JP3932835B2 - Tftアレイ基板、電気光学装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置等の電気光学装置に好適に用いられる基板装置、該電気光学装置及び該電気光学装置を具備してなる電子機器の技術分野に属し、特に画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下適宜、TFTと称す)を、基板上の積層構造中に備えた形式の基板装置の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
TFTアクティブマトリクス駆動形式の電気光学装置では、各画素に設けられた画素スイッチング用TFTのチャネル領域に入射光が照射されると光による励起で光リーク電流が発生してTFTの特性が変化する。特に、プロジェクタのライトバルブ用の電気光学装置の場合には、入射光の強度が高いため、TFTのチャネル領域やその周辺領域に対する入射光の遮光を行うことは重要となる。そこで従来は、対向基板に設けられた各画素の開口領域を規定する遮光膜により、或いはTFTアレイ基板上においてTFTの上を通過すると共にAl(アルミニウム)等の金属膜からなるデータ線により、係るチャネル領域やその周辺領域を遮光するように構成されている。更に、TFTアレイ基板上のTFTの下側に対向する位置にも、例えば高融点金属からなる遮光膜を設けることがある。このようにTFTの下側にも遮光膜を設ければ、TFTアレイ基板側からの裏面反射光や、複数の電気光学装置をプリズム等を介して組み合わせて一つの光学系を構成する場合に他の電気光学装置からプリズム等を突き抜けてくる投射光などの戻り光が、当該電気光学装置のTFTに入射するのを未然に防ぐことができる。
【0003】
他方、この種の電気光学装置では、TFTが導通状態とされた際に、これを介して画素電極に印加される画像信号の電圧が、TFTを導通状態とした時間よりも遥かに長い時間に亘って保持されるように、例えばTFTのドレイン電極或いは画素電極に接続された画素電位側容量電極と、これに誘電体膜を介して対向配置された固定電位側容量電極とからなる蓄積容量を各画素に作り込む技術も一般化している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、基板上の積層構造内に蓄積容量を作り込むと、その画素電位側容量電極と、画素電極やTFTとを当該積層構造内に開孔されたコンタクトホールを介して接続する必要性が一般に生じる。従って、当該コンタクトホールにより接続されるTFTと画素電極間にある遮光膜或いはデータ線等は、コンタクトホールを避けて形成されることになるため、コンタクトホール及びその周辺において遮光性能が低下するという問題点が生じる。即ち、コンタクトホール及びその周辺に入射した入射光は、遮光膜或いはデータ線等により遮光されることなく、TFTのチャネル領域やその周辺領域に到達して、TFTの特性が変化或いは劣化してしまい、フリッカー等の原因となるという問題点がある。
【0005】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、耐光性に優れており、高品位の画像表示を可能ならしめる基板装置、この基板装置を備えた電気光学装置及びこの電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のTFTアレイ基板は上記課題を解決するために、基板上に、走査線と、該走査線と交差するデータ線と、前記走査線と前記データ線の交差部に対応して配置される薄膜トランジスタ及び画素電極と、前記画素電極と第1のコンタクトホールを介して接続されており且つ前記薄膜トランジスタと第2のコンタクトホールを介して接続されており蓄積容量を構成する画素電位側容量電極と、前記画素電位側容量電極と誘電体膜を介して対向配置されており前記蓄積容量を構成する固定電位側容量電極と、を備え、前記固定電位側容量電極には、平面的に見て前記第1のコンタクトホールを避けるように切り欠き部が設けられており、前記画素電位側容量電極は断面的に見て前記固定電位側容量電極と前記走査線との間に位置し且つ前記画素電位側容量電極を基準として前記画素電極が位置する方を上側、前記基板が位置する方を下側とすると前記固定電位側容量電極は前記画素電位側容量電極よりも上側に位置し、前記画素電位側容量電極及び前記固定電位側容量電極は夫々、金属から形成されてなり、前記固定電位側容量電極が反射率の高い第1の材料で形成されており、前記画素電位側容量電極が前記第1の材料よりも反射率の低い第2の材料で形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のTFTアレイ基板によれば、走査線及びデータ線を介して走査信号及び画像信号を薄膜トランジスタに供給することにより、画素電極をアクティブマトリクス駆動できる。ここで、画素電極には、画素電位側容量電極と固定電位側容量電極とが対向配置されてなる蓄積容量が接続されているので、画素電極に書き込まれた画像信号の電圧を長期に亘って保持できる。そして特に、画素電位側容量電極及び固定電位側容量電極は夫々、金属から形成されてなるので、これらの両方或いは一方を低抵抗の容量電極とすることで、更にはこれらの間に介在する誘電体膜の誘電率を高めることで、限られた基板上領域内に比較的大きな蓄積容量を構築可能となる。同時に、画素電位側容量電極及び固定電位側容量電極は夫々、金属から形成されてなるので、容量電極の両方に遮光機能を持たせることで、薄膜トランジスタを遮光する遮光性能を向上させることも可能となる。このように蓄積容量を構成する二つの容量電極を、金属からなる遮光膜として用いることで、入射光が薄膜トランジスタのチャネル領域やその周辺領域に到達することを防止し得、よって、薄膜トランジスタの特性変化によりフリッカー等を引き起こす事態を効果的に未然防止できる。
【0008】
また、画素電位側容量電極と画素電極とを接続するためのコンタクトホールを避けるように、容量線には切り欠き部が設けられている。従って、容量線或いはこれに含まれる固定電位側容量電極の遮光性能は、このコンタクトホール及びその周辺において低下せざるを得ない。しかしながら、これに対向配置された画素電位側容量電極は、遮光性の金属膜からなる。このため、このコンタクトホールの接続される画素電位側容量電極部分が、遮光膜としても機能するので、結局コンタクトホールやその周辺だからといって遮光性能が劣るということはない。
以上の結果、本発明のTFTアレイ基板によれば、高品位の画像表示が可能となる。
【0017】
本発明のTFTアレイ基板の他の態様では、前記誘電体膜は、TaOx、BST((Ba,Sr)TiO3)、PZT(Pb(Zr, Ti)O3)、TiO2、ZrO2、HfO2、SiO2、SiON及びSiNのうち少なくとも一つを含んでなる。
【0018】
この態様によれば、TaOx、BST、PZT、TiO2、ZrO2、HfO2といった高誘電率材料を誘電体膜として用いることにより、限られた基板上領域に大きな蓄積容量を構築可能となる。更に、SiO2、SiON、SiNといったシリコンを含む材料を誘電体膜として用いることにより、シリコンを含んでなる導電膜、半導体膜及び絶縁膜と同一積層構造内にストレスの発生を低減しつつ蓄積容量を構築可能となる。
【0019】
本発明のTFTアレイ基板の他の態様では、前記固定電位側容量電極はAl(アルミニウム)、前記画素電位側容量電極はPt(白金)またはTiN(窒化チタン)からなる。
【0020】
この態様によれば、PtまたはTiNを含んでなる画素電位側容量電極と、Alを含んでなる固定電位側容量電極とにより、確実に遮光性能を高めると同時に安定的に蓄積容量を増大可能となる。
【0033】
本発明の基板装置の他の態様では、前記画素電位側容量電極及び前記容量線のうちの少なくとも一方と前記データ線とにより、各画素における非開口領域が規定されている。
【0034】
この態様によれば、基板上の積層構造内に存在する画素電位側容量電極及び容量線のうちの両方或いは一方と、データ線とによって、各画素における非開口領域を規定するので、薄膜トランジスタに比較的近接した位置においてチャネル領域を遮光できる。
【0037】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明のTFTアレイ基板(但し、その各種態様を含む)と、他の基板との間に電気光学物質が挟持されてなる。
【0038】
本発明の電気光学装置によれば、上述したTFTアレイ基板を備えて構成されているので、強力な入射光が入射される使用環境においても、薄膜トランジスタにおける安定動作によってフリッカー等が低減されており、更に相対的に大きな蓄積容量によって、高品位の画像表示が可能となる。
【0039】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備するので、明るく高品位の画像表示が可能な、投射型表示装置、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0040】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
【0042】
(第1実施形態)
先ず本発明の第1実施形態における電気光学装置の画素部における構成について、図1から図6を参照して説明する。図1は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。図2は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。図3は、図2のA−A’断面図である。更に、図4は、本実施形態において画素電位側容量電極を画素電極に接続するコンタクトホール及びその周辺における遮光の様子を示す図式的部分斜視図であり、図5は、比較例において画素電位側容量電極を画素電極に接続するコンタクトホール及びその周辺における遮光の様子を示す図式的部分斜視図であり、図6は、本実施形態における蓄積容量の有するMIM(Metal Insulator Metal)構造を示す図式的な部分断面図である。尚、図3及び図6においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0043】
図1において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には夫々、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。
【0044】
図2において、電気光学装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。
【0045】
また、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a’に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。即ち、走査線3aとデータ線6aとの交差する個所には夫々、チャネル領域1a’に走査線3aの本線部がゲート電極として対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
【0046】
図2及び図3に示すように、蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての中継層71と、固定電位側容量電極としての容量線300の一部とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。
【0047】
特に本実施形態では、蓄積容量70は、MIM構造を有する。このMIM構造を蓄積容量に係る構成及び作用効果について、ここで、図2及び図3に加えて図4から図6を参照して詳述する。
【0048】
図3、図4及び図6に示すように、本実施形態では、画素電位側容量電極の一例を構成する中継層71は、金属を含んだ導電性の膜からなり、固定電位側容量電極の一例を構成する容量線300は、金属を含んだ導電性の膜からなり、誘電体膜75をこれらが挟持する形で、第1層間絶縁膜41上に、MIM構造が構築されている。
【0049】
これらのMIM構造を構築する中継層71及び容量線300は夫々、金属として、Pt、Ru、TiN、TaN、SRO及びAlのうち少なくとも一つを含む、数十〜数千nm程度の膜厚の導電膜からなる。従って、中継層71及び容量線300は夫々、遮光性能に優れた遮光膜として機能することとなり、図2及び図3に示すAl膜等からなるデータ線6aと共に、当該電気光学装置における平面形状が格子状である上側遮光膜を構築している。より具体的には、例えば、中継層71は、Ptを含んでなり、容量線300は、Alを含んでなる。或いは、中継層71は、TiNを含んでなり、容量線300は、Alを含んでなる。このような組み合わせで構成すれば、確実に遮光性能を高めると同時に安定的に蓄積容量を増大可能となる。この際、各金属膜の膜厚は、入射光強度、装置仕様等に鑑み、個別具体的に十分な遮光性能を得るに十分な値とすればよい。加えて、TFTアレイ基板10上で上側に位置する容量線300を、反射率が極めて高いAl膜から形成すると共に、下側に位置する中継層71を、Al膜と比べて反射率が数分の一程度であるPt膜やTiN膜から形成することで、上側から入射される入射光を上側の容量線300で反射することにより、内面反射光や多重反射光の発生を低減できる。
【0050】
また、蓄積容量70の誘電体膜75は、例えば膜厚5〜200nm程度の比較的薄い、TaOx、BST、PZT、TiO2、ZrO2、HfO2、SiO2、SiON及びSiNのうち少なくとも一つを含んでなる絶縁膜からなる。特に、TaOx、BST、PZT、TiO2、ZrO2、HfO2といった高誘電率材料を誘電体膜75として用いることにより、限られた基板上領域で容量値を増大できる。或いは、SiO2、SiON、SiNといったシリコンを含む材料を誘電体膜75に用いることにより、シリコンを含んでなる半導体層1a並びに第1層間絶縁膜41等の層間絶縁膜との間におけるストレス発生を低減できる。尚、誘電体膜75としては、HTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、あるいは窒化シリコン膜等から形成してもよい。いずれにせよ、蓄積容量70を増大させる観点からは、膜の信頼性が十分に得られる限りにおいて、誘電体膜75は薄い程良く、更に誘電率が高い程良い。
【0051】
従って本実施形態によれば、低抵抗の二つの容量電極に、高誘電率の誘電体膜を挟持したMIM構造の蓄積容量70によって、比較的大きな容量値を実現できると同時に、TFT30に係る遮光性能を向上できる。
【0052】
即ち図4に示すように、基板面に垂直な入射光L0や基板面に斜めの入射光L1は、概ね容量線300により遮光される。そして、画素電極9aと中継層71とを結ぶコンタクトホール85を避けるように設けられた容量線300の切り欠き部に入射光L2が入射しても、これは、コンタクトホール85に接続されており遮光膜からなる中継層71により遮光される。
【0053】
仮に図5(比較例)に示すように、中継層71’が透明或いは半透明の、例えば導電性のポリシリコン膜から形成されていたとすれば、コンタクトホール85を避けるように設けられた容量線300の切り欠き部に入射光L2が入射すると、これは、中継層71を透過して、最終的にTFT30のチャネル領域1a’或いはその隣接領域に到達する。この結果、TFT30のトランジスタ特性が変化或いは劣化して、フリッカ等の画質劣化が発生してしまうのである。
【0054】
図4及び図5から分かるように、本実施形態のMIM構造は、特にコンタクトホール85が設けられた場合に、優れた遮光性能を発揮する。
【0055】
尚、本実施形態では、容量線300が中継層71の上側にあるが、容量線が中継層の下側にある場合にも、中継層と高濃度ドレイン領域とを接続するコンタクトホールを避けるべく、容量線に切り欠き部が設けられる必要がある。従って、この場合にもMIM構造とすることで、当該コンタクトホール及びその周辺における遮光性能を同様に高められる。
【0056】
加えて容量線300は平面的に見て、走査線3aに沿ってストライプ状に伸びており(図2参照)、TFT30に重なる個所が図2中上下に突出している。そして、図2中縦方向に夫々延びるデータ線6aと図2中横方向に夫々延びる容量線300とが相交差して形成されることにより、TFTアレイ基板10上におけるTFT30の上側に、平面的に見て格子状の上側遮光膜(内蔵遮光膜)が構成されており、各画素の開口領域を規定している。
【0057】
更に容量線300は、画素電極9aが配置された画像表示領域からその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されて、固定電位とされる。係る定電位源としては、TFT30を駆動するための走査信号を走査線3aに供給するための後述の走査線駆動回路や画像信号をデータ線6aに供給するサンプリング回路を制御する後述のデータ線駆動回路に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、対向基板20の対向電極21に供給される定電位でも構わない。
【0058】
他方、中継層71は、上述の如き蓄積容量70の画素電位側容量電極としての機能及び遮光機能に加えて、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとを、コンタクトホール83及び85を介して中継接続する機能をも有している。中継層71により中継接続することにより、層間距離が例えば2000nm程度に長くても、両者間を一つのコンタクトホールで接続する技術的困難性を回避しつつ比較的小径の二つ以上の直列なコンタクトホールで両者間を良好に接続でき、画素開口率を高めること可能となり、コンタクトホール開孔時におけるエッチングの突き抜け防止にも役立つ。
【0059】
再び図2及び図3に戻り、TFTアレイ基板10上におけるTFT30の下側には、下側遮光膜11aが格子状に設けられている。下側遮光膜11aは、上述した容量線300或いは中継層71と同様に金属を含む各種の導電性の遮光膜からなる。好ましくは、下側遮光膜11aの形成後におけるTFT30を形成する際の高温プロセスに耐える膜である、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Pb(鉛)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。
【0060】
従って本実施形態では、比較的層間距離の小さい下側遮光膜11aと、前述の如く容量線300、中継層71及びデータ線6aからなる格子状の上側遮光膜との間に半導体層1aを挟持する構成が得られるので、入射光及び戻り光に対して、基本的に非常に高い遮光性能が得られ、更に図4及び図5に示したように、コンタクトホール85及びその周辺においても、高い遮光性能が得られる。
【0061】
尚、下側遮光膜11aについても、前述の容量線300の場合と同様に、その電位変動がTFT30に対して悪影響を及ぼすことを避けるために、画像表示領域からその周囲に延設して定電位源に接続するとよい。
【0062】
図2及び図3において、電気光学装置は、透明なTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。
【0063】
図3に示すように、TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド膜などの有機膜からなる。
【0064】
他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド膜などの有機膜からなる。
【0065】
対向基板20には、格子状又はストライプ状の遮光膜を設けるようにしてもよい。このような構成を採ることで、前述の如く格子状の上側遮光膜を構成する容量線300、中継層71及びデータ線6aと共に当該対向基板20上の遮光膜により、対向基板20側からの入射光がチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに侵入するのを、より確実に阻止できる。更に、このような対向基板20上の遮光膜は、少なくとも入射光が照射される面を高反射な膜で形成することにより、電気光学装置の温度上昇を防ぐ働きをする。尚、このように対向基板20上の遮光膜は好ましくは、平面的に見て容量線300とデータ線6aとからなる遮光層の内側に位置するように形成する。これにより、対向基板20上の遮光膜により、各画素の開口率を低めることなく、このような遮光及び温度上昇防止の効果が得られる。
【0066】
このように構成された、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、後述のシール材により囲まれた空間に電気光学物質の一例である液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材は、TFTアレイ基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のギャップ材が混入されている。
【0067】
更に、画素スイッチング用TFT30の下には、下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、下側遮光膜11aからTFT30を層間絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
【0068】
図3において、画素スイッチング用TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0069】
走査線3a上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83が各々開孔された第1層間絶縁膜41が形成されている。
【0070】
第1層間絶縁膜41上には中継層71及び容量線300が形成されており、これらの上には、高濃度ソース領域1d及び中継層71へ夫々通じるコンタクトホール81及びコンタクトホール85が各々開孔された第2層間絶縁膜42が形成されている。
【0071】
尚、本実施形態では、第1層間絶縁膜41に対しては、約1000℃の焼成を行うことにより、半導体層1aや走査線3aを構成するポリシリコン膜に注入したイオンの活性化を図ってもよい。他方、第2層間絶縁膜42に対しては、このような焼成を行わないことにより、容量線300の界面付近に生じるストレスの緩和を図るようにしてもよい。
【0072】
第2層間絶縁膜42上にはデータ線6aが形成されており、これらの上には、中継層71へ通じるコンタクトホール85が形成された第3層間絶縁膜43が形成されている。画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜43の上面に設けられている。
【0073】
本実施形態では、図3に示したように多数の所定パターンの導電層を積層することにより、画素電極9aの下地面(即ち、第3層間絶縁膜43の表面)におけるデータ線6aや走査線3aに沿った領域に段差が生じるのを、第3層間絶縁膜43の表面を平坦化処理することで緩和している。例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等で研磨することにより、或いは有機SOG(Spin On Glass)を用いて平らに形成することで緩和している。このように配線、素子等が存在する領域と存在しない領域との間における段差を緩和することにより、最終的には段差に起因した液晶の配向不良等の画像不良を低減できる。但し、このように第3層間絶縁膜43に平坦化処理を施すのに代えて又は加えて、TFTアレイ基板10、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41及び第2層間絶縁膜42のうち少なくとも一つに溝を掘って、データ線6a等の配線やTFT30等を埋め込むことにより平坦化処理を行ってもよい。
【0074】
以上図1から図6を参照して説明したように、本実施形態の電気光学装置によれば、MIM構造を有する蓄積容量70を構築することにより、限られた基板上領域で比較的大きな容量値が得られると共に高い遮光性能を実現でき、最終的には、強力な入射光を用いつつトランジスタ特性に優れたTFT30を用いたアクティブマトリックス駆動方式により、高品位の画像表示が可能となる。
【0075】
尚、以上説明した実施形態では、画素スイッチング用TFT30は、好ましくは図3に示したようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物の打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、走査線3aの一部からなるゲート電極をマスクとして高濃度で不純物を打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。また本実施形態では、画素スイッチング用TFT30のゲート電極を高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1e間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。このようにデュアルゲート或いはトリプルゲート以上でTFTを構成すれば、チャネルとソース及びドレイン領域との接合部のリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することができる。
【0076】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態における電気光学装置について、図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態における蓄積容量の積層構造を示す図式的な部分断面図である。
【0077】
図7に示すように、第2実施形態では、固定電位側容量電極を含む容量線300は、Al膜300bを両面からTiN膜300a及び300cで挟持した積層体からなる。その他の構成については、上述した第1実施形態の場合と同様である。
【0078】
従って第2実施形態によれば、Al膜300bにより、容量線300の低抵抗化を図りつつ、TiN膜300a及び300cにより、遮光性能を高められる。特に、TiN膜はAl膜と比べて、反射率が数分の一であるので、本実施形態の如き構成を採ることで、入射光や戻り光に起因する内面反射光や多重反射光の発生を防ぐことができる。
【0079】
尚、第2実施形態では、容量線300を、TiN膜でAl膜を挟持する積層体から構成したが、通常の金属、高融点金属、シリサイド、Si膜、SiGe膜等を含む積層体から、容量線300を構成してもよいし、容量線300に代えて或いは加えて、中継層71をこのような積層体から構成してもよい。このうち特に、バンドギャップが小さいSiGe膜を含む積層体とすれば、このSiGe膜により比較的強力な光吸収作用が得られる。
【0080】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態における電気光学装置について、図8を参照して説明する。図8は、第3実施形態における蓄積容量の積層構造を示す図式的な部分断面図である。
【0081】
図8に示すように、第3実施形態では、固定電位側容量電極を含む容量線300は、TiN膜300d上にAl膜300eが積層された積層体からなる。また、中継層71は、導電性のポリシリコン膜71a上にPt膜71bが積層された積層体からなる。その他の構成については、上述した第1実施形態の場合と同様である。
【0082】
従って第3実施形態によれば、Al膜300eにより、容量線300の低抵抗化を図りつつ、TiN膜300dにより、容量線300における遮光性能を高められる。特に、TiN膜はAl膜と比べて、反射率が数分の一であるので、本実施形態の如き構成を採ることで、特に戻り光や図中上方に向かって進行する光に係る内面反射光や多重反射光の発生を多少防ぐことができる。他方、Pt膜71bにより、中継層71の低抵抗化を図ることができ、その遮光性能を高められる。更に、導電性のポリシリコン膜71aにより、中継層71の低抵抗化を図りつつ、当該ポリシリコン膜71aにおける光吸収作用によって、特に戻り光や図中上方に向かって進行する光に係る内面反射光や多重反射光の発生を顕著に防ぐことができる。尚、このようなポリシリコン膜71aを半導体層1aと同一膜から構成すれば、基板上における製造プロセスと積層構造の単純化を図れる。
【0083】
第3実施形態では、中継層71の積層体を構成する光吸収層として、ポリシリコン膜71aを用いたが、これに代えて、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、SiGe材料層等から中継層71の積層体を構成してもよいし、更に、光吸収層を中継層71の積層体のうち図8中で上側に配置することも可能である。
【0084】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態における電気光学装置について、図9を参照して説明する。図9は、第3実施形態における蓄積容量の積層構造を示す図式的な部分断面図である。尚、図9は、特にコンタクトホール85付近における蓄積容量の積層構造を示したものである。
【0085】
図9に示すように、第4実施形態では、中継層71は、Al膜71c上にAlN膜71dが積層された積層体からなる。その他の構成については、上述した第1実施形態の場合と同様である。
【0086】
従って第4実施形態によれば、コンタクトホール85を介して相接触する、ITO膜からなる画素電極9aとAlN膜からなる中継層71との間で、良好なオーミック接触が得られる。しかも、このようにAl膜71cとAlN膜71dとを含む積層体からなる中継層71によって、良好な遮光性能が得られる。
【0087】
尚、第4実施形態では、画素電極9aをITO膜から形成し、これとオーミック接触できるAlN膜で、画素電位側容量電極71を形成したが、画素電極をIZO(Indium Zinc Oxide)膜から構成すれば、Al膜とオーミック接触が得られる。
【0088】
以上説明した第1から第4実施形態では特に、各画素における非開口領域が、容量線300、中継層71及びデータ線6aからなる上側遮光膜により規定されている。従って、TF30に比較的近接した位置においてチャネル領域1a’を遮光でき、例えば対向基板20上に形成された遮光膜により遮光を行なう場合と比較して、遮光性能を高めることが出来ると共に、遮光膜の位置ずれや寸法ずれを見込んで非開口領域を広げる必要が殆どなくなる。
【0089】
尚、以上説明した第1から第4実施形態においては、図10(a)に示すように、平面的に見て、データ線6a、容量線300及び中継層71からなる格子状の上側遮光膜は、格子状の下側遮光膜11aより輪郭が大きく且つ下側遮光膜11aは、ゲート電極を含む走査線3aよりも輪郭が大きいのが好ましい。このように構成すれば、上方から入射した光のうち、上側遮光膜の脇を抜けて下側遮光膜11aの上面で反射する成分を低減でき、上方からの入射光からなる内面反射光或いは多重反射光を極力低減できる。他方、下側遮光膜11aは走査線3aよりも輪郭が大きいので、下方から入射した光のうち、下側遮光膜11aの脇を抜けて走査線3aに入射する成分を極力低減できる。
【0090】
尚、変形形態として、以上説明した第1から第4実施形態においては、図10(b)に示すように、格子状の下側遮光膜11aに代えて、走査線3aに沿うストライプ状の下側遮光膜11bを形成してもよい。この場合にも、データ線6a、容量線300及び中継層71からなる格子状の上側遮光膜は、下側遮光膜11bより輪郭が大きく且つ下側遮光膜11bは、ゲート電極を含む走査線3aよりも輪郭が大きいのが好ましい。このように構成すれば、上方から入射した光のうち、上側遮光膜の脇を抜けて下側遮光膜11aの上面で反射する成分を低減でき、下方から入射した光のうち、下側遮光膜11aの脇を抜けて走査線3aに入射する成分を極力低減できる。
【0091】
(製造プロセス)
次に、上述した第1実施形態の電気光学装置の製造プロセスについて図11及び図12を参照して説明する。ここに図11及び図12は、製造プロセスの各工程における電気光学装置の積層構造を、図3の断面図のうち半導体層1a付近に係る部分で順を追って示す工程図である。
【0092】
先ず図11の工程(1)に示すように、石英基板、ハードガラス、シリコン基板等のTFTアレイ基板10を用意する。ここで、好ましくはN2(窒素)等の不活性ガス雰囲気且つ約900〜1300℃の高温でアニール処理し、後に実施される高温プロセスにおけるTFTアレイ基板10に生じる歪みが少なくなるように前処理しておく。
【0093】
続いて、このように処理されたTFTアレイ基板10の全面に、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPd等の金属や金属シリサイド等の金属合金膜を、スパッタリングにより、100〜500nm程度の膜厚、好ましくは約200nmの膜厚の遮光膜を形成する。そしてフォトリソグラフィ及びエッチングにより、平面形状が格子状の下側遮光膜11aを形成する。
【0094】
次に工程(2)では、下側遮光膜11a上に、例えば、常圧又は減圧CVD法等によりTEOS(テトラ・エチル・オルソ・シリケート)ガス、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)ガス、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)ガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる下地絶縁膜12を形成する。この下地絶縁膜12の膜厚は、例えば約500〜2000nm程度とする。
【0095】
続いて、下地絶縁膜12上に、約450〜550℃、好ましくは約500℃の比較的低温環境中で、流量約400〜600cc/minのモノシランガス、ジシランガス等を用いた減圧CVD(例えば、圧力約20〜40PaのCVD)により、アモルファスシリコン膜を形成する。その後、窒素雰囲気中で、約600〜700℃にて約1〜10時間、好ましくは、4〜6時間のアニール処理を施することにより、ポリシリコン膜を約50〜200nmの粒径、好ましくは約100nmの粒径となるまで固相成長させる。固相成長させる方法としては、RTA(Rapid Thermal Anneal)を使ったアニール処理でも良いし、エキシマレーザー等を用いたレーザーアニールでも良い。この際、画素スイッチング用のTFT30を、nチャネル型とするかpチャネル型にするかに応じて、V族元素やIII族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープしても良い。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、所定パターンを有する半導体層1aを形成する。
【0096】
続いて、TFT30を構成する半導体層1aを約900〜1300℃の温度、好ましくは約1000℃の温度により熱酸化して下層ゲート絶縁膜を形成し、続けて減圧CVD法等により、若しくは両者を続けて行うことにより、上層ゲート絶縁膜を形成する、これにより、多層の高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化シリコン膜からなる(ゲート絶縁膜を含む)絶縁膜2を形成する。この結果、半導体層1aは、約30〜150nmの厚さ、好ましくは約35〜50nmの厚さとなり、絶縁膜2の厚さは、約20〜150nmの厚さ、好ましくは約30〜100nmの厚さとなる。
【0097】
続いて、画素スイッチング用のTFT30のスレッシュホールド電圧Vthを制御するために、半導体層1aのうちNチャネル領域或いはPチャネル領域に、ボロン等のドーパントを予め設定された所定量だけイオン注入等によりドープする。
【0098】
次に工程(3)では、減圧CVD法等によりポリシリコン膜を堆積し、更にリン(P)を熱拡散し、このポリシリコン膜を導電化する。又は、Pイオンをこのポリシリコン膜の成膜と同時に導入したドープトシリコン膜を用いてもよい。このポリシリコン膜の膜厚は、約100〜500nmの厚さ、好ましくは約350nm程度である。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、TFT30のゲート電極部を含めて所定パターンの走査線3aを形成する。
【0099】
例えば、TFT30をLDD構造を持つnチャネル型のTFTとする場合、半導体層1aに、先ず低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成するために、走査線3a(ゲート電極)をマスクとして、PなどのV族元素のドーパントを低濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1013/cm2のドーズ量にて)ドープする。これにより走査線3a下の半導体層1aはチャネル領域1a’となる。更に、画素スイッチング用TFT30を構成する高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、走査線3aよりも幅の広い平面パターンを有するレジスト層を走査線3a上に形成する。その後、PなどのV族元素のドーパントを高濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1015/cm2のドーズ量にて)ドープする。尚、例えば、低濃度のドープを行わずに、オフセット構造のTFTとしてもよく、走査線3aをマスクとして、Pイオン、Bイオン等を用いたイオン注入技術によりセルフアライン型のTFTとしてもよい。この不純物のドープにより走査線3aは更に低抵抗化される。
【0100】
次に図12の工程(4)では、走査線3a上に、例えば、常圧又は減圧CVD法等によりTEOSガス、TEBガス、TMOPガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第1層間絶縁膜41を形成する。この第1層間絶縁膜41の膜厚は、例えば約500〜2000nm程度とする。ここで好ましくは、800℃の程度の高温でアニール処理し、第1層間絶縁膜41の膜質を向上させておく。
【0101】
続いて、第1層間絶縁膜41に対する反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより、コンタクトホール83を同時開孔する。
【0102】
続いて、第1層間絶縁膜41上に、Pt等の金属膜を、スパッタリングにより、100〜500nm程度の膜厚に形成する。そしてフォトリソグラフィ及びエッチングにより、所定パターンを持つ中継層71を形成する。
【0103】
続いて、プラズマCVD等により、TaOx膜等の絶縁膜からなる誘電体膜75を、中継層71上に形成する。この誘電体膜75は、絶縁膜2の場合と同様に、単層膜或いは多層膜のいずれから構成してもよく、一般にTFTのゲート絶縁膜を形成するのに用いられる各種の公知技術により形成可能である。そして、誘電体膜75を薄くする程、蓄積容量70は大きくなるので、結局、膜破れなどの欠陥が生じないことを条件に、膜厚50nm以下の極薄い絶縁膜となるように誘電体膜75を形成すると有利である。
【0104】
続いて、誘電体膜75上に、Al等の金属膜を、スパッタリングにより、100〜500nm程度の膜厚に形成する。そしてフォトリソグラフィ及びエッチングにより、所定パターンを持つ容量線300を形成する。即ち、蓄積容量70が完成する。
【0105】
次に工程(5)では、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2層間絶縁膜42を形成する。第1層間絶縁膜42の膜厚は、例えば500〜1500nm程度である。
【0106】
続いて、第2層間絶縁膜42に対する反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより、コンタクトホール81を開孔する。
【0107】
続いて、第2層間絶縁膜42上の全面に、スパッタリング等により、遮光性のAl等の低抵抗金属や金属シリサイド等を金属膜として、約100〜500nmの厚さ、好ましくは約300nmに堆積する。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、所定パターンを有するデータ線6aを形成する。
【0108】
次に工程(6)では、データ線6a上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第3層間絶縁膜43を形成する。第3層間絶縁膜43の膜厚は、例えば500〜1500nm程度である。
【0109】
続いて、第3層間絶縁膜43に対する反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより、不図示のコンタクトホール85(図2から図4参照)を開孔する。
【0110】
続いて、第3層間絶縁膜43上に、スパッタ処理等により、ITO膜等の透明導電性膜を、約50〜200nmの厚さに堆積する。そして、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、画素電極9aを形成する。尚、当該液晶装置を反射型の液晶装置に用いる場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極9aを形成してもよい。
【0111】
続いて、画素電極9aの上にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜16(図3参照)が形成される。
【0112】
他方、図3に示した対向基板20については、ガラス基板等が先ず用意され、額縁としての遮光膜が、例えば金属クロムをスパッタした後、フォトリソグラフィ及びエッチングを経て形成される。尚、これらの遮光膜は、導電性である必要はなく、Cr、Ni、Alなどの金属材料の他、カーボンやTiをフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成してもよい。
【0113】
その後、対向基板20の全面にスパッタ処理等により、ITO等の透明導電性膜を、約50〜200nmの厚さに堆積することにより、対向電極21を形成する。更に、対向電極21の全面にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜22(図3参照)が形成される。
【0114】
最後に、上述のように各層が形成されたTFTアレイ基板10と対向基板20とは、配向膜16及び22が対面するようにシール材(図13及び図14参照)により貼り合わされ、真空吸引等により、両基板間の空間に、例えば複数種類のネマティック液晶を混合してなる液晶が吸引されて、所定層厚の液晶層50が形成される。
【0115】
以上説明した製造プロセスにより、前述した第1実施形態の電気光学装置を製造できる。
【0116】
他方、図7に示した第2実施形態の電気光学装置を製造する場合には、図12の工程(4)において、容量線300を、スパッタリング、真空蒸着、CVD法等を繰り返して行うことで積層形成すればよい。図8に示した第3実施形態の電気光学装置を製造する場合には、図12の工程(4)において、中継層71及び容量線300を夫々、スパッタリング、真空蒸着、CVD法等を繰り返して行うことで積層形成すればよい。図9に示した第4実施形態の電気光学装置を製造する場合には、図12の工程(4)において、中継層71を、スパッタリング、真空蒸着、CVD法等を繰り返して行うことで積層形成し、更に図12の工程(6)において、ITO膜に代えてIZO膜を形成すればよい。
【0117】
(電気光学装置の全体構成)
以上のように構成された各実施形態における電気光学装置の全体構成を図13及び図14を参照して説明する。尚、図13は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図14は、図13のH−H’断面図である。
【0118】
図13において、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、画像表示領域10aの周辺を規定する額縁としての遮光膜53が設けられている。シール材52の外側の領域には、データ線6aに画像信号を所定タイミングで供給することによりデータ線6aを駆動するデータ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線3aに走査信号を所定タイミングで供給することにより走査線3aを駆動する走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。走査線3aに供給される走査信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路104は片側だけでも良いことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画像表示領域10aの辺に沿って両側に配列してもよい。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的に導通をとるための導通材106が設けられている。そして、図14に示すように、図13に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。
【0119】
尚、TFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、複数のデータ線6aに画像信号を所定のタイミングで印加するサンプリング回路、複数のデータ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0120】
以上図1から図14を参照して説明した実施形態では、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0121】
以上説明した実施形態における電気光学装置は、プロジェクタに適用されるため、3枚の電気光学装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各ライトバルブには各々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、各実施形態では、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。このようにすれば、プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー電気光学装置について、各実施形態における電気光学装置を適用できる。また、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。あるいは、TFTアレイ基板10上のRGBに対向する画素電極9a下にカラーレジスト等でカラーフィルタ層を形成することも可能である。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい電気光学装置が実現できる。更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー電気光学装置が実現できる。
【0122】
(電子機器の実施形態)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに図15は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
【0123】
図15において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置100を含む液晶モジュールを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0124】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう基板装置及び電気光学装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の電気光学装置における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路である。
【図2】第1実施形態の電気光学装置におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図3】第1実施形態における図2のA−A’断面図である。
【図4】第1実施形態において画素電位側容量電極を画素電極に接続するコンタクトホール及びその周辺における遮光の様子を示す図式的部分斜視図である。
【図5】比較例において画素電位側容量電極を画素電極に接続するコンタクトホール及びその周辺における遮光の様子を示す図式的部分斜視図である。
【図6】第1実施形態における蓄積容量の有するMIM構造を示す図式的な部分断面図である。
【図7】第2実施形態における蓄積容量の有するMIM構造を示す図式的な部分断面図である。
【図8】第3実施形態における蓄積容量の有するMIM構造を示す図式的な部分断面図である。
【図9】第4実施形態における蓄積容量の有するMIM構造を示す図式的な部分断面図である。
【図10】各実施形態における上側遮光膜、走査線及び下側遮光膜間の好ましい大小関係を示す平面図である。
【図11】第1実施形態における製造プロセスの各工程における電気光学装置の積層構造を、半導体層付近に係る部分で順を追って示す工程図(その1)である。
【図12】第1実施形態における製造プロセスの各工程における電気光学装置の積層構造を、半導体層付近に係る部分で順を追って示す工程図(その2)である。
【図13】実施形態の電気光学装置におけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図14】図13のH−H’断面図である。
【図15】本発明の電子機器の実施形態である投射型カラー表示装置の一例たるカラー液晶プロジェクタを示す図式的断面図である。
【符号の説明】
1a…半導体層
1a’…チャネル領域
1b…低濃度ソース領域
1c…低濃度ドレイン領域
1d…高濃度ソース領域
1e…高濃度ドレイン領域
2…絶縁膜
3a…走査線
6a…データ線
9a…画素電極
10…TFTアレイ基板
11a…下側遮光膜
12…下地絶縁膜
16…配向膜
20…対向基板
21…対向電極
22…配向膜
30…TFT
50…液晶層
70…蓄積容量
71…中継層
75…誘電体膜
81、83、85…コンタクトホール
300…容量線
Claims (6)
- 基板上に、
走査線と、
該走査線と交差するデータ線と、
前記走査線と前記データ線の交差部に対応して配置される薄膜トランジスタ及び画素電極と、
前記画素電極と第1のコンタクトホールを介して接続されており且つ前記薄膜トランジスタと第2のコンタクトホールを介して接続されており蓄積容量を構成する画素電位側容量電極と、
前記画素電位側容量電極と誘電体膜を介して対向配置されており前記蓄積容量を構成する固定電位側容量電極と、を備え、
前記固定電位側容量電極には、平面的に見て前記第1のコンタクトホールを避けるように切り欠き部が設けられており、
前記画素電位側容量電極は断面的に見て前記固定電位側容量電極と前記走査線との間に位置し且つ前記画素電位側容量電極を基準として前記画素電極が位置する方を上側、前記基板が位置する方を下側とすると前記固定電位側容量電極は前記画素電位側容量電極よりも上側に位置し、
前記画素電位側容量電極及び前記固定電位側容量電極は夫々、金属から形成されてなり、
前記固定電位側容量電極が反射率の高い第1の材料で形成されており、前記画素電位側容量電極が前記第1の材料よりも反射率の低い第2の材料で形成されていることを特徴とするTFTアレイ基板。 - 前記誘電体膜は、TaOx(酸化タンタル)、BST(チタン酸ストロンチウムバリウム)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、TiO2(酸化チタン)、ZrO2(酸化ジルコニウム)、HfO2(酸化ハフニウム)、SiO2(酸化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)及びSiN(窒化シリコン)のうち少なくとも一つを含んでなることを特徴とする請求項1に記載のTFTアレイ基板。
- 前記固定電位側容量電極はAl(アルミニウム)、前記画素電位側容量電極はPt(白金)またはTiN(窒化チタン)からなることを特徴とする請求項1または2に記載のTFTアレイ基板。
- 前記画素電位側容量電極及び前記容量線のうちの少なくとも一方と前記データ線とにより、各画素における非開口領域が規定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のTFTアレイ基板。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載のTFTアレイ基板と、他の基板との間に電気光学物質が挟持されてなることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項5に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
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