JP3932981B2 - エレクトレット加工品の製造方法及び装置 - Google Patents

エレクトレット加工品の製造方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエレクトレット加工品の製造方法及び装置に関し、さらに詳しくは、高品質のエレクトレット加工品を低コストで生産可能にするエレクトレット加工品の製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エレクトレット加工された繊維シートは、低圧損の優れた性能を有するエアフィルター用材料として使用されている。このエレクトレット化繊維シートの製造方法としては、合成繊維不織布等の繊維シートに高電圧を印加し、コロナ放電によりエレクトレット化する方法(特開昭61−102476号公報等参照)や、フィルムシートにワイヤ電極により高電圧を印加し、同じくコロナ放電によりエレクトレット化した後、そのフィルムシートを繊維化して不織布にする方法(特公昭57−14467号公報等参照)などが知られている。
【0003】
しかし、コロナ放電によるエレクトレット化方法は、アース電極の上に高分子材料シートを裁置するか又は移動させながら、その表面に針状或いはワイヤー電極から高電圧を印加することにより、コロナ放電によりエレクトレット化するものであるため、高電圧印加電極とアース電極の間隙精度等によりムラを生じやすく、エレクトレット化シートに荷電ムラが出来たり、また火花放電によりシートが損傷するなどの問題があった。
【0004】
さらに、一般に高電圧設備は高価である上に、安全維持管理のために費用がかかるため、コスト高になるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の諸問題を解消し、高品質、高性能のエレクトレット加工品を低コストで生産可能にするエレクトレット加工品の製造方法及び装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明のエレクトレット加工品の製造方法は、非導電性繊維シートを走行させながら該シートにスリット状の吸引ノズルをシート幅方向に横切るように接触させると共に、該接触部の反対側のシート面を水面に接触又は浸漬させ、該吸引ノズルから水をシート厚さ方向に貫通するように吸引して該非導電性繊維シート内に水を浸透させ、次いで該非導電性繊維シートを乾燥することを特徴とするものである。
【0007】
このように非導電性繊維シートを走行させながら、そのシートにスリット状の吸引ノズルを接触させ、その接触部の反対側のシート面を水面に接触又は浸漬させて、吸引ノズルから水を吸引することにより、水をシート厚さ方向に貫通するように移動させるため、シート内部の厚さ方向全体に水を浸透させることができる。しかも、吸引ノズルをシート幅方向を横切るように配置し、かつシートを走行させながら吸引を行うから、上記シート厚さ方向全体の水の浸透作用をシート全面に満遍なく行き渡らせる。したがって、このシートを乾燥すると、シート全面に電荷が均一かつ高密度に帯電したエレクトレット化シートを得ることができる。
【0008】
また、上記浸透作用は、スリット状の吸引ノズルを非導電性繊維シートに接触させた箇所だけで局部的な水の吸引操作だけでよいため、小さな水槽で達成することができ、大型水槽は不要になる。したがって、製造装置を可及的にコンパクトにすることができ、また従来の高電圧発生設備が不要であるため安全且つ低コストにすることができる。
【0009】
また、本発明のエレクトレット加工品の製造装置は、非導電性繊維シートを製造する製布手段と、該非導電性繊維シートにスリット状の吸引ノズルをシート幅方向に横切るように接触させると共に、該接触部分の反対側のシート面を水面に接触又は浸漬させ、かつ該吸引ノズルから水を吸引する非導電性繊維シートに対する水の浸透手段と、該非導電性繊維シートを乾燥する乾燥手段とを連続配置した構成を特徴とし、コンパクトな構成で高品質、高性能のエレクトレット加工品を製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する非導電性繊維シートは、非導電性の繊維材料からなるシートであれば特に限定されない。例えば、合成繊維或いは天然繊維の織物、編み物、不織布等の繊維シートを挙げることができる。中でも特に合成繊維シートが好ましく、特にメルトブロー不織布やスパンボンド不織布が好ましい。また、エアフィルター用の場合には、合成繊維不織布が好ましく、中でも高性能フィルター用にはメルトブロー不織布が好ましい。
【0011】
また、本発明に使用する非導電性繊維シートは、プラスチックフィルムをフィブリル化することにより繊維化したシートであってもよい。
【0012】
非導電性繊維シートの素材は、非導電性を有する材料であれば特に限定されるものではない。好ましくは、体積抵抗率が1012・Ω・cm以上、さらに好ましくは1014・Ω・cm以上の素材を主体とするものを使用するとよい。
【0013】
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、フッ素系樹脂、およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの中でも、ポリオレフィンまたはポリ乳酸を主体とするものはエレクトレット性能の点から好ましい。さらにポリオレフィンでは、ポリプロピレンを主体とするものが一層好ましい。
【0014】
本発明に使用する非導電性繊維シートには、ヒンダードアミン系添加剤又はトリアジン系添加剤を少なくとも1種配合することが好ましい。この添加剤を非導電性繊維シートに含有させることにより、特に高いエレクトレット性能を保持させることが可能になるからである。
【0015】
上記2種類の添加剤のうちヒンダードアミン系添加剤としては、ポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)〕(チバガイギー製、キマソープ944LD)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(チバガイギー製、チヌピン622LD)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(チバガイギー製、チヌピン144)などが挙げられる。
【0016】
また、トリアジン系添加剤としては、前述のポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)〕(チバガイギー製、キマソープ944LD)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール(チバガイギー製、チヌピン1577FF)などを挙げることができる。これらのなかでも特にヒンダードアミン系添加剤を使用することが好ましい。
【0017】
非導電性繊維シートには、上記添加剤の他に、熱安定剤、耐候剤、重合禁止剤等の一般にエレクトレット加工品の非導電性繊維シートに使用されている公知の添加剤を添加するようにしてもよい。
【0018】
上記ヒンダードアミン系添加剤又はトリアジン系添加剤の添加量としては、特に限定されないが、好ましくは0.5〜5重量%の範囲にするとよく、更に好ましくは0.7〜3重量%の範囲にするとよい。添加量が0.5重量%未満では、目的とする高レベルのエレクトレット性能を得ることが難しくなる。また、5重量%を超えるほど多く配合すると製糸性や製膜性を悪くし、かつコスト的にも不利になるので好ましくない。
【0019】
本発明のエレクトレット加工品の製造方法は、非導電性繊維シートを走行させながら、そのシートにスリット状の吸引ノズルをシート幅方向に横切るように接触させ、かつこの接触部反対側のシート面を水面に接触させるか又は浸漬させ、その状態で吸引ノズルから水を吸引するようにする。吸引ノズルから水を吸引すると、吸引ノズルをシートに接触させた部分の反対側の水がシートを厚さ方向に貫通するように移動するため、水をシート内に厚さ方向全体に渡り浸透させることができる。しかも、吸引ノズルをシート幅方向に横切るように配置し、かつシートを走行させながら吸引するから、上記シート厚さ方向全体に水を浸透させた状態をシート全面に満遍なく行き渡らせることができる。したがって、このシートを乾燥すると、シート全面に電荷が均一かつ高密度に帯電したエレクトレット化シートになる。
【0020】
上記吸引ノズルを利用する浸透作用により、非導電性繊維シートに対する水の浸透率を500%以上にすることができる。また、浸透率の上限として1500%程度にも大きくすることができる。
【0021】
ここで非導電性繊維シートに対する水の浸透率とは、次の式で定義されたものをいう。
【0022】
P(%)=〔(Wo−W)/W〕×100
ただし、P;浸透率
Wo;水を浸透させた状態のシートの重量(g/m2
W;シートの目付(g/m2
また、非導電性繊維シートに対する上記水の浸透作用は、スリット状の吸引ノズルをシートに接触させた箇所だけで局部的に行うだけでよいから、水を供給する水槽は小さな容積のものでよく、大型水槽は不要になる。したがって、製造装置を可及的にコンパクトにすることができる。
【0023】
スリット状の吸引ノズルのスリット幅としては、0.1〜5mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜2mm、最も好ましくは0.3〜1.5mmの範囲である。このようなスリット幅のスリット状吸引ノズルを使用することにより、広幅の非導電性繊維シートであってもシート全体に水を均一な密度に浸透させることができるため低圧損、高捕集性であり、かつ表面毛羽もない良好な品質のエレクトレット加工品を得ることができる。
【0024】
スリット幅が0.1mmより小さいと吸引抵抗が高くなり、またスリット幅を加工する機械加工精度も悪くなり、均一な密度に水を浸透させることが難しくなる。また、5mmよりも広幅にした場合には、非導電性繊維シートの幅方向に対して均一に水を浸透させることが難しくなるばかりでなく、吸引力が低下するため、吸引ポンプを大型化しなければならなくなる不利がある。また、スリット幅が広幅であるため、吸引水とともに非導電性シートまでが吸引され、安定に加工することが困難になる。
【0025】
上記スリット状の吸引ノズルの非導電性繊維シートに対する配置は、シート幅方向に横切る配置になっていれば特に限定されないが、好ましくは走行方向(長手方向)に直交させることが、吸引ノズルの長さを短くできる点で好ましい。さらに好ましくは、シート幅方向の中央部において吸引作用が両耳部位置よりも早く行われるように、凸型に湾曲した形状の吸引スリットを配置することが好ましい。このような構成にすると皺も入ることなく、幅方向に均一な加工を実現することができる。
【0026】
本発明において、非導電性繊維シートに対する水の浸透率を一層向上させる方法としては、上記浸透工程と乾燥工程との間に脱水工程を介在させ、かつ浸透工程と脱水工程を2回以上繰り返すようにするとよい。このように浸透工程と脱水工程を2回以上繰り返してから乾燥工程を行うことにより、最終の浸透工程での浸透率を向上させ、一層高密度かつ均一に電荷を帯電させた高品質のエレクトレットシートを得ることができる。
【0027】
脱水手段としては特に限定されないが、例えばニップロール、吸水ロール、吸引ノズルによるサクション吸引等で行うことができる。この脱水工程は、上記のように浸透工程との交互繰り返しを2回以上行うことにより、最終の浸透工程での非導電性繊維シートに対する水の浸透効果を向上するのみならず、次の乾燥工程での乾燥効率を向上することにも有益である。
【0028】
非導電性繊維シートの乾燥方法は、従来公知の乾燥方法がいずれも使用可能である。例えば、熱風乾燥法、真空乾燥法、自然乾燥法等を適用することができる。なかでも熱風乾燥法は、連続処理を可能にするため好ましい。熱風乾燥法を採用する場合には、乾燥温度としてエレクトレットを失活させない程度の温度にする必要がある。
【0029】
非導電性繊維シートの乾燥は、非導電性繊維シートに含まれる水分が公定水分率に達するまで行う。乾燥温度は,好ましくは130℃以下がよく、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下にするのがよい。乾燥シートは、乾燥後はエレクトレット効果を失活させないないように、速やかに乾燥機内から排出させるのがよく、例えば、乾燥温度100℃以上では30分以内に排出させることが好ましい。
【0030】
本発明において、非導電性繊維シートに対する浸透処理に用いる水としては、液体フィルター等で汚れを除去したものであって、出来るだけ清浄なものを使用することが好ましい。特にイオン交換水、蒸留水、逆浸透膜で透過した濾過水等の純水が好ましい。また、純水としてのレベルは、導電率で103 μS/m以下が好ましく、さらに好ましくは102 μS/m以下であるものがよい。
【0031】
また、上記水には、水溶性有機溶剤を混合することで非導電性繊維シートに対する水の浸透性を一層向上することができる。この場合、水溶性有機溶剤の濃度としては通常20重量%以下が用いられる。水に混合する水溶性有機溶剤としては、沸点が水の沸点より低いものが好ましい。すなわち、水溶性有機溶剤は、水のシートへの浸透性を向上させるためのものであるので、一度シートに浸透したら、なるべく早く気化して乾燥することが好ましいからである。より好ましくは、水との沸点差が10℃以上低いものがよい。
【0032】
水溶性有機溶剤の種類は、混合溶液の非導電性繊維シートへの浸透性が良ければ特に限定されない。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン類のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、その他アルデヒド類、カルボン酸類等を挙げることができる。特に、浸透性の点からアルコール類またはケトン類が好ましく、特にアセトン、イソプロピルアルコール、エタノールのうちの少なくとも1種を用いるのが好ましい。さらに好ましくは、イソプロピルアルコールを主成分とするものが好ましい。
【0033】
図1(A),(B)は、本発明のエレクトレット加工品の製造工程を、非導電性繊維シートの製布からエレクトレットシートにするまでを連続工程で実施する場合を例示する。
【0034】
図1(A),(B)において、1は非導電性繊維シートSを製造する製布装置、2は非導電性繊維シートS内に水を浸透させる浸透装置、3は余剰の水をサクション吸引する脱水用吸引ノズル、4は乾燥装置である。
【0035】
製布装置1は、溶融ポリマーを紡糸孔から圧縮加熱空気の噴射流と共に極細の短繊維に紡出するメルトブロー紡糸機18を有し、その下方に、メルトブロー紡糸機18から紡出された繊維をシート状の非導電性繊維シートSとして捕集するネットコンベア19を装備するように構成されている。
【0036】
製布装置1の下流に続く浸透装置2は、水槽21とスリット状の吸引ノズル22を装備している。水槽21には供給管23から浸透用の水が供給され、水槽21内に一時的に貯留されたのち上縁から溢流槽24に溢流し、排水管25から排水される。排水された水は再使用してもよく、またシートが持ち出した分のみを供給する所謂液面コントロール方式を採用しもよいことはいうまでもない。
【0037】
製布装置1から連続的に供給された非導電性繊維シートSは、ガイドローラ26,26により片面(下面)を水槽21の水面に接触させながら走行し、その水面と接触する非導電性繊維シートSの上面側にスリット状の吸引ノズル22が当接している。
【0038】
吸引ノズル22は不図示の吸引ポンプに連結されており、かつ非導電性繊維シートSに対して幅方向に横切るように接している。このように非導電性繊維シートSの上面に接する吸引ノズル22は、吸引ポンプの吸引作用により非導電性繊維シートSの下面側に接する水を吸い上げる。水は非導電性繊維シートSを厚さ方向に貫通するように移動するため、シートS内の厚さ方向全体を水で満遍なく浸漬させる。
【0039】
また、吸引ノズル22は非導電性繊維シートSを幅方向に交差すると共に、その非導電性繊維シートSは長手方向に走行するので、上記シート厚さ方向の浸透作用がシート面全域にわたり隅々まで実施される。この吸引ノズル22が横切る形状としては、図示の例のように直線状に横切る形状のほか、上流側の中央部が凸となる傾針状、弓状、弧状などに横切る形状であってもよい。また、吸引ノズルのスリット幅としては0.1〜5mmの幅が好ましく、より好ましくは0.3〜2mm、最も好ましくは0.3〜1.5mmの範囲がよい。
【0040】
水が浸透状態になった非導電性繊維シートSは、予め吸引ノズル3のサクション作用により余剰の水を絞り出された後、乾燥装置4に移送される。乾燥装置4には複数のガイドローラ41がジグザグ状に内設され、供給口42から加熱空気が供給され、排気口43から排出されることにより内部が加熱状態になっている。したがって、乾燥装置4に移送された非導電性繊維シートSは、ガイドローラ41をジグザグ状に移動する間に乾燥され、エレクトレット化されたシートになって搬出され、ロール状に巻かれたエレクトレット化シート5になる。
【0041】
吸引ノズル22による水の浸透作用は、吸引ノズル22が非導電性繊維シートSの片面に接触し、その反対側のシート面が水に接触或いは浸漬することにより、吸引ノズル22に吸引される水が非導電性繊維シートSを厚さ方向に貫通する作用を行うようになっていればよい。図2の実施形態は、非導電性繊維シートSをガイドローラ26,26を押し下げることにより、水面より距離Dだけ浸漬させた状態にし、その浸漬したシートSの上面に吸引ノズル22を接触させるようにしたものである。この場合も、非導電性繊維シートSに対して図1の場合と同様にシート厚さ方向に水を浸透させることができる。しかし、水面からの非導電性繊維シートSの浸漬距離Dは、あまり深くなるとシート通しの作業性が悪くなり、装置も大型化するので、10〜500mmにすることが望ましい。さらに好ましくは50〜300mmであるのがよい。
【0042】
上記のように非導電性繊維シートSを水面内に浸漬させる場合には、吸引ノズル22が接触する位置を、図3の実施形態のように、非導電性繊維シートSの下面側から接触させるようにしてもよい。
【0043】
本発明では、非導電性繊維シートSに対する水の浸透作用を、吸引ノズル22が接触する部分だけで局所的に行うようにしているため、非導電性繊維シートSが水面と接触する距離或いは水面内に浸漬する距離としては、ガイドローラ26,26等の使用により必ずしも一定距離を確保する必要はない。したがって、図4の実施形態のように、非導電性繊維シートSを水面に接触させる距離を、吸引ノズル22が接触するスリット幅相当の部分だけにしたものであってもよい。このように、非導電性繊維シートSの水面への接触距離を短くしたことにより、浸透装置2内の水槽21を一層小さくコンパクトにすることができる。勿論、吸引ノズル22が接触する非導電性繊維シートSの部分を、図5のように水面内に浸漬させもよい。
【0044】
図3や図5のように、非導電性繊維シートSを水面から浸漬させる場合は、図2の場合と同様に、浸漬距離Dとしては10〜500mmとし、さらに好ましくは50〜300mmにするのがよい。
【0045】
【実施例】
以下に説明する実施例において使用する特性値は、次の測定法により測定したものである。
【0046】
〔捕集性能〕
図6に示す捕集性能測定装置で測定した。この捕集性能測定装置は、測定サンプルMをセットするサンプルホルダー11の上流側にダスト収納箱12を連結し、下流側に流量計13、流量調整バルブ14、ブロワ15を連結している。また、サンプルホルダー11にパーテクルカウンター16が設けられ、このパーテクルカウンター16を使用し、切替コック17を介して、測定サンプルMの上流側のダスト個数と下流側のダスト個数をそれぞれ測定することができる。
【0047】
捕集性能の測定に当たっては、径0.3μmのポリスチレン標準ラテックスパウダーをダスト収納箱12に充填し、サンプルMをホルダー11にセットし、風量をフィルター通過速度が1.5m/分になるように流量調整バルブ14で調整し、ダスト濃度を1万〜4万個/2.83×10-43 (0.01ft3 )の範囲で安定させ、サンプルMの上流のダスト個数Nおよび下流のダスト個数nをパーティクルカウンター16(リオン社製、KC−01B)で5回測定し、JIS K−0901に基づいて下記計算式にて捕集性能(%)を求めた。
【0048】
捕集性能(%)=〔1−(n/N)〕×100
ただし、n:下流のダスト個数
N:上流のダスト個数
〔平均繊維径〕
SEM写真により拡大した100本以上の繊維の径を測定し、その平均値を求めた。
【0049】
実施例1
図1の連続製造装置を使用し、また耐候剤としてトリアジン系添加剤(チバガイギー社製、キマソープ944)を1%含む、MI=700のポリプロピレンを原料として、メルトブロー法により目付40g/m2 、平均繊維径2.0μmのメルトブロー不織布を製造し、引き続き純水が供給される浸透装置に供給し、片面を水面に接触させると共に上面に吸引ノズルを接触させて吸引することにより水を浸透させ、最後に乾燥装置で乾燥して、エレクトレットメルトブロー不織布を製造した。
【0050】
得られたエレクトレットメルトブロー不織布の捕集性能を測定したところ、99.99%であった。
【0051】
比較例1
実施例1と同じメルトブロー不織布を用い、純水中に1分間浸漬した後、水切りして乾燥した。処理後の不織布の捕集性能を測定したところ、59.7%であり、実施例1のエレクトレットメルトブロー不織布に比べて著しく低いものであった。
【0052】
比較例2
実施例1と同じメルトブロー不織布を水の浸透処理及び乾燥処理をすることなく、そのまま捕集性能を測定したところ、57.5%と低いものであった。
【0053】
実施例2
実施例1と同様の設備を使用し、浸漬深さDを200mmに設定した。また、耐候剤としてトリアジン系添加剤(チバガイギー社製 "キマソープ944”)1%を含むM1 =900のポリプロピレンを原料として、メルトブロー法により目付40g/m2 、平均繊維径2.2μmのメルトブロー不織布を製造し、引続き純水が供給される浸漬装置に供給し、水中に浸漬した状態で吸引ノズル(スリット幅0.5mm)で吸引しながら水を浸透させ、脱水ののち乾燥装置で乾燥することによりエレクトレットメルトブロー不織布を製造した。
【0054】
得られたエレクトレットメルトブロー不織布の捕集性能を測定したところ、99.999%と高い性能を示した。
【0055】
実施例3
原料がポリ乳酸(数平均分子量66,100、重量均分子量120,000)である以外は、実施例2に準じてメルトブロー法で目付が40g/m2 、平均繊維径3.5μmのメルトブロー不織布を製造し、引続き浸漬装置と乾燥装置で処理することによりエレクトレットメルトブロー不織布を製造した。
【0056】
得られた不織布の捕集性能を測定したところ、99.99%と高い性能を示した。
【0057】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、非導電性繊維シートを走行させながら、そのシートにスリット状の吸引ノズルを接触させ、その接触部の反対側のシート面を水面に接触又は浸漬させて、吸引ノズルから水を吸引することにより、水をシート厚さ方向に貫通するように移動させるため、シート内部の厚さ方向全体に水を浸透させることができる。しかも、吸引ノズルをシート幅方向を横切るように配置し、かつシートを走行させながら吸引を行うから、上記シート厚さ方向全体の水の浸透作用をシート全面に満遍なく行き渡らせる。したがって、このシートを乾燥すると、シート全面に電荷が均一かつ高密度に帯電したエレクトレット化シートを得ることができる。
【0058】
また、上記浸透作用は、スリット状の吸引ノズルを非導電性繊維シートに接触させた箇所だけで局部的な水の吸引操作だけでよいため、小さな水槽で達成することができ、大型水槽は不要になる。したがって、製造装置を可及的にコンパクトにすることができ、また従来の高電圧発生設備が不要であるため安全且つ低コストにすることができる。
【0059】
また、本発明の製造方法では、水を吸引するようにしているため,水を噴射するやり方に比較して繊維シートに与える物理的衝撃も小さく、毛羽立ちなどによる繊維シートの品位を損なうこともほとんどなく、その繊維シートの物理的性状をそのまま活かすことができる。このことは本発明の製造方法により得られたエレクトレット化繊維シートをフィルター基材などに使用するときに非常に好ましいことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B)は、本発明のエレクトレット加工品の製造工程を示す概略側面図及び平面図である。
【図2】本発明に使用される浸透装置の他の実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明に使用される浸透装置の更に他の実施形態を示す概略図である。
【図4】本発明に使用される浸透装置の更に他の実施形態を示す概略図である。
【図5】本発明に使用される浸透装置の更に他の実施形態を示す概略図である。
【図6】本発明の実施例で用いた捕集性能測定装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 非導電性繊維シートの製布装置
18 メルトブロー紡糸機
19 ネットコンベア
2 浸透装置
21 水槽
22 吸引ノズル
3 脱水用吸引ノズル
4 乾燥装置
5 エレクトレット化シート
S 非導電性繊維シート

Claims (17)

  1. 非導電性繊維シートを走行させながら該シートにスリット状の吸引ノズルをシート幅方向に横切るように接触させると共に、該接触部反対側のシート面を水面に接触又は浸漬させ、該吸引ノズルから水をシート厚さ方向に貫通するように吸引して該非導電性繊維シート内に水を浸透させ、次いで該非導電性繊維シートを乾燥するエレクトレット加工品の製造方法。
  2. 前記水の浸透工程と乾燥工程との間に脱水工程を介在させる請求項1に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  3. 前記浸透工程と脱水工程を少なくとも2回繰り返す請求項2に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  4. 前記浸透工程による前記非導電性繊維シートに対する水の浸透率が500%以上である請求項1,2又は3に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  5. 前記非導電性繊維シートがヒンダードアミン系添加剤或いはトリアジン系添加剤を0.5〜5重量%含有する請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  6. 前記非導電性繊維シートが合成繊維からなるシートである請求項1〜5のいずれかに記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  7. 前記合成繊維からなるシートがメルトブロー不織布である請求項6に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  8. 前記合成繊維からなるシートがスパンボンド不織布である請求項6に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  9. 前記非導電性繊維シートがポリオレフィンを主体に構成されている請求項1〜8に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  10. 前記ポリオレフィンがポリプロピレンを主体に構成されている請求項9に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  11. 前記非導電性繊維シートがポリ乳酸を主体に構成されている請求項1〜8に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  12. 前記水がイオン交換水、蒸留水又は逆浸透膜による濾過水である請求項1〜11のいずれかに記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  13. 前記水が水溶性有機溶剤を含有する請求項1〜12のいずれかに記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  14. 前記水溶性有機溶剤が水よりも低い沸点を有する請求項13に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  15. 前記水溶性有機溶剤がアルコール類又はケトン類が主成分である請求項13又は14に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  16. 前記水溶性有機溶剤がイソプロピルアルコール、エチルアルコール、アセトンのうちの少なくとも1種である請求項15に記載のエレクトレット加工品の製造方法。
  17. 非導電性繊維シートを製造する製布手段と、該非導電性繊維シートにスリット状の吸引ノズルをシート幅方向に横切るように接触させると共に、該接触部分の反対側のシート面を水面に接触又は浸漬させ、かつ該吸引ノズルから水を吸引する非導電性繊維シートに対する水の浸透手段と、該非導電性繊維シートを乾燥する乾燥手段とを連続配置した構成からなるエレクトレット加工品の製造装置。
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