JP3931353B2 - 創傷治癒剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はトロンボモジュリン(以下、TMと略す)様蛋白質を含有することを特徴とする創傷治癒剤ならびに細胞増殖および/または細胞成長促進剤、およびTM様蛋白質とヒト成長因子とを含有することを特徴とする創傷治癒剤ならびに細胞増殖および/または細胞成長促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
創傷治癒機構は皮膚、結合組織および支持組織において類似している。ここでの組織とは、皮膚、骨、軟骨のみならず、筋肉および器官を包み込むコラーゲン基質からなる支持筋膜をも含むものである。
【0003】
創傷部位における治癒プロセスは、普通いくつかのグループの特殊な細胞あるいは蛋白質が関与している複雑な生物学的機構によって起こるが、成長因子が必須であることは良く知られている。成長因子は創傷領域内に放出され、創傷内に移動し、そこで因子は角質細胞および線維芽細胞の増殖あるいは成長を刺激し、脈管形成を開始し、基質形成および創傷領域の再造形を行う[テンダイクら:バイオ/テクノロジー(Bio/Technol.)7,793−798,1989]。
【0004】
なお、この際、線維芽細胞は新たなコラーゲンを合成し、放出する細胞としても重要である。線維芽細胞によって生成される他の蛋白質は基質に寄与する。このような蛋白質の一つであるフィブロネクチンは主要な細胞を基盤となる基質に結合することを促進する重要な物質であり、創傷修復中にその合成が強化される。
【0005】
このように、生体の損傷部では成長因子がタイムリーに放出され、単独でまたは共同して細胞の遊走・増殖・分化を進めていく。創傷治癒に関与する成長因子として、上皮細胞成長因子(以下、EGFと略す)、線維芽細胞成長因子(以下、FGFと略す)、インスリン様成長因子(以下、IGFと略す)、インスリン、血小板由来成長因子(以下、PDGFと略す)などが良く知られている。EGFは線維芽細胞、血管内皮細胞、上皮細胞の増殖あるいは成長を促すほか、上皮細胞の遊走を促進し、組織修復過程においては上皮の再生に中心的な役割を果たしている。FGFは線維芽細胞、血管平滑筋細胞、血管内皮細胞の増殖あるいは成長を促すほか、血管内皮細胞の遊走を促進し、血管再生に中心的な役割を果たしている。IGFとしては、IGF−1およびIGF−2の2種の分子種が存在することが知られている。IGFはPDGFと共同して作用し、線維芽細胞の増殖あるいは成長や上皮細胞の正常な分化増殖を促進する。現在、これらの因子について、それぞれ臨床応用研究が進められているが、創傷治癒剤としての効果は必ずしも十分とは言えず、より効果的な成長因子あるいは創傷治癒剤が切望されているのが現状である。
【0006】
一方、TMは1981年にエスモンらにより血管内皮細胞表面上に存在する抗凝固物質として発見され[プロシーデイングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ ユーエスエー(Pro.Natl.Acad.Sci.USA.)78,2249−2254,1981]、その後1987年に鈴木らによりその全一次構造が明らかにされた[エンボ ジャーナル(EMBO J.)6,1891−1897、1987;バイオケミストリー(Biochem.)26,4350−4357,1987]糖蛋白質である。TMは、トロンビンと1:1で結合し、トロンビンの凝固促進作用を抑制するとともにトロンビンによるプロテインC活性化を著しく促進させることにより効率よく凝固系を抑制することから、播種性血管内凝固症候群(DIC)、各種血栓症等の予防や治療に有用であることが示唆されており、近年では、遺伝子組み替え技術を利用して、TMのアミノ酸配列の部分構造を有する様々なヒトTM様蛋白質[特開平1−6219、バイオキミカ バイオフィジカ アクタ(Biochim.Biophys.Acta.)1205巻,p162−170,1994]を用いて、DIC治療薬としての臨床応用が試みられつつある。
【0007】
このようにTMは広く凝固線溶系に作用する分子であると考えられているが、他方、細胞機能に及ぼす影響についてはほとんど知られていない。
【0008】
今田らは、マウステトラカルシノーマF9細胞をレチノイン酸あるいはサイクリックAMP(cAMP)で内胚葉系細胞に分化させると、マウスTMと同じ機能を有し、また、遺伝子クローニングの結果マウスTMとまったく同一であることが明らかとなったフェトモジュリン(以下、FMと略す)が内胚葉系細胞に発現されること、さらに、TM/FMが血管内のみならず、組織液と直接接することのない組織、あるいはまた、細胞間の相互作用の場、例えば、肺胞、神経上皮、心房、洞結節、および胚発生の中期から後期にかけて心臓のペースメーカーなどに一時的に発現されることを報告した[デベロップメンタル バイオロジー(Dev.Biol.)140、113−122、1990]。
【0009】
以上のような報告が見られるが、TMが細胞に対して直接増殖および/または成長促進作用を有することを記載した報告は知られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
創傷に対し、その本質的治療薬となりうる新しい細胞成長因子を有効成分として含有する、より有効で安全性の高い創傷治癒剤ならびに細胞増殖および/または細胞成長促進剤を提供することが本発明の課題である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、TMの各種細胞に対する増殖あるいは成長促進効果に関する研究を行っている途上、TMが抗凝固作用を示す濃度に比し、はるかに低濃度において、スイス3T3細胞に直接作用しその成長および増殖を促進することを見いだし、さらには他の成長因子とともに用いると一層高い活性を示すという事実を見いだし、さらに鋭意研究を重ねて本発明を完成した。
【0012】
本発明の第1の態様は、トロンビンと結合し、トロンビンの凝固促進作用を抑制すると
ともにトロンビンのプロテインC活性化を著しく促進させるという活性を有するTM様蛋
白質を有効成分として含有することを特徴とする創傷治癒剤である。TM様蛋白質は、以
下のアミノ酸配列1を有することが好ましい。
(アミノ酸配列1)
1 10
Gln Gly His Trp Ala Arg Glu Ala Pro Gly
11 20
Ala Trp Asp Cys Ser Val Glu Asn Gly Gly
21 30
Cys Glu His Ala Cys Asn Ala Ile Pro Gly
31 40
Ala Pro Arg Cys Gln Cys Pro Ala Gly Ala
41 50
Ala Leu Gln Ala Asp Gly Arg Ser Cys Thr
51 60
Ala Ser Ala Thr Gln Ser Cys Asn Asp Leu
61 70
Cys Glu His Phe Cys Val Pro Asn Pro Asp
71 80
Gln Pro Gly Ser Tyr Ser Cys Met Cys Glu
81 90
Thr Gly Tyr Arg Leu Ala Ala Asp Gln His
91 100
Arg Cys Glu Asp Val Asp Asp Cys Ile Leu
101 110
Glu Pro Ser Pro Cys Pro Gln Arg Cys Val
111 120
Asn Thr Gln Gly Gly Phe Glu Cys His Cys
121 130
Tyr Pro Asn Tyr Asp Leu Val Asp Gly Glu
131 140
Cys Val Glu Pro Val Asp Pro Cys Phe Arg
141 150
Ala Asn Cys Glu Tyr Gln Cys Gln Pro Leu
151 160
Asn Gln Thr Ser Tyr Leu Cys Val Cys Ala
161 170
Glu Gly Phe Ala Pro Ile Pro His Glu Pro
171 180
His Arg Cys Gln Met Phe Cys Asn Gln Thr
181 190
Ala Cys Pro Ala Asp Cys Asp Pro Asn Thr
191 200
Gln Ala Ser Cys Glu Cys Pro Glu Gly Tyr
201 210
Ile Leu Asp Asp Gly Phe Ile Cys Thr Asp
211 220
Ile Asp Glu Cys Glu Asn Gly Gly Phe Cys
221 230
Ser Gly Val Cys His Asn Leu Pro Gly Thr
231 240
Phe Glu Cys Ile Cys Gly Pro Asp Ser Ala
241 250
Leu Val Arg His Ile Gly Thr Asp Cys Asp
251 253
Ser Gly Lys
ただし、242番目の Val は Ala に置換されていてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様は、TM様蛋白質とヒト細胞成長因子とを含有することを特徴とする創傷治癒剤である。ここで、TM様蛋白質としては、上述の第1の態様と同様に、上述のアミノ酸配列1を有するものが好ましい。また、ヒト細胞成長因子は、ヒトIGF−1、ヒトインスリン、ヒトEGF又はヒト塩基性FGF(以下、b−FGFと略す)であることが好ましい。
【0016】
TM様蛋白質とヒト細胞成長因子との組み合わせとしては、上述のアミノ酸配列1を有するTM様蛋白質と、ヒトIGF−1、ヒトインスリン、ヒトEGFおよびヒトb−FGFの少なくとも一つとの組み合わせ、上述の特徴1を有するTM様蛋白質と、ヒトIGF−1、ヒトインスリン、ヒトEGFおよびヒトb−FGFの少なくとも一つとの組み合わせ、あるいは、上述の特徴2を有するTM様蛋白質と、ヒトIGF−1、ヒトインスリン、ヒトEGFおよびヒトb−FGFの少なくとも一つとの組み合わせが好ましい。
【0017】
本発明の第3の態様は、TM様蛋白質を有効成分として含有することを特徴とする細胞増殖および/または細胞成長促進剤である。好ましくは、肉芽組織形成促進剤である。本発明の第3の態様で使用するTM様蛋白質は、上述の本発明の第1の態様で使用するTM様蛋白質と同様のもの、即ち、以下のアミノ酸配列1を有するものが好ましい。
【0018】
Figure 0003931353
Figure 0003931353
Figure 0003931353
ただし、242番目の Val は Ala に置換されていてもよい。
【0021】
本発明の第4の態様は、TM様蛋白質とヒト細胞成長因子とを含有することを特徴とする細胞増殖および/または細胞成長促進剤である。好ましくは、肉芽組織形成促進剤である。ここで、TM様蛋白質としては、上述の第3の態様と同様に、上述のアミノ酸配列1を有するものが好ましい。また、ヒト細胞成長因子は、ヒトIGF−1、ヒトインスリン、ヒトEGF又はヒトb−FGFであることが好ましい。
【0022】
TM様蛋白質とヒト細胞成長因子との組み合わせとしては、上述のアミノ酸配列1を有するTM様蛋白質と、ヒトIGF−1、ヒトインスリン、ヒトEGFおよびヒトb−FGFの少なくとも一つとの組み合わせが好ましい。
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本明細書において、「TM様蛋白質」の語は、TMおよびTMの生物学的もしくは免疫学的活性(即ち、トロンビンと結合し、トロンビンの凝固促進作用を抑制するとともにトロンビンのプロテインC活性化を著しく促進させるという活性)に必要な一部分のアミノ酸配列を有するペプチド又はそれらの類似物を意味する。ここでいう「ペプチド」の語は、換言すれば、後述するように、ヒトTMを構成する完全長の557アミノ酸残基の中の、TMおよびTMの生物学的もしくは免疫学的活性を示すペプチドフラグメントを意味する。そして、「それらの類似物」の語は、前述のペプチドフラグメントのO−グリコシド結合糖鎖あるいはN−グリコシド結合糖鎖などの糖鎖を修飾あるいは欠失させたものを意味する。また、「創傷」の語は、外力によって生じた組織損傷を総括していうが、皮膚や粘膜面の連続性が離断した解放性損傷を創、連続性が保持された閉鎖性損傷を傷として区別して用いられることがあり、「創傷治癒」は、炎症反応が起こり、毛細血管等の透過性亢進や白血球等の遊走が起こって細菌や壊死物質が貪食除去されると共にフィブリン沈着等が起こる滲出破壊相、毛細血管の新生や線維芽細胞の増殖が始まり、肉芽が出現し、フィブリンが吸収されてコラーゲンに置き換わってゆく繊維増殖相および新生血管や滲出細胞が減少し始め、コラーゲン量が増加して創の収縮が起きる成熟期の機転をとる[南山堂医学大辞典、南山堂,1156−1157頁,1990]とされ、本発明においてもこれらの意味を包含する。肉芽(組織)とは、盛んに増殖している若い結合組織のことで、創傷の壊死性組織を吸収し、欠損部を埋め、線維化をおこす創傷治癒に際して形成される重要な組織である。線維芽細胞が肉芽組織の基本的構成細胞である。また、「創傷治癒剤」の語は、種々の創傷、例えば、角膜潰瘍、放射線角膜傷、角膜移植その他の手術誘発眼内創傷のような眼創傷、および切開、やけど、切り傷、破傷、深部術創、皮膚移植によるドナー部位創および潰瘍(皮膚、とこずれ、静脈うっ血および糖尿病)のような皮膚創のごとき上皮損傷、あるいは消化管の潰瘍、口腔・気道または尿路のごとき粘膜の損傷など、さらに、乾せん、日焼け、皮膚発疹のような皮膚障害等、の治癒を促進するための治療剤を広く包含する。
【0025】
本発明に用いるTM様蛋白質は、天然型あるいは遺伝子工学的に生産されたもののいずれでも良く、遺伝子工学的手法により得られる改変型あるいはキメラ型であっても良い。医薬品とする場合、好ましくはヒト由来のTMが望まれる。また、ヒト由来のTMは膜結合性であり、完全長のアミノ酸配列を持つものは水に対する溶解性が低い。このため、本発明においては完全長のアミノ酸配列を持たず、溶解性の高いTM(以下、可溶性TMと略する)がさらに好ましい。
【0026】
このようなTMは、天然型については、例えば、ヒト胎盤由来のTM[特開昭60−199819]があげられる。また、可溶性TMとしては、非還元状態での分子量が55,000〜58,000および60,000〜65,000のヒト尿由来可溶性TM[特開平3−86900]および非還元状態での分子量が72,000±3,000および79,000±3,000のヒト尿由来可溶性TM[特開平3−218399]が挙げられる。これらの内、分子量が72,000±3,000および79,000±3,000のヒト尿由来可溶性TMが好ましい。これらヒト尿由来可溶性TMは、特開平3−218399号公報に記載されているように、それぞれ、前述の本発明で好ましく使用することができるTM様蛋白質の特徴1または特徴2を有している。
【0027】
また、本発明に用いるTM様蛋白質は、遺伝子組み替え技術で生産することができる。ヒトの治療剤に用いるためには、ヒトのアミノ酸配列を有するものが好ましい。具体的には、遺伝子工学的手法により製造され、鈴木らにより示されたヒトTMの一次構造[エンボ ジャーナル(EMBO.J.6,1891−1897,1987;バイオケミストリー(Biochem.26,4350−4357,1987]を有するポリペプチドおよびその生物学的もしくは免疫学的活性に必要な一部分のアミノ酸配列からなるフラグメントが挙げられる。
【0028】
鈴木らによれば、完全長のヒトTMは557アミノ酸残基により構成され、それは、N末端より順に、D1、D2、D3、D4およびD5の5つのドメイン構造から構成される。また、その抗凝固活性は6つの上皮細胞成長因子(EGF)様構造の繰り返しから成るD2ドメインの、4番目から6番目のドメイン(E456)に限局することが報告されている。本発明の治癒剤に使用し得るフラグメントの例としては、鈴木らにより開示されたE456ペプチド構造を包含する種々のペプチドフラグメント[特開平1−6219]あるいは名和らにより示された可溶性TM様蛋白質[バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチコミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)171,729−737,1990]などが挙げられる。さらに具体的には、D2ドメインのEGF様構造の1番目から6番目までのドメイン構造(以下、E123456とする)を包含する、ヒトTMのN末端より214−466番目のアミノ酸残基により構成されるペプチド(以下、TME1-6 とする)、1−491番目のアミノ酸残基により構成されるペプチド(以下、rsTMとする)、227−462番目のアミノ酸残基により構成されるペプチド(D2)、1−497番目のアミノ酸残基により構成されるペプチド(以下、D123とする)、1−462番目のアミノ酸残基により構成されるペプチド(D12)、227−497番目のアミノ酸残基により構成されるペプチド(D23)、1−557番目のアミノ酸残基により構成されるペプチド(D12345)、345−462番目のアミノ酸残基により構成されるペプチド(E456)などが好ましい。そして、これらのフラグメントの内、TMの第2番目のドメイン、すなわちEGF様構造ドメインの1番目から6番目までの構造を包含する、214−466番目のアミノ酸残基により構成されるフラグメント(TME1-6 )、即ち、前述のアミノ酸配列1を有するもの、rsTMあるいはD123が最も好ましい。
【0029】
なお、上記フラグメントは遺伝子組み替え技術を用いて、TM又は上記ペプチドの構造の一部を欠失させたり、アミノ酸を他のアミノ酸で置換あるいは修飾した改変体およびO−グリコシド結合糖鎖あるいはN−グリコシド結合糖鎖などの糖鎖を修飾あるいは欠失させた類似物などでも良い。具体的には、上記ポリペプチドの構成アミノ酸が一部欠如している[WO92/00325、特開平2−255699、EP0474273A2]か、他のアミノ酸に置換されたもの[WO91/15514、WO93/155755、特開平5−310787]が挙げられる。また、メチオニンを他のアミノ酸に置換することによって酸化を防止したもの[WO91/15514]、あるいはアミノ酸配列を修飾することによって蛋白分解酵素による分解を防止したもの[WO93/15755]が挙げられる。また、コンドロイチン及び/又はコンドロイチン硫酸を含む糖鎖を有するもの[WO91/04276、WO91/05803、EP0412841A1]、ウシトロンボモジュリン由来の酸性アミノ酸配列を含むO−グリコシド糖鎖結合部位を付加し、コンドロイチン硫酸糖鎖を結合させたもの[EP0488317A2]、あるいは、O−グリコシル化部位領域の糖鎖を修飾あるいはO−グリコシル化部位領域を欠失させたもの[WO92/03149]、コンドロイチン及び/又はコンドロイチン硫酸を含まないもの[特開平4−210700]などが挙げられる。
【0030】
本発明第2の態様ならびに第4の態様は、以上のようなTM様蛋白質の他にヒト細胞成長因子も有効成分として含有するものである。これにより、TM様蛋白質又はヒト細胞成長因子単独から創傷治癒剤ならびに細胞増殖および/または細胞成長促進剤を構成した場合に対して、大きな治癒効果ならびに促進効果を得ることが可能となる。
【0031】
本発明において、ヒト細胞成長因子としては、ヒトIGF−1、ヒトインスリン、ヒトEGF、ヒトb−FGFの中から選ばれる1種を使用するか、あるいは複数種を併用することが好ましい。
【0032】
また、本発明においては、細胞成長因子として上述のようにヒトIGF−1、ヒトインスリン、ヒトEGF、ヒトb−FGFを含有することができるが、これらに限定されない。それぞれ、IGF、インスリン、EGF、FGF様活性を有する物質であればいずれでも良い蛋白質核酸酵素,36巻,7号,1078−1087頁,1237−1246頁,1991、臨床免疫,27巻,サプルメント(Suppl.16,307−316頁,1995。例えば、動物の体内や動物細胞で産生される天然由来の物質、遺伝子組み替え技術で生産される物質、また遺伝子組み替え技術で、これらの構造の一部を欠失させたり、アミノ酸を他のアミノ酸で置換あるいは修飾した改変体および糖鎖を修飾あるいは欠失させた類似物などが挙げられる。好ましくは、ヒト由来かヒト由来と同等構造を有するものがよい。これらのいくつかは市販品として入手することができる。また、このようなヒト細胞成長因子としては、公知のいかなる製剤学的製造法により得られたものでも使用することができる。
【0033】
本発明の第1の態様及び第2の態様のいずれの治癒剤ならびに本発明の第3の態様及び第4の態様のいずれの細胞増殖および/または細胞成長促進剤も種々の剤型にすることができ、その場合に種々の添加剤等の成分を配合することができる。例えば、TM様蛋白質は、薬剤として一般的に用いられる適当な担体または、媒体、例えば滅菌水や生理食塩水、植物油(例、ゴマ油、オリーブ油)、鉱油(例、ワセリン、パラフィン)、高級アルコール(例、セタノール、ステアリルアルコール)、高級脂肪酸(例、ステアリン酸、パルミチン酸)、無害性有機溶媒(例、エタノール)等、さらには必要に応じて賦形剤(例、マンニトール、カルボキシメチルセルロース)、着色剤、乳化剤(例、コレステロール)、懸濁剤(例、アラビアゴム)、界面活性剤(例、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油系界面活性剤、ポリエチレングリコール系界面活性剤)、溶解補助剤(例、界面活性剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム)、吸着防止剤(例、非イオン性界面活性剤、ゼラチン)、安定化剤(例、アミノ酸、糖、糖アルコール、アルブミン)または保存剤(例、ベンジルアルコール、パラベン)、保湿剤(例、尿素、コレステロール)、酸化防止剤(例、トコフェロール)等と適宜組み合わせて、生体に効果的に投与するのに適した注射剤、経皮吸収剤、点眼剤、経鼻吸収剤、経口剤等の医薬用製剤、好ましくは注射剤もしくは経皮吸収剤に調製することが出来る。例えば、注射剤の製剤としては、凍結乾燥品や、注射用水剤、あるいは浸透圧ポンプに封入した形等で提供できる。また、経皮吸収剤としては、液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、バップ剤、人工皮膚類等で提供できる。
【0034】
本発明の創傷治癒剤ならびに細胞増殖および/または細胞成長促進剤の投与方法としては、例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、経口投与等の方法によって、TM様蛋白質量として一日約0.01〜1000μg/kg、さらに好ましくは、0.1〜100μg/kgとなる量を投与したり、浸透圧ポンプ等に封入し生体に留置することにより連続的に投与することができる。なお、TM様蛋白質に加えてヒトIGF−1またはヒトインスリンまたはヒトEGFまたはヒトb−FGFを有効成分として含有させた製剤は、上記のTM様蛋白質投与と同時に、各因子をそれぞれ、一日約0.01〜1000μg/kg、さらに好ましくは、0.1〜100μg/kgとなる量を投与することが好ましい。
【0035】
また、経皮吸収剤として、熱傷、創傷部位に、液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、バップ剤等の方法により局所適用することにより、例えば、TM様蛋白質濃度を約0.001〜1000μg/ml、さらに好ましくは、0.01〜100μg/mlの濃度で適用することができる。なお、ヒトTM様蛋白質に加えてヒトIGF−1またはヒトインスリンまたはヒトEGFまたはヒトb−FGFを有効成分として含有する製剤は、上記のTM様蛋白質適用と同時に、各因子をそれぞれ、一日約0.01〜1000μg/ml、さらに好ましくは、0.1〜100μg/mlとなる量を適用する。
【0036】
さらに、熱傷の時に用いる培養皮膚移植等に際しては、細胞の培養液中に、例えば、ヒトTM様蛋白質濃度を約0.001〜1000μg/ml、さらに好ましくは、0.01〜100μg/mlの濃度で添加することもできる。なお、TM様蛋白質に加えてヒトIGF−1またはヒトインスリンまたはヒトEGFまたはヒトb−FGFをTM様蛋白質添加と同時に、各因子をそれぞれ、約0.01〜1000μg/ml、さらに好ましくは、0.1〜100μg/mlの濃度で添加することもできる。
【0037】
【作用】
本発明の創傷治癒剤は、有効成分として、線維芽細胞などの細胞の成長および増殖促進効果を発揮するTM様蛋白質、あるいはTM様蛋白質とヒト細胞成長因子の双方を含有するので、種々の創傷、例えば、角膜潰瘍、放射線角膜傷、角膜移植その他の手術誘発眼内創傷のような眼創傷および切開、やけど、切り傷、破傷、深部術創、皮膚移植によるドナー部位創および潰瘍(皮膚、とこずれ、静脈うっ血および糖尿病)のような皮膚創のごとき上皮損傷、あるいは消化管の潰瘍、口腔・気道または尿路のごとき粘膜の損傷などの治療に用いることができる。さらに、乾せん、日焼け、皮膚発疹のような皮膚傷害にも用いることができる。
【0038】
本発明の細胞増殖および/または細胞成長促進剤は、特に線維芽細胞の増殖/成長を促進し、肉芽組織形成促進に働く。また、細胞培養系に添加することにより、細胞の増殖を促進することができる。移植に用いるヒト細胞の培養液に添加してそのヒト細胞を培養することもできる。
【0039】
【実施例】
以下にTM様蛋白質の取得例及び本発明の実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明に用いるTM様蛋白質は、以下の取得例にあげたものに限定されることはなく、また、本発明は以下の実施例に限定されるものでもない。
【0040】
取得例1(ヒトTM様蛋白質の取得例:TME1-6 )
名和らの方法[バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)171、729−737、1990]に準じて、pRS7TMを調製した。すなわち、ヒトcDNAライブラリーより得たTM遺伝子のフラグメントをpUC119発現ベクターに挿入した後、制限酵素処理を行いpRS7TMを調製した。さらに、pRS7TMのTMシグナルシーケンスをインターフェロンγシグナルシーケンスで置き換え、さらにN末端シーケンスを欠失させた。すなわち、Sal−BstN1制限酵素処理により80bpの新しいシグナルシーケンスを含むフラグメントを、PstI制限酵素処理により1番目のEGFドメインをコードしているフラグメントを取得した後、リンカーと結合させpTMP22を作製した。このpTMP22をHindIII−MluI制限酵素処理し、生じたフラグメントをpTMs07のHindIII−MluIフラグメントと置換しpP7TMを作製した。Ser/Thr rich領域を欠失させるためにpTMs07をHin cII制限酵素処理してフラグメントを単離し、さらにHpaII制限酵素処理を行うことにより6番目のEGFドメインをコードしている70bpのフラグメントを取得した。このフラグメントのLys−466の後にストップコドンを含むリンカーを結合させた後、Apa I−Xba I制限酵素処理を行い、生じたフラグメントをpP7TMのApa I−Xba I部位に組み込みpPG3TMを作製した。
【0041】
このプラスミド(pPG3TM)を、常法に従ってチャイニーズハムスター卵母細胞株(CHO−K1細胞株)にトランスフェクトした。この細胞を選択培地でさらに2〜3週間培養することにより安定した形質転換細胞を選抜し、生じたコロニーをさらに培養した。この培養上清を抗TMモノクローナル抗体カラムとゲル濾過により精製し、TME1-6 を得た。
【0042】
取得例2(可溶性TMの取得例:UTM0)
特開平3−218399号公報に記載された方法に準じて調製した。すなわち
、原尿100Lをアクリル繊維で濾過して尿中のウロキナーゼを吸着除去し、通過尿を限外濾過膜を使用して脱塩濃縮した。次いで、DEAEセルロース(ワットマン社製)カラム、DIP−トロンビン−アガロースクロマトグラフィーおよびセファクリルS−300(ファルマシアファインケミカル社製)カラムを用いて順次精製し、活性画分を採取した(以下、UTM0とする)。この画分は一晩蒸留水に対して透析した後凍結乾燥した。
【0043】
取得例3(可溶性TMの取得例:rsTM)
名和らの方法[バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)171、729−737、1990]に準じて、pRS7TMを調製した。すなわち、ヒトcDNAライブラリーより得たTM遺伝子のフラグメントをpUC119発現ベクターに挿入した後、制限酵素処理等を行い、rsTMをコードするプラスミドpTMs07を調製した。さらに、Neor 遺伝子を組み込み、発現プラスミドpTMs07−neoを作製した。
【0044】
このプラスミド(pTMs07−neo)を、常法に従ってチャイニーズハムスター卵母細胞株(CHO−K1細胞株)にトランスフェクトした。この細胞を選択培地でさらに2〜3週間培養することにより安定した形質転換細胞を選抜し、生じたコロニーをさらに培養した。この培養上清を抗TMモノクローナル抗体カラムとゲル濾過により精製し、rsTMを得た。
【0045】
取得例4(可溶性TMの取得例:D123)
WO92/00325号公報の方法に準じて製造した。すなわち、ヒト胎盤cDNAライブラリーより釣り上げたDNAを利用してアミノ末端のアミノ酸配列がAla−Pro−Ala−であるアミノ酸497残基よりなる可溶性トロンボモジュリンを発現するベクターを調製し、これをCHO細胞に組み込んだ後、遺伝子増幅を行って高発現株を得た。この高発現株の培養液をDIP−トロンビン−アガロースカラムとゲル濾過により精製し、D123を得た。
【0046】
実施例1(ヒトTMによる線維芽細胞に対する効果1:増殖促進効果)
スイス3T3細胞(Japanese Cancer Research Bank)を10%牛胎児血清(以下、CSと略す。:ギブコ社)を含むDMEM培地(ギブコ社)に懸濁し、35mmの培養プレートに1ウェルあたり1×10 個の密度で播種し、37℃、5%CO/95%Airの条件で培養した。24時間後に50ng/mlのヒトTMを含む種々の濃度のCSを含むDMEM培地(0.1〜10%CS)に培地交換し、その後は2日間に一度(図1の矢印参照)培地交換した。細胞は0.25%trypsin/0.02%EDTAで処理し、細胞数を測定した。なお、ヒトTMは、取得例1に記載した方法に従い、ヒトTMのE123456を包含するペプチド(TME1-6 )をチャイニーズハムスター卵母細胞(CHO−K1細胞)で発現後、均一に精製したものを使用した。
【0047】
この結果を図1に示す。図1から明らかなように、TME1-6 は0.1%あるいは1%血清の存在下で細胞増殖作用を示した。また、UTM0、rsTMおよびD123も同様の作用を示す。
【0048】
一般に、in vitroでの増殖促進能は、in vivoでの組織の成長を起こし得る細胞分化と直接関連しており、強いin vitro増殖促進能を有する物質がin vivoにおいても成長刺激効果を有することは成長因子の研究においては良く知られているところである。従って、ヒトTM様蛋白質は、生体でも効果を有することがわかる。
【0049】
実施例2(ヒトTMによる線維芽細胞に対する効果2:DNA合成促進効果)
スイス3T3細胞を10%CSを含むDMEM培地に懸濁し、96ウェルのマイクロタイタープレートに播種し、37℃、5%CO2 /95%Airの条件でコンフルエントになるまで増殖させた。次いで、培養液を0.1%CSを含む(又は含まない)DMEM培地で置換し48時間培養することにより、細胞は完全に非活動性となった。次に、表1及び図2に示すように、種々の濃度のヒトTMおよび種々の濃度の成長因子を添加し、37℃、20時間培養した。その後3H-チミジン(1μCi/ウェル)を加え、さらに8時間培養した。ウェルを氷冷リン酸緩衝液(以下、PBSと略す)で洗浄して、過剰の3H-チミジンを除いた後、細胞を0.25%trypsin/0.02%EDTAで処理してプレートより剥離させ、グラスファイバーフィルター上に集めた。細胞を氷冷したトリクロル酢酸で洗浄後、フィルター上に残存する放射能を液体シンチレーションカウンターにより測定した。なお、ヒトTMは、取得例1に従い、ヒトTMのE123456を包含するペプチド(TME1-6 )をチャイニーズハムスター卵母細胞(CHO−K1細胞)で発現後、均一に精製したもの、取得例2に従い精製したヒト尿由来可溶性TM(UTM0)および取得例3に従い精製したrsTMを使用した。IGF−1およびbFGFはインタージェン社、インスリンは和光純薬、EGFはアップステートバイオテクノロジー社よりそれぞれ購入して使用した。
【0050】
結果を図2、図3および表1に示す。
【0051】
図2から明らかなように、TME1-6 は血清の存在下あるいは非存在下においてDNA合成促進作用を示した。また、図3から明らかなように、TME1-6 、rsTMおよびUTM0いずれもDNA合成促進作用を示し、UTM0が最も強い作用を示した。
【0052】
【表1】
Figure 0003931353
表1から明らかなように、TME1-6 は単独でDNA合成促進作用を示すのみならず、細胞成長因子として知られているEGFやb−FGFとは相加的な作用を示し、インスリンあるいはIGF−1とは相乗的なDNA合成促進作用を示した。
また、UTM0、rsTMおよびD123も同様の作用を示した。
【0053】
実施例3(ヒトTMによる線維芽細胞に対する効果3:グルコース輸送促進効果)
浜中らの方法[エクスペリメンタル セル リサーチ(Exp.Cell Res.)186、83−89、1990]に準じて実施した。すなわち、スイス3T3細胞を10%CSを含むDMEM培地に懸濁し、24ウェルのマルチプレートに播種し、37℃、5%CO2 /95%Airの条件でコンフルエントになるまで増殖させた。次いで、培養液を0.5%CSを含むDMEM培地で置換し48時間培養した後、50ng/mlのヒトTM、10ng/mlEGFあるいは10%CSを添加し、37℃、6時間培養した。細胞をKRP緩衝液(140mM NaCl、2.7mM KCl、0.9mM CaCl2 、1.47mMKH2PO4 、8.06mM Na2HPO4 、0.49mM MgCl2 、0.1%ウシ血清アルブミン、pH7.4)で一回洗浄した後、0.5mlの同緩衝液で37℃、30分間プレインキュベートした。その後2−デオキシ−D−[1−3H]グルコース(0.5μCi/ウェル、10μM)を加え、10分間培養した。ウェルを25mMグルコースを含む氷冷PBSで3回洗浄して過剰の放射能を除いた後、0.1%SDS処理して細胞破砕液を得、その放射能を液体シンチレーションカウンターにより測定した。なお、ヒトTMは、実施例に従い、ヒトTMのE123456ドメインを包含するペプチド(TME1-6 )をチャイニーズハムスター卵母細胞(CHO−K1細胞)で発現後、均一に精製したものを使用した。EGFはアップステートバイオテクノロジー社より購入して使用した。結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0003931353
表2から明らかなように、TME1-6 は2−デオキシグルコース取り込みの促進作用を示した。また、UTM0、rsTMおよびD123も同様の作用を示した。
【0055】
実施例4(製剤例1)
以下の成分を注射用蒸留水10mlに溶解し、無菌濾過したあとに1.0mlずつ無菌バイアルに分注し、凍結乾燥して注射用製剤を調製した。
【0056】
TME1-6 5 mg
精製ゼラチン 50 mg
リン酸ナトリウム 34.8mg
塩化ナトリウム 81.8mg
マンニトール 25 mg
【0057】
実施例5(製剤例2)
以下の成分を注射用蒸留水10mlに溶解し、無菌濾過したあとに1.0mlずつ無菌バイアルに分注し、凍結乾燥して注射用製剤を調製した。
【0058】
UTM0 5 mg
アルブミン 20 mg
リン酸ナトリウム 34.8mg
塩化ナトリウム 81.8mg
マンニトール 25 mg
【0059】
実施例6(製剤例3)
以下の成分を注射用蒸留水10mlに溶解し、無菌濾過したあとに1.0mlずつ無菌バイアルに分注し、凍結乾燥して注射用製剤を調製した。
【0060】
rsTM 10 mg
精製ゼラチン 50 mg
リン酸ナトリウム 34.8mg
塩化ナトリウム 81.8mg
マンニトール 25 mg
【0061】
実施例7(製剤例4)
以下の成分を注射用蒸留水10mlに溶解し、無菌濾過したあとに1.0mlずつ無菌バイアルに分注し、凍結乾燥して注射用製剤を調製した。
【0062】
D123 10 mg
アルブミン 20 mg
リン酸ナトリウム 34.8mg
塩化ナトリウム 81.8mg
マンニトール 25 mg
【0063】
実施例8(製剤例5)
以下の成分を混合、撹拌して均一な組成物(軟膏剤)を調製した。
【0064】
TME1-6 0.01%
白色ワセリン 96.8%
流動パラフィン 3 %
ジブチルヒドロキシトルエン 0.2%
【0065】
実施例9(製剤例6)
以下の成分を混合、撹拌して均一な組成物(軟膏剤)を調製した。
【0066】
UTM0 0.01%
IGF−1 0.01%
白色ワセリン 96.8%
流動パラフィン 3 %
ジブチルヒドロキシトルエン 0.2%
【0067】
【発明の効果】
本発明の創傷治癒剤ならびに細胞増殖および/または細胞成長促進剤は、組織損傷部位の細胞、例えば線維芽細胞などの細胞の成長あるいは増殖を促進する効果を発揮するヒトTM様蛋白質、あるいはヒトTM様蛋白質に加えてさらにヒト細胞成長因子を含有するので、種々の創傷、例えば、角膜潰瘍、放射線角膜傷、角膜移植、他の手術誘発眼内創傷のような眼創傷および切開、やけど、切り傷、破傷、深部術創、皮膚移植によるドナー部位創および潰瘍(皮膚、とこずれ、静脈うっ血および糖尿病)のような皮膚創のごとき上皮損傷、あるいは消化管の潰瘍、口腔・気道または尿路のごとき粘膜の損傷などの治療に用いることができる。さらに、乾せん、日焼け、皮膚発疹のような皮膚傷害にも用いることができる。
【0068】
また、本発明の製剤は、上記の創傷に対し、公知の製剤に比較して、より優れた作用を有しており、創傷治癒剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、TME1-6 のスイス3T3細胞の増殖に及ぼす影響を示したグラフである。数値は、平均値±標準誤差で表している。
【図2】図2は、TME1-6 のスイス3T3細胞のDNA合成に及ぼす影響を示したグラフである。
【図3】図3は、TME1-6 、rsTMおよびUTM0のスイス3T3細胞のDNA合成に及ぼす影響を示したグラフである。数値は、平均値±標準偏差で表している。

Claims (8)

  1. トロンビンと結合し、トロンビンの凝固促進作用を抑制するとともにトロンビンのプロテインC活性化を著しく促進させるという活性を有するトロンボモジュリン様蛋白質を有効成分として含有し、該トロンボモジュリン様蛋白質が、ヒトトロンボモジュリンのN末端から345−462番目のアミノ酸残基を包含するペプチド、又はその構造の一部を欠失させた改変体もしくはアミノ酸を他のアミノ酸で置換あるいは修飾した改変体であることを特徴とする創傷治癒剤。
  2. 該トロンボモジュリン様蛋白質が、以下のアミノ酸配列1を有する請求項1に記載の創傷治癒剤。
    (アミノ酸配列1)
    1 10
    Gln Gly His Trp Ala Arg Glu Ala Pro Gly
    11 20
    Ala Trp Asp Cys Ser Val Glu Asn Gly Gly
    21 30
    Cys Glu His Ala Cys Asn Ala Ile Pro Gly
    31 40
    Ala Pro Arg Cys Gln Cys Pro Ala Gly Ala
    41 50
    Ala Leu Gln Ala Asp Gly Arg Ser Cys Thr
    51 60
    Ala Ser Ala Thr Gln Ser Cys Asn Asp Leu
    61 70
    Cys Glu His Phe Cys Val Pro Asn Pro Asp
    71 80
    Gln Pro Gly Ser Tyr Ser Cys Met Cys Glu
    81 90
    Thr Gly Tyr Arg Leu Ala Ala Asp Gln His
    91 100
    Arg Cys Glu Asp Val Asp Asp Cys Ile Leu
    101 110
    Glu Pro Ser Pro Cys Pro Gln Arg Cys Val
    111 120
    Asn Thr Gln Gly Gly Phe Glu Cys His Cys
    121 130
    Tyr Pro Asn Tyr Asp Leu Val Asp Gly Glu
    131 140
    Cys Val Glu Pro Val Asp Pro Cys Phe Arg
    141 150
    Ala Asn Cys Glu Tyr Gln Cys Gln Pro Leu
    151 160
    Asn Gln Thr Ser Tyr Leu Cys Val Cys Ala
    161 170
    Glu Gly Phe Ala Pro Ile Pro His Glu Pro
    171 180
    His Arg Cys Gln Met Phe Cys Asn Gln Thr
    181 190
    Ala Cys Pro Ala Asp Cys Asp Pro Asn Thr
    191 200
    Gln Ala Ser Cys Glu Cys Pro Glu Gly Tyr
    201 210
    Ile Leu Asp Asp Gly Phe Ile Cys Thr Asp
    211 220
    Ile Asp Glu Cys Glu Asn Gly Gly Phe Cys
    221 230
    Ser Gly Val Cys His Asn Leu Pro Gly Thr
    231 240
    Phe Glu Cys Ile Cys Gly Pro Asp Ser Ala
    241 250
    Leu Val Arg His Ile Gly Thr Asp Cys Asp
    251 253
    Ser Gly Lys
  3. 該トロンボモジュリン様蛋白質が、ヒトトロンボモジュリンのN末端から345−462番目のアミノ酸残基を包含するペプチドのうちの、N末端から1−497番目のアミノ酸残基を包含するペプチドである請求項1記載の創傷治癒剤
  4. ヒト細胞成長因子として、ヒトインスリン様細胞成長因子−1、ヒトインスリン、ヒト上皮細胞成長因子および塩基性線維芽細胞成長因子の少なくとも一つを含有する請求項1〜のいずれかに記載の創傷治癒剤。
  5. トロンビンと結合し、トロンビンの凝固促進作用を抑制するとともにトロンビンのプロテインC活性化を著しく促進させるという活性を有するトロンボモジュリン様蛋白質を有効成分として含有し、該トロンボモジュリン様蛋白質が、ヒトトロンボモジュリンのN末端から345−462番目のアミノ酸残基を包含するペプチド、又はその構造の一部を欠失させた改変体もしくはアミノ酸を他のアミノ酸で置換あるいは修飾した改変体であることを特徴とする細胞増殖および/または細胞成長促進剤。
  6. トロンボモジュリン様蛋白質が、以下のアミノ酸配列1を有する請求項に記載の細胞増殖および/または細胞成長促進剤。
    (アミノ酸配列1)
    1 10
    Gln Gly His Trp Ala Arg Glu Ala Pro Gly
    11 20
    Ala Trp Asp Cys Ser Val Glu Asn Gly Gly
    21 30
    Cys Glu His Ala Cys Asn Ala Ile Pro Gly
    31 40
    Ala Pro Arg Cys Gln Cys Pro Ala Gly Ala
    41 50
    Ala Leu Gln Ala Asp Gly Arg Ser Cys Thr
    51 60
    Ala Ser Ala Thr Gln Ser Cys Asn Asp Leu
    61 70
    Cys Glu His Phe Cys Val Pro Asn Pro Asp
    71 80
    Gln Pro Gly Ser Tyr Ser Cys Met Cys Glu
    81 90
    Thr Gly Tyr Arg Leu Ala Ala Asp Gln His
    91 100
    Arg Cys Glu Asp Val Asp Asp Cys Ile Leu
    101 110
    Glu Pro Ser Pro Cys Pro Gln Arg Cys Val
    111 120
    Asn Thr Gln Gly Gly Phe Glu Cys His Cys
    121 130
    Tyr Pro Asn Tyr Asp Leu Val Asp Gly Glu
    131 140
    Cys Val Glu Pro Val Asp Pro Cys Phe Arg
    141 150
    Ala Asn Cys Glu Tyr Gln Cys Gln Pro Leu
    151 160
    Asn Gln Thr Ser Tyr Leu Cys Val Cys Ala
    161 170
    Glu Gly Phe Ala Pro Ile Pro His Glu Pro
    171 180
    His Arg Cys Gln Met Phe Cys Asn Gln Thr
    181 190
    Ala Cys Pro Ala Asp Cys Asp Pro Asn Thr
    191 200
    Gln Ala Ser Cys Glu Cys Pro Glu Gly Tyr
    201 210
    Ile Leu Asp Asp Gly Phe Ile Cys Thr Asp
    211 220
    Ile Asp Glu Cys Glu Asn Gly Gly Phe Cys
    221 230
    Ser Gly Val Cys His Asn Leu Pro Gly Thr
    231 240
    Phe Glu Cys Ile Cys Gly Pro Asp Ser Ala
    241 250
    Leu Val Arg His Ile Gly Thr Asp Cys Asp
    251 253
    Ser Gly Lys
  7. 該トロンボモジュリン様蛋白質が、ヒトトロンボモジュリンのN末端から345−462番目のアミノ酸残基を包含するペプチドのうちの、N末端から1−497番目のアミノ酸残基を包含するペプチドである請求項5記載の細胞増殖および/または細胞成長促進剤。
  8. ヒト細胞成長因子として、ヒトインスリン様細胞成長因子−1、ヒトインスリン、ヒト上皮細胞成長因子および塩基性線維芽細胞成長因子の少なくとも一つを含有する請求項5〜7のいずれかに記載の細胞増殖および/または細胞成長促進剤。
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