JP3933599B2 - Ghp故障予知診断方法およびその装置 - Google Patents

Ghp故障予知診断方法およびその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,ガスヒートポンプ型空調装置の故障や性能低下等に未然に対応するための故障予知診断方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来技術】
ガスエンジンヒートポンプ型空調装置(以下,適宜GHPという)は,省エネルギー化に有利な空調装置として脚光を浴び,その普及率も高まってきている。GHPは,都市ガス等によって駆動する内燃機関であるガスエンジンを備えるなど機械系機器を多く含む。そのため,それらの故障を未然に防ぐメンテナンス体制の充実が望まれている。
【0003】
現在は,GHPが故障した後,あるいは不調となった後に,事後的に保全が行われることが主流である。
一方,GHPが故障又は不調となる前にそれを事前に予知する故障予知診断システムの開発も急がれている。例えば,エンジンの故障予知診断装置としては,下記の特許文献1に示されているものがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−284738号公報
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,従来のGHP故障予知診断方法においては,予知の精度が十分ではなく誤診断を行いやすく,誤診断を行うと正常であるにもかかわらず保全作業を行ってしまい過剰メンテナンスを行うことになってしまう。また,従来のGHP故障予知診断装置においては,個々のGHPの特性差を十分に考慮して最適な診断をすることが困難である。例えば,GHPのメーカあるいは型が異なる場合,同機種でも運転履歴等が違う場合などには,GHPが持つ特性に大きな差異が生じる場合がある。このような場合に,個々のGHPに対してそれぞれ判断基準を設けて,そのGHPの個性を取り込んだ故障予知診断装置を構成しようとすると,診断方法が複雑となり,新たな機種に専用の判断基準が必要となるため,その故障診断装置の普及を妨げてしまう。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,従来の予知診断技術による予知精度を更に向上することができ,また,個々のGHPの特性差をあまり問題にすることなく,新品に限らず既に稼働を開始しているGHPにも適用可能なGHP故障予知診断方法および装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
第1の発明は,室内機と室外機とを有し,該室外機にガスエンジンを備えてなるガスヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)における故障予知診断方法であって,
上記GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間に,上記GHPの運転状態を示す1種又は複数の運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記GHPを構成する機器の異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成する初期監視モードと,
該初期監視モードを行った後に,定期的に上記運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する第1予知判断を行う通常監視モードと,
該通常監視モードの上記第1予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記通常監視モードの場合よりもサンプリング頻度を高めて運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を再度判断する第2予知判断を行う集中監視モードとを行うに当たり,
上記運転データとしては,上記室内機を運転している際に温度調整のために運転を自動停止または自動運転している期間の割合であるサーモオフ率またはサーモオン率を示すサーモ率データと,運転を自動停止または自動運転している時間を示すサーモオフ時間またはサーモオン時間を示すサーモ時間データとを用い,
上記初期監視モードにおいては,上記サーモ率データあるいは上記サーモ時間データ又はこれらを加工した加工データに基づいて,上記室内機が有する空気フィルタ又は熱交換器,あるいは上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下の有無を判断する基礎となる,上記サーモ率データあるいは上記サーモ時間データ又はこれらを加工した加工データの基準値をそれぞれ作成し,
上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記サーモ率データあるいは上記サーモ時間データ又はこれらを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記室内機が有する上記空気フィルタ又は上記熱交換器,あるいは上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断することを特徴とするGHP故障予知診断方法にある(請求項1)。
第2の発明は,室内機と室外機とを有し,該室外機にガスエンジンを備えてなるガスヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)における故障予知診断方法であって,
上記GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間に,上記GHPの運転状態を示す1種又は複数の運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記GHPを構成する機器の異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成する初期監視モードと,
該初期監視モードを行った後に,定期的に上記運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する第1予知判断を行う通常監視モードと,
該通常監視モードの上記第1予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記通常監視モードの場合よりもサンプリング頻度を高めて運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を再度判断する第2予知判断を行う集中監視モードとを行うに当たり,
上記運転データとしては,上記室外機が有する上記ガスエンジンへの燃料混合気供給量を調整するスロットル弁の開度がある一定値以上である割合を示すスロットル弁高開度率データを用い,
上記初期監視モードにおいては,上記スロットル弁高開度率データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記ガスエンジンの異常又は性能低下を判断する基礎となる上記基準値を作成し,
上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記スロットル弁高開度率データ又はこれを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記ガスエンジンの異常又は性能低下の兆候の有無を判断することを特徴とするGHP故障予知診断方法にある(請求項2)。
第3の発明は,室内機と室外機とを有し,該室外機にガスエンジンを備えてなるガスヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)における故障予知診断方法であって,
上記GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間に,上記GHPの運転状態を示す1種又は複数の運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記GHPを構成する機器の異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成する初期監視モードと,
該初期監視モードを行った後に,定期的に上記運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する第1予知判断を行う通常監視モードと,
該通常監視モードの上記第1予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記通常監視モードの場合よりもサンプリング頻度を高めて運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を再度判断する第2予知判断を行う集中監視モードとを行うに当たり,
上記運転データとしては,上記室外機が有する上記ガスエンジンの発停回数と該ガスエンジンを始動するスタータの発停回数とから算出した起動失敗率を示す起動失敗率データを用い,
上記初期監視モードにおいては,上記起動失敗率データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記ガスエンジンの上記スタータが有するブラシの異常又は性能低下を判断する基礎となる上記基準値を作成し,
上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記運転失敗率データ又はこれを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記スタータが有する上記ブラシの異常又は性能低下の兆候の有無を判断することを特徴とするGHP故障予知診断方法にある(請求項3)。
【0008】
本発明のGHP故障予知診断方法においては,少なくとも,上記3つのモードを行う。そして,特に注目すべき点は,本発明による故障予知診断を行うための監視を開始した直後の所定期間に,必ず上記初期監視モードを実施する点にある。
【0009】
上記初期監視モードにおいては,上記のごとく,GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間に,上記GHPの運転状態を示す1種又は複数の運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記GHPを構成する機器の異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成する。
すなわち,監視しようとするGHPが有する機器の性能を,この初期監視モードの実行によって初めて詳細に把握し,そして,この初期監視モードの実行によって初めて上記基準値を作成する。そのため,監視しようとするGHPの個体差,設置環境,運転時間等に影響されにくい,それぞれのGHPに最適な基準値を得ることができる。
【0010】
また,本発明では,上記基準値を基に上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する行為を,上記通常監視モードにおける第1予知判断と,上記集中監視モードにおける第2予知判断の2段階で行う。これにより,通常監視モードでは異常又は性能低下の兆候の有無の初期判断を簡易に行い,集中監視モードでより正確に,詳細に判断するというように,両モードにそれぞれ異なる役割分担を担わすことができる。これにより,平常的に行う上記通常監視モードでは,判断に用いる運転データのサンプリング頻度を少なくする等の作業負荷の低減を図ることができる。それ故,上記GHP故障予知診断方法を実施する装置のランニングコスト等の低減をも図ることができる。
【0011】
第4の発明は,室内機と室外機とを有し,該室外機にガスエンジンを備えてなるガスヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)における故障予知診断装置であって,
上記GHPに直接的又は通信機器を介して間接的に接続された監視用コンピュータを有し,
該監視用コンピュータは,上記GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間に,上記GHPの運転状態を示す1種又は複数の運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記GHPを構成する機器の異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成する初期監視モードを実行する初期監視モード実行手段と,
上記初期監視モードを行った後に,定期的に上記運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する第1予知判断を行う通常監視モードを実行する通常監視モード実行手段と,
上記通常監視モードの上記第1予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記通常監視モードの場合よりもサンプリング頻度を高めて運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を再度判断する第2予知判断を行う集中監視モードを実行する集中監視モード実行手段とを有し,
請求項1〜3のいずれか1項に記載のGHP故障予知診断方法を実行するよう構成されたことを特徴とするGHP故障予知診断装置にある(請求項7)。
【0012】
本発明の装置は,上記のごとく,初期監視モード実行手段,通常監視モード実行手段,および集中監視モード実行手段を備えた上記監視用コンピュータを有している。そのため,上述監視用コンピュータを用いることにより,上述した優れたGHP故障予知診断方法を実施することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記第1の発明におけるGHPが有する室内機と室外機は,それぞれ1台ずつの構成でもいいし,それぞれ複数台の構成でもよい。室外機又は室内機が複数台の構成の場合には,同じ種類の運転データが複数得られる。この場合には,上記故障予知診断方法は,室外機の台数分ごと,あるいは室内機の台数分ごとに実行し,各室外機又は各室内機毎に個別に判断することが好ましい。また,複数台の室内機,あるいは室外機の同種類の運転データをまとめて1種類の運転データとして取り扱うことも可能である。この場合には,複数台の室内機または室外機のいずれかが異常又は性能低下の兆候が有ると判断することができる。
【0014】
また,上記運転データとしては,直接的に判断に用いられるデータだけでなく,これを補正するか否か,正常データであるか否か,選別するか否か等の判断を行うための参考用の運転データを合わせてサンプリングすることもできる。この場合には,この参考用の運転データに対する基準値を上記初期監視モードにおいて作成してその基準値との比較によって様々な判断をしても良いし,予め決めた基準値との比較によって様々な判断をしても良い。また,上記参考用運転データについては基準値と特に比較することなく,他の運転データを加工する際に用いてもよい。
これらの点は第2の発明においても同様である。
【0015】
また,上記初期監視モードは,上記GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間において行う。従って,新品のGHPにおいてこの故障予知診断方法を実行する場合には,GHPの運転開始から所定の期間上記初期監視モードを実行する。また,既存のGHPにあらたにこの故障予知診断方法を適用する場合には,その適用を開始すべく監視を始めてから所定期間上記初期監視モードを実行する。
【0016】
また,上記所定期間の具体的な期間は,GHPの種類ごと,用いる運転データの種類ごと,あるいはGHPの運転履歴に応じて設定することができる。
また,上記運転データは,サンプリングするごとにそのまま用いることもできるし,一定期間の複数のデータを平均化したり,ある一定の基準で有効でないデータを切り捨てる選別処理などを行うというような加工を行った加工データとして用いることができる。
【0017】
また,上記基準値の作成方法としては,様々な方法を用いることができる。例えば,上記運転データあるいは加工データを複数集め,これらの平均値をとる,あるいは最大値または最小値をとる,あるいは分布を求めて統計的に処理する,その他の方法がある。
【0018】
また,上記通常監視モードは,上記初期監視モード完了後に実行を始める。このモードは,異常又は性能低下の兆候がない限り実行され続ける。この場合の運転データのサンプリングは,この後に行われる集中監視モードの場合よりも頻度を少なくする。これにより,最も長時間,定常的に行われる通常監視モードを実行するための通信費等のコストを低減することができる。
【0019】
また,上記通常監視モードにおける上記第1予知判断は,サンプリングした運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより行う。この場合の運転データはそのまま用いてもよいし,上記の初期監視モードの場合と同様に,様々な方法により加工した加工データとして用いることもできる。また,運転データを加工する場合に,上記初期監視モードの場合と異なる方法で加工してもよい。
【0020】
また,上記基準値との比較方法としては,単純に差を求めて,ある値より大きいか小さいかによって判断する方法,あるいは何らかの特殊な関係式を予め作っておいて,これを満たすか否かによって判断する方法など,様々な方法をとることができる。
【0021】
また,上記集中監視モードは,上記のごとく,通常監視モードの第1予知判断によって異常又は性能低下の兆候があると判断されて初めて実行する。この場合の運転データのサンプリングは,上記通常監視モードの場合よりも頻度を高め,これにより第2予知判断の判断精度を高める。
【0022】
また,上記第2予知判断における上記基準値との比較方法としても,上記第1予知判断と同様に様々な方法をとることができる。また,第2予知判断の方法を第1予知判断と同じ方法としてもよいし,異なる方法としてもよい。また,サンプリングした運転データは,上記初期監視モード又は通常監視モードの場合と同様に,そのまま用いてもよいし,様々な方法により加工した加工データを用いることもできる。また,加工する場合に,上記初期監視モードおよび上記通常監視モードの場合と異なる方法で加工してもよい。
【0023】
また,上記集中監視モードの上記第2予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合には,上記集中監視モードにおいてサンプリングした運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを基に,上記機器が将来故障する又は性能が低下する確率を算出する予知確率算出を行うことが好ましい(請求項4)。例えば,上記第2予知判断における比較の結果得られた値を指標として,何らかの関係式を予め作っておくことにより上記確率を計算することができる。この場合には,上記予知確率を得ることによって,異常又は性能低下の予防保全を実現することができる。
【0024】
また,上記初期監視モードにおいて算出した上記基準値と,上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおいてサンプリングした運転データ又はこれを加工したデータの少なくとも一部を,トレンドデータとして記憶することが好ましい(請求項5)。この場合には,上記トレンドデータを用いることによって,運転データ又は加工データの変化の傾向を把握することができ,これによって新たな判断を行うステップを設けることができる。
【0025】
例えば,上記集中監視モードの上記第2予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合には,上記トレンドデータを基にして上記機器に対して対策を施すべき時期を算出する推奨対策時期算出,または故障となる時期を推定する使用限界時期推定を行うことが好ましい(請求項6)。この場合には,サービス会社が保守作業の日程調整を容易に行うことができ,計画的な保守作業を実現することができる。
【0026】
また,第1の発明のように,上記運転データとしては,上記室内機を運転している際に温度調整のために運転を自動停止または自動運転している期間の割合であるサーモオフ率またはサーモオン率を示すサーモ率データ,あるいは運転を自動停止または自動運転している時間を示すサーモオフ時間またはサーモオン時間を示すサーモ時間データ又はこれらを加工した加工データとを用い,
上記初期監視モードにおいては,上記サーモ率データあるいは上記サーモ時間データ又はこれらを加工した加工データに基づいて,上記室内機が有する空気フィルタ又は熱交換器,あるいは上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下の有無を判断する基礎となる,上記サーモ率データあるいは上記サーモ時間データ又はこれらを加工した加工データの基準値をそれぞれ作成し,
上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記サーモ率データあるいは上記サーモ時間データ又はこれらを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記室内機が有する上記空気フィルタ又は上記熱交換器,あるいは上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断することが好ましい(請求項1)。
【0027】
上記室内機が有する上記空気フィルタ又は熱交換器,あるいは上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下は,室内機の能力不足に直接的に影響する。そして,その能力不足を直接的に表す上記サーモオフ率または上記サーモオン率(サーモ率データ),あるいはサーモ時間データ又はこれらを加工した加工データを上記運転データおよび基準値に用いる。なお,このサーモ率データ,あるいはサーモ時間データ又はこれらを加工した加工データとは,例えば他の機器であるコンプレッサクラッチのオン/オフ率,およびオン/オフ時間又はこれらを加工した加工データなど,上記サーモ率データ,あるいはサーモ時間データ又はこれらを加工した加工データと連動して等価に扱うことができる種々のデータを含む概念である。
【0028】
ここで,上記サーモオフ率または上記サーモオン率は,上記のごとく室内機を運転している際に温度調整のために運転を自動停止している期間の割合をいう。より具体的に説明すると,室内機は運転スイッチをONして運転を開始した後,室内が設定された設定温度になるように空調を行う。室内温度が設定温度に到達すると室内機は一時的に自動停止し,室内温度と設定温度に差が一定以上生じると室内機は空調が必要と判断して自動運転する制御を行っている。このような室内温度と設定温度の温度差により室内機が自動発停する機能をサーモと呼び,自動運転している状態をサーモオン,自動停止している状態をサーモオフと呼ぶ。そして,自動運転している時間のうち,上記サーモオフ状態となっている時間をの割合をサーモオフ率といい,上記サーモオン状態となっている時間の割合をサーモオン率という。
【0029】
そして,上記サーモオフおよび上記サーモオンの時間も,サーモ時間データ又はこれらを加工した加工データとして,室内機負荷,あるいは室内機能力を示すデータとして用いる。このサーモ時間データ又はこれらを加工した加工データは,室内機の負荷,あるいは能力に直接的に影響されるデータである。上記サーモ率データは,室内機負荷,あるいは室内機能力が変化することで,上記室内機が有する上記空気フィルタ又は熱交換器,あるいは上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下がなくても,異常又は性能低下がある場合と同様の変化を示し,誤った判断をすることがある。しかしながら,このサーモ時間データ又はこれらを加工した加工データを室内機負荷,あるいは室内機能力として用いることにより,上記室内機が有する上記空気フィルタ又は熱交換器,あるいは上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下の判断を正確に行うことができる。
【0030】
なお,上記室内機は,室内に設置され室内の空調を行う機器であり,主にファン,熱交換器,空気フィルタ,冷媒配管で構成される。そして,室内機の空気フィルタは,室内機の吸込口に取り付けられ,熱交換器の汚れによる効率低下を防ぐ役割を果たしている。
【0031】
次に,上記運転データとしては,上記室外機が有する上記ガスエンジンを冷却する冷却水の温度である冷却水温度データを用い,
上記初期監視モードにおいては,上記冷却水温度データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下を判断する基礎となる上記基準値を作成し,
上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記冷却水温度データ又はこれを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記室外機が有する上記熱交換器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断することも好ましい
【0032】
この場合には,上記室外機の熱交換器の汚れ等に直接的に影響する冷却水温度データを上記運転データおよび基準値に用いることによって,より精度良く上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下を判断することができる。
【0033】
なお,上記室外機は,室外に設置され室内機に冷媒を供給する機器であり,主に圧縮機,ガスエンジン,熱交換器,冷媒配管で構成される。そして,ガスエンジンは,上記圧縮機の駆動源として機能し,ガスエンジン内部には,これを冷やすために冷却水が流れている。この冷却水の温度が上記冷却水温度データである。
【0034】
次に,第2の発明のように,上記運転データとしては,上記室外機が有する上記ガスエンジンへの燃料混合気供給量を調整するスロットル弁の開度がある一定値以上である割合を示すスロットル弁高開度率データを用い,
上記初期監視モードにおいては,上記スロットル弁高開度率データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記ガスエンジンの異常又は性能低下を判断する基礎となる上記基準値を作成し,
上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記スロットル弁高開度率データ又はこれを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記ガスエンジンの異常又は性能低下の兆候の有無を判断することも好ましい(請求項2)。
【0035】
上記ガスエンジンの異常又は性能低下の兆候を判断するための運転データとしては,これまではガスエンジンの排気圧力や回転数などを用い,これをmsecオーダーのサンプリング周期でサンプリングする方法があった。これに代えて,上記のごとくスロットル弁高開度率データを用いることによって,サンプリングの周期を長くし,その頻度を少なくすることが可能となる。これによって,例えば通信コスト等を低減させることが可能となる。
【0036】
ここで,上記スロットル弁は,エンジン回転数を制御するための燃料混合気量調整機構である。回転数センサで測定されるエンジン回転数が,目標回転数になるようにスロットル弁の開度を制御してガスエンジンに供給する燃料混合気量を調整する。そして,スロットル弁の高開度率が高い場合には,ガスエンジンの出力が不足していることを意味する。また,上記スロットル弁高開度率データは,ガスエンジンが稼働しているある単位時間あたりに,スロットル弁の開度がある一定値以上である時間がどの程度占めるかで求めることができる。
なお,上記ガスエンジンの出力不足とは,上記圧縮機を駆動させるためのエンジンの力が不足することを意味し,出力不足が起こる原因には,点火不良,空燃比異常,バルブ吹き抜け等がある。
【0037】
次に,上記運転データとしては,上記室外機の冷媒系データおよび上記ガスエンジンの回転数から算出したエンジン出力と,上記ガスエンジンへの燃料混合気の供給量を調整するスロットル弁の開度との相関関係を示す出力−開度相関データを用い,
上記初期監視モードにおいては,上記出力−開度相関データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記ガスエンジンの異常又は性能低下を判断する基礎となる上記基準値を作成し,
上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記出力−開度相関データ又はこれを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記ガスエンジンの異常又は性能低下の兆候の有無を判断することも好ましい
【0038】
上記ガスエンジンの出力とスロットル弁の開度には,比例関係があることに着目し,上記出力−開度相関データを求め,これを上記運転データとして用いると共に,上記室外機の冷媒系データも運転データとして用いることにより,さらに精度の高い判定を実現することができる。
【0039】
ここで,上記出力−開度相関データとしては,様々な方法により求めることができる,例えば,後述する実施例に示す方法により求めることができる。
また,上記冷媒系データとは,冷媒の様々な状態での温度や圧力の測定値を意味する。
【0040】
次に,第3の発明のように,上記運転データとしては,上記室外機が有する上記ガスエンジンの発停回数と該ガスエンジンを始動するスタータの発停回数とから算出した起動失敗率を示す起動失敗率データを用い,
上記初期監視モードにおいては,上記起動失敗率データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記ガスエンジンの上記スタータが有するブラシの異常又は性能低下を判断する基礎となる上記基準値を作成し,
上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記起動失敗率データ又はこれを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記スタータが有する上記ブラシの異常又は性能低下の兆候の有無を判断することも好ましい(請求項3)。
【0041】
従来,上記スタータのブラシの摩耗等の異常を予知する方法は開発されていなかったが,上記のごとく,起動失敗率データを用いることにより,精度良く予知することができるようになる。
【0042】
ここで,ガスエンジンの発停回数とは,ある期間にガスエンジンが正常に起動した回数を意味し,スタータ発停回数とは,上記と同じ期間にガスエンジンを起動させるためのスタータが起動した回数を意味する。スタータが起動しても,エンジンが正常に起動するとは限らないことにより,両者の回数に差異が生じうる。
また,スタータは直流モータであり,直流モータを起動するためには電源端子は,回転体であるブラシと接触している。スタータに電気を供給すると,ブラシが回転し,電源端子との接触によりブラシが磨耗する。このようなスタータのブラシの摩耗による異常又は性能低下が予知できれば,非常に有益である。
【0043】
次に,上記運転データとしては,上記室外機が有するサブエバポレータと圧縮機吸込口との間における冷媒の温度を示すサブエバ下流冷媒温度データを用い,
上記初期監視モードにおいては,上記サブエバ下流冷媒温度データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記冷媒の異常又は性能低下を判断する基礎となる上記基準値を作成し,
上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記サブエバ下流冷媒温度データ又はこれを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記冷媒の異常又は性能低下の兆候の有無を判断すること好ましい
【0044】
GHPでは,暖房時に排熱回収を行うので,冷媒不足になると極端にサブエバ下流の温度が上昇するという電気式空調機にない特徴を有している。このことを利用してサブエバ下流冷媒温度データを判定に用いることにより,冷媒の異常又は性能低下の兆候を高い精度で予知することができる。
【0045】
ここで,サブエバポレータ(サブエバ)は,電気式の空調機にはなく,GHPのみにある排熱回収熱交換器であり,暖房時の室外機の熱交換器による冷媒の蒸発を,エンジンの冷却水の温熱により補助するための熱交換器である。また,上記冷媒の異常又は性能低下としては,冷媒漏れにより発生する冷媒量の不足等がある。
【0046】
次に,上記運転データとしては,上記室外機が有する上記ガスエンジンを冷却する冷却水の温度である冷却水温度データを用い,
上記初期監視モードにおいては,上記冷却水温度データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記室外機が有する上記冷却水の配管系統の異常又は性能低下を判断する基礎となる上記基準値を作成し,
上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記冷却水温度データ又はこれを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記室外機が有する上記冷却水の配管系統のの異常又は性能低下の兆候の有無を判断することも好ましい
【0047】
GHPでは,冷却水の熱をラジエータまたはサブエバで放熱しているが,冷却水の漏れにより冷却水の配管系統に空気が進入すると,冷却水の流れが間欠的になる。冷却水をラジエータまたはサブエバに流すための三方弁は冷却水の温度で切り替わるが,冷却水の流れが間欠的であるため三方弁がハンチングし,冷却水の放熱も間欠的となるため,冷却水温度または冷媒温度データがハンチングする。このことを利用して冷却水温度または冷媒温度データの変動幅を判定に用いることにより,冷却水の配管系統の異常又は性能低下の兆候を高い精度で予知することができる。
【0048】
ここで,ラジエータは,GHPの冷却水の熱を放熱するための熱交換器である。また,上記冷却水の配管系統の異常又は性能低下としては,冷却水の配管系統の継ぎ手部分からの冷却水漏れ等がある。
【0049】
次に,第4の発明のGHP故障予知診断装置においては,上記監視用コンピュータは,上記集中監視モードの上記第2予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記集中監視モードにおいてサンプリングした運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを基に,上記機器が故障する確率を算出する予知確率算出手段を有していることが好ましい(請求項8)。この場合には,より迅速な保守を実現することができる。
【0050】
また,上記監視用コンピュータは,上記初期監視モードにおいて算出した上記基準値と,上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおいてサンプリングした運転データ又はこれを加工したデータの少なくとも一部を,トレンドデータとして記憶するトレンドメモリを有しており,上記集中監視モードの上記第2予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記トレンドデータを基にして上記機器に対して対策を施すべき時期を算出する推奨対策時期算出手段を有していることが好ましい(請求項9)。この場合には,さらに的確な保守作業を実現することができる。
【0051】
【実施例】
実施例1
本発明の実施例に係るGHP故障予知診断方法およびその装置につき,図1〜図8を用いて説明する。
本例のGHP故障予知診断装置1は,図2に示すごとく,室内機21と室外機31とを有し,該室外機31にガスエンジン39(図3)を備えてなるガスヒートポンプ型空調装置(GHP)における故障予知診断装置である。そして,このGHP故障予知診断装置1は,図2に示すごとく,GHPに直接的に接続された監視用コンピュータ10を有する。
監視用コンピュータ10は,後述する初期監視モード実行手段と,通常監視モード実行手段と,集中監視モード実行手段とを有している。
以下,この内容を詳説する。
【0052】
上記GHP故障予知診断装置1は,図2に示すごとく,1台の室外機31を有し,さらに,室外機31に複数の室内機21を接続してなるGHPの故障予知診断装置である。
図3に示すごとく,室外機31は,ガスエンジン39を内蔵し,これによって圧縮機38を駆動するように構成されている。また,室外機31内には,室外機側熱交換器35(以下,単に熱交換器35という)が配設されており,この熱交換器35に室外機側冷媒経路41(以下,単に冷媒経路41という)と冷却水経路49とが接続されている。また,熱交換器35に対面して室外機側ファン36を配設してある。
【0053】
冷媒経路41には四方弁410が配設されており,その第1のポートは,圧縮機39の出側に接続されている。また,四方弁410の第2のポートは,室内機側冷媒経路42(以下,単に冷媒経路42という)に接続され,第3のポートは,サブエバポレータ413およびアキュームレータ414を介して圧縮機38の入側に接続されている。さらに,四方弁410の第4のポートは熱交換器35を介して,冷媒経路42に接続されている。
また,冷媒経路42には,各種センサとして,吐出温度センサ451,高圧センサ452,吸込温度センサ453,低圧センサ454,温度センサ455が配置され,さらに,電動弁456が配設されている。
【0054】
また,室外機31内の冷却水経路49には,上記のごとく熱交換器35を通過する経路と,サブエバポレータ413を通過する経路とが設けられ,いずれもガスエンジン39に接続されている。そして,冷却水経路49には,電動弁461,三方弁462,冷却水ポンプ463,冷却水温度センサ464が配設されている。
【0055】
また,各室内機21には,それぞれ,室内機側熱交換器25(以下,単に熱交換器25という)とこれに対面するように配設された室内ファン26および空気フィルタ27が配設されている。また,熱交換器25には冷媒経路42が接続され,この冷媒経路42には電動弁425が配設されている。そして,複数の室内機21は,共通の冷媒経路42を冷媒経路413に接続することによって一つの室外機31に接続されている。
【0056】
また,図2に示すごとく,各室内機21は,室外機31に電送線51を介して電気的に接続され,さらに,室外機31は,電送線55を介して監視用コンピュータ10に接続されている。
【0057】
上記監視用コンピュータ10は,図1に示すごとく,初期監視モードS100を実行する初期監視モード実行手段,通常監視モードS200を実行する通常監視モード実行手段,および集中監視モードS300を実行する集中監視モード実行手段を有している。
【0058】
同図に示すごとく,初期監視モードS100は,GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間に,上記GHPの運転状態を示す1種又は複数の運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記GHPを構成する機器の異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成するモードである。すなわち,運転データのサンプリングを行うステップ(S110)と,上記基準値を作成するステップ(S120)とを有している。
【0059】
また,通常監視モードS200は,上記の初期監視モードS100を行った後に,定期的に上記運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する第1予知判断を行うモードである。すなわち,通常監視モードS200は,運転データのサンプリングを行うステップ(S210)と,上記第1予知判断を行うステップ(S230)とを有している。
【0060】
また,集中監視モードS300は,通常監視モードS200の第1予知判断(S230)において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記通常監視モードS200の場合よりもサンプリング頻度を高めて運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を再度判断する第2予知判断を行うモードである。すなわち,集中監視モードS300は,運転データのサンプリングを行うステップ(S310)と,上記第2予知判断を行うステップ(S330)とを有している。
【0061】
ここで,本例のGHP故障予知診断装置1は,複数の機器について異常又は性能低下の兆候を判断するように構成され,それぞれの機器に対して上記GHP故障予知診断方法を実行できるようにしてある。そのため,判定しようとする機器ごとに対応する運転データをそれぞれ採取する。
【0062】
まず,一例として,図4〜図6を用いて,室内機21が有する空気フィルタ27の異常又は性能低下を判断するGHP故障予知診断方法について詳しく説明する。ここでいう空気フィルタの異常又は性能低下としては,主に空気フィルタの汚れによる性能低下がある。
図4に示すごとく,まず初期監視モードS100における運転データのサンプリングを行うステップ(S110)では,S111からS117の7つのステップを使ってサーモ時間データ又はこれらを加工した加工データを得る。運転データのサンプリング間隔は,3つのモードで同じであり,例えば1分間隔である。
【0063】
この例では,上記運転データとして,室内機21を運転している際に温度調整のために運転を自動停止している時間であるサーモオフ時間および自動運転を行っている時間であるサーモオン時間を示すサーモ時間データ又はこれらを加工した加工データを用いる。このサーモ時間データ又はこれらを加工した加工データは,自動運転を行っている時間であるサーモオン時間と,運転を自動停止している時間であるサーモオフ時間を採取し,(1/サーモオン時間)+(1/サーモオフ時間)(以下,単に室内機能力率という)を算出することにより求めることができる。従って,本例では,運転データとしてサーモオンオフデータを採取し,これを演算して得られる室内機能力率を実際に用いる運転データとする。
なお,上記室内機能力率としては,これと等価のコンプレッサクラッチのオンオフ時間から演算される運転データ等に置き換えることも可能である。
【0064】
具体的な判断は次のように行う。まず,室外機31から運転データ(サーモオンオフデータ)を監視用コンピュータ10内にサンプリングする,運転データのサンプリング(S111)を,例えばS117の繰り返し数が5回という頻度で行う。そして,そのデータが有効であるか否かを判断して有効データだけを残す有効データの選別(S112)を行い,これを保存する。有効データか否かは,例えば,運転データをサンプリングしたタイミングが,室内機21が運転中である,運転モードが冷暖房である,あるいは運転開始からある一定時間後である場合を有効データとするという方法で行う。次に,有効データ数が所定数に達したか否かを判断し(S113),所定数を超えていない場合には,再びステップS111に戻る。
【0065】
有効データ数が所定値を超えた場合には,全ての有効データ数からサーモオンオフデータを用いて室内機能力率を算出する(S114)。さらに,室内機能力率を,例えば,外気温度,室内機の設定温度,風速等のデータを用いて補正し,補正室内機能力率を得る(S115)。
【0066】
次に,補正室内機能力率の最大値,最小値を,運転データのサンプリングミスによって極端に大きな又は小さな値を排除する手法で算出する(S116)。そして,精度向上のため,これらのS111〜S117までのステップを所定回数繰り返されるまで,この運転データをサンプリングするステップ(S110)を行う。この繰り返し回数が,上述した所定期間に相当することとなる。
【0067】
次に,基準値を作成するステップ(S120)に移る。
このステップでは,GHPの運転状態による補正室内機能力率のばらつきを吸収するために,上記ステップS115において補正室内機能力率の分布幅を最大値と最小値の差により算出する(S121)。その後,補正室内機能力率の基準値を,例えば,分布幅の中間値に異常判断定数a(a<1)をかけるという手法で算出する(S122)。また,複数の基準値を作る場合は,分布幅の中間値に複数の異常判断定数a,bをかけるという手法で算出する(S122)。
そして,本例では,得られた基準値を,監視用コンピュータ10が有するトレンドメモリ(図示略)に転送し(S130),記憶させる。
【0068】
次に,図5に示すごとく,通常監視モードS200に移行する。
このモードでの運転データのサンプリングを行うステップ(S210)では,9つのステップ(S211〜S219)によって,後の第1予知判断を行うステップ(S230)において用いる補正室内機能力率の現在値を求める。
【0069】
S211〜S217のステップは,初期監視モードS100における運転データをサンプリングするステップ(S110)を構成するS111〜S117と同様のステップであるが,最初のステップS211で行う室外機31からの運転データ(サーモオンオフデータ)のサンプリングは,その頻度を低くし,例えば,S217の繰り返し数を1回とし,通常監視モードを行うのは1週間に一度という頻度にする。
そして,S218,S219のステップでは,初期監視モードS100における基準値を作成するステップ(S120)のS121,S122と同様の処理を行って,補正室内機能力率の現在値を算出する。現在値の算出方法は,例えば分布幅の中間値とする。
【0070】
次に,算出した補正室内機能力率をトレンドメモリへ転送(S220)して記憶させると共に,第1予知判断を行うステップ(S230)に移る。ここでは,初期監視モードS100において求めた補正室内機能力率の基準値をA,補正室内機能力率の現在値をB1,空気フィルタ27の異常又は性能低下の兆候が有る
Figure 0003933599
する。上記の式を満たさない場合には,再び運転データをサンプリングするステップS210の最初のステップS211に戻り,通常監視モードS100を続ける。上記の式を満たす場合には,室内機21が有する空気フィルタ27の異常又は性能低下の兆候が有ると判断し,集中監視モードS300に移行する。
【0071】
図6に示すごとく,集中監視モードS300での運転データのサンプリングを行うステップ(S310)では,9つのステップ(S311〜S319)によって,後の第2予知判断を行うステップ(S330)において用いる補正室内機能力率の現在値を求める。
【0072】
S311〜S317のステップは,初期監視モードS100における運転データをサンプリングするステップを構成するS111〜S117と同様のステップであるが,最初のステップS311で行う室外機31からの運転データ(サーモオンオフデータ)のサンプリングは,その頻度を,通常監視モードS200の場合よりも高くし,例えば,S317の繰り返し数を5回という頻度にする。
そして,S318,S319のステップでは,初期監視モードS100における基準値を作成するステップ(S120)のS121,S122と同様の処理を行って,補正室内機能力率の現在値を算出する。
【0073】
次に,算出した補正室内機能力率をトレンドメモリへ転送(S320)して記憶させると共に,第2予知判断を行うステップ(S330)に移る。ここでは,初期監視モードS100において求めた補正室内機能力率の基準値をA,補正室内機能力率の現在値をB2,空気フィルタ27の異常又は性能低下の兆候が有る
Figure 0003933599
する。
【0074】
上記の式を満たさない場合には,室内機21が有する空気フィルタ27の異常又は性能低下の兆候が無いと判断し,通常監視モードS200に再び戻り,上記の一連の処理を繰り返す。
上記の式を満足する場合には,室内機21が有する空気フィルタ27の異常又は性能低下の兆候が有ると確定的に判断し,通常監視モードに戻ることなく,次の予知確率算出のステップ(S410)に移行する。
【0075】
このステップ(S410)では,集中監視モードS300においてサンプリングした上記の現在値としての補正室内機能力率と上記基準値とを基に,上記機器が故障する確率を算出する予知確率算出を行う。この方法は様々な方法があるが,本例では,具体的には,例えば,S122で2つの基準値を算出して3つのゾーンをつくり,現在値がどのゾーンに入るかで,ゾーン毎に決められた確率とするというような方法により算出する。
【0076】
さらに,本例では,補正室内機能力率の変化率の算出を行うステップ(S420)に移る。ここでは,監視用コンピュータ10のトレンドメモリに記憶されている補正室内機能力率を用いて,その変化率を算出する。そして,次の洗浄奨励時期の算出ステップ(S430)において,上記の変化率から,いつ頃,室内機21〜23が有する空気フィルタ27の洗浄をすべきかを予め定めた算出式によって算出する。この算出式としても,様々な式を用いることができるが,本例では,例えば,現在から過去n個のトレンドデータの平均値と中間の時刻及び現在値と現在時刻から変化の傾きを算出し,基準値に達する時間を算出するという方法を用いた。なお,より厳しい基準値を用いて使用限界時期も推定できる。
【0077】
監視用コンピュータ10は,上記一連の処理の結果を適宜出力する機能を有している。例えば,監視用コンピュータ10およびこれに繋がるクライアントコンピュータ11の画面への出力や,接続されたプリンタへの出力や,ブザー等の機器,ポケットベル,携帯電話等への通信など,様々な情報伝達手段を使って,故障予知診断結果を出力するようにできる。
【0078】
以上のように,本例のGHP故障予知診断装置を用いた故障予知診断方法においては,少なくとも,上記3つのモード,すなわち初期監視モードS100,通常監視モードS200,集中監視モードS300を行う。そして,故障予知診断を行うための監視を開始した直後の所定期間に,必ず上記初期監視モードS100を実施する。そして,この初期監視モードS100において,GHPを構成する空気フィルタの異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成する。そのため,監視しようとするGHP全体が新品であっても,既に有る程度運転を行っているGHPであっても,それぞれのGHPに最適な基準値を得ることができる。なお,上記空気フィルタ27は,これそのものが消耗品で交換を前提としているので,この監視を始める際には,空気フィルタ27を新品に交換してから上記初期監視モードS100を行うことが好ましい。
【0079】
また,本例では,上記基準値を基に上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する行為を,上記通常監視モードS200における第1予知判断S230と,上記集中監視モードS300における第2予知判断S330の2段階で行う。これにより,通常監視モードS200では異常又は性能低下の兆候の有無の初期判断を簡易に行い,集中監視モードS300でより正確に,詳細に判断するというように,両モードにそれぞれ異なる役割分担を担わすことができる。これにより,平常的に行う上記通常監視モードS200では,判断に用いる運転データのサンプリング頻度を少なくすることができる。
【0080】
また,上記の空気フィルタ27の異常又は性能低下の兆候を判断するには,上記室内機能力率を運転データとして用い,単なる室内機負荷の増大による誤判断を排除し,室内機の能力不足を的確に示す指標としている。これにより,能力不足に直接的に影響する空気フィルタ27の異常又は性能低下の兆候,具体的には空気フィルタ27の汚れ状態を,精度よく判断することができる。なお,この判定方法は,室内機21における熱交換器25の異常又は性能低下の兆候の判定にも適用することができる。
【0081】
ここで,参考のために,室内機負荷(空調負荷)とサーモ時間データの関係について,図7を用いて簡単に説明する。
同図(a)は,フィルタの汚れがなく,室内機負荷(空調負荷)が小さい場合におけるサーモオン時間とサーモオフ時間の繰り返しタイミングを,同図(b)は,フィルタの汚れがあり,室内機負荷(空調負荷)が小さい場合におけるサーモオン時間とサーモオフ時間の繰り返しタイミングを,同図(c)は,フィルタの汚れがなく,室内機負荷(空調負荷)が大きい場合におけるサーモオン時間とサーモオフ時間の繰り返しタイミングの一例を示したものである。
【0082】
室内機のフィルタが汚れた場合(同図(b))は,室内機の風量が減るため室内機能力が減る。室内機能力が影響するのはサーモオン時間であるので,サーモオン時間が延びる。しかし,サーモオフ時間は室内機能力には無関係なので変化しない。従って,サーモオン時間が延びることによって,サーモオフ率が減少する。
【0083】
次に室内負荷が増えた場合(同図(c))は,室内負荷が増えたことによって,サーモオン時間は延びる。また,サーモオフ時間は室内負荷のみに影響するので,室内負荷が増えればサーモオフ時間は短くなる。従って,フィルタが汚れた場合と同様にサーモオフ率は減少する。
このため,サーモオフ率の減少だけでは,フィルタが汚れているのか,ただ単に室内負荷が増えただけなのかがわからない。本例は,この問題を解決するために(1/サーモオフ時間)+(1/サーモオン時間)によって算出される室内機能力率を用いる。(1/サーモオン時間)の項は,サーモオン時間内での室内温度変化の傾き,つまり(室内機能力−室内機負荷)を示し,(1/サーモオフ時間)の項は,サーモオフ時間内での室内温度変化の傾き,つまり室内機負荷を示す。したがって,(1/サーモオフ時間)+(1/サーモオン時間)は,(室内機能力−室内機負荷)+室内機負荷=室内機能力を意味する。室内機負荷の変化にしたがって見かけの室内機能力は変化するが,真の室内機能力を示す室内機能力率を用いれば室内機負荷の違いに影響されることなく判断することができる。
【0084】
より具体的には,初期監視モードで,室内機の風速データ等を加味して補正した室内機能力率の基準値を算出し,通常あるいは集中監視モードで,同様に室内機の風速データ等を加味して補正した室内機能力率の現在値を算出し,基準値に比べて室内機能力率がある判定値よりも小さくなるという条件を満たした時にフィルタ汚れであると診断する。
【0085】
なお,上述した運転データのサンプリング方法,加工方法については,適宜変更することができ,また,第1予知判断,第2予知判断の方法等についても具体的な方法は適宜変更することができる。
【0086】
次に,本例のGHP故障予知診断装置1は,室外機31が有する熱交換器35の異常又は性能低下を判定することも可能である。
この場合には,上記運転データとしては,上記室外機31が有するガスエンジン39を冷却する冷却水の温度である冷却水温度データを用いる。この冷却水温度データは,図3に示すごとく,冷却水温度センサ464により測定して得ることができる。
【0087】
そして,初期監視モードS100では,運転データのサンプリングを行うステップ(S110)で上記冷却水温度データを採取し,基準値を作成するステップ(S120)では,冷却水温度データ又はこれを加工した加工データに基づいて,その基準値を作成する。
【0088】
また,上記通常監視モードS200および上記集中監視モードS300における上記第1予知判断S230および上記第2予知判断S330では,上記冷却水温度データ又はこれを加工したデータの現在値と上記基準値とを比較することにより,上記室外機31が有する熱交換器35の異常又は性能低下の兆候の有無を精度良く判断することができる。これは,冷却水温度データが,室外機31の熱交換器35の汚れ等によって直接的に影響をうけるので,冷却水温度データが,室外機31が有する熱交換器35の異常又は性能低下を良く反映しているためである。
【0089】
次に,本例のGHP故障予知診断装置1は,ガスエンジン39の異常又は性能低下を判定することも可能である。
この場合には,図8に示すごとく,上記運転データとしては,ガスエンジン39への燃料混合気の供給量を調整するスロットル弁395の開度がある一定値以上である割合を示すスロットル弁高開度率データを用いる。スロットル弁高開度率データは,スロットル弁開度がある値以上である時間/ガスエンジンの運転時間により求めることができる。
【0090】
そして,上記と同様に,初期監視モードS100では,スロットル弁高開度率データそのもの又はこれを加工したデータから基準値を作成し,上記通常監視モードS200および上記集中監視モードS300における上記第1予知判断S230および上記第2予知判断S330では,スロットル弁高開度率データ又はこれを加工したデータの現在値と上記基準値とを比較する。これにより,ガスエンジン39の異常又は性能低下の兆候の有無を精度良く判断することができる。
【0091】
次に,本例のGHP故障予知診断装置1は,ガスエンジン39の異常又は性能低下を,さらに別の角度から判定することもできる。
すなわち,上記運転データとしては,室外機31の冷媒系データおよびガスエンジン39の回転数から算出したエンジン出力と,ガスエンジン39への燃料混合気の供給量を調整するスロットル弁395の開度との相関関係を示す出力−開度相関データを用いる。
【0092】
具体的には,エンジン出力は,定数×エンジン回転数×冷媒高低圧差×圧縮機運転台数,あるいは,定数×エンジン回転数×エンタルピ差×冷媒密度×圧縮機運転台数によって求めることができる。また,出力−開度相関データは,上記エンジン出力とスロットル弁の開度との相関を求め,スロットル弁開度をエンジン出力の多項式fとして表すことにより求めることができる。
【0093】
そして,上記と同様に,初期監視モードS100では,出力−開度相関データそのもの又はこれを加工したデータから基準値を作成し,上記通常監視モードS200および上記集中監視モードS300における上記第1予知判断S230および上記第2予知判断S330では,出力−開度相関データ又はこれを加工したデータの現在値と上記基準値とを比較する。これにより,ガスエンジン39の異常又は性能低下の兆候の有無を精度良く判断することができる。
【0094】
次に,本例のGHP故障予知診断装置1は,ガスエンジン39のスタータが有するブラシ(図示略)の異常又は性能低下の兆候の有無を判断することもできる。この場合には,上記運転データとしては,ガスエンジン39の発停回数と該ガスエンジン39を始動するスタータの発停回数とから算出した運転失敗率を示す運転失敗率データを用いる。この運転失敗率データは,(スタータ発停回数−エンジン発停回数)/エンジン発停回数によって算出することができる。
【0095】
そして,上記と同様に,初期監視モードS100では,運転失敗率データそのもの又はこれを加工したデータから基準値を作成し,上記通常監視モードS200および上記集中監視モードS300における上記第1予知判断S230および上記第2予知判断S330では,運転失敗率データ又はこれを加工したデータの現在値と上記基準値とを比較する。これにより,ガスエンジン39のスタータのブラシの異常又は性能低下,具体的にはブラシの摩耗の有無を精度良く判断することができる。
【0096】
次に,本例のGHP故障予知診断装置1は,冷媒の異常又は性能低下を判断することもできる。この場合には,室外機31が有するサブエバポレータ413と圧縮機38の吸込口との間における冷媒の温度を示すサブエバ下流冷媒温度データを用いる。この温度は,温度センサ455によって測定することができる。
【0097】
そして,上記と同様に,初期監視モードS100では,サブエバ下流冷媒温度データそのもの又はこれを加工したデータから基準値を作成し,上記通常監視モードS200および上記集中監視モードS300における上記第1予知判断S230および上記第2予知判断S330では,サブエバ下流冷媒温度データ又はこれを加工したデータの現在値と上記基準値とを比較する。これにより,冷媒の異常又は性能低下の有無を精度良く判断することができる。
【0098】
次に,本例のGHP故障予知診断装置1は,冷却水の配管系統の異常又は性能低下を判断することもできる。この場合には,上記室外機31が有するガスエンジン39を冷却する冷却水の温度である冷却水温度データを用いる。この冷却水温度データは,図3に示すごとく,冷却水温度センサ464により測定して得ることができる。
【0099】
そして,上記と同様に,初期監視モードS100では,冷却水温度データそのもの又はこれを加工したデータから基準値を作成し,上記通常監視モードS200および上記集中監視モードS300における上記第1予知判断S230および上記第2予知判断S330では,冷却水温度データ又はこれを加工したデータの現在値と上記基準値とを比較する。これにより,冷却水の配管系統の異常又は性能低下の有無を精度良く判断することができる。
【0100】
実施例2
本例は,図9に示すごとく,複数の室外機31,32とこれに複数の室内機21,22をそれぞれ接続してなるGHPの遠隔による故障予知診断装置102の例である。本例では,監視用コンピュータ10が,有線又は無線の電話回線6を介して室外機31,32と通信できるようにし,室外機31,32から遠隔で運転データのサンプリングを行うように構成した。
本例のGHP故障予知診断装置102においても,上記と同様の3つのモード,初期監視モード,通常監視モード,および集中監視モードを行うことによって,実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
また,平常的に行う上記通常監視モードS200では,判断に用いる運転データのサンプリング頻度を少なくすることができるため,上記の有線又は無線の電話回線6における通信コストを必要最低限に抑えることができる。それ故,GHP故障予知診断装置1のランニングコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,GHP故障予知診断方法のフローを示す説明図。
【図2】実施例1における,GHP故障予知診断装置の構成を示す説明図。
【図3】実施例1における,GHPの室外機および室内機の構成を示す説明図。
【図4】実施例1における,初期監視モードの詳細なフローを示す説明図。
【図5】実施例1における,通常監視モードの詳細なフローを示す説明図。
【図6】実施例1における,初期監視モードの詳細なフローを示す説明図。
【図7】実施例1における,サーモオン時間及びサーモオフ時間とフィルタ汚れ及び室内機負荷との関係を示す説明図。
【図8】実施例1における,ガスエンジンの構成の一部を示す説明図。
【図9】実施例2における,GHP故障予知診断装置の構成を示す説明図。
【符号の説明】
1,102..GHP故障予知診断装置,
10...監視用コンピュータ,
21〜23...室内機,
25...熱交換器,
27...空気フィルタ,
31〜33...室外機,
35...熱交換器,
39...ガスエンジン,
6...有線又は無線電話回線,

Claims (9)

  1. 室内機と室外機とを有し,該室外機にガスエンジンを備えてなるガスヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)における故障予知診断方法であって,
    上記GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間に,上記GHPの運転状態を示す1種又は複数の運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記GHPを構成する機器の異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成する初期監視モードと,
    該初期監視モードを行った後に,定期的に上記運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する第1予知判断を行う通常監視モードと,
    該通常監視モードの上記第1予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記通常監視モードの場合よりもサンプリング頻度を高めて運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を再度判断する第2予知判断を行う集中監視モードとを行うに当たり,
    上記運転データとしては,上記室内機を運転している際に温度調整のために運転を自動停止または自動運転している期間の割合であるサーモオフ率またはサーモオン率を示すサーモ率データと,運転を自動停止または自動運転している時間を示すサーモオフ時間またはサーモオン時間を示すサーモ時間データとを用い,
    上記初期監視モードにおいては,上記サーモ率データあるいは上記サーモ時間データ又はこれらを加工した加工データに基づいて,上記室内機が有する空気フィルタ又は熱交換器,あるいは上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下の有無を判断する基礎となる,上記サーモ率データあるいは上記サーモ時間データ又はこれらを加工した加工データの基準値をそれぞれ作成し,
    上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記サーモ率データあるいは上記サーモ時間データ又はこれらを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記室内機が有する上記空気フィルタ又は上記熱交換器,あるいは上記室外機が有する熱交換器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断することを特徴とするGHP故障予知診断方法。
  2. 室内機と室外機とを有し,該室外機にガスエンジンを備えてなるガスヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)における故障予知診断方法であって,
    上記GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間に,上記GHPの運転状態を示す1種又は複数の運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記GHPを構成する機器の異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成する初期監視モードと,
    該初期監視モードを行った後に,定期的に上記運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する第1予知判断を行う通常監視モードと,
    該通常監視モードの上記第1予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記通常監視モードの場合よりもサンプリング頻度を高めて運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を再度判断する第2予知判断を行う集中監視モードとを行うに当たり,
    上記運転データとしては,上記室外機が有する上記ガスエンジンへの燃料混合気供給量を調整するスロットル弁の開度がある一定値以上である割合を示すスロットル弁高開度率データを用い,
    上記初期監視モードにおいては,上記スロットル弁高開度率データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記ガスエンジンの異常又は性能低下を判断する基礎となる上記基準値を作成し,
    上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第 2予知判断では,上記スロットル弁高開度率データ又はこれを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記ガスエンジンの異常又は性能低下の兆候の有無を判断することを特徴とするGHP故障予知診断方法。
  3. 室内機と室外機とを有し,該室外機にガスエンジンを備えてなるガスヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)における故障予知診断方法であって,
    上記GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間に,上記GHPの運転状態を示す1種又は複数の運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記GHPを構成する機器の異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成する初期監視モードと,
    該初期監視モードを行った後に,定期的に上記運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する第1予知判断を行う通常監視モードと,
    該通常監視モードの上記第1予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記通常監視モードの場合よりもサンプリング頻度を高めて運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を再度判断する第2予知判断を行う集中監視モードとを行うに当たり,
    上記運転データとしては,上記室外機が有する上記ガスエンジンの発停回数と該ガスエンジンを始動するスタータの発停回数とから算出した起動失敗率を示す起動失敗率データを用い,
    上記初期監視モードにおいては,上記起動失敗率データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記ガスエンジンの上記スタータが有するブラシの異常又は性能低下を判断する基礎となる上記基準値を作成し,
    上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおける上記第1予知判断および上記第2予知判断では,上記運転失敗率データ又はこれを加工したデータと上記基準値とを比較することにより,上記スタータが有する上記ブラシの異常又は性能低下の兆候の有無を判断することを特徴とするGHP故障予知診断方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において,上記集中監視モードの上記第2予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合には,上記集中監視モードにおいてサンプリングした運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを基に,上記機器が将来故障する又は性能が低下する確率を算出する予知確率算出を行うことを特徴とするGHP故障予知診断方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において,上記初期監視モードにおいて算出した上記基準値と,上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおいてサンプリングした運転データ又はこれを加工したデータの少なくとも一部を,トレンドデータとして記憶することを特徴とするGHP故障予知診断方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において,上記集中監視モードの上記第2予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合には,上記トレンドデータを基にして上記機器に対して対策を施すべき時期を算出する推奨対策時期算出,または故障となる時期を推定する使用限界時期推定を行うことを特徴とするGHP故障予知診断方法。
  7. 室内機と室外機とを有し,該室外機にガスエンジンを備えてなるガスヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)における故障予知診断装置であって,
    上記GHPに直接的又は通信機器を介して間接的に接続された監視用コンピュータを有し,
    該監視用コンピュータは,上記GHPの故障予知診断を行うための監視を開始した後の所定期間に,上記GHPの運転状態を示す1種又は複数の運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データに基づいて,上記GHPを構成する機器の異常又は性能低下を判断する基礎となる基準値を作成する初期監視モードを実行する初期監視モード実行手段と,
    上記初期監視モードを行った後に,定期的に上記運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を判断する第1予知判断を行う通常監視モードを実行する通常監視モード実行手段と,
    上記通常監視モードの上記第1予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記通常監視モードの場合よりもサンプリング頻度を高めて運転データをサンプリングして,該運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを比較することにより,上記機器の異常又は性能低下の兆候の有無を再度判断する第2予知判断を行う集中監視モードを実行する集中監視モード実行手段とを有し,
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のGHP故障予知診断方法を実行するよう構成されたことを特徴とするGHP故障予知診断装置。
  8. 請求項7において,上記監視用コンピュータは,上記集中監視モードの上記第2予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記集中監視モードにおいてサンプリングした運転データ又はこれを加工した加工データと上記基準値とを基に,上記機器が故障する確率を算出する予知確率算出手段を有していることを特徴とするGHP故障予知診断装置。
  9. 請求項7又は8において,上記監視用コンピュータは,上記初期監視モードにおいて算出した上記基準値と,上記通常監視モードおよび上記集中監視モードにおいてサンプリングした運転データ又はこれを加工したデータの少なくとも一部を,トレンドデータとして記憶するトレンドメモリを有しており,上記集中監視モードの上記第2予知判断において上記機器の異常又は性能低下の兆候が有ると判断された場合に,上記トレンドデータを基にして上記機器に対して対策を施すべき時期を算出する推奨対策時期算出手段を有していることを特徴とするGHP故障予知診断装置。
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