JP3948271B2 - 空気通路開閉装置および車両用空調装置 - Google Patents

空気通路開閉装置および車両用空調装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気通路の開口部に沿って摺動するスライドドアにより開口部を開閉する空気通路開閉装置およびこの空気通路開閉装置を備える車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置においては空気通路の開口部に沿って摺動するスライドドアにより開口部を開閉する空気通路開閉装置が知られている。例えば、冷風と温風の風量割合を調整するエアミックスドアや、複数の吹出開口部を開閉する吹出モードドアをスライドドアにより構成することが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では、エアミックスドアや吹出モードドアをスライドドアにより構成する場合に、この複数のスライドドアの作動空間をそれぞれ別部位に独立に形成しているので、車両用空調装置の体格の小型化が困難であった。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、複数のスライドドアを用いる空気通路開閉装置および車両用空調装置において、体格の小型化を図ることを目的とする。
【0005】
また、本発明は、複数のスライドドアを可撓性を有する膜状部材により構成する空気通路開閉装置および車両用空調装置において、体格の小型化を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項に記載の発明では、筒状のケース部材(31)と、筒状のケース部材(31)の周方向に配置された複数の開口部(36〜39)と、筒状のケース部材(31)内にて筒状の径方向に積層配置され、可撓性を有する複数の膜状部材(32、33)とを備え、
複数の膜状部材(32、33)が複数の開口部(36〜39)に沿って回転変位することにより複数の開口部(36〜39)を開閉するようになっており、
さらに、複数の膜状部材(32、33)の少なくとも1つをループ状とした空気通路開閉装置を特徴とする。
【0011】
これにより、複数の膜状部材(32、33)の回転変位により複数の開口部(36〜39)を開閉することができる。
ここで、膜状部材(32、33)はケース部材(31)側の摺動経路に沿って柔軟に変形するので、ケース部材(31)の筒形状に沿って膜状部材(32、33)を曲げ配置でき、剛体のスライドドアに比較して空気通路開閉装置の体格を効果的に小型化できる。
しかも、筒状のケース部材(31)内に複数の膜状部材(32、33)を径方向に積層配置しているから、空気通路開閉装置の外形状を極めてコンパクトな筒形状にまとめることができ、空気通路開閉装置の体格をより効果的に小型化できる。
【0012】
なお、請求項におけるケース部材(31)の「筒状」とは、円筒状の他に、長円状の筒形状等を包含している。
【0013】
さらに、請求項に記載の発明では、複数の膜状部材(32、33)の少なくとも1つをループ状にしているから、このループ状の膜状部材(32、33)に対して常に引っ張り力を作用させることができる。従って、ループ状の膜状部材(32、33)を比較的小さな駆動力にて確実に回転変位させることができる。
因みに、膜状部材の両端部を自由端として、膜状部材の中間部位に駆動力を加えて前後方向に往復動させる場合においては、膜状部材のうち駆動力の印加部位より進行方向の前方部位が引っ張り力でなく、押出力にて押し出されることになる。この押し出し部分では膜状部材の撓みが非常に発生しやすくなり、この撓みの発生により膜状部材の駆動力が増大するという不具合が生じる。
しかし、請求項によると、複数の膜状部材(32、33)の少なくとも1つをループ状にして常に引っ張り力にて膜状部材(32、33)を回転変位させるから、比較的小さな駆動力にて確実に膜状部材(32、33)を変位させることができる。
【0014】
請求項に記載の発明では、請求項において、ケース部材(31)に、複数の膜状部材(32、33)の閉口部(323、324、333、334)をともに収納する共通の収納部(41a、42a)を形成したことを特徴とする。
【0015】
これにより、複数の膜状部材(32、33)の閉口部を共通の収納部(41a、42a)に収納することができ、空気通路開閉装置の体格をより一層小型化できる。
【0016】
請求項に記載の発明では、請求項1または2において、複数の膜状部材(32、33)をそれぞれ独立に駆動する複数の駆動機構(43、44、47、48)を備え、複数の駆動機構(43、44、47、48)を複数の膜状部材(32、33)の内側領域に配置したことを特徴とする。
【0017】
これにより、複数の駆動機構をも含めて空気通路開閉装置の体格を更に小型化できる。
請求項4に記載の発明では、筒状のケース部材(31)と、
筒状のケース部材(31)の周方向に配置された複数の開口部(36〜39)と、
筒状のケース部材(31)内にて筒状の径方向に積層配置され、可撓性を有する複数の膜状部材(32、33)とを備え、
複数の膜状部材(32、33)が複数の開口部(36〜39)に沿って回転変位することにより複数の開口部(36〜39)を開閉するようになっており、
複数の膜状部材(32、33)をそれぞれ独立に駆動する複数の駆動機構(43、44、47、48)を備え、
複数の駆動機構(43、44、47、48)を複数の膜状部材(32、33)の内側領域に配置した空気通路開閉装置を特徴とする。
これによると、請求項1と同様に、可撓性の膜状部材(32、33)はケース部材(31)側の摺動経路に沿って柔軟に変形するので、ケース部材(31)の筒形状に沿って膜状部材(32、33)を曲げ配置でき、剛体のスライドドアに比較して空気通路開閉装置の体格を効果的に小型化できる。
しかも、筒状のケース部材(31)内に複数の膜状部材(32、33)を径方向に積層配置しているから、空気通路開閉装置の外形状を極めてコンパクトな筒形状にまとめることができる。
さらには、複数の駆動機構を複数の膜状部材の内側領域に配置することで、複数の駆動機構をも含めて空気通路開閉装置の体格を小型化できる。以上のことが相俟って、空気通路開閉装置の体格を効果的に小型化できる。
【0018】
請求項に記載の発明では、請求項3または4において、複数の膜状部材(32、33)のうち、筒状の径方向の外側に配置される膜状部材(33)の幅寸法を、筒状の径方向の内側に配置される膜状部材(32)の幅寸法より大きくし、複数の駆動機構はそれぞれ駆動ギヤ(47、48)を有しており、筒状の径方向の外側に配置される膜状部材(33)を回転変位させる駆動ギヤ(48)を筒状の径方向の内側に配置される膜状部材(32)の幅寸法の外側に配置し、筒状の径方向の内側に配置される膜状部材(32)を回転変位させる駆動ギヤ(47)を筒状の径方向の内側に配置される膜状部材(32)の幅寸法の範囲内に配置することを特徴とする。
【0019】
これにより、径方向に積層配置した複数の膜状部材(32、33)をその内側領域に配置した複数の駆動機構(43、44、47、48)にてギヤ駆動する場合に、筒状の径方向の外側に配置される膜状部材(33)を、内側に配置される膜状部材(32)との干渉を起こすことなく、円滑にギヤ駆動することができる。
【0020】
請求項に記載の発明では、車室内へ向かって流れる空気流れを制御する機構として、請求項1ないしのいずれか1つに記載の空気通路開閉装置を備える車両用空調装置を特徴とする。
【0021】
これにより、上述の空気通路開閉装置を用いて車両用空調装置の体格を効果的に小型化することができ、車両用空調装置の車両搭載性を向上できる。
【0022】
請求項に記載の発明では、車室内へ向かって流れる空気流れを制御する機構として、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の空気通路開閉装置を備え、
複数の開口部として、冷風が流入する冷風入口(36)と、温風が流入する温風入口(37)と、車室内の複数部位に空気を吹き出す複数の吹出開口部(38、39)とを備え、
複数膜状部材の1つ(32)は、冷風入口(36)と温風入口(37)を開閉して冷風と温風の風量割合を調整するエアミックスドアであり、
複数膜状部材の他の1つ(33)は、複数の吹出開口部(38、39)を開閉して吹出モードを切り替える吹出モードドアであり、
冷風と温風の風量割合の調整により温度調整された空気を複数の吹出開口部(38、39)を通過して車室内へ吹き出す車両用空調装置を特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明では、車室内へ向かって流れる空気流れを制御する空気通路開閉装置に筒状のケース部材(31)を備え、
筒状のケース部材(31)の周方向に複数の開口部(36〜39)が配置され、
筒状のケース部材(31)内には、可撓性を有する複数の膜状部材(32、33)が筒状の径方向に積層配置されており、
複数の膜状部材(32、33)が複数の開口部(36〜39)に沿って回転変位することにより複数の開口部(36〜39)を開閉するようになっており、
複数の開口部として、冷風が流入する冷風入口(36)と、温風が流入する温風入口(37)と、車室内の複数部位に空気を吹き出す複数の吹出開口部(38、39)とを備え、
複数の膜状部材の1つ(32)は、冷風入口(36)と温風入口(37)を開閉して冷風と温風の風量割合を調整するエアミックスドアであり、
複数の膜状部材の他の1つ(33)は、複数の吹出開口部(38、39)を開閉して吹出モードを切り替える吹出モードドアであり、
冷風と温風の風量割合の調整により温度調整された空気を複数の吹出開口部(38、39)を通過して車室内へ吹き出す車両用空調装置を特徴とする。
請求項7および請求項8に記載の発明によると、エアミックスドアと吹出モードドアの両者を1つの筒状のケース部材(31)内に配置して、温度調整機構と吹出モード切替機構とを極めてコンパクトな体格にまとめることができる。
【0024】
請求項に記載の発明では、請求項7または8において、エアミックスドアを構成する膜状部材(32)を筒状の径方向の内側に配置し、吹出モードドアを構成する膜状部材(33)を筒状の径方向の外側に配置したことを特徴とする。
【0025】
ところで、車室内へ向かって流れる空気流れに対してエアミックスドアを構成する膜状部材(32)は上流側に位置し、吹出モードドアを構成する膜状部材(33)は下流側に位置する。従って、エアミックスドアを構成する膜状部材(32)を空気流れの風圧により筒状の径内方側へ変位させることができる。従って、膜状部材(32)の内側にガイド壁(40)を配置しておくことにより、このガイド壁(40)に膜状部材(32)を風圧により圧着して、冷風入口(36)と温風入口(37)を閉塞する時のシール作用を良好に発揮できる。
【0026】
また、吹出モードドアを構成する膜状部材(33)を空気流れの風圧により筒状の径外方側へ変位させて、筒状のケース部材(31)の内壁面に膜状部材(33)を風圧により圧着することができる。これにより、複数の吹出開口部(38、39)を閉塞する時のシール作用を膜状部材(33)にて良好に発揮できる。
【0027】
請求項10に記載の発明では、請求項7ないし9のいずれか1つにおいて、エアミックスドアを構成する膜状部材(32)に、冷風と温風の両方が通過する開口部(322)を備えることを特徴とする。
【0028】
これにより、膜状部材(32)では1つの開口部(322)内を冷風と温風が隣接して流れるから、冷風と温風が互いに離れて流れる場合に比して冷風と温風の混合性が向上し、車室内への吹出空気の温度バラツキを低減できる。
【0029】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて詳述する。図1、図2は本実施形態における空調ユニット10部分の断面図であり、図1はフットモード時を示し、図2はフェイスモード時を示す。図3は本実施形態の要部である後席側制御機構を示し、図4は図3のA−A断面図である。また、図5は後席エアミックス用ドア手段をなす後席エアミックス用膜状部材を示し、図6は後席吹出モード用ドア手段をなす後席吹出モード用膜状部材を示す。
【0031】
本実施形態による車両用空調装置の通風系は、大別して、図示しない送風機ユニットと、空調ユニット10との2つの部分に分かれている。送風機ユニットは車室内の計器盤下方部のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されており、これに対し、空調ユニット10は車室内の計器盤内側のうち、車両幅(左右)方向の略中央部に配置されている。
【0032】
送風機ユニットは周知のごとく内気(車室内空気)と外気(車室外空気)を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱を通して空気を吸入して送風する送風機(具体的には遠心式電動送風機)とから構成されている。
【0033】
空調ユニット10部は、1つの共通の空調ケース11内に蒸発器12とヒータコア13を両方とも一体的に内蔵するタイプのものである。空調ケース11はポリプロピレンのような、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなる。空調ケース11は具体的には複数の分割ケースからなり、この複数の分割ケースを金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合するようになっている。
【0034】
空調ユニット10部は、計器盤内側の車両幅方向の略中央部において、車両の前後、上下方向に対して、図1、図2の矢印に示す形態で配置されている。空調ケース11内の、最も車両前方側の部位には空気入口空間14が形成されている。この空気入口空間14には、前述の送風機ユニットから送風される空調空気が流入する。
【0035】
空調ケース11内において空気入口空間14直後の部位に蒸発器12が配置されている。この蒸発器12は車両前後方向には薄型の形態で空調ケース11内通路を横断するように上下方向に配置されている。従って、空気入口空間14からの送風空気が蒸発器12を通過して車両後方側へ流れる。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して、空調空気を冷却する冷房用熱交換器である。空調ケース11の底面部には蒸発器12で発生した凝縮水を排出するドレンパイプ11aが備えられている。
【0036】
そして、蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に、所定の間隔を開けてヒータコア13が配置されている。このヒータコア13は空調ケース11内の下方側において、車両後方側に傾斜して配置されている。なお、蒸発器12およびヒータコア13の車両幅方向の幅寸法は、空調ケース11の幅寸法と略同等に設計されている。
【0037】
ヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に高温の温水(エンジン冷却水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱する温水式暖房用熱交換器である。空調ケース11内の空気通路において、ヒータコア13の上方部位には、このヒータコア13をバイパスして空気(冷風)が流れる冷風通路15が形成されている。
【0038】
また、ヒータコア13と蒸発器12との間の部位には平板状のエアミックスドア16が配置されている。このエアミックスドア16は、ヒータコア13で加熱される温風と、冷風通路15を通ってヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を調整する。
【0039】
エアミックスドア16は車両幅方向に水平に配置された回転軸17と一体に結合されており、この回転軸17を中心として車両上下方向に回転可能になっている。このエアミックスドア16は上記風量割合の調整により車室内前席側への吹出空気温度を調整する前席側温度調整手段を構成する。
【0040】
回転軸17は、空調ケース11に回転自在に支持され、かつ回転軸17の一端部は空調ケース11の外部に突出して、図示しないリンク機構を介して、サーボモータ等を用いたアクチュエータ機構または手動操作機構に連結され、このアクチュエータ機構または手動操作機構によりエアミックスドア16の回転位置を調整するようになっている。
【0041】
そして、空調ケース11において、ヒータコア13の空気下流側(車両後方側の部位)には、ヒータコア13の直後から上方に向かう温風通路18が形成されている。温風通路18の下流側(上方側)はヒータコア13の上方部において冷風通路15の下流側と合流し、冷風と温風の混合を行う空気混合部19を形成している。
【0042】
一方、空調ケース11の上面壁部において空気混合部19の直ぐ上方部位、換言すると、空調ケース11のうち上面壁部の車両後方側の部位に、フェイス開口部20が開口している。このフェイス開口部20は図示しないフェイスダクトを介して、計器盤上方側に配置されているフェイス吹出口に接続され、このフェイス吹出口から空調風(冷風)を前席乗員の上半身側に向けて吹き出す。
【0043】
空調ケース11内において、フェイス開口部20の下側部にフェイスドア21を配置してフェイス開口部20を開閉するようになっている。このフェイスドア21は車両幅方向に延びる細長い長方形の板状ドアであり、空調ケース11の上面壁部の車両後方側端部に配置された回転軸22に連結され、この回転軸22を中心として回転可能になっている。
【0044】
また、空調ケース11の上面壁部においてフェイス開口部20より車両前方側の部位にデフロスタ開口部23が開口している。このデフロスタ開口部23は空気混合部19から温度制御された空調風が流入するものであって、図示しないデフロスタダクトを介してデフロスタ吹出口に接続され、このデフロスタ吹出口から、車両前面窓ガラスの内面に向けて空調風を吹き出す。
【0045】
空調ケース11内においてデフロスタ開口部23の下側部にデフロスタドア24を配置して、デフロスタ開口部23を開閉するようになっている。デフロスタドア24はフェイスドア21と同様に車両幅方向に延びる細長い長方形の板状ドアであり、このデフロスタドア24は空調ケース11の内側にてデフロスタ開口部23の車両前方側の部位に配置された回転軸25に連結され、この回転軸25を中心として回転可能になっている。
【0046】
次に、空調ケース11において車両幅方向の左右両側の側面壁部にはフット開口部26が開口している。このフット開口部26は図1に示すようにヒータコア13の上方部に位置する空気混合部19の領域と重合する部位に配置されている。また、フット開口部26は略扇形に形成され、略扇形の要の位置を下方側に配置しているので、フット開口部26の開口面積は下方より上方側で拡大するようになっている。
【0047】
そして、この略扇形のフット開口部26を開閉するために略扇形のフットドア27が回転軸28により回転可能に設けてある。この回転軸28はエアミックスドア16の回転軸17の直ぐ車両後方側部位に隣接配置され、フット開口部26の略扇形の要の位置に配置されている。また、回転軸28は車両幅方向に延びて両端部が空調ケース11に回転可能に支持される。
【0048】
ここで、略扇形のフットドア27は回転軸28の両端部近傍にて空調ケース11の左右の両側面壁部の内面に沿うように配置され、左右の両側面壁部の内面に沿って移動することにより、フット開口部26を開閉するようになっている。略扇形のフットドア27と回転軸28は樹脂にて一体成形できる。フット開口部26は空調ケース11の車両幅方向の左右の両側面壁部にて車室内に開口して、前席乗員の足元部へ空調風を吹き出すものである。
【0049】
また、フェイスドア21とデフロスタドア24とフットドア27は、前席側の吹出モード切替用のドア手段であって、各ドア21、24、27の回転軸22、25、28は、いずれも車両幅方向に延びるように配置されている。そして、空調ケース11の外表面にて各回転軸22、25、28は図示しないリンク機構を介して、サーボモータ等からなる吹出モード切替用のアクチュエータ機構もしくは手動操作機構に連結されて、このアクチュエータ機構もしくは手動操作機構により連動操作されるようになっている。
【0050】
次に、後席側への吹出空気温度の調整および後席側吹出モードの切替を行う後席側制御機構30について説明する。後席側制御機構30は空調ユニット10のうち、車両後方側の下部に配置された略円筒状の補助ケース31を備えている。この補助ケース31は空調ケース11に樹脂にて一体成形されている。補助ケース31の内部に後席エアミックス用ドア手段を構成する第1膜状部材32(図3、4)と、後席吹出モード用ドア手段を構成する第2膜状部材33(図3、4)を配置している。
【0051】
ここで、第1、第2膜状部材32、33は下記するようにともにループ状(環状)に形成され、後席エアミックス用の第1膜状部材32が内側に位置し、後席吹出モード用の第2膜状部材33が第1膜状部材32の外側に位置するようにして、両膜状部材32、33は補助ケース31の円筒状内部空間の径方向に積層配置される。
【0052】
両膜状部材32、33の具体的材質としては可撓性を有し、かつ、摩擦抵抗が小さい樹脂材料であるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、あるいはPPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルム等が好適であり、その他に、適度の剛性を持ったエラストマフィルム等を使用してもよい。
【0053】
第1膜状部材32の展開形状は図5(b)に示すように所定の幅寸法W1により細長く延びる形状であり、その幅方向の左右両端部付近にはギヤ穴321が形成してある。このギヤ穴321は第1膜状部材32の長手方向の全域にわたって形成してある。また、第1膜状部材32の長手方向の中央部付近に後席側吹出空気が通過する開口部322が開口している。そして、この開口部322の前後両側に閉口部323、324が形成してある。
【0054】
更に、第1膜状部材32において、前後両側の閉口部323、324の左右両端部から連結部325、326が長手方向の外側へ延びるように形成してある。この連結部325、326の先端部(斜線部)325a、326aを重合して熱溶着(ホットメルト)、両面テープ、縫製等の手段にて一体に接合することにより、第1膜状部材32の全体形状を図5(a)に示すようにループ状(環状)に形成してある。なお、図5(a)の2点鎖線部は連結部325、326を示す。
【0055】
第1膜状部材32によるエアミックスドア機能は後述するように開口部322とその前後両側の閉口部323、324とにより発揮するようになっている。連結部325、326はギヤ穴321を形成するために必要な狭い幅寸法にて延びる短冊状の形状であり、この短冊状の左右の連結部325の間、および短冊状の左右の連結部326の間にそれぞれ切り欠き部327、328を形成して、第2膜状部材33の開口部332(図6参照)を通過する後席側吹出空気の流れを妨げないようにしてある。
【0056】
後席吹出モード用の第2膜状部材33も第1膜状部材32に準じた構成になっており、第2膜状部材33の展開形状は図6(b)に示すように所定の幅寸法W2により細長く延びる形状であり、その幅方向の左右両端部付近にはギヤ穴331が形成してある。このギヤ穴331は第2膜状部材33の長手方向の全域にわたって形成してある。
【0057】
また、第2膜状部材33の長手方向の中央部付近に後席側吹出空気が通過する開口部332が開口している。そして、この開口部332の前後両側に閉口部333、334が形成してある。ここで、前後両側の閉口部333、334のうち、一方の閉口部334の第2膜状部材長手方向の寸法L1を他方の閉口部334の第2膜状部材長手方向の寸法L2より大きくして、後述の後席シャットモード(後席全閉モード)を設定できるようにしてある。
【0058】
なお、図6(b)において、W3は左右の両ギヤ穴331間の間隔であり、このギヤ穴間の間隔W3は第1膜状部材32の幅寸法W1より大きくしてある。すなわち、W3>W1の関係となるように、両膜状部材32、33の幅寸法を設計している。
【0059】
更に、第2膜状部材33において、前後両側の閉口部333、334の左右両端部から連結部335、336が長手方向の外側へ延びるように形成してある。この連結部335、336の先端部(斜線部)335a、336aを重合して前述の熱溶着等の手段にて一体に接合することにより、第2膜状部材33の全体形状を図6(a)に示すようにループ状(環状)に形成してある。なお、図6(a)の2点鎖線部は連結部335、336を示す。
【0060】
第2膜状部材33による吹出モードドア機能は後述するように開口部332とその前後両側の閉口部333、334とにより発揮するようになっている。連結部335、336はギヤ穴331を形成するために必要な狭い幅寸法にて延びる短冊状の形状であり、この短冊状の左右の連結部335の間、および短冊状の左右の連結部336の間にそれぞれ切り欠き部337、338を形成して、第1膜状部材32の開口部322を通過する冷風および温風の流れを妨げないようにしてある。
【0061】
次に、後席側制御機構30側の全体構成を図3、図4により具体的に説明すると、ヒータコア13の下部と空調ケース11の底面部との間に後席冷風通路34が形成してあり、この後席冷風通路34と前席側の温風通路18との間は空調ケース11と一体の仕切り壁35により仕切られている。略円筒状の補助ケース31において車両前方側の下方寄りの部位には後席冷風通路34と連通する後席冷風入口36が開口している。後席冷風通路34の冷風は後席冷風入口36から第1膜状部材32の開口部322を通過して補助ケース31の内側空間へ流入する。
【0062】
また、略円筒状の補助ケース31において車両前方側の上方寄りの部位にはヒータコア13の空気吹出部の下部に連通する後席温風入口37が開口している。ヒータコア13を通過した温風は後席温風入口37から第1膜状部材32の開口部322を通過して補助ケース31の内側空間へ流入する。
【0063】
また、略円筒状の補助ケース31において車両後方側の下方寄りの部位には後席側フェイス開口部38が開口し、補助ケース31の車両後方側の上方寄りの部位には後席側フット開口部39が開口している。補助ケース31の内側空間の空気が第2膜状部材33の開口部332を通過して後席側フェイス開口部38または後席側フット開口部39へ流れる。
【0064】
後席側フェイス開口部38には図示しない後席側フェイスダクトが接続され、この後席側フェイスダクト先端部の後席側フェイス吹出口から空調風を後席乗員の上半身側へ吹き出すようになっている。また、後席側フット開口部39には図示しない後席側フットダクトが接続され、この後席側フットダクト先端部の後席側フット吹出口から空調風を後席乗員の足元側へ吹き出すようになっている。
【0065】
上記のように計4個の開口部36〜39が開口する略円筒状の補助ケース31の内部空間には、補助ケース31の内周面に沿って第1、第2膜状部材32、33の移動をガイドする複数のガイド壁40が空調ケース11に一体成形されている。
【0066】
補助ケース31の内周面とガイド壁40の外周面との間には所定の間隔が開けてあり、この所定間隔の間にループ状の第1、第2膜状部材32、33が略円筒状の円周方向(回転方向)に移動可能に組み込んである。すなわち、第1膜状部材32が内側に位置し、第2膜状部材33が第1膜状部材32の外側に位置するようにして2重のループ状に組み込んである。このループ状の第1、第2膜状部材32、33は、略円筒状の補助ケース31の周方向に開口している4個の開口部36〜39に沿って摺動するスライドドアを構成する。
【0067】
ここで、第1膜状部材32は図3、図5(a)に示すように開口部322、閉口部323、324が車両前方側に位置し、連結部325、326部分が車両後方側に位置するようになっている。
【0068】
図3、図5(a)は第1膜状部材32の開口部322により後席温風入口37を全開し、閉口部324により後席冷風入口36を全閉する最大暖房位置を示している。図3、図5(a)の回転位置から第1膜状部材32を反時計方向へ所定の作動角例えば90°程度回転すると、第1膜状部材32の開口部322により後席冷風入口36を全開し、閉口部323により後席温風入口37を全閉する最大冷房位置に到達する。
【0069】
また、第2膜状部材33においては、図3、図6(a)に示すように開口部332、閉口部333、334が車両後方側に位置し、連結部335、336部分が車両前方側に位置するようになっている。図1、図3、図6(a)は第2膜状部材33の開口部332により後席側フット開口部39を全開し、閉口部334により後席側フェイス開口部38を全閉する後席フットモードの状態を示している。
【0070】
図3、図6(a)の回転位置から第2膜状部材33を時計方向へ所定の作動角回転させると、第2膜状部材33の開口部332により後席側フェイス開口部38と後席側フット開口部39を同時に開口する後席バイレベルモードを設定できる。この後席バイレベルモードの回転位置から第2膜状部材33をさらに時計方向へ所定の作動角回転させると、第2膜状部材33の開口部332により後席側フェイス開口部38を全開し、閉口部333により後席側フット開口部39を全閉する後席フェイスモードを設定できる。なお、図2は後席フェイスモードの状態を示している。
【0071】
また、図3、図6(a)に示す後席フットモードの回転位置から第2膜状部材33を反時計方向へ所定の作動角回転させると、第2膜状部材33の閉口部334により後席側フェイス開口部38と後席側フット開口部39を同時に全閉する後席シャットモードを設定できる。このように第2膜状部材33は後席の吹出モードとして4つのモードを切替設定するため、第2膜状部材33の合計作動角は第1膜状部材32の作動角(例えば90°程度)よりも大きくしてあり、例えば、120°程度である。
【0072】
なお、前席側の吹出モードがデフロスタモードであるときに、後席シャットモードを設定すると、後席側への空気吹出を遮断して空調空気の全量を窓ガラスの曇り止めのために吹き出すことができ、窓ガラスの防曇性能を向上でき、窓ガラスの曇りを速やかに除去できる。
【0073】
略円筒状の補助ケース31の円周方向において後席温風入口37と後席側フット開口部39との間、および後席冷風入口36と後席側フェイス開口部38との間には、それぞれ車両前後方向に延びる比較的大きな円周壁部41、42が形成してある。この円周壁部41、42によってそれぞれ矢印の範囲で示す膜状部材収納部41a、42aを構成する。
【0074】
ここで、膜状部材収納部41a、42aは内外2重のループ状に組み込まれる両膜状部材32、33に共通使用されるものであって、上側の膜状部材収納部41aは両膜状部材32、33の一方の閉口部323、333の収納のために使用される領域であり、そして、下側の膜状部材収納部42aは両膜状部材32、33の他方の閉口部324、334の収納のために使用される領域である。
【0075】
一方、略円筒状の補助ケース31の内部空間において、上側の膜状部材収納部41aの下方側で、第1、第2膜状部材32、33よりも内周側の部位に第1膜状部材32の駆動軸43を配置し、また、略円筒状の補助ケース31の内部空間において、下側の膜状部材収納部42aの上方側で、第1、第2膜状部材32、33よりも内周側の部位に第2膜状部材33の駆動軸44を配置している。
【0076】
この駆動軸43、44の両端部は、空調ケース11の左右の側面部に設けられた軸受穴45、46(図4)により回転自在に支持されている。この駆動軸43、44にはそれぞれ外周上に多数の歯を有する平歯車状の駆動ギヤ47、48が一体に設けてある。
【0077】
駆動軸43の駆動ギヤ47は第1膜状部材32の幅方向の左右両側のギヤ穴321の間隔に対応する間隔で設けてあり、この駆動ギヤ47の歯をギヤ穴321とかみ合わせる。従って、駆動軸43と一体に駆動ギヤ47が回転することにより第1膜状部材32が回転変位する。
【0078】
他方の駆動軸44の駆動ギヤ48は、第2膜状部材33の幅方向の左右両側のギヤ穴331の間隔に対応する間隔で設けてあり、この駆動ギヤ48の歯をギヤ穴331とかみ合わせる。従って、駆動軸44と一体に駆動ギヤ48が回転することにより第2膜状部材33が回転変位する。
【0079】
ここで、第2膜状部材33のギヤ穴331の間隔W3(図6(b))が第1膜状部材32の幅寸法W1より大きいので、左右の駆動ギヤ48が第1膜状部材32の幅寸法W1の左右外側に位置することになる。そのため、第2膜状部材33が第1膜状部材32の外周側に積層するように配置されていても、左右の駆動ギヤ48が第1膜状部材32と干渉することはない。
【0080】
なお、駆動軸43と駆動ギヤ47とにより第1膜状部材32の駆動機構を構成し、駆動軸44と駆動ギヤ48とにより第2膜状部材33の駆動機構を構成している。駆動軸43の一端部は図示しないリンク機構等を介して後席温度調整操作機構に連結され、この後席温度調整操作機構により駆動軸43の作動角、最終的には後席エアミックス用第1膜状部材32の作動角が調整される。
【0081】
同様に、駆動軸44の一端部も図示しないリンク機構等を介して後席吹出モード操作機構に連結され、この後席吹出モード操作機構により駆動軸44の作動角、最終的には後席吹出モード切替用第2膜状部材33の作動角が調整される。
【0082】
後席温度調整操作機構および後席吹出モード操作機構は通常サーボモータを用いたアクチュエータ機構により構成されが、直接手動操作される手動操作機構により後席温度調整操作機構および後席吹出モード操作機構を構成してもよい。
【0083】
また、本実施形態では第1、第2膜状部材32、33のループ形状を完全な円形状とせずに、長円状の形状にしている。すなわち、第1、第2膜状部材32、33のループ形状の径寸法を、2つの駆動軸43、44の積層方向(上下方向)の径寸法よりも2つの駆動軸43、44の積層方向と直交する方向(車両前後方向)の径寸法を大きくして、第1、第2膜状部材32、33のループ形状を車両前後方向が長軸方向となる長円状に形成している。これにより、膜状部材収納部41a、42aの領域を拡大するようにしている。
【0084】
なお、図1、2に示すように、蒸発器12の上方の直後の部位に、冷風バイパス通路50、および冷風バイパス通路50を開閉する冷風バイパスドア51が設けてある。この冷風バイパスドア51は、エアミックスドア16が最大冷房位置(図2の位置)にあるとき等に、これに連動して冷風バイパス通路50を全開するようになっている。
【0085】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。前席側吹出モード切替用のドア手段をなすフェイスドア21、デフロスタドア24およびフットドア27の操作位置を選択することにより、周知のフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフロスタモード、およびデフロスタモードの各種の吹出モードを車室内前席側の空調のために設定できる。
【0086】
そして、前席側温度調整手段をなすエアミックスドア16の開度位置を調整して、冷風通路15を通過する冷風とヒータコア13への通風路を通過する温風との風量割合を調整することにより車室内の前席側への吹出空気温度を所望温度に調整できる。
【0087】
次に、後席側制御機構30の作動を説明すると、図示しない後席温度調整操作機構により駆動軸43の作動角を調整して、後席エアミックス用第1膜状部材32の作動角を調整することにより、第1膜状部材32の開口部322と後席冷風入口36および後席温風入口37との連通開口面積が変化する。これにより、後席冷風入口36からの冷風流入量と後席温風入口37からの温風流入量との割合を変化させることができ、車室内の後席側への吹出空気温度を所望温度に調整できる。
【0088】
また、図示しない後席吹出モード操作機構により駆動軸44の作動角を調整して、後席吹出モード用第2膜状部材33の作動角を調整することにより、第2膜状部材33の開口部332と後席側フェイス開口部38および後席側フット開口部39との連通開口面積が変化する。これにより、前述した後席フェイスモード、後席バイレベルモード、後席フットモードおよび後席シャットモードの合計4つの吹出モードを切替設定できる。
【0089】
なお、図1、図3は前席側および後席側の吹出モードがともにフットモードであり、そして、前席側温度調整手段をなすエアミックスドア16および前席側温度調整手段をなす第1膜状部材32がともに最大暖房位置にある状態を示し、前席側においてはヒータコア13で加熱された温風が前席側フット開口部26から前席乗員の足元部へ吹き出す。
【0090】
また、後席側制御機構30においては、ヒータコア13で加熱された温風が後席温風入口37から第1膜状部材32の開口部322を通過して第1膜状部材32の内側へ流入する。この温風は、更に、第2膜状部材33の開口部332を通過して後席側フット開口部39へ流れる。この後席側フット開口部39から温風は図示しない後席フット接続ダクトを経て後席乗員の足元部へ吹き出す。
【0091】
図2は前席側および後席側の吹出モードがともにフェイスモードであり、そして、前席側温度調整手段をなすエアミックスドア16および前席側温度調整手段をなす第1膜状部材32がともに最大冷房位置にある状態を示している。前席側においては、蒸発器12で冷却された冷風が冷風通路15および冷風バイパス通路50を通過して前席側フェイス開口部20へ流れ、この前席側フェイス開口部20から冷風が図示しない前席側フェイスダクトを経て前席乗員の上半身側へ吹き出す。
【0092】
また、後席側制御機構30においては、蒸発器12で冷却された冷風が後席側冷風通路34から第1膜状部材32の開口部322を通過して第1膜状部材32の内側へ流入する。この冷風は、更に、第2膜状部材33の開口部332を通過して後席側フェイス開口部38へ流れる。この後席側フェイス開口部38から冷風は図示しない後席フェイス接続ダクトを経て後席乗員の上半身側へ吹き出す。
【0093】
次に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0094】
▲1▼後席側制御機構30において、周方向に配置された複数の開口部36〜39を有する略円筒状のケース部材31内に、可撓性を有するループ状の第1、第2膜状部材32、33を径方向に積層配置し、ループ状の第1、第2膜状部材32、33が開口部36〜39に沿って回転変位することにより複数の開口部36〜39を開閉するようになっているから、ループ状の第1、第2膜状部材32、33の回転変位により複数の開口部36〜39を開閉することができる。
【0095】
これにより、後席温度調整用のエアミックスドア機能及び後席吹出モード機能を略円筒状のケース部材31内にコンパクトに構成でき、後席側制御機構30の体格を小型化できる。
【0096】
更に、第1、第2膜状部材32、33がともにループ状であるから、両膜状部材32、33に対して駆動ギヤ47、48機構の引っ張り力を常に作用させることができる。従って、両膜状部材32、33を比較的小さな駆動力にて確実に回転変位させることができる。
【0097】
▲2▼第1、第2膜状部材32、33の閉口部323、324、333、334を、共通の収納部41a、42aの内側領域に収納しているから、第1、第2膜状部材32の閉口部323、324、333、334をそれぞれ独立した収納部に収納する場合に比して後席側制御機構30の体格を大幅に小型化できる。
【0098】
▲3▼ループ状の第1、第2膜状部材32、33をそれぞれ独立に駆動する複数の駆動機構、すなわち、駆動軸43、44、駆動ギヤ47、48を、ループ状の第1、第2膜状部材32、33の内側領域に配置しているから、駆動機構をも含めて後席側制御機構30の体格を更に小型化できる。
【0099】
▲4▼ループ状の第1、第2膜状部材32、33のうち、略円筒状のケース部材31の径方向の外側に配置される第2膜状部材33の幅寸法を、径方向の内側に配置される第1膜状部材32の幅寸法より大きくし、径方向の外側に配置される第2膜状部材33を回転変位させる駆動ギヤ48を、径方向の内側に配置される第1膜状部材32の幅寸法の外側に配置し、第1膜状部材32を回転変位させる駆動ギヤ47を第1膜状部材32の幅寸法の範囲内に配置している。
【0100】
これにより、ループ状の第1、第2膜状部材32、33をその内側領域に配置した複数の駆動機構43、44、47、48にてギヤ駆動する場合に、径方向の外側に配置される第2膜状部材33を、内側に配置される第1膜状部材32との干渉を起こすことなく、円滑にギヤ駆動することができる。
【0101】
▲5▼エアミックスドアを構成する第1膜状部材32を筒状の径方向の内側に配置し、吹出モードドアを構成する第2膜状部材33を筒状の径方向の外側に配置しているため、第1、第2膜状部材32、33の閉口部323、324、333、334によるシール機能を良好に発揮できる。
【0102】
すなわち、車室内へ向かって流れる空気流れに対してエアミックスドアを構成する第1膜状部材32は上流側に位置し、吹出モードドアを構成する第2膜状部材33は下流側に位置する。従って、第1膜状部材32を空気流れの風圧により筒状の径内方側へ変位させ、第1膜状部材32の内側に位置しているガイド壁40に第1膜状部材32の閉口部323、324を風圧により圧着することができる。従って、第1膜状部材32の閉口部323、324により冷風入口36と温風入口37を閉塞する時のシール作用を良好に発揮できる。
【0103】
また、吹出モードドアを構成する第2膜状部材33を空気流れの風圧により筒状の径外方側へ変位させて、ケース部材31の内壁面に第2膜状部材33を風圧により圧着することができる。これにより、第2膜状部材33の閉口部333、334により複数の吹出開口部38、39を閉塞する時のシール作用を良好に発揮できる。
【0104】
▲6▼ループ状の第1、第2膜状部材32、33を駆動する複数の駆動機構43、44、47、48を略円筒状のケース部材31の開口部36〜39の部位ではなく、収納部41a、42aの部位に対応して配置しているから、複数の駆動機構43、44、47、48による通風抵抗を減少できる。
【0105】
▲7▼複数の駆動機構43、44、47、48を収納部41a、42aの部位に対応して配置することにより、エアミックス用開口部である冷風入口36と温風入口37とを互いに接近させることができ、また、吹出開口部38と39とを互いに接近させることができる。これにより、共通の収納部41a、42aの領域を効果的に拡大できる。
【0106】
また、本実施形態では第1、第2膜状部材32、33のループ形状を完全な円形状とせずに、長円状の形状にしている。すなわち、第1、第2膜状部材32、33のループ形状の径寸法を、2つの駆動軸43、44の積層方向(上下方向)の径寸法よりも2つの駆動軸43、44の積層方向と直交する方向(車両前後方向)の径寸法を大きくして、第1、第2膜状部材32、33のループ形状を車両前後方向が長軸方向となる長円状に形成している。これによって、共通の収納部41a、42aの領域を更に拡大できる。
【0107】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記の一実施形態に限定されることなく種々変形可能である。
【0108】
上記の一実施形態では、空気流れを制御する複数のスライドドアとして可撓性を有する膜状部材32、33を使用しているが、複数のスライドドアとして可撓性のない剛体のドアを使用してもよい。すなわち、複数のスライドドアが剛体のドアで構成される場合でも、複数のスライドドアの閉口部を収納する共通の収納部を構成することにより、空気通路開閉装置の体格を小型化できる。
【0109】
また、スライドドアとして可撓性を有する膜状部材32、33にて複数のスライドドアを構成する場合であっても、複数の膜状部材32、33を上記の一実施形態のようにループ状とせずに、円弧状、直線状等の形態にしてもよい。このような円弧状、直線状等の膜状部材32、33を用いる場合でも、複数の膜状部材32、33の移動方向の前後の収納部を共通化することにより、空気通路開閉装置の体格を小型化できる。また、移動方向の前後の収納部をともに共通化せずに、移動方向の前後の片側の収納部のみを共通化するようにしてもよい。
【0110】
また、第2膜状部材33の駆動軸44、駆動ギヤ48を第2膜状部材33の径方向外側に配置しても良い。この場合は駆動ギヤ48と径方向内側の第1膜状部材32との干渉が発生しないから、径方向内側の第1膜状部材32の幅寸法を径方向外側の第2膜状部材33の幅寸法より小さくする必要が無くなる。従って、両膜状部材32、33の幅寸法を同一にしてもよい。
【0111】
また、本発明は、車両用空調装置における空気通路の開閉に限らず、種々な用途の空気通路の開閉に対して広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両用空調装置の空調ユニット部の断面図で、フットモード時を示す。
【図2】本発明の一実施形態を示す車両用空調装置の空調ユニット部の断面図で、フェイスモード時を示す。
【図3】図1、2の後席側制御機構部の拡大断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】(a)は図3、4の後席エアミックス用第1膜状部材の断面図、(b)は同第1膜状部材の展開図である。
【図6】(a)は図3、4の後席吹出モード切替用第2膜状部材の断面図、(b)は同第2膜状部材の展開図である。
【符号の説明】
30…後席側制御機構、31…ケース部材、32、33…ループ状膜状部材、36〜39…開口部、43、44…駆動軸、47、48…駆動ギヤ。

Claims (10)

  1. 筒状のケース部材(31)と、
    前記筒状のケース部材(31)の周方向に配置された複数の開口部(36〜39)と、
    前記筒状のケース部材(31)内にて前記筒状の径方向に積層配置され、可撓性を有する複数の膜状部材(32、33)とを備え、
    前記複数の膜状部材(32、33)が前記複数の開口部(36〜39)に沿って回転変位することにより前記複数の開口部(36〜39)を開閉するようになっており、
    さらに、前記複数の膜状部材(32、33)の少なくとも1つがループ状であることを特徴とする空気通路開閉装置。
  2. 前記ケース部材(31)に、前記複数の膜状部材(32、33)の閉口部(323、324、333、334)をともに収納する共通の収納部(41a、42a)を形成したことを特徴とする請求項に記載の空気通路開閉装置。
  3. 前記複数の膜状部材(32、33)をそれぞれ独立に駆動する複数の駆動機構(43、44、47、48)を備え、
    前記複数の駆動機構(43、44、47、48)を前記複数の膜状部材(32、33)の内側領域に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の空気通路開閉装置。
  4. 筒状のケース部材(31)と、
    前記筒状のケース部材(31)の周方向に配置された複数の開口部(36〜39)と、
    前記筒状のケース部材(31)内にて前記筒状の径方向に積層配置され、可撓性を有する複数の膜状部材(32、33)とを備え、
    前記複数の膜状部材(32、33)が前記開口部(36〜39)に沿って回転変位することにより前記複数の開口部(36〜39)を開閉するようになっており、
    前記複数の膜状部材(32、33)をそれぞれ独立に駆動する複数の駆動機構(43、44、47、48)を備え、
    前記複数の駆動機構(43、44、47、48)を前記複数の膜状部材(32、33)の内側領域に配置したことを特徴とする空気通路開閉装置。
  5. 前記複数の膜状部材(32、33)のうち、前記筒状の径方向の外側に配置される膜状部材(33)の幅寸法を、前記筒状の径方向の内側に配置される膜状部材(32)の幅寸法より大きくし、
    前記複数の駆動機構はそれぞれ駆動ギヤ(47、48)を有しており、
    前記筒状の径方向の外側に配置される膜状部材(33)を回転変位させる前記駆動ギヤ(48)を前記筒状の径方向の内側に配置される膜状部材(32)の幅寸法の外側に配置し、
    前記筒状の径方向の内側に配置される膜状部材(32)を回転変位させる前記駆動ギヤ(47)を前記筒状の径方向の内側に配置される膜状部材(32)の幅寸法の範囲内に配置することを特徴とする請求項3または4に記載の空気通路開閉装置。
  6. 車室内へ向かって流れる空気流れを制御する機構として、請求項1ないしのいずれか1つに記載の空気通路開閉装置を備えることを特徴とする車両用空調装置。
  7. 車室内へ向かって流れる空気流れを制御する機構として、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の空気通路開閉装置を備え、
    前記複数の開口部として、冷風が流入する冷風入口(36)と、温風が流入する温風入口(37)と、車室内の複数部位に空気を吹き出す複数の吹出開口部(38、39)とを備え、
    前記複数の膜状部材の1つ(32)は、前記冷風入口(36)と前記温風入口(37)を開閉して前記冷風と前記温風の風量割合を調整するエアミックスドアであり、
    前記複数の膜状部材の他の1つ(33)は、前記複数の吹出開口部(38、39)を開閉して吹出モードを切り替える吹出モードドアであり、
    前記冷風と前記温風の風量割合の調整により温度調整された空気を前記複数の吹出開口部(38、39)を通過して車室内へ吹き出すことを特徴とする車両用空調装置。
  8. 車室内へ向かって流れる空気流れを制御する空気通路開閉装置に筒状のケース部材(31)を備え、
    前記筒状のケース部材(31)の周方向に複数の開口部(36〜39)が配置され、
    前記筒状のケース部材(31)内には、可撓性を有する複数の膜状部材(32、33)が前記筒状の径方向に積層配置されており、
    前記複数の膜状部材(32、33)が前記複数の開口部(36〜39)に沿って回転変位することにより前記複数の開口部(36〜39)を開閉するようになっており、
    前記複数の開口部として、冷風が流入する冷風入口(36)と、温風が流入する温風入口(37)と、車室内の複数部位に空気を吹き出す複数の吹出開口部(38、39)とを備え、
    前記複数の膜状部材の1つ(32)は、前記冷風入口(36)と前記温風入口(37)を開閉して前記冷風と前記温風の風量割合を調整するエアミックスドアであり、
    前記複数の膜状部材の他の1つ(33)は、前記複数の吹出開口部(38、39)を開閉して吹出モードを切り替える吹出モードドアであり、
    前記冷風と前記温風の風量割合の調整により温度調整された空気を前記複数の吹出開口部(38、39)を通過して車室内へ吹き出すことを特徴とする車両用空調装置。
  9. 前記エアミックスドアを構成する前記膜状部材(32)を前記筒状の径方向の内側に配置し、前記吹出モードドアを構成する前記膜状部材(33)を前記筒状の径方向の外側に配置したことを特徴とする請求項7または8に記載の車両用空調装置。
  10. 前記エアミックスドアを構成する前記膜状部材(32)に、前記冷風と前記温風の両方が通過する開口部(322)を備えることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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