JP3940816B2 - 蛋白素材を含有する食品又は飼料の保存性を向上させた製造方法とそのための食品又は飼料の添加組成物 - Google Patents

蛋白素材を含有する食品又は飼料の保存性を向上させた製造方法とそのための食品又は飼料の添加組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、保存性の優れた蛋白素材を含有する食品又は飼料の製造方法とそのための添加組成物に関する。本発明は、小麦、乳、卵、肉、大豆などに含まれる各種の蛋白質に反応し、作用するトランスグルタミナーゼとプロタミンとを併用することによって、これら蛋白素材を原料とする食品又は飼料の保存性を向上させようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
プロタミンはサケあるはニシンの雄魚の精巣、いわゆるしらこ中で成熟した***のDNAと結合している強塩基性の単純蛋白質である。プロタミンは、しらこ蛋白という名称で食品添加物の保存料に指定され、プロタミン単独で抗菌作用を示すが、その抗菌性を有効に発現するには、既存の各種抗菌性物質と併用する(特開昭62‐201563、特開昭63‐17679)ことが行なわれ、麺類、水産練り製品、卵加工品など多くの食品にそれぞれに適した形態で使用されている。
【0003】
一方、トランスグルタミナーゼ(transglutaminase,γ−glutamyl transferase)は,ペプチド鎖内にあるグルタミン残基のγ−カルボキシアド基のアシル基転移反応を触媒する酵素であり、このトランスグルタミナーゼはアシル受容体としてタンパク質中のリジン残基のε−アミノ基が作用すると、分子内にε−(γ−Glu)−Lys架橋結合が形成される。この酵素は食品に含まれる蛋白質分子の架橋重合に利用され、麺類、水産練り製品、肉類移など各種食品の物性改良や接着に応用されており、「化学的合成品以外の食品添加物」として指定されている。しかし、このトランスグルタミナーゼ自体に抗菌性はなく、添加した食品の基質によって、その食品の保存性が決まってくる。尚、このトランスグルタミナーゼは、動物由来のもの、植物由来のもの、微生物由来のものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これまでプロタミンを実効性のある食品保存剤として利用するために、その抗菌スペクトルを広げ、また高価であるがゆえに微量で効力を発揮させるように研究されてきた。しかし、蛋白質を多く含む食品、特に、水産・畜産製品や小麦粉を主原料とする麺類および卵加工食品に対して保存効果を発揮させるためには、高濃度のプロタミンの添加が必要であり、経済性の点からプロタミンだけでは実用性がないとされていた。そのため、蛋白素材を含む食品や飼料においてもプロタミンの抗菌性を有効に発現できる併用効果の高い物質の発見とそれを組み立て実用性のある保存剤の開発が求められていた。
【0005】
本発明者らは、食品中でプロタミンの抗菌活性を有効に発現させるために新しい物質との併用効果を検索し、食品保存剤としていままで以上に実用性の高い製剤を開発すべく鋭意研究を重ねてきた。数多くの実験の結果から、蛋白質を含む食品の系においてプロタミンとトランスグルタミナーゼとを併用すると、トランスグルタミナーゼの物性向上効果が保持され且つプロタミンの抗菌力が有効に発現されて、明らかに強い抗菌性を発揮する事実を新たに見出した。
【0006】
これは、トランスグルタミナーゼが蛋白質を構成するアミノ酸中のグルタミン残基とリジン残基の間に架橋結合を形成させ蛋白質の構造を変化させる、という特異性がプロタミンの抗菌力の発現に対して何らかの好影響を与えた為と推測する。
【0007】
本発明者は、このような新たに見出した技術的知見に基づき、蛋白素材を含有する食品の物性を向上させながら保存性を高めようとしたことを特徴とする食品又は飼料の製造方法と、そのための添加組成物を開発し、提供したのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
特許を受けようとする第1発明は、蛋白素材を含有する食品又は飼料類の製造工程において、プロタミンとトランスグルタミナーゼを添加・存在させることにより保存性を向上させたことを特徴とする食品又は飼料の製造方法である。
【0009】
当該第1発明は、プロタミンとトランスグルタミナーゼを併用することによりトランスグルタミナーゼの品質向上効果を損なうことなく、保存性を向上させたことを特徴とする食品又は飼料の製造方法の発明である。保存性の向上については、トランスグルタミナーゼが反応して蛋白質を架橋重合した食品の環境下では、プロタミンの抗菌性が有効に発現するとの新しい技術的知見を利用した基本発明である。また、プロタミンはトランスグルタミナーゼの架橋重合反応を阻害しないので、本発明は物性向上効果、リジン導入による栄養性改善効果といったトランスグルタミナーゼの従来知られている効果も同時に発揮することができる。
【0010】
特許を受けようとする第2発明は、小麦粉やそば粉を主原料とする麺類、ぎょうざ等の皮類の製造工程において、プロタミンとトランスグルタミナーゼを添加・存在させることにより保存性を向上させたことを特徴とする食品の製造方法である。
【0011】
小麦粉やそば粉の蛋白質の主成分であるグルテンは、グリアジンとグルテニンで構成されているが、前者は、小麦粉の粘性に富んだ物性を示し、後者は、グルテン網目構造の基本骨格となるもので、弾性に富んだ物性を示している。つまり、グルテンは加水と混煉により小麦グルテン中のL−システインの−SH基が酸化されて−S−S結合が形成され、グルテンの網目構造が粘弾性に富んだ物性となるようにしている。トランスグルタミナーゼは、これらグルテンの網目構造に作用し、分子内・分子間での共有結合(G−L結合)の形成を促して、麺類に粘りと弾力を増強する効果がある。つまり、麺類に自然なコシを再現するとともに、食感をコントロールし、保水力をアップして麺類のつなぎ性を向上するなどの品質向上効果をもたらす。このような環境下でプロタミンは、抗菌力を有効に発現するので、当該麺類の保存性が著しく向上する。
【0012】
特許を受けようとする第3発明は、水産製品又は畜肉製品の製造工程において、プロタミンとトランスグルタミナーゼを添加・存在させることにより保存性を向上させたことを特徴とする食品の製造方法である。
【0013】
蛋白素材を主成分とする食品である水産製品は、大別すると水産加工品と水産練製品になるが、前者の水産加工品では、トランスグルタミナーゼは、素材本来の風味はそのままに、巻き寿司の具やえびパテや成型数の子などの成型用接着材として、まぐろ剥身などの結着力向上材として、たらこや明太子などの粒子感増強材として又は剥きえびなどのレトルト耐性の付与材として夫々の品質改良に使用されている。また、後者の水産練り製品にあっては、トランスグルタミナーゼは、蒸し板蒲鉾などの弾力増強剤として、笹蒲鉾や揚蒲鉾のしなやかさ付与材として、竹輪などの低級すり身への置き換え材として品質改善に使用されている。使用方法としては、粉まぶし法や水溶き法で添加されている。このようないずれの使用態様においても、トランスグルタミナーゼとプロタミンとを併用添加すると、プロタミンの抗菌力が有効に発現してその水産製品の保存性を高めることが出来る。
【0014】
他方、蛋白素材を主成分とする食品である畜肉製品では、トランスグルタミナーゼは、素材本来の風味をそのままに、成型ステーキなど畜肉片をくっつける接着材として、ハム、チャーシューなどの身割れ防止材として、ハム、ソーセージなどの結着力増強材として、ソーセージなどの弾力増強材として、ハムなどの風味改善材など食品の物性改良や接着による品質改良などに広く使用されてきた。本発明は、トランスグルタミナーゼとプロタミンとを併用することによって、いずれの使用態様においても食品の物性向上効果を損なうことなく、保存性を高め商品の付加価値を大きくするものである。尚、トランスグルタミナーゼとプロタミンの併用添加組成物は、水溶き添加法、粉まぶし法、粉振込み法、ピックル液使用法、粉添加法など多様な方法で添加・存在させることが可能である。
【0015】
特許を受けようとする第4発明は、卵加工食品の製造工程において、プロタミンとトランスグルタミナーゼを添加・存在させることにより保存性を向上させたことを特徴とする食品の製造方法である。
【0016】
第4発明の対象である卵加工食品の蛋白質は、卵白蛋白質(オボアルブミン)と卵黄蛋白質とからなっており、トランスグルタミナーゼは、特に卵黄蛋白質に良く反応して、卵焼きの弾力をよくしたり、薄焼き卵を形成しやすくするなどの物性向上効果を発揮する。この際プロタミンを併用すると、プロタミンの抗菌性が有効に発現して、出来た製品の保存性が飛躍的に良くなる効果がある。
【0017】
上記のように本願発明は、いずれもトランスグルタミナーゼが物性の改良に使用できる食品、特に小麦粉を主原料とする麺類・皮類、水産及び畜産製品、卵加工食品においてプロタミンと併用することで、保存効果が高まり、保存性向上と物性改良が同時に達成できる。また本発明の食品製造方法に用いるプロタミンとトランスグルタミナーゼの量は食品の風味に影響がないことから、優れた食品の製造方法である。
【0018】
特許を受けようとする第5発明は、プロタミンとトランスグルタミナーゼを混合するか又は溶媒に溶解して成る蛋白素材を含有する食品又は飼料の保存性を向上させるための添加組成物である。
【0019】
当該第5発明は、蛋白素材を主原料とする食品又は飼料の保存性を高めながら物性を向上させる添加組成物として、それ自体を製品化した発明である。あらゆる食品において品質と保存性を両立させることは、求められている理想であり、課題である。特に、近年デリカ食品など製造してから流通し、食するまでに時間がかかることが多くなると、物性を向上させながら保存性を高めるということは、その食品の付加価値を大きく高めることになる。本発明の添加組成物は、このような観点から強いニーズに応えた価値の高い発明である。
【0020】
【実施例】
本発明に用いるプロタミンは、サケ、ニシン、スケソウタラ等の***核中にデオキシリボ核酸と結合したヌクレオプロタミンとして存在する比較的低分子量の高アルギニン含有の強塩基性蛋白質である。本発明においては、遊離状態のプロタミン、あるいはプロタミン硫酸塩、塩酸塩などの塩などいずれの形でも用いることができる。尚、当該プロタミンの製造方法には色々あるが、一般には、前記魚類の精巣を磨砕し、希硫酸又は希塩酸を加え、得られたプロタミン抽出液にアルコールを加えて沈殿させ、これを強塩基性のイオン交換樹脂を用いてフリーのプロタミンにする方法が行われている。しかし、どのような方法で得られたものでも、食品衛生上問題がないものであれば、本発明において使用可能である。
【0021】
本発明に用いるトランスグルタミナーゼは、前記の活性を有する酵素で、カルシウム非依存性のものとカルシウム依存性のものがあるが、いずれも使用することが可能である.前者の例としては、微生物由来のもの(例えば、特開平1−27471号参照)をあげることができる.後者の例としては、モルモット肝臓由来のもの(特公平1−50382号参照)、動物血液由来のもの、及び魚由来のものをあげることができる.この他、遺伝子組み換え法により製造されるもの(特開平1−300889及び特開平5−199883号)等もある。本発明には、いずれのトランスグルタミナーゼでも用いることができ、起源及び製法には特別の制限はない.
【0022】
本発明が対象とする食品は、トランスグルタミナーゼが有効に機能できるタンパク質を含む食品であり、例えば、小麦粉を主原料とする食品として中華麺、日本そば、うどん類、及びぎょうざ、しゅうまい、ワンタン、春巻きなどの皮類、生・半生パスタなどがある。水産・畜産製品としては、蒸し板蒲鉾、笹蒲鉾、揚蒲鉾、カニ足タイプ蒲鉾、竹輪、ホタテパテ、エビパテ、塩蔵カズノコ、ロースハムなどのハム類、ベーコン、ソーセージ類、ミートボール、ハンバーグ、トンカツ、チキンナゲット結着成型肉などがある。卵加工食品としては、卵焼き、茶碗蒸し、卵豆腐、プリン、カスタードクリームなどがある。
【0023】
本発明の保存性の向上した食品の製造用組成物は、プロタミン1重量部に対してトランスグルタミナーゼが0.01から50重量部含有され、食品中にこの組成物がプロタミンとして20から2000ppm、好ましくは100から500ppm含有されていればよい。
【0024】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明する。もちろん、これによって本発明の技術的範囲は制限されるものではない。
【0025】
<実施例1>(蒸し中華麺)
準強力小麦粉1kgに対して、プロタミン(サケの精巣より調製)0.1g、トランスグルタミナーゼ製剤(味の素(株)の商品名「アクティバTG−M」、トランスグルタミナーゼ0.2%含有)10g、食塩10g、粉末かんすい6g及び食用黄色色素0.4gをそれぞれ水360mlに溶解したものを打ち水として使用し、10分間混練した後、これをビニール袋に入れ、20℃で60分熟成後圧延し、切歯(#10)にて麺線を切り出した。これを98℃以上で6分間蒸し上げ、水洗、水切り後、40gづつをポリエチレン製袋に包装し、85℃で30分間加熱して蒸し中華麺を製造した。さらにプロタミンまたはトランスグルタミナーゼ製剤をそれぞれ単独で添加した添加区及び両者を添加しない無添加区の蒸し中華麺を製造し、各添加区を10個づつ30℃に保存して、経時的に外観観察を行った。その結果を第1表に示す。尚、保存効果の判定は下記の変敗評点の基準により行った。
【0026】
【表1】
Figure 0003940816
【0027】
<実施例2>(ぎょうざの皮)
準強力粉1kg、水360g、食塩10gの基本処方に第2表に示す濃度のプロタミン、トランスグルタミナーゼ製剤(味の素(株)の商品名「アクティバTG−M」、トランスグルタミナーゼ0.2%含有)、及びプロタミンとトランスグルタミナーゼ製剤の両者を添加し、横型混捏機を用いて20分間混捏後、4寸ロールで4回複合して麺体を調製した。これをビニール袋に入れ、室温で1時間熟成後、ロールの間隙を徐々に狭くして4回で1mmの厚さまで圧延した。これを直径9cmの抜き型を使用して打ち抜き、1枚づつビニール袋に入れ、各試験区10枚作成し、20℃に保存して実施例1と同様の変敗評価基準により有効保存日数を求めた。プロタミンとトランスグルタミナーゼの併用試験区は、単品試験区よりも保存性が格段に向上し、 破れにくくしなやかであった。
【0028】
【表2】
Figure 0003940816
【0029】
<実施例3>(かまぼこ)
スケソウダラSA級冷凍すり身6kgに、食塩180g、馬鈴薯澱粉300g、および氷水1.2kgを添加し、サイレントカッターで13分間処理してねり肉を調製した。このねり肉3kgに第3表に示す割合なるようにプロタミン、トランスグルタミナーゼ製剤(味の素(株)の商品名「アクティバTG−K」、トランスグルタミナーゼ1.0%含有)を添加し、5分間擂潰し、30℃で60分間加温してすわらせた後、塩化ビニリデンフィルム(折径50mm)に約100gづつ充填し、90℃の熱水中で30分加熱したのち流水で30分間冷却し得た蒲鉾を、同様にして得た無添加の蒲鉾とともに保存試験標本とした。
【0030】
保存試験は、ケーシング蒲鉾を一試験区当たり10本づつ25℃の恒温器で保存し、保存性を肉眼で観察し、保存効果を判定した。判定基準としては、下記の5段階評点法を用い、平均点が1点に達するまでの日数を有効保存日数とした。試験区及び保存日数を第3表に示す。本発明のプロタミンとトランスグルタミナーゼの併用試験区は、単品試験区よりも保存性が向上し、蒲鉾の弾力や食感も優れていた。
【0031】
【表3】
Figure 0003940816
【0032】
<実施例4>(ウインナーソーセージ)
豚肉及びマトンの挽肉の等量混合物6kgに、豚脂15%、食塩2.5%、重合燐酸塩0.1%、スパイス0.5%、亜硝酸ナトリウム70ppm及び氷水10%を加え、サイレントカッターで10分間処理した.得られたエマルジョン肉3kgに、第4表に示す割合になるようにプロタミン、トランスグルタミナーゼ製剤(味の素(株)の商品名「アクティバTG−S」、トランスグルタミナーゼ1.0%含有)を添加し、擂潰機で5分間混合し10℃で30分間保持後、手動式スタッファーを用いて約15gづつ羊腸に充填した。これをスモークハウスで40分間乾燥し、スモーク及び蒸煮を行い、中心温度が75℃になるように加熱して、ウインナーソーセージを製造した.冷却後、滅菌シャーレにウインナーソーセージ2本づつ、1試験区10枚のシャーレを用意し、20℃で保存し、保存性を実施例3に示した5段階評点法で判定し、有効保存日数を求めた。その結果を第4表に示す。本発明のプロタミンとトランスグルタミナーゼの併用試験区は、明らかに保存性が向上し、また弾力・歯ごたえなどの物性面においても他の試験区よりも改善された。
【0033】
【表4】
Figure 0003940816
【0034】
<実施例5>(卵焼き)
卵750g、だし汁165g、砂糖42g、食塩3.8gを混合して卵液を調製し、第5表に示す割合なるようにプロタミン、トランスグルタミナーゼ製剤(味の素(株)の商品名「アクティバTG−S」、トランスグルタミナーゼ1.0%含有)を添加し静かに攪拌した。これを30℃で30分間保持後、予め少量の食用油を含ませ弱火で加温したフライパンに注いだ。約90秒後に少し凝固しかけた卵を約90秒かけて折り返し、さらに約60秒ほど20秒間隔で裏返しを繰り返した。次いで、内容物をフライパンより取り出し、室温にて放冷し、耐熱性ポリエチレン袋に入れて85℃、10分間ボイル殺菌した。冷却後、袋から出し、トレーパックにして25℃に保存して経時的に一般生菌数を測定した。保存結果を第5表に示す。有効保存日数は一般生菌数が10個/gになるまでの日数とした。プロタミンとトランスグルタミナーゼの併用試験区は、単品試験区よりも有効保存日数が長くなり保存性が向上した。またこの併用試験区の卵焼きは水っぽくなく、組織が緻密になりソフトで舌ざわりが良好であった。
【0035】
【表5】
Figure 0003940816
【0036】
【発明の効果】
本発明は、叙上のように、トランスグルタミナーゼが反応して蛋白質を架橋重合化した食品の環境下では、プロタミンの抗菌性が有効に発現するうえ、プロタミンは、トランスグルタミナーゼが有する蛋白質の物性向上作用や品質改良効果を阻害することがないので、両者を併用することにより、保存性と物性の向上を同時に実現した食品や飼料を製造することができる。蛋白素材を含有する食品において品質の向上と保存性の向上を同時に図ることは、誰でも望むことであるが、実現は難しいとされていた技術課題であった。本発明は、これを解消したもので食品の付加価値を相乗的に高めた技術である。

Claims (5)

  1. 蛋白素材を含有する食品又は飼料類の製造工程において、プロタミンとトランスグルタミナーゼを添加・存在させることにより保存性を向上させたことを特徴とする食品又は飼料の製造方法。
  2. 小麦粉やそば粉を主原料とする麺類、ぎょうざ等の皮類の製造工程において、プロタミンとトランスグルタミナーゼを添加・存在させることにより保存性を向上させたことを特徴とする食品の製造方法。
  3. 水産製品又は畜肉製品の製造工程において、プロタミンとトランスグルタミナーゼを添加・存在させることにより保存性を向上させたことを特徴とする食品の製造方法。
  4. 卵加工食品の製造工程において、プロタミンとトランスグルタミナーゼを添加・存在させることにより保存性を向上させたことを特徴とする食品の製造方法。
  5. プロタミンとトランスグルタミナーゼを混合するか又は溶媒に溶解して成る蛋白素材を含有する食品又は飼料の保存性を向上させるための添加組成物。
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