JP3931623B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加熱物を誘電加熱する高周波加熱装置に関し、更に詳しくは加熱室内への高周波放射部の構成および放射制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高周波加熱装置は、被加熱物を直接的に加熱できるのでなべ釜を準備する必要がない簡便さでもって生活上の不可欠な機器になっている。しかしながら、被加熱物を収納する加熱室はその形状が変化させうる構造体ではないので、被加熱物の存在により加熱室の電気的な特性は変化する。この加熱室内の電気的特性変化は、加熱室内に供給する高周波を発生する高周波発生手段の特性や加熱室内の高周波分布に影響を与える。高周波発生手段が受ける影響は、発振周波数と発振出力の変化に代表される。また、高周波分布は被加熱物の形状やその物理特性の影響が相乗されて局所加熱が発生することがある。
【0003】
高周波加熱装置の理想的な特性は、高周波発生手段が発生する高周波エネルギを最大効率でもって被加熱物に供給することと被加熱物を均一に加熱することに集約される。
【0004】
高周波エネルギの高効率利用という視点では、高周波加熱装置に表示されている高周波出力は、その測定方法がJIS規格やIEC規格に規定され、高周波出力測定に用いられる被加熱物の量はそれぞれ水2000ccと1000ccであり、生活上一般的に加熱する被加熱物の量(約200cc〜400cc)と乖離している。そして、この被加熱物の量の影響により、一般的な被加熱物の量に対する高周波出力は装置に表示されている出力値の60〜80%程度の利用効率である。
【0005】
このような高周波特性を改善するための技術としては、高周波における整合技術が用いられる。そもそも高周波加熱装置は、規格に規定された被加熱物に対して高周波発生手段が発生した高周波エネルギを最大化して加熱室に伝送するために導波管内に金属ポストを突出させて整合状態の最適化が図られているのが一般的である。もちろん、この金属ポストの配設位置や形状を変更すれば任意の被加熱物に対して最適な整合状態を図ることができるが、金属ポストを移動させるためには複雑で高価な構造が要求され実用上の課題となっている。
【0006】
また、この整合用の金属ポストが加熱室内の高周波分布に影響を与えることも知られている。従って、整合用の金属ポストの配設は、高周波エネルギの有効利用と高周波分布の最適化との両立を図る中で実用的な構成が決定されている。
【0007】
一方、被加熱物を均一に加熱するという視点では、被加熱物を回転させる方式や加熱室内の高周波を攪拌させる方式などに加えて、加熱室内への高周波放射のさせ方に関する先行技術がある。
【0008】
高周波放射に関する従来技術としては、複数の高周波発生手段を備え、高周波発生手段が発生する高周波エネルギを略直方体形状の加熱室の異なる壁面にそれぞれ設けた放射部から放射する構成や単一の高周波発生手段に対して同一壁面に複数の放射部を備える構成のものがある。
【0009】
また放射部の構成としては、加熱室の壁面に設けた略矩形形状の開口を放射口とする構成や放射アンテナを設けてそれを回転させる構成のものがある。また、特異な放射部構成としては、特開2000−164341号公報に示されたように矩形形状の放射口にく字状の放射口を併設した構成がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の放射部から放射される高周波はいわゆる垂直偏波の伝搬形態でありsin関数として解析的には表現されるものであった。この垂直偏波は被加熱物を収納する閉空間である加熱室を伝搬すると加熱室の壁面で位相差180°の略完全反射を繰り返し、その結果、加熱室内には反射波同士の合成によって特定の定在波が生じる。この定在波の分布は被加熱物の種類、量あるいは形状によって大きく変化するが、同一被加熱物においては被加熱物を回転動作させてもほとんど変化しないので、被加熱物の均一加熱の促進を図る上で限界があった。一方、電波攪拌手段の攪拌では大きな変化を生じさせることができるが、高周波発生手段との負荷整合状態も大きく変動するので高周波エネルギーの有効利用が低下する課題を有していた。
【0011】
本発明は上記課題を解決するもので、放射口の形状に工夫をして加熱室への放射分布を従来とは異なる放射特性として被加熱物を効率よくまた均一に高周波加熱する装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の高周波加熱装置は上記課題を解決するために、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室の底面に設けた複数のL字形状の放射口と、前記放射口に高周波を伝送する矩形形状の導波管とを備えた構成とし、さらには複数のL字形状の放射口は、矩形形状の導波管の管軸上の点を対称点とし、前記放射口の近傍の加熱室壁面に設け前記矩形形状の導波管の管軸方向に長手寸法の方向を配した開口部と、前記開口部における高周波インピーダンスを変化させるインピーダンス可変手段とを備えた構成としている。
【0013】
上記発明によれば、複数のL字状の放射口を点対称に配置することで各放射口を励振する電界の向き(または高周波電流の流れる方向)はそれぞれが異なる方向となり、各放射口から放射される高周波が放射口近傍で結合したり反発したりして放射口周辺に幅広い放射分布を形成する。この放射口近傍での振る舞いにより、被加熱物の量や形状の違いによる高周波発生手段への影響が緩和され様々な被加熱物に対して高周波発生手段を安定に動作させることができ、エネルギの利用効率を高めるとともに加熱の均一化を促進することができる。また、開口部のインピーダンスを変化させて放射口の近傍に形成した幅広い高周波分布を偏向させることができ、被加熱物を移動させることなく種類・量あるいは温度が異なる複数の被加熱物を同時仕上げすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室の底面に設けた複数のL字形状の放射口と、前記放射口に高周波を伝送する矩形形状の導波管と、前記放射口の近傍の加熱室壁面に設け前記矩形形状の導波管の管軸方向に長手寸法の方向を配した開口部と、前記開口部における高周波インピーダンスを変化させるインピーダンス可変手段とを備えたものであり、開口部のインピーダンスを変化させて放射口の近傍に形成した幅広い高周波分布を偏向させることができ、被加熱物を移動させることなく種類・量あるいは温度が異なる複数の被加熱物を同時仕上げすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室の底面に設けた複数のL字形状の放射口と、前記放射口に高周波を伝送する矩形形状の導波管と、前記放射口の上方に設けた略円形形状の金属板からなる回転体と、前記放射口の近傍の加熱室底壁面に設け前記矩形形状の導波管の管軸方向に長手寸法の方向を配した開口部と、前記開口部における高周波インピーダンスを変化させるインピーダンス可変手段とを備えたものであり、回転体からの放射分布を偏向させることにより複数の被加熱物や偏平な被加熱物の加熱の均一化を促進できる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、特に、請求項1または2記載の複数のL字形状の放射口は、矩形形状の導波管の管軸上の点を対称点とした構成からなるものであり、これにより各放射口を励振する電界の向きがそれぞれ異なる方向となり、各放射口から放射される高周波が放射口近傍で結合したり反発したりして放射口周辺に幅広い放射分布を形成できる。この放射口近傍での振る舞いにより、被加熱物の量や形状の違いによる高周波発生手段への影響が緩和され様々な被加熱物に対して高周波発生手段を安定に動作させることができ、エネルギの利用効率を高めるとともに加熱の均一化を促進することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、特に、請求項3記載の対称点の位置に高周波発生手段の出力部を配設したものであり、これにより各放射口を励振する電界の向きを確実に異ならしめることができ、さらには高周波発生手段の出力部の強い電磁波エネルギーで放射口を励振するので放射分布をより広範囲にできるとともに導波管をコンパクトな構成にできる。
【0018】
請求項5の発明は、特に、請求項2記載の複数のL字形状の放射口は、矩形形状の導波管の管軸上の点を対称点とし、回転体は前記対称点を回転の中心とした構成からなり、これにより各放射口を励振する電界の向きがそれぞれ異なる方向となり、各放射口から放射される高周波が放射口近傍で結合したり反発したりして放射口周辺に幅広い放射分布を形成できる。そして回転体がこの放射分布を保護することで、被加熱物の量や形状の違いによる高周波発生手段への影響が緩和され様々な被加熱物に対して高周波発生手段を安定に動作させることができ、エネルギの利用効率を高めるとともに加熱の均一化を促進することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、特に、請求項1または2記載の複数の放射口の矩形形状の導波管の管軸方向における最大間隔は、この導波管を伝送する高周波の伝送波長の略1/2としたものであり、各放射口を横切る高周波電界の方向を相反する方向に規定させることができ放射方向の全方向化を確実に図ることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、特に、請求項1または2記載の複数の放射口は矩形形状の導波管の管軸を横切らない構成としたものであり、高周波発生手段側に位置する放射口からの放射エネルギを抑制し各放射口の高周波励振を保証させることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、特に、請求項1または2記載の開口部は矩形形状の導波管の管軸を軸対称として複数配設したものであり、開口部のインピーダンス変化に対応して変化する高周波分布の偏向方向の識別を単純化し異なる被加熱物の同時加熱における利便性を高めることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、特に、請求項1または2記載のインピーダンス可変手段は、開口部を一端とし他端が閉じられた溝部と、前記溝部内に設けた板状の可動板と、前記可動板を回転あるいはスライドさせる可動手段とからなるものであり、これにより高周波をリークすることなく開口部のインピーダンスを広範囲に変化させることができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0024】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1を示す高周波加熱装置の正面断面構成図、図2は図1のA−A‘矢視断面図、図3は図1のインピーダンス可変手段の制御例を示す正面断面構成図、図4は図1の放射口による高周波電界分布、図5は図1のインピーダンス可変手段の拡大構成図である。
【0025】
図において、10は被加熱物を収納する加熱室、11は断面が略矩形形状の導波管であり一端には高周波発生手段(図示していない)を装着する挿入穴12を備えている。また導波管11の他端には加熱室10の底壁面13に設けた放射口14a,14bを配置している。15は被加熱物を載置する誘電体材料で構成した載置皿、16a,16bは加熱室の底壁面13に設けた開口部、17a,17bはそれぞれ開口部16a,16bにおける空間インピーダンスを変化させるインピーダンス可変手段、18は加熱室10内に被加熱物を出し入れする開閉扉である。
【0026】
放射口14a,14bは導波管11の高周波発生手段を装着する側から遠い側の導波管端面19とこの端面19から導波管11を伝送する周波数の伝送波長の略1/2の距離だけ離れた位置との間の壁面(導波管のH面)に配置している。放射口14a,14bはそれぞれL字形状の開口から構成し点対称に配置している。点対称の位置は導波管11の管軸20上であり図2において×印21で示す。各放射口14a,14bの開口は管軸20に対して平行な部分と垂直な部分とを有し、かつ開口は管軸20を横切らないように配置している。
【0027】
また、開口部16a,16bの長手寸法の方向は、矩形形状の導波管11の管軸方向とし、さらには矩形形状の導波管11の管軸を軸対称として配設している。
【0028】
次に上記構成の主要動作について説明する。導波管壁面には図2において矢印22〜25で示すような高周波電流が流れ、L字形状の放射口14a,14bには同様に矢印22〜25で示す方向の高周波電界が生じる。一つのL字形状の放射口14aにおいて開口を横切る高周波電界22と23は略直交するとともに導波管11内を伝送する高周波の位相としては略90度の位相差に相当している。放射口14bも同様である。そしてこのような高周波電界によって励振された放射口14aおよび14bから放射される高周波により、放射口の周辺には図4に示すような高周波電界分布が生じる。すなわち、電界の強い領域がL字状の放射口の点対称位置に現れ、導波管11の管軸に対して垂直方向に高周波が伝搬していく分布となる。点対称位置が強い電界強度になるのは各放射口から放射される高周波が放射口近傍で結合することによるものである。そして各放射口から放射される高周波が放射口近傍で結合したり反発したりして放射口周辺に幅広い放射分布を形成している。この放射口近傍での振る舞いにより、被加熱物の量や形状の違いによる高周波発生手段への影響が緩和され様々な範囲の被加熱物に対して高周波発生手段を安定に動作させることができ、エネルギの利用効率を高めることができる。また、このような放射口を加熱室の底面に設け、放射口の上方の近傍に被加熱物を載置する構成とすることによりこの放射口により現出される高周波分布によって被加熱物を包み込むことにより高いエネルギ利用効率でもって高周波加熱を行うことができる。
【0029】
また、開口部16a,16bの長手寸法の方向は、矩形形状の導波管11の管軸方向とすることにより、開口部のインピーダンス変化による放射口からの高周波の放射方向をより強く変化させることができる。さらには矩形形状の導波管11の管軸を軸対称として配設することにより、開口部のインピーダンス変化に対応して変化する高周波分布の偏向方向の識別を単純化し異なる被加熱物の同時加熱における利便性を高めることができる。
【0030】
なお、図4において、高周波電界分布が導波管の管軸に対して対称になっていない理由は、高周波発生手段側の放射口からの放射エネルギが強いからであり、この放射口の開口形状を小さくすることで対称性を改善することが可能となる。
【0031】
また、本実施例の具体的な構成寸法としては、導波管11の幅寸法が80mm、L字形状の開口の幅寸法が20mmである。
【0032】
次に図5を用いてインピーダンス可変手段の構成と作用を説明する。図5において、インピーダンス可変手段50は、金属部材で構成した箱型部51を本体とし、加熱室壁面に組立実装することで溝部を形成する構成としている。その箱型部51内には、可動板である板状構造の回転板52を設けている。この回転板52の両端には回転板52を回転させるための回転軸53、54を設け、回転軸53は箱型部51の壁面に設けた孔に挿入しその孔で回転支持している。一方、回転軸54には回転板52を回転駆動する手段であるステッピングモータ55(可動手段)の出力シャフトと連結させている。56は回転軸54に設けた回転角度検出のための遮光部であり、回転角度検出手段としてフォトインタラプタ(図示していない)を用いている。57〜60は加熱室実装用フランジであり、加熱室壁面にスポット溶接組立する。61は回転板52を箱型部51内に実装するための孔である。箱型部51の具体的な構成寸法としては、幅が80mm、長さがLa+Lb、高さが20mmである。LaおよびLb寸法は回転板52の中心から箱型部51のそれぞれの端面までの長さである。このような構成のインピーダンス可変手段を加熱室に実装する場合、箱型部52のLa寸法側の所定位置に開口部62(図2における16a,16b)を配置する。この結果、箱型部51と加熱室壁面で形成される溝部の終端は図5において箱型部51を形成する壁面63である。回転板52の支持角度は回転板52の幅広面52aが壁面63に対して略平行の状態を0度と規定する。
【0033】
回転板52は、200℃以上の耐熱温度を有し装置が使用する周波数帯で低誘電損失の特性を有する樹脂材料あるいは無機材料の非金属材料を基材とし、その基材を所定の板厚さにそれぞれ成形あるいは焼成成形加工して構成している。次にインピーダンス可変手段50の動作、作用を説明する。インピーダンス可変手段は、La=30mm、Lb=20mmの構成とすることで開口部62における電圧反射係数S11の位相値を略±180度から略−30度の範囲で可変させることができる。すなわちこの場合、回転板52を回転させることで開口部62には容量性リアクタンス成分を変化させたインピーダンスを形成できる。また、La=50mm、Lb=20mmの構成とすることで開口部における電圧反射係数S11の位相値を略+90度から±180度を通って略−135度の範囲に可変させることができる。すなわち、この場合、回転板52を回転させることで開口部62には誘導性リアクタンス成分(位相値範囲:+90度から±180度)と容量性リアクタンス成分(位相値範囲:±180度から略−135度)値を存在させることができる。さらにLa=70mm、Lb=20mmの構成とすることで開口部62における電圧反射係数S11の位相値を略+0度から+90度を通って略±180度の範囲に可変させることができる。すなわち、この場合、回転板52を回転させることで開口部62には誘導性リアクタンス成分が変化するインピーダンスを存在させることができる。
【0034】
そして開口部における電圧反射係数の位相値が略±180度、すなわち開口部のインピーダンスが略零の場合は、開口部を金属壁面と同様の作用にさせることができる。
【0035】
また回転板52の支持角度を変化させると、開口部62のインピーダンスは変化し開口部62における高周波の入射波と反射波との位相差を変化させることができる。加熱室10の金属壁面での高周波の入射波と反射波との位相差は180度である。一方金属壁面に設けた開口部における入射波と反射波との位相差は、開口部のインピーダンス値が零の場合は180度、インピーダンス値が無限大の場合は0度、誘導性リアクタンスの場合は入射波に対して反射波の位相が遅れ、容量性リアクタンスの場合は位相が進む。入射波と反射波との位相の変化に伴って加熱室の見掛け上の大きさが変化する。誘導性リアクタンスの場合は電波的作用より加熱室の大きさが見掛け上大きくなり、一方容量性リアクタンスの場合は小さくなる。これは、たとえば加熱室内に収納した被加熱物と放射口との見掛け上の距離を変化させるようなものである。この現象を利用することで被加熱物の平面上の加熱領域を可変したり、被加熱物の高さ方向の加熱領域を可変させることができ、被加熱物を移動させることなく被加熱物の加熱の均一化を図ることができ、たとえば種類・量あるいは温度が異なる複数の被加熱物を同時仕上げすることができる。
【0036】
また、開口部を図2に示すように配設しそれぞれの開口部に対応してインピーダンス可変手段の可動板を回転制御することで加熱室内の高周波分布を加熱室の上下方向や左右方向に偏向させることができる。図3はこの一例を示すものでインピーダンス可変手段17a,17bの構成部材である回転板26a,26bの支持角度をそれぞれ0度、90度としたものであり、これにより開口部16bにおける空間インピーダンスを略無限大にする。この結果、放射分布を開口部16a側に偏向させることができる。これらの作用現象を利用することで被加熱物を回転させることなく被加熱物の加熱領域を可変制御をして被加熱物を均一に加熱させることができる。
【0037】
なお、上記説明において可動板は回転させる構成を用いたが、可動板を溝部の終端に平行にスライドさせる構成でも構わない。
【0038】
(実施例2)
次に本発明の実施例2について図6を用いて説明する。実施例2が実施例1と相違する点は、高周波発生手段をL字形状の放射口の点対称の位置に設けた構成である。
【0039】
すなわち、図において70は矩形形状の導波管、71は高周波発生手段の出力部を挿入実装する挿入穴である。この挿入穴71はL字形状の放射口72a,72bの点対称位置に相当させている。
【0040】
この構成により各放射口を励振する電界の向きを確実に異ならしめることができ、さらには高周波発生手段の出力部の強い電磁波エネルギーで放射口を励振するので放射分布をより広範囲にできるとともに導波管をコンパクトな構成にできる。
【0041】
(実施例3)
次に本発明の実施例3について図7および図8を用いて説明する。実施例3が実施例1および実施例2と相違する点は、加熱室壁面に設けたL字形状の放射口の上方に回転体を配設した構成である。なお、実施例1と同一部材または同一相当部材は同一番号で示し説明を省略する。
【0042】
すなわち、図8において、矩形形状の導波管11の終端側にはL字形状の開口を有する放射口14a,14bを導波管11の管軸上に位置する点を点対称として配設している。この複数の放射口14a,14bの上方には回転体である略円形形状の金属板73を設けている。この金属板73は複数の放射口の点対称位置を回転の中心として回転駆動する構成としている。すなわち、金属板73の略円形形状の中心部に接続した金属支柱74と、この金属支柱74を支える低誘電損失材料で構成した支持部75と、金属支柱74に嵌合する低誘電損失材料で構成した出力軸76を備えたモータ77とを設けている。また回転体である金属板73には導波管11に設けたL字形状の開口と同様の開口78a,78bを配設している。
【0043】
このような構成により、金属性の回転体によりL字形状の放射口によって形成させた放射分布を保護しながら回転体から被加熱物側に高周波を放射することで被加熱物の加熱の均一化を促進することができる。
【0044】
また、実施例1と同様に、放射口の近傍の加熱室底壁面に設けた開口部16a,16bと、開口部16a,16bにおける高周波インピーダンスをそれぞれ変化させるインピーダンス可変手段17a,17bとを備えることにより、回転体からの放射分布を偏向させることにより複数の被加熱物や偏平な被加熱物の加熱の均一化を促進できる。
【0045】
なお、回転体である金属板73の形状は複数のL字形状の開口からなる放射口によって現出される放射分布を許可する構成であればよく、たとえば略長方形状や扇型形状でも構わない。また、金属板73は偏心回転駆動させてもよい。また、金属板73に設けた開口の形状はL字形状に限るものではなく、たとえば矩形形状の長手方向を直交させて複数配設しても構わない。
【0046】
以上において、各放射口のコーナー部は適当に丸く加工するのが加工上およびエッジ部によるスパーク発生抑止の観点で望ましい。また開口部のインピーダンスの変化範囲は上記説明内容に限定されるものではなく、たとえば回転板の支持角度が90度の場合に開口部における空間インピーダンスを略零とすることで誘導成分のみの可変範囲としたり、回転板の支持角度が略45度の場合に開口部における空間インピーダンスを略零とすることで誘導成分と容量成分の両方を含む可変範囲に設定したりすることができる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、複数のL字状の放射口を点対称に配置することで各放射口を励振する電界の向きはそれぞれが異なる方向となり、各放射口から放射される高周波が放射口近傍で結合したり反発したりして放射口周辺に幅広い放射分布を形成する。そしてこのような放射口を加熱室の底面に設けその上方近傍に被加熱物を配置させる構成により、被加熱物の量や形状の違いによる高周波発生手段への影響が緩和され様々な被加熱物に対して高周波発生手段を安定に動作させることができ、エネルギの利用効率を高めることができる。
【0048】
また、加熱室底面に設けた開口部と、前記開口部における高周波インピーダンスを変化させるインピーダンス可変手段とを備えることで、開口部のインピーダンスを変化させて放射口周辺に形成される高周波分布を偏向を変化させ被加熱物を移動させることなく均一な加熱を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の高周波加熱装置の正面断面図
【図2】 同高周波加熱装置のA−A‘断面矢視図
【図3】 同高周波加熱装置のインピーダンス可変手段の制御例を示す正面断面図
【図4】 同高周波加熱装置の高周波電界分布図
【図5】 同高周波加熱装置のインピーダンス可変手段の構成図
【図6】 本発明の実施例2の高周波加熱装置の断面構成図
【図7】 本発明の実施例3の高周波加熱装置の正面断面図
【図8】 同高周波加熱装置のB−B‘断面矢視図
【符号の説明】
10 加熱室
11,70 矩形形状の導波管
13 加熱室の底面
14a,14b,72a,72b L字形状の放射口
16a,16b 開口部
17a,17b,50 インピーダンス可変手段
20 管軸
21、71 点対称位置
26a,26b,52 回転板(可動板)
73 回転体

Claims (9)

  1. 被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室の底面に設けた複数のL字形状の放射口と、前記放射口に高周波を伝送する矩形形状の導波管と、前記放射口の近傍の加熱室壁面に設け前記矩形形状の導波管の管軸方向に長手寸法の方向を配した開口部と、前記開口部における高周波インピーダンスを変化させるインピーダンス可変手段とを備えた高周波加熱装置。
  2. 被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室の底面に設けた複数のL字形状の放射口と、前記放射口に高周波を伝送する矩形形状の導波管と、前記放射口の上方に設けた略円形形状の金属板からなる回転体と、前記放射口の近傍の加熱室底壁面に設け前記矩形形状の導波管の管軸方向に長手寸法の方向を配した開口部と、前記開口部における高周波インピーダンスを変化させるインピーダンス可変手段とを備えた高周波加熱装置。
  3. 複数のL字形状の放射口は、矩形形状の導波管の管軸上の点を対称点とした構成からなる請求項1または2記載の高周波加熱装置。
  4. 対称点の位置に高周波発生手段の出力部を配設した請求項3記載の高周波加熱装置。
  5. 複数のL字形状の放射口は、矩形形状の導波管の管軸上の点を対称点とし、回転体は前記対称点を回転の中心とした構成からなる請求項2記載の高周波加熱装置。
  6. 複数の放射口の矩形形状の導波管の管軸方向における最大間隔は、この導波管を伝送する高周波の伝送波長の略1/2とした請求項1または2記載の高周波加熱装置。
  7. 複数の放射口は矩形形状の導波管の管軸を横切らない構成とした請求項1または2記載の高周波加熱装置。
  8. 開口部は矩形形状の導波管の管軸を軸対称として複数配設した請求項1または2記載の高周波加熱装置。
  9. インピーダンス可変手段は、開口部を一端とし他端が閉じられた溝部と、前記溝部内に設けた板状の可動板と、前記可動板を回転あるいはスライドさせる可動手段とからなる請求項1または2記載の高周波加熱装置。
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