JP3943786B2 - トナー及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、トナージェットに用いられるトナー、及び該トナーを使用する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報に記載されている如く多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に静電荷潜像を形成し、次いで潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き記録材(転写材)にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱圧力或いは溶剤蒸気により定着し、トナー画像を得るものである。従来、原稿画像に対し露光を行い、その反射光を感光体に露光し潜像を得るアナログ方式が一般に行われていたが、近年においては、原稿反射光を電気信号に変換し、その信号を処理した後、それに基づきレーザー光、LED光等を直接感光体上に照射し潜像を形成させるデジタル方式を用いた電子写真や静電記録システムが商品化されている。
【0003】
デジタルな画像信号を使用している電子写真システムの多くは、発光体(半導体レーザー等)が画像信号に従いオン−オフ(ON−OFF)され、その光が感光体上に投影される。この際、通常、印字率(1頁当りの印字面積の割合)は3割以下であり、文字部分に対して露光を行う方式いわゆる反転現像が、発光体寿命の点で優位である。そのため、潜像が一定電位ドット(画素単位)が集まって形成されており、ベタ部,ハーフトーン部およびライト部はドット密度をかえることにより表現されている。ところが、このようなデジタル方式においてはアナログ方式と比較して、特にハーフトーン部において、ドラムへの低抵抗汚染物質付着により潜像電荷の流れを生じ画像がにじむ「画像流れ」という現象が発生した場合、画像形成の性質上、現像された画像に現れ易いという問題点がある。
【0004】
また、デジタル反転潜像を形成するとき、半導体レーザー等で行なう場合には、800nm付近の赤外域に分光感度をもつ感光ドラムが用いられている。
【0005】
この領域に分光感度を持つ感光体としては、アモルファスシリコン(以後a−Siと記す。)感光体がある。該a−Si感光体は耐熱性,耐摩擦性等の耐久性が良く、感度領域が広い上、高感度であるため、種々のレーザー光を用いることができ、複写機等の高速化・多機能化が図れるものである。しかしながら、a−Si感光体はこうした利点を有する反面、コスト及び量産性の点から、膜厚を厚くすることは一般には難しく、実用レベルのa−Si感光体では帯電能を上げることができず、このため低電位コントラストで現像しうるトナーを用いることが必要とされ、トナーの帯電量上げると共に、それをできる限り均一にコントロールすることが重要である。特に、高温高湿環境下における、トナーの帯電量の低下及びトナーの流動性の低下を防止することが重要である。
【0006】
また、a−Si感光体は高表面硬度で高耐久性能を持っているが、その反面感光体表面が削られにくいという問題がある。電子写真プロセスにおいて感光体上に現像されたトナーは紙等の転写材に転写されるが、その際に転写されずに感光体上に残った残留トナーはクリーニング部材により除去される。そこでの完全な残留トナーの除去は、困難であり、除去されなかった残留トナーは、通常は、その後の現像及び転写プロセスによってトナーとの摩擦により、感光体表面とともに削られてしまうので問題にはならない。しかし、a−Si感光体は高硬度であるために表面が削られにくく、残留トナーの除去が難しくそれにより感光体へのトナー融着を引き起こしやすい。
【0007】
また、感光体表面には、電子写真プロセス中に発生する紙紛、オゾン付着物、或いは転写材を介して感光体に付着した搬送ゴムローラーからの染み出し物等の不純物が存在する。通常は、これら不純物も残留トナーと同様に感光体表面と共に削れ問題にならないが、a−Si感光体においては、残留トナーと同様に不純物の除去が困難となり、画像流れ等の画像欠陥を引き起こしやすい。
【0008】
また、画像流れ防止のために、感光体内部に温度制御用のドラムヒーターを内蔵し、感光体表面温度を上げ相対湿度を下げることにより、感光体表面への水分付着を抑制する方法が提案されている。しかし、機内昇温による影響や消費電力の低減を考慮すると感光体表面温度をあまり上げることはできない。そのため、トナーサイドからの改良が望まれている。
【0009】
また、クリーニング部材としては、クリーニングブレード或いはクリーニングローラー等が知られており、これらを単独或いは併用して用いられる。クリーニングブレード方式は、弾性をもつブレードを、感光体に接触させ物理的に感光体上の残留物を掻き取る方法である。通常このブレードと感光体の接する部分にトナーが存在しており、この多少存在するトナーによりクリーニングブレードと感光体の間の潤滑の役割をもって常に良好なクリーニングが行われる。しかし、かかるトナーが急激に減少すると、部分的に潤滑性が悪くなり、クリーニングブレードが感光体回転方向にめくれたり、或いは感光体上で振動したりして、感光体上の残留トナーを除去できない状態になってしまう。そのため、クリーニングブレードヘの安定したトナー供給を目的として、クリーニングローラーをクリーニングブレードの感光体回転方向上流側に設置し、摺擦により感光体上の残留物を掻き取ると共に感光体ヘトナーを塗布することが実施されている。しかしこの場合、このクリーニングローラーを含めたクリーナー中において、トナー或いは紙紛等の凝集物が生成し易くなり、その凝集物がクリーナーブレードと感光体の隙間に挟まり、そこからトナーがすり抜ける現象が発生し易くなる。
【0010】
これらの改良を目的として、トナー中に研磨剤や潤滑剤として無機微粉体を含有させることが各種提案されている。例えば、特開昭58−66951号公報、特開昭59−168458号公報、特開昭59−168459号公報、特開昭59−168460号公報及び特開昭59−170847号公報で導電性酸化亜鉛及び酸化錫を含有させることが開示されている。しかしこのような方法では、デジタル高速現像或いは低電位現像においては、安定した画像濃度が得られにくい。また、研磨粒子として酸化セリウム粒子を用いることが多く提案されている、例えば特開昭62−119550号公報にて、負帯電トナー中に、疎水性シリカと共に酸化セリウムを含有させることが開示されているが、これも同様に正帯電トナー、或いはデジタル高速現像、デジタル反転現像においては安定した帯電が得られない。更に特開昭61−236560号公報においては、酸化セリウムを主成分とした希土類元素化合物を添加させる方法が開示されているが、これら混合物は、その硬度が一定でなく感光体を不均一に削ってしまい、それにより研磨部分と未研磨部分とで感光体とクリーニングブレード間の摩擦係数が異なってしまい、ブレードのめくれ、すり抜けを発生せしめるという問題点があった。更に特開平1−204068号公報及び特開平8−82949号公報においては、フッ化セリウム或いは、フッ素含有酸化セリウム粒子を含有させることが開示され好ましい効果が得られているが、これのみでは硬度を一定にしづらい。更にこれらの酸化セリウム粒子を用いた場合、トナーの帯電バランスが崩れ、濃度安定性、カブリの発生等の問題が発生することがあった。すなわち、研磨性、潤滑性、クリーニング性及び現像性をバランスよく兼ね備えるものがないのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の如き問題点を解決することを目的とする。
【0012】
すなわち、本発明の目的は、現像性に優れ、高温高湿、低温低湿など様々な環境下でも安定した画像濃度が得られ、カブリの少ないトナーを提供することにある。
【0013】
更に本発明の目的は、トナー融着がなく、画像流れの発生しないトナーを提供することである。
【0014】
更に本発明の目的は、アモルファスシリコン感光体を用いても良好な現像性の得られる画像形成方法を提供することにある。
【0015】
更に本発明の目的は、ドラムヒーターによリドラム表面温度をそれほど上げなくても、画像流れの発生しない画像形成方法を提供することにある。
【0016】
更に本発明の目的は、クリーニングブレード或いはクリーニングローラー及びそれらを併用して用いたクリーニング工程において、ブレードすり抜け、ブレードめくれ、ブレード端部からのトナー漏れ等のクリーニング不良が発生しない画像形成方法を提供することにある。
【0017】
更に本発明の目的は、搬送ゴムローラーを転写材の搬送部材として用いても、感光体への汚染物質の付着がなく画像流れが発生しない画像形成方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体Aとを有するトナーであり、
該無機微粉体Aは、希土類元素酸化物を含有する希土類元素化合物を88.0〜97.0質量%含有し、
該希土類元素化合物は、Ceを酸化物換算(CeO2換算)で40.0〜65.0質量%含有しており、Laを酸化物換算(La23換算)で25.0〜45.0質量%含有しており、Ndを酸化物換算(Nd23換算)で1.0〜10.0質量%含有しており、Prを酸化物換算(Pr611換算)で1.0〜10.0質量%含有しており、
該希土類元素化合物は、フッ化希土類元素化合物を含有し、該無機微粉体Aのフッ素元素含有量が2.0〜11.0質量%であることを特徴とするトナーに関する。
【0019】
更に本発明は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、帯電している潜像担持体に静電荷像を形成する像形成工程と、静電荷像をトナーによって現像してトナー画像を形成する現像工程と、潜像担持体上に形成されたトナー画像を中間転写体を介して、又は、介さずに記録材上に転写する転写工程と、トナー画像を記録材に加熱定着する定着工程と、転写後の潜像担持体表面をクリーニング部材でクリーニングするクリーニング工程とを有する少なくとも有する画像形成方法であって、
該トナーが、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体Aとを有しており、
該無機微粉体Aは、希土類元素酸化物を含有する希土類元素化合物を88.0〜97.0質量%含有し、
該希土類元素化合物は、Ceを酸化物換算(CeO2換算)で40.0〜65.0質量%含有しており、Laを酸化物換算(La23換算)で25.0〜45.0質量%含有しており、Ndを酸化物換算(Nd23換算)で1.0〜10.0質量%含有しており、Prを酸化物換算(Pr611換算)で1.0〜10.0質量%含有しており、
該希土類元素化合物は、フッ化希土類元素化合物を含有し、該無機微粉体Aのフッ素元素含有量が2.0〜11.0質量%であることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子及び無機微粉体Aを有するトナーにおいて、該無機微粉体Aが、希土類元素の酸化物を含有する希土類元素化合物を、88.0〜97.0質量%(好ましくは89.0〜96.0質量%、さらに好ましくは90.0〜95.0質量%)含有することを特徴とし、融着や画像流れを効果的に防止することができる。該無機微粉体Aの希土類化合物の含有量が、88.0質量%未満である場合、研磨効果にムラが発現し易く、また希土類元素化合物が97.0%を超える場合、潤滑性に影響を及ぼすことがあり、クリーニングの安定性や研磨効果の安定性が失われることがある。
【0021】
該希土類元素化合物は、酸化物換算(CeO2換算)でCeを40.0〜65.0質量%(好ましくは45.0〜65.0質量%、さらに好ましくは50.0〜63.0質量%)含有していることを特徴とし、研磨効果と潤滑効果のバランスをとることができ、安定した現像性が得られる。Ceの含有量が65.0質量%を超えると、感光体の削れ量が大きくなりすぎ、感光体寿命を縮めたり、削れ方にムラができ表面電位の均一性が失われ画像濃度にムラが発生することがある。またトナーを過剰に帯電させ画像濃度低下を誘発することがある。一方、Ceの含有量が40.0質量%未満であると、潤滑性に劣るようになりクリーニングブレードのびびり、めくれが発生することがでてくる。またトナーの帯電性にムラを与え画像濃度が不安定になることがある。
【0022】
また、該希土類元素化合物は、酸化物換算(La23換算)でLaを25.0〜45.0質量%(好ましくは27.0〜43.0質量%、さらに好ましくは30.0〜40.0質量%)含有していることを特徴とし、この範囲でLaを含有することにより、トナーの流動性を安定化することができ、特に廃トナーのクリーナー中における流動性安定化効果が大きい。Laの含有量が25.0質量%未満であると、クリーナー中でのトナー流動性が不安定となりやすい。それにより、クリーナーブレード両端部からトナーが感光体上へ漏れだし、感光体端部へのトナーの融着となったりする。またLaの含有量が45.0質量%を超えると、流動性の不安定化から、廃トナーのクリーナー中での動きが悪くなり、排出がうまくできず、トナー詰まりなどを引き起こすことがある。またブレードエッジ部にトナーが詰まり、ブレードを浮かせクリーニング不良を誘発することがある。
【0023】
更に該希土類元素化合物は、Ndを酸化物換算(Nd23換算)で1.0〜10.0質量%(好ましくは1.0〜8.0質量%、さらに好ましくは2.0〜5.0質量%)含有していることを特徴とし、この範囲でNdを含有することにより、ブレードエッジ部での本発明に係る無機微粉体Aの滞留を安定化し、クリーニング性を安定化させクリーニング不良を防止することができる。また無機微粉体Aの滞留が安定化されるため、融着や画像流れ防止がより効果的に行われる。上記規定をはずれる場合、クリーナーブレードエッジ部に無機微粉体Aが安定して存在しなくなるため、クリーナー中で発生した凝集物が、ブレード−感光体間に挟まり、トナーすり抜けを発生し易くなる。また、ブレードエッジ面が露出して、摩擦係数に急激な変化が生じ、ブレードが振動するなどして、トナーすり抜けによるクリーニング不良を生じることがある。Ndの含有量が10.0質量%を超えると、トナー粒子と一緒に転写される無機微粉体が増加しブレードエッジ部への供給が滅ることがある。一方、Ndの含有量が1.0質量%未満であると、廃トナーと共に移動し易くなり、ブレードエッジ部への滞留が不安定になることがある。
【0024】
また該希土類元素化合物は、Prを酸化物換算(Pr611換算)で1.0〜10.0質量%(好ましくは2.0〜9.0質量%、さらに好ましくは3.0〜8.0質量%)含有していることを特徴とし、この範囲でPrを含有することにより、トナーの帯電安定性がもたらされる。Prの含有量が10.0質量%を超える場合、無機微粉体Aが過剰帯電を起こし易く、静電的な付着力が増大し、感光体へのトナー融着を引き起こすことがある。またPrの含有量が1.0質量%未満であると、無機微粉体が微小トナー粒子を吸着しカブリ粒子となり、斑点状のカブリを発生することがある。
【0025】
また、無機微粉体Aは、フッ化希土類元素化合物を、無機微粉体Aの質量を基準として、フッ素元素含有量が2.0〜11.0質量%(好ましくは3.0〜10.0質量%、さらに好ましくは4.0〜9.0質量%)となる様に含有することを特徴とし、この範囲でフッ化希土類元素化合物を含有することにより、トナーの帯電量を安定化させることができ、現像の耐久安定性が得られる。特に正帯電性トナーの場合は帯電量を高くすることができる。フッ素元素含有量が、11.0質量%を超える場合、負帯電性トナーに用いる際、その帯電バランスが崩れやすく、画像濃度の低下やカブリの発生を引き起こしやすくなる。さらに研磨性が不十分になることがある。またフッ素元素含有量が、本発明の2.0質量%未満である場合、正帯電性トナーに用いた場合、その帯電バランスが崩れやすく、画像濃度低下やカブリの発生を引き起こしやすくなる。また希土類元素酸化物の割合が大きくなり、研磨性が増し感光体寿命を縮めることがある。
【0026】
また無機微粉体Aは、バストネサイト鉱を酸化希土処理し、フッ酸により部分フッ化されていることが好ましい。通常のバストネサイト系研磨剤は、バストネサイト鉱から磁選、浮選による選鉱により、バストネサイト精鉱とし、粉砕、乾燥、焼成、再度の粉砕、分級により粒度調整し研磨剤とする。原料のバストネサイトがフッ素を含有しており、得られるバストネサイト系研磨剤は、フッ素元素を、R−O−F(R:レアアース、O:酸素原子、F:フッ素原子)の形で含有している。しかし、バストネサイト鉱を酸化希土処理し、フッ酸を用いてフッ化処理することにより、フッ素元素はR−F(R:レアアース、F:フッ素原子)の形で内部に取り込まれやすくなり、ほど良い研磨性を得ることができる。無機微粉体A中では、希土類元素が、一様にフッ化するが、中でも塩基性の強いランタンがよりフッ化物となり易く、それがトナーの帯電安定性を良好に保ち、長期の使用においても濃度低下が見られない。
【0027】
また無機微粉体Aは、ウラン、トリウムの含有量が共に100ppm未満(好ましくは10ppm以下、特に好ましくは1ppm以下)であることが好ましい。これ以上含有させると、帯電安定性に悪影響を及ぼし、特に正帯電性トナーとして用いるときにその帯電バランスが崩れ濃度低下及びカブリの発生が見られる。
【0028】
更に本発明は、該無機微粉体Aの体積平均粒径が0.1〜4.0μm(好ましくは0.2〜2.0μm)であり、窒素ガス吸着法によるBET比表面積が0.5〜15.0m2/g(好ましくは1.0〜10.0m2/g)であることが好ましい。体積平均粒径が0.1μm未満である場合、無機微粉体Aの凝集性が高くなり、トナーの流動性に悪影響を与えやすい。更に体積平均粒径が4.0μmを超える場合、その研磨効果が得られにくい。またBET比表面積が15.0m2/gを超える場合、該無機微粉体Aの耐湿性が低下しやすく、特に高湿環境下での現像性が低下し易い。更にBET比表面積が0.5m2/g未満である場合、研磨効果が得られにくい。
【0029】
更に本発明のトナーは、該無機微粉体Aを0.1〜10.0質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜7.0質量%である。該無機微粒子Aの含有量が0.1質量%未満である場合、その効果が少なく好ましくない。また無機微粒子Aの含有量が10.0質量%を超える場合、トナー中で無機微粉体Aの偏在及び遊離が起こり易くなり、長時間の使用においては感光体を不均一に削ってしまい、それが感光体表面の摩擦係数にばらつきを発生させクリーニング不良を引き起こしやすい。
【0030】
更に本発明の無機微粉体Aは、正帯電性トナーに用いることにより、その効果が十分に発揮される。従来、よく用いられる研磨剤としてチタン酸ストロンチウム或いは一般の酸化セリウム等があるが、これらの研磨剤は正帯電性トナーに用いる場合、帯電量不足や不均一帯電を引き起こしやすい。それは通常、トナーに用いられる結着樹脂は負帯電性であることが多く、正帯電性トナーとする場合には、正荷電性の荷電制御剤を結着樹脂に分散させることにより、正摩擦帯電性のトナーを得ている。そのため、負帯電性トナーと比較して、その帯電バランスを取ることが難しい。しかし、本発明の無機微粉体Aを用いた場合には、帯電阻害を起こさず、均一帯電を保つことができる。
【0031】
本発明の画像形成方法は、上述した構成を有するトナーを用いるものであるが、潜像担持体(感光体)として、アモルファスシリコン感光体を用いる画像形成方法であるときその性能がよく発揮される。すなわち、高硬度なアモルファスシリコン感光体表面への汚染物質を均一に研磨・除去でき、さらにトナーの帯電阻害を引き起こさないため、アモルファスシリコン感光体の低電位現像においても、安定した画像濃度が得られ、カブリの低減が達成できる。
【0032】
更に本発明の画像形成方法は、該感光体表面温度を45℃以下(更に好ましくは42℃以下)に設定するとき、その性能がよく発揮される。感光体表面温度を下げると、高湿環境下で感光体表面への水分付着量が多くなり、水分とオゾン付着物との組み合わせにより画像流れを発生させ易くなるが、本発明の画像形成方法は上記トナーを用いることによりトナーがオゾン付着物自体を削り取るため画像流れの発生が生じにくい。さらに、ドラムヒーターを用いない画像形成方法とすることも可能である。
【0033】
更に本発明の画像形成方法は、該クリーニング部材が、クリーニングブレード或いはクリーニングローラー及びそれらの併用であるとき、その性能がよく発揮される。本発明のトナーと共に用いることにより本発明に係る無機微粉体Aがクリーニングローラー表面上で感光体をほど良く研磨すると共に、クリーナーブレードエッジ部に存在し、ブレード−感光体間の滑性を増し、クリーニングブレードめくれ、びびりを防ぐと共に、研磨剤としての効果を発揮し感光体への融着トナーを除去することができる。
【0034】
更に本発明の画像形成方法は、該クリーニングローラーが磁気発生手段を内包するとき、その性能がよく発揮される。その場合、トナーがクリーニングローラーに磁気力により強く付いているため、トナーがローラー上で長時間撹拌され凝集物が発生し易い。通常は、その凝集物がクリーニングブレード−感光体間に挟まりトナーすり抜けを引き起こすが、本発明に係る無機微粉体Aは、クリーニングブレードエッジ部に存在して、凝集物の侵入を防ぐことができる。
【0035】
更に本発明の画像形成方法は、記録材(転写材)の搬送部材が弾性体ローラーであるとき性能がよく発揮される。たとえばゴム状ローラー表面からの汚染物質が、転写材を介して感光体表面を汚し画像不良を発生させるという問題点も、本発明のトナーと共に用いることにより感光体表面の汚染物質を除去することができ問題ない。
【0036】
このように、本発明で用いる無機微粉体Aは、従来からの一般の酸化セリウムやチタン酸ストロンチウムに比べて研磨性と潤滑性のバランスがよく、クリーニング部材での感光体クリーニングを安定して行うことができ、クリーニング不良の発生を減少させることができる。
【0037】
本発明に係る特性値の測定方法は次の通りである。
【0038】
(1)希土類元素化合物の含有量
本発明において無機微粉体Aの希土類元素化合物の含有量は、シュウ酸塩重量法で測定することができる。例えば、試料を約0.5g、HClO4を15ml、H22を1ml入れ軽く撹拌し、ホットプレート上で加温・分解し約5mlまで濃縮する。さらに、純水を約50ml加え煮沸し、その後、ろ過し、ろ液が約250mlになるように、温水にて数回洗浄する。得られたろ液250mlを加熱しながらシュウ酸5.0gを添加・撹拌し完全に溶解した後、放冷しNH4OH、HClにてpH1.3〜1.5に調整する。その後、ろ過、洗浄を行い、得られた沈殿物を、磁製ルツボに移し、140℃で約1時間乾燥した後、電気炉で1000℃で約1時間強熱・灰化処理し希土類化合物を得る。これを秤量し、初期の無機微粉体Aの重量とから含有量を算出する。
【0039】
(2)希土類元素化合物中の各希土類元素の含有量
本発明において該希土類元素化合物中のCe、La、Nd、Prの含有量は、(1)で得られた希土類元素化合物を用い、JIS K0116発光分光分析通則に準拠して、プラズマ発光分析(ICP分析)により測定し、酸化物換算により算出した。U及びThの含有量は元素含有量として得た。
【0040】
(3)無機微粉体Aのフッ素元素含有量
本発明において無機微粉体Aのフッ素元素含有量は、以下のようにして測定することができる。例えば、無機微粉体Aを0.5g精秤し、50質量%NaOH水溶液5ml及び純水5mlを加えて、加熱溶解する。冷却後、純水を加え100mlとする、その内の50mlと緩衝液(蒸留水1.5リットルに酢酸100ml,塩化ナトリウム116g及びクエン酸ナトリウム2gを溶解したもの)50mlを加え、100mlメスフラスコに入れて定容とする。この水溶液について、フッ素元素含有量をイオンメーターにより測定した。
【0041】
(4)無機微粉体の体積平均粒径
本発明において、無機微粉体Aの体積平均粒径は、レーザー回折式粒度測定(マイクロトラック法)の体積粒径50%値を表す。
【0042】
(5)無機微粉体のBET比表面積
BET比表面積は、湯浅アイオニクス(株)製、全自動ガス吸着量測定装置:オートソープ1を使用し、吸着ガスに窒素を用い、BET多点法により求める。なお、サンプルの前処理としては、50℃で6時間の脱気を行う。
【0043】
本発明のトナーはさらに、pHが7以上(より好ましくは7.5〜12.0、特には8.0〜11.0)である無機微粉体Bを含有させることにより、特に低湿環境下で良好なトナー流動性が得られる。つまり、無機微粉体Bを含有させることにより、トナーの過剰な電荷をリークしトナー帯電量を一定に保つことができ、静電凝集を少なくし流動性を大きく向上させることができる。pHが7未満の場合には、トナーより発生する摩擦帯電の電荷のリークや水分を介しての電荷の普遍化を行いづらくなる。またpHが12.0を超える場合には、電荷のリークが大きくなり過ぎることがある。すなわち、無機微粉体BのpHは微粉体表面上の極性化合物や官能基によりもたらされ、ある一定量以上となるとpH7以上を示すようになる。このpHをもたらす極性物質や官能基が電荷緩和作用のポイントとなる。このような物質は、処理剤上の置換基や反応残基によりもたらされる。例えばシラザン類,シリルアミン類を用いた場合はアンモニアやアミン類がこの役割をはたす。またアミノシラン,アミノ変性シリコーンオイルを用いた場合は、珪素上のアミノアルキル基がこの役割をはたす。
【0044】
つまり、無機微粉体BのpHを7以上とすることで、水分の吸着ポイント,電荷のリークポイント及び電荷の移動ポイントの密度を効果のある状態に維持することができる。また無機微粉体Bは比表面積を大きくすると、水分の吸着ポイント,電荷のリークポイント及び電荷の移動ポイントの有効範囲を拡大することもできる。無機微粉体Bの好ましいBET比表面積の範囲に関しては後述する。
【0045】
また、本発明のトナーを有機感光体を用いた画像形成装置に用いる場合は、シリコーンオイル処理された無機微粉体Cを含有することが好ましい。無機微粉体Cは潤滑効果を上げ、研磨効果をマイルドにするので、硬度の低い有機感光体を過度に削ったり傷付けることなく、また良好なクリーニングを行うことができる。また、無機微粉体Cを用いることにより、より平滑に感光体が研磨され良好な転写性を維持することができる様になる。
【0046】
本発明に用いられる無機微粉体B及びCとしては、酸化物,複酸化物,金属酸化物,金属,珪素化合物,炭素,炭素化合物,フラーレン,ホウ素化合物,炭化物,窒化物,珪化物及びセラミックスが用いられ、好ましくは金属酸化物である。金属酸化物の中でもシリカ,アルミナ,チタニア,ジルコニアが特に好ましい。さらに電荷のリークが適度でしかも水分を介した電荷の緩和作用が安定しているシリカが特に好ましい。
【0047】
無機微粉体B及びCに用いられるシリカとしては、珪素ハロゲン化合物の蒸気相酸化(例えば酸素・水素火焔中の熱分解酸化反応)による乾式法や、珪酸ナトリウム,アルカリ土類金属珪酸塩,珪酸塩の如き酸,アンモニア,塩類,アルカリ塩類による分解を用いる湿式法により得られるシリカが好ましく用いられ、結晶型としてはアモルファスのものが好ましく用いられる。塩化アルミニウム,塩化チタン,塩化ゲルマニウム,塩化錫,塩化ジルコニウム,塩化鉛の如き金属ハロゲン化物と珪素ハロゲン化物と共に用いることによって珪素と他の金属の酸化物の微粉体を得、それらを用いることもできる。中でも内部表面積をあまり持たない乾式法で作られたものが水分の吸着が適度で好ましく用いられる。
【0048】
無機微粉体B及びCに用いられるチタニアは、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物、例えばチタンアルコキシド,チタンハライド,チタンアセチルアセトネートの低温酸化(熱分解,加水分解)より得られるチタニアが用いられ、結晶系としてはアナターゼ型,ルチル型,これらの混晶型,アモルファスのいずれのものも用いることができる。特には、低温酸化により製造されたアモルファスのものや、塩素法,硫酸法で製造されたアナターゼ型,混晶型のものが好ましく用いられる。
【0049】
無機微粉体B及びCに用いられるアルミナは、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナが用いられる。結晶系としてはα,β,γ,δ,ξ,η,θ,κ,χ,ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、中でもα,γ,δ,θ,混晶型,アモルファスのものが好ましく用いられる。特には、熱分解法,火焔分解法で製造されたγ,δ型のものが好ましく用いられる。
【0050】
無機微粉体BはpH7以上とするため、前記無機微粉体と反応あるいは物理吸着するシラザン化合物、窒素原子が直接珪素原子に結合しているシラン化合物、窒素元素を含有する置換基を有するシラン化合物、窒素元素を含有する置換基を有するシリコーンオイルで処理される。必要に応じて、例えば前記処理剤で充分な疎水化度が得られない場合は、シラン化合物、シリコーンオイルで処理されたものも好ましく用いられる。例えば、更に疎水化度を上げるために、その他の有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物で合わせて処理されてもよく、中でもシラン化合物、シリコーンオイル、シリコーンワニスが好ましく用いられ、複数種類の処理剤を併用しても構わない。
【0051】
また無機微粉体Cは、シリコーンオイル処理の他に有機処理がされていても構わなく、処理剤としては無機微粉体Bと同様に前記無機微粉体と反応あるいは物理吸着する有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物が用いられ、複数種類の処理剤を併用しても構わない。
【0052】
無機微粉体B及びCの表面処理に用いられるシラザン化合物、窒素原子が直接珪素原子に結合しているシラン化合物の例として、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ビス(クロロメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビス−N,N’−(トリメチルシリル)ピペラジン、t−ブチルアミノトリエチルシラン、t−ブチルジメチルアミノシラン、t−ブチルジメチルシリルイミダゾール、t−ブチルジメチルシリルピロール、N,N’−ジエチルアミノトリメチルシラン、1,3−ジ−n−オクチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,3−ジメチル−1,3−ジフェニルジシラザン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシラザン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジメチルジシラザン、N−トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルモルホリン、N−トリメチルシリルピペラジン、N−トリメチルシリルピロール、N−トリメチルシリルトリアゾール、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシラザン、ヘキサフェニルシクロジシラザン、シロキサン単位を置換基とするシラザン類が挙げられる。特にシラザン化合物が、疎水化度が高くなりpH値を調整しやすく、低湿下と高湿下のバランスが取りやすいため好ましく用いられる。
【0053】
窒素元素を含有する置換基を有するシラン化合物としては、下記一般式(1)で表わせるシラン化合物、窒素元素を含有する置換基を有するシランカップリング剤類、窒素元素を含有する置換基を有するシロキサン類、窒素元素を含有する置換基を有するシラザン類があげられる。
【0054】
(R11pSiY4-p ・・・(1)
ここで、R11はアミノ基または窒素原子を少なくとも1つ以上有するオルガノ基を示し、Yはアルコキシ基,ハロゲンを表わし、pは1〜3の整数を表わす。窒素原子を少なくとも1つ以上有するオルガノ基としては、有機基を置換基として有するアミノ基、飽和含窒素複素環基、不飽和含窒素複素環基を有する基が例示される。複素環基としては、例えば次式のものが例示される。中でも、5員環,6員環のものが安定性の点から好ましい。
【0055】
【外1】
Figure 0003943786
【0056】
一般式(1)で表わせるシラン化合物、窒素元素を含有する置換基を有するシランカップリング剤の例として、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメチルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−γ−プロピルイミダゾール、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノブチルジメチルメトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメチルメトキシシランがあげられる。
【0057】
窒素元素を含有する置換基を有するシラザン類の例としては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(4−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス{N(2−アミノエチル)アミノプロピル}−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(ジエチルアミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(3−プロピルアミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンを挙げることができる。
【0058】
窒素元素を含有する置換基を有するシロキサン類の例としては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス{N(2−アミノエチル)アミノプロピル}−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(ジエチルアミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−プロピルアミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを挙げることができる。
【0059】
窒素元素を含有する置換基を有するシリコーンオイルとしては、珪素原子上の置換基が水素,メチル基,フェニル基,一部または全部の水素がフッ素置換されたアルキル基のいずれかであるシリコーンオイルにおいて、窒素元素を有する置換基をポリシロキサン骨格の側鎖,両末端,片末端,側鎖片末端,側鎖両末端に導入した含窒素シリコーンオイルがあげられる。好ましくはこの置換基が次式で表わせる置換基であることが好ましい。
【0060】
−R−NR1213、−R’−NR14−R”−NR1516
−R−R17、−R−NR14−R17
式中、R,R’,R”はフェニレン基,アルキレン基を表わし、R12,R13,R14,R15,R16は水素、置換基を有していても良いアルキル基,アリール基を表わし、R17は含窒素複素環を表わす。またこれらの置換基がアンモニウム塩の形態をとっていても良い。
【0061】
これらの含窒素シリコーンオイルは、エポキシ基、ポリエーテル基、メチルスチリル基、アルキル基、脂肪酸エステル基、アルコキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基、ビニル基の如き置換基を同時に有していても良い。
【0062】
これらの含窒素シリコーンオイルは、25℃における粘度が5,000mm2/s以下であることが好ましい。5,000mm2/sを超える場合は、分散が不十分になり均一処理しづらくなる。さらに、分子量を1分子あたりのアミンの数で割ったアミン当量が200〜40,000であることが好ましく、さらに好ましくは300〜30,000であることが良い。このアミン当量が40,000を超える場合には、帯電の緩和効果が現われにくい場合があり、200未満の場合には電荷のリークが増大し過ぎる場合がある。さらに、これらの含窒素シリコーンオイルを複数用いることも可能である。具体的にはアミノ変性シリコーンオイル、アミノ変性を含む異種官能基変性シリコーンオイルがあげられる。
【0063】
無機微粉体B及びCを表面処理するのに用いられるその他のシラン化合物としては、メトキシシラン,エトキシシラン,プロポキシシランの如きアルコキシシラン類、クロルシラン,ブロモシラン,ヨードシランの如きハロシラン類、ハイドロシラン類、アルキルシラン類、アリールシラン類、ビニルシラン類、アクリルシラン類、エポキシシラン類、シリル化合物類、シロキサン類、シリルウレア類、シリルアセトアミド類、及びこれらのシラン化合物類が有する異種の置換基を同時に有するシラン化合物類があげられる。その具体例として、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、t−ブチルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルメチルジクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、o−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にシラノール基を含有するジメチルポリシロキサンがあげられる。
【0064】
無機微粉体B及びCを表面処理するその他のシリコーンオイルとしては、例えばエポキシ変性,カルボキシル変性,カルビノール変性,メタクリル変性,メルカプト変性,フェノール変性,異種官能基変性の如き反応性シリコーン;ポリエーテル変性,メチルスチリル変性,アルキル変性,脂肪酸変性,アルコキシ変性,フッ素変性の如き非反応性シリコーン;ジメチルシリコーン,メチルフェニルシリコーン,ジフェニルシリコーン,メチルハイドロジェンシリコーンの如きストレートシリコーンがあげられる。
【0065】
これらのシリコーンオイルの中でも非反応性シリコーン,ストレートシリコーンが好ましく用いられる。特に無機微粉体Cを処理するシリコーンオイルとして好ましい具体例としては、ジメチルシリコーン,メチルハイドロジェンシリコーンである。
【0066】
これらのシリコーンオイルは、25℃における粘度が5〜2,000mm2/sであることが好ましい。更に好ましくは10〜1,000mm2/sである。5mm2/s未満では目的の疎水性が得られないことがあり、2,000mm2/sを超える場合には無機微粉体処理等に均一に処理しづらくなったり、凝集物ができやすく十分な流動性が得られないことがある。これらのシリコーンオイルを複数用いても良い。
【0067】
特には無機微粉体B及びCは、BET法による比表面積が20m2/g以上であることが好ましく、更に好ましくは30〜400m2/gであり、特に好ましくは50〜300m2/gである。比表面積が20m2/g未満であると、電荷のリーク,帯電の非局在化効果に劣るようになり、電荷の緩和均一化に効果を大きくは期待できなくなる場合がある。また比表面積が400m2/gを超える場合には、電荷のリークが大きすぎる場合が出てくる。
【0068】
本発明の無機微粉体B及びCの含有量はトナー粒子100質量部に対し0.05〜2.0質量部であることが好ましい。
【0069】
本発明において無機微粉体B及びCの処理母体100質量部に対する、処理剤の処理量は1〜40質量部であることが好ましく、さらに好ましくは2〜30質量部である。1質量部未満では処理効果が現われず、40質量部を超える場合には凝集物が増加し、流動性が低下することがある。
【0070】
処理剤が窒素元素を有する置換基を有するシラン化合物の場合には、無機微粉体の処理母体100質量部に対し0.01〜20質量部で処理されていることが好ましく、更に好ましくは0.05〜15質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部である。0.01質量部未満では、電荷のリークによる過剰帯電の防止,正負両方の帯電の安定性が不十分となりやすい。20質量部を超える場合には、電荷のリークが多くなり帯電不良や高湿下での帯電不足を発生したりすることがあり、負帯電性トナーの場合には逆極性粒子の発生、正帯電性トナーの場合には帯電過剰や選択現像を発生しやすくなる。
【0071】
処理剤が窒素元素を有する置換基を有するシリコーンオイルの場合には、無機微粉体の処理母体100質量部に対し0.1〜30質量部で処理されていることが好ましく、更に好ましくは0.2〜20質量部、特に好ましくは0.5〜15質量部である。0.1質量部未満では電荷のリークによる過剰帯電の防止,正負両方の帯電の安定性が不十分となりやすい。30質量部を超える場合には、電荷のリークが多くなり帯電不良や高湿下での帯電不足を発生したりすることがあり、負帯電性トナーの場合には逆極性に帯電した粒子が生じやすくなり、正帯電性トナーの場合には帯電過剰や選択現像を引き起こしやすくなる。
【0072】
これら数種類の処理剤を用いる場合は、各処理剤が上記の範囲内で用いられ、全部あわせた処理量が、無機微粉体の処理母体100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、更に好ましくは3〜45質量部、特に好ましくは6〜40質量部である。処理量が50質量部を超える場合には、凝集体を発生したり、処理が不均一になり易くなる。
【0073】
本発明において、無機微粉体のpH測定はガラス電極を用いたpHメータを用いて行なう。試料4.0gをビーカーに量り取リメタノール50cm3を加え、試料をぬらし、更に純水50cm3を加えてホモミキサーにて十分に撹拌する。その後pHメータを用いてpH値を測定する。
【0074】
次に本発明に係るトナー粒子について説明する。
【0075】
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、下記の重合体の使用が可能である。
【0076】
例えば、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエ−テル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂が挙げられる。好ましい結着樹脂としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
【0077】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類が挙げられる。これらのビニル単量体は、単独もしくは2つ以上用いられる。
【0078】
スチレン系重合体またはスチレン系共重合体は架橋されていてもよく、また混合樹脂でもかまわない。
【0079】
結着樹脂の架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリンのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンのようなジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これら架橋剤は単独もしくは混合物として用いられる。
【0080】
該スチレン系共重合体の合成方法としては、塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法及び乳化重合法のいずれでも良い。
【0081】
塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を早めることで、低分子量の重合体を得ることもできるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。溶液重合法では溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また開始剤量や反応温度を調節することで低分子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、GPCのクロマトグラムにおいて分子量5,000〜10万の領域に分子量の極大値を有する低分子量重合体を得る時には好ましい。
【0082】
溶液重合で用いる溶媒としては、キシレン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピルアルコール、ベンゼンが用いられる。スチレンモノマー混合物の場合はキシレン、トルエン又はクメンが好ましい。重合生成するポリマーによって適宜選択される。
【0083】
反応温度としては、使用する溶媒、開始剤、重合するポリマーによって異なるが、70℃〜230℃で行なうのが良い。溶液重合においては溶媒100質量部に対してモノマー30〜400質量部で行なうのが好ましい。
【0084】
更に、重合終了時に溶液中で他の重合体を混合することも好ましく、数種の重合体をよく混合できる。
【0085】
また、GPCのクロマトグラムにおいて分子量30万〜500万の領域に分子量の極大値を有する高分子量重合体や架橋重合体を得る重合法としては、乳化重合法や懸濁重合法が好ましい。
【0086】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行なう方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行なわれる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。さらに、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として他の方法に比較して有利である。
【0087】
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要であるので懸濁重合が簡便な方法である。
【0088】
懸濁重合においては、水系媒体100質量部に対して、モノマー100質量部以下(好ましくは10〜90質量部)で行なうのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウムが用いられ、水系媒体に対するモノマー量等で適当量があるが、一般に水系媒体100質量部に対して0.05〜1質量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する重合開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択すべきである。また重合開始剤の種類としては、水に不溶或いは難溶のものであれば用いることが可能である。
【0089】
これらの重合法において使用する重合開始剤としては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミンパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シランが挙げられる。これらの重合開始剤は単独あるいは併用して使用できる。
【0090】
その使用量はモノマー100質量部に対し、0.05質量部以上(好ましくは0.1〜15質量部)の濃度で用いられる。
【0091】
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
【0092】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0093】
【外2】
Figure 0003943786
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、xおよびyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
【0094】
また式(B)で示されるジオール類;
【0095】
【外3】
Figure 0003943786
(式中、R’は−CH2CH2−又は
【0096】
【外4】
Figure 0003943786
を示し、x’及びy’は0以上の整数であり、かつ、x’+y’の平均値は0〜10である。)が挙げられる。
【0097】
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステルの如きジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0098】
また、架橋成分としても働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
【0099】
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。
【0100】
また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;
次式
【0101】
【外5】
Figure 0003943786
(式中、Xは炭素数1以上の側鎖を1個以上有する炭素数1〜30のアルキレン基又はアルケニレン基を示す)
で表されるテトラカルボン酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステルの如き多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0102】
アルコール成分として40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分として60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%用いることが好ましい。
【0103】
また3価以上の多価の成分は、全成分中の1〜60mol%であることも好ましい。
【0104】
本発明のトナー中には上記結着樹脂成分の他に、該結着樹脂成分の含有量より少ない割合でシリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、2種以上のα−オレフィンの共重合体樹脂成分を含有させることができる。
【0105】
また、本発明のトナーに用いられる結着樹脂のガラス転移点(Tg)は好ましくは45〜80℃、より好ましくは50〜70℃である。
【0106】
本発明においては、低温定着性や耐高温オフセット性の向上のためにワックスを含有させることが好ましい。
【0107】
本発明のトナーに含有されるワックスは、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィンの共重合物、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類の如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0108】
好ましく用いられるワックスとしては、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又はその他の触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;アルキレンポリマーを重合する際に副生する低分子量アルキレンポリマーを分離精製したもの;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいは、これらを水素添加して得られる合成炭化水素から、特定の成分を抽出分別したワックスが挙げられる。これらワックスには酸化防止剤が添加されていてもよい。さらに、直鎖状のアルコール、脂肪酸、酸アミド、エステルあるいは、モンタン系誘導体で形成されるワックスが挙げられる。また、脂肪酸等の不純物を予め除去してあるものも好ましい。
【0109】
中でも好ましいものは、エチレンなどのオレフィンを重合したもの及びこの時の副生成物、フィッシャートロプシュワックスなどの炭素数が数千ぐらいまでの炭化水素を母体とするものが良い。また、炭素数が数百ぐらいまでの末端に水酸基をもつ長鎖アルキルアルコールも好ましい。更に、アルコールにアルキレンオキサイドを付加したものも好ましく用いられる。
【0110】
そして、これらのワックスから、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留、超臨界ガス抽出法、分別結晶化(例えば、融液晶析及び結晶ろ別)等を利用して、ワックスを分子量により分別し、分子量分布をシャープにしたワックスは、必要な融解挙動範囲の成分が占める割合が多くなるので更に好ましい。中でも、このように分別したワックスを2種類以上用いることが、低温定着性、耐ブロッキング性及び耐高温オフセット性に対し、これらの性能がバランス良く向上するために必要な融解挙動範囲のワックス成分を無駄なくトナー中に含有せしめられる点で特に好ましい。
【0111】
本発明のトナーには荷電制御剤を含有させることが好ましい。
【0112】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記の物質がある。
【0113】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物)高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、イミダゾール化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0114】
また一般式(1)
【0115】
【外6】
Figure 0003943786
で表わされるモノマーの単重合体;上記モノマーと、前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることもできる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
【0116】
特に下記一般式(2)で表わされるトリフェニルメタン化合物が本発明の構成においては好ましい。
【0117】
【外7】
Figure 0003943786
【0118】
トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0119】
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類;ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある。
【0120】
また次に示した一般式(3)で表わされるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0121】
【外8】
Figure 0003943786
【0122】
特に中心金属MとしてはFe又はCrが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましい。
【0123】
あるいは次の一般式(4)に示した塩基性有機酸金属化合物も負帯電性制御剤として好ましい。
【0124】
【外9】
Figure 0003943786
【0125】
特に中心金属としてはFe,Cr,Si,Zn又はAlが好ましく、置換基としては、好ましくはC1〜C18のアルキル基、アニリド基、アリール基、ハロゲン原子、特にはアルキル基又はハロゲン原子が好ましく、カチオンは水素イオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオンが好ましい。
【0126】
電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0127】
また、一成分,二成分を問わず着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、チタンホワイトやその他あらゆる顔料及び/又は染料を用いることができる。
【0128】
例えば本発明のトナーを磁性カラートナーとして使用する場合には、染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6を用いることができる。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGを用いることができる。
【0129】
また、本発明のトナーを二成分フルカラー用トナーとして使用する場合には、次の様なものが挙げられる。
【0130】
マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。
【0131】
かかるマゼンタ用着色顔料を単独で使用しても構わないが、マゼンタ用染料と併用してその鮮明度を向上させた方が、フルカラー画像の画質の点からより好ましい。かかるマゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28の如き塩基性染料が挙げられる。
【0132】
その他の着色顔料として、シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又は次式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
【0133】
【外10】
Figure 0003943786
【0134】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。
【0135】
これらの着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜60質量部であり、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.1〜20質量部、特に好ましくは0.3〜10質量部である。
【0136】
また、本発明のトナーにおいては、着色剤として磁性体を用い、磁性トナーとして使用することもできる。
【0137】
さらに本発明のトナーを磁性トナーとし、一成分系現像剤として使用する場合、磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が挙げられる。
【0138】
これらの磁性体は、平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては、結着樹脂100質量部に対し、好ましくは20〜200質量部、特に好ましくは40〜150質量部が良い。
【0139】
さらにこれらの磁性体の飽和磁化としては、7.96×102kA/m(10kOe)の磁場で、5〜200Am2/kg(emu/g)、さらには10〜150Am2/kg(emu/g)であることが好ましい。
【0140】
磁性体の残留磁化としては、7.96×102kA/m(10kOe)の磁場で、1〜100Am2/kg(emu/g)、さらには1〜70Am2/kg(emu/g)であることが好ましい。
【0141】
磁性体の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業(株)製)を用いて、外部磁場7.96×102kA/m(10kOe)の下で測定した値である。
【0142】
本発明のトナーは、二成分系現像剤として用いる場合には、キャリア粉と混合して用いられる。この場合には、トナーとキャリア粉との混合比はトナー濃度として0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは3〜10質量%が好ましい。本発明に使用しうるキャリアとしては、従来知られているものが全て使用可能であるが、具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属及びそれらの合金又は酸化物を用いることができ、平均粒径20〜300μmの粒子が好ましく使用される。
【0143】
またそれらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂の如き樹脂を付着又は被覆させたものが好ましく使用される。
【0144】
本発明に係るトナー粒子を作製するためには、結着樹脂、磁性体、ワックス、荷電制御剤、その他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に構成成分を分散又は溶解せしめ、冷却固化粉砕及び分級行って本発明に係るトナー粒子を得ることができる。
【0145】
得られたトナー粒子に対し、無機微粉体その他の添加剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により十分混合し、本発明に係るトナーを得ることができる。
【0146】
本発明においては、トナーの重量平均粒径が、好ましくは4〜13μm、より好ましくは5〜12μmであることが良い。トナーの重量平均粒径が4μm未満の場合には、十分な画像濃度が得られ難い。13μmを超える場合には、より高精細な画像形成が困難である。
【0147】
トナーの重量平均粒径の測定は、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて行なうが、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係る体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
【0148】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを用いた。
【0149】
本発明のトナーを用いて画像形成を行う場合、静電荷像保持体としては、導電体基体上に感光層としてa−Si層を有するa−Si感光体を使用するのが好ましい。
【0150】
a−Si感光体の構成としては、感光層の下部に、下部電荷注入防止層を設け、基板からの電荷の進入を防ぐことができる。更に耐久性向上のため、感光層の上部に表面保護層を、静電荷像保持体の表面からの潜像電荷の注入を防ぐ上部電荷注入防止層を感光層の上部、あるいは表面保護層と感光層の間に設けることもできる。また、表面保護層と上部電荷注入防止層を兼ねた層を感光層の上部に設けてもよい。また、更に、長波長光の干渉現像の現出を防止するために長波長光遮断層を設けることもできる。
【0151】
これらの各層を設ける際には、各層を必要に応じてその特性を実用に適合させるため、水素原子やホウ素,アルミニウム,ガリウムの如き周期表第III族の原子、ゲルマニウム,スズの如き周期表第IV族の原子、窒素,リン,ヒ素の如き周期表第V族の原子、酸素,イオウ,セレンの如き周期表第VI族の原子、フッ素,塩素,臭素等のハロゲン原子を単独または複合してa−Si形成時に導入して、各特性をコントロールすることができる。
【0152】
例えば、水素化a−Si(a−Si:H)にリン(P)をドープしたa−Si:H膜で構成された下部電荷注入防止層、ノンドープのa−Si:H膜で構成された感光層、そしてホウ素(B)をドープしたa−Si:膜で構成された上部電荷注入防止層をこの順序でドラム基体上に設けることにより、負電荷の静電荷像を保持する所望のアモルファスシリコン感光体ドラムを得ることができる。
【0153】
また、同様にホウ素をドープしたa−Si:H膜で構成された下部電荷注入防止層、ノンドープのa−Si:H膜で構成された感光層、そしてシリコンと炭素と水素から成るシリコン膜(即ちa−SiC:H膜)で構成された表面保護層をこの順序でドラム基体上に設けることにより、正電荷を保持する所望のアモルファスシリコン感光ドラムを得ることができる。
【0154】
このようなa−Si感光体により、可視光から半導体レーザー光まで分光感度をもつ静電荷像保持体とすることができ、該静電荷像保持体を用いることにより、半導体レーザー等からのレーザースポットでのデジタル潜像を該静電荷像保持体に形成することができる。
【0155】
次に、本発明の画像形成方法について説明する。
【0156】
次に、図1を参照しながら、本発明の画像形成方法を説明する。一次帯電器2で潜像担持体(感光体)1表面を負極性又は正極性に帯電し、アナログ露光又はレーザ光による露光5により静電荷像(例えば、イメージスキャニングによるデジタル潜像)を形成し、現像スリーブ4を具備する現像器10のトナー13で静電荷像を反転現像又は正規現像により現像する。現像部において、感光体1と現像スリーブ4との間には、バイアス印加手段12により交互バイアス、パルスバイアス及び/又は交流バイアスが印加されている。トナー像は、中間転写体を介して、又は介さず(図1では、中間転写体を介さない場合を示す。)に搬送ローラー14により搬送された転写材へ転写される。転写紙Pが搬送されて、転写部にくると転写帯電器3により転写紙Pの背面(感光体側と反対面)から正極性または負極性の帯電をすることにより、感光体表面上の負荷電性トナー像又は正荷電性トナー像が転写紙P上へ静電転写される。感光体1から分離された転写紙Pは、ヒータ16を内包している加熱加圧ローラー定着器7により転写紙P上のトナー画像は、定着される。転写工程後の感光体1に残留するトナーは、クリーニングブレード8及びクリーニングローラー9を有するクリーニング手段で除去される。クリーニング後の感光体1は、イレース露光6により除電され、再度、一次帯電器2により帯電工程から始まる工程が繰り返される。
【0157】
次に現像装置について詳しく説明する。
【0158】
図2においては、現像装置X1は、公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する静電潜像保持体、例えば電子写真感光ドラム1は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ4は、現像容器としてのホッパー17から供給されたトナー13を担持して、矢印A方法に回転することにより、現像スリーブ4と感光ドラム1とが対向した現像部Dにトナー13を搬送する。現像スリーブ4内には、トナー13を現像スリーブ4上に磁気的に吸引・保持するために、磁石15が配置されている。トナー13は現像スリーブ4との摩擦により、感光ドラム1上の静電潜像を現像可能な摩擦帯電電荷を得る。
【0159】
現像部Dに搬送されるトナー13の層厚を規制するために、強磁性金属からなる現像剤層厚規制部材としての規制ブレード11が、現像スリーブ4の表面から約200〜300μmのギャップ幅を持って現像スリーブ4に臨むように、ホッパー17から垂下されている。磁石15の磁極N1からの磁力線が規制ブレード11に集中することにより、現像スリーブ4上にトナー13の薄層(現像剤層)が形成される。規制ブレード11としては、磁性又は非磁性のどちらのものも使用することができる。
【0160】
現像スリーブ4上に形成されるトナー13の薄層の厚みは、現像部Dにおける現像スリーブ4と感光ドラム1との間の最小間隙よりも薄いものであることが好ましい。このようなトナー薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち非接触型現像装置に、本発明は特に有効である。しかし、現像部においてトナー層の厚みが現像スリーブ4と感光ドラム1との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、即ち接触型現像装置にも、本発明は適用することができる。
【0161】
説明の煩雑を避けるため、以下の説明は、非接触型現像装置を例に関して行う。
【0162】
上記現像スリーブ4には、これに担持された現像剤であるトナー13を飛翔させるために、バイアス印加手段12により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(トナー13が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧が、現像スリーブ4に印加されることが好ましい。一方、現像画像の濃度を高め或は階調性を向上するために、現像スリーブ4に交番バイアス電圧を印加して、現像部Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合、上記画像部の電位と背景部の電位の間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を現像スリーブ4に印加することが好ましい。
【0163】
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、いわゆる正規現像では、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用し、一方、静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、いわゆる反転現像では、トナーは静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。尚、高電位と低電位というのは、絶対値による表現である。いずれにしても、トナー13は現像スリーブ4との摩擦により静電潜像を現像するための極性に帯電する。
【0164】
図3は現像装置の他の実施形態を示す構成図である。
【0165】
図3の現像装置X2では、現像スリーブ4上のトナー13の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材として、ウレタンゴム及びシリコーンゴムの如きゴム弾性を有する材料、或はリン青銅及びステンレス鋼の如き金属弾性を有する材料の弾性板18を使用し、この弾性板18を現像スリーブ4に圧接させていることが特徴である。このような現像装置では、現像スリーブ4上に更に薄いトナー層を形成することができる。図3の現像装置X2のその他の構成は、図2に示した現像装置X1と基本的に同じで、図3において図2に付した符号と同一の符号は同一の部材を示す。
【0166】
上記のようにして現像スリーブ4上にトナー層を形成する図3に示すような現像装置X2は、弾性板18によりトナーを現像スリーブ4上に擦りつけるため、トナーの摩擦帯電量も多くなり、画像濃度の向上が図られる。特に非磁性一成分系現像剤においては、このような弾性板を用いた現像装置が用いられることが好ましい。
【0167】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これは、本発明をなんら限定するものではない。
【0168】
(無機微粉体Aの製造例1〜7及び比較製造例1〜2)
バストネサイト精鉱を粉砕し、硫酸にて溶解し、その後、溶媒抽出により各希土類元素量を調整した後、希土類元素の炭酸塩とした後、焼成し、酸化希土化合物とする。放冷後、湿式粉砕を行いながら、表1に示すとおりのフッ素含有量になるようにフッ酸を添加し、乾燥後、電気炉で、600〜1000℃で5〜10時間焼成し、粉砕・分級工程をへて表1に示す通りの製造例1〜7の無機微粉体A−1〜A−7及び比較製造例1〜2の無機微粉体a−1,a−2を得た。
【0169】
(無機微粉体の比較製造例3)
バストネサイト精鉱を選鉱し、粉砕、乾燥し、電気炉で、600〜1000℃で5〜10時間焼成後、粉砕・分級工程をへて、比較製造例3の無機微粉体a−3を得た。得られた無機微粉体a−3の組成を表1に示す。
【0170】
(無機微粉体の比較製造例4)
モナザイト精鉱から得られた塩化希土からアルカリ分解処理して、希土類元素の水酸化物した後、酸処理して乾燥させ、焼成し、粉砕・分級工程をへて表1に示す通りの比較製造例4の無機微粉体a−4を得た。
【0171】
(無機微粉体B及びCの製造)
容器中にトルエン1000質量部とシリカ200質量部を入れ、ミキサーにより撹拌してスラリーとし、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン6質量部、ジメチルシリコーンオイル(50mm2/s)34質量部を添加し、更にミキサーで撹拌した。このスラリーを、ジルコニアボールをメディアとしてサンドミルに30分間かけた。スラリーをサンドミルから取り出し、60℃で減圧しながらトルエンを除去した後、ステンレス容器で撹拌しながら250℃で2時間乾燥した。さらにハンマーミルにて解砕処理をし、無機微粉体iを得た。同様にして、母体及び処理剤を表2に示すとおりにする以外は無機微粉体iと同様にして無機微粉体ii及びiiiを得た。
【0172】
密閉型高速撹拌ミキサーにシリカ200質量部を入れ、窒素置換した。撹拌しながらヘキサメチルジシラザン40質量部を噴霧し、添加終了後室温で10分間撹拌した後、高速撹拌しながら300℃に昇温させて1時間撹拌した。撹拌しながら室温に戻し、ミキサーから粉体を取り出し、無機微粉体ivを得た。
【0173】
得られた無機微粉体i〜ivの物性を表2に示す。
【0174】
<実施例1>
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体(結着樹脂) 100質量部
・磁性酸化鉄(磁性体) 90質量部
・トリフェニルメタン系レーキ顔料(正荷電性制御剤) 2質量部
・低分子量ポリエチレン(離型剤) 4質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、130℃に設定した二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カンターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、トナー粒子を得た。トナー粒子100質量部に対し、無機微粉体A−1を3.0質量部、無機微粉体iを1.0質量部、外添混合して正帯電性トナーを得た。得られた正帯電性トナーは、重量平均粒径が7.2μmであった。
【0175】
このトナーを用いて、アモルファスシリコンドラムを有する市販の電子写真複写機NP6085(キヤノン株式会社製)改造機により、複写試験を行った。変更点としては、正帯電性トナーを使用した反転現像が可能となるようにバイアス、その他(非画像部ドラム電位400V,画像部ドラム電位50V,現像バイアスDC分280V,画像電位コントラスト230V、ドラム表面温度42℃設定)を改造し、更にクリーニング方式としては、磁束密度1000ガウスの極を8つ持つマグネットローラーであるクリーニングローラーと、ポリウレタンゴムからなるクリーニングブレード(硬度70度、厚さ3mm)とを設置した。このとき、マグネットローラーは対感光ドラム周速80%で順方向に回転し、感光ドラムとマグネットローラーのギャップは1.2mmとし、クリーニングブレードの感光ドラムヘの侵入量を0.5mmとした。
【0176】
複写試験は、温度23℃,湿度5%RH(常温低湿)の環境下、及び、温度30℃,湿度80%RH(高温高湿)の環境下で、それぞれ100,000枚の画出しを行い、以下の項目について評価した。また結果を表3及び表4に示す。
【0177】
1)画像濃度
マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度測定を行い、直径5mm丸の画像を測定した。
【0178】
2)カブリ
反射濃度計(リフレクトメーターモデルTC6DS東京電色社製)を用いて行い、画像形成後の白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Ds−Drをカブリ量としてカブリの評価を行った。数値の少ない方がカブリ抑制が良い。
【0179】
3)感光体ドラム表面のトナー固着
常温低湿環境下(温度23℃,湿度5%RH)及び高温高湿環境下(温度30℃,湿度80%RH)での100,000枚耐久終了後の感光体表面及び複写画像を目視により評価した。
A:未発生
B:わずかに発生するが、画像への影響はない。
C:固着があるが画像への影響は少ない。
D:固着が多く画像への影響が大きい。
【0180】
4)画像流れ
常温低湿環境下(温度23℃,湿度5%RH)及び高温高湿環境下(温度30℃,湿度80%RH)での、100,000枚目の画像を用いて、画像流れの評価を行った。
A:未発生
B:ごくわずかに発生する。
C:わずかに発生する。
D:発生し、画像のにじむ部分が広い。
【0181】
5)クリーニングすり抜け
常温低湿環境下(温度23℃,湿度5%RH)及び高温高湿環境下(温度30℃,湿度80%RH)での、100,000枚耐久終了後のクリーニングブレード及び複写画像を目視により評価した。
A:未発生
B:クリーニングブレードに凝集物が溜まっているが、すり抜けの発生はない。
C:クリーニングブレードのトナーすり抜けが発生しており、画像にスジが発生している。
【0182】
6)クリーニングブレード端部からのトナーもれ
常温低湿環境下(温度23℃,湿度5%RH)及び高温高湿環境下(温度30℃,湿度80%RH)での、100,000枚耐久終了後のクリーニングブレード及び感光体表面を目視により評価を行った。
A:もれ未発生
B:ブレード端部よりトナーがごくわずかに漏れる。
C:ブレード端部よりトナーが漏れるが、ドラム端部融着の発生はない。
D:ドラム端部へのトナー融着が発生している。
【0183】
7)ドラム削れ量
100,000枚耐久前後のドラムの膜厚を測定し、その差を削れ量とした。
【0184】
表には、100,000枚あたりの削れ量をnm単位で表示した。後述の実施例6では15,000枚耐久時で測定し、表にはμm単位で表示した。
【0185】
<実施例2>
無機微粉体A−1の代わりに、無機微粉体A−2を2.0質量部使用する以外は、実施例1と同様にして正帯電性トナーを製造、評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0186】
<実施例3>
無機微粉体A−1の代わりに、無機微粉体A−3を1.0質量部使用する以外は、実施例1と同様にして正帯電性トナーを製造、評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0187】
<実施例4>
無機微粉体A−1および無機微粉体iの代わりに、無機微粉体A−4を4.0質量部および無機微粉体iiを0.8質量部使用する以外は、実施例1と同様にして正帯電性トナーを製造、評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0188】
<実施例5>
無機微粉体A−1および無機微粉体iの代わりに、無機微粉体A−5を3.0質量部および無機微粉体iiを0.8質量部使用する以外は、実施例1と同様にして正帯電性トナーを製造、評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0189】
<実施例6>
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体(樹脂) 100質量部
・磁性酸化鉄(磁性体) 90質量部
・モノアゾ染料系クロム錯体(負荷電性制御剤) 2質量部
・低分子量ポリプロピレン(離型剤) 4質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、130℃に設定した二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カンターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、トナー粒子を得た。トナー粒子100質量部に対し、無機微粉体A−6を0.5質量部、無機微粉体iiiを1.0質量部、外添混合して負帯電性トナーを得た。得られた負帯電性トナーは、重量平均粒径が6.5μmであった。
【0190】
上記トナーをレーザービームプリンターLBP−930(キヤノン株式会社製、OPC感光ドラムを使用)を、非画像部ドラム電位が−700V、画像部ドラム電位が−170V、現像バイアスDC分が−500V、画像電位コントラスト330Vとなるように設定し、クリーナー部材として、ポリウレタンゴムからなるクリーニングブレード(硬度65度、厚さ1.2mm、感光体への侵入量0.9mm)を設置した。以上の条件で15,000枚のプリントを行い実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表3及び表4に示す。
【0191】
<実施例7>
・架橋ポリエステル樹脂(結着樹脂) 100質量部
・磁性酸化鉄(磁性体) 90質量部
・モノアゾ染料系クロム錯体(負荷電性制御剤) 2質量部
・低分子量ポリプロピレン(離型剤) 4質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、130℃に設定した二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カンターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、トナー粒子を得た。トナー粒子100質量部に対し、無機微粉体A−7を5.0質量部、無機微粉体ivを1.0質量部、外添混合して負帯電性トナーを得た。得られた負帯電性トナーは、重量平均粒径が7.8μmであった。
【0192】
上記トナーを、市販のアモルファスシリコンドラムを有する電子写真複写機NP6085(キヤノン株式会社製)を非画像部ドラム電位50V,画像部ドラム電位420V,現像バイアスDC分190V,画像電位コントラスト230V,ドラム表面温度42℃設定となるように設定し、更にクリーニング方式としては、クリーニングローラーとして磁束密度750ガウスの極を6つ持つのマグネットローラーとポリウレタンゴムからなるクリーニングブレード(硬度73度、厚さ3mm)を設置した。このとき、マグネットローラーは対感光ドラム周速80%で順方向に回転し、感光ドラムとマグネットローラーのギャップは1.2mmであり、クリーニングブレードの感光ドラムヘの侵入量を0.5mmと設定した。これを用い、実施例1と同様にして評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0193】
<比較例1>
無機微粉体A−1の代わりに、無機微粉体a−1を使用する以外は、実施例1と同様にして正帯電性トナーを製造、評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0194】
<比較例2>
無機微粉体A−7の代わりに、無機微粉体a−2を使用する以外は、実施例7と同様にして負帯電性トナーを製造、評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0195】
<比較例3,4>
無機微粉体A−1の代わりに、無機微粉体a−3,a−4を使用する以外は、実施例1と同様にして正帯電性トナーを製造、評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0196】
<実施例8>
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体(結着樹脂) 100質量部
・銅フタロシアニン(着色剤) 3.5質量部
・トリフェニルメタン系レーキ顔料(正荷電性制御剤) 2質量部
・低分子量ポリエチレン(離形剤) 3質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、120℃に設定した2軸混練押し出し機によって溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕物を更に風力分級機で分級し、トナー粒子を得た。トナー粒子100質量部に対し、無機微粉体A−1を1.0質量部、無機微粉体iを1.0質量部、外添混合して正帯電性非磁性トナーを得た。得られたトナーは、重量平均粒径が8.5μmであった。
【0197】
このトナーを、市販の複写機FC−330(キヤノン(株)社製 OPC感光ドラム使用)を用い、非画像部ドラム電位−150V、画像部ドラム電位−600V、現像バイアスDC分−280V、画像電位コントラスト320Vと設定し、クリーニング部材として、ポリウレタンゴムからなるクリーニングブレード(硬度65度、厚さ1.2mm、感光体への侵入量0.7mm)を設置した。以上の条件で温度23℃、湿度5%RH(常温低湿)の環境に引き続き、温度30℃、湿度80%RH(高温高湿)の環境で1000枚の複写試験を行い、実施例1と同様にして、各種評価(ドラム削れの評価を除く)を行った。結果を表3及び表4に示す。
【0198】
【表1】
Figure 0003943786
【0199】
【表2】
Figure 0003943786
【0200】
【表3】
Figure 0003943786
【0201】
【表4】
Figure 0003943786
【0202】
【発明の効果】
本発明のトナー及び画像形成方法によれば、画像流れ、トナー融着、クリーニング不良等が発生せず、アモルファスシリコン感光体を用いた電子写真装置においても優れた現像性や耐久性が得られ、また正帯電トナーとして用いても安定した帯電特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法を実施するための画像形成装置の一具体例を示す概略的説明図である。
【図2】現像装置の拡大説明図である。
【図3】現像装置の他の一具体例を示す概略的説明図である。

Claims (35)

  1. 結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体Aとを有するトナーであり、
    該無機微粉体Aは、希土類元素酸化物を含有する希土類元素化合物を88.0〜97.0質量%含有し、
    該希土類元素化合物は、Ceを酸化物換算(CeO2換算)で40.0〜65.0質量%含有しており、Laを酸化物換算(La23換算)で25.0〜45.0質量%含有しており、Ndを酸化物換算(Nd23換算)で1.0〜10.0質量%含有しており、Prを酸化物換算(Pr611換算)で1.0〜10.0質量%含有しており、
    該希土類元素化合物は、フッ化希土類元素化合物を含有し、該無機微粉体Aのフッ素元素含有量が2.0〜11.0質量%であることを特徴とするトナー。
  2. 該無機微粉体Aは、体積平均粒径が0.1〜4.0μmであり、窒素ガス吸着法によるBET比表面積が0.5〜15.0m2/gであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 該無機微粉体Aは、体積平均粒径が0.2〜2.0μmであり、窒素ガス吸着法によるBET比表面積が1.0〜10.0m2/gであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  4. 該無機微粉体Aが、希土類元素化合物を89.0〜96.0質量%含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 該無機微粉体Aが、希土類元素化合物を90.0〜95.0質量%含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  6. 無機微粉体Aを0.1〜10.0質量%含有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
  7. 無機微粉体Aを0.1〜7.0質量%含有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
  8. 該無機微粉体Aが、バストネサイト鉱を酸化希土処理し、フッ酸により部分フッ化することにより得られる無機微粉体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
  9. 該無機微粉体Aのウラン及びトリウムの含有量が、共に質量基準で100ppm未満であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
  10. トナーが、pHが7以上である無機微粉体Bを含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
  11. トナーが、シリコーンオイル処理された無機微粉体Cを含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
  12. トナーが正帯電性であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー。
  13. トナーの重量平均粒径が、4〜13μmであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー。
  14. トナーの重量平均粒径が、5〜12μmであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー。
  15. 潜像担持体を帯電する帯電工程と、帯電している潜像担持体に静電荷像を形成する像形成工程と、静電荷像をトナーによって現像してトナー画像を形成する現像工程と、潜像担持体上に形成されたトナー画像を中間転写体を介して、又は、介さずに記録材上に転写する転写工程と、トナー画像を記録材に加熱定着する定着工程と、転写後の潜像担持体表面をクリーニング部材でクリーニングするクリーニング工程とを有する少なくとも有する画像形成方法であって、
    該トナーが、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と、無機微粉体Aとを有しており、
    該無機微粉体Aは、希土類元素酸化物を含有する希土類元素化合物を88.0〜97.0質量%含有し、
    該希土類元素化合物は、Ceを酸化物換算(CeO2換算)で40.0〜65.0質量%含有しており、Laを酸化物換算(La23換算)で25.0〜45.0質量%含有しており、Ndを酸化物換算(Nd23換算)で1.0〜10.0質量%含有しており、Prを酸化物換算(Pr611換算)で1.0〜10.0質量%含有しており、
    該希土類元素化合物は、フッ化希土類元素化合物を含有し、該無機微粉体Aのフッ素元素含有量が2.0〜11.0質量%であることを特徴とする画像形成方法。
  16. 該潜像担持体が、アモルファスシリコン感光体であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成方法。
  17. アモルファスシリコン感光体を帯電し、帯電したアモルファスシリコン感光体を露光することによってデジタル潜像を形成することを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。
  18. アモルファスシリコン感光体を、プラスの電位に帯電し、露光によってデジタル潜像を形成し、正の摩擦電荷を有する正帯電性トナーでデジタル潜像を反転現像法にて現像することを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。
  19. 該潜像担持体の表面温度が、画像形成時に、45℃以下に調整されていることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載の画像形成方法。
  20. クリーニング工程が、クリーニングブレード、クリーニングローラー、或いは、その併用により行われることを特徴とする請求項15乃至19のいずれかに記載の画像形成方法。
  21. クリーニング工程が、少なくともクリーニングローラーを用いて行われ、該クリーニングローラーが磁気発生手段を内包することを特徴とする請求項15乃至19のいずれかに記載の画像形成方法。
  22. 記録材を転写工程に搬送する搬送手段として、弾性体ローラーを用いることを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載の画像形成方法。
  23. 該無機微粉体Aは、体積平均粒径が0.1〜4.0μmであり、窒素ガス吸着法によるBET比表面積が0.5〜15.0m2/gであることを特徴とする請求項15乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
  24. 該無機微粉体Aは、体積平均粒径が0.2〜2.0μmであり、窒素ガス吸着法によるBET比表面積が1.0〜10.0m2/gであることを特徴とする請求項15乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
  25. 該無機微粉体Aが、希土類元素化合物を89.0〜96.0質量%含有していることを特徴とする請求項15乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
  26. 該無機微粉体Aが、希土類元素化合物を90.0〜95.0質量%含有していることを特徴とする請求項15乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
  27. 該トナーが、無機微粉体Aを0.1〜10.0質量%含有していることを特徴とする請求項15乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
  28. 該トナーが、無機微粉体Aを0.1〜7.0質量%含有していることを特徴とする請求項15乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
  29. 該無機微粉体Aが、バストネサイト鉱を酸化希土処理し、フッ酸により部分フッ化することにより得られる無機微粉体であることを特徴とする請求項15乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
  30. 該無機微粉体Aのウラン及びトリウムの含有量が、共に質量基準で100ppm未満であることを特徴とする請求項15乃至29のいずれかに記載の画像形成方法。
  31. 該トナーが、pHが7以上である無機微粉体Bを含有していることを特徴とする請求項15乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
  32. 該トナーが、シリコーンオイル処理された無機微粉体Cを含有していることを特徴とする請求項15乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
  33. 該トナーが、正帯電性であることを特徴とする請求項15乃至32のいずれかに記載の画像形成方法。
  34. 該トナーの重量平均粒径が、4〜13μmであることを特徴とする請求項15乃至33のいずれかに記載の画像形成方法。
  35. 該トナーの重量平均粒径が、5〜12μmであることを特徴とする請求項15乃至33のいずれかに記載の画像形成方法。
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