JP3933256B2 - 吸収性物品用吸収体の製造方法および装置並びに吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる吸収体の製造方法に関する。また、本発明は、斯かる製造方法に好適に用いられる製造装置に関する。
【0002】
従来より、生理用ナプキン等の吸収性物品用の吸収体としては、台紙と、該台紙上に載置されたパルプ層と、該パルプ層の上面及び側面を覆って配される吸収紙とからなり、実質的に縦長の吸収体が用いられている。
近年、このような吸収体には、より高い吸収性能が要求されており、斯かる要求に対して、吸収体に立体形状を付与して身体へのフィット性を向上させつつ吸収力を高めることが提案されている。そのような提案として、例えばヨーロッパ特許第549781号明細書、アメリカ特許第5558656号明細書および特公平8−24698号公報に記載の吸収体等が知られている。
【0003】
上記公報等に記載の吸収体等について説明すると、ヨーロッパ特許第549781号明細書には、吸収体が、吸収体本体(absorbent core)と液体輸送層(transport layer )とから構成されており、該液体輸送層が不織布等から構成されており且つ吸収体のZ軸方向に配向しているものが記載されている。
また、アメリカ特許第5558656号明細書には、Z軸方向の圧縮荷重が2グラムである第1のZ軸方向支柱(caliper )と、Z軸方向の圧縮荷重が100グラム未満である第2のZ軸方向支柱(caliper )とを有し、第2のZ軸方向支柱の長さが第1のZ軸方向支柱の長さよりも15mm短いものである生理用ナプキンが記載されている。
また、特公平8−24698号公報には、一のパッド部に他のパッド部が切り離し可能に連結され、該他のパッド部は該一のパッド部に対し折り返され該一のパッド部に積層された形で使用されるようになっている生理用ナプキンが記載されている。
【0004】
しかしながら、上記公報等に記載の吸収体等には、以下に述べるような欠点があった。
即ち、ヨーロッパ特許第549781号明細書に記載の吸収体では、吸収体のうち立体化させたい部分に不織布等を積層するので、立体感を出すには該不織布等を多量に使用せねばならず、製造コストが高くなると共に製造方法も複雑となる。
また、アメリカ特許第5558656号明細書に記載の生理用ナプキンでは、上記支柱を用いているので、生理用ナプキンを三つ折り等の個装構造とすることが難しく、また製造コストも高くなる。
また、特公平8−24698号公報に記載の生理用ナプキンは、使用済みのパッド部を切り離すことで、一つの生理用ナプキンを複数回使用することを目的としているので、各パッドはほぼ同形をしており、立体感のある形状の吸収体とはなっていない。
【0005】
従って、本発明の目的は、吸収体の所定の部分を容易に立体化し得る吸収性物品用吸収体の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、吸収性や液漏れ防止性が向上した吸収性物品用吸収体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の形状に形成した折曲前駆体を、特定の部分で折り曲げることによって、立体形状が良好であり、上記目的を達成し得る吸収体が得られることを知見した。
【0007】
本発明は上記知見に基づきなされたもので、台紙と該台紙上に積繊されたパルプ繊維と該パルプ繊維上に重合された吸収紙とが所定の箇所で折曲されて、該折曲された部分が立体化している実質的に縦長の吸収性物品用吸収体を製造する方法であって、
台紙の連続体上にパルプ繊維を積繊してパルプ層連続体を形成するパルプ層連続体形成工程と、
上記パルプ層連続体を被覆するように吸収紙の連続体を該パルプ層連続体上に重合する吸収紙重合工程と、
上記台紙の連続体、パルプ層連続体および吸収紙の連続体を所定の形状にトリミングして折曲前駆体を形成すると共に該折曲前駆体の所定の位置に折曲基線を形成する折曲前駆体形成工程と、
上記折曲前駆体を上記折曲基線の位置で折り曲げて、下層吸収部および該下層吸収部と該折曲基線において連設し且つ該下層吸収部上に形成された上層吸収部を有する吸収体を形成する折曲工程とを具備することを特徴とする吸収性物品用吸収体の製造方法を提供することにより上記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明は、上記吸収性物品用吸収体の製造方法に用いられる好ましい装置として、台紙と該台紙上に積繊されたパルプ繊維と該パルプ繊維上に重合された吸収紙とが所定の箇所で折曲されて、該折曲された部分が立体化している実質的に縦長の吸収性物品用吸収体の製造装置であって、
台紙の連続体上にパルプ繊維を積繊してパルプ層連続体を形成する積繊装置と、
上記パルプ層連続体を被覆するように吸収紙の連続体を該パルプ層連続体上に重合する吸収紙重合部と、
上記台紙の連続体、パルプ層連続体および吸収紙の連続体を所定の形状にトリミングして折曲前駆体を形成すると共に該折曲前駆体の所定の位置に幅方向に亘って折曲基線を形成するカッターと、
上記折曲前駆体を上記カッターから転移させるサクション搬送ベルトと、
上記サクション搬送ベルトと同一線上に所定の間隔をおいて設けられ且つ該サクション搬送ベルトと逆向きに回転する第2搬送ベルトと、
上記サクション搬送ベルトによって搬送されてくる上記折曲前駆体における折曲基線が両ベルト間に達したときに、該折曲基線の位置で該折曲前駆体を折り曲げて、互いに平行に走行する両ベルト間に該折曲前駆体を押し込む折曲手段とを具備することを特徴とする吸収性物品用吸収体の製造装置を提供するものである。
【0009】
更に、本発明は、少なくとも液透過性の表面シート及び液保持性の吸収体を有する吸収性物品において、
上記吸収体は、実質的に縦長であり、下層吸収部と、該下層吸収部の上に形成され且つ該下層吸収部よりも面積が小さく、上記表面シート側に配される上層吸収部とを有しており、
上記下層吸収部および上層吸収部は、パルプ繊維を主体とし、実質的に縦長であり且つ所定の位置に幅方向に亘って折曲基線が形成されている折曲前駆体が、該折曲基線で折曲されてそれぞれ形成されていると共に該折曲基線において互いに連設しており、該下層吸収部および上層吸収部が連設している連設部が上記吸収体における幅方向一端縁を形成しており、
上記上層吸収部が、平面視して三角形の形状をしているか、又は棒状の形状をしていることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の吸収性物品用吸収体の製造方法の好ましい実施形態を、生理用ナプキンの吸収体の製造方法を例にとり、図面を参照して説明する。ここで、図1は、生理用ナプキンの吸収体の製造に好適に用いられる装置を示す模式図であり、図2は折曲前駆体の平面図であり、図3(a)は吸収体の平面図であり、図3(b)は吸収体の側面図である。
【0011】
先ず、本発明の吸収性物品用吸収体の製造方法によって製造される吸収体について図3を参照して説明する。
【0012】
図3(a)及び図3(b)に示すように、吸収体1は、液保持性で、実質的に縦長であり、下層吸収部2および上層吸収部3から構成されており、それぞれの吸収部2,3は、パルプ繊維を主体とする層2’又は3’と台紙4と吸収紙6とからなっている。該下層吸収部2は、平面視して、実質的に縦長の舌片状の形状をしており、この形状が吸収体1の全体形状をなしている。また、該上層吸収部3は、該下層吸収部2よりも面積が小さく、平面視して、先細の三角形の形状をしており、該下層吸収部2上に形成されている。上記吸収体1は、前方部1a及び後方部1bに区分されており、該後方部1bに該上層吸収部3が形成されている。該後方部1bは、該吸収体1を具備する生理用ナプキンが装着された場合に、着用者の臀部付近に当接する部分となる。即ち、上記吸収体1においては、着用者の臀部付近に位置する部分が立体化されており、いわゆる後漏れが効果的に防止されるようになされている。
【0013】
上記下層吸収部2と上層吸収部3とは、上述の通りパルプ繊維を主体に積層して形成されたパルプの層2’又は3’、台紙4および吸収紙6からなる実質的に縦長の折曲前駆体(後述する)から一体的に形成されている。そして、該下層吸収部2および上層吸収部3は、該折曲前駆体の所定の位置に且つその幅方向に亘って形成された曲線状の折曲基線5の位置で、上記台紙4が内側となるように折り曲げられることによって、それぞれ形成されている。そして、該下層吸収部2と上層吸収部3とは、該折曲基線5において互いに連設しており、該下層吸収部2と上層吸収部3とが連設している連設部、即ち、該折曲基線5は上記吸収体1における幅方向後端縁を形成している。このように、上記吸収体1においては、上記下層吸収部2と上記上層吸収部3とが、上記折曲基線5において連設しているので、該吸収体1および液透過性の表面シートを少なくとも有する生理用ナプキン(吸収性物品)においては、吸収部を単に二段に積層している吸収体を有する生理用ナプキンとは異なり、着用者の動きによって該上層吸収部3が前後左右にずれることが防止される。その結果、液漏れ防止の効果の高い生理用ナプキン(吸収性物品)を得ることができる。
尚、上記台紙4は、ティッシュペーパー等の吸収性を有する薄手の紙等から構成されており、上記吸収紙6は、台紙4と同様の材料から構成されているか、又は吸収性を有する二枚の紙の間に高吸収性ポリマー粒子の層が挟持されてなるもの等から構成されている。
【0014】
次に、本発明の吸収性物品用吸収体の製造方法に好適に用いられる装置を図1に参照して説明する。
図1に示す装置10は、積繊装置20、吸収紙重合部25、カッター30、アンビルロール40、サクション搬送ベルト50、第2搬送ベルト60および折曲手段70を具備している。
【0015】
上記積繊装置20は、その上部から供給されるパルプ繊維を解繊し且つ均一に積繊させる機構を有するものである。該積繊装置20の下方は、一部に空気取入口20bが形成されている壁部材20aでチャンバー状に覆われており、解繊されたパルプ繊維が飛散しないようになされている。また、該積繊装置20はサクションボックス20cを備えており、パルプ繊維をエアで吸引することによって積繊されたパルプ繊維の保形性を高め得るようになされている。
【0016】
上記吸収紙重合部25は、ロール15から巻き出された吸収紙の連続体16を、パルプ層連続体(後述する)が被覆されるように、該パルプ層連続体上に重合させるためのものである。
【0017】
上記カッター30は、ロータリー・ダイ・カッターとして知られている回転式のカッターであり、台紙の連続体、パルプ層連続体および吸収紙の連続体を所定の間隔で且つ所定の形状でトリミングして折曲前駆体(後述する)を形成すると共に該折曲前駆体における所定の位置に折曲基線(後述する)を形成し得るようになされている。尚、トリミングによって発生した片部は、ロータリー・ダイ・カッター上に設置されている吸引ダクト30aを通じて回収され、再利用に供される。
【0018】
上記アンビルロール40は、上記カッター30によるトリミングによって形成された折曲前駆体(後述する)を転移・保持し得るようになされている。具体的には、該アンビルロール40の周面には吸引口が配されており、該吸引口を通して外部から内部へ向かってエアが吸引されるようになされている。その結果、トリミングによって形成された折曲前駆体は搬送ラインから外れることなく該アンビルロール40に円滑に転移・保持される。
【0019】
上記サクション搬送ベルト50は、上記アンビルロール40に転移した折曲前駆体を再度転移させて、後述する折曲手段70へ搬送し得るようになされている。具体的には、該サクション搬送ベルト50は、メッシュベルト51及びサクションボックス52を備えている。該メッシュベルト51は、ローラー53,54によってガイドされており、上記アンビルロール40の回転方向と同方向に走行するようになされている。該ローラー54は、折曲前駆体を折り曲げる位置に配されている。該メッシュベルト51は、該ローラー54にガイドされることによって、第2搬送ベルト60(後述する)と同方向に且つ平行に走行するようになされている。また、該サクションボックス52は、該メッシュメルト51を介して該アンビルロール40と対向する位置に配されていると共に該メッシュベルト51を通して外部から内部へ向かってエアが吸引されるようになされている。その結果、該アンビルロール40の周面上に保持されている折曲前駆体は該メッシュメルト51上に円滑に転移される。
【0020】
上記第2搬送ベルト60は、上記アンビルロール40から上記サクション搬送ベルト50に転移した折曲前駆体の進行方向と同一線上に所定の間隔をおいて設けられ且つ該サクション搬送ベルト50と逆向きに回転するようになされている。該第2搬送ベルト60は、折曲前駆体を折り曲げる位置においてローラー61にガイドされることによって、上記メッシュベルト51と同方向に且つ平行に走行するようになされている。また、上記第2搬送ベルト60における上記ローラー61付近には、折曲前駆体が該第2搬送ベルト60に移って行ったときに、該第2搬送ベルト60との間での摩擦を軽減させるための受け板62が配されている。更に、該受け板62に隣接して止め板63が配されており、折曲前駆体が第2搬送ベルト60へ転移し過ぎることを防止している。尚、図1においては受け板62と止め板63とは別体として表されているが、これらは一体物となっていてもよい。
【0021】
上記折曲手段70は、上記サクション搬送ベルト50によって搬送されてくる折曲前駆体における折曲基線が両ベルト50,60間に達したときに、該折曲基線の位置で折曲前駆体を折り曲げて、互いに同方向に且つ平行に走行する両ベルト50,60間に折曲前駆体を押し込むようになされている。該折曲手段70は、直線方向に移動可能になされている突き押しレバー71を備えており、該突き押しレバー71が折曲前駆体を折曲基線の位置で突き押して両ベルト50,60間に押し込むことによって、該折曲前駆体が折り曲げられる。
【0022】
次に、上記装置10を用いた本実施形態の吸収体の製造方法について説明する。
本実施形態の吸収体の製造方法は、下記の工程(イ)〜(ニ)を具備しており、図1に示す装置10を用いて行われる。
(イ)パルプ層連続体形成工程
(ロ)吸収紙重合工程
(ハ)折曲前駆体形成工程
(ニ)折曲工程
以下、これらの工程についてそれぞれ説明する。
【0023】
(イ)パルプ層連続体形成工程
図1に示す装置10において、台紙の連続体7は、ロール11から巻き出され、積繊装置20内へ導入される。該積繊装置20内においては、該積繊装置20の下部を通過する上記台紙の連続体7上に、パルプ繊維が均一に積繊されるようになされている。その結果、該台紙の連続体7上には、略均一な厚み及び坪量を有するパルプ層連続体13が形成される。この場合、該パルプ層連続体13の坪量は、得られる吸収体の用途等にもよるが一般に100〜500g/m2 程度である。
【0024】
上記積繊装置20に供給されるパルプ繊維は、得られる吸収体の用途等にもよるが、一般にパルプ繊維のみから成るか、又はパルプ繊維と高吸収性ポリマー粒子との混合物から構成されている。
【0025】
(ロ)吸収紙重合工程
上記パルプ層連続体13上には、ロール15から巻き出された吸収紙の連続体16が重合される。吸収紙の連続体16の幅は、パルプ層連続体13の幅と同じか又はそれよりも広くなされている。即ち、吸収紙の連続体16はパルプ層連続体13の全面を被覆するように該パルプ層連続体13上に重合される。
【0026】
(ハ)折曲前駆体形成工程
上記台紙の連続体7、パルプ層連続体13および吸収紙の連続体16は、図1に示すカッター30によってトリミングされ、このトリミングにより図2に示す形状の折曲前駆体8が得られる。その結果、該折曲前駆体8は、上記台紙の連続体7がトリミングされて形成された台紙と、上記パルプ層連続体13がトリミングされて形成されたパルプの層と、吸収紙の連続体16がトリミングされて形成された吸収紙とがこの順に積層されて構成されることになる。また、該折曲前駆体8は、図2示すように、舌片状の本体8aと先細の三角形状の折り返し部8bとから一体的に構成されており、両者は本体8aの長手方向一端縁に形成されている曲線状の折曲基線5において連設している。該折曲基線5において折曲前駆体8を折り曲げることによって、後述するように、上記本体8aは吸収体1における下層吸収部2となると共に上記折り返し部8bは上層吸収部3となる(図3参照)。
【0027】
上記折曲基線5は、該折曲前駆体8の幅方向に亘って、トリミングと同時に形成されるものであり、該折り返し部8bを該本体上に折り返し易くするために用いられている。該折曲基線5の具体例としては、ハーフカット、ミシン目、圧縮溝等が挙げられる。
【0028】
(ニ)折曲工程
上記折曲前駆体形成工程によって形成された個々の折曲前駆体8はフリーの状態にあるので、搬送が不安定になる場合があることから、図1に示すように、一旦上記アンビルロール40上に転送・保持された後、上記サクション搬送ベルト50上へ再度転送されて、図1に示す折曲手段70へと搬送される。
【0029】
上記サクション搬送ベルト50によって搬送されてきた折曲前駆体8は、図1に示すように、第2搬送ベルト60に設けられた止め板63に当接してそれ以上の搬送が行われなくなる。尚、該止め板63は、折曲前駆体8が該止め板63に当接したときに、該折曲前駆体8における折曲基線5が、該サクション搬送ベルト50と該第2搬送ベルト60とのちょうど間に位置するような場所に配置されている。
【0030】
次いで、折曲前駆体8が上記止め板63に当接したのと同期して、図1に示す折曲手段70における突き押しレバー71が、図中矢印Aで示される方向に直線運動し、折曲前駆体8をその折曲基線5の位置において突き押して、サクション搬送ベルト50と第2搬送ベルト60との間に押し込む。この押し込みよって、該折曲前駆体8は、その折曲基線5の位置において2つ折りに折り曲げられる。この折り曲げによって、該折曲前駆体8における本体8aは、図3に示す吸収体1における下層吸収部2となると共に折り返し部8bは上層吸収部3となり、目的とする吸収体1が得られる。
【0031】
このようにして製造された吸収体1には、後工程において、上層吸収部3側に液透過性の表面シートが供給されると共に下層吸収部2側に液不透過性の裏面シートが供給されて該表面シートと該裏面シートとがヒートシール等によって接合され、更に該接合された部分がトリミングされることによって生理用ナプキン(吸収性物品)が製造される。
【0032】
次に、本発明の吸収性物品用吸収体の製造方法の第二および第三の実施形態について図4〜図8を参照して説明する。ここで、図4(a)は、第二の実施形態に用いられる積繊装置を示す模式図であり、図4(b)は、図4(a)のAの位置におけるパルプ繊維の積繊状態を示す平面図であり、図5は、第二の実施形態において製造される折曲前駆体の側面図であり、図6は、第二の実施形態において製造される吸収体の側面図〔図3(b)相当図〕であり、図7は、第三の実施形態において製造される折曲前駆体の平面図(図2相当図)であり、図8(a)は第三の実施形態において製造される吸収体の平面図〔図3(a)相当図〕であり、図8(b)は、第三の実施形態において製造される吸収体の側面図〔図3(b)相当図〕である。尚、本実施形態においては、上述の実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点については上述の実施形態において詳述した説明が適宜適用される。また、図4〜図8において、図1〜図3と同じ部材には同じ符号を付してある。
【0033】
第二の実施形態においては、折曲前駆体8における上層吸収部3となるべき部分の坪量が、下層吸収部2となるべき部分の坪量よりも大きくなるようにパルプ繊維を積繊する。更に詳細には、図4(a)に示すように、積繊装置20を用いたパルプ連続体形成工程において、台紙の連続体7上に略均一な厚み及び坪量を有するパルプ層連続体13を形成し、引き続き、該パルプ層連続体13上に所定間隔をおいてパルプ繊維を間欠的に積繊して第2パルプ層14を形成する〔図4(b)参照〕。該第2パルプ層14の形成には、該積繊装置20に併設されているケージロール21が用いられる。該ケージロール21は、その周面に所定間隔をおいて所定形状(本実施形態においては矩形状)の凹部22が複数個設けられている。該凹部22の形状は、形成される第2パルプ層14の形状に対応しており、また、該凹部22の間隔は、形成される第2パルプ層14の間隔に対応している。該ケージロール21は、台紙の連続体7の進行方向と同方向に回転しており、その下端が上記パルプ層連続体13に略当接するような位置に設置されている。該ケージロール21における凹部22の底部はメッシュ状であり、上記積繊装置20内を落下してきたパルプ繊維が該凹部22内に堆積するときには、該メッシュを介して外部から内部に向かってエアが吸引されるようになされており、ケージロール21の回転中に該凹部22内に堆積したパルプ繊維が落下しないようになされている。そして、ケージロール21の回転によって該凹部22がケージロール21の最下部に達したときには、該メッシュを介して内部から外部に向かってエアが吹き出されるようになされており、該凹部22内に堆積したパルプ繊維が上記パルプ層連続体13上に円滑に転移して、上記第2パルプ層14が形成されるようになされている。
【0034】
このようにして得られたパルプ層連続体13と第2パルプ層14との積層体上に吸収紙の連続体が供給・重合され、これらはカッター30(図1参照)において、パルプ層連続体13と第2パルプ層14との間で規則的に切断されると共にトリミングされて折曲前駆体が得られる。その結果、図5に示すように、台紙4、第1パルプ層15及び吸収紙6がこの順に積層されて形成された本体8a’と、台紙4、第1パルプ層15、第2パルプ層14及び吸収紙6がこの順に積層されて形成された折り返し部8b’とからなる折曲前駆体8が得られる。また、該折曲前駆体8においては、折曲基線5は、図5に示すように、本体8a’と折り返し部8b’との連設部に形成されている。
【0035】
次いで、得られた折曲前駆体8は折曲基線5の位置で台紙4側に折り曲げられて、図6に示すように、下層吸収部2および該下層吸収部2と該折曲基線5において連設し且つ該下層吸収部2上に形成された上層吸収部3を具備する吸収体1が得られる。その結果、該上層吸収部3の坪量は、該下層吸収部2の坪量よりも大きくなる。このようにして得られた吸収体1は、パルプの層が3層に積層されているので、高度に立体化しており、着用者の身体へのフィット性が一層向上し、液漏れ防止効果が一層高くなる。
【0036】
第三の実施形態においては、図7に示すように、折曲前駆体8は、舌片状の本体8a”と、第1括れ部9a及び第2括れ部9bを有する棒状の折り返し部8b”とから一体的に構成されており、両者は本体8a”の長手方向一端縁に形成されている曲線状の折曲基線5において連設している。この折曲前駆体8を台紙4側へ折り曲げて得られる吸収体1は、図8(a)及び(b)に示すように、上層吸収部3が折曲基線5から吸収体1の前端部1f近傍まで延在しており、上記第1括れ部9aが着用者の***部位付近に当接して、***物の吸収が直接可能になされていると共に上記第2括れ部9bが臀部付近に当接して、着用者の***部位から臀部へ向かって流下してくる***物の吸収が可能になされている。その結果、多量の***物が***された場合や長時間(特に就寝中)ナプキンを装着するような場合であっても、液漏れが効果的に防止される。
【0037】
以上、本発明の吸収性物品用吸収体の製造方法および装置を、その好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、折曲前駆体8を台紙4の側に折り曲げて吸収体1を製造したが、これに代えて、折曲前駆体8を吸収紙6の側に折り曲げて吸収体を製造してもよい。
また、上記実施形態においては、折曲前駆体8における折り返し部8bは一箇所であったが、これに代えて2箇所以上の折り返し部を設けることによって更に複雑な立体形状の吸収体となしてもよい。
また、上記実施形態においては、折曲基線を折曲前駆体の幅方向に亘って形成したが、これに代えて折曲前駆体の長手方向に亘って形成してもよい。
また、上記実施形態においては、生理用ナプキン用の吸収体の製造方法を例にとり説明したが、本発明は、他の吸収性物品、例えば使い捨ておむつや母乳パッド、失禁パッド用の吸収体の製造方法にも適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、本発明の吸収性物品用吸収体の製造方法によれば、吸収性を向上させたい部分を容易に立体化することができ、液漏れ防止性や吸収性に優れた吸収体を容易に製造することができる。また、立体化させたい部分の形状も容易に変更することができる。
また、工程が簡潔であるので、高速生産が容易可能である。
更に、吸収体の構成部材の点数が少なく、安価に且つ容易に製造することができる。
更に、本発明の製造方法によって製造された吸収体を具備する吸収性物品においては、立体化された吸収体が着用者の身体に密着して液漏れが効果的に防止されると共に上層吸収部が前後左右にずれることが防止されて液漏れ防止効果が一層高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】生理用ナプキンの吸収体の製造に好適に用いられる装置を示す模式図である。
【図2】折曲前駆体の平面図である。
【図3】図3(a)は吸収体の平面図であり、図3(b)は吸収体の側面図である。
【図4】図4(a)は、第二の実施形態に用いられる積繊装置を示す模式図であり、図4(b)は、図4(a)のAの位置におけるパルプ繊維の積繊状態を示す平面図である。
【図5】第二の実施形態において製造される折曲前駆体の側面図である。
【図6】第二の実施形態において製造される吸収体の側面図〔図3(b)相当図〕である。
【図7】第三の実施形態において製造される折曲前駆体の平面図(図2相当図)である。
【図8】図8(a)は第三の実施形態において製造される吸収体の平面図〔図3(a)相当図〕であり、図8(b)は、第三の実施形態において製造される吸収体の側面図〔図3(b)相当図〕である。
【符号の説明】
1 吸収体
2 下層吸収部
3 上層吸収部
4 台紙
5 折曲基線
6 吸収紙
8 折曲前駆体
10 製造装置
13 パルプ層連続体
20 積繊装置
25 吸収紙重合部
30 カッター
40 アンビルロール
50 サクション搬送ベルト
60 第2搬送ベルト
70 折曲手段
71 突き押しレバー
Claims (8)
- 台紙と該台紙上に積繊されたパルプ繊維と該パルプ繊維上に重合された吸収紙とが所定の箇所で折曲されて、該折曲された部分が立体化している実質的に縦長の吸収性物品用吸収体を製造する方法であって、
台紙の連続体上にパルプ繊維を積繊してパルプ層連続体を形成するパルプ層連続体形成工程と、
上記パルプ層連続体を被覆するように吸収紙の連続体を該パルプ層連続体上に重合する吸収紙重合工程と、
上記台紙の連続体、パルプ層連続体および吸収紙の連続体を所定の形状にトリミングして折曲前駆体を形成すると共に該折曲前駆体の所定の位置に折曲基線を形成する折曲前駆体形成工程と、
上記折曲前駆体を上記折曲基線の位置で折り曲げて、下層吸収部および該下層吸収部と該折曲基線において連設し且つ該下層吸収部上に形成された上層吸収部を有する吸収体を形成する折曲工程とを具備することを特徴とする吸収性物品用吸収体の製造方法。 - 上記折曲基線が上記折曲前駆体の幅方向に亘って形成されている、請求項1記載の吸収性物品用吸収体の製造方法。
- 上記パルプ層連続体形成工程において、上記折曲前駆体における上記上層吸収部となるべき部分の坪量が、上記下層吸収部となるべき部分の坪量よりも大きくなるようにパルプ繊維を積繊する、請求項1又は2記載の吸収性物品用吸収体の製造方法。
- ケージロールを用いて、上記上層吸収部となるべき部分の坪量が、上記下層吸収部となるべき部分の坪量よりも大きくなるようにパルプ繊維を積繊する、請求項3記載の吸収性物品用吸収体の製造方法。
- 台紙と該台紙上に積繊されたパルプ繊維と該パルプ繊維上に重合された吸収紙とが所定の箇所で折曲されて、該折曲された部分が立体化している実質的に縦長の吸収性物品用吸収体の製造装置であって、
台紙の連続体上にパルプ繊維を積繊してパルプ層連続体を形成する積繊装置と、
上記パルプ層連続体を被覆するように吸収紙の連続体を該パルプ層連続体上に重合する吸収紙重合部と、
上記台紙の連続体、パルプ層連続体および吸収紙の連続体を所定の形状にトリミングして折曲前駆体を形成すると共に該折曲前駆体の所定の位置に幅方向に亘って折曲基線を形成するカッターと、
上記折曲前駆体を上記カッターから転移させるサクション搬送ベルトと、
上記サクション搬送ベルトと同一線上に所定の間隔をおいて設けられ且つ該サクション搬送ベルトと逆向きに回転する第2搬送ベルトと、
上記サクション搬送ベルトによって搬送されてくる上記折曲前駆体における折曲基線が両ベルト間に達したときに、該折曲基線の位置で該折曲前駆体を折り曲げて、互いに平行に走行する両ベルト間に該折曲前駆体を押し込む折曲手段とを具備することを特徴とする吸収性物品用吸収体の製造装置。 - 少なくとも液透過性の表面シート及び液保持性の吸収体を有する吸収性物品において、
上記吸収体は、実質的に縦長であり、下層吸収部と、該下層吸収部の上に形成され且つ該下層吸収部よりも面積が小さく、上記表面シート側に配される上層吸収部とを有しており、
上記下層吸収部および上層吸収部は、パルプ繊維を主体とし、実質的に縦長であり且つ所定の位置に幅方向に亘って折曲基線が形成されている折曲前駆体が、該折曲基線で折曲されてそれぞれ形成されていると共に該折曲基線において互いに連設しており、該下層吸収部および上層吸収部が連設している連設部が上記吸収体における幅方向一端縁を形成しており、
上記上層吸収部が、平面視して三角形の形状をしているか、又は棒状の形状をしていることを特徴とする吸収性物品。 - 上記上層吸収部の坪量が、上記下層吸収部の坪量よりも大きい、請求項6記載の吸収性物品。
- 三角形の形状を有する上記上層吸収部が、上記吸収体における後方部に形成されているか、又は
棒状の形状を有する上記上層吸収部が第1括れ部及び第2括れ部を有し、また上記折曲基線から上記吸収体の前端部近傍まで延在しており、上記第1括れ部が着用者の***部位付近に当接し且つ上記第2括れ部が着用者の臀部付近に当接する位置に設けられている請求項6記載の吸収性物品。
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