JP3956951B2 - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射装置に関し、詳細には機関気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を有する燃料噴射装置に関する。
気筒内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を備え、通常の気筒内燃焼に寄与する主燃料噴射に加えて、気筒の膨張行程または排気行程に二次燃料噴射を行なう燃料噴射装置が知られている。
この種の装置としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。
文献1の装置は、ディーゼル機関の排気通路に、流入する排気の空燃比がリーンの時に排気中のNOXを吸収し流入する排気中の酸素濃度が低下したときに吸収したNOXを放出するNOX吸蔵還元触媒を配置し、通常は機関気筒の圧縮上死点近傍で気筒内に主燃料噴射を行ない、NOX吸蔵還元触媒からNOXを放出させるべきときには、主燃料噴射に加えて気筒の膨張または排気行程に二次燃料噴射を行なうようにしている。
膨張または排気行程に気筒内に噴射された燃料は、気筒内での燃焼には寄与せずに高温の既燃ガスに曝されることになるため、燃料中の分子量の大きい炭化水素が分子量の小さな炭化水素に分解する。また、二次燃料噴射により噴射された燃料は燃焼に寄与せずにそのまま排気とともに排出されるため、ディーゼル機関においても気筒内の爆発圧力を上昇させることなく排気をリッチ空燃比にするだけの比較的多量の燃料を噴射することができる。このため、二次燃料噴射により活性の高い低分子量の炭化水素を多く含むリッチ空燃比の排気が排気通路のNOX吸蔵還元触媒に流入するようになり、NOX吸蔵還元触媒から吸収したNOXが放出されるとともに排気中の炭化水素により還元浄化される。
特開平6−212961号公報
ところが、特許文献1のように二次燃料噴射を行なう機関では二次燃料噴射により噴射された燃料が排気行程中に完全に排出されず気筒内に残留する場合がある。気筒内に二次燃料噴射の燃料の一部が残留すると次回に主燃料噴射が行なわれたときに気筒内では主燃料噴射により供給された燃料に加えて残留した燃料が燃焼するため、燃焼による発生トルクが過大となり機関の出力トルク変動が生じる問題がある。
本発明は上記問題に鑑み、二次燃料噴射実施時に残留燃料による機関出力トルク変動を防止することが可能な内燃機関の燃料噴射装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の気筒に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁と、前記筒内燃料噴射弁を制御して、気筒内の燃焼に寄与する燃料を噴射する主燃料噴射を行なうとともに、必要に応じて主燃料噴射の後の膨張行程または排気行程中に気筒内の燃焼に寄与しない燃料を噴射する二次燃料噴射を行なう燃料噴射制御手段と、を備え、前記燃料噴射制御手段は直前の二次燃料噴射により噴射された燃料のうち、気筒内に残留している燃料量を算出するとともに、該残留燃料量に応じて前記主燃料噴射の噴射量を補正する内燃機関の燃料噴射装置が提供される。
すなわち、請求項1に記載の発明では、燃料噴射制御手段は直前の二次燃料噴射により気筒内に残留する燃料の量を算出し、残留燃料量に応じて主燃料噴射量を補正する。この補正は例えば、主燃料噴射量を残留燃料量相当分だけ減量することにより行なう。これにより、主燃料噴射時に燃焼に寄与する燃料量は目標量に維持されるようになる。このため、二次燃料噴射により気筒内に燃料が残留した場合でも機関の出力トルク変動が生じない。
請求項2に記載の発明によれば、内燃機関の気筒に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁と、前記筒内燃料噴射弁を制御して、気筒内の燃焼に寄与する燃料を噴射する主燃料噴射を行なうとともに、必要に応じて主燃料噴射の後の膨張行程または排気行程中に気筒内の燃焼に寄与しない燃料を噴射する二次燃料噴射を行なう燃料噴射制御手段と、を備え、前記燃料噴射制御手段は必要に応じて前記主燃料噴射を、気筒内に均質混合気を生成させるための第1主燃料噴射と可燃混合気の層を生成させるための第2主燃料噴射とに分けて2回行い、前記二次燃料噴射実行時には、直前の二次燃料噴射により噴射された燃料のうち、気筒内に残留している燃料量を算出し、該残留燃料量に応じて前記第1主燃料噴射の噴射量を補正する内燃機関の燃料噴射装置が提供される。
すなわち、請求項2に記載の発明では燃料噴射制御手段は主燃料噴射を2回行なう際には、二次燃料噴射による気筒内残留燃料量に応じて第1主燃料噴射の量を補正する。この補正は例えば、第1主燃料噴射量を残留燃料量相当分だけ減量することにより行なう。第1主燃料噴射は気筒内に均質な混合気を生成するためのものであるのに対して、第2主燃料噴射は混合気を成層させるためのものである。一方、気筒内に残留した燃料は気筒内に均質な混合気を生成する。このため、第1主燃料噴射量を通常通りに設定すると生成される均質混合気の空燃比は目標値よりリッチとなる。本発明では、残留燃料量に応じて第1主燃料噴射量を補正することにより、気筒内に生成される均質混合気の空燃比が目標値に維持されるようになる。
各請求項に記載の発明では、二次燃料噴射実施時に気筒内に残留する燃料量を算出し、残留燃料量に応じて主燃料噴射量を補正するようにしたことにより、二次燃料噴射により気筒内残留燃料が生じた場合であっても機関出力の変動の発生を防止することが可能となる。
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の燃料噴射装置を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を説明する図である。
図1において、1は自動車用内燃機関を示す。本実施形態では、機関1は#1から#4の4つの気筒を備えた4気筒ガソリン機関とされ、#1から#4気筒には直接気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁111から114が設けられている。後述するように、本実施形態の内燃機関1は、理論空燃比より高い(リーンな)空燃比で運転可能なリーンバーンエンジンとされている。
また、本実施形態では#1から#4の気筒は互いに点火時期が連続しない2つの気筒からなる2つの気筒群にグループ分けされている。(例えば、図1の実施形態では、気筒点火順序は1−3−4−2であり、#1、#4の気筒と#2、#3の気筒とがそれぞれ気筒群を構成している。)また、各気筒の排気ポートは気筒群毎に排気マニホルドに接続され、気筒群毎の排気通路に接続されている。図1において、21aは#1、#4気筒からなる気筒群の排気ポートを個別排気通路2aに接続する排気マニホルド、21bは#2、#4気筒からなる気筒群の排気ポートを個別排気通路2bに接続する排気マニホルドである。本実施形態では、個別排気通路2a、2b上には三元触媒からなるスタートキャタリスト(以下「SC」と呼ぶ)5aと5bがそれぞれ配置されている。また、個別排気通路2a、2bはSC下流側で共通の排気通路2に合流している。
共通排気通路2上には、後述するNOX吸蔵還元触媒7が配置されている。図1に29a、29bで示すのは、個別排気通路2a、2bのスタートキャタリスト5a、5b上流側に配置された空燃比センサ、31で示すのは、排気通路2のNOX吸蔵還元触媒7出口に配置された空燃比センサである。空燃比センサ29a、29b及び31は、広い空燃比範囲で排気空燃比に対応する電圧信号を出力する、いわゆるリニア空燃比センサとされている。
図1において、機関の1の気筒#1から#4の吸気ポートは吸気マニホルド10bを介してサージタンク10aに接続されており、サージタンクは共通の吸気通路10に接続されている。更に、本実施形態では吸気通路10上にはスロットル弁15が設けられている。本実施形態のスロットル弁15はいわゆる電子制御スロットル弁とされており、ステッパモータ等の適宜な形式のアクチュエータ15aにより駆動され後述するECU30からの制御信号に応じた開度をとる。図1に15bで示すのは、スロットル弁15の開度を検出するスロットル弁開度センサである。
本実施形態では、筒内燃料噴射弁111から114は個別にコモンレール(蓄圧室)110に接続され、コモンレール110内の高圧の燃料を気筒内に噴射する。図1に130で示したのは、プランジャポンプ等の高圧ポンプからなる燃料ポンプである。燃料ポンプ130は、各燃料噴射弁(111〜114)の燃料噴射が行なわれる毎にコモンレール110に高圧の燃料を圧送している。
図1に200で示すのは、機関1のバルブタイミングを変化させる可変バルブタイミング装置である。本実施形態では、可変バルブタイミング装置200は後述するECU30からの指令信号に応じて機関1のバルブタイミングを変更可能なものであれば、任意の公知の形式のものが使用可能であり、吸気弁または/及び排気弁の開閉タイミングのみを変化させるもの、開閉タイミングとともにバルブリフトをも変化させるもの等のいずれも使用することができる。また、バルブタイミングの変更は連続的に行なうものでも、段階的に行なうものでも良い。
図1に30で示すのは、機関1の制御を行なうECU(エンジンコントロールユニット)である。ECU30はRAM、ROM、CPUを双方向性バスで相互に接続した公知の構成のマイクロコンピュータからなり、機関1の主燃料噴射制御や点火時期制御等の基本制御を行なう。また、ECU30は本実施形態では後述するNOX吸蔵還元触媒の再生操作時に気筒内の燃焼をリッチ空燃比に切り換えたり、各気筒の膨張または排気行程に二次燃料噴射を行ないNOX吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比を短時間でリッチ空燃比に切り換えるための二次燃料噴射制御を行なう。
ECU30の入力ポートには、空燃比センサ29a、29bからSC5a、5b入口における排気空燃比を表す信号と、空燃比センサ31からNOX吸蔵還元触媒7出口における排気空燃比を表す信号と、サージタンク10aに設けられた吸気圧センサ37から機関の吸気圧力に対応する信号、及びアクセル開度センサ33から運転者のアクセルペダル踏込み量(アクセル開度)に応じた信号がそれぞれ入力されている他、機関クランク軸(図示せず)近傍に配置された回転数センサ35から機関クランク軸一定回転角度毎にクランク回転角パルス信号が入力されている。ECU30は、このパルス信号からクランク軸回転角を算出するとともに、パルス信号の周波数から機関回転数を算出する。
更に、ECU30の入力ポートにはコモンレール110に配置した燃料圧力センサ120からコモンレール110内の燃料圧力に対応する信号と、スロットル弁開度センサ15bからスロットル弁15の開度を表す信号が入力されている。
また、ECU30の出力ポートは、各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するために、図示しない燃料噴射回路を介して各気筒の燃料噴射弁111から114に接続されている他、スロットル弁15のアクチュエータ15bに図示しない駆動回路を介して接続されスロットル弁15の開度を制御している。
上記制御の他にECU30は、燃料圧力センサ120から入力したコモンレール110内燃料圧力信号に応じてコモンレール内燃料圧力が目標値になるように燃料ポンプ130の燃料圧送量をフィードバック制御している。なお、燃料ポンプ130からコモンレール110への燃料の圧送は、燃料噴射弁111〜114からの燃料噴射毎に行なわれる。
更に、ECU30の出力ポートは図示しない駆動回路を介して可変バルブタイミング装置200に接続されており、機関負荷状態(アクセル開度と機関回転数)とに応じて機関1のバルブタイミングを制御している。
本実施形態では、機関1の主燃料噴射、すなわち気筒内で燃焼させるための燃料の噴射は、機関負荷に応じて次の5つのモードに制御される。
1) リーン空燃比成層燃焼(圧縮行程1回噴射)
2) リーン空燃比均質混合気/成層燃焼(吸気行程/圧縮行程2回噴射)
3) リーン空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
4) 理論空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
5) リッチ空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
すなわち、機関1の軽負荷運転領域では、上記1)のリーン空燃比成層燃焼が行なわれる。この状態では、筒内燃料噴射は各気筒の圧縮行程後半に1回のみ行なわれ、噴射された燃料は気筒点火プラグ近傍に可燃混合気の層を形成する。また、この運転状態での燃料噴射量は極めて少なく、気筒内の全体としての空燃比は25から30程度になる。
また、上記1)の状態から負荷が増大して低負荷運転領域になると、上記2)リーン空燃比均質混合気/成層燃焼が行なわれる。機関負荷が増大するにつれて気筒内に噴射する燃料は増量されるが、上記1)の成層燃焼では燃料噴射を圧縮行程後半に行なうため、噴射時間が限られてしまい成層させることのできる燃料量には限界がある。そこで、この負荷領域では圧縮行程後半の燃料噴射だけでは不足する燃料の量を予め吸気行程前半に噴射することにより目標量の燃料を気筒に供給するようにしている。
吸気行程前半に気筒内に噴射された燃料は着火時までに極めてリーンな均質混合気を生成する。圧縮行程後半ではこの極めてリーンな均質混合気中に更に燃料が噴射され点火プラグ近傍に着火可能な可燃混合気の層が生成される。着火時にはこの可燃混合気層が燃焼を開始し周囲の希薄な混合気層に火炎が伝播するため安定した燃焼が行なわれるようになる。この状態では吸気行程と圧縮行程での噴射により供給される燃料量は1)より増量されるが、全体としての空燃比はやや低いリーン(例えば空燃比で20から30程度)になる。
更に機関負荷が増大すると、機関1では上記3)のリーン空燃比均質混合気燃焼が行なわれる。この状態では燃料噴射は吸気行程前半に1回のみ実行され、燃料噴射量は上記2)より更に増量される。この状態で気筒内に生成される均質混合気は理論空燃比に比較的近いリーン空燃比(例えば空燃比で15から25程度)となる。
更に機関負荷が増大して機関高負荷運転領域になると、3)の状態から更に燃料が増量され、上記4)の理論空燃比均質混合気運転が行なわれる。この状態では、気筒内には理論空燃比の均質な混合気が生成されるようになり、機関出力が増大する。また、更に機関負荷が増大して機関の全負荷運転になると、4)の状態から燃料噴射量が更に増量され5)のリッチ空燃比均質混合気運転が行なわれる。この状態では、気筒内に生成される均質混合気の空燃比はリッチ(例えば空燃比で12から14程度)になる。
本実施形態では、アクセル開度(運転者のアクセルペダル踏込み量)と機関回転数とに応じて予め実験等に基づいて最適な運転モード(上記1)から5))が設定されており、ECU30のROMにアクセル開度と機関回転数とを用いたマップとして格納してある。機関1運転中、ECU30はアクセル開度センサ33で検出したアクセル開度と機関回転数とに基づいて、現在上記1)から5)のいずれの運転モードを選択すべきかを決定し、それぞれのモードに応じて燃料噴射量、燃料噴射時期、回数及びスロットル弁開度を決定する。
すなわち、上記1)から3)のモード(リーン空燃比燃焼)が選択された場合には、ECU30は上記1)から3)のモード毎に予め準備されたマップに基づいて、アクセル開度と機関回転数とから燃料噴射量を決定する。又、上記4)と5)のモード(理論空燃比またはリッチ空燃比均質混合気燃焼)が選択された場合には、ECU30は上記4)と5)のモード毎に予め準備されたマップに基づいて、吸気圧センサ33で検出された吸気圧力と機関回転数とに基づいて燃料噴射量を設定する。
また、モード4)(理論空燃比均質混合気燃焼)が選択された場合には、ECU30は更に上記により算出した燃料噴射量を、機関排気空燃比が理論空燃比となるように空燃比センサ29a、29bの出力に基づいてフィードバック補正する空燃比制御を行なう。
スタートキャタリスト(SC)5a、5bは、ハニカム状に成形したコージェライト等の担体を用いて、この担体表面にアルミナの薄いコーティングを形成し、このアルミナ層に白金Pt、パラジウムPd、ロジウムRh等の貴金属触媒成分を担持させた三元触媒として構成される。三元触媒は理論空燃比近傍でHC、CO、NOXの3成分を高効率で浄化する。三元触媒は、流入する排気の空燃比が理論空燃比より高くなるとNOXの還元能力が低下するため、機関1がリーン空燃比運転されているときの排気中のNOXを充分に浄化することはできない。
本実施形態では、SC5a、5bは、主に冷間始動直後の機関1のリッチ空燃比運転時の排気浄化、及び通常運転時に機関1が理論空燃比で運転される場合の排気浄化を行なう。このため、SC5a、5bは機関始動後短時間で触媒の活性温度に到達し触媒作用を開始することができるように、排気通路2a、2bの機関1に近い部分に配置され、熱容量を低減するために比較的小容量のものとされている。
次に、本実施形態のNOX吸蔵還元触媒7について説明する。本実施形態のNOX吸蔵還元触媒7は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa 、リチウムLi 、セシウムCs のようなアルカリ金属、バリウムBa 、カルシウムCa のようなアルカリ土類、ランタンLa 、セリウムCe、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つの成分と、白金Ptのような貴金属とを担持したものである。NOX吸蔵還元触媒は流入する排気ガスの空燃比がリーンのときに、排気中のNOX(窒素酸化物)を硝酸イオンNO2 -の形で吸収し、流入排気ガスが理論空燃比以下(リッチ空燃比)になると吸収したNOXを放出するNOXの吸放出作用を行う。
この吸放出のメカニズムについて、以下に白金PtおよびバリウムBaを使用した場合を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
流入排気中の酸素濃度が増大すると(すなわち排気空燃比がリーンになると)、これら酸素は白金Pt上にO2 -またはO2-の形で付着し、排気中のNOXは白金Pt上のO2 -またはO2-と反応し、これによりNO2が生成される。また、流入排気中のNO2及び上記により生成したNO2は白金Pt上で更に酸化されつつ吸収剤中に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら硝酸イオンNO3 -の形で吸収剤内に拡散する。このため、リーン雰囲気下では排気中のNOXがNOX吸収剤内に硝酸塩の形で吸収されるようになる。
また、流入排気中の酸素濃度が大幅に低下すると(すなわち、排気空燃比が理論空燃比より小さく(リッチに)なると)、白金Pt上でのNO2生成量が減少するため、反応が逆方向に進むようになり、吸収剤内の硝酸イオンNO2 -はNO2の形で吸収剤から放出されるようになる。この場合、排気中にCO等の還元成分やHC、CO2等の成分が存在すると白金Pt上でこれらの成分によりNO2が還元される。
本実施形態では、前述のように通常運転においては機関1は高負荷運転を除いて大部分の負荷領域でリーン空燃比で運転され、NOX吸蔵還元触媒は流入する排気中のNOXを吸収する。また、機関1がリッチ空燃比で運転されると、NOX吸蔵還元触媒7は吸収したNOXを放出、還元浄化する。このため、従来リーン空燃比運転中にNOX吸蔵還元触媒7に吸収されたNOX量が増大すると、短時間機関空燃比をリーン空燃比からリッチ空燃比に切り換えるリッチスパイク運転を行い、NOX吸蔵還元触媒からのNOXの放出と還元浄化(NOX吸蔵還元触媒の再生)を行なうようにしている。
ところが、機関1のリッチスパイク運転を行なうとリーン空燃比からリッチ空燃比に切り換えた直後にNOX吸蔵還元触媒から未浄化のNOXが放出されることが判明している。これは、機関をリーン空燃比運転からリッチ空燃比運転に切り換える際に排気中のHC、CO成分が不足する場合が生じるためと考えられる。すなわち、リーンからリッチに切り換えの際排気空燃比は連続的に変化するが、この際にリッチ空燃比ではあるもののリッチの度合いが低く排気中のHC、CO成分が比較的少ない領域を通過するため、この領域では排気中のHC、CO成分が不足して、NOX吸蔵還元触媒から放出されたNOXの全量を還元できないためと考えられる。
そこで、本実施形態ではNOX吸蔵還元触媒からNOXを放出させるべきときには、主燃料噴射後の膨張または排気行程に二次燃料噴射を行って排気空燃比を急激にかなりのリッチ空燃比とすることにより、NOX吸蔵還元触媒からの未浄化のNOXの放出を防止している。主燃料噴射により気筒内に供給された燃料の燃焼後の膨張または排気行程に噴射された燃料は燃焼せずに高温の既燃ガスと接触して気化するとともに低分子量のHCを生成する。また、二次燃料噴射により供給された燃料は気筒内での燃焼に寄与しないため比較的多量の燃料を二次燃料噴射により供給しても機関出力トルク増大が生じない。
このため、NOX吸蔵還元触媒からNOXを放出させるべきときに二次燃料噴射を行なうことにより、機関出力トルクの変動を生じることなく排気空燃比を低い値まで急激に変化させることができる。これにより、NOX吸蔵還元触媒には中間の空燃比を経ることなく、リッチの程度の高い排気を供給することが可能となりNOX吸蔵還元触媒からのNOX放出時初期に未浄化のNOXが放出される事態が防止される。なお、NOX吸蔵還元触媒からのNOXの放出は二次燃料噴射のみによって行なうことも可能であるし、主燃料噴射量を増量して通常のリッチスパイクを行なう際にリッチスパイク初期のみ二次燃料噴射を行い排気空燃比を急激にリッチ空燃比に切り換えるようにしても良い。
ところが、二次燃料噴射を行なう際に二次燃料噴射により噴射された燃料の一部が気筒内に残留すると機関出力トルクの変動が生じる場合がある。前述のように、ECU30は機関負荷状態(アクセル開度、回転数)に基づいて必要とされる燃料量を算出し主燃料噴射により気筒に供給している。このため、二次燃料噴射による残留燃料が生じると、次のサイクルでは主燃料噴射により供給された燃料に加えて上記残留燃料が気筒内で燃焼することになり、必要量以上の燃料の燃焼により機関出力トルクが増大しトルク変動が生じる問題がある。
この問題は以下に説明する2つの方法により解決可能である。
(A) 二次燃料噴射により噴射された燃料の全量を排気行程中(排気弁開弁中)に気筒外に排出し残留燃料が生じないようにする。
(B) 残留燃料が生じた場合には、次回の主燃料噴射時の燃料噴射量を残留燃料分だけ減量補正し燃焼に寄与する燃料量が主燃料噴射の目標噴射量と一致するようにする。
以下、それぞれの方法をとった場合の実施形態について説明する。
(1)第1の実施形態
本実施形態は特許請求の範囲に記載した発明とは直接関係しない参考実施形態である。
本実施形態では、二次燃料噴射により噴射された燃料の全量を排気行程中に気筒外に排出することにより、二次燃料噴射による機関出力トルクの変動を防止している。
図2は、機関1の気筒の縦断面を示す図である。図2は#1気筒の断面を示すが、#2〜#4気筒の構成も図2と同様となっている。
図2において、10は気筒燃焼室、11はピストン、13は吸気ポート、13aは吸気弁、15は排気ポート、15aは排気弁をそれぞれ示している。また、111は筒内燃料噴射弁、17はシリンダヘッド気筒中央部に設けられた点火プラグである。本実施形態では、ピストン11の頂面には凹上のピストンキャビティ11aが設けられている。キャビティ11aは、リーン空燃比運転時の圧縮行程後半に燃料噴射弁111から噴射された燃料を点火プラグ17近傍に集中させてプラグ17近傍に可燃空燃比の混合気層を生成する役割を果たしている。
すなわち、前述の1)リーン空燃比成層燃焼(圧縮行程1回噴射)及び、2)リーン空燃比均質混合気/成層燃焼(吸気行程/圧縮行程2回噴射)の主燃料噴射においては、圧縮行程後半にピストンが充分に上昇した位置に来たときに筒内燃料噴射111から比較的貫徹力の強い(噴射圧の高い)燃料がピストンキャビティ11aに向けて噴射される。
この時、噴射された燃料はピストンキャビティ11a表面に到達し、キャビティ11aの曲面に沿って流れる。キャビティ11aの燃料噴射弁111から遠い側の側面11bは比較的曲率が大きく(曲率半径が小さく)形成されており、キャビティ11aの表面に沿って流れる燃料を点火プラグ17近傍に向けて偏流するようになっている。これにより、燃料噴射弁111から噴射された燃料が点火プラグ17近傍に成層するようになる。
本実施形態では、このピストンキャビティ11aを利用して二次燃料噴射により噴射された燃料の全量を排気ポート15から排出するようにしている。すなわち、本実施形態では燃料噴射タイミングは排気行程後半の、主燃料噴射が行なわれる燃料噴射タイミングからクランク角で360度遅れた時点に設定される。これにより、二次燃料噴射実行時にはピストン11は混合気を成層させるための主燃料噴射(以下「圧縮行程燃料噴射」という)実施時と同一の位置になっている。このため、二次燃料噴射により噴射された燃料は主燃料噴射と同様に曲面11bにより偏流され、点火プラグ17近傍(すなわち排気ポート13)に向けて流れることになる。
ところが、排気行程後半では排気弁15aが開弁しているため、上記により偏流された二次噴射燃料は図2にFで示したように点火プラグ17周りに成層することなく、その全量が排気ポート13から気筒外に排出されるようになる。このため、二次燃料噴射による気筒内残留燃料が生じることが防止される。なお、この場合噴射された燃料がピストンキャビティ11a表面に接触することになるが、運転中ピストンは高温になっているためキャビティ11a表面に接触した燃料は直ちに気化し、キャビティ11a表面に付着、残留することはない。
ところで、上記のように二次燃料噴射により噴射された燃料の全量を気筒外に排出させるためには、排気行程時に吸気弁13aが開弁を開始するまでの間に燃料の全部を排気ポート15から排出し終わる必要がある。排気弁15aと吸気弁13aとが同時に開弁している期間(バルブオーバラップ期間)に気筒内に燃料が残っていると、燃料の一部が吸気ポートに逆流し次の吸気行程で再度気筒内に流入するようになり二次噴射燃料の一部が気筒内に残留する可能性があるためである。また、本実施形態の機関1は可変バルブタイミング装置200を備えており、機関負荷状態に応じてバルブタイミングが変更される。そこで、本実施形態では二次燃料噴射実行時に吸気弁の開弁タイミングを読み込み、二次燃料噴射量を吸気弁開弁タイミングに応じて変更することにより、二次燃料噴射により噴射された燃料が吸気ポートに逆流して気筒内に残留することを防止している。
図3は、本実施形態における燃料噴射制御操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU30によりクランク軸一定回転角毎に実行されるルーチンにより行なわれる。
図3において操作がスタートすると、ステップ301では二次燃料噴射が要求されているか否かが判定される。本実施形態では、別途実行される図示しないルーチンによりNOX吸蔵還元触媒7に吸収されたNOX量を機関運転状態に基づいて推定しており、吸収NOX量が所定値に到達した場合に二次燃料噴射(リッチスパイク)が要求される。
なお、NOX吸収量を推定する代わりに、前回のNOX放出操作実行時から一定時間が経過したとき、或いは前回NOX放出操作実行時からの機関回転数積算値が所定値に到達したときにNOX吸蔵還元触媒の吸収NOX量が所定値に到達したと仮定して二次燃料噴射を要求するようにしても良い。
ステップ301で二次燃料噴射が要求されていない場合には本操作はステップ303から321を実行することなく直ちに終了し、二次燃料噴射は実施されない。一方、ステップ301で二次燃料噴射が要求されている場合には、次にステップ303が実行され二次燃料噴射量の目標値qinjexが算出される。ステップ303では、機関1回転当たりに気筒に吸入される空気量Qと主燃料噴射量とから所望の空燃比を得るために必要な二次燃料噴射量qinjexを算出する。
本実施形態では、予め実験により機関回転数Nと負荷(アクセル開度)ACCPと機関1回転当たりの気筒吸入空気量Qとの関係を求め、N、ACCPを用いた数値マップの形でECU30のROMに格納してある。また、主燃料噴射量も同様にN、ACCPの数値マップとしてECU30のROMに格納してある。従って、ステップ303では現在の負荷条件(N、ACCP)を用いてこれらの数値マップから吸入空気量Qと主燃料噴射量とを算出し、排気空燃比を目標値にするのに必要とされる二次燃料噴射量qinjexを算出する。
二次燃料噴射量qinjex算出後、ステップ305では、算出された二次燃料噴射量qinjex(ml)をコモンレール110内燃料圧力と筒内燃料噴射弁の特性値とを用いて燃料噴射時間(燃料噴射弁開弁時間)tauex (ms)に換算する。
そして、ステップ307では現在可変バルブタイミング装置200により設定されている吸気弁開弁時期(クランク角)IOを読み込み、ステップ309では現在許容可能な最大二次燃料噴射時間(ガード値)tauexmax を算出する。
本実施形態では、前述したように燃料噴射弁から二次燃料噴射により噴射された燃料の全量が吸気弁開弁前に気筒外に排出される必要がある。また、本実施形態では二次燃料噴射のタイミングは固定されている( 圧縮行程噴射タイミングから360度遅れ)。このため、噴射した燃料の全量を吸気弁開弁前に気筒外に排出するためには燃料噴射量の最大値を制限する必要がある。ステップ309では、ステップ307で読み込んだ吸気弁開弁クランク角IOと二次燃料噴射開始クランク角ainjc +360 との差(ainjcは圧縮行程主燃料噴射タイミング) と現在の機関回転数Nとを用いて、燃料噴射開始から吸気弁開弁までの時間 t1(ms)を算出する。
また、二次燃料噴射最終段階で噴射された燃料が排気ポートから排出されるためには燃料噴射弁から排気ポートまでの飛行に要する時間t2が必要となる。ここで、t2はコモンレール110内圧力により定まる。従って、本実施形態では、燃料噴射弁からの燃料噴射は開始後(t1−t2)の時間内に終了しなければ気筒内に残留燃料が生じる可能性がある。そこで、ステップ309では、吸気弁開弁クランク角IO、機関回転数N、コモンレール内燃料圧力とを用いて上記t1とt2を算出し、最大燃料噴射時間tauexmaxを、tauexmax=t1−t2として算出している。
次いで、ステップ311から317ではステップ305で設定した目標二次燃料噴射時間tauex を最大値tauexmaxと最小値tauminとで制限し、taumin≦tauex ≦tauexmaxの範囲にtauex の値を設定する。最小値tauemin は、燃料噴射弁111の制御可能な最小開弁時間であり、燃料噴射弁111の特性値である。
そして、ステップ319では二次燃料噴射開始タイミングainjexを、ainjex=ainjc +360 に設定するとともに、ステップ321で図示しない燃料噴射回路にainjexとtauex とをセットする。これにより、二次燃料噴射はクランク角ainjexで開始されtauex の時間噴射が行なわれる。
上述のように、本実施形態ではピストンキャビティ11aを利用して二次燃料噴射により噴射された燃料を排気ポート13に偏流するとともに、機関負荷状態とバルブタイミングとに応じて燃料噴射量を制御することにより、二次燃料噴射により噴射された燃料の全量を排気行程中に気筒外に排出することを可能としている。
なお、図2の例ではピストン頂面に形成されたキャビティ11aにより二次燃料噴射により噴射された燃料の流れを排気ポートに向けて偏流しているが、他の手段を用いて燃料の流れを排気ポートに向けて偏流するようにしても良い。
例えば、燃料噴射弁を加圧空気を燃料とともに噴射するエアアシスト弁として構成し、二次燃料噴射時にのみ加圧空気を排気ポート側に向けて噴射することにより噴射された燃料をアシストエアにより排気ポート側に偏流するようにすることも可能である。
また、1つの燃料噴射弁で主燃料噴射と二次燃料噴射とで噴射方向を切り換えることが可能な構造を有する場合には、二次燃料噴射のときに燃料噴射方向を排気ポートまたは排気ポートに向かう偏流に向けて切り換えるようにしても良い。
更に、図2の例では主燃料噴射と二次燃料噴射とを同一の燃料噴射弁で行なっているが、主燃料噴射用の燃料噴射弁とは別に二次燃料噴射専用の副燃料噴射弁を設け、この副燃料噴射弁の噴射方向を排気ポートに向けて設定するようにしても良い。
更に、ピストンキャビティの代わりに、二次燃料噴射時のみ気筒内に突出する偏流板を設け、二次燃料噴射により噴射された燃料の流れをこの偏流板に衝突させて燃料を排気ポートに向けて流すようにしても良い。
(2)第2の実施形態
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態は特許請求の範囲に記載した発明とは直接関係しない参考実施形態である。
上述の第1の実施形態と同様、本実施形態においても二次燃料噴射により噴射された燃料の全量を排気行程中に気筒外に排出することにより、二次燃料噴射による機関出力トルクの変動を防止している。
図4は、機関1の気筒断面を示す図2と同様な図である。図4において、図2と同一の参照符号は図2と同一の要素を示している。
本実施形態では、二次燃料噴射はピストンが下死点に近い位置にある排気行程の早い時期に行い、二次燃料噴射の噴射圧力(コモンレール圧力)は主燃料噴射時の圧力に較べて低く設定する。このように、排気行程の早い時期では気筒内の既燃ガスの圧力が高く、図4に矢印で示すように排気ポートに向かう比較的強い排気流が気筒内に生じている。この時期に比較的低い噴射圧力で二次燃料噴射を行なうと、図4にFで示すように、噴射された燃料は気筒内の排気流を貫徹してシリンダ壁やピストンに到達することなく気筒中央付近で排気流に乗り排気ポートに搬送される。このため、噴射された燃料がシリンダ壁やピストン、シリンダヘッド等に付着することなく二次燃料噴射により噴射された燃料の全量が排気行程中に気筒外に排出され、気筒内に残留燃料が生じない。
前述の実施形態においては、吸気弁開弁までに二次燃料噴射により噴射された燃料の全量を気筒外に排出するために、機関運転状態(負荷状態)とバルブタイミングとに応じて二次燃料噴射量を制御していたが、本実施形態においては二次燃料噴射のタイミングが重要となる。すなわち、燃料噴射タイミングが遅くなると噴射した燃料の一部が吸気ポートに逆流する可能性があり、燃料噴射タイミングが早過ぎると噴射燃料が気筒内に拡散してしまい、全量が排気流に乗って気筒外に排出されなくなるおそれがあるためである。以下、本実施形態における燃料噴射タイミングの制御について説明する。
図5は本実施形態における燃料噴射制御操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU30によりクランク軸一定回転角毎に実行されるルーチンにより行なわれる。
図5において操作がスタートすると、ステップ501では二次燃料噴射の要否が判定され、ステップ503では二次燃料噴射量の目標値qinjexが算出され、更にステップ505では目標噴射量qinjexから噴射時間tauex が算出される。ステップ503の目標噴射量qinjexとステップ505の噴射時間tauex との算出は、それぞれ図3ステップ303、305と同一の方法で行なわれるが、本実施形態では二次燃料噴射時には主燃料噴射時よりコモンレール110圧力が低くなるように制御されるため、図3の場合と目標噴射量qinjexが同一であった場合でも噴射時間tauex は図3の場合より大きくなる。
上記によりqinjexとtauex 算出後、本実施形態ではステップ507で現在の吸気弁開弁時期(クランク角)IOと排気弁開弁時期(クランク角)EOとが読み込まれ、ステップ509では燃料噴射弁111から噴射された燃料が排気ポートから排出されるまでの飛行時間t2が、t2=α+βとして算出される。ここで、αは燃料噴射弁1112から噴射された燃料が気筒中央部に到達するのに必要な時間であり、コモンレール110圧力(燃料噴射圧力)に比例した時間となる。また、βは中央部に到達した燃料が排気流に乗って排気ポートから排出されるのに必要な時間であり、機関回転数Nに比例した時間となる。
ステップ509で飛行時間t2を算出後、ステップ511では二次燃料噴射時間の最大値(ガード値)tauexmaxが、tauexmax=t3−t2として算出される。
ここで、t2は排気弁が開弁してから吸気弁が開弁するまでの時間であり、ステップ507で読み込んだ吸排気弁の開弁タイミングIO、EOと機関回転数Nとを用いて算出される。すなわち、tauexmaxは排気弁が開弁したと同時に二次燃料噴射を行なった場合に、吸気ポートに噴射燃料が逆流を生じることなく全量を気筒外に排出可能な最大燃料噴射量に対応する噴射時間である。
ステップ511でtauexmax算出後、ステップ513からステップ517では、ステップ505で算出した目標噴射時間tauex を最大値tauexmaxと最小値tauminとで制限し、ステップ521では吸気弁開弁時期IOと機関回転数N及び制限後のtauex とに基づいて、二次燃料噴射開始タイミングainjexが算出される。すなわち、二次燃料噴射開始タイミングは、吸気弁開弁時期より(tauex +t2)だけ早い時期、すなわち、二次燃料噴射終了時に噴射された燃料が吸気弁開弁直前に排気ポートから排出されるタイミングに開始される。つまり、本実施形態では二次燃料噴射量が多いほど二次燃料噴射タイミングは進角されることになる。これにより、二次燃料噴射により噴射された燃料は吸気弁が開弁する前にその全量が排気ポートに到達するようになるとともに、二次燃料噴射タイミングが早くなり過ぎて噴射された燃料が気筒内に拡散してしまうことが防止される。
なお、上述の第2の実施形態では筒内燃料噴射弁111の燃料噴射方向は図2の実施形態のものと同一であったが、例えば図6に示すようにシリンダヘッドの気筒中央部に下向きに筒内燃料噴射弁を設け、二次燃料噴射時には低い燃料噴射圧力で燃料を気筒中央部に向けて噴射するようにすると残留燃料防止効果が更に高まるようになる。
(3)第3の実施形態
次に第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、特許請求の範囲に記載した発明に対応する実施形態である。
本実施形態では、二次燃料噴射実施時に二次燃料噴射により噴射された燃料の一部が気筒内に残留することを前提として、残留燃料量を機関運転状態から算出するとともに、次回の主燃料噴射時の燃料噴射量を残留燃料分だけ減量補正するようにしている。これにより、主燃料噴射時に気筒内に供給される(燃焼に寄与する)燃料量が主燃料噴射の目標噴射量と正確に一致するようになる。これにより、二次燃料噴射実施時に残留燃料が生じた場合でも機関出力トルク変動が生じることが防止される。
まず、最初に本実施形態における二次燃料噴射における残留燃料量の算出方法について説明する。
図7は、機関を所定の一定回転数で運転した場合の機関出力トルク(縦軸)と主燃料噴射量(横軸)との関係を示すグラフである。図7において、カーブIは主燃料噴射のみで二次燃料噴射を実行しない場合の出力トルクと主燃料噴射量との関係を、また、カーブIIは主燃料噴射に加えて二次燃料噴射を実行した場合の出力トルクと主燃料噴射量との関係を示している。なお、前述したように二次燃料噴射量はそれぞれの場合において排気空燃比を目標の空燃比にするために必要な量に設定しており、機関負荷(主燃料噴射)と回転数とから決定される。また、この場合には二次燃料噴射タイミングは前述のいずれかの方法で設定しても良いし、一定の適宜なクランク角に固定しても良い。
前述したように、本来二次燃料噴射による残留燃料が生じなければ二次燃料噴射の有無にかかわらず機関出力トルクは同一となる。しかし、二次燃料噴射により残留燃料が生じると二次燃料噴射実施時の機関出力トルクは残留燃料の量に相当する分だけ増大する(図7カーブII)。
すなわち、ある主燃料噴射量において二次燃料噴射時に図7にaで示すだけ出力トルクが増大したとする。また、このときの出力トルク増大量は主燃料噴射量を図7にbで示す量だけ増大させた場合と等しいとする。この場合、出力トルク増大量aは二次燃料噴射による気筒内残留燃料の燃焼により生じているのであるから、残留燃料量は同じだけ出力トルクを増大させるのに必要な主燃料噴射量、すなわち図7bに示す燃料量に等しくなるはずである。従って本実施形態では、二次燃料噴射による出力トルクの増大量が図7にaで示す量であった場合には、図7にbで示す量を気筒内残留燃料量に等しいと仮定して残留燃料量を推定する。
すなわち、本実施形態では予め機関の各回転数と後述の1)から5)の燃料噴射モードとの組み合わせ毎に図7に相当するカーブを実験等により作成し、それぞれの主燃料噴射量における残留燃料量(図7、b)を算出してある。そして、残留燃料量bの値を機関回転数Nと主燃料噴射量(qinj =qinjei+qinjec)とをパラメータとして用いた数値マップとして各燃料噴射モード毎に作成し、ECU30のROMに格納してある。機関運転中ECU30は機関回転数Nと主燃料噴射量qinjとに基づいて二次燃料噴射実施時の気筒内残留燃料量を算出するようにしている。なお、qinjeiは吸気行程中の第1主燃料噴射における噴射量、qinjecは圧縮行程における第2主燃料噴射における噴射量、qinjは両方の合計量である。
本実施形態においても、機関1の燃料噴射モードは下記の5種類とされている。
1) リーン空燃比成層燃焼(圧縮行程1回噴射)
2) リーン空燃比均質混合気/成層燃焼(吸気行程/圧縮行程2回噴射)
3) リーン空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
4) 理論空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
5) リッチ空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)
本実施形態では、モード3)(吸気行程/圧縮行程2回噴射)の場合には、上記補正は吸気行程噴射における燃料噴射量を残留燃料分だけ減量することにより行う。残留燃料は気筒内に拡散して均質混合気の一部となり気筒内に形成される均質混合気の空燃比が直接的に影響を受ける。本実施形態では、これを防止するため、均質混合気を生成する吸気行程燃料噴射の量を残留燃料分だけ減量することにより、実際に生成される均質混合気の空燃比を目標値に維持するようにしているのである。
図8は、本実施形態の主燃料噴射制御操作を説明するフローチャートである。本操作は、機関クランク軸一定回転角毎に実行される。
図8において、操作がスタートするとステップ801では機関負荷(アクセル開度)ACCPと回転数Nとが読み込まれる。そして、ステップ803、811、823ではアクセル開度ACCPと回転数Nとに基づいて上記1)から4)のいずれの燃料噴射モードを採用するかが決定される。
すなわち、ステップ803では燃料噴射モード3)リーン空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)または4)理論空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)またはリーン空燃比均質混合気燃焼(吸気行程1回噴射)を採用すべきか否かがACCPとNとから判定され、モード3)または4)、5)を採用すべき場合には、ステップ805でACCPとNとに基づいて予めECU30のROMに格納した数値マップから吸気行程燃料噴射量qinjeiが算出され、ステップ807では圧縮行程燃料噴射量qinjecは0に設定される。
次いで、ステップ809ではqinjeiとqinjecとの合計qinjを算出するとともに、二次燃料噴射を実施した場合の気筒内残留燃料量bが回転数Nと主燃料噴射量qinjとに基づいて燃料噴射モード3)又は4)における図7の関係から算出される。そして、ステップ817では現在二次燃料噴射の要求があるか否かを判断し、要求があった場合にはステップ819に進み吸気行程燃料噴射量qinjeiを残留燃料量bだけ減量補正し、ステップ821では補正後の吸気行程燃料噴射量qinjeiと圧縮行程燃料噴射量qinjec(この場合はqinjec=0)を燃料噴射回路にセットして操作を終了する。これにより、二次燃料噴射実施時には主燃料噴射量は残留燃料量bだけ減量補正されるため、二次燃料噴射実施時にも機関出力トルク変動が生じることが防止される。
一方、ステップ803で燃料噴射モード3)、4)、5)のいずれもが採用されなかった場合には、ステップ811に進み、燃料噴射モード2)(リーン空燃比均質混合気/成層燃焼(吸気行程/圧縮行程2回噴射))を採用すべきか否かが判断され、モード2)が採用された場合には、ステップ813でACCPとNとに基づいて予めECU30のROMに格納した数値マップから吸気行程燃料噴射量qinjeiと圧縮行程燃料噴射量qinjecとが算出される。そして、ステップ815ではモード2)における図7の関係から二次燃料噴射実施時の残留燃料量bを算出し、前述のステップ817以下の操作を行なう。すなわち、この場合も吸気行程燃料噴射量qinjeiのみが残留燃料量bだけ減量補正され、圧縮行程燃料噴射量qinjecの補正は行なわない。
一方、ステップ803と801で燃料噴射モード2)から5)のいずれもが採用されなかった場合には、燃料噴射モード1)(リーン空燃比成層燃焼(圧縮行程1回噴射))が採用され、ステップ823ではACCとNとに基づいて圧縮行程燃料噴射量qinjecが算出され、吸気行程燃料噴射量qinjeiは0に設定される。また、この場合もステップ827ではモード1)における図7の関係から二次燃料噴射実施時の残留燃料量bを算出し、ステップ829では二次燃料噴射要求があるか否かを判定する。そして、この場合には二次燃料噴射要求があったときにはステップ831で圧縮行程燃料噴射量qinjecを残留燃料bだけ減量補正してステップ821を実行する。
本実施形態では、上述したように二次燃料噴射による残留燃料量に応じて主燃料噴射量を補正することにより、二次燃料噴射により機関出力トルク変動が生じることが防止される。また、上記補正の際にモード3)(吸気行程と圧縮行程との両方の燃料噴射が行なわれる場合)には吸気行程燃料噴射量のみを補正するようにしたことにより、均質空燃比混合気の空燃比が目標値に一致するようになる。
なお、本実施形態では、予め実験により求めた主燃料噴射量と気筒内残留燃料量との関係を用いて1サイクル毎に補正を行なっているが、実際に気筒内残留燃料により生じる機関出力トルク変化(図7にaで示す変動)を機関回転数変動や気筒内燃焼圧力の変化等から検出し、このトルク変化量に基づいて図7の関係から主燃料噴射量の補正量bを算出するようにしても良い。この場合には、主燃料噴射量の補正はトルク変化を検出したサイクルの次のサイクルで行なわれることになる。
また、上述の各実施形態は機関運転状態に応じて燃料噴射モードを切り換える機関について説明しているが、燃料噴射モードが吸気行程燃料噴射または圧縮行程燃料噴射、又は両方(2回噴射)に固定された機関にも本発明が適用できることはいうまでもない。
更に、上記各実施形態では、NOX吸蔵還元触媒を排気通路に配置した場合を例にとって説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく二次燃料噴射を実施する全ての場合において適用可能であることはいうまでもない。例えば、排気通路にリーン空燃比下で選択的に排気中のHC(または触媒に吸着したHC)とNOXとを反応させることによりNOXを還元する選択還元触媒を配置したような場合には、選択還元触媒にHCを供給する必要が生じるが、本発明は、二次燃料噴射により選択還元触媒にHCを供給するような場合にも適用可能である。
本発明を自動車用ガソリン機関に適用した場合の実施形態の概略構成を説明する図である。 本発明の参考実施形態を説明する気筒縦断面図である。 図2の参考実施形態の二次燃料噴射制御操作を説明するフローチャートである。 本発明の別の参考実施形態を説明する気筒縦断面図である。 図4の参考実施形態の二次燃料噴射制御操作を説明するフローチャートである。 図4の参考実施形態の変形例を説明する図4と同様な図である。 本発明の実施形態の残留燃料量の算出方法を説明する図である。 図7の実施形態の主燃料噴射制御操作を説明するフローチャートである。
符号の説明
1…機関本体
11…ピストン
11a…ピストンキャビティ
15…排気ポート
15a…排気弁
111〜114…筒内燃料噴射弁
200…可変バルブタイミング装置
30…エンジンコントロールユニット(ECU)
7…NOX吸蔵還元触媒
F…噴射された燃料

Claims (2)

  1. 内燃機関の気筒に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁と、
    前記筒内燃料噴射弁を制御して、気筒内の燃焼に寄与する燃料を噴射する主燃料噴射を行なうとともに、必要に応じて主燃料噴射の後の膨張行程または排気行程中に気筒内の燃焼に寄与しない燃料を噴射する二次燃料噴射を行なう燃料噴射制御手段と、を備え、
    前記燃料噴射制御手段は直前の二次燃料噴射により噴射された燃料のうち、気筒内に残留している燃料量を算出するとともに、該残留燃料量に応じて前記主燃料噴射の噴射量を補正する内燃機関の燃料噴射装置。
  2. 内燃機関の気筒に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁と、
    前記筒内燃料噴射弁を制御して、気筒内の燃焼に寄与する燃料を噴射する主燃料噴射を行なうとともに、必要に応じて主燃料噴射の後の膨張行程または排気行程中に気筒内の燃焼に寄与しない燃料を噴射する二次燃料噴射を行なう燃料噴射制御手段と、を備え、
    前記燃料噴射制御手段は必要に応じて前記主燃料噴射を、気筒内に均質混合気を生成させるための第1主燃料噴射と可燃混合気の層を生成させるための第2主燃料噴射とに分けて2回行い、前記二次燃料噴射実行時には、直前の二次燃料噴射により噴射された燃料のうち、気筒内に残留している燃料量を算出し、該残留燃料量に応じて前記第1主燃料噴射の噴射量を補正する内燃機関の燃料噴射装置。
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