JP3947960B2 - プラットフォームドア制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下鉄等車両のプラットフォームに設置したドアを制御するプラットフォームドア制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用プラットフォームドアにおいては、例えば、戸先きに感知センサー等を具備し、ドア閉じ動作中、利用客あるいは品物等がドアに挾まり、それを検知した場合、ドアをリオープンし、その後、再び、閉じ動作を行う。そして、一旦ドアが閉じた後は、直ちに電磁ロック等によってドアをロックし、その後はドアの再開動作は行なわないドア制御システムとなっている。
また、別の従来のシステムにおいては、一旦ドアが閉じた後、例えば0.5秒〜2秒程度の時間経過後、電磁ロック等によってドアをロックするドア制御システムとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、プラットフォームドアにおいて、ドア閉じ動作中、利用客あるいは品物等がドアに挾まり、ドアの先に具備した例えば感圧式のセンサー等の戸先検知装置がそれを検知した場合、ドアをリオープンし、挾まった品物等を抜き取ることが可能となる様にし、その後、再度、ドア閉じ動作を行い、一旦ドアが閉じた後は、直ちに例えば電磁ロック等によってドアをロックし、その後はドアの再開動作は行なわないドア制御システムである。このシステムにおいては、ドアが閉じた時点で例えば電磁ロックを行うため、利用客が無理にドアを開ける等の不安全行為をできなくするとともに、ドア閉じ完了信号として、列車運行管理装置に信号を伝送することとしているのが一般的である。
しかし、この従来システムにおいては、戸先検知装置の不感領域が考慮されていない、という課題があり、そのため、通常の場合、ドアの両端に戸先検知装置が具備されているケースにおいて、例えば5mm程度の厚さの品物が挾まったとき、それを感知できない場合が発生する。従って、従来システムにおいては、例えば傘の先端部、盲人の杖等がドア間に挾まった場合に、それを検知できないケースも発生する可能性があり、不安全な状況が発生する、という課題があった。
更に、上記した問題点を解決するために、ドアが閉じた後、例えば0.5秒〜2秒程度の一定時間経過後、電磁ロックによりドアをロックする方式を採用し、その間にドア間に挾まった支障物を動かすことにより、戸先センサーが感知し、ドアを再開させることにより、支障物を取り除く方式も従来例としてあるが、この従来例によると、電磁ロックが作動する時間が毎回ドア閉後の一定時間経過後となるため、電車の発車時間がその分延びる、という課題があった。
【0004】
本発明の課題は、プラットフォームのドアが閉じた時に、戸先センサーが感知する程の支障物の厚さがなく、ドアが閉じ切ってしまう状況が発生した場合に、支障物を速やかに取り除くとともに、安全面に優れたプラットフォームドア制御システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、車両のプラットフォームに設置するプラットフォームドアと、該ドアに支障物が挾まったことを検知する戸先センサーと、ドア閉じ完了後、ドアロックする機構を有するプラットフォームドア制御システムにおいて、ドアロックする機構は、ロックピンを有する電磁錠を備えると共に、ドアにロックピンをロックする穴を設け、該穴は、ロックピンがロックされたとき、戸先センサーの感知範囲外の支障物がドアに挾まった状態から乗客が通過できない該支障物の開放可能な一定距離を移動するロックピンの径に加えてすき間を設けた長穴形状のロック穴とし、ドア閉じ完了時、戸先センサーの感知範囲外の支障物がドアに挾まった場合、該支障物を揺動することによって戸先センサーが感知し、ドアロックを解錠することなく、ドアを乗客が通過できない該支障物の開放可能な一定距離リオープンし、リオープン後、ドアを再度閉じる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるプラットフォームドア制御システムの全体図を示す。図1において、1はプラットフォーム、2はプラットフォームに設置されたフォーム柵、3,4は両方向に移動開閉する扉形式のプラットフォームドア、5は一方向に移動開閉するプラットフォームドア、6〜8はプラットフォームドア3〜5に設置された個別制御盤、9はプラットフォームドア3〜5が可動するフォーム柵2の範囲、20は車両(先頭車)、21,22は車両20の乗客乗降用ドア、23は車両20の乗務員用乗降ドア、30は駅務室、31は駅務室30に設置された総合制御装置31、32は同じく駅務室表示盤、1000はプラットフォームドアの幅を表わす。
プラットフォームドアのシステムは、まず最初に、プラットフォーム1に車両(先頭車)20が入り、定位置に停止したとき、乗務員がドア開指令を出す。このドア開指令信号を駅務室30に設置された総合制御装置31が受信する。総合制御装置31は、当該信号を受信後、プラットフォームドア3〜5に設置された個別制御盤6〜8にドア開指令信号をデータ転送する。それによりプラットフォームのドア3〜5はオープンする。乗客の乗降が終ると、乗務員がドア閉じ指令を発信する。当該指令は総合制御装置31で受信された後、総合制御装置31より個別制御盤6〜8にドア閉指令信号をデータ伝送する。それにより、プラットフォームドア3〜5は閉じ始める。ドア3〜5が完全に閉じ終ると、電磁錠(図示せず)によりドアをロックするとともに、ドア閉じ完了信号を個別制御盤6〜8から総合制御装置31にデータ伝送する。
全てのドア3〜5のドア閉じ完了信号を受信すると、総合制御装置31はドア閉じ完了信号を乗務員に発信する。当該信号の受信により乗務員は車両を発車させる。
【0007】
図2は、本実施形態の個別制御盤の構成図を示す。個別制御盤6〜8は同一構成であり、個別制御盤6について説明する。
図2において、プラットフォームドア3を開閉するモータ10には、AC100V電源に接続された開閉器11からインバータ12を介して交流電力が供給される。
いま、総合制御装置31からプラットフォームドア3の個別制御盤6にドア閉じ指令が伝送されると、その信号をマイコン制御装置13が受ける。マイコン制御装置13はゲートドライブ制御回路14を動作させ、インバータ12のゲート回路を制御してモータ10を駆動し、ドア3を閉じる動作が開始される。ドア3の閉じ動作の途中に、人や支障物が挾まれると、戸先スイッチ15が動作し、その信号は戸先スイッチ用信号線16を通してマイコン制御装置13に伝送され、それによりモータ10を反対方向に回転させる制御を行う。
その後、再度、ドア閉じ動作を行い、ドア3間に支障物が無い場合には、ドア3は全閉することとなり、全閉信号により、マイコン制御装置13から電磁錠17に作動指令が伝達され、ドア全閉後、電磁錠17によりドア3をロックする。
ここで、18はドア3の開閉状態を通報するチャイム。19はマイコン制御装置13の電源装置を表わす。
【0008】
図3は、本実施形態のプラットフォームドアの構成図を示す。プラットフォームドア3〜5は同一構成であり、プラットフォームドア3について説明する。
プラットフォームドア3は、ドア部301と、戸袋部302とから成り、ドア部301を支持ローラ303によって支持し、戸袋部302内にモータ10と個別制御盤6と電磁錠17を内蔵する。ここで、305はハンガー、306は非常開錠ボタンを表わす。
モータ10の回転により、ドア部301は、ガイドレール304に沿って移動し、開閉動作を行う。また、ドア部301の先には、戸先スイッチ15を具備し、人や支障物が挾まった場合にはそれを検知する。更に、ドア部301が全閉すると、電磁錠17が作動し、ドア部301が開くことがないように保持し、安全性を高める。
【0009】
図4に、戸先スイッチの構成図を示す。戸先スイッチ15は、ケーブルスイッチ1501をスイッチ保持レール1502上に支持し、外装カバー1503によって全体を囲うとともに、外装カバー1503を取付けチャンネル1504に取り付ける。
ケーブルスイッチ1501は、例えば人や支障物がドア部301間に挾まって正面方向または横方向の押圧を受けると、作動し、それを検知する。支障物として例えば傘の先端部、盲人の杖等の戸先センサー15が感知する程の厚さがないときは、挾まった物を曳っぱる等動かすことにより、同様に作動する。
【0010】
図5に、電磁錠の配置図を示す。図示のように、電磁錠17は戸袋部302に取りつけられ、電磁力により、電磁錠中央のロックピン1701が上下する機構となっている。通常、ロックピン1701は、引き上げられた状態にあり、ドア部301が完閉状態になると、個別制御盤3からの信号によりロックピン1701は引き下げられた状態となる。ドア部301が完閉状態になった位置において、ロックピン1701の真下のドアの位置にロック穴1702があり、そのロック穴1702にロックピン1701が入り込む。その機構によりドア部301は電磁錠17によってロックされる。
【0011】
図6は、従来例によるプラットフォームドア閉じ動作のフローチャートを示す。図示のように、総合制御装置31よりドア閉じ指令を受け、ドア閉じ動作が開始する。閉じ動作途中に、人や支障物がドア間に挾まり、戸先センサー15が感知した場合には、その時点でドアはリオープン動作を開始する。ドアの再開動作が完了すると、再度ドアは閉じ動作を始め、人や支障物がない等戸先センサー15の感知がない場合は、ドアは閉じ完了となり、電磁錠17が作動し、それによりドアは機構的にロックされ、安全性を高めている。それと同時に、ドア閉完了信号を総合制御装置31に伝送する。
【0012】
図7は、別の従来例によるプラットフォームドア閉じ動作のフローチャートを示す。図示のように、総合制御装置31よりドア閉じ指令を受け、ドア閉じ動作が開始する。閉じ動作途中に、人や支障物がドア間に挾まり、戸先センサー15が感知した場合には、その時点でドアはリオープン動作を開始する。ドアの再開動作が完了すると、再度ドアは閉じ動作を始め、戸先センサー15の感知がない場合は、ドアは閉じ完了となる。例えば、ドアの間に杖等が挾まった場合で、その厚さ(径)が薄く戸先センサー15の感知範囲外の場合には、それを動揺させることにより、戸先センサー15を感知状態にすることができることから、例えば0.5秒から2秒程度の一定時間内に挾まった支障物を動かすことにより、戸先センサー15が感知状態となり、再度ドアをリオープンさせることにより、支障物を取り除くことが可能となる。一定時間経過後、戸先センサー15の感知がない場合は、電磁錠17が作動し、それによりドアは機構的にロックされ、安全性を高めている。それと同時に、ドア閉完了信号を総合制御装置31に伝送する。
【0013】
図8は、本実施形態の電磁錠配置図を示す。図示のように、電磁錠17は、戸袋部302寄に取つけられ、電磁力により、電磁錠中央のロックピン1701が上下する機構となっている。通常、ロックピン1701が引き上げられた状態にあり、ドア部301が完閉状態になると、個別制御盤6からの信号によりロックピン1701は引き下げられた状態となる。ドア部301が完閉状態になった位置において、ロックピン1701の真下のドア部301の位置に長穴形状のロック穴1702をあけておき、そのロック穴1702にロックピン1701が入り込む。その機構によりドア部301は電磁錠17によってロックされる。
ここで、ロック穴1702は、ロックピン1701の径に加えて、例えば10mm〜30mm程度の長穴形状とし、電磁錠17のロックピン1701が引き下げられた状態即ちドア部301がロックされた状態のままで、ドア部301に10mm〜30mm程度のすき間(戸先センサーの感知範囲外の支障物がドアに挾まった状態から開放可能な一定距離)をあけることができる。
【0014】
図9は、本実施形態のマイコン制御装置よるプラットフォームドア閉じ動作のフローチャートを示す。
図示のように、総合制御装置31よりドア閉じ指令を受け、ドア閉じ動作を開始する。閉じ動作途中に、人や支障物がドア間に挾まり、戸先センサー15が感知した場合には、その時点で、ドアはリオープン動作を開始する。ドアの再開動作が完了すると、再度ドアは閉じ動作を始め、人や支障物がない等戸先センサー15の感知がない場合は、ドアは閉じ完了となり、電磁錠17が閉鎖動作し、それによりドアは機構的にロックされ、安全性を高めている。それと同時に、ドア閉完了信号を総合制御装置31に伝送する。
ドア閉じ時に、例えば細い杖等がドアに挾まった等で、戸先センサー15の感知がない状態のまま、ドアが機構的にロックされた場合、杖の挾まった事に気付き、杖を動揺させると、それにより戸先センサー15が感知するか、その時、ドアは低速でロック穴1702の長穴寸法以内の一定距離のみ再開する。例えば10mm〜30mm程度再開することにより、挾まった杖を取り除くことができる。しかも、その動作中電磁ロックは、ロックピン1701を下げた状態のままであり、状態変化することがない。その後、ドアは再閉動作を行い、ドア閉が完了する。なお、ドア閉完了信号伝送後、戸先センサー15の感知期間を例えば20秒以内等一定時間内と設定することも、勿論可能である。
【0015】
図10〜図12に、本実施形態の具体的なプラットフォームドアの動きを示す。
図10は、杖を持った乗客がドアを通過し、ドアが閉じた時に、ドア間に杖が挾まり、杖の先が細く、戸先センサーが感知できない領域であり、挾まった状態のままドアが閉じた状態を示している。
図11は、図10で示した状態の後、乗客が杖が挾まったことに気付き、杖を動揺させ、それにより戸先センサーが感知し、ドアが開いた状態を示している。
図示のように、ドアの開く寸法は、杖を取り除くのに10mm〜30mm程度となっており、前述の如く、ドアの電磁錠17はロックしたままの状態を保っている。
図12は、図11で示した状態の後、乗客が杖を取り除き、その後、ドアが閉じた状態を示している。
上記説明のように、本実施形態のプラットフォームドアは、戸先センサーが感知しない程度の細い支障物がドア間に挾まった場合に、ドアの電磁錠をロックしたまま、ドアを10mm〜30mm程度開くことにより、速やかに挾まった支障物を取り除くことが可能である。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、戸先センサーを具備したプラットフォームのドアが閉じた時に、ドア間に例えば杖等が挾まり、即ち、戸先センサーが感知する程の支障物の厚さがなく、ドアが閉じ切ってしまう状況が発生した場合においても、ドア閉じ直後に、挾まった支障物を動かすことによって、戸先センサーが感知することが可能になり、ドアをリオープンし、挾まった支障物を速やかに取り除くことができる。
また、リオープンする距離を乗客が通過できない狭い距離(例えば10mm〜30mm程度)とし、この場合、ロック穴を長穴形状とすることで対応可能な距離とし、電磁ロックを解錠せずに、ロック状態のままで、速やかに支障物を取り除けるため、一方、後続の乗客は通過することができないため、電車の出発に対して影響を与えないという、安全面ならびに列車の運行面においても優れたシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるプラットフォームドア制御システムの全体図
【図2】本発明の個別制御盤の構成図
【図3】本発明のプラットフォームドアの機構図
【図4】戸先スイッチの構造図
【図5】電磁錠の配置図
【図6】従来例によるフローチャート
【図7】別の従来例によるフローチャート
【図8】本発明の電磁錠の配置図
【図9】本発明のマイコン制御装置によるフローチャート
【図10】本発明によるプラットフォームドアの動き図
【図11】本発明によるプラットフォームドアの動き図
【図12】本発明によるプラットフォームドアの動き図
【符号の説明】
1…プラットフォーム、2…プラットフォーム柵、3,4…プラットフォームドア、5…プラットフォームドア、6〜8…個別制御盤、10…モータ、12…インバータ、13…マイコン制御装置、14…ゲートドライブ制御回路、15…戸先スイッチ、17…電磁錠、1701…ロックピン、1702…ロック用穴、20…車両(先頭車)、30…駅務室、31…総合制御装置、32…駅務室表示盤、31…総合制御装置
Claims (1)
- 車両のプラットフォームに設置するプラットフォームドアと、該ドアに支障物が挾まったことを検知する戸先センサーと、ドア閉じ完了後、ドアロックする機構を有するプラットフォームドア制御システムにおいて、
前記ドアロックする機構は、ロックピンを有する電磁錠を備えると共に、前記ドアに前記ロックピンをロックする穴を設け、該穴は、前記ロックピンがロックされたとき、前記戸先センサーの感知範囲外の支障物が前記ドアに挾まった状態から乗客が通過できない該支障物の開放可能な一定距離を移動する前記ロックピンの径に加えてすき間を設けた長穴形状のロック穴とし、
ドア閉じ完了時、前記戸先センサーの感知範囲外の支障物が前記ドアに挾まった場合、該支障物を揺動することによって前記戸先センサーが感知し、前記ドアロックを解錠することなく、前記ドアを乗客が通過できない該支障物の開放可能な一定距離リオープンし、リオープン後、ドアを再度閉じることを特徴とするプラットフォームドア制御システム。
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