JP3939186B2 - オフセット印刷用ブランケットの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷用ブランケットの製造方法に関し、さらに詳しくは表面印刷層がシリコーンゴムで形成されており、高度の精密印刷が可能なオフセット印刷用ブランケットを生産性よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷は種々の分野において利用されているが、とりわけ近年はエレクトロニクス分野においてシリコーンブランケットを用いたオフセット印刷により微細なパターンを高精度に転写再現することにより電気配線パターン、蛍光体パターン、プラズマディスプレイ、液晶表示装置用カラーフィルター等の製造に利用することが多くなっている。オフセット印刷の精度は、ブランケットの表面状態(表面粗さ)によって印刷性能が左右されるため、表面仕上げに相当な高精度が要求され、かつブランケット厚みも均一であることを要する。このために、これまでにも印刷精度の高いブランケットを得るためにいくつかの提案がなされている。
【0003】
特許第258963号の特許公報には、精密印刷用ブランケット成形金型が開示されており、この金型は、一対の金型よりなり、そのうち何れか一方の金型の内面に、ブランケットのインク担持面成形用の平坦面を有する硝子板、セラミック板または薄肉金属板からなる板部材が、着脱自在に取り付けられたことを特徴としている。この金型を使用すれば、表面粗さ精度がよいブランケットが得られるが、ブランケットの厚み精度の方も高くするためには金型として相当大きなものが必要となり、金型をハンドリングするための周辺装置も含めると製造設備が極めて大きくなる。また、ブランケットの面積が1m2を超えるようなサイズになると、厚み精度は0.04mm以内が限界であり、近年の40〜50インチといった大型化プラズマディスプレイを精度よく製造するためのブランケットを得る目的に対応しきれない面がある。さらに、ブランケットの厚みが変わり、サイズが大きくなるとそのたびに新たな金型が必要である。
【0004】
特開平8−112981号公報には、ブランケット基材上の表面ゴム層の表面を鏡面にする方法として、金型内にブランケット基材とともに基材面側が表面粗さ1μm以下でかつ表面ゴム層に対して離型可能なPETフィルムを配置して、表面ゴム層の材料を注入し、成型するオフセット印刷用ブランケットの製造方法が開示されている。この方法は、金型内面、ガラス、フィルムの表面に汚れ、傷などが入らぬように細心の注意をもって維持するする必要があり、作業効率の面で問題がある。また、金型内部でシリコーンゴムが硬化する際にゴムが収縮することや、硬化時に発生するエァーの逃げ場がなく、ガラス板やPETフィルムとシリコーンゴムの界面にエァーのかたまりができることによって、硬化後のシリコーンゴム表面に凹みが発生する恐れがある。一般に、金型を使って連続生産する場合、硬化終了まで金型を開けることができないことから、複数の金型が必要であり、脱型後、次の注型を行うために金型内部を掃除する手間が必要である。また、硬化を早めるために加熱すると、先に凹みが発生する程度も大きくなる。
【0005】
一方、支持体層とこの支持体層上に積層された表面印刷層とからなるオフセット印刷用ブランケットにおいて、表面印刷層の表面に液状シリコーンゴムをスプレーやグラビアコーター、アプリケータを用いてコーティングし、硬化させてシリコーンゴム層を形成する方法が知られている(特開平5−92678号公報)。このブランケットは、通常のゴム層のものに比べて、微細パターンの印刷に効果を発揮する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これまでに、微細パターンを精密印刷するために、前述したようなオフセット印刷用ブランケットあるいはその製造用金型が知られているものの、さらに精度が向上したブランケットを、工業生産に適した製造方法の開発が望まれている。例えば、前記の特開平5−92678号公報に開示された印刷用ブランケットは、それまでの表面印刷層の表面にさらにシリコーンゴム層を設けたことにより微細パターンの印刷に寄与できるものであるが、それでも硬化後の厚みバラツキや表面粗さを改善する余地が多く残されており、とりわけ近年の40インチを超えるプラズマディスプレイに使用される大型ブランケットの作製においてこの要望が高い。また、シリコーンブランケット表面のインキ受理性についてもさらなる改良が望まれている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、表面平滑性および厚み均一性が極めて高く、かつインキ受理性の向上したシリコーンゴム層を有する表面印刷層からなり、精密印刷に適したオフセット印刷用ブランケットを生産性よく製造する方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題に鑑みて、本発明者らは種々検討を重ねたところ、液状シリコーンゴムをスプレー、グラビアコーター、アプリケータを用いて単にコーティングしただけでは、均一な厚みを得ることに限界があり、それを硬化しても厚みのバラツキや表面粗さにやはり限界があるとの知見を得た。その主な原因は、コーティング後の基材位置が水平でなく、未硬化の液状シリコーンゴムがわずかであっても流動し、その流動した状態で、次の硬化工程に移行すること、あるいは液状シリコーンゴムの粘度等の物性が適切でないことなども判明した。
【0009】
本発明者らは、先に「基材上にシリコーンゴムを有する表面印刷層を形成してなる印刷用ブランケットを製造するに際して、液状のシリコーンゴムを基材上に塗布し、当該塗布層を水平に保持してセルフレベリングさせた後、硬化させて表面印刷層を形成させてなるオフセット印刷用ブランケットの製造方法」提案している(特願2001−341142)。かくして製造されるブランケットは、表面平滑性および厚み均一性の向上したシリコーンゴムを有する表面印刷層よりなり、微細印刷に適するものである。本発明者らは、このブランケットの製造方法をさらに改良すべく、主としてインキ受理性の向上と製造時間の短縮化を目的に検討を続けて、本発明を完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、
1)基材上にシリコーンゴムを有する表面印刷層を形成してなる印刷用ブランケットを製造するに際して、液状のシリコーンゴムを基材上に塗布する工程、水平台上に前記のシリコーンゴムを塗布した基材を静置しその間をエアー吸引することにより基材を水平台に密着させる工程、当該塗布層を水平に保持してセルフレベリングさせる工程、窒素ガスを95容量%以上含み温度が10〜100℃である雰囲気中で前記塗布層を硬化する工程に付して表面印刷層を形成させることを特徴とするオフセット印刷用ブランケットの製造方法、
2)前記窒素ガス雰囲気中の温度を50〜100℃にする請求項1記載のオフセット印刷用ブランケットの製造方法、
である。
【0011】
本発明の製造方法は、上記1)項に記載するように、液状のシリコーンゴムを基材上に塗布し、該塗布層面を水平に保持してセルフレベリングさせた後、硬化させるときに、窒素ガスを含む雰囲気中で前記塗布層を硬化することに特徴を有する。この製造方法によると、シリコーンゴムの硬化時間の短縮化をなしつつ表面平滑性および厚み均一性が極めて高く、かつインキ受理性の向上した表面印刷層を有するオフセット印刷用ブランケットが得られる。ここで、セルフレベリングとは、「静置して放置することにより自ら平らになる」ことをいう。
【0012】
本発明の製造方法において、塗布層を硬化するときの雰囲気における窒素ガス濃度は、上記1)項に記載するように、95容積%以上であり、このような雰囲気濃度に調整することによって硬化時の加熱温度を高くしても印刷機能を低下させることがなく、硬化時間を大幅に短縮できる。すなわち、精密印刷に必要な平滑度と厚さの均一性を維持しつつ、インキ受理性が良好であり、また基材が変形することのない製造条件を適切に選択することができる。
【0013】
本発明において、窒素ガス雰囲気中の温度は、10℃以上とし、この温度が高いほど硬化時間を早めることができるが、実際には100℃を超えると基板がその材質により変形することがあり、とりわけ上記)に記載するように50〜100℃の範囲のとき、生産性よく所期目的の印刷用ブランケットを製造することができるので実用上きわめて有利である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法の一例を、図1を参照しつつ説明する。基材1の表面に、液状シリコーンゴム2をコーター(ここではロールコーター3,3´を示す)により塗布して塗布層4を形成させ、その積層体を水平台5に静置して塗布層4をセルフレベリングさせて均一な厚みにする。この塗布層4は蓋Cによって大気中から遮断されており、当該カバー内に不活性ガスを注入して塗布層4を不活性ガスの雰囲気中で硬化させて表面印刷層を形成する。硬化は、一般的に10〜100℃の温度で行われるが、加熱を伴いながら硬化するときには、不活性ガス雰囲気を所望の温度となるように調整する。
【0015】
以下、本発明の製造方法を、順を追って説明する。
[基材]
本発明における基材は、その表面に表面印刷層を形成するためのフィルム状、シート状、板状あるいは積層状のブランケット基材のことであり、従来公知のものを使用することができる。その例としては、合成樹脂フィルム[例; PET、PVC、PE、PP、アクリル、ポリイミド、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)製など]、金属板(例; 鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、ニッケル製など)、ゴムシート(例; NBR、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムなどの耐油性エラストマー)、基布(例; 綿、ポリエステル、レーヨン、ケブラー、ガラス繊維、およびこれらの任意の混紡など)または紙類、およびこれら部材を適宜に組み合わせて得られる積層体などが挙げられる。
【0016】
本基材は、その表面に微小なざらつきが多少あってもよいが、水平台に置いたときに反りやうねりが見られるものは使用しないようにする。これは、表面の微小なざらつきは、シリコーンゴムのセルフレベリングによって均一化されるが、反りやうねりがあると、図2に示すように、厚みムラの原因になるためである。通常、反りやうねりは、0.04mm以内に抑えておくことが好ましい。本基材の具体的な構成や厚みは、その材質、表面印刷層の厚みやブランケットの総厚み、適用する印刷機のタイプなどを考慮して適宜、決定すればよい。
[シリコーンゴム]
液状シリコーンゴムは、1液型と、主剤と硬化剤よりなる2液型に分類され、さらに2液型は付加型と縮合型に分類される。本発明では原則的にいずれの型でも使用できるが、貯蔵安定性の面から2液型がより好ましい。ただ、基材の表面材質がゴム、軟質塩化ビニル、ウレタンの場合は、付加型シリコーンゴムを用いると硬化阻害を起こすことがありこの組合せは避ける方がよい。
【0017】
本発明における液状シリコーンゴムは、実用的な時間内にセルフレベリングが完了する程度に流動性を有することが好ましく、とりわけ硬化前の25℃における粘度が600Pa・s以下であることが好ましい。この粘度を超えると、セルフレベリングを行い難くなり、硬化がレベリング前に終了し、厚み精度が低下する。その一方、粘度の下限は、通常、10Pa・s程度であり、これを下回ると液状シリコーンゴムが周囲へ流れて広がるため、厚みが不均一になり好ましくないことが多い。また、液状シリコーンゴムが硬化に要する時間は特に限定されるものではないが、ポットライフ(可使時間)が長い方がセルフレベリングを着実に行うことができ、またエァーの発生を少なくできるなど有利である。しかし、あまりに長くなると作業効率上からは不利である。一般的に、ポットライフは25℃において10分〜12時間であることが好ましい。
本発明で使用される2硬化型シリコーンゴムの具体例としては、例えば主剤が信越化学工業(株)製の「KE1603A」であり硬化剤が同社製の「KE1603B」であるシリコーンゴム、あるいは主剤が信越化学工業(株)製の「KE2000−60A」であり硬化剤が同社製の「KE2000−60B」であるシリコーンゴムなどが挙げられる。
[塗布およびセルフレベリング工程]
次に、液状シリコーンゴムを基材の表面に塗布するには、ドクターブレード、ロールコーター、コンマコーター、グラビアコーターなどコーターを用いて常法どおり実施すればよい。塗布層の厚みは0.1〜4mmの範囲であることが好ましい。この厚みが0.1mmに達しないときは、塗布時にエァーを噛んだ場合、後のセルフレベリングにおいてそのエァーが抜けないうちに硬化が終了し、硬化後もエァーが残ることになる。また、厚みが4mmを超えるとセルフレベリング時に液状シリコーンゴムが周囲へ流れて広がるために、厚みが周囲と内側で差が大きくなりすぎて不均一になりやすい。いずれの方法による場合も、塗布層の表面が硬化工程において不活性ガスを主として含む雰囲気に置くために、適宜の時期に蓋が配置される。
【0018】
シリコーンゴムを塗布した基材は、水平に保持することによりシリコーンゴム層をセルフレベリングさせ、均一な厚みにする。このセルフレベリングは、塗布した基材を水平台に静置することにより行われるが、その面の水平度は面積1m2あたり0.02mm以内であることが好ましい。この水平度に達しない状態では、シリコーンゴム硬化後の厚み精度が所期目的を達成できるほど向上しなくなる。
【0019】
次に、水平台上に、シリコーンゴムを塗布した基材を静置する場合、基材を水平台に密着させておくことが精度向上につながるが、実用的な密着手段として例えば次の方法が挙げられる。
・基材に発生する静電気を利用し、水平台に密着させる方法。
この方法は、金属水平台との摩擦により帯電しやすい基材、例えばポリエステル等のフィルムを用いるとき好ましく適用できる。具体的には、塗布後のフィルム基材を金属水平台上で滑らせることで静電気を発生させ、密着させることができる。
【0020】
基材を長さ方向に引っ張り、水平台に密着させる方法(図3)
塗布層4を形成した基材1の両側をチャッキングして引っ張る装置を用いて水平台5に密着させる方法である。
・水平台と基材間をエァー吸引することにより密着させる方法(図1、4、5、6)
水平台5の内部に空洞部Aとこれから上面に貫通した通路(吸引穴)6をいくつか設け、A部の空気を吸引することにより減圧し、塗布層4を形成した基材1を密着させる。吸引穴6は、通常、0.5〜3mmの径の穴を水平台面に多数加工しておくことにより均一な密着がなされる(図5参照)。さらに、吸引穴の間がつながるように、水平台5の表面に縦横に刻んだ小さな溝7、7´を、例えば深さ0.2〜1mm、幅0.2〜1mm、溝ピッチ1〜100mmの形状で加工しておくことにより(図6参照)、より一層均一に密着させることができる。
これらの方法の中で、本発明では、前述の1)項に記載するように、水平台と基材間をエァー吸引することにより密着させる方法を採用するものである。
【0021】
一方、本発明において、前述の1)項の方法を前提として、塗布およびセルフレベリングさせる方法として、図7に示すように、水平台5上に固定した基材1面にコーター3をスライドさせながら液状シリコーンゴムを塗布して塗布層4を形成させ、同じ水平台面でセルフレベリングさせる方法を採用してもよい。この方法とは逆に、図8に示すように、水平台5上にコーター3を設置(固定)した状態で基材1の方をスライドさせて塗布を行って塗布層4を形成させ、セルフレベリングさせてもよい。これらの図8および図9に示す方法によると、液状シリコーンゴムがバンクから絞り込まれるようにしてコーターと基材の間隙を通過することから、そのときの圧力で基材が水平台の表面に強く押しつけられようにして均一な密着がなされる。
[窒素ガス雰囲気の調整]これまでのシリコーンゴムブランケットの硬化は、大気中、すなわち酸素21%、窒素77%、二酸化炭素ガスなどのその他のガス2%よりなる雰囲気でなされていたが、本発明では大気中よりも窒素ガスを多く含む雰囲気中において硬化される。具体的には、窒素ガス濃度が95容量%以上である雰囲気で硬化される。このような窒素ガス濃度に調整するには、例えば図1に示すように、蓋C内に窒素ガスを注入して、内部の空気と置換したのち、蓋Cと基材1の接点にはシール材、パッキン材などにより、注入した窒素ガスが漏れないようにシールを設ける方法が挙げられる。また、窒素ガスを連続して蓋内に注入して不活性フロー状態にする方法を採用してもよい。
[硬化工程]上述のようにして水平台上でセルフレベリングさせ、窒素ガスを主として含む雰囲気中に置かれたシリコーンゴム層は、次いで硬化させるが、その硬化は用いるシリコーンゴムの硬化機作を考慮して実施すればよい。例えば、室温硬化型シリコーンゴムの場合、セルフレベリング後そのまま水平台に約8〜24時間静置を続けることにより硬化が完了する。このとき硬化を早めるために、前記したように窒素ガスの雰囲気の温度を高めることが有利である。
一方、加熱硬化型シリコーンゴムの場合、前記のように、加熱した窒素ガスを主として含む雰囲気中で硬化させる方法と、さらには図9に示すように、ヒーター、温風吹き付け装置あるいは温水循環装置などによって水平台5自体を加温し、水平台に密着した基材1を介して熱伝導することで、塗布したシリコーンゴム層4を不活性ガスの雰囲気中(ここでは、蓋Cは図示せず)、下層から加熱して硬化させる方法を採用してもよい。この場合、硬化時間は加熱温度に依存してくるが、通常、硬化温度10〜100℃で、硬化時間1〜75時間でなされる。この中で、硬化温度50〜100℃を選択すれば硬化時間は1〜8時間でよく、より短縮化を図ることができる。硬化温度は単に硬化させる目的であれば100℃を超えてもよいが、PETなどを基材とするときには変形が起こることからこの温度を超えることは避けた方がよい。
【0022】
シリコーンゴム層の表面硬化度は、インキ受理性に影響を与える。本発明では後述の方法によりシリコーンゴム層における表面側弾性率E*と内面側弾性率E*を測定し、(表面側弾性率E*/内面側弾性率E*)×100 = 表面硬化度(%)とするとき、この表面硬化度が75%以上、好ましくは80%となるように硬化する。前記したように、不活性ガス濃度、硬化温度および硬化時間を選択することにより上記表面硬化度を有するブランケットが得られる。
[印刷用ブランケット]
上述の方法により、高精度の精密印刷が可能なオフセット印刷用ブランケットが製造される。なかでも、シリコーンゴムを含む表面印刷層の厚みのバラツキが0.02mm以下であり、かつ、表面粗さ(Rz)が0.3μm以下にすれば、精密印刷に一層適したオフセット印刷用ブランケットに仕上げることができる。
【0023】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
比較例1
シリコーンゴム(室温硬化型):主剤として信越化学工業(株)製の「KE1603A」と、硬化剤として信越化学工業(株)製の「KE1603B」と、可塑剤として信越化学工業(株)製の「RTVシンナー」とを、重量比100:100:15で混合したものを使用した。この混合後のシリコーンゴムは、粘度が55Pa・sであり、ポットライフが25℃で60分間であり、硬化時間は25℃で24時間である。基材であるPETフィルム(厚み0.35mm)上に、上記のシリコーンゴムをロールコーターにより厚み1.45mmとなるように塗布し、水平台(幅1200mm×長さ1200mm、面内水平度0.02mm/m2)に真空吸着によって密着させ、大気中(すなわち、酸素21%、窒素77%、その他のガス2%)に25℃で24時間静置することによりセルフレベリングと硬化とを行い、印刷用ブランケット[幅1000mm×長さ1000mm×厚み1.2mm(基材を含む)]を作製した。
【0024】
比較例2
図1の装置を用いて、硬化工程を窒素94%、酸素5%、その他のガス1%(二酸化炭素など)の雰囲気中で実施した以外は、比較例1と同様にして印刷用ブランケットを製造した。
実施例1
図1の装置を用いて、硬化工程を窒素95%、酸素4%、その他のガス1%(二酸化炭素など)の雰囲気中で実施した以外は、比較例1と同様にして印刷用ブランケットを製造した。
【0025】
実施例2
図1の装置を用いて、硬化工程を窒素97%、酸素2.5%、その他のガス0.5%(二酸化炭素など)の雰囲気中で実施した以外は、比較例1と同様にして印刷用ブランケットを製造した。
実施例3
図1の装置を用いて、硬化工程を窒素99%、酸素0.8%、その他のガス0.2%(二酸化炭素など)の雰囲気中で実施した以外は、比較例1と同様にして印刷用ブランケットを製造した。
【0026】
実施例4
図1の装置を用いて、その窒素注入口の外側周辺にヒーターを設け、加温窒素を注入し、蓋内の窒素を主とする雰囲気が50℃になるように調整して実施した以外は、実施例3と同様にして印刷用ブランケットを製造した。ただし、この方法によると、硬化時間は8時間に短縮された。
実施例5
窒素を主とする雰囲気温度を100℃としたこと以外は、実施例4と同様にして印刷用ブランケットを作製した。このときの硬化時間は1時間であった。
【0027】
比較例3
窒素を主とする雰囲気温度を120℃としたこと以外は、実施例4と同様にして印刷用ブランケットを作製した。このときの硬化時間は0.5時間であった。
比較例4
窒素を主とする雰囲気温度を5℃としたこと以外は、実施例4と同様にして印刷用ブランケットを作製した。このときの硬化時間は168時間であった。
【0028】
実施例6
窒素を主とする雰囲気温度を10℃としたこと以外は、実施例4と同様にして印刷用ブランケットを作製した。このときの硬化時間は72時間であった。
[品質評価試験]
上記の比較例および実施例で得た印刷用ブランケットについて、表面硬化度、インキ受理性、基材であるPETの変形度合を調べた結果を表1に示す。
ここで、表面硬化度(%)は、作製したシリコーンゴムブランケットの表面側弾性率E*を内部側弾性率E*で割った値を百分率(%)で表したものであり、ブランケット硬度の均一性に関係する。表面側弾性率E*は、表面側から厚み0.3mm、幅5mm、長さ30mmの試験片を切り出して、粘弾性スペクトロメーター(RHEOLOGY社製のDVE RHEOSPECTOLER DVE-V4)による測定値である。測定方法は、試験片をチャックで挟み(チャック間距離:20mm)、引っ張って初期歪2mmを与え(チャック間距離を20mmから22mmにする)、次いで引張方向に振幅100μm、10Hzの条件で加振したときの粘弾性を測定する、によった。一方、内部側弾性率E*は内部側(基材に接する側)から同様の試験片を切り出して同様に測定した。表面硬化度が高いほどインキ受理性がよくなり、一般的に75%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
【0029】
【表1】
Figure 0003939186
【0030】
表1の結果から、硬化時の雰囲気は窒素濃度を95容量%以上にすることによってインキ受理性が向上し、雰囲気の温度は10〜100℃において基材の変形も認められていない。とりわけ、50〜100℃において硬化時間をより一層短縮することができるので、実用上有利である。
【0031】
【発明の効果】
本発明の製造方法によると、液状のシリコーンゴムを基材上に塗布し、その塗布した基材を水平台に置いてその間をエァー吸引することにより水平に密着保持してセルフレベリングさせた後、窒素ガスの雰囲気下で10〜100℃で硬化させていることから、表面硬化度が均一でインキ受理性の向上した表面印刷層を有するオフセット印刷用ブランケットが得られる。ここで、硬化時の雰囲気温度を高めることによって、ブランケットの品質を低下させることなく硬化時間を短縮することができるので、生産性も良くなる。
【0032】
かくして得られたオフセット印刷用ブランケットは、従来のものより高精度の印刷が可能であり、このためにエレクトロニクス分野における電気配線パターン、蛍光体パターン、プラズマディスプレイ、液晶表示装置用カラーフィルターなどの微細な印刷に好適である。とりわけ、近年の40〜50インチといった大型化プラズマディスプレイにおける印刷にも精度よく対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷用ブランケットの製造方法についてその一例を示す概念図である。
【図2】本発明に用いる基材についてその反りやうねりの許容範囲を示す。
【図3】塗布層を有する基材を水平台に密着させる方法の一例を示す。
【図4】塗布層を有する基材を水平台に密着させる方法の一例を示す。
【図5】図4における水平台の上面図を示す。
【図6】図4における水平台において、吸引穴間に溝を設けた例を示す。
【図7】水平台上で塗布する例を示す。
【図8】水平台上で塗布する別例を示す。
【図9】塗布・セルフレベリングしたシリコーンゴムを加熱硬化させる方法の一例を示す。
【符号の説明】
1: 基材
2: 液状シリコーンゴム
3: コーター
4: シリコーンゴム塗布層
5: 水平台
C: 蓋

Claims (2)

  1. 基材上にシリコーンゴムを有する表面印刷層を形成してなる印刷用ブランケットを製造するに際して、液状のシリコーンゴムを基材上に塗布する工程、水平台上に前記のシリコーンゴムを塗布した基材を静置しその間をエアー吸引することにより基材を水平台に密着させる工程、当該塗布層を水平に保持してセルフレベリングさせる工程、窒素ガスを95容量%以上含み温度が10〜100℃である雰囲気中で前記塗布層を硬化する工程に付して表面印刷層を形成させることを特徴とするオフセット印刷用ブランケットの製造方法。
  2. 前記窒素ガス雰囲気中の温度を50〜100℃にする請求項1記載のオフセット印刷用ブランケットの製造方法。
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