できるものである。
そして、消費者に低価格でインクジェット記録装置1を供給するためには、前述のような吐出回復装置6は、1個の記録ヘッドにおいて吐出口径の大きい吐出口から黒顔料インクを吐出することによって黒文字等のモノクロ画像を超高速で記録するとともに、吐出口径の小さい吐出口からカラー染料インクを吐出することによって写真等のカラー画質を高画質で記録するタイプのような、吐出口総数が比較的少ない記録ヘッドに適用可能な吐出回復装置にも簡単に変更できることが要請されている。
【0050】
しかし、このような記録ヘッドの吐出回復においては、キャップの同一密閉室空間で吸引することで黒顔料インクとカラー染料インクとの混合により発生する染料インクの吐出口におけるインク固着やインク混色等の発生などの不具合を防止することが要請される。
さらに、黒インクの吐出口とカラーインクの吐出口とで吐出口径が大きく異なるため、インクが吐出口径の大きな吐出口から大量に流れ出し、吐出口径の小さい吐出口からは流れ出さない状況が発生するという不都合が生じやすいことから、図12に示される別形態のチューブポンプを有する吐出回復装置のように、顔料インク吐出口と染料インク吐出口をそれぞれに対応した個別の密閉空間を有するキャップ621a、621bを通して吸引することが要求される。つまり、本実施例では、各密閉空間621a、621bに接続された2本のジョイントチューブ626を使用し、それぞれのジョイントチューブ626をポンプユニット61の2本のポンプチューブ616のそれぞれに個別に接続する構成が採用されている。
【0051】
また、吐出口の数が少ない点から、インク吸引時に必要とする吸引手段(チューブポンプ)61による発生負圧も小さく設定する必要があり、小内径の吸引チューブ(ポンプチューブ)616を使用することが要求される。
そして、図12に示す別形態の吐出回復装置6は、図10及び図11に示すチューブポンプにおいて回転体支持部材(チューブガイド)611とポンプチューブ616のみを入れ換えるだけでも構成できるようになっている。
また、2個の密閉空間を有するキャップ621a、621bに対して使用される図12の吐出回復装置6とする時のチューブポンプ(吸引手段)61は、図13に示すように、回転体支持部材611のジョイント部6112は小内径のポンプチューブ616に対応して小径に形成されており、該ジョイント部6112は2個設けられ、2個のジョイント部6112の各々に2本のジョイントチューブ626が個別に連結される。つまり、2個のジョイント部6112からは2本のジョイントチューブ626によりキャップ621の2個の密閉空間に連結される。
【0052】
図13のチューブポンプ61においては、図10及び図11のチューブポンプに比べて、ポンプ出力性能を大幅に異ならせるためにポンプチューブ616の内径を変更しているが、該ポンプチューブ616の肉厚は同一とすることにより、該ポンプチューブ616を押圧ローラ614と回復ベース60のガイド部601とにより押圧(圧接)・開放(解除)することに関して、ポンプローラホイール12、ポンプローラホルダ613、押圧ローラ614、ポンプばね615、ポンプローラダンパ617及び回復ベース60は共通のままでも、的確な出力特性を有するチューブポンプを容易に実現できるように構成されている。
【0053】
以上説明した実施例に係るインクジェット記録装置によれば、円弧状のガイド部601に沿って配置されたチューブ616を、回転体支持部材(チューブガイド)611に公転可能に軸支された回転体(ポンプローラホイール)612、回転体612に揺動可能に支持されたポンプローラホルダ613に自転可能に軸支された押圧ローラ(ポンプローラ)614によってしごくことにより、該チューブ内に負圧を発生させるチューブポンプにおいて、チューブ616と、押圧ローラ614と、回転体612、ポンプローラホルダ613と、回転体支持部材611と、を組み付けてポンプユニット61を形成し、該ポンプユニットの状態でガイド部(ガイド面)601から分離可能にする構成としたので、ポンプユニット61の状態で分離可能とすることから、ポンプチューブ616の組込みが容易になり、該チューブを座屈した状態やねじれた状態で組み込むという組み込みミスを容易に無くすことができるという効果が得られる。
【0054】
また、以上説明したチューブポンプ61によれば、円弧状のガイド部601に沿って配置されたポンプチューブ616を、回転体支持部材611に回転可能に軸支された回転体612、ポンプローラホルダ613に自転可能に軸支された押圧ローラ614によってしごくことにより、該チューブ内に負圧を発生させるチューブポンプにおいて、前記チューブ616と、前記押圧ローラ614と、前記回転体612、613と、前記回転体支持部材611と、を組み付けてポンプユニット61を形成し、前記押圧ローラ614と前記ガイド部601の相対距離を共通にするとともに、前記チューブ616として異なる内径を有するチューブを装着することで、異なる出力特性を有するチューブポンプを作製可能にする構成としたので、チューブ616を除いて全部品もしくはほとんどの部品を共通に使用して多種多様なインクジェット記録手段に的確に対応できるチューブポンプを作製でき、設計効率、生産効率向上及びコスト削減を図ることができるという効果が得られる。
【0055】
さらに、以上説明したチューブポンプ61によれば、前記ガイド部601を形成するガイド部材(本実施例では回復ベース60)に前記回転体支持部材611を着脱可能に取り付け、該ガイド部材を高剛性の材料で作製するとともに、該回転体支持部材を摺動性に優れた材料に作製する構成、つまり、前記ガイド部材及び該回転体支持部材611の少なくとも一方を摺動性を有する材料で作製する構成としたので、軸受を追加することなくガイド部材と前記回転体612が直接摺動することを回避でき、部品コストの発生無しに、回転体支持部材611の摺動部位の負荷増大や摩耗発生や異音発生を防止でき、グリス塗布の必要性も無くすことができるという効果が得られる。
また、以上説明した実施例においては、前記ポンプユニット61内に、前記回転体612、ポンプローラホルダ613に回転力を伝達するポンプギア618を装着するとともに、前記押圧ローラ614を半径方向に移動可能に保持するローラホルダ613と該ローラホルダを支持するローラホイール612とにより前記回転体を形成するように構成されている。
【0056】
また、以上説明した実施例においては、前記ポンプユニット61内にチューブ616を固定する固定手段6111、6112を設ける構成、前記チューブ616を固定する固定手段の少なくとも1つが前記回転体支持部材611と一体に形成されている構成、前記ポンプユニット61内に前記チューブ616を外部流路と接続するジョイント部6111、6112を設ける構成、前記回転体支持部材611と前記ジョイント部6111、6112とを一部品で形成する構成、さらには、前記固定手段の少なくとも1つが前記ジョイント部である構成が採られており、それによって、前記チューブ616の這いまわしをポンプ部分で完結させることで組み込み性を向上させることができ、前記回転体支持部材611と前記固定手段又は前記ジョイント部6111、6112とを一部品で形成することで余分なジョイント部品及びその組み付け工数を無くすことができるという効果が得られる。
【0057】
また、前述の実施例においては、前記押圧ローラ614は、前記回転体のポンプローラホルダ613に対して半径方向に移動可能に保持され、該回転体の一方向回転で押圧ローラ614が半径方向外方へ移動してチューブ押圧状態となり、該回転体の反対方向回転で押圧ローラ614が半径方向内方へ移動してチューブ押圧状態が解除されるように構成されており、さらに、前記押圧ローラ614の移動経路上に、該押圧ローラに接触すると該押圧ローラを回転体による移動方向と反対方向へ付勢する付勢部材(押圧ローラばね)615が設けられ、該付勢部材は前記押圧ローラの通過時に退避可能であるように構成されている。このような構成によれば、押圧ローラ614の突入時の負荷変動の発生を軽減したり、ポンプ動作中の押圧ローラ614のポンプチューブ開放時の弾性復元反発力等による該押圧ローラ614の回転体(駆動手段)に対する先回り現象(押圧ローラ614が回転体の回転より回転方向に先回りする現象)の発生を防ぐことができる。
【0058】
さらにまた、前述の実施例では、前記押圧ローラ614と前記ガイド部601の相対距離を共通にするとともに、前記ポンプチューブ616として異なる内径を有するチューブを装着することで、異なる出力特性を有する複数種類のチューブポンプを作製可能にするに際しては、複数種類のチューブポンプの前記ガイド部601を共通部品で形成する構成、前記押圧ローラ614を前記ポンプチューブ616に向けて付勢する付勢手段(押圧ローラばね)615の付勢力を同一とする構成、前記回転体612及び該回転体に組み込まれる部品を全て共通部品にする構成、前記異なる出力特性を有するチューブポンプは、前記チューブ616の内径のみが異なり、他の部品が共通部品である構成、さらには、前記異なる内径を有するポンプチューブの肉厚を同一にする構成が採られている。
【0059】
図4〜図13において、前記キャッピング手段62は、記録ヘッド7の吐出口面(吐出口が形成されたインク吐出面)に当接するキャップ621(個別の密閉空間を形成するためのキャップ621a、621bを含む)と、記録ヘッド7の吐出口面から排出されるインクを効率よく吸引するためのキャップ吸収体622と、キャップ621を支え、キャップばね624により記録ヘッド7の吐出口面にキャップ621を圧接させるためのキャップホルダ623と、キャップホルダ623にキャップ圧(キャップの密着力)を与えるキャップばね624と、キャップばね624を支持するとともにキャップホルダ623を上下方向に摺動自在に支持し、キャップ621を記録ヘッド7の吐出口面に当接・離間させるための昇降レバーであるキャップベース625と、キャップ621内部とチューブポンプ61とを連結するジョイントチューブ626と、キャップ621内部と大気開放用の開閉バルブ64とを連結するバルブチューブ627と、から構成されている。
【0060】
前記バルブ64は、バルブベース641にバルブレバー642とバルブゴム643とバルブレバーばね644を組み付けて構成されている。前記バルブレバー642はバルブベース641に回転可能に軸支されている。そして、該バルブレバー642内部には管路が形成されており、その一方の端部は前述のバルブチューブ627と接続するためのジョイント部であり、他方の端部は、バルブレバー642の回転によりバルブゴム643に当接・離間することで、バルブ64の管路の開閉状態を切り換える開閉弁部になっている。前記バルブレバーばね644は、バルブレバー642をバルブゴム643に当接する方向に付勢している。バルブ64を開閉することで、バルブチューブ627により接続されたキャップ621内部を大気に対して開放、密閉するように切り換えることができる。
【0061】
本実施例では、キャップ621の内部にはキャップ吸収体622が設けられている。キャッピング手段62を記録ヘッド7に当接させるための昇降動作及びバルブ64の開閉動作は、回復モータ691(図4)からの駆動を回復ギア693、694等を経由し、ワンウエイクラッチギア695を介して伝達することにより行われる。このワンウエイクラッチギア695は、キャッピング手段62の昇降動作及びバルブ64の開閉動作を実行するカム65に嵌合され、回復モータ691からの駆動力を一方向回転時にはカム65に伝達し、他方向回転時には空転してカム65に駆動を伝達させないように構成されている。
【0062】
前記カム65は、前述のキャッピング手段62の動作を制御する他に、前記ワイピング手段63の駆動を制御したり、記録ヘッド7の回復動作中に該記録ヘッド7と前記吐出回復装置6のキャッピング手段との位置決めを行うためのCRロックレバー67の昇降動作を制御するように構成されている。前述した各手段の動作は、カム65に設けられたカム位置検知センサ用フラグとカム位置検知センサ68とにより該カム65の回転位置決めを行い、これに基づいて各手段を制御することにより実行される。
【0063】
次に、回復モータ691の一方向の駆動で吸引回復を行う吸引手段(チューブポンプ)61を駆動し、逆方向の駆動で、キャップ621を記録手段7の吐出口面に当接、離間させるキャッピング手段62と記録ヘッド7の吐出口面をワイピングするワイピング手段63との両方を、位置検知用のフラグ部を同一軸上に有するカム65とカム位置検知手段(センサ)68とにより駆動制御する、インクジェット記録装置における吐出回復動作の吸引回復モードについて説明する。
本実施例に係るインクジェット記録装置における吐出回復装置6による記録ヘッド7の吸引回復動作は、図15のフローチャートに示すような動作なシーケンスにより実行される。図15に示すフローチャートは本実施例における吐出回復装置6の一般的な吸引回復動作を示している。
【0064】
以下、吐出回復装置6の動作制御用の前記カム65の停止位置を示すカムチャートである図14を参照しつつ、図15のフローチャートに沿って、本実施例における吸引回復モードの詳細を説明する。
吸引回復動作命令が下された場合(ステップS1)、吐出回復装置6を構成しているカム65の位置をカム位置検知センサ68により検出し(ステップS2)、キャッピング手段62及びワイピング手段63等の位置を確認する。記録ヘッド7が吸引回復動作ポジションにいない状態の場合(ステップS3)は、必要に応じて回復モータ691をワイパー復動終了まで逆転させ、キャッピング手段62やワイピング手段63等が記録ヘッド7と干渉しない状態にあることをカム位置検知センサ68により確認した(ステップS4)後で、キャリッジモータ54を駆動して記録ヘッド7を吸引回復動作ポジションに移動させる(ステップS5)。
【0065】
その後、回復モータ691の駆動(逆転方向)によりカム65を回転駆動することで、吸引回復動作を実行するためキャッピング手段62を記録ヘッド7の吐出口面に当接させる(ステップS6)。その際のポンプローラホイール612の回転方向は図8に示す回転方向Rであるため、吸引手段61の押圧ローラ614はポンプチューブ616から離間した位置に配置され、キャップ内を大気と連通させている。すなわち、キャップ内を大気と連通させることにより、ポンプローラホイール612が回転してもキャップ621内にポンプチューブ616内に残留するインクを逆流させたり、キャップ内に正圧をかけて記録ヘッド7の吐出口にダメージを与えることがないように構成されている。キャップ621を記録ヘッド7の吐出口面に当接させた後、吸引回復動作に入る準備として吸引手段61の押圧ローラ614を一度ポンプチューブ616に押圧させるため、回復モータ691を正転方向に駆動してポンプローラホイール612を図8中の回転方向L側に回転駆動する。
【0066】
その際、キャッピング手段62は記録ヘッド7の吐出口面に当接しているため、ポンプローラホイール612が回転方向R側へ回転する時に余計な負圧をキャップ内にかけることを防ぐため、キャップ621を記録ヘッド7に当接させた時にカム65の回転によりバルブ64を開放状態にさせておく(ステップS7)。そこで、回復モータ691の正転方向の駆動により、ポンプギア618がL方向の回転力を得て回転を続けることで(ステップS8)、吸引手段61のポンプローラホイール612(回転体)のポンプギアトリガボス6121とポンプギア618のポンプギアトリガリブ6181a、6181bとを当接させて該ポンプローラホイール612を矢印L方向に回転させることにより、押圧ローラ614がポンプチューブ616を押圧する状態(チューブ押しつぶし状態)にする。
【0067】
この動作はステップS1で吸引回復動作命令が入った時、押圧ローラ614がどの位置にいても安定的な吸引回復動作を可能にするため、該押圧ローラ614の位置をポンプチューブ616に押圧させた位置に選定することで、押圧ローラ614がポンプチューブ616を押圧するまでの不感領域におけるポンプチューブ616の押しつぶし量すなわちインク吸引量のバラツキを抑える機能を果たすように構成されている。このような押圧ローラ614の初期位置選定を行うことにより、押圧ローラ614の位置検知に必要であったポンプローラセンサがなくとも、インク吸引量のバラツキを少なくすることができ、それによって安定的な吸引回復動作を行うことが可能になる。
【0068】
このような押圧ローラ614をポンプチューブ616に押圧させた状態にした後、チューブポンプ61を正転方向に回転駆動することにより記録ヘッド7からのインク吸引動作を行う。この吸引動作は、キャッピング手段62のバルブ64を閉じることでキャップ621内部を密閉状態にし(ステップS9)、チューブポンプ(吸引手段)61の吸引回転動作により密閉空間となっているキャップ内部に負圧を与えて記録ヘッド7よりインクを排出させる(ステップS10)ことにより実行される。なお、前記カム65の回転により前記バルブ64を開放、密閉するによりキャップ内部の密閉開放を制御することができる。
【0069】
前述のバルブ64の動作も回復モータ691を駆動源として行われるため、吸引回復動作の準備として行った押圧ローラ614の押圧状態を崩さずに、バルブ64の密閉動作を達成しなければならない。そこで、記録ヘッド7にキャップ621が当接している間は、回復モータ691の駆動によってワンウエイクラッチギア(不図示)を介してカム65を回転させることによりバルブ64を動作させる際、ポンプギア618のポンプギアトリガリブ6181a、6181bが吸引手段61のポンプローラホイール612の端面に設けられたポンプギアトリガボス6121に当接して吸引手段61側に回復モータ691の駆動力を伝達しないように構成している。すなわち、回復モータ691によりカム65側へ駆動伝達されている状態でバルブ64開閉動作中(図14の網掛け領域)には、吸引手段61への駆動伝達を解除するように構成されている。
【0070】
よって、ポンプギア618のポンプギアトリガリブ6181a、6181bの間隔は、バルブ64開閉動作領域におけるカム65の回転角度と回復モータ691からチューブポンプ61へ至る駆動伝達部のギアの減速比並びにカム65へ伝達するギアの減速比とを考慮して、図14に示す網掛け領域内では回復モータ691の駆動力を吸引手段61側へ伝達しないような間隔に設定されている。
次いで、回復モータ691の駆動により吸引回復動作を行う。つまり、吸引手段61側に駆動力を与える方向(正転方向)に回復モータ691を回転(正転)させることにより、所定量のインクを吸引する吸引回復動作を行う。その後、キャップ621内にためられた排インク(吸引されたインク)を該キャップ621内から排出するために、バルブ64をカム65の回転により開放状態にさせる(ステップS11)。
【0071】
このバルブ64の開動作の間に吸引手段61に駆動が伝達されてしまうと、該駆動方向が逆転方向であるため、押圧ローラ614によるポンプチューブ616のしごきによって該チューブポンプ616からキャップ621内にインクを逆流させることになり、このインクの逆流によって記録ヘッド7にダメージを与えてしまうことになる。しかし、本実施例においては、前述の動作間においてもポンプギア618のポンプギアトリガリブ6181a、6181bがポンプローラホイール612上のポンプギアトリガボス6121と当接から離間する側へ回転駆動するように構成しているため、チューブポンプ(吸引手段)61が回転駆動されることはなく、従って、インクの逆流による不具合を起こすことはない。
【0072】
前記バルブ64を開放状態にした後、回復モータ691によってチューブポンプ61が吸引回復動作させる方向(正転方向)に駆動され、そのときに発生する負圧によってキャップ内の残留インクを吐出回復装置外へ排出するための空吸引動作が実行される(ステップS12)。そして、この空吸引動作を終了した後では、前記押圧ローラ614はチューブ押圧を解除された状態(チューブ開放状態)にされる(ステップS13)。以上により、一般的な吸引回復動作は終了する(ステップS14)。
【0073】
なお、図12及び図13に示した前記実施例の別形態に係る吐出回復装置6においては、回転体支持部材(チューブガイド)611を一部変更するとともに、装着する2本のポンプチューブ616の内径を互いに異なる寸法にし、キャップ621の2個の密閉空間に作用させる負圧に大きな差を設けることで、黒顔料インクのように吐出口径の大きい吐出口を使用する記録ヘッド部分と染料インクのように吐出口径の小さい吐出口を使用する記録ヘッド部分に対応できるように、吐出口からのインク引き出しに必要な適正吸引力で記録ヘッド7の吸引を行うように構成しても良い。
また、図12及び図13の別形態の吐出回復装置6における2本のポンプチューブを1本にすることにより、1個の密閉空間に小負圧を作用させることで吸引可能なヘッド7に対応するように構成しても良い。
【0074】
なお、以上の実施例では、2本のポンプチューブ616を装着した吐出回復装置の場合を例に挙げて説明したが、本発明は、1本又は3本以上のポンプチューブを装着した吐出回復装置の場合にも同様に適用することができ、同様の作用効果を奏するものであり、これらもその範囲内に含むものである。
また、以上の実施例では、記録手段7を被記録材に対して相対移動させながら記録するシリアル記録方式のインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、本発明は、被記録材の全幅又は一部をカバーする長さのラインタイプの記録手段を用いて副走査のみで記録するライン記録方式のインクジェット記録装置に対しても同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
また、本発明は、1個の記録手段を用いる記録装置、異なる色のインクで記録する複数の記録手段を用いるカラー記録装置、あるいは同一色彩で異なる濃度で記録する複数の記録手段を用いる階調記録装置、さらには、これらを組み合わせた記録装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
【0075】
さらに、本発明は、記録ヘッドとインクタンクを一体化した交換可能なインクカートリッジを用いる構成、記録ヘッドとインクタンクを別体にし、その間をインク供給用チューブ等で接続する構成など、記録ヘッドとインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られるものである。
なお、本発明は、インクジェット記録装置が、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いる記録手段を使用するものである場合にも適用できるが、中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式の記録手段を使用するインクジェット記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば、記録の高密度化、高精細化が達成できるからである。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなごとく、請求項1の発明によれば、ポンプユニットの状態で分離可能とすることから、チューブの組込みが容易になり、チューブを座屈した状態やねじれた状態で組み込むという組み込みミスを容易に無くすことができる。また、チューブの這いまわしをポンプ部分で完結させることで組み込み性を向上させることができ、余分なジョイント部品及びその組み付け工数を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した吐出回復装置を備えたインクジェット記録装置の一実施例の内部機構を右前方から見て示す模式的斜視図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置の内部機構を左前方から見て示す模式的斜視図である。
【図3】図1のインクジェット記録装置の模式的縦断面図である。
【図4】本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の一実施例を右側前方から見た模式的斜視図である。
【図5】図4の吐出回復装置を左側から見た模式的斜視図である。
【図6】図5の吐出回復装置において外枠部としての回復ベースを取り外して内部構造を示す模式的斜視図である。
【図7】本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の一実施例で用いられる吸引手段としてのポンプユニットの構造を示す模式的斜視図である。
【図8】図7のポンプユニットの回転体を示す模式的斜視図である。
【図9】図8の回転体に嵌合されて回転駆動力を伝達するポンプギアを示す模式的斜視図である。
【図10】本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の一実施例の内部構造を示す模式的縦断面図である。
【図11】図10の吐出回復装置においてポンプユニットを取り外した状態を示す模式的縦断面図である。
【図12】本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の一実施例の別形態の内部構造を示す模式的斜視図である。
【図13】図12の吐出回復装置で用いられる吸引手段としてのポンプユニットの構造を示す模式的斜視図である。
【図14】本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の動作制御用のカムの停止位置を示すカムチャートである。
【図15】本発明を適用したインクジェット記録装置の吐出回復装置の吸引回復動作のシーケンスを例示するフローチャートである。
【図16】従来のインクジェット記録装置の吐出回復装置の構成例を示す模式的斜視図である。
【図17】従来のインクジェット記録装置の吐出回復装置の内部の要部構造を示す模式的斜視図である。
【図18】従来のインクジェット記録装置の吐出回復装置の内部の要部構造の別形態を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
2 給紙部
3 送紙部
4 排紙部
5 キャリッジ部
6 吐出回復装置(吐出回復部)
7 記録手段(記録ヘッド)
9 電気部
11 シャーシ
111 ガイドレール
20 ベース
21 圧板
22 戻しレバー
23 可動サイドガイド
24 分離ローラーホルダ
241 分離ローラ
25 コントロールカム
26 給紙トレイ
27 駆動部
273 給紙モータ
28 給紙ローラ
281 給紙ローラゴム
29 ASFセンサ
30 ピンチローラホルダ
32 PEセンサ
321 PEセンサレバー
34 プラテン
35 搬送モータ
36 搬送ローラ
361 プーリ
362 コードホイール
37 ピンチローラ
39 エンコーダーセンサ
40 排紙ローラ
41 排紙ローラ
42 拍車
43 拍車ホルダ
46 排紙トレイ
50 キャリッジ
52 ガイドシャフト
521 偏心カム
54 キャリッジモータ
541 タイミングベルト
542 アイドルプーリ
56 エンコーダーセンサ
561 コードストリップ
57 フレキシブル基板
58 キャリッジ昇降モータ
60 回復ベース
61 チューブポンプ(吸引手段、ポンプユニット)
610 チューブポンプ部分
611 回転体支持部材(チューブガイド)
612 ポンプローラホイール(回転体)
613 ポンプローラホルダ
614 押圧ローラ(ポンプローラ)
615 押圧ローラばね(ポンプばね)
616 ポンプチューブ
617 ポンプローラダンパ
62 キャッピング手段
621 キャップ
622 キャップ吸収体
623 キャップホルダ
624 キャップばね
625 キャップベース
626 ジョイントチューブ
627 バルブチューブ
63 ワイピング手段
64 バルブ
641 バルブベース
642 バルブレバー
643 バルブゴム
644 バルブレバーばね
65 カム(回復カム)
66 ブレードクリーナー
67 CRロック
68 カム位置検知センサ
691 回復モータ
7 記録手段(記録ヘッド)
71 インクタンク
9 電気部
91 メイン基板

Claims (4)

  1. 記録ヘッドの吐出口面をキャッピングするキャップを有し、該キャップに接続されるとともに回復ベースに配された円弧状のガイド面に沿って配されたチューブをポンプローラでしごくことにより前記チューブ内に負圧を発生させて前記記録ヘッドからインクを吸引するインクジェット記録装置であって、
    前記ポンプローラをガイド溝に沿って移動可能に軸支するポンプローラホルダと、前記ポンプローラを付勢するためのばね部材と、前記ポンプローラホルダを揺動可能に軸支するポンプローラホイールと、前記チューブと、がチューブガイドに組み込まれてポンプユニットを構成し、
    該ポンプユニットの状態で前記回復ベースから分離可能な構成であり、
    前記ポンプユニットの状態で、前記チューブの一方の端部は前記チューブガイドに係止部で固定され、他方の端部は前記チューブガイドに一体で設けられたジョイント部に差し込まれて固定されることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記ポンプユニットを前記回復ベースに組み込んだ状態で、前記ばね部材は前記ポンプローラを前記チューブを押圧する方向に付勢することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記ポンプユニットを前記回復ベースに組み込んだ状態で、前記ポンプローラホルダは前記ポンプローラホイールに前記ガイド面の半径方向に揺動可能に軸支されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記ポンプユニットを前記回復ベースに組み込んだ状態で、前記ジョイント部は前記キャップに接続されるジョイントチューブに連結されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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