JP3934686B2 - 高純度金属クロムの製造方法 - Google Patents

高純度金属クロムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子材料や耐食・耐熱合金(スーパーアロイ)に用いられる高純度金属クロムの製造方法に関するものである。更に詳しくは、減圧水素雰囲気下でクロム酸化物と炭素化合物の混合物を加熱還元することにより高純度金属クロムを効果的且つ効率的に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属クロムの代表的製造法としては、クロム化合物の水溶液を電解還元して、その陰極に金属クロム板として得る方法,酸化クロム粉末とアルミニウム粉末を混合して、高温還元により得る方法(テルミット法)がある。
【0003】
いずれも大量生産には適するが、高純度金属クロムを得ることは難しく、通常これらの方法により得られた金属クロムを更に炭素又は水素ガスにより純度向上がなされている。しかしながら、純度的には不十分であり、電子材料や特殊合金には使用できず、更にはプロセスが複雑となり運転操作性に劣る。
【0004】
米国特許第2,833,645号公報には、真空二段還元法、即ち酸化クロムと炭素との混合ペレットを真空下、高温で処理し、粗金属クロムを得、次に該粗金属クロムを粉砕し、その組成分析から少量の酸化クロム又は、炭素を混合・成形し、得られたペレットを再度真空下、高温処理して、金属クロムを製造する方法を開示している。本法は、使用原料が安価である特徴があるが、高真空,高温での還元反応が二段であり、プロセスが複雑となり、又運転操作も煩雑となる。更には、原料からの酸素及び炭素含量いずれも極く微量とすることが極めて困難であり、電子材料,特殊合金用の金属クロムを製造することはできない。
【0005】
特開昭54ー13408号公報,特開昭63ー199832号公報では、真空炭素還元と水素還元を組み合わせた二段還元法を開示している。該方法は、酸化クロムと炭素を化学量論に対し酸素が過剰になるように配合比を調整し、均一混合,成形したものを真空下、高温処理して、炭素含量0.1%以下,酸素含量0.1〜2Wt%の金属クロムを得、次に該金属クロムを水素気流下、高温処理して、過剰量の酸素を除き高純度金属クロムを得るものである。
【0006】
本法によれば、酸素含量0.03wt%以下,炭素含量0.03wt%以下の高純度金属クロムを得ることができる。しかしながら、高温での還元反応が二段で、それも還元手法が異なり、プロセスが複雑で運転操作性も煩雑となる。更には、一段目で逆に炭素過剰になったり、酸素過剰量が多すぎると、二段目で、高純度化が不可能になったり、長時間を要したりするので、精度の高いその調節が極めて重要となるが、その調節は難しい。
【0007】
この様に、高純度金属クロムの必要性は極めて大きいにもかかわらず、その製造方法は、いずれも複雑で運転操作性は劣り、又純度も十分満足できるものとは言えず、経済的に、運転操作的に、又品質的に優れた高純度金属クロム製造方法の出現が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高純度の金属クロムを効果的に効率良く製造できる方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高純度金属クロムの製造に関し、従来技術を綿密に調査・解析し、又数多くの手法を試み、長い年月鋭意検討を重ねた。その結果、原料として、酸化クロムを用い、還元材として、固体である炭素化合物と気体である水素を同時に用い、そしてその時の条件を限定された範囲にすることによって、従来にない高反応速度,高反応到達度を得ることができ、遂に本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
酸化クロムの還元材として、固体である炭素化合物と気体である水素と同時に用いることは、本発明によって初めて見い出された手法であり、そして、その効果は驚くべきものであった。
【0011】
すなわち、本発明は、クロム酸化物粉末と炭素化合物粉末の混合体を、水素ガスを含む雰囲気下で、温度1300℃以上かつ減圧下で処理することを特徴とする高純度金属クロムの製造方法である。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明で使用するクロム酸化物としては、三・二酸化クロム(Cr23)、水酸化クロム(Cr(OH)3)、オキシ水酸化クロム(CrOOH)、三酸化クロム(CrO3)などを挙げることができ、いずれも使用することができ、又併用することもできる。しかしながら、入手が容易なこと、純度が比較的良いこと、炭素化合物の必要量が少なくて済むこと、真空操作が容易であること等から三・二酸化クロムが好ましい。又、原料クロム酸化物は、粉末であり、その粒度は小さい程反応性は向上するので好ましく、具体的には50μm以下が好ましい。
【0014】
炭素化合物はクロム酸化物の還元剤として働くが、グラファイト,カーボンブラック,オイルコークス,石炭等の炭素質、またはクロムカーバイドであるCr32,Cr73,Cr236等も使用でき、又併用することもできる。しかしながら、入手が容易なこと、安価であること、必要量が少なくて済むこと、運転操作が容易であること等より炭素質が好ましく、更には純度が比較的高いグラファイト,カーボンブラック,オイルコークスが好ましい。又、炭素化合物は、粉末であるが、その粒子径は小さい程反応速度は向上するので好ましく、具体的には150μm以下が好ましい。
【0015】
クロム酸化物粉末と炭素化合物粉末は、混合体とする。混合体とは、両粉末をを機械的に混合した粉末でも、該粉末を加圧成形して得られるブロック状,ブリケット状,ペレット状等でもよく、又加圧成形時、ポリビニルアルコール,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルブチラール,デンプン,デキストリン,樹脂等の粘結剤を用いてもよい。又、この時水や溶剤を用いて湿式成形しても、又造粒機を用いて湿式造粒しても良い。この場合、後に乾燥などの手段で水、溶剤を除く必要がある。
【0016】
ここで、本発明の大きな特徴は、成形しなくても、単なる混合粉末状態で高反応速度,高反応到達度が得られ、効率良く高純度金属クロムが得られることである。混合粉末状態での還元反応は、従来不可能であった技術であり、本発明によって初めて達成されたものである。又、還元生成物が多孔質であり、その粉砕性が極めて良く、容易に均一な微粒子状高純度金属クロム紛末にできる。このことは、粉末による還元の大きな特徴であり、この技術によって、高純度金属クロム製造のプロセスは、大幅に簡略化される。
【0017】
成形体とする方法は、乾式法と湿式法がある。乾式法は、混合粉末を単に加圧成形する方法,粉末状の粘結剤を混合して加圧成形する方法があり、いずれも適用できる。又、湿式法は、粘結剤を水又は溶剤に溶解して液体として混合粉末に加え、混練して、加圧成形する方法が一般的であり、本発明で実施できる。使用する粘結剤の量は、通常乾合粉末に対して、0.1〜5wt%が適切であり、加圧成形により強度の高い成形体が得られ、取り扱いが容易となる。混練には、一般的な混合機,混練機が適用できる。成形体には、通常加圧成形機が用いられる。加圧成形時の圧力は、0.1〜5ton/cm2が強度の高い成形体が得られるので好ましく、更には0.2〜3ton/cm2が強度面,操作面から望ましい。成形体形状は、前述したブロック状,ブリケット状,ペレット状等いずれも好適に用いることができ、特に限定しない。目的とする高純度金属クロムの形状,取り扱い面より選択する。
【0018】
クロム酸化物と炭素化合物の混合割合は、最終的に金属クロムが得られる割合とする。三・二酸化クロムと炭素の例で示すと、次の化1の様になる。
【0019】
【化1】
Figure 0003934686
【0020】
これは、化学量論量であるが、本発明では、この時の酸素原子と炭素原子の比が化学量論量に一致しなくても高純度の金属クロムが得られる。
【0021】
しかしながら、より高純度の金属クロムを得るには、酸素原子に対する炭素原子の比を0.9〜1.0にすることが好ましい。更には、0.95〜0.99が望ましく、極めて純度の高い金属クロムを高速度で効率良く得ることができる。この様に配合比の範囲を広くできることも本発明の大きな特徴であり、従来法では不可能であった。尚、ここで言う、酸素原子,炭素原子とは、水,低級炭化水素等の揮発物質内の酸素原子,炭素原子は含まず、高温において存在する各原子を示す。通常、900℃で存在する各原子と考え操作すると良い。
【0022】
本発明は、水素ガスを含む雰囲気下で、混合体を1300℃以上でかつ減圧下で処理することを必須とする。該処理によって、高純度金属クロムが効率良く得られ、本発明の骨子となる。混合体を昇温し、所定温度とする方法は、別に限定しない。連続的に昇温しても、300〜500゜Cの段階で温度を保持し水分除去を行っても、800〜1000℃の段階で温度を保持し、粘結剤除去,焼結を行っても良い。
【0023】
水素ガスの圧力は、0.13KPa以上であるのが好ましい。何故ならば、0.13KPaよりも小さいと、本発明の効果である、高反応速度及び高反応到達度が達成できず、高純度金属クロムが得られないだけでなく、生成した金属クロムの蒸発量が増すことになる。
【0024】
一方、水素ガスの圧力が0.13KPaから大きくなるにつれ本発明の効果が強く現われる。しかしながら、あまりにも高い圧力で還元すると反応速度は逆に低下し、又水素使用量が増すことになる。よって、好ましい水素ガス圧力は93.31KPa(700mmHg)以下であり、更に望ましくは40.0KPa(300mmHg)以下である。
【0025】
以上の事から、水素ガスの圧力の好ましい範囲としては、0.13〜93.31KPa(1〜700mmHg),更に好ましくは0.13〜40.0KPa (1〜300mmHg)であり、更には0.67〜13.33KPa(5〜100mmHg)が好ましい。
【0026】
高温還元炉の耐久性向上,混合体の破壊抑制の面から、途中温度保持する方法が好ましい。昇温後、温度1300℃以上に維持する。この温度で反応が進み高純度金属クロムが得られる。1300℃よりも温度が低いと、反応速度は著しく低下し、長時間要したり、又は反応の進行が停止したりする。又、温度を高くすることにより、より反応速度を大きくでき好ましいが、1600℃以上になると還元炉の材質損傷が大きくなり、又クロムの蒸発量が増加し、収率低下となる。従って、好ましい温度範囲は、1300〜1600℃であり、反応速度,還元炉の耐久性,クロム蒸発量の抑制の面からより好ましい温度範囲は、1350〜1500℃であり、この温度は工業的に容易に実施できる温度でもある。
【0027】
還元反応時は、水素ガス雰囲気であるが、他のガス成分として不活性ガスを存在させても良い。
【0028】
又、還元反応時の全圧は、減圧、即ち101.3KPa(760mmHg)未満であることを必須とする。全圧は水素ガス圧力,反応により生成する一酸化炭素ガス圧力,その他のガス成分圧力の合計になる。
【0029】
全圧を101.3KPa(760mmHg)以上とすると、水素ガス流量を増やせば、反応は進行するが、その速度はそれほど大きくなく、又水素ガスを大量に消費することになり、デメリットが大きい。
【0030】
一方、全圧が減圧である場合、反応速度をより大きく、反応到達度をより高くすることが可能となり、高純度の金属クロムを得ることができる。更には、水素、窒素、硫黄等のガス成分含量を低くすることができる。
【0031】
更に好ましい圧力は93.31KPa(700mmHg)以下,更に望ましくは40.0KPa(300mmHg)以下,更には13.33KPa(100mmHg)以下であり、前述の効果はより大きくなり、特に生成する金属クロム中のガス成分含量は極めて微量にできる。
【0032】
従って、本発明に使用する好適な全圧範囲は、0.13〜93.31KPa(1〜700mmHg)であり、更には0.67〜13.33KPa(5〜100mmHg)が望ましい。この全圧は、通常の真空ポンプの排気速度調節により容易にコントロールできる。
【0033】又、本発明では、水素ガス導入時機をずらすこともできる。すなわち、反応初期圧力0.13〜26.67KPa(1〜200mmHg),温度1200〜1600℃で炭素による還元反応を進め、炭素含量が1wt%以上存在している時機に水素ガスを初めて導入し、温度1300℃以上かつ減圧下で処理し、炭素と水素による還元を進めても効率良く高純度金属クロムを得ることができる。
【0034】水素ガスを導入する時機は、混合体の炭素含量が1wt%以上存在している時機とすることが大切である。1wt%よりも炭素含量が低い状態で水素ガスを導入しても、その効果はほとんどなく、従来の真空炭素還元と同様になり、高反応速度で高純度の金属クロムが得られない。水素ガスを炭素による還元反応の途中で導入する場合のより好ましい時機は、混合体の炭素含量が5wt%以上の時機である。
【0035】
本発明の最も良い水素ガスの導入時機は還元反応が開始する温度、即ち約1000℃の温度が良く、反応時間が大幅に短縮できる。水素ガス導入前は、不活性ガス雰囲気、又は真空とするが、後者がより経済的で好ましい。
【0036】
還元反応後、冷却して炉から高純度金属クロムを取り出す。冷却は、水素ガス雰囲気で行っても良く、又アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気で行っても良い。還元品の温度が300℃以下の状態で取り出せば、空気中の酸素,窒素による汚染を防止することができる。
【0037】
本発明の還元操作は、連続式,回分式,半回分式いずれも適用できる。又、本発明の方法によって得られる高純度金属クロムは、反応過程での収縮がほとんどなく、粉砕性が良く、その後の加工性もすこぶる良いものであり、このことも本発明の特徴でもある。その金属クロムの電子顕微鏡写真より、クロム粒子間の焼結がほとんどないことも判った。
【0038】
本発明の作用について、理論的に説明することはできないが、次のように考えている。即ち、本発明では、クロム酸化物の還元剤として固体である炭素化合物と気体の水素ガスを併用する。炭素化合物のみ用いる場合や水素ガスのみ用いる場合と比較して、はるかに大きな反応速度で、且つはるかに大きな反応到達度を示し、短時間の内に、一回の還元反応で高純度の金属クロムを得ることができる。これは、クロム酸化物と炭素化合物の反応,クロム酸化物と水素ガスとの反応が別々に進行しているのではなく、相互に関係し、結果としてクロム酸化物の還元反応を著しく促進しているものと考えられる。その反応速度は、従来の真空炭素還元法の10倍以上であり、極めて効果的である。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0040】
実施例1
平均粒子径2μmの三・二酸化クロム粉末150.0部と平均粒子径27μmのコークス粉末34.65部を粉末混合機を用いて混合した。この時の酸素原子に対する炭素原子比は、0.98であった。次に、10%ポリビニルアルコール水溶液18部を加えて混練りした。この混練り物20.0gを加圧成形機を用いて、0.25ton/cm2で加圧成形し、直径30mmの円柱状物を得た。次に、該成形体を100℃で1日乾燥し、18.4gになったものを高温真空炉に入れた。高温真空炉では、900℃まで1.5時間で昇温し、30分間保持後、1400℃まで50分かけて更に昇温し、2時間保持し還元反応を行った。一方圧力は、900℃,30分保持終了まで0.13Kpa以下とし、その後水素ガスを200ml/minで導入しながら圧力2.67KPa(20mmHg)にな調節した。1400℃,2時間保持後水素ガスの導入を停止し、圧力は0.013KPa以下とし、熱源を切り冷却し、反応性生物を取り出した。
【0041】
反応生成物は、10.06gであり、その酸素及び炭素含量は、それぞれ0.018%,0.011%であり、高純度の金属クロムを得ることができた。この反応生成物の粉砕性は極めて良く、容易に粉砕することができた。
【0042】
ここで、酸素の分析は試料をインパルスファーネスにより瞬間抽出し、赤外吸収法により行った(LECO社製TC−136を使用)。炭素の分析は試料を高周波燃焼し、赤外吸収法で行った(LECO社製CS−244を使用)。以下、酸素及び炭素の分析はこれと同様の方法で行った。
【0043】
実施例2
実施例1において、三・二酸化クロム粉末とコークス粉末の混合物を混練,成形することなく、混合物20gを粉末状のまま高温真空炉に入れること以外は、すべて同じに操作した。
【0044】
反応生成物は、10.93gであり、その酸素及び炭素含量は、それぞれ0.010%,0.008%であり、高純度の金属クロムを得ることができた。この反応生成物の粉砕性は実施例1に比べ更に良く、容易に粉砕することができた。
実施例3
実施例1において、三・二酸化クロム粉末とコークス粉末の混合物にポリビニルアルコール水溶液を加えることなく、該混合物20gを加圧成形機を用いて、1.0ton/cm2で加圧成形し、直径30mmの円柱状物を得た。次に、該成形体をそのまま高温真空炉に入れた。以上のように成形体作成を乾式で行うこと以外は、すべて実施例1と同じにした。
【0045】
反応生成物は、10.95gであり、その酸素及び炭素含量は、それぞれ0.015%,0.010%であり、高純度の金属クロムを得ることができた。この反応生成物の粉砕性は極めて良く、容易に粉砕することができた。
【0046】
実施例4
実施例1において、水素ガスを導入しながら圧力を5.33KPa(40mmHg)に調節すること以外は、すべて同じにした。
反応生成物は、10.13gであり、その酸素及び炭素含量は、それぞれ0.006%,0.010%であり、高純度の金属クロムを得ることができた。この反応生成物の粉砕性は極めて良く、容易に粉砕することができた。
【0047】
実施例5
実施例1において、反応温度を1450℃にすることを除いて、全て同様に操作した。
【0048】
反応生成物は、9.98gであり、その酸素及び炭素含量は、それぞれ0.011%,0.006%であり、高純度の金属クロムを得ることができた。この反応生成物の粉砕性は極めて良く、容易に粉砕することができた。
【0049】
実施例6
実施例1において、1400℃での保持時間を2.5時間とし、900℃からは水素ガスを導入することなく昇温し、1400℃保持開始より0.5時間まで圧力をを0.67KPa(5mmHg)に保った。他の実験結果より、この状態での酸素及び炭素含量は、それぞれ4.5%及び3.2%であることが、他の実験結果よりわかっていた。引き続き温度を保持したまま水素ガスを200ml/minで導入しながら圧力を2.67KPa(20mmHg)になるように調節した。1400℃,2.5時間保持後水素ガスの導入を停止し、圧力は0.013KPa以下とし、熱源を切り冷却し、反応生成物を取り出した。
【0050】
反応生成物は、10.01gであり、その酸素及び炭素含量は、それぞれ0.018%,0.011%であり、高純度の金属クロムを得ることができた。この反応生成物の粉砕性は極めて良く、容易に粉砕することができた。
【0051】
実施例7
実施例1において、平均粒子径128μmのコークス粉末を使用し、反応温度を1450℃にすることを除いて、全て同様に操作した。
【0052】
反応生成物は、9.99gであり、その酸素及び炭素含量は、それぞれ0.011%,0.019%であり、高純度の金属クロムを得ることができた。この反応生成物の粉砕性は実施例1に比べ更に良く、容易に粉砕することができた。
【0053】
比較例1
実施例1の方法で、水素ガスを導入することなく、圧力を0.67KPa(5mmHg)にすることを除いて、全て同様に操作した。
【0054】
その結果、反応生成物の酸素及び炭素含量は、それぞれ2.0%,0.80%であり、高純度の金属クロムは得られなかった。
【0055】
比較例2
比較例1において、1400℃での保持時間を6時間にすること以外は、全て同様に操作した。
【0056】
その結果、反応生成物の酸素及び炭素含量は、それぞれ0.95%,0.12%であり、高純度の金属クロムは得られなかった。又、この物の収縮は大きく、粉砕性も悪いものであった。
【0057】
又、比較例1と比較例2の結果から、現実的時間内では、高純度金属クロムは得られないことも理解できた。
【0058】
比較例3
実施例1において、1400℃での保持時間を8時間とし、900℃から1400℃保持開始より6時間までは水素ガスを導入せず、圧力を0.67KPa (5mmHg)に保った。引き続き温度を保持したまま、水素ガスを200ml/minで導入しながら、圧力を2.67KPa(20mmHg)に調節した。1400℃保持終了水素ガスの導入を停止し、圧力は0.013KPa以下とし、熱源を切り冷却し、反応生成物を取り出した。
【0059】
反応生成物は、9.71gであった。反応生成物の酸素及び炭素含量は、それぞれ0.15%,0.010%であり、高純度金属クロムを得ることはできなかった。又、この物の収縮は大きく、粉砕性も悪いものであった。
【0060】
比較例4
実施例1において、水素ガスを導入しながら圧力を0.067KPa(0.5mmHg)に調節すること以外は、すべて同じにした。
【0061】
反応生成物は、9.80gであり、その酸素及び炭素含量は、それぞれ1.6%,0.4%であり、高純度金属クロムを得ることはできなかった。
【0062】
比較例5
実施例7において、水素ガスを導入することなく、圧力を0.67KPa(5mmHg)にすることを除いて、全て同様に操作した。
【0063】
その結果、反応生成物の酸素及び炭素含量は、それぞれ7.0%,5.7%であり、還元反応がほとんど進んでいない。
【0064】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、高純度の金属クロムを短時間の内に効果的に効率良く製造することができる。次に、本発明の効果を列記する。
【0065】
(1)電子材料,特殊クロム合金に用いることができる高純度の金属クロムをクロム酸化物から製造できる。
【0066】
(2)従来不可能であった一回の還元操作で高純度金属クロムを得ることができる。
【0067】
(3)還元反応速度は、極めて大きく、短時間の内に、反応は終了する。その速度は、従来の真空炭素還元法の10倍以上である。
【0068】
(4)原料は、クロム酸化物,炭素化合物そして水素ガスであり、いずれも大量に安価に入手でき、経済性に優れる。
【0069】
(5)真空ではなく、水素ガス雰囲気での還元反応であり、熱伝導が大きく、反応効率を高くできる。真空下での反応は、熱の供給は輻射のみであるが、本発明の方法では、輻射に加えて、水素ガスを通じての対流,伝導がおこる。
【0070】
(6)従来不可能であった、混合粉末の状態での還元反応が可能となり、短時間の内に高純度の金属クロムを得ることができる。したがって、成形,乾燥等の操作が不要であり、プロセスは極めて簡略化できる。
【0071】
(7)クロム酸化物粉末と炭素化合物粉末の混合は、多少不均一であっても反応により、均一な高純度金属クロムが得られる。
【0072】
(8)従来、反応速度が小さかった、大粒子径のクロム酸化物及び炭素化合物を用いても、高反応速度が達成できる。
【0073】
(9)クロム酸化物と炭素化合物の混合範囲を広くでき、運転操作性が良い。
【0074】
(10)還元反応により、得られる金属クロムは、極めて粉砕性が良く、加工が容易である。
【0075】
以上のように、本発明では、多くの、そして大きな効果を得ることができ、工業上極めて有益な方法である。

Claims (8)

  1. クロム酸化物粉末と炭素化合物粉末の混合体を、水素ガスを含む雰囲気下で、温度1300℃以上かつ減圧下で処理することを特徴とする高純度金属クロムの製造方法。
  2. クロム酸化物粉末と炭素化合物粉末の混合体を、反応初期に水素ガスを含まない雰囲気下で、反応初期圧力0.13〜26.67KPa(1〜200mmHg),温度1200〜1600℃で炭素による還元反応を進め、炭素含量が1wt%以上存在している時期に水素ガスを初めて導入し、水素ガスを含む雰囲気下で、温度1300℃以上かつ減圧下で処理することを特徴とする高純度金属クロムの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の高純度金属クロムの製造方法において、水素ガスによる減圧下での処理における水素ガス圧力が0.13KPa(1mmHg)〜93.31KPa(700mmHg)の範囲であることを特徴とする高純度金属クロムの製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載の高純度金属クロムの製造方法において、水素ガスによる減圧下での処理における熱処理温度が1300〜1600℃の範囲であることを特徴とする高純度金属クロムの製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれかの請求項に記載の高純度金属クロムの製造方法において、混合体の酸素原子に対する炭素原子の比が0.9〜1.0であることを特徴とする高純度金属クロムの製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれかの請求項に記載の高純度金属クロムの製造方法において、クロム酸化物の平均粒子径が50μm以下で、且つ炭素化合物粉末の平均粒子径が150μm以下であることを特徴とする高純度金属クロムの製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれかの請求項に記載の高純度金属クロムの製造方法において、混合体が加圧成形して得られる成形体であることを特徴とする高純度金属クロムの製造方法。
  8. 請求項1から6のいずれかの請求項に記載の高純度金属クロムの製造方法において、混合体が粉末状であることを特徴とする高純度金属クロムの製造方法。
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