JP3939156B2 - 樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸系樹脂と可塑剤とポリエチレンカーボネートとからなる樹脂組成物およびその用途に関する。詳しくは、本発明は、ポリ乳酸系樹脂と可塑剤とポリエチレンカーボネートとからなり、透明性に優れ、柔軟性とガスバリア性のバランスに優れ、使用後に自然環境下で分解性を有する樹脂組成物およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、柔軟性を有し、透明性に優れる樹脂としては、軟質ポリ塩化ビニル、軟質ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂が知られている。しかしながら、これらの樹脂は、使用後廃棄する際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下で殆ど分解されないために、埋設処理しても、半永久的に地中に残留する。また投棄されたプラスチック類により、景観が損なわれ海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題が起こっている。
【0003】
一方、生分解性を有する樹脂として、ポリ乳酸及びポリ乳酸と他の脂肪族ポリエステルとのコポリマー(以下、ポリ乳酸類という。)、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導されるポリエステル等が開発されている。
これらの樹脂の中には、動物の体内で数カ月から1年以内に100%生分解し、又は、土壌や海水中に置かれた場合、湿った環境下では数週間で分解を始め、約1年から数年で消滅するものがある。さらに、生分解性を有する樹脂の分解生成物は、人体に無害な乳酸と二酸化炭素と水になるという特性を有している。
【0004】
これらの生分解性を有する樹脂のうち、特にポリ乳酸類は、近年、原料であるL一乳酸が発酵法により大量かつ安価に製造されるようになってきたこと、剛性が強いという優れた特徴を有すること等により、その利用分野の拡大が期待されている。
しかしながら、ポリ乳酸類を、通常の押出成形等により成形加工することにより得られた容器や包装材は、剛性には優れるものの、柔軟性に乏しく、ポリ乳酸類は、チューブやラップフィルムなど柔軟性を特徴とする包装材料用途には適していない。
【0005】
ポリ乳酸類に柔軟性を付与する技術としては、一般に樹脂を軟質化する技術と同様に、軟質ポリマーをブレンドする方法、可塑剤を添加する方法、他のモノマーを共重合させる方法などが考えられる。
【0006】
しかしながら、軟質ポリマーをブレンドする方法では、生分解性を考慮すると、柔軟性を有する生分解性樹脂を採用する方法に限定される。柔軟性を有する生分解性樹脂として、例えば、特開平8−245866号公報、及び特開平9−111107号公報には、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等が開示されている。しかしながら、乳酸系ポリマーに十分な柔軟性を付与するためには、上記生分解性樹脂を多量に添加する必要がある。その結果、これらの樹脂は、乳酸系ポリマーと相溶性が良くないため、乳酸系ポリマーの特徴である透明性が損なわれることとなる。
また、可塑剤を添加する場合にも、柔軟性を付与するためには多量に添加する必要があり、その結果、ガスバリア性、水蒸気バリア性、保香性などの物性を低下させるという問題がある。
さらに、他のモノマーを共重合させる方法は、調製に大掛かりな反応装置を用いる必要があり、反応に長時間を要するため、簡便な方法ではないという問題がある。
【0007】
以上のような問題点を解決するために、本発明者らはポリ乳酸系樹脂に、特定のポリアルキレンカーボネートを配合することで、透明性を損なうことなく、柔軟性を向上させ、更には、ガスバリア性を向上させることを見出し、特願2001−226097として提案した。しかしながら、その場合においても柔軟性が不十分であり、更なる改良が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生分解性を有するポリ乳酸系樹脂が本来有している優れた分解性に加え、透明性に優れ、柔軟性、ガスバリア性のバランスに優れた樹脂組成物、およびその用途を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、生分解性を有するポリ乳酸系樹脂と、可塑剤と、特定のポリエチレンカーボネートとからなる樹脂組成物が生分解性を有し、かつ、透明性、柔軟性などの特性にも優れることを見いだして本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の樹脂組成物は、
(A)生分解性を有するポリ乳酸系樹脂:94〜29重量部と、
(B)可塑剤:1〜20重量部と、
(C)下記式(I)で表されるポリエチレンカーボネート:5〜70重量部(ただし、(A)と(B)と(C)の合計を100重量部とする)
とからなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物から0.1mm厚さのプレスフィルムを形成した場合、そのヘイズ値が40%以下であることを特徴としている。
【0011】
【化2】
Figure 0003939156
【0012】
〔Rは、エチレン基であり、mは、を表し、nは、3〜15,000の整数を表す。〕。
【0015】
このような本発明においては、該樹脂組成物から0.5 mm 厚さのプレスシートを成形した場合、その23℃におけるヤング率が1750MPa以下である樹脂組成物が好ましい。
【0016】
このような本発明に係る樹脂組成物は、フィルム、延伸フィルム、射出成形体、ブロー成形体、積層体、テープ、不織布、糸などの成形体の製造に好ましく用いられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の樹脂組成物は、
(A)生分解性を有するポリ乳酸系樹脂と、
(B)可塑剤と、
(C)ポリエチレンカーボネートとを含有する。
まずはこれらの各成分について説明する。
【0018】
(A)生分解性を有するポリ乳酸系樹脂
本発明で用いる生分解性を有するポリ乳酸系樹脂(A)としては、生分解性が認められるポリ乳酸系樹脂であればどのような構造であってもよく、いずれも好適に使用することができる。本発明において、生分解性を有するとは、たとえば、ISO14855(JISK6953)「制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度および崩壊度の求め方」において、生分解することが認められるものをいい、該求め方において半年以内に60%以上分解するものがより好ましい。
【0019】
本発明において、(A)生分解性を有するポリ乳酸系樹脂の具体例には、ポリ乳酸、乳酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体や乳酸−脂肪族多価アルコール−脂肪族多塩基酸共重合体等のコポリ乳酸、及び、ポリ乳酸及び乳酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体や乳酸−脂肪族多価アルコール−脂肪族多塩基酸共重合体の混合物等のポリマーブレンドやポリマーアロイ等が包含される。
【0020】
ポリ乳酸系樹脂の原料としては、乳酸類及びヒドロキシカルボン酸類、脂肪族多価アルコール類、脂肪族多塩基酸類等が用いられる。 乳酸類の具体例としては、たとえば、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸又はそれらの混合物、又は、乳酸の環状2量体であるラクタイドを挙げることができる。
【0021】
また、乳酸類と併用できるヒドロキシカルボン酸類の具体例としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5ーヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸を挙げることができ、さらに、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、たとえば、グリコール酸の2量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンを挙げることができる。
【0022】
また、乳酸類と併用できる脂肪族多価アルコールの具体例としては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられる。
【0023】
また、乳酸類と併用できる脂肪族多塩基酸の具体例としては、たとえば、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジビン酸、ビメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フェニルコハク酸、1,4−フェニレンジ酢酸等が挙げられる。
これらは、単独で又は二種以上組合わせて使用することができる。
【0024】
本発明において用いることができるポリ乳酸系樹脂の態様としては、以下の(1)〜(4)のようなものが挙げられる。
(1)乳酸ホモポリマー。
(2)50重量%以上の乳酸と、50重量%以下の乳酸以外のヒドロキシカルボン酸から生成したコポリ乳酸。
(3)50重量%以上の乳酸と、50重量%以下の脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸から生成したコポリ乳酸。
(4)50重量%以上の乳酸と、50重量%以下の乳酸以外のヒドロキシカルボン酸及び脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸から生成したコポリ乳酸。
【0025】
ここで、コポリ乳酸は、ランダム共重合体であっても、ブロック重合体であっても、両者の混合物であってもよい。
本発明において好ましく用いることができるコポリ乳酸の態様は、たとえば、以下のようなものが挙げられる。
(1)50重量%以上の乳酸と、50重量%以下のカプロン酸から生成した乳酸ブロック共重合体。
(2)50重量%以上の乳酸と、50重量%以下の1,4−ブタンジオールとコハク酸から生成した乳酸ブロック共重合体。
(3)50重量%以上のポリ乳酸セグメントと、50重量%以下のポリカプロン酸セグメントからなるブロック共重合体。
(4)50重量%以上のポリ乳酸セグメントと、50重量%以下のポリブチレンサクシネートセグメントからなるブロック共重合体。
【0026】
本発明において、ポリ乳酸系樹脂としては、乳酸ホモポリマー、ポリ乳酸セグメントとポリブチレンサクシネートセグメント及び/又はポリカプロン酸セグメントを有するブロックコポリマーを、特に好適に用いることができる。
本発明で好ましく用いられるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、実質的に、成形加工が可能であれば特に制限されない。
【0027】
本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂の分子量は、実質的に充分な機械物性を示すものであれば特に制限されないが、一般的には、重量平均分子量(Mw)として、1万〜50万が好ましく、3万〜40万がより好ましく、5万〜30万がさらに好ましい。一般的には、重量平均分子量(Mw)が1万より小さい場合、機械物性が充分でなかったり、逆に分子量が50万を越える場合、取扱困難となったり、不経済となったりする場合がある。
【0028】
これらの態様のポリ乳酸は、単独で用いることもできるし、任意の2種類以上の組合せで用いることもできる。
本発明において、生分解性を有するポリ乳酸系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではないが、具体的にはたとえば以下の方法などを挙げることができる。
(1)乳酸又は乳酸類とヒドロキシカルボン酸類の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法(たとえば、特開平6−65360号に開示されている製造方法)。
(2)乳酸の環状二量体(ラクタイド)を溶融重合する間接重合法(たとえば、米国特許第2,758,987号に開示されている製造方法)。
(3)上記乳酸類やヒドロキシカルボン酸類の環状2量体、たとえば、ラクタイドやグリコライド、あるいはε−カプロラクトンのような環状エステル中間体を、触媒の存在下、溶融重合する開環重合法(米国特許第4,057,537号)。
【0029】
また、ポリ乳酸系樹脂を製造するにあたり、グリセリン、トリメチロールプロパンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類と、一部共重合させてもよく、ジイソシアネート等のような結合剤(高分子鎖延長剤)を用いて分子量を上げてもよい。
【0030】
原料を直接脱水重縮合してポリ乳酸系樹脂を製造する場合には、原料である乳酸類又は乳酸類とヒドロキシカルボン酸類を、好ましくは有機溶媒、特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより、本発明に適した強度を持つ高分子量のポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
【0031】
本発明においては、ポリ乳酸を重合する際の単量体系における乳酸成分の含有量は、50重量%以上であり、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
【0032】
(B)可塑剤
本発明における可塑剤(B)は、生分解性を有し、更にポリ乳酸系樹脂(A)との相溶性が良好である必要があることが好ましい。このような可塑剤としては、脂肪族多価カルボン酸エステル、脂肪族多価アルコールエステル、脂肪族多価アルコールアルキルエーテル、オキシ酸エステルなどが挙げられる。
脂肪族多価カルボン酸エステルとしては、特に制限はないが、例えば、ジメチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のアジピン酸誘導体やセバシン酸誘導体等が挙げられる。
【0033】
脂肪族多価アルコールエステルとしては、特に制限はないが、例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジアセテート等のアルキレングリコール誘導体。トリアセチン、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、テトラグリセリンカプリレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンオレートグリセリントリプロピオネート等のグリセリン誘導体などが挙げられる。
脂肪族多価アルコールアルキルエーテルとしては、特に制限はないが、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノオレイルエーテル、ジエチレングリコールジオレイルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0034】
オキシ酸エステルとしては、特に制限はないが、例えば、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸エチル、アセチルリシノール酸ブチル等のリシノール酸誘導体、アセチルトリブチルクエン酸等のクエン酸誘導体等が挙げられる。
【0035】
特に、トリアセチン、アセチルトリブチルクエン酸、ジブチルセバケート、トリエチレングリコールジアセテート、グリセリンエステル類が乳酸系樹脂との相溶性が高く好ましく、更に乳酸系樹脂がポリ乳酸の場合、グリセリンエステル類が相溶性に優れ好適に用いることができる。これらは、一種又は二種以上の混合物でも良く、何ら制限は無い。
【0036】
(C)ポリエチレンカーボネート
本発明におけるポリエチレンカーボネート(C)は、下記式(I)で表される。
【0037】
【化3】
Figure 0003939156
【0038】
〔Rは、エチレン基であり、mは、を表し、nは、3〜15,000、好ましくは10〜10,000の整数を表す。〕
【0043】
本発明で用いるポリエチレンカーボネート(C)の分子量は、特に制限はないが、一般的には、重量平均分子量として、500〜100万であることが好ましく、2000〜50万であることがより好ましく、5000〜30万であることが特に好ましい。分子量はGPCなど公知の方法で求めることができる。
【0044】
また、本発明で用いるポリエチレンカーボネート(C)は、ガラス転移温度が40℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が低いと、樹脂組成物に柔軟性や耐衝撃性を付与できるため好ましい。なお、本発明においてガラス転移温度は、通常のDSC(示差走査熱量計)にて昇温速度10℃/分で観測される温度をいう。
【0045】
本発明で用いるポリエチレンカーボネート(C)は、いかなる方法で製造されたものであってもよく、特に限定されるものではないが、代表的な製造方法としては、
(1)炭酸ジメチルなどの炭酸エステルとグリコールとのエステル交換により行う方法、
(2)グリコールとホスゲンを反応させる方法、
(3)環状カーボネートを開環させる方法、
(4)エポキシドと炭酸ガスを亜鉛含有固体触媒成分下に共重合させる方法(特許第2571269号、特許第2693584号)などが挙げられ、所望の分子構造などにより適宜選択して製造することができる。
【0046】
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、
(A)生分解性を有するポリ乳酸系樹脂:94〜29重量部と
(B)可塑剤:1〜20重量部と
(C)上記式(I)で表されるポリエチレンカーボネート:5〜70重量部
(ただし、(A)と(B)と(C)の合計を100重量部とする)からなる。
【0047】
本発明の樹脂組成物では、このうち特にポリ乳酸系樹脂(A)は73〜30重量部含有することが好ましく、67〜40重量部含有することがより好ましい。可塑剤(B)は、2〜15重量部含有することが好ましく、3〜10重量部含有することがより好ましい。また、(C)ポリエチレンカーボネートは、15〜55重量部含有することが好ましく、30〜50重量部含有することがより好ましい。
【0048】
本発明の樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)可塑剤と(C)ポリエチレンカーボネートとが、このような範囲であると、ポリ乳酸の特徴である透明性を損なうことなく、柔軟性とガスバリア性のバランスがとれるため好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸系樹脂と、(C)ポリエチレンカーボネートは相溶せず、海島構造をとる。ここで、一般に(B)可塑剤は、(C)ポリエチレンカーボネートよりも(A)ポリ乳酸系樹脂との相溶性が良好であるため、(A)ポリ乳酸系樹脂に溶け込んでいる。
【0049】
すなわち、本樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)可塑剤が海相、(C)ポリエチレンカーボネートが島相の構造をとっている。したがって、島相の海相への分散性が、樹脂組成物の透明性に大きく影響する。また、柔軟性、ガスバリア性については、以下の2点が大きく影響する。
(1)(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)可塑剤の比率。すなわち海相の柔軟性、ガスバリア性。
(2)(A)ポリ乳酸系樹脂と(B)可塑剤の和と(C)ポリエチレンカーボネートの比率。すなわち海相と島相の比率。
【0050】
本発明に係る樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述の(A)成分、(B)成分、および(C)成分以外の樹脂を少量含有していてもよく、また、目的に応じて、各種安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、内部離型剤、滑剤、有機フィラー、無機フィラー、顔料、顔料分散剤などを含有していてもよい。
【0051】
本発明に係る樹脂組成物からなるフィルムのヘイズ値は、20%以下であり、特に好ましくは10%以下である。
なお、ヘイズ値の測定には、樹脂組成物をよく乾燥させ、2枚の真鍮板、アルミ板および離型フィルムの間に所定量をはさみ、200℃で溶融させ、10MPaで1分間圧縮したのち、0℃の温度に設定した圧縮成形機で再び10MPaで圧縮冷却し、厚さ0.1mm(100μm)に成形したフィルムを用いた。
【0052】
また、このフィルムの25℃での炭酸ガス透過係数は、200cc mm/m2 day atm以下、好ましくは175 cc mm/m2 day atm以下、さらに好ましくは150cc mm/m2 day atm以下、特に好ましくは75cc mm/m2 day atm以下の範囲にある。
【0053】
さらに、このような本発明に係る樹脂組成物からなるシートの23℃におけるヤング率は、1750MPa以下であり、好ましくは1500〜50MPaであり、さらに好ましくは1400〜100MPaである。
なお、ヤング率の測定には、樹脂組成物をよく乾燥させ、2枚の真鍮板、アルミ板および離型フィルムの間に所定量をはさみ、200℃で溶融させ、10MPaで1分間圧縮したのち、0℃の温度に設定した圧縮成形機で再び10MPaで圧縮冷却し、厚さ0.5mm(500μm)に成形したシートを用いた。
【0054】
また、このような本発明に係る樹脂組成物から得られた厚さ20μmのキャストフィルムの25℃相対湿度100%下で測定した水蒸気バリア性を相対湿度90%の値に変換した水蒸気バリア性は、5.5g mm/m2 day atm以下、好ましくは3.5g mm/m2 day atm以下、さらに好ましくは3.0g mm/m2 day atm以下、特に好ましくは2.5g mm/m2 day atm以下の範囲にある。
【0055】
本発明の樹脂組成物は、その製造方法を特に限定するものではなく、通常熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物を製造する場合の公知の製造方法を適宜採用することができる。
【0056】
具体的には、たとえば、上述したポリ乳酸系樹脂などのポリ乳酸系樹脂(A)と、上述した可塑剤(B)と、上述したポリエチレンカーボネート(C)とを、高速撹拌機または低速攪拌機などを用いて均一混合した後、充分な混練能力のある一軸あるいは多軸の押出機で溶融混練する方法を採用することができる。また、たとえば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等で各原料を固体状で混合させたり、さらに押出機等を用いてポリマーを溶融させながら混練させる方法を用いることもできる。さらには、減圧装置、攪拌装置を備えた反応容器中で、加熱溶解し、常圧あるいは減圧下で混練させる方法を用いることもできる。これらの中でも本発明においては、特に固体状で混合されたポリ乳酸系樹脂(A)と、ポリエチレンカーボネート(C)とを二軸押出機にて180〜220℃の温度範囲で溶融混合させ、押出機にギアポンプで可塑剤(B)を添加する方法で調製した樹脂組成物が好ましい。
【0057】
上記のような方法で製造された樹脂組成物は、ペレット、棒状、粉末などどのような形状であってもよいが、ペレットの形状で取り出されるのが好ましい。
さらに、得られた樹脂組成物を固相重合することもできる。固相重合では、樹脂組成物中の揮発性低分子を除去し、分子量を向上させることができる。固相重合の方法としては、充分に予備乾燥を行った樹脂組成物のペレットを、60〜120℃の温度範囲で10〜180分間、窒素ガスなどの不活性気流下に保持し、結晶化させ、次いで、90〜150℃の温度範囲で、0.5〜200時間、窒素ガスなどの不活性気流下あるいは減圧下に保持することにより行うことができる。
【0058】
本発明に係る樹脂組成物には、目的に応じて、各種安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、内部離型剤、滑剤、有機フィラー、無機フィラー、顔料、顔料分
散剤などを添加することができる。これらを適宜添加することで、所望の物性を有する成形品、フィルム、シート、フィラメント、糸、テキスタイル等の加工品を製造することができる。
【0059】
また、本発明の樹脂組成物から得られる成形品やフィルム、シート、フィラメント、糸、テキスタイル等の加工品を熱処理及び/又は延伸すると、高い透明性および可撓性を併せ有する高性能加工製品を得ることができる。したがっ
て、本発明の樹脂組成物は、フィルム、延伸フィルム(特に二軸延伸フィルム)、射出成形体、ブロー成形体、積層体、テープ、不織布、糸などの成形体の製造に好ましく用いられる。延伸、熱処理条件(温度、温度変化・履歴、倍率、時間等)は、所望の特性・性状を有する成形体とすることができれば、特に制限されない。
【0060】
延伸条件は、通常、分解性高分子の種類、熱的性質、分子量等を考慮して、適宜、設定することができる。延伸温度は、通常、分解性高分子のガラス転移温度以上、融点以下の温度範囲内から選択され、たとえば樹脂組成物に占めるポリ乳酸系樹脂の比率が相対的に高い場合は、通常60〜160℃、好ましくは60〜100℃程度であるのが望ましい。延伸倍率は、一般的には、2〜20倍が好ましく、4〜15倍がより好ましい。
【0061】
熱処理温度は、一般に延伸温度より高い温度が選択され、たとえば、樹脂組成物に占めるポリ乳酸系樹脂の比率が相対的に高い場合には、通常80〜160℃、好ましくは120〜150℃程度であるのが望ましい。熱処理は、連続操作でも回分操作でもよい。
たとえば、本発明の樹脂組成物から得られるフィルムを熱処理する場合には、熱処理条件を適宜選択することにより、Haze(曇度)が10%以下、伸びが20%以上、120℃で10分加熱後も変形しないという性能を有する高性能フィルムを容易に作成することができる。このようにして、本発明の樹脂組成物から
得られるフィルムを熱処理及び又は延伸することにより、高い透明性及び可撓性に加え、ポリカプロラクトンあるいはポリブチレンサクシネート熱処理フィルムでは得ることができなかった顕著に高い耐熱性を付与することができる。
【0062】
本発明に係る成形前の樹脂組成物の形状は、通常、ペレット、棒状、粉末等が好ましい。本発明に係る樹脂組成物を混合機で均一にして、通常の成形条件で射出成形、ブロー成形、圧縮成形等に供することができる。
樹脂組成物の成形加工
本発明に係る樹脂組成物は、押出成形、射出成形、カレンダー成形、ブロー成形、バルーン成形等の成形加工に好適な材料である。
【0063】
以下に、本発明に係る成形加工品の製造方法を説明する。
(1)押出成形
押出成形においては、本発明に係る樹脂組成物を、一般的なTダイ押出成形機で成形することにより、フィルムやシートを成形することができる。
(2)射出成形
射出成形においては、本発明に係る樹脂組成物のペレットを溶融軟化させて、室温以下(−10〜20℃)に保持した金型に充填して、成形サイクル20〜35秒で成形物が得られる。
(3)ブロー成形(射出ブロー成形、延伸ブロー成形、ダイレクトブロー成形)
たとえば、射出ブロー成形においては、本発明に係る樹脂組成物のペレットを、一般的な射出ブロー成形機で溶融して金型に充填することにより、予備成形体を得る。得られた予備成形体をオーブン(加熱炉)中で再加熱した後に、室温以下(−10〜20℃)に保持された金型内に入れて、圧力空気を送出してブローすることによりブローボトルを成形することができる。
(4)真空成形・真空圧空成形
上記(1)の押出成形と同様の方法により成形したフィルムやシートを、予備成形体とする。得られた予備成形体を加熱して、一旦、軟化させた後、一般的な真空成形機を用いて、室温以下(−10〜20℃)に保持された金型内で、真空成形、又は、真空圧空成形することにより、成形物を成形することができる。
(5)積層体成形
積層体成形においては、上記(1)の押出成形の方法で得たフィルムやシートを他の基材と接着剤や熱でラミネーションする方法や、上記(1)の押出成形の方法と同様の方法でTダイから溶融樹脂を直接、紙、金属、プラスチックなどの基材上へ押出す押出ラミネーション法、本発明の樹脂組成物などを別の押出機で各々溶融し、ダイヘッドで合流させて同時に押し出す共押出法、これらを組み合わせた共押出ラミネーションなどの方法で積層成形体を得ることができる。
(6)テープヤーン成形
テープヤーン成形においては、上記(1)の押出成形と同様の方法により成形したフィルムやシートを特定の幅にスリットし、60℃〜140℃の温度範囲で一軸に熱延伸し、場合によってはさらに80℃〜160℃の温度範囲で熱固定することで成形物を成形することができる。
(7)糸成形
糸成形においては、押出機を用い150〜220℃の温度で溶融させ紡糸口金から吐出させる溶融紡糸法により糸を得ることができる。所望によっては60℃〜100℃の温度範囲で一軸に熱延伸し、場合によってはさらに80℃〜140℃の温度範囲で熱固定することで糸を成形することができる。
(8)不織布成形
不織布成形においては、スパンボンド法またはメルトブローン法により成形体を成形することができる。スパンボンド法では、上記(7)の糸成形と同様の方法で、多孔の紡糸口金を通し溶融紡糸し、紡糸口金の下部に設置したエアーサッカを用いて延伸しウェブを形成し、捕集面に堆積させ、さらにこれをエンボスロールと平滑ロールにて圧着、熱融着させることで不織布を得ることができる。メルトブローン法では、多孔の紡糸口金を通し吐出された溶融樹脂が加熱気体吹出口から吹き出される高速度の加熱気体と接触して微細なファイバーに繊維化され、さらに移動支持体上に堆積されることで不織布を得ることができる。
【0064】
樹脂組成物の用途
本発明の樹脂組成物は、上述した種々の成形加工方法により成形することができ、特に限定されることなく様々な用途に好適に使用することができる。たとえば、本発明の樹脂組成物を成形して、ボールペン・シャープペンシル・鉛筆等の筆記用具の部材、歯ブラシ、ステーショナリーの部材、ゴルフ用ティー、始球式用発煙ゴルフボール用部材、経口医薬品用カプセル、肛門・膣用座薬用担体、皮膚・粘膜用貼付剤用担体、農薬用カプセル、肥料用カプセル、種苗用カプセル、コンポスト、釣り糸用糸巻き、釣り用浮き、漁業用擬餌、ルアー、漁業用ブイ、狩猟用デコイ、狩猟用散弾カプセル、食器等のキャンプ用品、釘、杭、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材、ブロック等として好適に使用することができる。
【0065】
また、本発明の樹脂組成物は、フィルム、通気性フィルムやシートの製造に好適な材料である。本発明の樹脂組成物を含むフィルム、通気性フィルム又はシートは、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポストバッグ、セメント袋、肥料袋、食品・菓子包装用フィルム、食品用ラップフィルム、農業用・園芸用フィルム、温室用フィルム、ビデオやオーディオ等の磁気テープカセット製品包装用フィルム、フレキシブルディスク包装用フィルム、フェンス、海洋用・河川用・湖沼用オイルフェンス、粘着テープ、テープ、結束材、防水シート、かさ、テント、土嚢用袋、セメント袋、肥料用袋等として好適に使用することができる。
【0066】
本発明の樹脂組成物から製造された成形物、フィルム、通気性フィルム、又はシート等には、カレンダー法、押し出し法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、凸版法、凹版法、ドクターブレード法、浸漬法、スプレー法、エアブラシ法、静電塗装法等の公知の後処理工程又は仕上工程を、目的に応じ、採用することができる。
【0067】
また、本発明の樹脂組成物から製造されたフィルム又はシートは、紙や他のポリマー等、他の材質のシートと、ラミネートや貼り合わせ等により、多層構造の積層体とすることもできる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、柔軟性を有しており、発泡体としても好適に使用できる。本発明の樹脂組成物によって製造できる発泡体は、たとえば、弁当箱、食器、コンビニエンスストアで販売されるような弁当や惣菜の容器、カップラーメンのカップ、飲料の自動販売機で使用されるようなカップ、鮮魚・精肉・青果・豆腐・惣菜等の食料品用の容器やトレイ、鮮魚市場で使用されるようなトロバコ、牛乳、ヨーグルト、乳酸菌飲料等の乳製品用の容器、炭酸飲料・清涼飲料等の容器、ビール・ウィスキー等の酒類ドリンク用の容器、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、保冷箱、植木鉢、テープ、テレビやステレオ等の家庭電化製品の輸送時に使用するための緩衝材、コンピューター・プリンター・時計等の精密機械の輸送時に使用するための緩衝材、カメラ・眼鏡・顕微鏡・望遠鏡等の光学機械の輸送時に使用するための緩衝材、ガラス・陶磁器等の窯業製品の輸送時に使用するための緩衝材、遮光材、断熱材、防音材等としても好適に使用することができる。
【0068】
また、本発明の樹脂組成物を含む発泡体は、医療用又は衛生用に好適に用いることができる。たとえば、包帯、皮膚・粘膜用貼付剤用担体、三角巾、絆創膏、タオル、使い捨てタオル、使い捨て濡れタオル、おしぼり、雑巾、ティッシュー、清浄用・消毒用ぬれティッシュー、あかちゃんのおしりふき用ぬれティッシュー、使い捨ておむつ、生理用・おりもの用ナプキン、生理用タンポン、手術用・出産用血液吸収用タンポン、衛生用カバーストック材、滅菌バッグ等に好適に用いることができる。
【0069】
これら医療用又は衛生用の製品は、加熱や蒸気による滅菌、エチレンオキサイドガスによる滅菌、過酸化水素水やオゾンによる滅菌、紫外線や電磁波の照射による滅菌、ガンマー線等の放射線の照射による滅菌、エタノールや塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤等を用いた公知・公用の方法により滅菌、殺菌又は消毒のうえ、無菌包装をすることができる。また、HEPAフィルターにより超清浄空気を層流で供給できるクリーンベンチやクリーンルームの中に、工程を設置することにより、無菌状態及び又はエンドトキシン・フリーの状態で製品を製造、包装することもできる。
【0070】
さらに、本発明の樹脂組成物を含む発泡体は、農業、漁業、林業、工業、建設土木業、運輸交通業を包含する一般産業用途及びレジャー、スポーツを包含するレクリエーション用途に好適に用いることができる。たとえば、農業用寒冷紗、オイル吸収材、軟弱地盤補強材、人工皮革、フレキシブルディスクの裏地、土嚢用袋、断熱材、防音材、クッション材、ベッド・椅子等の家具用クッション材、床用クッション材、包装材、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材等として好適に用いることができる。
【0071】
本発明の樹脂組成物は、製糸条件、紡績条件、編織条件、後処理条件、染色条件、加工条件を、目的に応じて適宜設定することにより、所望の太さ、断面形状、繊度(テックス、デニール、番手等)、引っ張り強さ及び伸び率、結束強さ、耐熱性、捲縮度、吸水性、吸油性、嵩高さ、腰の強さ、風合い等の物性や特性を有する糸やテキスタイルに加工することができる。
【0072】
本発明の樹脂組成物を加工して得られる糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープルファイバー(スフ)、トウ、ハイバルクスフ、ハイバルクトウ、紡績糸、混紡糸、加工糸、仮撚糸、異形断面糸、中空糸、コンジュゲート糸、POY(部分配向糸)、DTY(延伸加工糸)、POY−DTY、スライバー等をも包含する。また、本発明の樹脂組成物を加工して得られるテキスタイルは織布、編物、不織布、紐や縄を含む組物、綿状ハイバルクスフ、スライバー、多孔質スポンジ、フェルト、紙、網等の繊維構造体と認識されるもの一般を包含する。
【0073】
したがって、本発明の樹脂組成物を加工して得られるテキスタイルは、一般衣料用又は医療用衣料用の外衣、作業衣、手術着、ねまき、下着、肌着、裏地、帽子、マスク、包帯、三角巾、ソックス、婦人用ストッキング、婦人用ファウンデーション(ブラジャー、ショーツ等)、パンスト、タイツ、靴下、軍足、手袋、軍手、タオル、ガーゼ、手拭い、カーペット、マット、カーテン、壁紙、衣服芯材、自動車用内装材、マットレス、袋、風呂敷、寝具、布団綿、枕カバー、毛布、シーツ、防寒着用断熱材、レース、テープ、合成又は人工の人造皮革、合成又は人工の人造ファー、合成又は人工の人造スウェード、合成又は人工の人造レザー、網状パイプ等に好適に用いることができる。
【0074】
また、本発明の樹脂組成物を加工して得られるテキスタイルは、医療用又は衛生用に好適に用いることができる。たとえば、外科手術用縫合糸、包帯、三角巾、絆創膏、タオル、使い捨てタオル、使い捨て濡れタオル、営業用ロールタオル、おしぼり、雑巾、ティッシュー、清浄用・消毒用ぬれティッシュー、あかちゃんのおしりふき用ぬれティッシュー、使い捨ておむつ、消毒綿、生理用・おりもの用ナプキン、生理用タンポン、アンダーパッド、手術用・出産用血液吸収用タンポン、衛生用カバーストック材、滅菌バッグ、生ゴミ用ネット、ゴミ袋等に好適に用いることができる。
【0075】
これら医療用又は衛生用の製品は、上記発泡体の場合と同様の方法により、滅菌、殺菌又は消毒のうえ、無菌包装をすることができる。また、上記発泡体の場合と同様の方法により、無菌状態及び又はエンドトキシン・フリーの状態で製品を製造、包装することもできる。
さらに本発明の樹脂組成物を加工して得られるテキスタイルは、農業、漁業、林業、工業、建設土木業、運輸交通業を包含する一般産業用途及びレジャー、スポーツを包含するレクリエーション用途に好適に用いることができる。たとえば、農業用寒冷紗、防虫防鳥網、ふるい、釣り糸、漁網、投網、延縄、オイル吸収材、網、ロープ、ザイル、セイル(帆布)、幌、ターポリン、タイコン、コンテナバッグ、産業用通い袋、セメント袋、肥料袋、濾過材、埋立工事用透水布、軟弱地盤補強用布、人工皮革、製紙用フェルト、フレキシブルディスクの裏地、テント、土嚢用袋、植林用ネット、断熱材、防音材、遮光材、衝撃緩衝材、クッション材、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材、ネット状パイプ、土木建築用水抜きパイプ等として好適に用いることができる。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、生分解性を有し、かつ透明性に優れ、柔軟性とガスバリア性のバランスに優れる樹脂組成物を提供することができる。また、本発明に係る樹脂組成物は、成形性に優れるものであって、種々の成形加工法により、様々な成形加工品に成形して用いることができ、得られた成形加工品は、使用後廃棄する際に自然環境下で良好な生分解性を示す。
【0077】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、樹脂組成物等の物性の測定および評価は以下の方法に従って行った。
(1)ガラス転移温度(Tg)
示差走査型熱量計Pyris-I型(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。あらかじめよく乾燥させた樹脂から試料をサンプルパンに10mg秤量し、ヘリウム雰囲気中、室温から200℃まで昇温(昇温速度 320℃/分)して200℃で10分間保持した後、−100℃まで急冷(降温速度 320℃/分)して−100℃で10分間保持し、次いで200℃までの昇温(昇温速度=10℃/分)過程で測定を行った。付属の解析ソフトでガラス転移温度を求めた。(2)透明性(ヘイズ値)
所定の方法で得た厚さ100μmのプレスフィルムについて、23℃、相対湿度50%の条件中に3日間放置した後、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製)を用いて、ヘイズを測定した。なお、ヘイズ値が小さいほど透明性に優れることがわかる。
(3)柔軟性(ヤング率)
所定の方法で得た厚さ0.5mmのプレスシートについて、23℃、相対湿度50%の条件中に3日間放置した後、ダンベル型の試料を切り出し、引張試験機インストロン4501(インストロン社製)を用い、23℃、相対湿度50%の条件下で、ひずみ速度100%/分の条件で引張試験を行い、ヤング率を求めた。なお、ヤング率が小さいほど柔軟性が大きいことがわかる。
(4)ガスバリア性(炭酸ガス透過係数)
所定の方法で得た厚さ100μmのフィルムについて、炭酸ガスバリア性の評価を行った。25℃における炭酸ガス透過係数をガス透過率測定装置GPM−250(ジーエルサイエンス社製)を用いて測定した。なお、透過係数の値が小さいほど、ガスバリア性に優れることがわかる。
(5)分解性の評価
500μm厚、3cm×3cmのシートを作成し、これを温度58℃、水分量60重量%の堆肥(成分;籾殻、生ゴミ、鶏糞、屎尿等)中に埋設し、分解性を観察した。
○;180日以内に分解
×;分解しない
(6)フィルムの水蒸気バリア性
所定の方法で得られた厚さ約20μmのキャストフィルムについて、25℃相対湿度100%の条件で水蒸気バリア性を測定し、相対湿度90%の値に変換したもので評価した。数字が小さいほど水蒸気バリア性は優れる。
【0078】
【実施例1】
充分に乾燥させたポリ乳酸(三井化学製、レイシア、H−100)51.1重量部と、ポリエチレンカーボネート(測定されたガラス転移温度13℃、重量平均分子量151,000)46.1重量部とを ベントを備えた30mmφニ軸押出機(プラスチック工業研究所製)にて、シリンダ温度210℃の条件で混合し、該押出機にギアポンプにて可塑剤(アセチルクエン酸トリブチル、和光純薬製)2.8重量部をフィードし、樹脂組成物(A1)を得た。
次いで、樹脂組成物(A1)をよく乾燥させ、2枚の真鍮板、アルミ板および離型フィルムの間に所定量はさみ、200℃で溶融させ、10MPaで1分間圧縮したのち、0℃に設定した圧縮成形機で再び10MPaで圧縮冷却し、厚さ0.5mmのシートおよび厚さ100μmのフィルムを成形した。成形したシート、フィルムについて透明性、柔軟性、耐熱性、炭酸ガスバリア性、分解性の評価を行った。結果を表1に示す。
次いで、樹脂組成物(A1)をTダイが装着された20mmφの押出機を用いてシリンダ温度190℃で混練、溶融して押出し、20℃に設定されたロールにて冷却し、厚さ20μmのキャストフィルムを得た。成形性は良好であり、得られたフィルムは透明でしなやかなフィルムであった。このフィルムについて、水蒸気バリア性の評価を実施した。結果を表1に示す。
【0079】
【実施例2〜10】
表1に示す配合量で、実施例1と同様の方法で混合、成形、評価を行った。結果を表1に示す。
【0080】
【比較例1】
実施例1で用いたのと同じポリエチレンカーボネート100重量部のみを用い、実施例1と同様に成形し、評価を行った。なお、キャストフィルム成形を行わなかったため、水蒸気バリア性は測定できなかった。結果を表1に示す。
【0081】
【比較例2】
実施例1で用いたのと同じポリ乳酸100重量部のみを用い、実施例1と同様に成形し、評価を行った。結果を表1に示す。実施例1〜4に比べ、柔軟性、ガスバリア性ともに劣る。また実施例5〜10に比べ、ガスバリア性は優れるが、柔軟性が劣る。
【0082】
【比較例3】
実施例1と同様の方法で、ポリ乳酸および可塑剤を表1記載の配合量で混合、成形、評価を行った。結果を表1に示す。可塑剤添加量が少ないため、柔軟性が不十分である。
【0083】
【比較例4】
実施例1と同様の方法で、ポリ乳酸および可塑剤を表1記載の配合量で混合、成形、評価を行った。結果を表1に示す。柔軟性が不十分な上、可塑剤添加量が多いためガスバリア性が大幅に悪化している。
【0084】
【表1】
Figure 0003939156
【0085】
【実施例11】
実施例5で得た樹脂組成物をよく乾燥させ、2枚の真鍮板、アルミ板および離型フィルムの間に所定量はさみ、200℃で溶融させ、10MPaで1分間圧縮した後、0℃の温度に設定した圧縮成形機で再び10MPaで圧縮冷却し、厚さ0.3mmのシートを成形した。次いで、成形したシートをフィルム延伸装置により、80℃、2分間の余熱の後3×3倍に延伸、さらに80℃で1分間そのまま保持することで、熱処理を行い、厚さ約30μmの二軸延伸フィルムを得た。フィルムにはむらがなく、延伸性は良好であり、得られたフィルムは透明であった。このフィルムの炭酸ガスバリア性と水蒸気バリア性の評価を実施した。結果を表2に示す。
実施例5で得られた値に比べ、炭酸ガスバリア性、水蒸気バリア性ともに向上している。
【0086】
【実施例12〜16】
実施例6〜10で得られた樹脂組成物それぞれについて、実施例11と同様に成形、延伸および評価を実施した。結果を表2に示す。
実施例6〜10で得られた値に比べ、炭酸ガスバリア性、水蒸気バリア性ともに向上している。
【0087】
【表2】
Figure 0003939156

Claims (4)

  1. (A)生分解性を有するポリ乳酸系樹脂:94〜29重量部と
    (B)可塑剤:1〜20重量部と
    (C)下記式(I)で表されるポリエチレンカーボネート:5〜70重量部(ただし、(A)と(B)と(C)の合計を100重量部とする)
    からなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物から0.1mm厚さのプレスフィルムを成形した場合、そのヘイズ値が20%以下であることを特徴とする樹脂組成物;
    Figure 0003939156
    〔Rは、エチレン基であり、mは、を表し、nは、3〜15,000の整数を表す。〕。
  2. 該樹脂組成物から0.5mm厚さのプレスシートを成形した場合、その23℃におけるヤング率が1750MPa以下であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 該樹脂組成物から0.1mm厚さのプレスフィルムを成形した場合、その25℃での炭酸ガス透過係数が200cc mm/m2 day atm以下であることを特徴とする請求項1〜2の何れか1項に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の樹脂組成物からなる成形体。
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