JP3935062B2 - 熱電モジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体等の発熱体の冷却等に好適に使用され、半田による接合強度に優れる熱電モジュールに関する。
【0002】
【従来技術】
ペルチェ効果を利用した熱電モジュールは、電流を流すことにより一端が発熱するとともに他端が吸熱するため、冷却用の熱電素子として用いられている。この熱電モジュールは、構造が簡単で、取扱いが容易であるのみでなく、安定な特性を維持することができるため、広範囲にわたる利用が注目されている。
【0003】
特に、熱電モジュールを用いると局所冷却ができ、室温付近の精密な温度制御が可能であるため、レーザーダイオードの温度制御、小型で構造が簡単でありフロンレスの冷却装置、冷蔵庫、恒温槽、光検出素子、半導体製造装置等の電子冷却素子、レーザーダイオードの温度調節等への幅広い利用が期待されている。特に、小型で局所冷却ができ、室温付近の精密な温度制御が可能であるため、半導体レーザーや光集積回路等に代表される一定温度に精密制御される恒温装置や小型冷蔵庫への応用が積極的に進められている。
【0004】
ペルチェ効果を利用した熱電モジュールは、支持基板の表面に配線導体が形成され、その上にN型熱電素子とP型熱電素子が交互に配列されて電気的に直列に連結されるように構成されている。配線導体は、大電流に耐え得るように、通常は銅電極が用いられ、半田層を介して熱電素子が設けられている。そして、熱電素子に直流電圧を印加することにより、その電流の向きに応じて吸熱あるいは発熱を生じるものである。
【0005】
熱電モジュールを作製するにあたっては、配線導体上に半田ペーストを塗布し、その上にN型熱電素子とP型熱電素子を交互に配列するように載置した後、半田ペーストを加熱溶融(リフロー)させて熱電素子を製造することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このような熱電素子は、半田層の半田成分が熱電素子端面から内部に拡散して接合強度が高くなるものの、反応層によって電流の流れが顕著に阻害されるため、熱電モジュール性能を低下させるという問題があった。
【0007】
そこで、図3に示したように、支持基板11、12の表面にそれぞれ形成された配線導体13、14が熱電素子15a、15bを挟持するように接合した熱電モジュールを作製する際に、熱電素子15a、15b端面と半田層16が反応して熱電素子15a、15bの性能低下を防止するために、熱電素子15a、15bの端面部にNiやAg等のメッキ層17を形成して、半田層16の半田成分が熱電素子15a、15bの端面から熱電素子15a、15bの内部に拡散することを防止することが提案されている(特許文献2〜5参照)。
【0008】
〔特許文献1〕
特開平10−215005号公報
〔特許文献2〕
特開平1−106478号公報
〔特許文献3〕
特開2001−196646号公報
〔特許文献4〕
特開平11−121813号公報
〔特許文献5〕
特開2001−156342号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2〜5に記載の熱電モジュールは、メッキ層17によって半田成分が熱電素子15a、15bの内部に拡散することを防止する効果があるため、熱電素子15a、15bの劣化を抑制する効果に優れているものの、反応層の形成を防止したことによって熱電素子15a、15bと支持基板11、12との接合強度が十分とは言えず、長期信頼性に欠けるという問題があった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、熱電モジュールの性能低下を防止しつつ、接合強度及びその信頼性が高い熱電モジュールを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱電素子の端面部はメッキ層により半田層との反応を防止し、かつ熱電素子の側面の接合端部付近において、熱電素子と半田層との反応層を設けることによって、熱電モジュールの性能低下を抑制しつつ、熱電素子と半田層の接合強度及びその信頼性を改善できるという新規な知見に基づくものである。
【0012】
即ち、本発明の熱電モジュールは、支持基板の表面に設けられた配線導体の上に、端面にメッキ層を設けた、Bi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含む熱電素子を複数配列し、該複数の熱電素子と前記配線導体とがSnを含有する半田層を介して接合されてなる熱電モジュールであって、前記熱電素子の接合端部付近の側面に、前記熱電素子と半田との反応層が凸部を構成するように形成され、かつ前記反応層の反応面積が前記熱電素子の全側面の面積に対して0.5〜30、前記反応層の平均高さが3〜100μm、前記反応層の最大幅が1〜500μm、および前記反応層の平均体積が前記熱電素子の体積の0.5〜10%であることを特徴とするものである。
【0013】
このように、熱電素子の端面に形成されたメッキ層が反応バリアとして熱電素子と半田層との反応を防止し、熱電素子の側面において熱電素子と半田層との反応層を形成することで、高い接合強度及び長期信頼性を両立することができ、また、電気抵抗の劣化が熱電素子の側面に形成された反応層において見られるものの、熱電素子の主体はメッキ層を介して正常に接合され、熱電素子全体としては正常な電気抵抗が保たれるため、優れた熱電特性を維持することができる。
【0014】
特に、前記複数の熱電素子が一対の支持基板で挟持されていることが好ましい。これにより、より高い接合強度と信頼性を得ることができる。
【0015】
また、前記反応層が凸部を形成していることが好ましい。これにより、反応状態を目視で容易に確認できると共に、より高い接合強度が得られる。
【0016】
さらに、前記反応層の高さが、3〜100μm、前記反応層の最大幅が、1〜500μm、前記反応層の平均体積が、前記熱電素子の体積の0.5〜10%であることであること、また、前記反応層の反応面積が、前記熱電素子の全側面の面積に対して0.5〜30%であることが重要である。これにより、熱電素子と半田層との十分な反応により、高い接合強度を確実に安定して得ることができる。
【0017】
さらにまた、前記熱電素子が、Bi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含むことが好ましい。これにより、熱電素子の特性を高めることができ、それによって冷却性能の高い熱電モジュールを得ることができる。
【0018】
また、前記半田層がSnを含有することが好ましい。これにより、低コストで半田層の反応性を高め、反応層の形成が容易になる。特に、Bi、Sb、Te又はSeを含む化合物との反応性が高いため、熱電素子と支持基板との接合強度をさらに改善することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、熱電モジュールにおける熱電素子の半田接合の接合強度改善に関するものである。
【0020】
本発明品の熱電モジュールは、図1に示したように、支持基板1、2の主面にそれぞれ配線導体3、4が設けられ、複数の熱電素子5が配線導体3、4によって挟持されている。また、複数の熱電素子5は、N型熱電素子5aとP型熱電素子5bが交互に配列し、配線導体3、4によってPNPNPNの順に電気的に直列に接続されるように設けられ、直流電圧を印加することによって、その電流の向きに応じて吸熱あるいは発熱を生じせしめることができる。
【0021】
図1における一対の熱電素子5は、支持基板1、2に、配線導体3、4及び半田層6を介して固定される。即ち、図2(a)に示したように、支持基板2の主面に配線導体4が形成され、配線導体4の表面に熱電素子5を半田で接合したものである。そして、熱電素子5の側面5dの接合端部8付近に、熱電素子5と半田層6との反応層9が凸部を形成して形成され、かつ前記反応層の反応面積が、前記熱電素子の全側面の面積に対して0.3〜32%であることが重要である。
【0022】
半田は熱電素子5の側面5dの表面付近で反応するものの、内部までは反応が進まないため、熱電素子5の内部を電流が正常に流れ、熱電素子5は反応層9によって電流の流れが阻害されることが実質的にないため、優れた特性を維持することができる。特に、熱電素子5の端面5cでの反応を防止し、本発明の作用効果を容易に得るため、メッキ層7を熱電素子5の端面5cに設けておくことが重要である
【0023】
なお、図2(a)には支持基板2に対する熱電素子5の一端部の接合状態を示したが、熱電素子5の他端部も、熱電素子5の保護及び冷却効率向上のために、図1のように支持基板1にも同様に接合されているのが良い。
【0024】
このような熱電モジュールを得るためには、例えば配線導体4を設けた支持基板2を用意し、配線導体4の所望の部位に半田ペーストを塗布した後、その上に熱電素子5を載置し、加重を加えて半田の融点以上の温度で溶融させて接合する。その際に、半田溶融時に熱電素子5の端面5cから溢れた半田が熱電素子5の側面5dに付着するように半田量や半田接合条件を調整することにより、反応層9を形成できる。
【0025】
或はまた、熱電素子5の端面5cと共に予め熱電素子5の反応層9を形成したい部位に半田を適量塗布又は被覆しておき、半田接合時に両者が連結するようにしても良い。
【0026】
ただし、半田が熱電素子5の側面5dを覆うように反応層9が形成されると、熱電素子5としての機能が顕著に低下するため、反応層9は、熱電素子5の接合端部8付近にのみ形成するのが良いのは言うまでもない。
【0027】
また、熱電素子5の側面5dを半田と反応させるため、メッキ層7が熱電素子5の側面5cに回り込まないようにすることが好ましい。例えば、あらかじめメッキしておいたウェハ状の熱電素子材料を、メッキ部分を熱電素子5の端面5cとして用いるようにダイシング加工し、ダイシング面を熱電素子5の側面5dとして用いるようにすれば良い。
【0028】
なお、熱電素子5の接合端部8の側面とは、図2(a)に示したように、配線導体4と半田層6を介して接合されている熱電素子5の半田層6との境界部付近の側面を意味しているが、実際には、熱電素子5の接合端部8にはメッキ層7が存在することがあり、その場合にはメッキ層7との境界付近を意味する。
【0029】
半田の供給方法は、上記のように半田ペーストを用いたものでもかまわないが、例えば所定の厚みと開口部を設けたメタルマスクをセットした半田印刷機を使って、半田ペーストを支持基板1、2の配線導体3、4上に印刷したのち、熱電素子5a、5bを配列し、加熱溶融せしめることによって、半田量をコントロールすることもできる。
【0030】
また、反応層9は図2(a)及び(b)に示すような凸部を形成していることが好ましい。これによって、熱電素子5と半田層6が強固に接合された熱電モジュールを得ることができ、しかも反応状態を目視でも容易に確認することができる。
【0031】
反応層9の平均高さH(図2(a)に図示)を、3〜100μm、特に10〜85μm、更には20〜60μmとなるように調整するのが良い。反応層9の平均高さHをこのように設定することで、充分な反応量を確保でき、より高い接合強度を得ることができ、熱電モジュール性能の低下を容易に抑制することができる。なお、反応層9の平均高さHは、半田成分の拡散反応の程度によって変化するため、半田及び熱電素子5の材料組合せによって接合条件を調整することは言うまでもない。
【0032】
なお、平均高さHの測定方法は、マイクロメータ又はノギスで反応層9の直径を少なくとも4箇所測定し、その平均値を算出した後、熱電素子5の直径で補正して算出すれば良い。より正確な測定を行うためには、顕微鏡写真等を元にして反応層9の直径を少なくとも8箇所、特に12箇所を測定するのが良い。
【0033】
反応層9の最大幅Wは、1〜500μm、特に10〜300μm、更には20〜100μmが好ましい。反応層9の最大幅Wをこのように設定することで、充分な反応量を確保し、より高い接合強度を得ることができ、且つ熱電モジュール性能の低下を容易に抑制することができる。なお、反応層9の最大幅Wは半田成分の表面拡散の程度によって変化することがあり、半田及び熱電素子5の材料組合せによる濡れ性、半田の粘性、接合条件等を調整することが必要となる。
【0034】
反応層9の平均体積Vは、熱電素子5の体積の0.5〜10%、特に1〜9%、更には2〜8%であることが好ましい。反応層9の平均体積Vをこのように設定することで、充分な反応量を確保し、より高い接合強度を得ることができ、且つ熱電モジュール性能の低下を容易に抑制することができる。
【0035】
本発明における反応層9の平均体積Vは、熱電素子5と半田との反応によって反応層9が形成され、実質的に熱電素子5が体積膨張を伴い、この体積膨張によって増加した体積が平均体積Vに相当する。そして、表面及び内部への半田の拡散する程度に従って平均体積Vが変化するため、反応の程度を制御し、体積膨張を調整して、熱電素子5の接合強度と熱電特性の両立を図ることが容易となる。
【0036】
反応層9の平均体積Vの算出方法は、レーザー走査方式による顕微鏡を用いて計測しても良いし、断面を顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)により写真撮影し、少なくとも16箇所の断面積から平均体積Vを算出しても良い。
【0037】
反応層9の反応面積Sは、熱電素子5全体の面積に対し、0.5〜30%、特に1〜20%、更には1.5〜10%となるように調整するのが好ましい。反応層9の反応面積Sをこのように設定することで、充分な反応量を確保し、より高い接合強度を得ることができ、且つ熱電モジュール性能の低下を容易に抑制することができる。
【0038】
本発明における反応層9の反応面積Sは、反応層9の表面積を示すものではなく、平面に投影した際の投影面積を示すものであり、また、反応面積Sが大きくなることは熱電素子5の表面を覆う反応層9の領域が増加することを意味するものであり、反応層9の上に半田が残留することがあり、熱電特性の劣化や短絡による絶縁破壊が生じる危険性を高めることがあり、反応面積を上記の範囲に設定することが良い。
【0039】
反応層9の反応面積Sの算出方法は、レーザー走査方式による顕微鏡を用いて計測しても良いし、反応層9を熱電素子5の側面と同じ高さに研磨し、反応領域を顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)により写真撮影し、反応面積を算出しても良い。
【0040】
熱電素子5は、Bi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含む化合物を主体とする焼結体が良く、特にBiTe、BiSe及びSbTeのうち少なくとも1種を含むものが好ましい。これらのカルコゲナイト型結晶を使用した熱電素子5は、室温付近の熱電特性に優れ、情報通信関連の冷却用熱電モジュールとして好適に使用され得る。
【0041】
また、N型熱電素子5aは、I及び/又はBrを含むことが好ましい。即ち、半導体を形成するため、ハロゲン元素の添加によって電子濃度の調整がなされ、キャリア濃度の制御されたN型熱電素子5aとして優れた特性を示すことができる。
【0042】
なお、N型熱電素子5a及びP型熱電素子5bは、溶製材料であっても焼結体であっても良いが、N型熱電素子5aを溶製材料、特に単結晶からなり、P型熱電素子5bが焼結体、特に平均結晶粒径が5μm以下の焼結体からなることが、特性及びコストの点で好ましい。
【0043】
半田層6を構成する材料は、特に制限されるものではないが、コストを低減でき、また反応性の高いSn成分を含むことが好ましい。特に、Bi、Sb、Te又はSeを含む熱電素子を用いる場合、Sn成分により半田の濡れ性が良くなり、Snを含む半田層との反応が生じやすく、高い接合強度が期待できる。
【0044】
具体的には、Sn−Sb半田及びAu−Sn半田を例示でき、扱い易さや低コスト化の点ではSn−Sb半田が、耐熱性の点ではAu−Sn半田が好ましい。なお、接合のための温度は、Sn−Sb半田の場合240℃以上、Au−Sn半田の場合280℃以上であれば良い。
【0045】
メッキ層7は、熱電素子5の端面5cにおいて熱電素子5と半田が異常に反応することによる熱電特性劣化を防止する効果が高い。従って、優れた熱電特性を維持するために、熱電素子5の端面5cにメッキ層7を設けるのが良い。具体的には、NiやCu等の遷移金属のうち少なくとも1種を用いることができ、更にはNiメッキ層の上にAu等の卑金属を2重にメッキして、半田層6とメッキ層7との接合強度を高めることも可能である。
【0046】
支持基板1、2には、耐振動及び衝撃性に優れ、配線導体の密着強度が大きく、また、冷却面と放熱面としての熱抵抗が小さいものが好ましい。具体的には、アルミナ、ムライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素を例示できる。特にコストの点からアルミナを、熱伝導率が高く、熱抵抗が小さい点で窒化アルミニウムを、強度及び熱伝導率の点で炭化珪素を、衝撃性や強度の点で窒化珪素を好適に使用できる。
【0047】
特に、支持基板1、2の強度は、200MPa以上、特に250MPa以上、更には300MPa以上にすることが好ましく、これにより、配線導体3、4の形成や半田層6の形成に伴う応力集中に対しても基板の破損を防止する効果を高め、より高い信頼性を得ることができる。
【0048】
配線導体3、4は、Cu、Al、Au、Pt、Ni及びWの少なくとも1種の金属を用いることが可能である。これらのうち、特にCuが電気電導性、コスト及び支持基板1、2への接合強度の点で望ましい。
【0049】
以上のように構成された本発明の熱電モジュールは、接合強度に優れ、しかも優れた熱電特性(冷却性能)と信頼性を示すため、特に半導体レーザー及び光集積回路などの恒温装置や小型冷蔵庫として好適に使用することができる。
【0050】
【実施例】
N型熱電素子材料としてBiTe2.85Se0.15、P型熱電素子材料としてBi0.4Sb1.6Teからなる合金粉末を準備した。なお、N型熱電素子材料にはドーパントとして上記粉末100質量部に対してSbIを0.09質量部添加した。
【0051】
これらの熱電素子材料をそれぞれ成形した後、常圧の水素還元雰囲気で焼結し、直径50mm、厚さ0.9mmのN型及びP型熱電素子材料のウェハを得た。得られた各々のウェハに対し、全面にNiメッキを施した後、ウェハを碁盤の目に切るように、ダイシング加工で切断し、縦及び横が0.65mm、高さが0.9mmの形状で、端面にNiメッキ層が形成されたN型及びP型熱電素子を得た。
【0052】
支持基板は、長さ20mm、幅15mm、厚み0.3mmのアルミナ焼結体を用い、配線導体としてCuを支持基板表面に無電解メッキ法により形成した。
【0053】
この配線導体上に、メタルマスクをセットした半田印刷機を用いて半田ペーストを塗布した後、30個のN型熱電素子と、30個のP型熱電素子とを、電気的に直列になるように配置し、これらの熱電素子を1対の支持基板で挟持するようにしたまま保持加熱し、半田接合することによって、図1に示すような熱電モジュールを得た。
【0054】
なお、配線導体上に塗布する半田ペーストの量は、メタルマスクの開口部の大きさを変えることによって調整した。半田の種類としては、表1の融点を有する半田としてSn−Sb、Au−Sn、In−Ag及びPb−Agを用いた。
【0055】
試料No.1は、半田ペーストの量を熱電素子端面から溢れ出さないように調整し、図3のように熱電素子側面への半田付着のないものとした。このとき使用したメタルマスクは厚み0.05mm、開口部の縦及び横が0.5mmのもので、供給した半田ペースト量は熱電モジュール1個あたり12mgであった。
【0056】
一方、試料No.2以降は、半田ペーストの量を熱電素子端面から少し溢れ出すように調整し、熱電素子側面への半田付着を積極的に行わせ、図2に示したような形状を得た。このとき使用したメタルマスクは厚み0.1〜0.3mm、開口部の縦及び横が0.6〜0.7mmのもので、供給した半田ペースト量は熱電モジュール1個あたり20〜35mgであった。
【0057】
このようにして得た熱電モジュールの半田層の状態を調べた。まず、半田との反応層の有無をSEM(EPMA)分析によって調べ、熱電素子の表面にSn元素が存在するかどうかを確認した。
【0058】
次いで、マイクロメータで凸部を含む熱電素子の直径を12箇所で測定し、熱電素子の直径を考慮して平均高さHを測定した。また、最大幅Wをノギスによって測定した。さらに、平均体積Vは、レーザー走査方式の顕微鏡「(株)キーエンス製VK-8550」によって測定した。反応面積Sもまた、レーザー走査方式の顕微鏡「(株)キーエンス製VK-8550」によって測定した。
【0059】
次に、熱電素子と支持基板との接合強度を測定した。接合強度は、一方の支持基板を固定し、他方の支持基板をインストロン製万能試験機1125型で引っ張り、破壊するときの強度を測定することによって行った。10MPa以上のものを合格とした。
【0060】
また、熱電モジュール性能として最大温度差△Tを測定した。即ち、一方の支持基板温度を27℃に拘束した状態で通電し、他方の支持基板との温度差が最大となる温度を求め、初期値とした。次いで、30分おきに熱電モジュールを、―40℃〜100℃の雰囲気に暴露し、5000サイクル繰り返した後の最大温度差△Tを測定し、初期値に対する変化率を評価した。なお、最大温度差△Tは真空理工社製熱電モジュール評価装置により測定した。結果を表1に示した。なお、表1の試料No.2、3、7、8、12、13、16、17、20、21および22は参考試料である。
【0061】
【表1】
Figure 0003935062
【0062】
料No.2〜23は、熱電素子側面に反応層が確認され、接合強度が10MPa以上、最大温度差△Tの変化率が1%以下と優れた特性を示した。
【0063】
特に、熱電素子を一対の支持基板で挟持されるようにした試料No.3〜23は、熱電素子側面と半田との反応層に凸部が形成され、接合強度が12MPa以上とより高い傾向がみられた。なお、この効果は熱電素子の側面の少なくとも一部に、熱電素子と半田層との反応層が形成されていれば、同じ効果が得られた。
【0064】
特に本発明の試料No.4〜6、9〜11、14、15、18及び19は、Snを含む半田を用い、反応層の平均高さHが3〜100μm、反応層の最大幅Wが1〜500μm、反応層の平均体積Vが熱電素子の体積の0.5〜10%、及び反応層の反応面積が前記熱電素子の全側面の面積に対して0.5〜30%であるため、接合強度が18MPa以上とより高く、かつ最大温度差△Tの変化率が皆無であった。
【0065】
なお、半田にSnを含有しない試料No.21〜22は、接合強度が12MPa程度であった。
【0066】
一方、熱電素子側面に半田との反応層を形成させなかった本発明の範囲外の試料No.1は、接合強度が7MPaであり、十分な接合が得られないため長期的な信頼性に乏しく、最大温度差△Tの変化が1.2%生じた。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、前記熱電素子の側面の接合端部付近に、熱電素子と半田層との反応層を形成させることによって、熱電モジュールの性能を低下させることなく、高い接合強度を持った熱電モジュールを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電モジュールを示す斜視図である。
【図2】本発明の熱電モジュールの半田接合部分を示すもので、(a)拡大断面図、(b)拡大平面図である。
【図3】従来の熱電モジュールの半田接合部分を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2・・・支持基板
3、4・・・配線導体
5・・・熱電素子
5a・・・N型熱電素子
5b・・・P型熱電素子
5c・・・熱電素子の端面
5d・・・熱電素子の側面
6・・・半田層
7・・・メッキ層
8・・・接合端部
9・・・反応層
10・・・外部接続端子
H・・・反応層の平均高さ

Claims (2)

  1. 支持基板の表面に設けられた配線導体の上に、端面にメッキ層を設けた、Bi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含む熱電素子を複数配列し、該複数の熱電素子と前記配線導体とがSnを含有する半田層を介して接合されてなる熱電モジュールであって、前記熱電素子の接合端部付近の側面に、前記熱電素子と半田との反応層が凸部を構成するように形成され、かつ前記反応層の反応面積が前記熱電素子の全側面の面積に対して0.5〜30、前記反応層の平均高さが3〜100μm、前記反応層の最大幅が1〜500μm、および前記反応層の平均体積が前記熱電素子の体積の0.5〜10%であることを特徴とする熱電モジュール。
  2. 前記複数の熱電素子が一対の支持基板で挟持されていることを特徴とする請求項1記載の熱電モジュール。
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