JP3955379B2 - C型肝炎ウイルス除去用吸着材、吸着装置及び吸着方法 - Google Patents

C型肝炎ウイルス除去用吸着材、吸着装置及び吸着方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液、血漿等の体液中に存在するC型肝炎ウイルスを選択的に吸着除去することにより、C型肝炎の治療を促進させるC型肝炎ウイルス除去用吸着材、この吸着材を用いた吸着装置、及び、C型肝炎ウイルスの吸着除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1989年、C型肝炎ウイルスのRNAウイルスゲノムのクローン化が発表され(Q.L.Chooら;Science,244,359(1989))、これを基に組換え体を用いたC型肝炎ウイルスの抗体の測定が可能となった。その結果、従来非A非B型肝炎とされていた肝炎の殆どがC型肝炎であることが判明すると共に、現在本邦にはC型肝炎ウイルスのキャリアーが約200万人、その内140万人が慢性肝炎、30万人が肝硬変の罹病者であると推定されるようになってきた。(飯野四郎:消化器診療プラクティス2.C型肝炎,11−17(1993))。
【0003】
また、厚生省の人口動態統計によれば、1992年の原発性肝癌による死亡者数は年間2.7万人と報告されている(平成4年人口動態統計.厚生省大臣官房統計情報部編,上巻,(1993))が、この約7割はC型肝炎ウイルス感染が原因となる肝細胞癌であり、慢性肝炎から肝硬変をへて発生するものと考えられてきている(S.Kanekoら;Intervirology,37,108(1994)),松下栄紀ら;日本臨床53,727(1995増刊))。従って、C型肝炎は肝硬変、肝細胞癌へと進む難治性の疾患と言える。
【0004】
C型肝炎の治療は、従来安静療法、食事療法及び肝庇護剤や漢方薬を中心とした薬物療法が主なものであったが、これらの治療法では肝炎ウイルスを排除できないため、治癒例は極めて少なく、肝壊死の軽減による慢性肝疾患の進展抑制に主眼が置かれていた。従って、長期化に伴い最終的には前述のごとく、肝硬変や肝細胞癌へと不幸な転帰を迎える症例が多い。
【0005】
一方、最近、インターフェロンの大量生産が可能となり、しかもこれらの蛋白質がC型肝炎ウイルスと近縁のRNA型ウイルスにもin vitroで抗ウイルス活性を示したのみならず(二宮康行ら;基礎と臨床,19,231(1985))、RNA型ウイルス感染マウスにおいても感染防御効果を示したことから(M.Kramerら;J.Interferon Res.,3,425(1983))、臨床でのC型肝炎に対する効果が期待された。
【0006】
実際に、組換え型インターフェロン−αによる非A非B型肝炎疾患への治療で血清トランスアミナーゼ値が正常化することが見い出され(J.H.Hoofnagelら;N.Eng.J.Med.,315,1575(1986))、又C型肝炎患者への投与で、C型肝炎ウイルスRNAが血中から持続的に陰性化する症例も認められたことから(K.Chayamaら;Hepatology,13,1040(1991)、萩原秀紀ら;日消誌,88,1420(1991))、現在では広く臨床使用されるようになってきた。即ち、C型肝炎治療は従来の対症療法から原因療法へ大きく進歩したと言える。
【0007】
しかしながら、本邦でこれまで数年間に実施した約20万人のC型慢性活動性肝炎患者でのインターフェロン療法の治療成績では、ウイルスを排除し、治癒できたのは全体の約30%程度であり、残り約70%の患者では肝炎ウイルスが生き残り、無効又は再発の症例となっている(矢野右人;日本臨床,53,986(1995増刊))。
【0008】
この治療効果の可否には、C型肝炎ウイルス遺伝子型、血液中のウイルス量、肝病変の進展度が重要な因子となっているが、中でも血液中のウイルス量が最も重要な因子となっている。例えば、患者の血液1mL中のウイルス量が100万コピー未満の場合にはインターフェロンの投与で約80%の患者の体内ウイルスが完全に排除でき、治癒したのに対し、100万コピー以上の場合には9%程度の治癒例にしかならなかった(今関文夫ら;日本臨床,53,1017(1995))。
【0009】
また、上記ウイルス量に加えて、本発明者らは、血液中でのウイルス粒子の存在様式もインターフェロン治療効果に対して重要な因子となっていることを見い出した。即ち、C型肝炎ウイルス粒子は、血液中ではその浮遊密度により、感染性の高い、軽い粒子と感染性の低い、重い粒子とに分類されることが報告されているが、この密度の異なるウイルス粒子と病態、インターフェロン治療との関係に注目し研究した結果、軽いウイルス粒子と重いウイルス粒子の患者血液中での存在比が10対1の患者の場合、インターフェロン治療で75%の患者に治癒例が認められるのに対し、1対10の患者では13%にしか治癒例は認められなかった。
【0010】
更に軽いウイルス粒子は血液中のリポ蛋白と結合しており、重いウイルス粒子は免疫グロブリンと結合した免疫複合体型の粒子として存在していることも明らかとなった。(酒井明人ら;日消誌,92(臨床増刊号),1488(1995))。
【0011】
従って、現在のインターフェロン療法は、血液中のウイルス量が少ないほど、また免疫グロブリンと結合した免疫複合体型ウイルス量が少ないほど治療効果は高いが、血液中のウイルス量が高いほど、更には免疫複合体型ウイルス量が多いほど治癒効果は極めて低下するという問題点が明らかとなった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題に鑑み、インターフェロンの治療効果をより高めるために、患者血液中のC型肝炎ウイルス、特に免疫複合体型C型肝炎ウイルスを、効率良く選択的に吸着除去でき、かつ安全性に優れたC型肝炎ウイルス除去用吸着材を提供し、更に、この吸着材を用いた吸着装置及びC型肝炎ウイルスの吸着除去方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成せんとして、各種化合物を水不溶性担体に結合させ、患者血液と接触させることにより、C型肝炎ウイルスに対しては高い吸着活性を有するが、アルブミン等の蛋白質に対しては吸着活性を有しない化合物を取得すべく、鋭意研究を進めてきた。その結果、水不溶性担体に、C型肝炎ウイルスに吸着能力を有する化合物、特に、免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に結合活性を有する化合物を固定化した吸着材が、著しく優れたC型肝炎ウイルス吸着能を持つという事実を見い出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、C型肝炎ウイルスに吸着能力を有する化合物を水不溶性担体に固定化してなるC型肝炎ウイルス除去用吸着材である。
以下に本発明を詳述する。
【0014】
本発明のC型肝炎ウイルス除去用吸着材は、水不溶性担体に、C型肝炎ウイルスに吸着能力を有する化合物を固定化してなる。
上記C型肝炎ウイルスに吸着能力を有する化合物としては、C型肝炎ウイルスに吸着活性を有する化合物であれば特に限定されないが、より好ましくは、上記C型肝炎ウイルスに吸着能力を有する化合物は、免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に結合活性を有する化合物である。
【0015】
免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体が結合したC型肝炎ウイルスに吸着能力を有する化合物として、より好ましいものは、C型肝炎ウイルスを吸着除去するにあたり、免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体が結合したC型肝炎ウイルスを優先的、かつ効率的に吸着除去できる化合物である。
【0016】
上記免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に結合活性を有する化合物は、より好ましくは、免疫グロブリン結合蛋白である。
上記免疫グロブリン結合蛋白として、例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインH、プロテインL、プロテインM、リウマチ因子、補体等を挙げることができる。
【0017】
上記免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に結合活性を有する化合物は、より好ましくは、抗免疫グロブリン抗体である。
上記C型肝炎ウイルスに吸着能力を有する化合物は、より好ましくは、上記免疫グロブリン結合蛋白及び/又は抗免疫グロブリン抗体の一部であり、かつ、免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に対する結合部位を含有する蛋白断片若しくはペプチド、又は、それらの誘導体である。
上記水不溶性担体の好ましい一つの形態は、多孔質である。
【0018】
上記多孔質の水不溶性担体の平均孔径は、10〜1500nmが好ましい。
上記水不溶性担体の好ましい一つの形態は、実質的に非多孔質であることである。また、上記水不溶性担体は、親水性であることが好ましい。
【0019】
本発明のC型肝炎ウイルス除去用吸着材は、血液、血漿、その他の体液中に存在するC型肝炎ウイルスを吸着除去するために用いることができる。
本発明のC型肝炎ウイルス除去用吸着材は、血液、血漿、その他の体液中に存在する免疫複合体型ウイルスを吸着除去するために用いることができる。
【0020】
本発明のC型肝炎ウイルス吸着装置は、上記のいずれか記載のC型肝炎ウイルス除去用吸着材が、液体の入口、出口を有する容器内に含まれており、そして上記C型肝炎ウイルス除去用吸着材の容器外への流出防止手段が備えられていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明のC型肝炎ウイルス吸着方法は、上記のいずれか記載のC型肝炎ウイルス除去用吸着材とC型肝炎ウイルスを含有する液体とを接触させる工程を含むことを特徴とするものである。
本発明のC型肝炎ウイルス吸着方法においては、上記C型肝炎ウイルスを含有する液体としては、例えば、血液、血漿、その他の体液等を挙げることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明に用いられるC型肝炎ウイルスに吸着能力を有する化合物とは、実質的にC型肝炎ウイルスを吸着する能力を有する化合物を言い、特定の化合物に限定されるものではないが、好ましくは、免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体中の重鎖部分又は軽鎖部分に特異的に結合する物質であることが好ましい。
【0023】
上記免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体中の重鎖部分又は軽鎖部分に特異的に結合する物質としては、例えば、免疫グロブリンGの重鎖中のFc領域に結合活性を有する、プロテインA、プロテインG、プロテインH、プロテインM、リウマチ因子、補体、又は軽鎖に結合活性を有するプロテインL等、一般に免疫グロブリン結合蛋白と称されている化合物(L.Bjorck:J.Immunol.,140,1194(1988),H.Gomiら:J.Immunol.,144,4046(1990),土居尚之:免疫臨床,23,896,(1991))や抗免疫グロブリン抗体等を挙げることができる。
【0024】
またこれらの化合物中の免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に実質的に結合活性を有する部分を断片化した化合物、例えば、プロテインAの免疫グロブリン結合部位であり、58アミノ酸からなるA〜Eドメインの各ペプチド(M.Uhlenら:J.Biol.Chem.,259,1965(1984))、プロテインAのBドメインペプチドを更に短くしたFB29ペプチド等(J.S.Hustonら:Biophysical J.,62,87(1992))、プロテインGの55アミノ酸からなるC1〜C3ドメインの各ペプチド(B.Gussら:EMBO J.,5,1567(1986))、プロテインHのAドメインペプチド(H.Gomiら:上記文献)、プロテインLのB1〜B5ドメインの各ペプチド(ビョルク,ラルスら:特表平7−506573)、補体C1qのCBP2ペプチド(M.A.Baumannら:J.Biol.Chem.,265,18414(1990))等、免疫グロブリン結合蛋白と称されている物質中の免疫グロブリン結合ドメインペプチド及びその誘導体等を挙げることができる。
【0025】
またリウマチ因子又は抗免疫グロブリン抗体のFab、F(ab)2 、一本鎖Fvポリペプチド等も代表例として挙げることができる。
【0026】
本発明に用いる水不溶性担体としては特に限定されず、例えば、ガラスビーズ、シリカゲル等の無機担体、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレン等の合成高分子や結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストラン等の多糖類からなる有機担体、更にはこれらの組み合わせによって得られる有機−有機、有機−無機等の複合担体等を挙げることができる。
【0027】
なかでも、親水性担体は非特異吸着が比較的少なく、C型肝炎ウイルスの吸着選択性が良好であるため好ましい。ここでいう親水性担体とは、担体を構成する化合物を平板状にしたときの水との接触角が、60度以下のものを意味する。
【0028】
このような担体としては特に限定されず、例えば、セルロース、キトサン、セファロース、デキストラン等の多糖類、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸グラフト化ポリエチレン、ポリアクリルアミドグラフト化ポリエチレン、ガラス等からなる担体等を挙げることができる。
【0029】
なかでもOH基が存在する担体は、吸着性能、選択性の点で優れており、更に、多孔質セルロースゲルは、以下の(1)〜(4)等の優れた点を有しており、本発明の水不溶性担体として最も好ましいものの一つである。
【0030】
(1)機械的強度が比較的高く、強靭であるため、撹拌等の操作により破壊されたり微粉を生じたりすることが少なく、カラムに充填した場合、体液を高流速で流しても圧密化したり、目詰まりしたりせず、更に細孔構造であるため高圧蒸気滅菌等をした場合でも変化を受けにくい。
【0031】
(2)ゲルがセルロースで構成されているため親水性であり、リガンドの結合に利用し得る水酸基が多数存在し、非特異吸着が少ない。
(3)空孔容積を大きくしても比較的強度が高いため軟質ゲルに劣らない吸着容量が得られる。
(4)安全性が合成高分子ゲル等に比べて高い。
【0032】
上記水不溶性担体は、それぞれ単独で用いてもよいし、任意の2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いる水不溶性担体としては、本発明のC型肝炎ウイルス除去用吸着材の使用目的及び方法からみて、表面積が大きいことが望ましく、適当な大きさの細孔を多数有するもの、すなわち、多孔質であることが好ましい。
【0033】
上記多孔質の水不溶性担体の平均孔径は、10〜1500nmであることが好ましい。C型肝炎ウイルスは、その直径が50〜55nmからなる粒子であり、多孔質性の担体でウイルス粒子をより効率良く吸着するためには、細孔の孔径分布がウイルス粒子の直径よりも大きい孔径側に幅広く分布していることが好ましいが、大きすぎる場合には担体の強度が低下し、また表面積が減少する。より好ましい平均孔径は、50〜1250nmである。
【0034】
一方、細孔を有しない、実質的に非多孔質の担体においてもウイルスの吸着は可能である。この場合、体液(血液、血漿、血清等)中の蛋白質等の生体にとっての有用成分が細孔内に入ることができないため、ほとんど吸着されないという利点を有しており、利用可能である。
実質的に非多孔質とは、多孔質であっても細孔直径が非常に小さい(例えば、10nm未満)細孔を有する多孔質担体も含まれる趣旨である。
【0035】
上記水不溶性担体の多孔構造については、吸着材の単位体積あたりの吸着能から考えて、表面多孔性よりも全多孔性が好ましく、空孔容積が20%以上であり、比表面積が3m2 /g以上であることが好ましい。
【0036】
上記水不溶性担体の形態としては特に限定されず、例えば、ビーズ状、線維状、膜状(中空糸も含む)等を挙げることができるが、体外循環時の体液の流通面より、ビーズ状が特に好ましく用いられる。上記ビーズ状の担体の平均粒径は、10〜2500μmのものが使いやすいが、25〜800μmのものが好ましく用いられる。
【0037】
上記水不溶性担体の表面には、リガンドの固定化反応に用いうる官能基が存在しているとリガンドの固定化に好都合である。
上記官能基の代表例としては特に限定されず、例えば、水酸基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、チオール基、シラノール基、アミド基、エポキシ基、サクシニルイミド基、酸無水物基等を挙げることができる。
【0038】
上記水不溶性担体は、硬質担体、軟質担体のいずれも用いることができるが、体外循環治療用の吸着体として使用するためには、カラムに充填し、通液する際等に目詰まりを生じないことが重要であり、そのために充分な機械的強度が要求されるので、上記水不溶性担体は、硬質担体であることがより好ましい。
【0039】
本明細書中で、硬質担体とは、例えば粒状ゲルの場合、以下の条件でゲルをガラス製円筒状カラム(内径9mm、カラム長150nm)に均一に充填し、水性流体を流した際の圧力損失(ΔP)と流量の関係が、0.3kg/cm2 まで直線関係にあるものをいう。
【0040】
例えば、両端に孔径15μmのフィルターを装着したガラス製円筒状カラム(内径9nm、カラム長150nm)にアガロースゲル(Bio−Rad社製のBiogel−A5m、粒径50〜100メッシュ)、ビニル系ポリマーゲル(東洋曹達工業社製のトヨパールHW−65、粒径50〜1000μm)及びセルロースゲル(チッソ社製のセルロファインGC−700m、粒径45〜105μm)をそれぞれ均一に充填し、ペリスタティックポンプにより水を流し、流量と圧力損失(ΔP)との関係を求めた(図1)。
【0041】
縦軸に流速(cm/分)を、横軸に圧力損失(kg/cm2 )をプロットした。図1において、○はトヨパールHW−65、△はセルロファインGC−700m、黒ぬりの○はBiogel−A5mを示す。
【0042】
この結果、トヨパールトヨパールHW−65及びセルロファインGC−700mが圧力増加にほぼ比例して流量が増加するのに対し、Biogel−A5mは圧密化を引き起こし、圧力を増加させても流量が増加しないことがわかった。
【0043】
本発明の水不溶性担体への免疫グロブリン結合蛋白又はペプチドの固定化においては、蛋白質又はペプチドの立体障害を小さくすることにより吸着効率を向上させ、更に非特異的吸着を抑えるために、親水性スペーサーを介して固定化することが、より好ましい。
【0044】
上記親水性スペーサーとしては、例えば、両末端をカルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基等で置換したポリアルキレンオキサイドの誘導体を用いるのが好ましい。
【0045】
上記水不溶性担体へ導入される免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に結合活性を有する化合物、及び、スペーサーとして用いられる有機化合物の固定化方法は特に限定されるものではないが、一般に蛋白質やペプチドを担体に固定化する場合に採用されるエポキシ反応、ニック塩基反応、カルボジイミド試薬等を用いた縮合反応、活性エステル反応、グルタルアルデヒド試薬等を用いた担体架橋反応等による固定化方法等を挙げることができる。
【0046】
上記固定化にあたっては、本発明のC型肝炎ウイルス除去用吸着材が体外循環治療及び血液浄化に用いられ得る吸着材であることを考慮して、吸着材の滅菌時又は治療時に、蛋白類が水不溶性担体より容易に脱離しない固定化方法を適用することがより好ましく、例えば、以下のような方法等を挙げることができる。
【0047】
(1)担体が有するカルボキシル基をN−ヒドロキシコハク酸イミドと反応させることによってスクシンイミドオキシカルボニル基に置換して、蛋白質又はペプチドをアミノ基の部分で反応させる方法(活性エステル法)。
【0048】
(2)担体が有するアミノ基又はカルボキシル基に、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合試薬存在下で、蛋白質又はペプチドのカルボキシル基又はアミノ基を縮合反応させる方法(縮合法)。
(3)蛋白質又はペプチドをグルタルアルデヒド等の2個以上の官能基を有する化合物を用いて架橋する方法(担体架橋法)。
【0049】
上記固定化にあたっては、蛋白類の脱離溶出を極力抑えるためには共有結合法により結合することが好ましい。
【0050】
C型肝炎ウイルスに吸着能力を有する化合物を固定化した担体を、血液、血漿、血清等の体液と接触させて、体液中のC型肝炎ウイルスを吸着除去する方法としては、種々の方法を挙げることができ、例えば、以下の方法等を挙げることができる。
【0051】
(1)体液を取り出してバック等に貯留し、これを吸着材に混合してC型肝炎ウイルスを吸着除去した後、吸着材を濾別してC型肝炎ウイルスが除去された体液を得る方法。
(2)体液の入口と出口とを有し、その出口に体液は通過するが吸着剤は通過しないフィルターを装着した容器に吸着材を充填し、これに体液を流す方法。
【0052】
いずれの方法を用いてもよいが、(2)の方法は操作も簡単であり、また体外循環回路に組み込むことにより患者の体液から効率よくオンラインでC型肝炎ウイルスを除去することが可能であり、本発明のC型肝炎ウイルス除去用吸着材はこの方法に適している。
【0053】
C型肝炎ウイルスを吸着するC型肝炎ウイルス除去用吸着材を用いた本発明のC型肝炎ウイルスの吸着装置を、その概略断面図に基づき説明する。
図2中に示す容器7は、液体の流入口又は流出口1、液体の流出口又は流入口2、本発明のC型肝炎ウイルス除去用吸着材3、液体及び液体に含まれる成分は通過できるがC型肝炎ウイルス除去用吸着材は通過できない吸着材流出防止手段4及び5、並びに、カラム6を有する。
【0054】
この容器の形状及び材質は特に限定されないが、好ましくは、例えば、容量20〜400mL程度、直径2〜10cm程度の筒状容器が用いられる。
【0055】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、本明細書においては、各種アミノ酸残基を次の略号で記載する。
【0056】
Ala;L−アラニン残基、Asp;L−アスパラギン酸残基、Asn;L−アスパラギン残基、Cys;L−システイン残基、Gln;L−グルタミン残基、Glu;L−グルタミン酸残基、Gly;L−グリシン残基、Ile;L−イソロイシン残基、Leu;L−ロイシン残基、Lys;L−リジン残基、Phe;L−フェニルアラニン残基、Thr;L−スレオニン残基、Trp;L−トリプトファン残基、Tyr;L−タイロシン残基、Val;L−バリン残基。
また本明細書においては、ペプチドのアミノ酸配列を、そのアミノ末端(以下N末端という)が左側に位置し、カルボキシル末端(以下C末端という)が右側に位置するように、常法に従って記述する。
【0057】
実施例1
多孔質担体(GCL2000m)へのIgG結合タンパク質(プロテインA)の固定化
セルロースゲルのエポキシ活性化
セルロース系多孔質硬質ゲルであるGCL−2000m(チッソ社製、球状タンパク質の排除限界分子量300万)90mLに水を加え全量を180mLとしたのち、2M水酸化ナトリウム60mLを加え40℃とした。これにエピクロルヒドリン21mLを加え、40℃で撹拌下1時間反応させた。反応終了後、充分に水洗し、エポキシ活性化セルロースゲルを得た。
【0058】
プロテインAの固定化
プロテインA(シグマ社製) 4mgを0.05Mホウ酸緩衝液(pH10.0)0.5mLに溶解し、0.01N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10に再調整、全量を1.0mLとした(プロテインA溶液)。上記エポキシ活性化セルロースゲル1mLにプロテイン溶液(全量)を加えて37℃で16時間振盪した後、充分量のPBS(150mM塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液)で洗浄し、GCL2000m−Protein Aを得た。
【0059】
固定化量の定量
固定化反応直前と直後の反応溶液のプロテインA濃度をHPLCにより測定し、その反応率を算出することにより固定化量を求めた。その結果、プロテインA−GCL2000mの1mL当たり2.1mgのプロテインAが固定化されたことがわかった。
【0060】
実施例2
多孔質担体(GCL2000m)へのIgG結合タンパク質(プロテインG)の固定化
実施例1のプロテインAをプロテインG(ファルマシアLKB社製)に変えたほかは全く同様にプロテインGを固定化したGCL2000m−Protein G(3.2mg/mL)を得た。
【0061】
実施例3
多孔質担体(Sepharose 6B)へのプロテインGの免疫グロブリンG結合ドメインの固定化
ペプチドの合成
N末端側にシステインを付加したプロテインGのC3ドメインの57残基よりなる配列を有するペプチドの合成を、ペプチドシンセサイザーModel 4170型(ファルマシアLKB社製)を用いて固相合成法により以下のように行った。
【0062】
C末端のグルタミンを結合した支持体であるFmoc−グルタミンNovaSyn KA 0.1mmol(ファルマシアLKB社製)を用いて、上記ペプチドシンセサイザーに入力されている合成プログラムにより、N末端の方向に向かって順に、脱保護基反応及び縮合反応を繰り返してペプチド鎖を延長した。
すなわち、ピペリジンにより該アミノ酸が有するα−アミノ基の保護基である9−フロオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)の除去を行ない、ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレートとジイソプロピルエチルアミンで縮合反応を行ない、DMFで洗浄する操作を繰り返した。
【0063】
アミノ酸は、Fmoc−L−Ala 、Fmoc−L−Asn(Trt )、Fmoc−L−Asp(OtBu) 、Fmoc−L−Cys(Trt )、Fmoc−L−Gln(Trt )、Fmoc−L−Glu(OtBu) 、Fmoc−L−Gly 、Fmoc−L−Ile 、Fmoc−L−Leu 、Fmoc−L−Lys(Boc )、Fmoc−L−Phe 、Fmoc−L−Thr(tBu )、Fmoc−L−Trp 、Fmoc−L−Tyr(tBu )、Fmoc−L−Val 、として用い、それらの使用量は基質に対して約5倍モル(0.5mmol)量を、バイアル中で用いた。ここで、Trt 、OtBu、Boc 、及び、tBu は、それぞれトリチル基、tert−ブチルエステル、tert−ブチルオキシカルボニル基、及び、tert−ブチル基を表す。
【0064】
脱保護基反応及びペプチド鎖の切断
全てのアミノ酸についての反応操作が終了したのち、得られた支持体を3G−3孔のグラスフィルター上でtert−アミルアルコール、酢酸及びジエチルエーテルを用いて順次洗浄し、次いで真空乾燥することによって乾燥支持体を得た。バイアル中で、得られた支持体1gに、トリフルオロ酢酸(TFA)20mL、1,2−エタンジチオール260μL、及び、アニソール780μLを加えて室温で1.5時間撹拌した。
【0065】
その後、この混合物を3G−3孔のグラスフイルターで支持体と濾別し、この濾液を35℃の温度下で減圧濃縮した。これに予め冷却しておいた無水ジエチルエーテルを沈殿が現れなくなるまで加えて撹拌し、次いで遠心分離し、沈殿した粗ペプチドを収集した。更に、この粗ペプチドを無水ジエチルエーテルで数回洗浄した後、減圧下で乾燥し、目的とする粗精製ペプチドを得た。
【0066】
ペプチドの精製
上記、粗精製ペプチドを0.1%TFAに溶解して、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、得られた濾液を高速液体クロマトグラフィーに供した。HPLCは、Model LC−10Aシステム(島津製作所社製)を用い、カラムは逆相系のμBondasphere C18(日本ミリポア.ウォーターズ社製)を用いた。移動相にはA液として0.1%TFA水溶液を、B液として0.1%TFAを含む80%(V/V)アセトニトリル/水を用い、A液からB液への濃度直線勾配により溶出した。
【0067】
得られたクロマトピークの相当画分を分取した。分取を数回繰り返し、これを凍結乾燥することにより精製ペプチドを得た。得られたペプチドは、気相プロテインシークエンサー477型(アプライドバイオシステムズ社製)及び日立カスタムイオン交換樹脂を用いたアミノ酸分析により解析して、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列のペプチドが得られていることを確認した。
【0068】
ペプチドの固定化
上記ペプチドを、多孔質セファロース上に固定化することにより以下のようにして吸着材を製造した。セファーロースには、チオプロピルセファロース6B(ファルマシアLKB社製)を用いた。チオプロピルセファロース6B 50mgに蒸留水50mlを加え、室温で15分間放置して樹脂を膨潤させた。次いで、蒸留水を除去し、0.5MのNaClを含む0.1Mトリス塩酸(pH7.5)カップリング緩衝液に置換した。
【0069】
一方、上記精製ペプチド4mgを、0.5MのNaClを含む0.1Mトリス塩酸(pH7.5)カップリング緩衝液400μLに溶解し、膨潤させた上記チオプロピルセファロース6B 150μLを加えて、4℃で12時間撹拌することにより、精製ペプチドを固定化した吸着材を得た。
【0070】
更に、得られたペプチド固定化吸着材を吸引濾過し、濾液中のペプチド含量をHPLCによる絶対検量線法で定量することにより、担体上へのペプチドの固定化率を求めた。このペプチド固定化吸着材を、150mMのNaClを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.2)で充分に洗浄し、吸引濾過し、担体1mL当たり3.6mgのペプチドを固定化したSepharose6B−C3Pptを得た。
【0071】
実施例4
多孔質担体(Kac)へのIgG結合性ペプチド(MK3P47)の固定化
MK3P47ペプチドの生産
下記の配列表の配列番号2に記載するアミノ酸配列を有するペプチドであるMK3P47ペプチドをコードするDNAをpUCNTベクター(特開平4−212692号公報)に5′側をNde I 、3′側をHind III のそれぞれ制限酵素サイトを利用して連結できるように設計して、合成した。合成したDNA配列を、配列表の配列番号3に記載した。
【0072】
上記配列を有するDNAを、制限酵素Nde I 及びHind III(宝酒造社製)消化によって開裂したpUCNTベクターと、宝酒造社製DNA LigationKit Ver.2を用いて手順書に従って連結し、pUCNTMK3P47ベクター(図3)を作製した。
【0073】
公知の方法で、このpUCNTMK3P47ベクターDNAを、大腸菌HB101株(irivitrogen社製)に導入し、抗生物質アンピシリンに対する抵抗性を指標として形質転換体を選択した。
また、この形質転換体から常法にてプラスミドDNAを抽出し、遺伝子配列を解析することによってpUCNTMK3P47ベクター設計通りのDNA配列を有していることを確認した。
【0074】
次に、この形質転換体を6LのL−ブロス(5g/LのNaCl、10g/Lのバクトトリプシン、5g/Lのイーストエキストラクト)中で37℃にて20時間振盪培養し、菌体を遠心分離(日立RPR9−2ローターを用い4℃で6000rpm、20分間)にて回収した。
ここで得られた沈殿を300mLのTE緩衝液(20mM Tris−HCl、1mM EDTA:pH7.5)に懸濁した上で、超音波破砕処理(BRANSON250を用いて氷中にて6分間3回)を施し、遠心分離(日立RPR16ローターを用い4℃で15000rpm、20分間)にて上清を回収した。
【0075】
ここで得られた上清を70℃、10分間の熱処理を行った後、更に遠心分離(日立RPR16ローターを用い4℃で15000rpm、20分間)にてその上清300mLを回収した。この上清から高速液体クロマトグラフィー(カラム:WatersμBONDASPHERE 5μ C18 300A 19.0×150mm)を用いて40mlのアセトニトリル溶液を流速5ml/分にて流してカラムを活性化した後、300mLのサンプルを同流速にて流し、0.1%TFA+64%アセトニトリル溶液200mLにてカラムを洗浄、続いて0.1%TFA+40%アセトニトリル溶液200mLにて目的のMK3P47ペプチドを溶出、分取した。
これをエバポレーターにて100mLに濃縮した上で凍結乾燥し、高純度精製標品として1.2gを取得した。
【0076】
セルロースゲルのエポキシ活性化
セルロース系多孔質硬質ゲルで球状タンパク質の排除限界分子量500万以上の当社試作品Kac 90mLに水を加え全量を180mLとしたのち、2M水酸化ナトリウム60mLを加え40℃とした。これにエピクロルヒドリン21mLを加え、40℃で撹拌下1時間反応させた。反応終了後、充分に水洗し、エポキシ活性化セルロースゲルを得た。
【0077】
MK3P47の固定化及び固定化量の定量
実施例1のプロテインAの4mgをMK3P47の50mgに変え、エポキシ活性化ゲルをKacに変えたほかは全く同様にMK3P47を固定化したKac−MK3P47(30mg/mL)を得た。
【0078】
実施例5
多孔質担体(Sephacryl S1000)へのIgG結合性ペプチド(MP47C)の固定化
配列表の配列番号4に記載されるアミノ酸配列を有するペプチドMP47Cを生産した。
配列表の配列番号5に記載される配列を有するDNA(MP47CをコードするDNA)をpUCNTベクターに実施例4と同様の方法にて連結できるように設計して合成した。
【0079】
上記配列を有するDNAを実施例4と同様の方法でpUCNTベクターに導入し、pUCNTMP47Cベクターを作製した。
更に実施例4と同様の方法で、大腸菌の形質転換体を作製、その6L培養を経て目的のペプチドの高純度精製標品1.3gを取得し、各種検討に使用した
【0080】
セファクリルゲルのエポキシ活性化
セルロース系多孔質硬質ゲルで細孔径が400nmであるSephacrylS1000(ファルマシアLKB社製) 90mLに水を加え全量を180mLとしたのち、2M水酸化ナトリウム60mLを加え40℃とした。これにエピクロルヒドリン21mLを加え、40℃で撹拌下1時間反応させた。反応終了後、充分に水洗し、エポキシ活性化セファクリルゲルを得た。
【0081】
MP47Cの固定化及び固定化量の定量
実施例1のプロテインAの4mgをMP47Cの10mgに変え、エポキシ活性化ゲルをエポキシ活性化セファクリルゲルに変えたほかは全く同様にMP47Cを固定化したS1000−MP47C(7mg/mL)を得た。
【0082】
実施例6
実質的な非多孔質担体(Bac)へのIgG結合性ペプチド(MP47C)の固定化
セルロースゲルのエポキシ活性化
セルロース系硬質ゲルで球状タンパク質の排除限界分子量3万以下の試作品である非多孔質担体(Bac)90mLに水を加え全量を180mLとしたのち、2M水酸化ナトリウム60mLを加え40℃とした。これにエピクロルヒドリン21mLを加え、40℃で撹拌下1時間反応させた。反応終了後、充分に水洗し、エポキシ活性化セルロースゲルを得た。
【0083】
MP47Cの固定化及び固定化量の定量
実施例1のプロテインAの4mgをMP47Cの30mgに変え、エポキシ活性化ゲルをBacに変えたほかは全く同様にMP47Cを固定化したBac−MP47C(20mg/mL)を得た。
【0084】
実施例7
多孔質担体(CNBr活性化Sepharose6B)への抗IgG抗体の一部分(Fab)の固定化
CNBr活性化セファロース4B(ファルマシアLKB社製)4gを1mMのHCl水溶液少量で15分間膨潤させ、1mMのHCl水溶液で洗浄し、更にカップリングバッファー(pH8.3、0.5Mの塩化ナトリウム、0.1MのNaHCO3 )で洗浄した。
【0085】
カップリングバッファー1mLに抗ヒトIgG(Fab)抗体(バインディングサイト社製)をパパイン消化(PIECE社、ImmunoPure FabPreparation Kit)したFab 1mgを溶解し、上記洗浄ゲルを添加して4℃で16時間反応させた。
カップリングバッファーで洗浄後、ブロックバッファー(pH8.3、0.2Mのグリシン、0.5Mの塩化ナトリウム、0.1MのNaHCO3 )を添加し室温で2時間反応した。
【0086】
2種の後処理バッファー(pH4.0、0.5Mの塩化ナトリウム、0.1Mの酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液、pH8.0、0.5Mの塩化ナトリウム、0.1Mのトリス−塩酸緩衝液)で交互に3回づつ洗浄し、Sepharose4B−AntiIgGFabを得た。
【0087】
実施例8
多孔質担体(トレシルトヨパール)への抗IgG抗体の固定化
抗ヒトIgG(Fc)抗体(バインディングサイト社製)1mgをカップリングバッファー(0.5Mの塩化ナトリウム、0.1Mの炭酸緩衝液) 1mLに溶解し、AF−トレシルトヨパール650を乾燥状態で200mg添加して4℃で終夜反応させた。
0.5M塩化ナトリウム水溶液にて洗浄後、ブロックバッファー(pH8.0、0.5M塩化ナトリウム、0.1Mトリス−塩酸緩衝液)を添加し、室温で2時間反応した。
更に0.5M塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、Toyopearl−AntiIgGを得た。
【0088】
実施例9
合成した吸着体のC型肝炎ウイルス吸着能評価
吸着実験
各吸着体100μLをバイアル中に採取し、C型肝炎ウイルスを含む患者血清100μLを加え、37℃で2時間振盪した。
【0089】
C型肝炎ウイルスの吸着能測定
その後この懸濁液を5000rpmで1分間遠心分離を行い、上清中のC型肝炎ウイルス量をHCV RNAとして測定した(日本ロッシュ社製、アンプリコアーHCVモニター)。
【0090】
対照実験として、吸着体の代わりに生理食塩水100μLをバイアル中に採取し、上記と同様な処理をした後、溶液中のC型肝炎ウイルス量を求めた。
C型肝炎ウイルスの吸着率(%)は、以下の式により算出した。
吸着率(%)= [(Vr−Vt)/Vr]×100
Vr:対照実験溶液中のウイルス濃度
Vt:吸着実験上清中のウイルス濃度
結果を表1に示した。
【0091】
【表1】
Figure 0003955379
【0092】
実施例10
合成した吸着体の評価
吸着実験
各吸着体100μLをバイアル中に採取し、C型肝炎ウイルスを含む患者血清100μLを加え、37℃で2時間振盪した。
【0093】
高比重/低比重HCVウイルスの測定
吸着実験で得られたHCV浮遊液及び吸着体の代わりに生理食塩水で同様な処理を行ったHCV浮遊液に抗LDL抗体、抗IgG抗体と混合し4℃で16時間反応して5000rpmにて15分間遠心分離し、沈殿物を回収しC型肝炎ウイルス量をHCV RNAとして測定し(日本ロッシュ社製、アンプリコアーHCVモニター)、抗LDL抗体により沈殿したHCVを低比重、抗IgG抗体により沈殿したHCVを高比重HCVとしてそれらのHCV RNA比(T/B=低比重HCV/高比重HCV)を求めた。
結果を表2に示した。
【0094】
【表2】
Figure 0003955379
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、上記実施例から明らかなとおり、体液中に存在するC型肝炎ウイルスを選択的に吸着除去する能力、及び/又は、低比重HCVウイルスに対する高比重のHCVウイルスの割合を減少させる能力を有する新規な吸着材を提供することができる。また、上記吸着材を充填してなる体液処理装置を用いることによって、血液、血漿、血清等の非処理液中のC型肝炎ウイルスを選択的に除去することが可能である。
【0096】
【配列表】
Figure 0003955379
【0097】
Figure 0003955379
【0098】
Figure 0003955379
【0099】
Figure 0003955379
【0100】
Figure 0003955379

【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス製円筒状カラムに各種水不溶性担体を充填したときの流量と圧力損失との関係を示す図である。縦軸は流量(cm/分)を、横軸は圧力損失(kg/cm2 )を、それぞれ表す。
【図2】本発明のC型肝炎ウイルスの吸着装置示す概略断面図である。
【図3】pUCNTMK3P47ベクターを示す図である。
【符号の説明】
1 流出口
2 流入口
3 除去用吸着材
4,5 吸着材流出防止手段
6 カラム
7 容器

Claims (8)

  1. 免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に結合活性を有する化合物を、水不溶性担体に固定化してなることを特徴とする、免疫複合体型C型肝炎ウイルスを選択的に吸着除去するための吸着材であって、
    免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に結合活性を有する化合物が、プロテインA、プロテインG、プロテインH、プロテインL、プロテインM、リウマチ因子、補体のうちの少なくとも1種
    である吸着材
  2. 免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に結合活性を有する化合物を、水不溶性担体に固定化してなることを特徴とする、免疫複合体型C型肝炎ウイルスを選択的に吸着除去するための吸着材であって、
    免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に結合活性を有する化合物が、プロテインA、プロテインG、プロテインH、プロテインL、プロテインM、リウマチ因子、補体のうちの少なくとも1種の一部であって、かつ免疫グロブリン及び/又は免疫グロブリン複合体に対する結合部位を含有する蛋白断片若しくはペプチド又はそれらの誘導体
    である吸着材
  3. 水不溶性担体が、多孔質担体である請求項1または2記載の吸着材。
  4. 多孔質担体が、平均孔径が10〜1500nmのものである請求項記載の吸着材。
  5. 水不溶性担体が、実質的に非多孔質のものである請求項1または2記載の吸着材。
  6. 水不溶性担体が、親水性である請求項1〜のいずれか記載の吸着材。
  7. 血液、血漿又はその他 の体液中に存在する免疫複合体型C型肝炎ウイルスを選択的に吸着除去するために用いられる請求項1〜のいずれか記載の吸着材。
  8. 請求項1〜のいずれか記載の吸着材が、液体の入口、出口を有する容器内に含まれており、そして前記吸着材の容器外への流出防止手段が備えられていることを特徴とする、免疫複合体型C型肝炎ウイルスを選択的に吸着除去するための吸着装置。
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